JP2006246288A - エキサイターおよびスピーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】 軽量小型化を図り、コイル表面の損傷を無くし、かつ、組立てを容易にしたエキサイターと、そのエキサイターを使用した平面スピーカを提供する。
【解決手段】 2つのボイスコイル4,5を振動方向に所定の間隔を存し、かつ互いに逆相となるようにして配置するとともに、各ボイスコイル4,5を直列接続してハウジング2内に固定し、前記振動方向に配置されたボイスコイル4,5内のほぼ中間部に、厚さ方向に着磁されたマグネット7を可動自在に配置し、前記各ボイスコイル4,5に流れる音声電流の流れ方向に応じて、ボイスコイル4,5の磁極を変化させ、前記マグネット7をボイスコイル4,5内で可動させるよう構成してエキサイター1とする。
【選択図】 図2

Description

この発明は、たとえば、振動板などを駆動させるための振動素子としてのエキサイターと、そのエキサイターを振動板に固定した平面型スピーカに関するものである。
近年、平板状の振動板にエキサイター(振動素子)を固定した平板型スピーカは、薄くできることと、振動板が広くできる利点を生かして、様々な用途で使用され始めている。特に、今後、液晶パネルなどの展示媒体と一緒に据付けたり、振動板に印刷された音の出る案内板などに、ローコストで小型・軽量化されたエキサイターを使用した平面型スピーカが提案されることが予想されるが、コストや軽量化やコイルの信頼性等に課題が残されている。
かかるエキサイターおよびエキサイターを使用した平面型スピーカとして、たとえば、特開2001−359188号公報(特許文献1)においては、振動板に固着して一体化されるボビン部に巻装され、このボビン部を介して前記振動板に振動を付与するボイスコイル、並びに前記ボイスコイルが挿入される磁気ギャップを有したエキサイターと、前記磁気ギャップを形成する磁気回路部を内面側に固定して、当該エキサイターを収容し、かつ振動板に連結されるハウジングとを備えているパネルスピーカが開示されている。
この特許文献1における発明では、エキサイターを、振動板に連結されるハウジング内に収容させてユニット構成とすることで、当該ハウジングによりターミナル、リード線を含むエキサイター全体が外部の衝撃から保護されるとともに、ユニット構成した当該駆動ユニットは、振動板の寸法に関係なく使用することができ、製作コストを大幅に削減することを可能としている。
また、磁気回路の小型化、軽量化の手段として、特開昭56−46398号公報(特許文献2)においては、局面にコイル巻回用のほぼ環状の溝が形成され、かつ複数の磁脚が形成されたほぼボビン状の強磁性体からなるコアと、前記コアの環状溝内において、両端部の前記磁極が互いに同極に帯磁されるよう巻回されたコイルと、前記コアの周囲に振動可能に配設され、軸方向の端部に互いに異極の磁極を有し、かつコーンが結合されたほぼリング状の可動磁石とを備えている可動磁石型スピーカを開示している。
この特許文献2に記載の発明では、上記のようにコイルと可動磁石を配置することで、従来に比べ、磁気回路を構成する部品点数を減少させ、磁気回路の小型軽量化が図れるとともに、コイルの巻回数を増加させてコイルに加える入力信号の制限を解消することを可能にしている。
特開2001−359188号公報 (請求項1、段落0006) 特開昭56−46398号公報(請求項1、発明の詳細な説明(8)、(9))
しかしながら、特許文献1に記載の発明のように、振動板を振動させるエキサイターの駆動部として、ボイスコイルを挟むようにヨークやマグネットで磁気ギャップを構成する磁気回路では、駆動部全体が大きくなり軽量化、小型化にするための障害となるという問題がある。
また、特許文献2に記載の発明のように、磁気ギャップを構成しない形で磁気回路の軽量化、小型化を図っても、ボイスコイル表面に対向するようにマグネットが配置されている限り、磁束効率の点で両者を近づけることとなる。その結果、ローリング現象によりマグネットでコイル表面を傷つけてしまうという問題がある。
また、特許文献2の発明のように、可動するマグネット以外に磁性体によるヨーク等が存在すれば、マグネットと磁性体との間で吸引の力が作用し、組立て作業を困難なものとするという問題がある。
さらに、ボイスコイルからの放熱への対応が不十分であれば、コイルの巻き崩れや損傷を引き起こすという問題もある。
この発明はかかる問題に鑑みつつなされたもので、軽量かつ小型化を図り、ボイスコイル表面の損傷をなくし、かつ、組立てを容易にしたエキサイターと、そのエキサイターを使用した平面型スピーカを提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の発明は、
2つのボイスコイルを、振動方向に所定の間隔を存し、かつ互いに逆相となるようにして配置するとともに、各ボイスコイルを直列接続してハウジング内に固定し、
前記振動方向に配置されたボイスコイル内のほぼ中間部に、厚さ方向に着磁されたマグネットを可動自在に配置し、
前記各ボイスコイルに流れる音声電流の流れ方向に応じて、ボイスコイルの磁極を変化させ、前記マグネットをボイスコイル内で可動させるよう構成されていること
を特徴とするエキサイターである。
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のエキサイターにおいて、
前記ハウジングは、
上部が開口するとともに、内部に前記2つのボイスコイルを保持するボイスコイルボビンの外径より若干径の大きな空隙部を有するものであること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1に記載のエキサイターにおいて、
前記ハウジングは、
上部が開口するとともに、内部に前記2つのボイスコイルを保持するボイスコイルボビンの外径より若干径の大きな空隙部を有し、この空隙部内に振動体の保持が可能なカプラーが上下動自在に設けられたものであること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1に記載のエキサイターにおいて、
前記マグネットは、
前記ハウジング内に上下動自在に配置されたカプラーに固着され、前記各ボイスコイルへの非通電時には、ボイスコイル間の中間に位置し、音声電流が流れた場合には、音声電流の流れる方向に応じて上昇又は下降するよう構成されていること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1に記載のエキサイターにおいて、
前記ボイスコイルボビンは、
前記ハウジング内に形成された空隙部の内径よりも少し小さな外径を有する円筒体の外周部に、所要の間隔を存して2つの溝を形成し、この溝内にそれぞれボイスコイルを互いに逆相となるように設けるとともに、各ボイスコイルを直列接続させたこと
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項1〜5のいずれかに記載のエキサイターにおいて、
前記ボイスコイルは、
その表面が、接着剤で覆われていること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項2又は4に記載のエキサイターにおいて、
前記カプラーは、
前記ハウジングの上部に設けられた第1のダンパーおよび、ハウジングに形成された空隙部内に設けられた第2のダンパーによって支持され、前記空隙部内を上下動するよう構成されていること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項2、請求項4又は6のいずれかに記載のエキサイターにおいて、
前記カプラーは、
振動体を装着させるための円板状の基板と、この基板の裏面中央部に形成される第1のダンパーを装着するための円筒状の第1胴部と、この第1胴部に段部を介して連設されるマグネットを装着するための径の小さな第2胴部と、この第2胴部の先端面に突出形成され、第2のダンパーを装着するためのさらに径の小さな第3胴部とから構成され、合成樹脂で一体成形されたものであること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項1に記載のエキサイターにおいて、
前記ハウジングは、
前記ボイスコイルのリード線を、前記ハウジング外に引き出すためのスリット部が形成されていることを特徴とするものである。
また、この発明の請求項10に記載の発明は、
請求項1に記載のエキサイターにおいて、
前記ハウジングは、
上部の開口部に沿って、所定の深さを有する複数の接着剤充填口が形成されていることを特徴とするものである。
さらに、この発明の請求項11に記載の発明は、
平面状の振動板の裏面部に、請求項1〜10のいずれかに記載のエキサイターを付設したこと
を特徴とする平面型スピーカである。
この発明のエキサイターは、2つのボイスコイルを、振動方向に所定の間隔を存し、かつ互いに逆相となるようにして配置するとともに、各ボイスコイルを直列接続してハウジング内に固定し、振動方向に配置されたボイスコイル内のほぼ中間部に、厚さ方向に着磁されたマグネットを可動自在に配置して構成されているので、前記各ボイスコイルに流れる音声電流の流れ方向に応じて、前記マグネットを2つのボイスコイル間内で可動させ、このマグネットの動きを、たとえば、カプラーなどのアセンブリーを介して振動体に伝えることによって、振動体を駆動させ振動させるものである。
特に、この発明においては、2つのボイスコイルを、所要間隔を存して振動方向に配置するに際し、各ボイスコイルを互いに逆相となるようにするとともに、各ボイスコイルを直列に接続し、その内側にマグネットを上下動自在に装着しているので、可動するマグネット以外には、磁性材料で構成される部材をなくし、全体を小型、軽量化し、組み立て易くすることを可能とした。
また、前記マグネットは、厚さ方向、すなわち、上部をN極、下部をS極となるように着磁されているので、互いに逆相となるよう、かつ直列に接続した各ボイスコイルの磁極が、振動方向でS−N−N−Sとなるように音声電流を流した場合、マグネットは振動方向の上部側に移動し、電流方向が反転するとマグネットが振動方向の下部側に移動するので、このような動作を繰り返させることで、簡単な構成のエキサイターとすることができる。
その際、ボイスコイルを、ボイスコイルボビンを構成する円筒状の筒体の外側に、間隔を存して形成された溝内に、互いに逆相となるようにして装着し、このボイスコイルボビンの内側にマグネットを上下動自在に設けることによって、ボイスコイルを損傷させることなくマグネットを可動させることができる。
また、前記ボイスコイルボビンにボイスコイルを装着するに際し、ボイスコイルの表面を接着剤で覆うことによって、駆動時のボイスコイルからの放熱を接着剤で吸収し、温度上昇によるボイスコイルの巻き崩れや抵抗値上昇を防ぎ、安定した音圧を得ることができる。
また、この発明においては、2つのボイスコイル間の内側を移動するマグネットを、ハウジング内に可動自在に装着したカプラーに固定し、このカプラーを2つのダンパーで可動自在に支持することによって、ボイスコイルからの音声電流によるマグネットの振動に対するカプラーの応答性が向上し、高域での再生周波数帯域を広げることができる。また、このカプラーを樹脂成形することで、さらにエキサイターの軽量化を図ることができる。
また、ハウジング内に可動自在に保持されるカプラーを、当該カプラーをハウジング内に支持する2つのダンパーの一端、およびマグネットを固定することがきるように構成することによって、所定の部品同士を同一軸上に配置することができ、位置決め冶具などの専用冶具を使用することなく、エキサイターを容易に組立てることができる。
また、前記ボイスコイルやマグネットからなるエキサイターを保持するハウジングに、ボイスコイルのリード線をハウジング外に引き出すための、所定の深さを有するスリットを設けることによって、ボイスコイルの配線が容易になるとともに、ボイスコイルとなるコイルワイヤーをそのままリード線として使用することができる。また、配線が外部に顕出することがないので、断線などのおそれも解消することができる。
さらに、ハウジングに形成された空隙部の開口部周縁に沿って、接着剤を流し込む所定の深さ、具体的には、前記ボイスコイルボビンの全長、を有する接着剤充填口を形成することによって、この接着剤充填口から接着剤を流し込むことで、ボイスコイルボビンをハウジングに確実に固定することができるとともに、ボイスコイル表面を接着剤で覆う作業が容易にでき、ボイスコイルボビンを確実にハウジング内に固定することができる。
以下、この発明にかかるエキサイターおよび、このエキサイターを使用したスピーカの実施の形態を、添付の図面に基づき具体的に説明する。なお、この発明は、図示された実施例に限定されるものではなく、2つのボイスコイルを互いに逆相となるよう振動方向に所要間隔を存して配置し、かつ前記ボイスコイル同士を直列接続し、この2つのボイスコイル間内にマグネットを可動自在に配置し、前記ボイスコイルに流す音声電流によって、ボイスコイルの磁極を変化させてマグネットをボイスコイルの振動方向に可動させるという、この発明の要旨を変更しない範囲内において、種々変更を加えることができるものである。
この発明にかかるエキサイター1は、図1〜図3および図5で明らかなように、基本的には、上部が開口する空隙部3を有する有底の筒状体からなるハウジング2と、このハウジング2内に固定される2つのボイスコイル4,5と、この2つのボイスコイル4,5内に上下方向に可動自在に保持されるマグネット7とから構成されるものである。なお、前記2つのボイスコイル4,5は、基本的に同一材料で形成された同径のものである。
前記ハウジング2は合成樹脂の一体成形によって得るもので、前記空隙部3の内径は、エキサイターを使用する用途によって変化するものである。また、その形状には特段の制限はないが、前記空隙部3の開口部には、外側に延出する所要の幅のフランジ2aを形成することによって、後述するカプラーを介して支持する振動体をより確実に保持することができるので好ましい。
また、このハウジング2の上面部には、図1に示すように、前記空隙部3の開口縁に沿って、所定の深さ、具体的には、前記2つのボイスコイル4,5を振動方向に所要の間隔を存して保持する後述のボイスコイルボビン6の全長と同じ深さを有する複数の接着剤充填口8,8が形成されているとともに、その一部には、前記空隙部3の開口縁からハウジング2の外周面に達するスリット部9が形成され、このスリット部9を介して各ボイスコイル4,5のリード線4a,5aを容易に外部に引き出すことができるよう構成されている。
前記2つのボイスコイル4,5は、図4に示すように、ボイスコイルの振動方向に所要の間隔を存して、かつ各ボイスコイル4,5が互いに逆相となるよう、すなわち、各ボイスコイル4,5の磁極が同じとなるよう配置し、ボイスコイル4,5同士を直列接続して接続コイルの中点の磁束を高めるよう構成し、振動体に装着するエキサイターの軽量化を図ったものである。なお、このように構成された2つのボイスコイル4,5は、いずれも前記ハウジング2内に固定して使用されるものである。
したがって、このボイスコイル4,5の内側に、厚さ方向に着磁されたマグネット7を上下方向に可動自在に配置し、ボイスコイル4からボイスコイル5に音声電流を流すと、ボイスコイル4,5の磁極が、S−N−N−Sとなってマグネット7は上方に移動する。反対にボイスコイル5からボイスコイル4に音声電流を流すと、ボイスコイル5,4の磁極が、N−S−S−Nとなってマグネット7は下方に移動するので、このような音声電流の動作を繰り返すことによって、マグネット7はボイスコイル4,5間内において上下動をするものである。
かかるボイスコイル4,5は、具体的には、図5で明らかなように、外径が前記ハウジング2の空隙部3の内径よりもやや小さく形成された円筒体の、外周部に所要間隔を存して形成された凹状の溝6a,6b内に装着して使用されるものである。
前記マグネット7はリング状のものであって、特に図5で明らかなように、前記ハウジング2の空隙部3内に配置されるカプラー10に固定されて、振動方向に配置されたボイスコイル4,5間の内側において上下動するよう構成されている。
すなわち、前記カプラー10は、たとえば、液晶パネルのような薄い振動体又は平面振動板のように薄い振動板を装着させるための円板状の基板11と、この基板11の裏面中央部に段部12を介して形成される第1のダンパー17を装着するための円筒状の第1胴部13と、この第1胴部13に段部14を介して連設される、マグネット7を装着するための径の小さな第2胴部15と、この第2胴部15の先端面中央に突出形成される、第2のダンパー18を装着するための径の小さな第3胴部16とから構成されるものである。なお、前記各パートは、合成樹脂で一体成形されるものである。
なお、前記第3胴部の形成に際しては、図5に示すように、第2胴部15の先端面の中央部に凹部20を形成し、この凹部20の中央に径の小さな第3胴部16を突出形成することによって、この凹部20を第2のダンパー18の内周部を確実に固着することができるので、好ましい態様である。
前記第1のダンパー17は、外径が前記ハウジング2のフランジ2aの外径とほぼ等しいダンパー主体17aの外周縁の下方に、ハウジング2への取付け部17bが垂直に設けられたもので、ダンパー主体17aには、前記カプラー10の第1胴部の外径とほぼ等しい径を有する透孔17cが形成されたものである。
なお、この第1のダンパー17は前記カプラー10に固定され、当該カプラー10をハウジング2の空隙部3内に上下方向に可動自在に保持するに際し、弾性を付与し、前記カプラー10の可動範囲をより大きくするため、平坦な外周部の内側部位を、図5に示すように、上方に膨出させることが好ましい。
また、前記第2のダンパー18は、ダンパー主体18aの外周部に前記ハウジング2の空隙部3の内底面3aと当接する平坦面18bを形成するとともに、前記平坦面18b以外の部位を上方に膨出させ、その中央部に前記カプラー10の第3胴部16の外周部を当接する透孔18cを設けた突出部18dを一体的に形成したものである。
この第2のダンパー18の平坦面18bを含めた外径は、前記ハウジング2における空隙部3の内底面3aの内径よりもやや小さい径とし、前記突出部18dに形成される透孔18cの内径は、前記カプラー10の第3胴部16の外径とほぼ等しくしたものである。
なお、この発明のエキサイター1においては、軽量化を図るため、ハウジング2の空隙部3内を上下方向に可動して振動するマグネット7以外には、磁気回路を構成するヨークとして磁性体は使用されていない。
かかる各部材を用いてエキサイター1を作製するには、まず、カプラー10を構成する第1胴部13に、第1のダンパー17の透孔17cを嵌合させ、前記透孔17cの平坦な周縁部17dをカプラー10の段部12に接着剤で固定する。
つぎに、マグネット7の透孔7aをカプラー10の第2胴部15に嵌合させ、マグネット7の上部平面7bをカプラー10の段部14に接着剤で固定する。このように組立てられたユニットを、上部ユニットと称する。
一方、前記第2のダンパー18をハウジング2の空隙部3内に嵌合させ、その外周部の平坦面18bを、空隙部3の内底面3aに接着剤で固定したのち、その上から、ボイスコイルボビン6を、保持したボイスコイル4,5を外側に位置させた状態で空隙部3内に挿入し、ボイスコイルボビン6の底面部を前記第2のダンパー18の平坦面18b上に接着剤で固定する。すなわち、第2のダンパー17の前記平坦部18bをハウジング4の底面とボイスコイルボビン6の底部とで挟むようにして接着剤で固定している。このとき、ボイスコイル4,5の各リード線4a,5aは、ハウジング2に設けられたスリット部9に収められている。
つぎに、ハウジング2の上面に設けられた接着剤充填口8に接着剤Bを注入し、当該接着剤Bによってボイスコイルボビン6をハウジング2の内周面に固定するとともに、各ボイスコイル4,5の表面を接着剤Bで覆う。このように組立てられたユニットを、下部ユニットと称する。
なお、ボイスコイル4,5の表面を覆う接着剤としては、ボイスコイルからの放熱に耐えられる耐熱性の高い接着剤が好ましい。また、この接着剤がボイスコイルからの熱を吸収することから、温度上昇によるボイスコイルの巻き崩れや抵抗値上昇を防ぎ、安定した音圧を得ることができる。
組立ての最終工程として、上部ユニットと下部ユニットを組みあわせるが、その時、周辺に接着剤を塗布した上部ユニットの第3胴部16を、下部ユニットの第2のダンパー18に形成された透孔18cに嵌合したのち、上部ユニットにおける第1のダンパー17に形成した取付け部17bを、下部ユニットのハウジング2の最外周面、すなわち、フランジ2aの外周部に嵌合し、両者を接着剤で固定するものである。
このようにしてエキサイター1を組立てることで、同一軸上で各部品が嵌合して組立てることができ、マグネット7がボイスコイルボビン6の内で、2個のボイスコイル4,5の中間に配置されたエキサイター1が、専用冶具を用意することなく容易に作られる。
なお、エキサイター1の組立て時、換言すると、エキサイター1が駆動していない状態においては、マグネット7は図2で明らかなように、ボイスコイル4と5の中間部に位置しているものである。
かかる構成のエキサイター1は、先に述べたようにマグネット7の上部がN極、下部がS極となるよう厚さ方向に着磁されているので、2つのボイスコイル4,5の磁極が振動方向でS−N−N−Sとなるように音声電流が流れた場合、ボイスコイル4,5はいずれもハウジング2に固定されているので、マグネット7が振動方向の上部へ上がり、マグネット7と一体のカプラー10も上昇する。また、電流方向が反転するとボイスコイル4,5の磁極もN−S−S−Nのように逆になり、マグネット7は振動方向の下部へ向かうので、カプラー10も下降する。このような動作を繰り返すことで、マグネット7は空隙部3内を上下方向に可動し、振動するので、カプラー10の基板11に振動体として振動板を装着することによって、前記エキサイター1をスピーカの駆動体とすることができる。さらに、前記基板11の表面に広告などを印刷、表示した振動体を装着れば、当該振動体を動く表示体として利用することができる。
なお、上記の各部材の構成において、2つの部材の固定に、相対する部材の片側又は両方に、図示しないが接着剤溜りとなる凹部を設け、その凹部に接着剤を充填して固定することで接着力を高めることもできる。
図6および図7は、前記構成を有するエキサイター1を使用した平面型スピーカ20を示すもので、矩形状のスピーカフレーム21内に2つのエキサイター1,1を並列させて配置固定し、矩形状の振動板22をエッジ23と接合し、そのエッジ23の外周側縁部を押さえ板24でスピーカフレーム21に固定し、各エキサイター1,1の基板11の上面部に前記振動板22の裏面を接合接着して平面型スピーカ20としたものである。したがって、前記各エキサイター1,1のボイスコイルに音声電流を一定間隔に正方向、逆方向に流せば、マグネットの振動がエキサイターを介して振動板22に伝えられ、平面型スピーカとしての機能を発揮することができる。
この発明にかかるエキサイターは、振動方向に間隔を存し、かつ互いに逆相となるよう配置された2つのボイスコイルを直列接続し、その2つのボイスコイルの内側に厚さ方向に着磁されたマグネットを、振動方向に可動自在となるよう設けている。したがって、前記マグネットの動き(振動)をカプラーなどのアセンブリーを介して外部に取出すことによって、その振動を有効に利用することができるので、その用途はスピーカにのみ限定されず、音の出る広告媒体として、さらには、広い表面積の振動板を使用することによって集音マイクとしての使用など、広い分野での利用が可能なものである。
この発明にかかるエキサイターの一例を示す一部切欠き平面図である。 図1に示すエキサイターの非駆動時における半截断面図である。 図1に示すエキサイターの駆動時における半截断面図である。 図1に示すエキサイターのボイスコイルを示す概略説明図である。 図1に示すエキサイターの構成の一例を示す概略説明図である。 この発明にかかるエキサイターを利用した平面型スピーカの一例を示す平面図である。 図6におけるZ−Zに沿った断面図である。
符号の説明
1 エキサイター
2 ハウジング
2a フランジ
3 空隙部
4,5 ボイスコイル
4a,5a ボイスコイルのリード線
6 ボイスコイルボビン
6a,6b 溝
7 マグネット
7a マグネットの透孔
8 接着剤充填口
9 スリット部
10 カプラー
11 基板
12,14 段部
13 第1胴部
15 第2胴部
16 第3胴部
17 第1のダンパー
18 第2のダンパー
20 平面型スピーカ
21 スピーカフレーム
22 振動板
23 エッジ
24 押さえ板

Claims (11)

  1. 2つのボイスコイルを、振動方向に所定の間隔を存し、かつ互いに逆相となるようにして配置するとともに、各ボイスコイルを直列接続してハウジング内に固定し、
    前記振動方向に配置されたボイスコイル内のほぼ中間部に、厚さ方向に着磁されたマグネットを可動自在に配置し、
    前記各ボイスコイルに流れる音声電流の流れ方向に応じて、ボイスコイルの磁極を変化させ、前記マグネットをボイスコイル内で可動させるよう構成されていること
    を特徴とするエキサイター。
  2. 前記ハウジングは、
    上部が開口するとともに、内部に前記2つのボイスコイルを保持するボイスコイルボビンの外径より若干径の大きな空隙部を有するものであること
    を特徴とする請求項1に記載のエキサイター。
  3. 前記ハウジングは、
    上部が開口するとともに、内部に前記2つのボイスコイルを保持するボイスコイルボビンの外径より若干径の大きな空隙部を有し、この空隙部内に振動体の保持が可能なカプラーが上下動自在に設けられたものであること
    を特徴とする請求項1に記載のエキサイター。
  4. 前記マグネットは、
    前記ハウジング内に上下動自在に配置されたカプラーに固着され、前記各ボイスコイルへの非通電時には、ボイスコイル間の中間に位置し、音声電流が流れた場合には、音声電流の流れる方向に応じて上昇又は下降するよう構成されていること
    を特徴とする請求項1に記載のエキサイター。
  5. 前記ボイスコイルボビンは、
    前記ハウジング内に形成された空隙部の内径よりも少し小さな外径を有する円筒体の外周部に、所要の間隔を存して2つの溝を形成し、この溝内にそれぞれボイスコイルを互いに逆相となるように設けるとともに、各ボイスコイルを直列接続させたこと
    を特徴とする請求項1に記載のエキサイター。
  6. 前記ボイスコイルは、
    その表面が、接着剤で覆われていること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエキサイター。
  7. 前記カプラーは、
    前記ハウジングの上部に設けられた第1のダンパーおよび、ハウジングに形成された空隙部内に設けられた第2のダンパーによって支持され、空隙部内を可動するよう構成されていること
    を特徴とする請求項2又は4に記載のエキサイター。
  8. 前記カプラーは、
    振動体を装着させるための円板状の基板と、この基板の裏面中央部に形成される第1のダンパーを装着するための円筒状の第1胴部と、この第1胴部に段部を介して連設されるマグネットを装着するための径の小さな第2胴部と、この第2胴部の先端面に突出形成され、第2のダンパーを装着するためのさらに径の小さな第3胴部とから構成され、合成樹脂で一体成形されたものであること
    を特徴とする請求項2、請求項4又は6のいずれかに記載のエキサイター。
  9. 前記ハウジングは、
    前記ボイスコイルのリード線を、前記ハウジング外に引き出すためのスリット部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキサイター。
  10. 前記ハウジングは、
    上部の開口部に沿って、所定の深さを有する複数の接着剤充填口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキサイター。
  11. 平面状の振動板の裏面部に、前記請求項1〜10のいずれかに記載のエキサイターを付設したこと
    を特徴とする平面型スピーカ。
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