JP2006244882A - 固体酸化物形燃料電池の運転制御方法及びシステム - Google Patents

固体酸化物形燃料電池の運転制御方法及びシステム Download PDF

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Abstract

【課題】固体酸化物形燃料電池スタックあるいは固体酸化物形燃料電池バンドルの局所的なセルでの燃料枯れを防止し、それらの効率を最大限高め且つ安定して運転制御する方法及びそのためのシステムを得る。
【解決手段】複数のセルを備えた固体酸化物形燃料電池スタックの運転制御方法であって、スタックのうちの少なくとも一つのセルについて、(a)アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置して酸素分圧を測定するとともに、(b)当該セルの発電電流量及び(c)改質用に導入する水蒸気量を測定することにより、当該セルの燃料利用率を推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないように固体酸化物形燃料電池スタック全体への燃料供給量を制御することを特徴とする固体酸化物形燃料電池スタックの運転制御方法及びそのためのシステム。
【選択図】図10

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池の運転制御方法及びシステムに関し、より詳しくは、固体酸化物形燃料電池スタックまたはバンドルを、全体として安全且つ安定して燃料利用率が適正ないし最大になるように制御する方法及びそのためのシステムに関する。
固体酸化物形燃料電池〔SOFC(=Solid Oxide Fuel Cell):以下適宜“SOFC”と言う〕には平板方式、円筒方式、一体積層方式、その他各種あるが、これらは原理的には同じである。例えば平板方式のSOFCには、(a)電解質膜自体でその構造を保持する自立膜式や(b)膜厚の厚いアノードで電解質膜を支持する支持膜式のほか、(c)多孔質の絶縁性支持基体の上に電池を配置した形式なども考えられている。図1(a)〜(c)はそれらセルの態様例を説明する断面図である。
図1(a)は自立膜式のセルで、セル1は、電解質膜3の下面にアノード2が配置され、電解質膜3の上面にカソード4が配置されて構成される。図1(b)は支持膜式のセルで、セル1は、アノード2の上に電解質膜3が配置され、電解質膜3の上にカソード4が配置されて構成される。図1(c)は、支持基体5の上に順次、アノード2、電解質3及びカソード4を配置して構成したセル1である。
ところで、セル一つでは高々0.8V程度の電圧しか得られないので、実用的な電力を得るためにセルとセルをインターコネクタを介して交互に積層配置してスタック化される。図2は、セルの2個をインターコネクタ6、7を介してセットした模式図で、燃料と空気が直交流する態様を示している。なお、図2中A−A線断面が図1(a)〜(c)の断面図に相当している。すなわち、隣接するセルを電気的に直列に接続するのと同時に、カソードとアノードのそれぞれに空気と燃料とを分配し供給し排出する目的でインターコネクタとセルとが交互に積層される。
図3(a)〜(b)はその積層の態様例を説明する図である。図3(a)は、各セル1とインターコネクタ6、7の燃料流路、空気流路との位置関係を示す図で、燃料流路と空気流路が並行流する態様を示している。図3(b)は、図3(a)のようにしてセルを積層したSOFCスタックを示した斜視図で、インターコネクタ等の記載は省略している。図3(b)ではセル数が17個の場合を示しているが、その数は適宜設定される。SOFCの運転時には、セルのアノード側に燃料を流し、カソード側に酸化剤ガス、例えば空気を流して、両電極間に外部負荷Wを接続することで電力が得られる。
図3(c)は、図3(a)〜(b)に示すスタックを構成するセル1個を取り出し、空気中の酸素、電子の流れなどを示した図である。図3(c)のとおり、カソード側を流れる空気中の酸素はカソードで酸化物イオン(O2-)となり、電解質を通ってアノードに至る。ここで、アノード側を流れる燃料と反応して電子を放出し、電気と水等の反応生成物を生成する。カソードでの利用済み空気はカソードオフガスとして排出され、アノードでの利用済み燃料は、未利用の燃料と水蒸気や二酸化炭素等の反応生成物を含むアノードオフガスとして排出される。
ところで、SOFCにおいては、水素と一酸化炭素が燃料となるが、炭化水素のうちメタンは、アノードの構成成分である金属、例えばニッケルの触媒作用により水蒸気改質されて水素と一酸化炭素になる。このため、SOFCでは、水素、一酸化炭素、メタン、あるいはそれらの2種以上からなる燃料であればそのままアノードへ導入すればよいが、燃料にメタン以外の炭素数2以上の炭化水素が含まれていると、SOFCへの配管、特にアノードへの燃料導入管やアノードに炭素を生成し、これが電気化学反応を阻害して電池性能を劣化させてしまう。
このため、炭素数C2以上の炭化水素を含む原燃料の場合は、水蒸気改質法や部分酸化法で予備改質して水素、一酸化炭素及びメタンを含む予備改質ガスに変えられる。予備改質に代えて、メタンも改質して水素、一酸化炭素に変えてもよい。水蒸気改質法で原燃料を改質する場合、メタン換算スチーム(モル)比(S/C比)は2以上(完全水蒸気改質に必要な水蒸気量の2倍以上)、好ましくは3以上とされる。
ここで、本明細書において、そのように、予備改質または改質する前の燃料を“原燃料”と言い、その原燃料を水蒸気改質法や部分酸化法で予備改質または改質してSOFCのアノードへ導入する予備改質済みの燃料(水素、一酸化炭素、メタン、あるいはそれらの2種以上を含む燃料)及び改質済みの燃料(水素、一酸化炭素のうちの一方または両者を含む燃料)を単に“燃料”と言う。
ところで、SOFCにおいては、適量の燃料をアノードへ供給するために原燃料の流量を制御する必要があるが、その制御は一般的には次のように行うことができる。SOFCの効率を決める一つの要因として燃料利用率がある。燃料利用率は、アノードへの導入する燃料量に対する実際に発電に寄与する燃料量の比率であり、アノードへ導入する燃料のうちどれだけ発電に利用されるかを示す比率である。従って、燃料利用率が高いほど発電効率が高くなるので、一般的には、できる限り燃料利用率を高めるような工夫をし、できる限り高い燃料利用率で運転する。
しかし、燃料利用率には理論上、そして実用上も上限がある。図4はその事実を説明する図で、電流密度を例えば0.2A/cm2と一定にして、燃料利用率を高めた場合のSOFCセル中における燃料出口付近のセル電圧の変化を示している。図4のとおり、SOFCセルでの燃料利用率が高くなるにつれて電圧が漸次低下し、燃料利用率が90%程度を超えると急激にセル電圧が落ち込む。
そのようにセル電圧が落ちてくる現象は、アノード側での酸素分圧の増加を意味しており、酸素分圧がある一定値以上に増加すると、アノード中の触媒金属、例えばNiが酸化してNiOに変化し、Niの酸化に伴って起こる格子膨張によりアノードが破損し、安全性を損なってしまう。これが“燃料枯れ”と呼ばれるもので、セルに十分な燃料が行き渡らず、発電を損なうことになる。
SOFCセルのアノードに供給された燃料は出口に向けて順次消費されていくため、燃料枯れは、単セルでも、複数のセルを配置したSOFCスタックでも、また複数のSOFCスタックを併置したSOFCバンドルでも、通常、アノードの燃料の出口側で起こり得る。加えて、実際のSOFCセル、SOFCスタックあるいはSOFCバンドルの場合には、若干の燃料リークや、電極内部のガス拡散が律速(支配的)となり、これらに起因して燃料利用率は85%程度が限度となる。
そこで、図5に示すように、アノードが酸化されないようなセル電位、例えば0.6V程度の下限電位、すなわち限界電圧をセットする。そして、セル電圧が限界電圧を下回らないようにしながら(すなわちセル電圧が限界電圧を下回らないようにリミッタをかけながら)、燃料利用率を所定値、つまり限界電圧に対応する燃料利用率、例えば80%に安全性の幅をもたせた範囲、すなわち限界燃料利用率に安全性のマージンを加味した範囲に制御する方式がとられる。
上記のような燃料利用率の所定値への制御態様としては、セル電圧が限界電圧を下回らないように原燃料の供給量を制御することが考えられる。例えば、図5のように所定の燃料利用率を80%として、電流値をモニタし(すなわち電流値を計測して監視し)、その計測電流値から算出した所定量の原燃料を供給し、これに合わせて、予備改質用ないし改質用の水蒸気量、発電用の空気量も制御して、燃料利用率が常に80%程度になるように制御する。
図6〜7はその運転制御の態様例を説明する図である。図6は一つのSOFCスタックの場合で、例えば燃料利用率を80%(限界電圧、すなわち図5で言えば、セル電圧0.6Vに対応する燃料利用率)に設定する。そして発電時に、SOFCスタックからの電流値を経時的にモニタし、燃料利用率が常に80%あるいはそれ以下になるように、その計測電流値から算出した所定の原燃料量を供給するよう制御し、これに合わせて改質用水蒸気量、カソードへの空気量も制御する。これらの制御は、記憶装置、入出力装置を伴う中央処理装置(CPU)により行う。
図7は、複数のSOFCスタックを併置したSOFCバンドルの運転制御の態様例を説明する図で、図6では示す原燃料の改質器等の記載は省略している。各SOFCスタックに供給する燃料は、負荷に応じてマスフローコントローラ(MFC)などで所定量に制御されて各スタックの各セルのアノードに供給され、これに対応した空気量が供給される。そしてこの場合、各SOFCスタックの規模が同じであれば、共通の燃料導管から分岐して各SOFCスタックに供給する燃料量は同じである。
そのような制御に際し、例えば都市ガスを原燃料とする場合、その組成(=原燃料の成分、各成分の量比)は、ある程度の自由度はあるが、あらかじめ分かっており、それに対応して予備改質ガスあるいは改質ガス、すなわち燃料の組成(=燃料の成分である水素、一酸化炭素、予備改質ガスの場合にはそれらのほかメタン、それらの量比)が分かるので、原燃料の増減量は一義的ないしほぼ一義的に制御することができる。
これをアノードに供給する燃料の側から言えば、改質ガスである燃料中の組成は原燃料の増減量を制御することにより一義的ないしほぼ一義的に制御される。しかし、燃料利用率の算出は、供給している総燃料量に対する、セルごとの電流値、その比率のみから一律に求められるものであり(すなわち推定燃料利用率)、燃料の若干の組成変動や、燃料供給系のタイムラグ等により、必ずしも実際の燃料利用率と推定燃料利用率は一致しない。
加えて、一例として、複数の平板型SOFCセルを積層したスタックにおいては、例えば中心部のセル(上下に積層したセルのうち、上方部や下方部のセルではなく中央部のセル)の温度がより高温となり、そこでの反応がより進むことなどから、セルごとに供給される燃料にも分布が生じることがある。このため、スタック全体の平均的な燃料利用率と中心部の局所的なセルでの燃料利用率が一致しないことが生じる。
そこで、本発明は、SOFCスタックにおける局所的なセル、あるいはSOFCバンドルを構成するスタックにおける局所的なセルにおける酸素分圧を測定して燃料利用率を検知し、それを基にSOFCスタック、あるいはSOFCバンドルの局所的なセルでの燃料枯れを防止し、それらの効率を最大限高め且つ安定して運転する方法及びそのためのシステムを提供することを目的とするものである。
本発明は、(1)複数のセルを備えた固体酸化物形燃料電池スタックの運転制御方法である。そして、スタックのうちの少なくとも一つのセルについて、(a)アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置して酸素分圧を測定するとともに、(b)当該セルの発電電流量及び(c)改質用に導入する水蒸気量を測定することにより、当該セルの燃料利用率を推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないように固体酸化物形燃料電池スタック全体への燃料供給量を制御することを特徴とする。
本発明は、(2)複数のセルを備えた固体酸化物形燃料電池スタックの複数個を併置した固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御方法である。そして、バンドルのうちの少なくとも一つのスタック内のセルについて、(a)アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置して酸素分圧を測定するとともに、(b)当該セルの発電電流量及び(c)改質用に導入する水蒸気量を測定することにより、当該セルの燃料利用率を推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないように固体酸化物形燃料電池バンドル全体への燃料供給量を制御することを特徴とする。
本発明は、(3)複数のセルを備えた固体酸化物形燃料電池スタックの運転制御システムである。そして、そのスタックのうちの少なくとも一つのセルについて、(a)アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置して酸素分圧を測定するとともに、(b)当該セルの発電電流量及び(c)改質用に導入する水蒸気量を測定することにより、当該セルの燃料利用率を推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないように固体酸化物形燃料電池スタック全体への燃料供給量を制御するようにしてなることを特徴とする。なお、本発明(3)は本発明(1)の運転制御方法に対応する運転制御システムである。
本発明は、(4)複数のセルを備えた固体酸化物形燃料電池スタックの複数個を併置した固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御システムである。そして、バンドルうちの少なくとも一つのスタック内のセルについて、(a)アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置して酸素分圧を測定するとともに、(b)当該セルの発電電流量及び(c)改質用に導入する水蒸気量を測定することにより、当該セルの燃料利用率を推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないように固体酸化物形燃料電池バンドル全体への燃料供給量を制御するようにしてなることを特徴とする。なお、本発明(4)は本発明(2)の運転制御方法に対応する運転制御システムである。
本発明によれば、SOFCスタック、あるいはSOFCバンドルを運転するに際して、局所的なセルでの燃料枯れを防止し、SOFCを安全且つ安定して燃料利用率が適正ないし最大になるように制御することができる。これにより、SOFCスタック、あるいはSOFCバンドルを構成するスタックの局所的なセルのアノード中の触媒金属、例えばNiの酸化に伴って起こるアノードの破損を防止し、SOFCを安全且つ安定して運転することができる。
本発明においては、炭化水素系の原燃料を予備改質または改質した燃料をSOFCのアノードに供給する。これら予備改質または改質には水蒸気改質法を適用してもよく、部分酸化法を適用してもよいが、好ましくは蒸気改質法を適用する。SOFCでは水素、一酸化炭素のほか、メタンも燃料となるので、本発明では、それら改質法により、C2以上の炭化水素を予備改質レベルの改質ガスにして燃料としてもよいが、メタンをも改質した改質レベルの改質ガスにして燃料としてもよい。
本発明においては、SOFCスタック、あるいはSOFCバンドルを構成するスタックに組み込まれた少なくとも一つのセルのアノードへの燃料供給部と、アノードの燃料出口部の燃料流路に酸素センサを配置する。そして、燃料供給部における燃料の酸素分圧及び燃料出口部の燃料流路を流れる燃料中の酸素分圧を測定して、当該局所セルでの燃料利用率を検知する。そして、燃料利用率が設定値を下回る場合には、当該局所セルで燃料枯れが起こっている証拠であるので、SOFCスタックへ供給する総燃料量、あるいはバンドルへ供給する総燃料量を増加させることで燃料枯れを防止するものである。
SOFCスタックを構成する各セルには、共通の燃料供給管、各セルへの燃料分配部を介して同じ組成の燃料が供給されるので、酸素センサは、局所セルのアノードの燃料入口部のほか、各セルへの燃料分配部に配置してもよく、燃料分配部への燃料供給管に配置てもよい。このうち燃料供給管については、原燃料の改質器出口から各セルへの燃料分配部までの適宜の箇所に酸素センサを配置することができる。本明細書及び特許請求の範囲では、それら燃料供給管、燃料分配部及び燃料入口部を含めて“アノードへの燃料供給部”と称している。
図8は、SOFCスタック全体における平均燃料利用率を横軸にし、縦軸には、平均のセル電圧と局所的に燃料枯れが起こったセルの電圧をプロットした図である。電流密度を例えば0.2A/cm2と一定にして、燃料利用率を高めた場合のSOFCセル中における燃料出口付近のセル電圧の変化を示している。
図8のとおり、SOFCスタック全体としての平均セル電圧は、燃料利用率が高くなるにつれて漸次低下する。例えば燃料利用率が80%の場合には、平均のセル電圧は0.65Vを超えている。これに対して、局所的なセル、例えば積層スタックの中心部のセルの電圧は、燃料利用率が高くなるにつれて急激に低下ている。例えば燃料利用率が80%の場合には、当該局所セルの電圧は0.5Vにまで落ち込み、燃料枯れが発生している。
この燃料枯れは燃料の分配が不均一であることから発生したものである。例えば、積層スタックの中心部のセルでは、より高温となることから、気体の粘性の増大と密度の減少で、その領域を流れる燃料のモル流量が相対的に低下してしまう。そうすると、燃料利用率としては高くなるが、これは当該中心部のセルつまり局所セル、特にその燃料出口側で十分な燃料が行き渡らないことを意味し、これが“燃料枯れ”をもたらし、当該局所セルの電圧が落ち込む。
図9はそれを説明する図で、図9(a)は前述図3(c)に相当している。図9(a)のように、空気中の酸素はカソード側からアノード側に電解質を通して酸素イオンの形で供給され、アノード側で燃料中の水素及び一酸化炭素と反応して水蒸気と二酸化炭素を生成する。そして、燃料上流側から下流側に向けて順次、燃料中の水素及び一酸化炭素が消費されて水蒸気と二酸化炭素の濃度が増加していくが、上記のとおり、より高温の局所セルではそれらガスの粘性の増大と密度の減少により燃料のモル流量が相対的に低下し、しかも燃料流下流に行くに従って、水素及び一酸化炭素の濃度が減少し、相対的に酸素濃度が増加して電池の起電力が低下していく。特に、全電流量が供給燃料量を超えるような場合には、電池の電圧が著しく低下して電流が取れない、いわゆる“燃料枯れ”が起こることになる。
このようにして、スタック全体の平均的な燃料利用率は所定値であっても、局所的なセルでは燃料利用率が高くなって燃料枯れが起こり、当該局所セルにダメージを与える危険がある。そしてこのことは、複数のSOFCスタックを併置したSOFCバンドルにおける各スタック内の局所セルでも生じ得る。
図9(b)は説明のために図9(a)に示す部分を電池回路図として書き表した図である。図9(b)中、E1〜E6はセルの各箇所における起電力、I1〜I6はそれに対応する電流値である。図9(b)のとおり、電流は酸素の流れとは逆向き流れる。そして、実は、燃料流下流側に行くに従って、起電力Eが低下していくので、電流値も均等ではなく、I1>I2>I3>I4>I5>I6となる。なお、図9(b)中の下部には、燃料が水素の場合を示しているが、二酸化炭素、あるいは両者の混合ガスの場合も同様である。
ここで、カソード側に供給される空気中の酸素は、アノード側を流れる燃料に対して水蒸気の形で入ってくるので、その分アノード側を流れる燃料中の水蒸気量は増加して行くことになる。そこで、仮に、図9(b)中下部に示すように、燃料が水素で、アノード側入口での燃料中の水蒸気濃度が0%で(水素濃度は100%)、燃料利用率が80%とすると、アノード最下流側での水蒸気濃度は80%となる(逆に水素濃度は20%)。水蒸気改質に余剰水蒸気が含まれているので、それにオンされることになる。
ところで、そのような局所セルでの燃料枯れの影響は、スタックに積層したセル数が少ない場合には、平均のセル電圧信号によっても読みとれるように顕著に現れてくる。しかし、セルの数が多い場合には、その影響は、全体のセル母数が多いために鈍化し、顕わには現れなくなる。従って、全体のセル電位、もしくは平均的なセル電位をモニタしても、局所的なセル電位の落ち込みは読みとれない。このため、通常の運転制御方法では、燃料枯れが起こっていないと認識されても、その実、局所的なセルでは燃料枯れが起こり、当該セルがダメージを受けるケースが発生し得る。
そこで、本発明においては、(a)燃料枯れが予測されるセルのアノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部にそれぞれ酸素センサを配置し、両酸素センサからの酸素分圧信号と、(b)当該セルの発電電流量及び(c)原燃料の改質用に導入する水蒸気量を測定することにより、当該セルでの燃料利用率を推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないように固体酸化物形燃料電池スタック全体への燃料供給量を制御するものである。
図10は本発明における酸素センサ配置の態様例を説明する図である。図10(a)はSOFCスタック全体としての斜視図で、インターコネクタや燃料供給部、電力取出用導線等の記載は省略している。図10(b)は、図10(a)中X−X線断面図で、図10(a)より幾分拡大して示し、図10(a)では省略した燃料供給部等を付加して示している。図10のとおり、SOFCスタックにおけるセルのアノードへの燃料分配部及びアノードの燃料出口部に、それぞれ、酸素センサA及び酸素センサBを配置する。そして発電時に、酸素センサA及び酸素センサBにより、それら両箇所を流れる燃料中の酸素分圧を測定する。
酸素センサは、本発明において重要な役割を果たすが、後述のとおり、ガス中の極微量の酸素まで測定できる。本発明においては、SOFCスタックにおけるセルのアノードへの燃料供給部及びアノードの燃料出口部を流れる燃料中の酸素分圧を酸素センサA及び酸素センサBにより測定し、その測定値をSOFCスタックやSOFCバンドルの運転制御に利用するものである。
炭化水素系原燃料の成分である、例えばC1〜C4の飽和炭化水素の水蒸気改質は下記反応式(1)〜(4)で表される。これらの反応式における生成系のCO、H2はいわゆる“反応素過程”を経て生成している。なお、C2〜C4の不飽和炭化水素についても同様である。
Figure 2006244882
こうして炭化水素系原燃料の水蒸気改質反応によって、完全に改質した場合のガス組成は、水素と一酸化炭素のほか、水蒸気(余剰水蒸気)と二酸化炭素の4種の成分の混合ガスとなる。このうち二酸化炭素は一酸化炭素と水蒸気の反応成分である。このように、改質ガスはCO、H2、H2O及びCO2を含む系であるが、厳密にはそれら各ガスの構成原子はラジカルやイオンの状態で混在して相互に解離、反応を繰り返しており、COやH2との反応には酸素が関与している。
これをH2とCOについて見れば、以下の反応式(5)及び(6)のように、それぞれ、1/2モル(1/2O2)の酸素が反応してH2OとCO2になる。
Figure 2006244882
ここで、平衡定数Kは、それぞれの気体の分圧Pで示される。なお、気体反応の平衡定数はKpと記述されるが、以下で用いる符号との関係でKとしている。例えば(5)式の反応の場合、分母に(5)式の左辺すなわち原系のガスの分圧積を置き、分子に右辺すなわち生成系のガスの分圧積を置くことで記述される。そこで、例えば温度750℃における(5)式における平衡定数をK1、(6)式における平衡定数をK2とすると、K1及びK2は下記式(7)、(8)から、それぞれK1=6.0×109、K2=7.6×109となり、平衡定数K1及びK2はともに非常に大きな値である。
Figure 2006244882
(5)式と(6)式はそれぞれ独立に満たされるべき平衡式であるが、改質ガスでは通常(5)式と(6)式が同時に成り立っているので、下記式(9)のシフト反応式が成立している。これは(5)式から(6)式を引くことで自然に導かれる。このためSOFCのアノードにはCO、H2O、H2及びCO2を含む混合ガスが導入されることになるが、厳密には、それらの成分のほか、前記(5)式及び(6)式で示されるように酸素も含むことになる。
Figure 2006244882
上記のとおり、炭化水素系原燃料の水蒸気改質反応によって、完全に改質した場合のガス組成は、原系である水素及び一酸化炭素と、生成系である水蒸気及び二酸化炭素の4種の成分の混合ガスとなる。ここで、(7)式(K1=6.0×109)及び(8)式(K2=7.6×109)から明らかなとおり、(5)式及び(6)式のように、極く僅かではあるが、酸素が分圧10-20程度のオーダで存在している。本発明においては、このような極微量の酸素を酸素センサA及び酸素センサBにより測定するものである。
〈燃料中の酸素分圧による燃料利用率判定の具体的態様〉
本発明は、基本的に燃料組成が明確である場合を前提にしているが、例えば都市ガスを原燃料とする燃料のように燃料組成が明確である場合には、燃料の流量さえ分かれば、供給燃料量が算出可能であるので、酸素センサなどを使用しなくても、発電電流量からすぐに燃料利用率が算出できる。SOFCスタック全体としてはもちろん、燃料枯れを起こさない個々のセルにおける燃料利用率についても同様である。
ところが、燃料組成が明確であっても、SOFCスタックにおける個々のセルへの燃料の流配が均一でなく、燃料枯れを起こす可能性があるセルがある場合には、当該局所的セルでの燃料利用率は算出できない。そこで、本発明においては、以下の手法により、個々のセルにおける燃料の流量が分からない場合でも、SOFCスタックを構成する局所的セルの燃料利用率を算出するものである。
前述のとおり、炭化水素系原燃料の水蒸気改質反応によって生成した燃料中のH2とCOについて見れば、前記(5)式及び(6)式のように、それぞれ1/2モルの酸素(1/2O2)が反応してH2OとCO2になる。
ここで、アノードへ導入する燃料の原燃料である炭化水素中のC成分及びH成分、また添加する水蒸気:H2Oの初期のモル数を以下のとおりとする。
C:cモル、H:aモル、H2O:Bモル
例えば、原燃料が1モルのCH4と1モルのC26で構成される場合、水蒸気改質に必要なストイキメトリックな水蒸気量の3倍〔メタン換算スチーム(モル)比(S/C比)=3〕を添加するとすると、以下のとおりとなる。
c=1+2=4モル、a=4+6=10モル、B=(1+2)×3=9モル
ここで、原燃料を完全改質後、セルのアノードへの燃料入口側(燃料供給部)でのガス組成を以下のように設定する。
2:pモル、CO:qモル、H2O:rモル、CO2:sモル
そして、H、C、Oに関してマスバランスを考慮すると、下記式(10)〜(12)のようになる。
Figure 2006244882
これら(10)〜(12)式をr及びsについて変形すると、それぞれ下記式(13)〜(14)のとおりとなる。
Figure 2006244882
そして、(5)式及び(6)式の平衡式K1、K2はそれぞれ下記式(15)、(16)のとおりとなる。
Figure 2006244882
(10)〜(12)式を変形して求めたr及びsを(15)式、(16)式に代入して整理すると下記式(17)、(18)のとおりとなる。
Figure 2006244882
そして、燃料入口側(アノードへの燃料供給部)での酸素分圧をPo2(1)、燃料出口側(アノードの燃料出口部)での酸素分圧をPo2(2)として、計算を簡略化するためにt1(1)、t2(1)、t1(2)、t2(2)として下記式(19)〜(22)のように定義する。(19)〜(22)式における、酸素分圧:Po2(1)は酸素センサAで計測され、酸素分圧:Po2(2)は酸素センサBで計測される値である。なお、K1、K2は定数であるので、(19)〜(22)式での変数はPo2(1)、Po2(2)だけである。
Figure 2006244882
ここで発電電流量、すなわちアノードへ供給する酸素イオン(O2-)量をJとする。H2:1モルと反応する酸素イオン量は1モル〔=O2-の1/2、(5)式参照〕、CO:1モルと反応する酸素イオン量は1モル〔=O2-の1/2、(6)式参照〕であるから、実効燃料量Qを酸素イオン1モルと反応する燃料量と定義すると、Q=a/2+2c=p+qである。従って、実効燃料量Qは下記式(23)のとおりとなる。
Figure 2006244882
そして(23)式をcについて変形すると下記式(24)のとおりとなる。
Figure 2006244882
ここで簡略化のために、さらに下記式(25)、(26)のようにM(1)、M(2)を定義する。
Figure 2006244882
そして、(24)式を実効燃料量Qについて解くと下記式(27)のとおりとなる。
Figure 2006244882
ここで、燃料利用率はUf=J/Qであるから、燃料利用率Ufは下記式(28)のとおりとなる。
Figure 2006244882
こうして、燃料組成が分かっていれば、燃料流量が分からない場合でも、水蒸気改質用に供給する水蒸気量B、対象とする局所セルの燃料入口側(アノードへの燃料供給部)及び燃料出口側(アノードの燃料出口部)の燃料の酸素分圧から、当該局所セルでの燃料利用率Ufを算出することができる。すなわち、
(一) 対象とする局所セルの燃料入口側及び燃料出口側の酸素分圧は酸素センサA、Bで計測されるPo2(1)、Po2(2)であり、これは(19)〜(22)式で定義したとおり、(28)式のt1(1)、t2(1)、t1(2)、t2(2)における変数であるので、(19)〜(22)式を介して(28)式に代入される。
(二) Po2(1)、Po2(2)は、(19)〜(22)式、(25)〜(26)式を介して(28)式のM(1)、M(2)として代入される。
(三) カソードに供給する酸素イオン(O2-)量Jは発電電流量に対応し、発電電流量を計測することにより得られるので、これを(28)式に代入する。
(四) 水蒸気量Bは原燃料を燃料に水蒸気改質しているその水蒸気量であるので、(28)式におけるB量として代入される。
こうして、本発明においては、SOFCスタックうちの少なくとも一つのセルについて、(a)当該セルのアノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部にそれぞれ酸素センサを配置して、それら各箇所を流れる燃料中の酸素分圧を測定するとともに、(b)当該セルの発電電流量及び(c)改質用に導入する水蒸気量を測定する。そして、それらの測定値を基に上記(一)〜(四)のようにして当該セルでの燃料利用率Ufを算出、推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないようにSOFCスタック全体への燃料供給量を制御することができる。
図11は、本発明の運転制御システムをSOFCスタックに適用する態様例を示す図である。発電時に、SOFCスタックからの電流値及び電圧値を経時的にモニタするとともに、酸素センサA及び酸素センサBにより局所セルのアノードへの燃料供給部の燃料中の酸素分圧とアノードの燃料出口部の燃料中の酸素分圧をモニタする。そして、局所セルの燃料利用率が常に80%、あるいはそれ以下になるように、その計測酸素分圧値及び発電電流量から算出した所定の原燃料量を供給するよう制御し、これに合わせて原燃料改質用の水蒸気量、カソードへの空気量も制御する。これらの制御は、記憶装置、入出力装置を伴う中央処理装置(CPU)により行うことができる。
図12は、図11の運転制御システムにおける運転開始時以降の制御態様を示す図である。運転開始時に初期設定燃料量を導入する。なお、初期設定燃料量は、本システムでの定常運転時に必要な燃料量としてあらかじめ設定される。以降運転中、通常の出力制御として発電電流値及び全電流電位値をモニタする。そして、全体としての平均電池電位が限界電圧より低下すると、すなわち“平均電池電位<限界電圧”であると、燃料流量を増加させるよう制御する。逆に、平均電池電位が限界電圧以上であると、すなわち“平均電池電位>限界電圧”であると、SOFCスタック全体としては正常であるので、そのまま運転を続ける。
このように通常の運転制御を行いながら、酸素センサA及び酸素センサBにより局所セルのアノードへの燃料供給部を流れている燃料とアノードの燃料出口部を流れている燃料の酸素分圧を計測し、併せて、当該局所セルの発電電流量及び改質用に導入している水蒸気量を測定し、それらの測定値を基に当該局所セルの燃料利用率Ufを算出する。そして、燃料利用率Ufが設定燃料利用率より大きいと、すなわち“燃料利用率Uf>設定燃料利用率”であると、当該局所セルで燃料枯れが起こっているか、起こり始めているので、図12中“燃料流量増加”として示すように、SOFCスタック全体への燃料供給量を増加させる。
一方、当該局所セルの燃料利用率Ufが設定燃料利用率より小さいと、すなわち“燃料利用率Uf<設定燃料利用率”であると、当該局所セルでの燃料枯れはないので、そのまま運転を続ける。このように、当該局所セルの燃料利用率Ufが設定燃料利用率より小さい場合、その程度如何により、必要に応じてSOFCスタック全体への燃料供給量を減少させてもよい。このような制御を常時、あるいは所定間隔を置いて行うことで、燃料枯れが起こることが予測される局所セルでの燃料枯れを防止し、SOFCスタック全体として性能低下を来すことなく運転制御することができる。なお、上記設定燃料利用率は、スタックを構成する各セル(局所セルを含む)について、例えば図5に示すように、アノードが酸化されないようなセル電位、例えば0.6V程度の下限電位に対応して、あらかじめ設定された燃料利用率である。
本発明は、複数個のセルを備えたSOFCスタックの複数個を併置したSOFCバンドルの運転制御についても同様に適用される。図13は、3個のSOFCスタックを併置したSOFCバンドルの運転制御の態様を説明する図である。SOFCスタックと同様、SOFCバンドルは断熱容器等に収容されて使用されるが、3個のSOFCスタックのうち中央部に配置されたスタックは左右両側のスタックより高温になり易く、さらに、中央部に配置されたスタックにおいても、その中央部の局所セルでは、より高温になり、燃料枯れが起こり易くなることが予想される。
そこで、複数のセルを備えたSOFCスタックの複数個を併置したSOFCバンドルにおいて、前述と同様にして、そのように燃料枯れが最も起こり易いことが予想される少なくとも一つの局所セルに対して、前述と同様にして酸素センサA、酸素センサBを配置する。そして、前述と同様にして当該局所セルでの燃料利用率を推定し、燃料枯れが起こらないようにSOFCバンドル全体への燃料供給量を制御して、当該局所セルでの燃料枯れを防止し、SOFCバンドル全体として性能低下を来すことなく運転制御することができる。
また、本発明は、複数個の円筒形SOFCセルを併置したSOFCスタックの運転制御についても同様に適用される。図14はこの場合の運転制御の態様を説明する図である。SOFCスタックは断熱容器等に収容されて使用されるが、複数個の円筒形SOFCセルを併置したSOFCスタックの場合にも、スタックのうち中央部に配置されたセルは、その部位周縁のセル、すなわち中央部から離れたセルに比べて、より高温になり易く、燃料枯れが起こることが予想される。
そこで、図14(a)のように、複数個の円筒形SOFCセルを併置したSOFCスタックにおいて、そのように燃料枯れが起こることが予想される局所セルに対して、前述と同様にして酸素センサA、酸素センサBを配置する。そして、前述と同様にして当該局所セルでの燃料利用率を推定し、燃料枯れが起こらないようにSOFCスタック全体への燃料供給量を制御して、当該局所セルでの燃料枯れを防止し、SOFCスタック全体として性能低下を来すことなく運転制御することができる。なお、図14(b)は、円筒形SOFCセルの一個を取り出し、燃料及び空気の流れ方向を示した図である。
〈酸素センサの原理、構造、機能について〉
酸素センサは、本発明において重要な役割を果たすが、酸素センサには幾つかの種類がある。そのうち、固体電解質酸素センサは、基本的には、電解質として安定化ジルコニア〔イットリア(Y23)ドープのジルコニアやカルシア(CaO)ドープのジルコニアなど〕をベースとし、安定化ジルコニアを挟む電極間の酸素分圧差を電力に変えて測定するものである。この酸素センサは、いわゆるSOFCの原理を応用しており、ガス中の僅かな極微量の酸素濃度でも高精度で正確に測定することができる。特に、低濃度の酸素分圧を測定するには、カソード側に空気を供給し、カソード側の酸素分圧を空気分圧としてレファレンス(すなわち照合ガスないし基準ガス)に使用するタイプが適当である。
図15はその酸素センサの原理、構造、機能について説明する図である。図15のとおり、電極保護層としての多孔質セラミック層間に安定化ジルコニアが配置され、両多孔質セラミック層のうち一方側にカソードが、他方側にアノードが設けられる。両電極材料としては好ましくはPt電極が用いられる。そして、カソード側に空気を流通させ、アノード側に被測定ガスを流通させる。これにより両電極間の起電力Eを開回路状態で測定することで、被測定ガス中の酸素分圧を知ることができる。
酸素センサの出力すなわち起電力Eは、SOFCの場合と同様、下記ネルンスト(Nernst)の式(29)で表される。式(29)中、Po2(c)はカソード側(空気側)の酸素分圧、Po2(a)はアノード側(低酸素濃度の被測定ガス側)の酸素分圧、Fはファラデー定数、Rは気体定数、Tは酸素センサ温度(K)である。Po2(c)は、空気をレファレンスとして用いる場合には0.20948になる。
Figure 2006244882
空気中の酸素濃度(酸素=20.948vol%)は一定であるので、酸素濃度が低いもう一方の側の酸素濃度の測定ができる。酸素センサでは、センサ起電力Eから、式(29)を用いて計算し低酸素濃度の被測定ガスの酸素分圧を同定する。本発明においては、例えばこのような酸素センサを使用して燃料中の酸素分圧を測定する。なお、図13中下部に、Po2(a)を常用対数で求める場合の式(Z)を示している。本発明で用いる酸素センサは、燃料中の極微量の酸素分圧を測定できる酸素センサであれば特に限定はないが、例えばこのような酸素センサを用いる。
SOFCセルの態様例を説明する図 SOFCスタックを示す図 SOFCスタックにおけるセル積層の態様例を示す図 SOFCにおける燃料利用率を説明する図 燃料利用率を利用するSOFCの運転制御方式を説明する図 SOFCスタックの通常の運転制御の態様例を説明する図 SOFCバンドルの通常の運転制御の態様を説明する図 平均のセル電圧と局所的に燃料枯れが起こったセルの電圧をプロットした図 “燃料枯れ”との関係でカソードへ供給される空気中の酸素の挙動等について説明する図 本発明における酸素センサ配置の態様例を説明する図 本発明の運転制御システムをSOFCスタックに適用する態様例を示す図 図11の態様例における運転開始時以降の制御態様を示す図 本発明を複数のSOFCスタックを併置したSOFCバンドルに適用する態様を説明する図 本発明を複数の円筒形SOFCセルからなるSOFCスタックに適用する態様を説明する図 酸素センサの原理、構造、機能について説明する図
符号の説明
1 SOFCセル
2 アノード
3 電解質
4 カソード
5 支持基体
6、7 インターコネクタ
V1〜V3 流量調整弁

Claims (8)

  1. 複数のセルを備えた固体酸化物形燃料電池スタックの運転制御方法であって、スタックのうちの少なくとも一つのセルについて、(a)アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置して酸素分圧を測定するとともに、(b)当該セルの発電電流量及び(c)改質用に導入する水蒸気量を測定することにより、当該セルの燃料利用率を推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないように固体酸化物形燃料電池スタック全体への燃料供給量を制御することを特徴とする固体酸化物形燃料電池スタックの運転制御方法。
  2. 請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池スタックの運転制御方法において、前記アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置するセルが、スタック内のセルのうち最も燃料枯れが起こりそうなセルであることを特徴とする固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御方法。
  3. 複数のセルを備えた固体酸化物形燃料電池スタックの複数個を併置した固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御方法であって、バンドルのうちの少なくとも一つのスタック内のセルについて、(a)アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置して酸素分圧を測定するとともに、(b)当該セルの発電電流量及び(c)改質用に導入する水蒸気量を測定することにより、当該セルの燃料利用率を推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないように固体酸化物形燃料電池バンドル全体への燃料供給量を制御することを特徴とする固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御方法。
  4. 請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御方法において、前記アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置するセルが、固体酸化物形燃料電池バンドルのうちの少なくとも一つのスタック内のセルのうち最も燃料枯れが起こりそうなセルであることを特徴とする固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御方法。
  5. 複数のセルを備えた固体酸化物形燃料電池スタックの運転制御システムであって、そのスタックのうちの少なくとも一つのセルについて、(a)アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置して酸素分圧を測定するとともに、(b)当該セルの発電電流量及び(c)改質用に導入する水蒸気量を測定することにより、当該セルの燃料利用率を推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないように固体酸化物形燃料電池スタック全体への燃料供給量を制御するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池スタックの運転制御システム。
  6. 請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池スタックの運転制御システムにおいて、前記アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置するセルが、スタック内のセルのうち最も燃料枯れが起こりそうなセルであることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムの運転制御システム。
  7. 複数のセルを備えた固体酸化物形燃料電池スタックの複数個を併置した固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御システムであって、バンドルうちの少なくとも一つのスタック内のセルについて、(a)アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置して酸素分圧を測定するとともに、(b)当該セルの発電電流量及び(c)改質用に導入する水蒸気量を測定することにより、当該セルの燃料利用率を推定し、当該セルで燃料枯れが起こらないように固体酸化物形燃料電池バンドル全体への燃料供給量を制御するようにしてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御システム。
  8. 請求項7に記載の固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御システムにおいて、前記アノードへの燃料供給部とアノードの燃料出口部に酸素センサを配置するセルが、固体酸化物形燃料電池バンドルのうちの少なくとも一つのスタック内のセルのうち最も燃料枯れが起こりそうなセルであることを特徴とする固体酸化物形燃料電池バンドルの運転制御システム。
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