(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態である光合分波器8aの構造を示す概略分解斜視図である。図3は図2に示す光合分波器8aの光ファイバ9a〜9fのコア9を通る面における概略断面図であって、分波または合波の様子を説明している。また、図4は図2に示す光合分波器8aの概略側面図である。まず、図2〜図4に示す本発明の光合分波器8aの構成を説明する。
本発明の光合分波器8aは、光ファイバ9a、9b、9c、9d、9e、9fを一定ピッチで隙間なく平行に並べて先端にコネクタ10を取り付けた光ファイバアレイ11、下面に複数個(図では6個)のマイクロレンズ12a、12b、12c、12d、12e、12fを備えたマイクロレンズアレイ14、表面にARコート層(反射防止膜)21が形成されたガラス板などの透明なカバー部材20、マイクロレンズ12a〜12fとARコート層21との距離を一定に保つためのスペーサー15a、15b、15c、15d、剥離膜13とフィルタ17a、17b、17c、17dとダミーフィルム18a、18bからなるフィルタ層17、導光ブロック16、及びミラー層19で構成されている。ミラー層19は、反射率の高い誘電体多層膜や金属蒸着膜などからなる層である。
マイクロレンズアレイ14、ARコート層21、フィルタ層17及びミラー層19は、互いに平行になるように配置されている。また、マイクロレンズ12a〜12fはARコート層21とできるだけ近接するようにして設置されている。コネクタ10内の光ファイバ9a〜9fはマイクロレンズアレイ14に対して垂直に配置されている。
光ファイバアレイ11の光ファイバ9a〜9fには、コア9をプラスチック又はガラスのクラッドで皮膜した素線、又は、コア9回りのクラッドをプラスチックで被覆した素線、若しくは、これらの素線をさらにプラスチック等で被覆した心線など、どのようなものを用いてもよい。
次に、マイクロレンズアレイ14の構造と役割を説明する。図5は、マイクロレンズアレイ14の下面図である。マイクロレンズアレイ14の下面には、光ファイバ9a〜9fの断面と同程度の大きさの複数個(図では6個)のマイクロレンズ12a〜12fがほぼ隙間なく形成されている。光合分波器8aの分波動作又は合波動作を考えたとき、光ファイバ9a〜9fの端面から出射された光はすべてマイクロレンズ12a〜12fに入射しなければならない。この条件を満たすよう、次のようにマイクロレンズアレイ14の厚みを決めるとよい。
光ファイバ9a〜9fのコア9の内部では、クラッドとの界面での反射を繰り返しながら光が伝搬する。このように、コア9からクラッドへ透過することなくコア9内部で光を伝搬させるためには、クラッドとの界面への入射角が全反射角以上の角度でなくてはならない。クラッド界面への入射角はこのように限定されているので、コア端からの光の出射方向、広がり具合は自ずと決まってくる。したがって、この一定の広がり角を持つ光の断面が、マイクロレンズ12a〜12fと同程度の大きさまで広がったときに、または、マイクロレンズ12a〜12fと同程度の大きさに広がるまでにマイクロレンズ12a〜12fに入射するように、マイクロレンズアレイ14の厚みを設計すれば、光ファイバ9a〜9fを出射した光の全てをマイクロレンズ12a〜12fに入射させることができる。
また、マイクロレンズ12a〜12fは、その中心軸が光ファイバ9a〜9fの光軸とほぼ一致するように配置設計されており、さらに、次の要件を満たすような形状に設計されていることが望ましい。図6は、本発明の光合分波器8a内の光路を示す概念図であって、L1はマイクロレンズ12a〜12fの主平面、L2はミラー層19の表面(以下ミラー面L2という)、L3はレンズ主平面L1のミラー面L2に対する鏡像である。マイクロレンズ12aは、図6に示すように、光ファイバ9aから出射した光がレンズ主平面L1(マイクロレンズ12a)に入射した後、光の光軸方向を曲げられた平行光となって出射するような形状のレンズであることが望ましい。光の光軸方向の曲げの程度つまりミラー面L2への入射角は後述する理由から10°未満の最適な角度であることが望ましい。なお、このようにレンズを透過した後の光の光軸方向(光束の断面中心を通る光線の進む方向を光の光軸方向と呼ぶ。)をレンズに入射する前の光の光軸方向に対して曲げるようなレンズを以下においては傾斜レンズという。
また、マイクロレンズ12cは、上記のマイクロレンズ12aの出射光がミラー面L2で反射して、斜め下方から入射してきたときに、その光の光軸方向を曲げて光ファイバ9cに効率よく結合するような形状であることが望ましい。この光合分波器8aにおいて、マイクロレンズ12c〜12fには同じ入射角で光が入射し、同じ出射角で光を出射すればよいので、マイクロレンズ12c〜12fはコリメータレンズを使用して全て同一形状にすることもできるし、集光レンズを使用して最適な焦点距離になるようそれぞれ異なる形状にしておいてもよい。なお、本実施形態においてはマイクロレンズ12bは使用しないため省いておいてもよい。しかしながら、第2の実施形態などとの共用化のため、図2〜図5ではマイクロレンズ12bを備えたマイクロレンズアレイ14を示している。マイクロレンズ12bもマイクロレンズ12cと同じ形状であればよい。
上記の要件を満たすマイクロレンズ12a〜12fは、図7(a)(b)に上面図及び正面図で示すように、非球面レンズ25の光軸から外れた位置で非球面レンズ25から円形に切り出すことによって得られる。
また、このようなマイクロレンズ12a〜12fを表面に有するマイクロレンズアレイ14は、紫外線硬化樹脂などの未硬化の樹脂に、マイクロレンズ12a〜12fの反転パターンを表面に有するスタンパを押圧し、ここへ紫外線を照射して樹脂を硬化させるスタンパ法等によって簡単に成形することができる。また、このスタンパにスペーサー15a、15b、15c、15dの反転パターンも形成しておけば、マイクロレンズ12a〜12fとスペーサー15a、15b、15c、15dとを同時に形成することができる。マイクロレンズ12a〜12fとスペーサー15a〜15dとを同時に形成できれば、個別に作成したスペーサー15a〜15dをマイクロレンズアレイ14に接着するよりも製造工程を簡略化することができ、また、マイクロレンズ12a〜12fとフィルタ17a〜17dとの位置精度も向上させることができる。
本発明の光合分波器8aにおいては、図6に示すように光ファイバ9aを出射し、マイクロレンズ12a(主平面L1のうち光ファイバ9aの下方領域)を透過し、ミラー面L2で反射された平行光束が、マイクロレンズ12c(主平面L1のうち光ファイバ9cの下方領域)に入射するように各構成部品が形成され、配置されている。例えば、光ファイバ9a〜9fの配置によってマイクロレンズ12a〜12fの配置が定まっており、さらにマイクロレンズ12aの形状からミラー面L2への入射角も決まっている場合には、図6に示すようにマイクロレンズ12aから出射した平行光がすべて、ミラー面L2に対するレンズ主面L1の鏡像L3(マイクロレンズ12cの鏡像12c´)に入射して集光され、ミラー面L2に対する光ファイバ9cの鏡像9c´に結合するようにミラー面L2の位置を定めるとよい。マイクロレンズアレイ14とミラー層19との間隔の調整は、導光ブロック16の厚みとカバー部材20の厚みで調整することができる。
また、光ファイバ9a〜9fの配置によってマイクロレンズ12a〜12fの配置が定まっており、さらに導光ブロック16やカバー部材20の厚みが決まっている場合には、マイクロレンズ12aの曲げ角度が適当な角度になるようにマイクロレンズ12aを設計するとよい。
なお、光ファイバアレイ11とマイクロレンズアレイ14のアライメントは、光ファイバアレイ11とマイクロレンズアレイ14との間に未硬化の接着剤を塗布した後、接着剤未硬化の状態で、各光ファイバ9a、9b、9c、9d、9e、9fに光を照射して各マイクロレンズ12a、12b、12c、12d、12e、12fを透過した光の強度を測定しながら位置調整をし、最適な位置で接着剤を硬化させるとよい。
次に、フィルタ層17について説明する。図8は、フィルタ17a〜17d、ダミーフィルム18a、18b及びARコート層21の透過波長特性を示す図であって、横軸が波長、縦軸が光の透過率を示している。フィルタ17a、17b、17c、17dは、図8に実線で示すように、それぞれ波長λ1、λ2、λ3、λ4を中心とする波長域の光を透過し、それ以外の波長域の光を反射する誘電体多層膜である。また、ダミーフィルム(スペーサー)18a、18b及びARコート層21は、例えば薄膜ガラス、石英、透明な樹脂フィルムなどを利用する部材であって、図8に破線で示すように、すべての波長域の光を透過する。
ここで、本発明の光合分波器8aのフィルタ層17の製造方法を図9、図10を用いて説明する。まず、図9(a)に示すガラス等の基板22の表面に、スピンコーターを用いて図9(b)に示すように透明物質で非常に薄い剥離膜13を成膜する。この剥離膜13の物質は、ポリイミドなど、透明で薄膜を形成した後に加熱や水との接触、紫外線照射など何らかの条件を与えることによって基板22から剥離し易くなるような物質であればよい。
剥離膜13の表面には、図9(c)に示すように、各基板22毎に各特性のフィルタ薄膜(誘電体多層膜)27を形成する。このように基板22上に剥離膜13とフィルタ薄膜27とを形成したものを、必要なフィルタ17a〜17dの種類分用意する。また、剥離膜13とフィルタ薄膜27との合計厚みと同じ厚みで、ダミーフィルム18a、18bを、透明な薄板ガラス、石英、透明樹脂フィルムなどによって形成しておく。
次に、図9(d)に示すように、基板22上のフィルタ薄膜27および剥離膜13を光合分波器8aで使用するフィルタ17a、17b、17c、17dの幅に切断する。ここでは、フィルタ薄膜27と剥離膜13が切断されるとよいので、基板22を完全に切断してしまう必要はない。フィルタ薄膜27と剥離膜13を切断したら、加熱や水との接触、紫外線照射等を行って、図9(e)に示すように剥離膜13を基板22から剥離する。
次に、導光ブロック16の親基板の表面に透明な接着剤を塗布しておき、裏面に剥離膜13を備えたフィルタ17a、17b、17c、17dとダミーフィルム18a、18bを図10(f)に示す順番で一枚ずつ並べ、導光ブロック16の親基板の表面に接着する。この場合、平面板で上面から押圧してフィルタ層17を導光ブロック16の親基板に密着させるようにするとよい。また、平坦な台の上にフィルタ17a〜17dとダミーフィルム18a、18bとを裏向けに並べた上から、表面に透明な接着剤を塗布した導光ブロック16の親基板を押し付けるようにしてフィルタ層17と導光ブロック16とを接着してもよい。この後、導光ブロック16の親基板の裏面には、金属薄膜を形成されたシートを貼付するか金属材料を蒸着してミラー層19を形成するとよい。また、導光ブロック16の親基板の裏面に事前にミラー層19を形成しておいてから、フィルタ17a〜17dとダミーフィルム18a、18bを表面に接着してもよい。
次に、表面と裏面にフィルタ層17とミラー層19を形成した導光ブロック16の親基板を、図11に破線で示す部分で切断して図10(g)に示すように個々の導光ブロック16の形状に切断すれば、フィルタ層17及びミラー層19が形成された導光ブロック16を効率よく大量生産することができる。ついで、導光ブロック16の表面のフィルタ層17の上にARコート層21を形成したカバー部材20を接合させる。
また、親基板上のフィルタ層17と、表面にARコート層21を形成したカバー部材20の親基板を透明な接着剤で接着し、その後、図11に示す切断を行えば、さらに効率よく光合分波器8aを製造することができる。また、このように切断前にフィルタ層17をカバー部材20で覆っておけば、切断時にフィルタ層17が汚れたり傷つかず、歩留まりを低下させることができる。
また、フィルタ層17は図12、図13を用いて説明する以下の方法で作製してもよい。まず、図12(a)に示す基板22の表面に、スピンコーターを用いて図12(b)に示すように剥離膜23を形成する。この剥離膜23は、例えばポリイミドなど加熱や水との接触、紫外線照射等によって性質が変化し、基板22やフィルタ薄膜27から剥がれ易くなるような物質であればよい。
剥離膜23の表面には、図12(c)に示すように、各基板22毎に各特性の誘電体多層膜からなるフィルタ薄膜27を成膜する。このようにフィルタ薄膜27を成膜したものを、必要なフィルタの種類だけ用意する。フィルタ薄膜27の表面には、図12(d)に示すようにさらに剥離膜13を成膜する。
次に、図13(e)に示すように、上の剥離膜13の表面にダイシングテープ24を接着し、図13(f)に示すように、加熱や紫外線照射等によって基板22側の剥離膜23をフィルタ薄膜27から剥離する。このとき、下の剥離膜23をフィルタ薄膜27に接着させたまま基板22のみを剥離するようにしてもよい。その場合には、フィルタ薄膜27を両面から剥離膜13、23で覆うことになるため、フィルタ薄膜27が傷つきにくくなり、取り扱い易くなる。
次に、ダイシングテープ24のフィルタ薄膜27が形成されている面を上に向け、図13(g)に示すようにフィルタ17a、17b、17c、17dの幅に切断する。その後、紫外線を照射するなどしてダイシングテープ24を剥離膜13から剥がし、各フィルタ17a〜17dを導光ブロック16上に並べ、剥離膜13を透明な接着剤によって導光ブロック16に接着する。また、剥離膜13とフィルタ薄膜27を合わせた厚みと同じ厚みに成膜したダミーフィルム18a、18bも、導光ブロック16の表面に透明な接着剤で接着する。この後、先に説明した製造工程と同様、個々のフィルタ層17を形成するような切断を行えばよい。
次に、本発明の光合分波器8aでの光の分波について説明する。図14は図3の一部破断した拡大断面図であって、本発明の光合分波器8aの分波の様子を説明する図である。波長λ1、λ2、λ3、λ4を多重化した光が光ファイバ9aから出射すると、光ファイバ9aからマイクロレンズ12aに入射した光は、上述のように、マイクロレンズ12aによって光軸方向を曲げられて平行光となり、ARコート層21、カバー部材20を透過してフィルタ層17のダミーフィルム18aが配置されている部分に入射する。
ダミーフィルム18aを透過した光は、さらに導光ブロック16を透過してミラー層19の表面で反射し、再び導光ブロック16を透過して、フィルタ層17に到達する。フィルタ層17のこの位置には、フィルタ17aを配置しているので、波長λ1の光はフィルタ17aを透過してマイクロレンズ12cに入射し、光軸方向を曲げられて光ファイバ9cに結合される。従って、光ファイバ9cの光出射端からは波長λ1の光のみを取り出すことができる。
一方、フィルタ17aで反射された光(波長λ2、λ3、λ4)は、ミラー層19の表面で再度反射して、フィルタ層17に入射する。フィルタ層17のこの位置にはフィルタ17bを配置しているので、フィルタ17bを透過した波長λ2の光はマイクロレンズ12dに入射し、光軸方向を曲げられて光ファイバ9dに結合される。従って、光ファイバ9dの光出射端からは波長λ2の光を取り出すことができる。
同様に、フィルタ17bで反射された光(波長λ3、λ4)は、さらにミラー層19の表面で反射して、フィルタ層17に入射する。フィルタ層17のこの位置にはフィルタ17cを配置しているので、フィルタ17cを透過した波長λ3の光はマイクロレンズ12eに入射し、光軸方向を曲げられて光ファイバ9eに結合される。従って、光ファイバ9eの光出射端からは波長λ3の光を取り出すことができる。
同様に、フィルタ17cで反射された光(波長λ4)は、さらにミラー層19の表面で反射して、フィルタ層17に入射する。フィルタ層17のこの位置には、フィルタ17dを配置しているので、フィルタ17dを透過した波長λ4の光はマイクロレンズ12fに入射し、光軸方向を曲げられて光ファイバ9fに結合される。従って、光ファイバ9fの光出射端からは波長λ4の光を取り出すことができる。
このように本発明の光合分波器8aは、多重化された光を分波することができる。また逆に、光ファイバ9c〜9fを伝搬してきた波長λ1〜λ4の光を多重化させて光ファイバ9aから取り出すようにすれば、合波器として利用することができる。
図15は本発明の光合分波器8aの合波動作を表している。波長λ1、λ2、λ3、λ4の光が、それぞれ光ファイバ9c、9d、9e、9fを伝搬し、光ファイバ9c、9d、9e、9fの端面から出射されているとする。このとき、光ファイバ9fから出射された波長λ4の光は、マイクロレンズ12fを通過することによって平行光化されると共に光軸方向を曲げられ、カバー部材20、フィルタ17d及び導光ブロック16を透過してミラー層19で反射される。ミラー層19で反射された波長λ4の光はフィルタ17cに入射し、フィルタ17cで反射される。
一方、光ファイバ9eから出射された波長λ3の光は、マイクロレンズ12eを通過することによって平行光化されると共に光軸方向を曲げられ、カバー部材20及びフィルタ17cを透過する。こうしてフィルタ17cで反射された波長λ4の光と、フィルタ17cを透過した波長λ3の光は導光ブロック16内を同じ方向に進んでミラー層19で反射される。ミラー層19で反射された波長λ3及びλ4の光はフィルタ17bに入射し、フィルタ17bで反射される。
また、光ファイバ9dから出射された波長λ2の光は、マイクロレンズ12dを通過することによって平行光化されると共に光軸方向を曲げられ、カバー部材20及びフィルタ17bを透過する。こうしてフィルタ17bで反射された波長λ3及びλ4の光と、フィルタ17bを透過した波長λ2の光は導光ブロック16内を同じ方向に進んでミラー層19で反射される。ミラー層19で反射された波長λ2、λ3及びλ4の光はフィルタ17aに入射し、フィルタ17aで反射される。
また、光ファイバ9cから出射された波長λ1の光は、マイクロレンズ12cを通過することによって平行光化されると共に光軸方向を曲げられ、カバー部材20及びフィルタ17aを透過する。こうしてフィルタ17aで反射された波長λ2、λ3及びλ4の光と、フィルタ17aを透過した波長λ1の光は導光ブロック16内を同じ方向に進んでミラー層19で反射される。ミラー層19で反射された波長λ1、λ2、λ3及びλ4の光は、導光ブロック16、ダミーフィルム18a及びカバー部材20を透過してマイクロレンズ12aに入射する。
マイクロレンズ12aに入射した波長λ1、λ2、λ3及びλ4の平行光は、マイクロレンズ12aによって光軸方向を光ファイバ9aの光軸方向と平行に曲げられると共に集光され、光ファイバ9aに結合されて光ファイバ9a内を伝搬する。このようにして、本発明の光合分波器8aは、各波長の光を合波して多重化させることもできる。
なお、上記説明では、各フィルタ17b、17c、17dを透過した光がそれぞれマイクロレンズ12d、12e、12fに入射するとしたが、そのためには、光軸方向を曲げられた光の偏向角に応じて、隣り合うマイクロレンズ12c、12d、12e、12fの間隔とレンズ位置におけるミラー層19で反射された光の間隔d2とが一致するように、導光ブロック16の厚みw2を調整すればよい。
また、この場合、マイクロレンズ12aとマイクロレンズ12cとの間隔d1は、カバー部材20の厚みw1によって調整することができる。このように、本発明の光合分波器8aにおいては、カバー部材20に十分な厚みがあり、厚みを調整することによって正確に光路を設計することができるので、光のロスが少ない光合分波器8aにすることができる。また、導光ブロック16の厚みw2とカバー部材20の厚みw1が同じ厚みであるときに、マイクロレンズ12aとマイクロレンズ12cの間隔d1がミラー層19での反射の間隔d2の2倍になるようマイクロレンズアレイ14を設計しておけば、光ファイバアレイ11の光ファイバ9a、9b、9c、9d、9e、9fのそれぞれの間隔が等間隔となり、また導光ブロック16とカバー部材20を同一資材で形成することができ、資材調達や加工にかかるコストを低減させることができる。
なお、マイクロレンズ12aを透過した光のミラー層19への入射角度が10°以下の適当な角度になるようにマイクロレンズ12aを設計するとよいことを前述したが、その理由は以下の通りである。ミラー層19の入射角度は、そのままフィルタ層17への入射角度となるが、この角度が大きすぎると、P偏光とS偏光の入射角による透過率の違い(波長依存性損失)が大きくなって、フィルタ17aを透過した波長λ1の光と透過前の波長λ1の光の性質が変わることになってしまう。つまり光の再現性が悪い。したがって、ミラー層19への入射角度は大き過ぎてはならないが、逆にミラー層19への入射角度が小さすぎると、導光ブロック16とカバー部材20の厚みを厚くして光路長を長くしなければ、マイクロレンズ12cに光を入射させられなくなり、光合分波器8aが大型化し、光の減衰も大きくなる。これらを考慮した計算及び実験結果より、ミラー層19への入射角は10°以下の最適な角度にすることが望ましい。
本発明の光合分波器8aは、図16の概略断面図で示すようにケーシング32に納め、入り口を接着剤33で封止して使用するとよい。
本発明の光合分波器8aは、マイクロレンズアレイ14を備えており、マイクロレンズ12a〜12fによって光の光軸方向を曲げることができる。したがって、多重化した光を伝搬する光ファイバ9aと分波後の各波長の光を伝搬する光ファイバ9c〜9fとを平行に並べてなる光ファイバアレイ11の光出射端面とフィルタ層17やミラー層19とを互いに平行に配置することができ、分波の数を増やしても小型の光合分波器8aにすることができる。
また、本発明の光合分波器8aにあっては、カバー部材20と導光ブロック16の厚みを調整することによって、分波した光が正確にマイクロレンズ12c〜12fに入射するように設計することができる。
(第2の実施形態)
図17は、本発明の第2の実施形態による光合分波器8bの一部破断した概略断面図であって、第1の実施形態で説明した図14に相当する図である。フィルタ17a、17b、17c、17d、17eはそれぞれ波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5の光を透過する誘電体多層膜である。フィルタ層17は、フィルタ17a〜17eと剥離膜13及びダミーフィルム(スペーサー)18a、18bで構成されている。フィルタ層17は第1の実施形態で説明した製造工程によって製造することができる。図17に示す光合分波器8bのうち、第1の実施形態で説明した構成と同じ構成部分の説明は省略する。
本実施形態の光合分波器8bは、フィルタ層17の表面を透明で非常に薄いガラス等のフィルム20aで覆ってフィルタ17a〜17eを湿気等から保護している。フィルム20aの表面にはARコート層21が形成されている。
各フィルタ17a〜17eは、ミラー層19で反射した光が対応するマイクロレンズ12b〜12fに入射するときのその光路上に配置していなければならないため、第1の実施形態で示したようにフィルタ層17の上のカバー部材20の厚みが厚ければ、導光ブロック16の厚みと、ミラー層19への光の入射角から各フィルタ17a〜17eの配置設計をする必要がある。
しかしながら、本実施形態のように非常に薄いフィルム20aでフィルタ層17を覆っていれば、第1の実施形態の光合分波器8aよりもフィルタ17a〜17eとマイクロレンズ12b〜12eとを近接させることができる。したがって、マイクロレンズ12aと対面する位置にダミーフィルム18aを形成し、マイクロレンズ12b、12c、12d、12e、12fと対面する位置にフィルタ17a、17b、17c、17d、17eを形成するというように、マイクロレンズ12b〜12fと同じ位置にフィルタ17a〜17eを配置しても、ミラー層19で反射した光を各フィルタ17a〜17eに入射させることができる。このように、本実施形態では、第1の実施形態で示した光合分波器8aのようにフィルタ層17の配置設計が煩雑ではない。
また、図18に示すように、フィルタ17a〜17eの表面はフィルム20aやARコート層21で必ずしも覆わなくてもよい。ただし、フィルタ層17の表面が平坦になるように、フィルム20aとARコート層21を合わせた厚みは剥離膜13とフィルタ17a〜17eを合わせた厚みと同じ厚みにしなければならない。
(第3の実施形態)
図19は、本発明の第3の実施形態による光合分波器8cの一部破断した概略断面図であって、第1の実施形態で説明した図14に相当する図である。図19に示す光合分波器8cのうち、第1の実施形態で説明した構成と同じ構成部分の説明は省略する。フィルタ層17は、フィルタ17a〜17eと剥離膜13及びダミーフィルム18aで構成されている。フィルタ層17は第1の実施形態で説明した製造方法で製造することができる。フィルタ17a、17b、17c、17d、17eはそれぞれ波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5の光を透過する誘電体多層膜である。マイクロレンズアレイ14の高さ調整のため、導光ブロック16とマイクロレンズアレイ14の間にはスペーサーブロック31a、31bを挟んでいる。
本実施形態の光合分波器8cでは、ガラス板などの透明な板28に透明な接着剤を塗布し、その上にフィルタ層17を形成している。フィルタ層17上にはさらに表面にARコート層21を備えたフィルム20aが透明な接着剤で接着されている。このようにフィルタ層17等が表面に形成された透明な板28と、スペーサーブロック31a、31bとを導光ブロック16の表面に接着し、さらにマイクロレンズアレイ14等を接着すれば光合分波器8cが完成する。
(第4の実施形態)
図20は、本発明の第4の実施形態による光合分波器8dの一部破断した概略断面図であって、第1の実施形態で説明した図14に相当する図である。本光合分波器8dにおいて、第1の実施形態で説明した構成と同じ構成部分の説明は省略する。本実施形態の光合分波器8dのフィルタ層17は、フィルタ17a、17b、17c、17d、17e又はARコート層21がガラス等の透明ブロックの表面に形成されてなるフィルタブロック29a、29b、29c、29d、29e、29f、29gから構成されている。フィルタ17a、17b、17c、17d、17eは、それぞれλ1、λ2、λ3、λ4、λ5の波長域の光を透過し、それ以外の波長域の光を反射する誘電体多層膜である。
次に本実施形態のフィルタ層17の製造方法を図21を用いて説明する。まず、図21(a)に示すように、ガラスなどの透明な基板22の表面に各フィルタ特性のフィルタ薄膜27を形成する。フィルタ薄膜27を表面に形成した基板22は、フィルタ17a、17b、17c、17d、17eの種類だけ用意する。また、フィルタ薄膜27と同じ厚みのARコート層21を基板22の上に形成したものも用意する。
次に、図21(b)に示すように、基板22の裏面を研磨して基板22の厚みをできるだけ薄くし、図21(c)に示すように光合分波器8dで使用するフィルタ17a、17b、17c、17d、17eやARコート層21の幅に切断する。フィルタ17a〜17e又はARコート層21が表面に形成された基板22を矩形状に切断したものは、フィルタブロック29a〜29gとなる。
次に、フィルタ17a〜17e付きのフィルタブロック29a〜29e及びARコート21付きのフィルタブロック29f、29gを、図21(d)に示すように順に並べて側面を貼り合わせ、裏面が平坦になるよう研磨すれば、図21(e)に示すようなフィルタ層17が完成する。このフィルタ層17は、透明な接着剤で導光ブロック16の上面に貼り合わせる。
(第5の実施形態)
図22は、本発明の第5の実施形態による光合分波器8eの一部破断した概略断面図であって、第1の実施形態の図14及び第4の実施形態で説明した図20に相当する図である。この光合分波器8eにおいて、第1又は第4の実施形態で説明した構成と同じ構成部分の説明は省略する。フィルタ17a、17b、17c、17d、17eは、それぞれ波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5の光を透過しそれ以外の波長域の光を反射する誘電体多層膜である。フィルタ層17は、このフィルタ17a〜17e又はARコート層21がガラスなどの透明なブロックの表面に形成されてなるフィルタブロック29a〜29fで構成されている。
図22に示すように、本実施形態の光合分波器8eのフィルタ層17(フィルタブロック29a〜29f)は、マイクロレンズ12a〜12fの下方にのみ配置されている。マイクロレンズ12a〜12fとフィルタ層17の間隔を決めるスペーサーには、図22に示すようなマイクロレンズアレイ14とは完全に別体のスペーサーブロック31a、31bのみを用いてもよい。しかしながら、図23に示す光合分波器8e´のように、マイクロレンズアレイ14と一体形成されたスペーサー15a、15b、15c、15dと、このスペーサー15a〜15dに継ぎ足すことによって丁度よい高さにできるスペーサーブロック31a、31bとを用いるようにすれば、第1の実施形態で説明したマイクロレンズアレイ14をこの実施形態でも利用することができる。なお、この実施形態では、スペーサー15a及び15cとスペーサーブロック31aとが接合され、スペーサー15b及び15dとスペーサーブロック31bとが接合されている。
本実施形態のフィルタ層17は、第4の実施形態で図21(a)を用いて説明したフィルタ層17の製造方法で製造することができる。しかしながら、図21に示す基板22の上面に成膜されたフィルタ薄膜27には、その中心方向に向けた引っ張り応力が発生しているので、基板22の裏面を研磨したときにこの引っ張り応力によってガラス基板が反り返ったり割れてしまうことがある。この問題を解決するためには、図24(a)に示すように、基板22の表面にフィルタ薄膜27を成膜した後に、図24(b)に示すようにフィルタ薄膜27をダイシングブレードで切断しておき、その後で、図24(c)に示すように、所望する厚みになるまで基板22の裏面を研磨するとよい。このように、基板22を研磨する前にフィルタ薄膜27を分断しておけば、個々のフィルタ薄膜27aの面積が小さくなって応力が緩和されるので、研磨によって基板22が薄くなっても基板22が反り返ったり割れてしまうことがない。なお、フィルタ薄膜27aは必ずしもフィルタ17a〜17eの幅に分断しなければならないわけでなく、上記の応力が緩和される程度の、フィルタの幅を何倍かした幅で分断してもよい。
最後に図24(d)に示すように、光合分波器8eで使用するフィルタ17a〜17eの幅でフィルタ薄膜27a及び基板22を完全に切断する。その後の工程は、第4の実施形態で説明したものと同じである。
(第6の実施形態)
図25は、本発明の第6の実施形態である光合分波器8fの一部破断した概略断面図であって、第1の実施形態で説明した図14に相当する図である。この光合分波器8fは、光ファイバアレイ11、下面にマイクロレンズ12a〜12fとスペーサー15a、15b、15c、15dを備えたマイクロレンズアレイ14、フィルタ層17及びミラー層19から構成されている。
フィルタ層17は、ガラスなどの透明なブロックの表面にフィルタ17a、17b、17c、17d、17e又はARコート層21若しくはダミーフィルム18bを形成したフィルタブロック29a、29b、29c、29d、29e、29f、29gで構成されている。フィルタ17a、17b、17c、17d、17eは、それぞれ波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5の光を透過しそれ以外の波長域の光を反射する誘電体多層膜である。本実施形態の光合分波器8fにおいては、第4又は第5の実施形態で説明した製造方法(図21、図24)で、フィルタ層17を製造し、このフィルタ層17の裏面にミラー層19を形成している。
(第7の実施形態)
図26は、本発明の第7の実施形態による光合分波器8gの概略断面図であって、その構造と光信号を分波する様子を説明している。この光合分波器8gは、第1の実施形態で説明した光合分波器2台をミラー層19を挟んで対称に配置して一体化させたような形状になっている。
本実施形態の光合分波器8gは、光ファイバ9a、9b、9c、9d、9e、9fとコネクタ10でなる光ファイバアレイ11aと、下面にマイクロレンズ12a、12b、12c、12d、12e、12fとスペーサー15a、15b、15c、15dを備えたマイクロレンズアレイ14a、フィルタ層17L、導光ブロック16a、ミラー層19、導光ブロック16b、フィルタ層17M、下面にマイクロレンズ12g、12h、12i、12j、12k、12lとスペーサー15a、15b、15c、15dを備えたマイクロレンズアレイ14b、光ファイバ9g、9h、9i、9j、9k、9lとコネクタ10でなる光ファイバアレイ11bから構成されている。
フィルタ層17Lは、ARコート層(反射防止膜)21と、それぞれ波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5の光を透過するフィルタ17a、17b、17c、17d、17e、剥離膜13、ダミーフィルム(スペーサー)18bで構成されている。このうち、ARコート層21はマイクロレンズ12aに対向し、フィルタ17a〜17eはそれぞれマイクロレンズ12b〜12fに対向している。また、フィルタ層17Mは、それぞれ波長λ6、λ7、λ8、λ9、λ10の光を透過するフィルタ17f、17g、17h、17i、17jとダミーフィルム(スペーサー)18a、18bで構成されている。このうち、ダミーフィルム18aはマイクロレンズ12gに対向し、フィルタ17f〜17jはそれぞれマイクロレンズ12h〜12lに対向している。ミラー層19は、金属膜などの反射率の高い物質層で形成されていて、両面が反射面となっている。また、ミラー層19の一部に設けられた開口には、波長λ6、λ7、λ8、λ9、λ10の光を透過するフィルタ17kが設けられている。
次に、この光合分波器8gでの光の分波動作を説明する。光ファイバ9aからマイクロレンズ12aに入射した波長λ1〜λ10の光は、マイクロレンズ12aを透過することによってその光路が曲げられ、平行光となってARコート層21、導光ブロック16aを透過し、ミラー層19のフィルタ17kに入射する。
このフィルタ17kでは、波長λ1〜λ5の光が反射される。反射された光λ1〜λ5の光は、フィルタ層17Lとミラー層19の間で反射を繰り返しながら各フィルタ17a、17b、17c、17d、17eを順次波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5の光が透過して分波され、光ファイバ9b、9c、9d、9e、9fからは、それぞれ波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5の光を取り出すことができる。
また、ミラー層19のフィルタ17kを透過した波長λ6〜λ10の光は、導光ブロック16bを透過して、フィルタ層17Mに入射する。ここでも、フィルタ層17Mとミラー層19の間で反射を繰り返しながら各フィルタ17f、17g、17h、17i、17jを順次波長λ6、λ7、λ8、λ9、λ10の光が透過して分波され、光ファイバ9h、9i、9j、9k、9lからは、それぞれ波長λ6、λ7、λ8、λ9、λ10の光を取り出すことができる。
本発明の光合分波器8gは、ミラー層19を共有することによって、小型で、多くの波長に分波できるようになっている。
なお、光ファイバ9g及び12gは、無くてもよいが、この実施形態では、他の実施形態との部品の共用化を考慮して設けられている。
(第8の実施形態)
第1〜第7の実施形態ではいずれも、マイクロレンズアレイ14のマイクロレンズ12a〜12fとして、光ファイバ9a〜9fに入出射する光の光軸方向を曲げることのできる非球面レンズの一部分からなるレンズ(すなわち、傾斜レンズ)を用いているが、このようなレンズは、その形状が軸心回りで回転対称でなく、特殊なレンズとなるので、加工や成形が困難で、コストも高くつき易い。第8の実施形態は、この点を考慮したものであって、プリズムを用いて光の光軸方向を曲げるようにしている。
図27は、本発明の第8の実施形態による光合分波器8hの分解斜視図、図28はその概略断面図である。この光合分波器8hにおいては、一列に束ねられた複数本の光ファイバ9a、9b、9c、9d、9e、9fの端部をコネクタ10内に挿入し、各光ファイバ9a〜9fの端部をプラスチック製のコネクタ10で平行に保持させている。光ファイバアレイ11の下面には、各光ファイバ9a〜9fの端面が一列に露出している。このコネクタ10の下面には、パネル状をしたマイクロレンズアレイ34が接着されている。マイクロレンズアレイ34の表面には、複数個のマイクロレンズ35a、35b、35c、35d、35e、35fが一列に形成されている。このマイクロレンズ35a〜35fは、レンズを透過した後の光の光軸方向(光束の断面中心を通過する光線の進む方向)がレンズに入射する前の光の光軸方向と一致するレンズ(以下、直進レンズという。)である。このような直進レンズでは、レンズの光軸上を入射してきた光線はレンズの光軸上を通るように出射される一般的なレンズであって、光軸の回りに回転対称な形状を有する球面レンズ、非球面レンズ又はアナモルフィックレンズなどがあり、傾斜レンズに比べて、設計・製造が容易で、コストが安い。
マイクロレンズ35a〜35fの配列ピッチは光ファイバ9a〜9fの配列ピッチと等しくなっており、マイクロレンズ35a〜35fはそれぞれ光ファイバ9a〜9fと光軸が一致するように配置されている。また、マイクロレンズアレイ34の厚みは、各光ファイバ9a〜9fの端面が各マイクロレンズ35a〜35fのほぼ焦点に位置するように定められている。
光ファイバアレイ11に取り付けられたマイクロレンズアレイ34の直下には、プリズムブロック37、フィルタ層17及び導光ブロック16からなる合分波用ブロック36が配置されている。プリズムブロック37はガラス又は透明プラスチック材料からなる略矩形状をしたブロックであって、図29に示すように、その上面の両端部にはスペーサー38が突設され、両スペーサー38間にはマイクロレンズ35a〜35fと等しいピッチで断面三角形状をした複数のプリズム39a、39b、39c、39d、39e、39fが設けられている。各プリズム39a〜39fは等しい傾斜角を有しており、そのうちプリズム39b〜39fは等しい方向に傾斜し、プリズム39aだけが他のプリズム39b〜39fと反対向きに傾斜している。また、スペーサー38及びプリズム39a〜39fは、プリズムブロック37の上面で、前後方向に同一断面形状で延びている。なお、図29に示したプリズムブロック37では、その上面の両端部にスペーサー38が突設されていたが、図42に示すように、プリズムブロック37の上面四周にスペーサー38を形成し、スペーサー38で囲まれた領域に設けられた凹部内に複数のプリズム39a〜39fを設けていてもよい。
フィルタ層17は、一対のダミーフィルム18aと18bの間に、透過波長域をλ1、λ2、λ3、λ4とする(図8参照)複数枚のフィルタ17a、17b、17c、17dを並べて構成されている。フィルタ17a〜17dはマイクロレンズ35a〜35fのピッチと等しい幅に形成されており、フィルタ層17の厚みを均一にするためダミーフィルム18a、18bの厚みは、フィルタ17a〜17dの厚みと等しくなっている。なお、フィルタ17a〜17d、ダミーフィルム18a、18bは予め薄い透明樹脂フィルム(図示せず)の上に貼り付けて一体化されていてもよい。また、各フィルタ17a〜17dの下にはポリイミド膜等からなる剥離層が存在していてもよく、また、プリズムブロック37の表面には、ARコート層が形成されていてもよい。
導光ブロック16は、ガラス、石英又は透明プラスチック材料によって矩形状に形成されており、その下面には反射率の高い誘電体多層膜や金属蒸着膜などからなるミラー層19が形成されている。
合分波用ブロック36は、図30に示すように、このフィルタ層17をプリズムブロック37の下面と導光ブロック16の上面との間に挟み込んでプリズムブロック37と導光ブロック16を接合一体化することによって形成される。この実施形態では、フィルタ17a〜17dと同じ厚みのダミーフィルム18a、18bを用いているので、フィルタ層17の表面が平らになり、プリズムブロック37を接合するのが容易になる。合分波用ブロック36は、マイクロレンズアレイ14の下に近接させて配置され、プリズム39a〜39fはそれぞれマイクロレンズ35a〜35fに対向させられる。この結果、マイクロレンズ35a〜35f、フィルタ層17及びミラー層19は、互いに平行になるように配置される。
このようにして組み立てられた光合分波器8hにおいては、光ファイバ9aから出射された光はマイクロレンズ35aによって平行光に変換され、プリズム39aで屈折されてプリズムブロック37内に入り、ミラー層19へ向かう。逆に、ミラー層19で反射された後にプリズム39aに向かう平行光は、プリズム39aで屈折されて光ファイバ9aの光軸と平行に進み、マイクロレンズ35aによって集光されて光ファイバ9aに結合させられる。そして、ダミーフィルム18aは、この光の光路上に位置している。
また、光ファイバ9cから出射された光はマイクロレンズ35cによって平行光に変換され、プリズム39cで屈折されてプリズムブロック37内に入り、ミラー層19へ向かう。逆に、ミラー層19で反射された後にプリズム39cに向かう平行光は、プリズム39cで屈折されて光ファイバ9cの光軸と平行に進み、マイクロレンズ35cによって集光されて光ファイバ9cに結合させられる。そして、フィルタ17aは、この光の光路上に位置している。
同様に、光ファイバ9d〜9fから出射された光はそれぞれマイクロレンズ35d〜35fによって平行光に変換され、プリズム39d〜39fで屈折されてプリズムブロック37内に入り、ミラー層19へ向かう。逆に、ミラー層19で反射された後にプリズム39d〜39fに向かう平行光は、それぞれプリズム39d〜39fで屈折されて光ファイバ9d〜9fの光軸と平行に進み、マイクロレンズ35d〜35fによって集光されて光ファイバ9d〜9fに結合させられる。そして、フィルタ17b、17c、17dは、それぞれ、これらの光の光路上に位置している。
なお、各フィルタ17a〜17dを透過してプリズムが形成されている平面に戻ってくる位置の間の間隔は、導光ブロック16の厚みによって調整することができる。また、光がプリズム39aを透過する位置と、ミラー層19で反射しフィルタ17aを透過してプリズムが形成されている平面に戻ってくる位置との水平距離は、プリズムブロック37の厚みによって調整することができる。よって、プリズムブロック37の厚みや導光ブロック16の厚みを調整することにより、プリズム39c〜39fに戻ってくる光がプリズム39c〜39fの位置に一致するように調整することができる。
次に、この光合分波器8hにおける光の分波動作を図28により説明する。波長λ1、λ2、λ3、λ4の光が光ファイバ9aから出射すると、光ファイバ9aからマイクロレンズ35aに入射した光は、マイクロレンズ35aによって平行光に変換された後、プリズム39aに入射する。プリズム39aに入射した光は、プリズム39aを透過する際に光軸方向を曲げられ、プリズムブロック37内に斜めに入射し、ダミーフィルム18a及び導光ブロック16を透過してミラー層19に達する。ミラー層19で反射した波長λ1、λ2、λ3、λ4の光は、再び導光ブロック16を透過してフィルタ17aに到達する。フィルタ17aに入射した光のうち、波長λ1の光はフィルタ17aを透過してプリズム39cに入射し、プリズム39cを透過する際に光軸方向を曲げられて、マイクロレンズ35cによって光ファイバ9cに結合される。従って、光ファイバ9cの光出射端からは波長λ1の光のみを取り出すことができる。
一方、フィルタ17aで反射された波長λ2、λ3、λ4の光は、ミラー層19で再度反射してフィルタ17bに入射する。フィルタ17bに入射した光のうち、波長λ2の光はフィルタ17bを透過してプリズム39dに入射し、プリズム39dを透過する際に光軸方向を曲げられ、マイクロレンズ35dによって光ファイバ9dに結合される。従って、光ファイバ9dの光出射端からは波長λ2の光を取り出すことができる。
同様に、フィルタ17bで反射された波長λ3、λ4の光は、さらにミラー層19で反射してフィルタ17cに入射する。フィルタ17cに入射した光のうち、波長λ3の光はフィルタ17cを透過してプリズム39eに入射し、プリズム39eを透過する際に光軸方向を曲げられ、マイクロレンズ35eによって光ファイバ9eに結合される。従って、光ファイバ9eの光出射端からは波長λ3の光を取り出すことができる。
さらに、フィルタ17cで反射された波長λ4の光は、さらにミラー層19で反射してフィルタ17dに入射する。フィルタ17dを透過した波長λ4の光はプリズム39fに入射し、プリズム39fを透過する際に光軸方向を曲げられ、マイクロレンズ35fによって光ファイバ9fに結合される。従って、光ファイバ9fの光出射端からは波長λ4の光を取り出すことができる。
このようにして光合分波器8hは、多重化された光を分波することができる。逆に、光ファイバ9c〜9fを伝搬してきた波長λ1〜λ4の光を多重化させて光ファイバ9aから取り出すようにすれば、合波器として利用することができる(図15参照)。
ここで、合分波用ブロック36を製造する際の接合方法について説明する。合分波用ブロック36を組み立てる場合には、図30に示すように、プリズムブロック37と導光ブロック16の間にフィルタ層17を挟み込んでこれらを透明な接着剤によって互いに接着し一体化すればよい。あるいは、導光ブロック16の上面にダミーフィルム18a、フィルタ17a〜17d、ダミーフィルム18bを順に並べて接着剤で接着し、その上から接着剤でプリズムブロック37の下面を接着してもよい。このとき、ダミーフィルム18a又はダミーフィルム18bの端をプリズムブロック37の下面の端に合わせるようにすれば、ダミーフィルム18a又は18bの幅によってフィルタ17a〜17dを位置決めすることができる。
また、図31(a)に示すように、ダミーフィルム18a、18bを用いないでフィルタ17a〜17dのみで(フィルタ17a〜17dを薄い透明樹脂フィルムの上に貼っておいてもよい。)フィルタ層17を形成し、これをプリズムブロック37と導光ブロック16との間に挟み込んで接着剤40で接着するようにしてもよい。この場合、フィルタ層17の外側におけるプリズムブロック37と導光ブロック16との間の隙間は、接着剤40によって埋められる。
あるいは、図32(a)に示すように、フィルタ層17の面積をプリズムブロック37の下面及び導光ブロック16の上面の面積よりも小さくしておき、このフィルタ層17を図32(b)のように導光ブロック16の上面に接着剤等で接着して仮止めした後、図32(c)に示すように、導光ブロック16の上にプリズムブロック37を重ね、接着剤を用いないでプリズムブロック37の下面と導光ブロック16の上面とを接合させると共に、プリズムブロック37と導光ブロック16との間にフィルタ層17を挟み込んでもよい。接着剤を用いないでプリズムブロック37と導光ブロック16を接合させる方法としては、圧力を加えて接合させる圧着法、低温の熱を加えて接合させる低温融着法、超音波接合法などを用いることができる。
また、図30に示した例では、ダミーフィルム18a又はダミーフィルム18bの幅によってフィルタ17a〜17dの位置決めを行ったが、図33に示すように、導光ブロック16の上面にフィルタ層17を位置決めするための溝41を設けておいてもよい。すなわち、導光ブロック16の上面に設けられた溝41は、その幅がフィルタ層17の幅にほぼ等しく、その深さがフィルタ層17の厚みにほぼ等しくなっているので、この溝41にフィルタ層17を納めて導光ブロック16の上面にプリズムブロック37を接合することにより、簡単にフィルタ層17の位置決めを行うことができる。
同様に、図34に示すように、プリズムブロック37の下面に溝42を設けておき、この溝42にフィルタ層17を納めてプリズムブロック37の下面に導光ブロック16を接合することにより、簡単にフィルタ層17の位置決めを行うことができる。プリズム39a〜39fとフィルタ層17との位置決めの点からは、プリズムブロック37に溝42を設けておく方が好ましい。
あるいは、図35に示すように、プリズムブロック37の下面に段差部43を設け、導光ブロック16の上面にも段差部44を設けておき、プリズムブロック37と導光ブロック16を接合させたとき、段差部43、44の間にできる空間にフィルタ層17を納めることでフィルタ層17の位置決めを行えるようにしてもよい。このような構造では、一方の段差部43又は段差部44にフィルタ層17を接着した後、プリズムブロック37と導光ブロック16を接合するようにすれば、図33又は図34のように溝41又は42にフィルタ層17を納めるよりも、フィルタ層17の位置決め作業を容易にすることができる。
次に、この実施形態による光合分波器8hで用いられている合分波用ブロック36の製造方法を説明する。始めに、プリズムブロック37を成形するための金型の製造方法を図36〜図39に従って説明する。まず、ステンレス、アルミ、真鍮等の金属板からなるプレート45a、45b、45c、45d、45e、45fをプリズム39a〜39fの数と等しい枚数だけ用意する。これらのプレート45a〜45fは、プリズム39a〜39fのピッチと等しい厚みを有し、プリズムブロック37の幅と等しい幅を有しており、その表面は鏡面仕上げされている。図36(a)に示すように、これらのプレート45a〜45fを密着させて重ね合わせ、治具等を用いて圧締することにより互いにずれ動かないよう一体化する。その状態で図36(a)に破線で示す面に沿って、これらのプレート45a〜45fの端面を斜めにを研削し、研削面を鏡面仕上げする。こうして、図36(b)に示すように、各プレート45a〜45fの端面を一度に研削することができ、しかも、各プレート45a〜45fの端面の研削角度のばらつきを抑えることができる。こうして各プレート45a〜45fの端面に形成された傾斜面46の傾きは、傾斜面46を下に向けたときの傾斜角がプリズム39a〜39fの傾きと等しくなっている。
ついで、図36(c)に示すように、一番上の45aを裏返して重ね、傾斜面46側を揃えて各プレート45a〜45fを揃え直す。この状態では、各プレート45a〜45fの傾斜面46全体によって、プリズムブロック37の表面のプリズム形成領域のパターンの反転パターンが形成されている。この状態で各プレート45a〜45fを再び治具等で圧締して一体化した後、図36(c)に破線で示す面に沿って傾斜面46と反対側の端面を垂直に研削し、この端面どうしを平面に揃える。この結果、図37(d)に示すように、プリズムブロック37が1個分の幅のプリズムパターン成形用部分金型47が得られる。上記のようにして得られたプリズムパターン成形用部分金型47は、図37(e)に示すように、互いに密着させて横に並べて配置され一体化される。
次に、図38(a)に示すように、プリズムブロック37の幅と等しい幅の金属製のブロック48を密着させて並べ、その端面を図38(b)のように加工して成形用ブロック50を得る。この成形用ブロック50の加工面49の形状は、プリズムブロック37の上面のうちプリズム形成領域よりも外側の領域(スペーサー38とその隣の凹部)の形状の反転形状となる。これらの成形用ブロック50も、プリズムパターン成形用部分金型47の配列数と同じだけ密着させて並べられて一体化される。
さらに、プリズムパターン成形用部分金型47の両面をそれぞれ成形用ブロック50で挟んで一体化し、図39に示すような部分金型51を得る。部分金型51を構成する各部品(プレート、成形用ブロック)どうしを一体化する方法としては、適当な治具(クランパ、ボルト及びナット等)を用いて圧締することによって機械的に一体化してもよく、耐熱性接着剤を用いて接着してもよい。また、各部品の表面の仕上げ精度が高い場合には、プレート45aや成形用ブロック50どうしを密着させるだけで接合一体化する。
図39に示した部分金型51は、図40に示すように金型本体52内に挿入され、部分金型51と金型本体52との間にプリズムブロック37を成形するためのキャビティ53が形成される。金型本体52は成形機の固定盤に固定され、部分金型51は成形機の昇降盤に取り付けられる。しかして、部分金型51を下降させて金型本体52内に挿入し、ゲート口54からキャビティ53内に樹脂を射出させることによりプリズムブロック37が成形される。成形されたプリズムブロック37は、部分金型51を上昇させて金型本体52から抜いた後、エジェクタピン55で突き上げることによって金型本体52から取り出される。
図41(a)は上記のようにして成形された複数個分のプリズムブロック37を示す斜視図である。また、図41(a)にはフィルタ層17を納めるための溝41を形成された導光ブロック16(図33の導光ブロック16のように溝を有している場合)を示している。導光ブロック16の成形工程については、省略するが、この導光ブロック16もプリズムブロック37に合わせて複数個分が一体に成形されており、下面にはミラー層19が形成されている。複数個分の導光ブロック16の溝41内には複数個分の長さを有するフィルタ層17が納められ、導光ブロック16とプリズムブロック37が接合一体化され、図41(b)のような複数個分の合分波用ブロック36が得られる。
図39に示したような部分金型51を用いて成形された複数個分の合分波用ブロック36では、図41(b)の合分波用ブロック36に破線で示すように、プリズムパターン成形用部分金型47どうしの合わせ面に対応した跡56が生じるので、この跡56に沿って合分波用ブロック36をダイシングソーなどで裁断することにより個々の合分波用ブロック36が得られる。
ここでは、複数個分の合分波用ブロック36を一度に成形して量産性を高めるようにしたが、もちろん合分波用ブロック36を1個ずつ成形するようにしても差し支えない。また、ミラー層19は、合分波用ブロック36を組み立てた後、最後にその裏面に形成するようにしてもよい。
なお、この実施形態の変形例としては、図示しないが、プリズム39c、39d、39e、39fの表面にそれぞれフィルタ17a、17b、17c、17dを貼り、プリズムブロック37の下面にミラー層19を形成するようにしてもよい。この変形例は、図17に示した光合分波器8bと同様なタイプの光合分波器となる(あるいは、図44参照)。
また、図27に示したような構造の光合分波器8hの場合には、2番目のプリズム39bは無くてもよい。しかし、この実施形態では、上記変形例の場合に用いられるプリズムブロックとの共用化を考慮してプリズム39bを設けている。
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態による光合分波器は、光ファイバアレイ11に取り付けたマイクロレンズアレイ14にマイクロレンズ35a〜35fとプリズム39a〜39fとを集約化し、合分波用ブロック36の形状を単純化したことを特徴としている。図43に示すものは第9の実施形態による光合分波器8iの断面図であって、マイクロレンズアレイ14の構造を除けば、図2等に示した第1の実施形態と同様な構造を有している。
この実施形態で用いられるマイクロレンズアレイ14においては、図44(a)に示すように、マイクロレンズアレイ14の裏面に凹部57を形成し、この凹部57内に直進レンズである複数のマイクロレンズ35a〜35fを一列に形成する。また、図44(b)に示すように、マイクロレンズアレイ14の表面にも凹部58を形成し、この凹部58内にプリズム39a〜39fを一列に形成する。マイクロレンズアレイ14の表裏に形成されたプリズム39a〜39fとマイクロレンズ35a〜35fとは互いに1対1に対応しており、プリズム39a〜39fとマイクロレンズ35a〜35fの位置合わせの手間も省かれる。
こうして、マイクロレンズアレイ14にプリズム39a〜39fを設けたので、合分波用ブロック36は、プリズム39a〜39fの設けられていない単純な矩形状をしたブロック(カバー部材20)とフィルタ層17と導光ブロック16によって構成されることになる。
このような構造の光合分波器8iにおいても、第8の実施形態と同様にして、分波器としての働きと、合波器としての働きをすることができる。
また、このような図44(a)(b)のようなマイクロレンズアレイ14を用いれば、マイクロレンズアレイ14と合分波用ブロック36との間に空間が生じるので、この空間にフィルタ層17を配置することが可能になる。よって、図45に示すように、導光ブロック16の表面にフィルタ層17を配置し、導光ブロック16の裏面にミラー層19を設けた光合分波器とすることができる。これは導光ブロック16内に斜めに光を入射させてフィルタ17a〜17eとミラー層19の間で光を反射させつつ、フィルタ17a〜17eから順次波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5の光を取り出すことができるものであって、マイクロレンズアレイ14の構造を除けば、図17に示した光合分波器8b等と同じような構造を有している。
(第10の実施形態)
図46は本発明の第10の実施形態による光合分波器8jの構造を示す断面図である。この光合分波器8jは、マイクロレンズアレイ14を除けば、図2等に示した第1の実施形態による光合分波器8bと同様な構造を有している。
この実施形態では、マイクロレンズアレイ14の表面に非球面又は球面の直進レンズを一列に配列してマイクロレンズ35a、35c〜35fが形成されている。マイクロレンズ35aとマイクロレンズ35c〜35fとの間には隙間があけられている。各マイクロレンズ35a、35c〜35fは、各光ファイバ9a、9c〜9fの光軸方向に対してそれぞれの光軸をずらせて配置されており、マイクロレンズ35aはマイクロレンズ35c側に偏心し、マイクロレンズ35c〜35fは全体としてマイクロレンズ35a側に偏心している。
しかして、このマイクロレンズアレイ14では傾斜レンズは用いていないが、直進レンズであるマイクロレンズ35a、35c〜35fの光軸を光ファイバ9a、9c〜9fの光軸に対してずらせているので、各光ファイバ光ファイバ9a、9c〜9fから出射された光はマイクロレンズ35a、35c〜35fを透過することによって平行光に変換されると共に光の出射方向を斜め方向に曲げられる。また、合分波用ブロック36から出射された平行光が各マイクロレンズ35a、35c〜35fに斜めに入射すると、マイクロレンズ35a、35c〜35fを透過することによって光の進む方向を光ファイバ9a、9c〜9fの光軸と平行な方向に曲げられると共に光ファイバ9a、9c〜9fの端面に集光される。
よって、この光合分波器8jにあっても、第1の実施形態による光合分波器8a等と同様にして分波動作や合波動作を行うことができる。
(第11の実施形態)
図47は本発明の第11の実施形態による光合分波器8kを示す分解斜視図である。この光合分波器8kにあっては、光ファイバ9a〜9fと光ファイバ59a〜59fの二組の平行な光ファイバ束の先端部がコネクタ10に保持されて光ファイバアレイ11が構成されている。ここで、光ファイバ9a〜9fと光ファイバ59a〜59fとが図47に示すように反対側から順に並んでいるとすると、光ファイバ9cと光ファイバ59eとが前後方向に対向し、光ファイバ9dと光ファイバ59dとが前後方向に対向し、光ファイバ9eと光ファイバ59cとが前後方向に対向している。マイクロレンズアレイ14には、光ファイバ9a、9c〜9fの各端面に対応してマイクロレンズ12a、12c〜12fが設けられ、光ファイバ59a、59c〜59fの各端面に対応してマイクロレンズ60a、60c〜60fが設けられている。合分波用ブロック36は、裏面にミラー層19を形成された導光ブロック16とカバー部材20との間に、フィルタ17a〜17dからなるフィルタ層17を挟み込んだものである。
図48は光ファイバ9a〜9fを含む平面で断面した図である。光合分波器8kは、この断面では分波器として働いており、光ファイバ9aから入射した波長λ1、λ2、λ3、λ4の多重化光信号は光合分波器8kにより分波され、波長λ1の光信号が光ファイバ9cへ入射し、波長λ2の光信号が光ファイバ9dへ入射し、波長λ3の光が光ファイバ9eへ入射し、波長λ4の光信号が光ファイバ9fへ入射する。この際の分波動作は、第1の実施形態で説明した通りである(図14の説明を参照)。
また、図49は光ファイバ59a〜59fを含む平面で断面した図である。光合分波器8kは、この断面では合波器として働いており、光ファイバ59fから入射した波長λ1の光信号と、光ファイバ59eから入射した波長λ2の光信号と、光ファイバ59dから入射した波長λ3の光信号と、光ファイバ59cから入射した波長λ4の光信号は光合分波器8kにより合波され、光ファイバ59aには多重化された波長λ1、λ2、λ3、λ4の光信号が入射する。この際の合波動作は、第1の実施形態で説明した通りである(図15の説明を参照)。
従って、この光合分波器8kでは、図50に示すように、光ファイバ9a〜9f、マイクロレンズ12a、12c〜12f及びフィルタ層17の一部によって分波部が構成されており、光ファイバ59a〜59f、マイクロレンズ60a、60c〜60f及びフィルタ層17の一部によって合波部が構成されており、分波部と合波部とでフィルタ17a〜17dを共用している。
図51は上記光合分波器8kの使用状態を説明する模式図である。一方の局に設置されている光合分波器8kと他方の局に設置されている光合分波器8kとが2芯の光ファイバケーブル61、62によって接続されている。すなわち、一方の局に設置されている光合分波器8kの合波部の光ファイバ59aと他方の局に設置された光合分波器8kの分波部の光ファイバ9aとが光ファイバケーブル61によって接続されており、他方の局に設置されている光合分波器8kの合波部の光ファイバ59aと一方の局に設置されている光合分波器8kの分波部の光ファイバ9aとが光ファイバケーブル62によって接続されている。
しかして、一方の局では、光合分波器8kによって波長λ1、λ2、λ3、λ4の光信号を合波して多重化された波長λ1〜λ4の光信号を1本の光ファイバケーブル61によって他方の局へ伝送する。この多重化された光信号を受信した他方の局の光合分波器8kでは、多重化された光信号を光合分波器8kで分波し、各波長λ1、λ2、λ3、λ4の光信号を個別に取り出す。同時に、他方の局では、光合分波器8kによって波長λ1、λ2、λ3、λ4の光信号を合波して多重化された波長λ1〜λ4の光信号を1本の光ファイバケーブル62によって一方の局へ伝送する。この多重化された光信号を受信した一方の局の光合分波器8kでは、多重化された光信号を光合分波器8kで分波し、各波長λ1、λ2、λ3、λ4の光信号を個別に取り出す。
図47の実施形態では、合波部の光ファイバ59a〜59f及びマイクロレンズ60a、60c〜60fは、分波部の光ファイバ9a〜9f及びマイクロレンズ12a、12c〜12fとは反対方向に向けて順次配置され、波長λ1の光に順次波長λ2の光、波長λ3の光、波長λ4の光という順に合波している。これとは逆に、合波部の光ファイバ59a〜59f及びマイクロレンズ60a、60c〜60fを、分波部の光ファイバ9a〜9f及びマイクロレンズ12a、12c〜12fと同じ方向に向けて順次配置し、波長λ4の光に順次波長λ3の光、波長λ2の光、波長λ1の光という順に合波するように構成することも可能である。
図52(a)は前者のように構成された光合分波器8kを用いて、一方の局の光合分波器8kの合波部の光ファイバ59aと他方の局の光合分波器8kの分波部の光ファイバ9aとを光ファイバケーブル61によって接続した様子を表している。また、図52(b)は後者のように構成された光合分波器8kを用いて、一方の局の光合分波器8kの合波部の光ファイバ59aと他方の局の光合分波器8kの分波部の光ファイバ9aとを光ファイバケーブル61によって接続した様子を表している。図52(a)の場合と図52(b)の場合とを比較すると、図52(b)の場合には、波長λ4の光を始めに導入して、そこに波長λ3の光を合波させ、次に波長λ2の光を合波させ、次に波長λ1の光を合波させて光ファイバケーブル61で他方の局へ送り、他方の局では受信した光信号から波長λ1の光を分波して取り出し、次に波長λ2の光を分波して取り出し、次に波長λ3の光を分波して取り出し、最後に波長λ4の光を取り出している。従って、このような構成によれば、一方の局で最初に入射した波長λ4の光が他方の局では最後に取り出され、一方の局で最後に合波された波長λ1の光が他方の局では最初に取り出されており(FILO)、一方の局の光合分波器8kに入射してから他方の局の光合分波器8kから出射するまでの光路長が波長によって異なってしまう。そのため、光の波長によって減衰の度合いが異なったり、位相が異なったりすることになり、波長によって特性が変化する恐れがある。
これに対し、図47のような実施形態にあたる図52(a)の場合には、波長λ1の光を始めに導入して、そこに波長λ2の光を合波させ、次に波長λ3の光を合波させ、次に波長λ4の光を合波させて光ファイバケーブル61で他方の局へ送り、他方の局では受信した光信号から波長λ1の光を分波して取り出し、次に波長λ2の光を分波して取り出し、次に波長λ3の光を分波して取り出し、最後に波長λ4の光を取り出している。従って、図47及び図52(a)のような構成によれば、一方の局で最初に入射した波長λ1の光が他方の局では最初に取り出され、一方の局で最後に合波された波長λ4の光が他方の局では最後に取り出されており(FIFO)、一方の局の光合分波器8kに入射してから他方の局の光合分波器8kから出射するまでの光路長が波長によらずほぼ一定となる。そのため、波長によって光信号の減衰の度合いが異なったり、位相が異なったりすることがなく、波長によらず伝送特性を均一化することができる。
図53は本発明の第11の実施形態の変型例による光合分波器8mの構造を示す分解斜視図である。この光合分波器8mでは、マイクロレンズアレイ14の表面には、直進レンズで構成されたマイクロレンズ35a、35c〜35fと、直進レンズで構成されたマイクロレンズ73a、73c〜73fとが2列に配列されている。また、下面にミラー層19を形成された導光ブロック16とプリズムブロック37との間にフィルタ層17を挟み込んで合分波用ブロック36が構成されている。プリズムブロック37の上面には、プリズム39a〜39fとプリズム74a〜74fとが2列に配列されている。そして、マイクロレンズ35a、35c〜35fとプリズム39a、39c〜39fによって、図47の光合分波器8kにおけるマイクロレンズ12a、12c〜12fの働きをしており、マイクロレンズ73a、73c〜73fとプリズム74a、74c〜74fによってマイクロレンズ60a、60c〜60fの働きをしている。
図54は本発明の第11の実施形態の別な変型例による光合分波器8nの構造を示す分解斜視図である。この光合分波器8nにあっては、図55に示すように、マイクロレンズアレイ14の裏面に、直進レンズで構成されたマイクロレンズ35a、35c〜35fと、直進レンズで構成されたマイクロレンズ73a、73c〜73fとが2列に配列されている。また、マイクロレンズアレイ14の表面には、プリズム39a〜39fとプリズム74a〜74fとが2列に配列されている。また、下面にミラー層19を形成された導光ブロック16とカバー部材20との間にフィルタ層17を挟み込んで合分波用ブロック36が構成されている。そして、マイクロレンズ35a、35c〜35fとプリズム39a、39c〜39fによって、図47の光合分波器8kにおけるマイクロレンズ12a、12c〜12fの働きをしており、マイクロレンズ73a、73c〜73fとプリズム74a、74c〜74fによってマイクロレンズ60a、60c〜60fの働きをしている。
(第12の実施形態)
図56は本発明の第12の実施形態による光合分波器8pを示す断面図である。第11の実施形態による光合分波器8kでは、光合分波器8kどうしを結ぶのに2本の光ファイバケーブル61、62が必要であったが、第12の実施形態では1本の光ファイバケーブル61で光合分波器8pどうしを結ぶことができるようにしている。
この光合分波器8pにあっては、分波部と合波部とが一体に形成されている。分波部は、光ファイバアレイ11に保持された光ファイバ9a、9c、9d、9e、9f、マイクロレンズ12a、12c、12d、12e、12f及びフィルタ17a、17b、17c、17dによって構成されている。ここで、フィルタ17aは波長λ1の光を透過させ他の波長域の光を反射させる特性を有し、フィルタ17bは波長λ2の光を透過させ他の波長域の光を反射させる特性を有し、フィルタ17cは波長λ3の光を透過させ他の波長域の光を反射させる特性を有し、フィルタ17dは波長λ4の光を透過させ他の波長域の光を反射させる特性を有する。
光合分波器8pの合波部は、光ファイバアレイ11に保持された光ファイバ59a、59c、59d、59e、59f、マイクロレンズ60a、60c、60d、60e、60f及びフィルタ63a、63b、63c、63dによって構成されている。ここで、フィルタ63aは波長λ5の光を透過させ他の波長域の光を反射させる特性を有し、フィルタ63bは波長λ6の光を透過させ他の波長域の光を反射させる特性を有し、フィルタ63cは波長λ7の光を透過させ他の波長域の光を反射させる特性を有し、フィルタ63dは波長λ8の光を透過させ他の波長域の光を反射させる特性を有する。
合波部の光ファイバ59aは、端面を分波部のマイクロレンズ12aと12cの間に配置されたマイクロレンズ12bに対向させるようにして分波部に接続されている。また、フィルタ層17内のフィルタ17aと隣接する位置には、波長λ1、λ2、λ3、λ4の光を透過させ、波長λ5、λ6、λ7、λ8の光を反射させる特性を有するフィルタ64が配置されている。
この光合分波器8pの分波部においては、波長λ1、λ2、λ3、λ4の多重化された光信号が光ファイバ9aから出射されると、この光信号は12aで平行光化されると共に光軸方向を曲げられ、フィルタ64に入射する。波長λ1、λ2、λ3、λ4の光はフィルタ64を透過し、ミラー層19で反射した後、波長λ1の光のみがフィルタ17aを透過し、マイクロレンズ12cによって光ファイバ9cに結合させられる。また、フィルタ17aで反射した波長λ2、λ3、λ4の光は、再びミラー層19で反射した後、波長λ2の光のみがフィルタ17bを透過し、マイクロレンズ12dによって光ファイバ9dに結合させられる。また、フィルタ17bで反射した波長λ3、λ4の光は、再びミラー層19で反射した後、波長λ3の光のみがフィルタ17cを透過し、マイクロレンズ12eによって光ファイバ9eに結合させられる。また、フィルタ17cで反射した波長λ4の光は、再びミラー層19で反射した後、波長λ4の光のみがフィルタ17dを透過し、マイクロレンズ12fによって光ファイバ9fに結合させられる。
また、この光合分波器8pの合波部においては、各光ファイバ59c、59d、59e、59fから波長λ5、λ6、λ7、λ8の光が出射されると、光ファイバ59fから出射された波長λ8の光がマイクロレンズ60fで光軸方向を曲げられた後、フィルタ63dを透過した後にミラー層19で反射され、フィルタ63cに入射する。一方、光ファイバ59eから出射された波長λ7の光はマイクロレンズ60eで光軸方向を曲げられた後にフィルタ63cを透過する。そして、フィルタ63cを透過した波長λ7の光とフィルタ63cで反射した波長λ8の光は、ミラー層19で反射した後、フィルタ63bに入射する。一方、光ファイバ59dから出射された波長λ6の光はマイクロレンズ60dで光軸方向を曲げられた後にフィルタ63bを透過する。そして、フィルタ63bを透過した波長λ6の光とフィルタ63bで反射した波長λ8及びλ7の光は、ミラー層19で反射した後、フィルタ63aに入射する。一方、光ファイバ59cから出射された波長λ5の光はマイクロレンズ60cで光軸方向を曲げられた後にフィルタ63aを透過する。そして、フィルタ63aを透過した波長λ5の光とフィルタ63aで反射した波長λ8、λ7及びλ6の光は、ミラー層19で反射した後、マイクロレンズ60aに入射して光ファイバ59aに結合される。
こうして光ファイバ59aに入射した波長λ5、λ6、λ7及びλ8の光は、光ファイバ59aを伝搬して光ファイバ59aの他端から出射される。光ファイバ59aの他端から出射された波長λ5、λ6、λ7及びλ8の光は、マイクロレンズ12bで曲げられた後にフィルタ64に入射し、フィルタ64で反射してマイクロレンズ12aに入射し、光ファイバ9aに結合される。
この光合分波器8pは、図57に示すように、一方の局に設置された光合分波器8pと他方の局に設置された光合分波器8p´とを1本の光ファイバケーブル61で接続して通信するものであり、いずれの光合分波器8p、8p´も光ファイバ9aに光ファイバケーブル61が接続される。
ただし、上記光合分波器8pとつながれる光合分波器8p´では、光合分波器8pとはフィルタ17a〜17d、63a〜63dの配置が異なっており、かつ、合波部と分波部とが入れ替わっている。すなわち、光合分波器8p´では、光ファイバ9a、9c、9d、9e、9f、マイクロレンズ12a、12c、12d、12e、12f及びフィルタ17a、17b、17c、17dによって合波部が構成されており、フィルタ17a〜17dの配列が光合分波器8pとは逆になっている。
光合分波器8p´では、光ファイバ59a、59c、59d、59e、59f、マイクロレンズ60a、60c、60d、60e、60f及びフィルタ63a、63b、63c、63dによって分波部が構成されており、フィルタ63a〜63dの配列が光合分波器8pとは逆になっている。
しかして、光合分波器8pで波長λ5〜λ8の光信号が合波された後、その多重光信号は光ファイバケーブル61によって光合分波器8p´へ送られ、光合分波器8p´で各波長λ5〜λ8に分波され、各波長λ5〜λ8の光信号が取り出される。ここで、例えば波長λ8の光は光合分波器8pで最初に合波されて光合分波器8p´で最初に分波され、また、波長λ5の光は光合分波器8pで最後に合波されて光合分波器8p´で最後に分波されており、各波長λ5〜λ8の光信号の伝送距離(光路長)は互いに等しくなっている。
同様に、光合分波器8p´で波長λ1〜λ4の光信号が合波された後、その多重光信号は同じ光ファイバケーブル61によって光合分波器8pへ送られ、光合分波器8pで各波長λ1〜λ4に分波され、各波長λ1〜λ4の光信号が取り出される。ここで、例えば波長λ1の光は光合分波器8p´で最初に合波されて光合分波器8pで最初に分波され、また、波長λ4の光は光合分波器8p´で最後に合波されて光合分波器8pで最後に分波されており、各波長λ1〜λ4の光信号の伝送距離(光路長)は互いに等しくなっている。
なお、光合分波器8p、8p´の合波部と分波部とは、図56では直列に配置されているが、横に並べて並列に配置しても良い。
図58は第12の実施形態の変型例による光合分波器8qである。上記光合分波器8pでは、合波部と分波部とを光ファイバ59aでつないでいたが、図58の光合分波器8qでは、2つの直角三角形状の凹部65、66を用いて合波部と分波部とを結んでいる。すなわち、この変形例では、カバー部材20の上面に断面直角三角形状をした凹部65、66が設けられており、合波部で合波された波長λ5、λ6、λ7、λ8の光は、凹部65及び66で全反射することによってフィルタ64に入射し、フィルタ64で反射した後に光ファイバ9aに結合される。
図59は第12の実施形態の別な変形例による光合分波器8rの構造を示す概略断面図である。この光号分波器8rにあっては、次のような構成によって図56の光合分波器8pと同様な光合分波器を作製している。マイクロレンズアレイ14の下面に光ファイバ9a、9c〜9fの端面に対向させて直進レンズからなるマイクロレンズ35a、35c〜35fを設け、光ファイバ59c〜59fの端面に対向させて直進レンズからなるマイクロレンズ73c〜73fを設け、逆U字状に曲げた光ファイバ59aの両端に対向させてマイクロレンズ73a及び35bを設けている。また、下面にミラー層19を形成された導光ブロック16とプリズムブロック37の間にフィルタ層17を挟み込んで合分波用ブロック36を構成している。プリズムブロック37の上面には、マイクロレンズ35a〜35fに対向させてプリズム39a〜39fを形成してあり、マイクロレンズ73a、73c〜73fに対向させてプリズム74a、74c〜74fを形成している。なお、マイクロレンズ73b及びプリズム74bは無くてもよいものである。
(第13の実施形態)
上記各実施形態では、光ファイバを用いて光合分波器に各波長の光を入力させ、光ファイバを用いて光合分波器から各波長の光を取り出している。しかし、光ファイバを用いないで半導体レーザー素子(LD)等の発光素子を光合分波器の光入射箇所に実装し、あるいは、フォトダイオード(PD)やフォトトランジスタ等の受光素子を光合分波器の光出射箇所に実装してもよい。
例えば、図60に示す光合分波器(トランスポンダ)8sは、図56に示した光合分波器8pを基にしたものである。この場合であれば、光ファイバケーブルとつなぐための光ファイバ9aと、合波部及び分波部を結ぶ光ファイバ59aだけを残し、マイクロレンズ12c〜12fに対向させてマイクロレンズアレイ14の上にそれぞれ受光素子68c、68d、68e、68f(例えば、受光素子を一体化した受光素子アレイ)を実装し、マイクロレンズ60c〜60fに対向させてマイクロレンズアレイ14の上にそれぞれ発光波長λ1、λ2、λ3、λ4の発光素子67c、67d、67e、67f(例えば、発光素子を一体化した発光素子アレイ)を実装すればよい。受光素子68c〜68fは、その光軸方向(受光素子の最大感度方向、もしくは受光素子の受光面に垂直な方向)がフィルタ層17に垂直な方向を向くように配置されており、発光素子67c〜67fは、その光軸方向(発光強度が最大の方向、もしくは発光素子の発光面に垂直な方向)がフィルタ層17に垂直な方向を向くように配置されている。
このようにして構成された光合分波器8sによれば、発光素子67c〜67fを駆動して直接光信号を多重送信させることができ、また、受光素子68c〜68fによって光信号を直接受光させることができる。ここで、受光素子68c〜68fとして受光素子アレイを用いれば、個別の素子を用いるよりもコストを抑えることができ、その場合には、本発明のように受光素子アレイを傾けることなく実装できれば、光路長の長くなる素子でインサーションロスが大きくなったり、光合分波器のサイズが大きくなったりするのを防止できる。発光素子67c〜67fについても同様である。
図61は第13の実施形態の変形例による光合分波器8tの構造を示す概略断面図である。この光号分波器8tにあっては、次のような構成によって図60の光合分波器8sと同様なトランスポンダを作製している。マイクロレンズアレイ14の下面には、光ファイバ9a及び受光素子68c〜68fに対向させて直進レンズからなるマイクロレンズ35a、35c〜35fを設け、発光素子67c〜67fに対向させて直進レンズからなるマイクロレンズ73c〜73fを設け、逆U字状に曲げた光ファイバ59aの両端に対向させてマイクロレンズ73a及び35bを設けている。また、下面にミラー層19を形成された導光ブロック16とプリズムブロック37の間にフィルタ層17を挟み込んで合分波用ブロック36を構成している。プリズムブロック37の上面には、マイクロレンズ35a〜35fに対向させてプリズム39a〜39fを形成してあり、マイクロレンズ73a、73c〜73fに対向させてプリズム74a、74c〜74fを形成している。
(第14の実施形態)
図62は本発明の第14の実施形態による光合分波器(トランスポンダ)8uを示す断面図である。この実施形態では、導光板70の下面にマイクロレンズ12a、12c、12d、12e、12fを設け、マイクロレンズ12aに対向させて導光板70の上面に光ファイバ71を接続し、マイクロレンズ12c〜12dに対向させて導光板70の上に発光波長λ1、λ2、λ3、λ4の発光素子67c、67d、67e、67f(例えば、発光素子を一体化した発光素子アレイ)を実装し、マイクロレンズ12c〜12fの下に合波用に構成された合分波用ブロック36を配置している。また、光ファイバ71の端面とマイクロレンズ12aとの間において、導光板70内にはフィルタ64が45度の角度で埋め込まれている。導光板70は合分波用ブロック36の幅よりも長くなっており、導光板70の合分波用ブロック36から張り出した領域において導光板70の上面には波長λ5の光のみを透過させる回折素子72a、波長λ6の光のみを透過させる回折素子72b、波長λ7の光のみを透過させる回折素子72c、波長λ8の光のみを透過させる回折素子72dが形成され、各回折素子72a〜72dの上に受光素子68c〜68f(例えば、受光素子を一体化した受光素子アレイ)を実装している。発光素子67c〜67fは、その光軸方向がフィルタ17a〜17d又は導光板70に垂直な方向を向くように配置されており、受光素子68c〜68fも、その光軸方向がフィルタ17a〜17dに垂直な方向を向くように配置されている。
しかして、各発光素子67c〜67fから出射された波長λ1、λ2、λ3、λ4の光は合分波用ブロック36で合波されて合分波用ブロック36から出射され、マイクロレンズ12aで光軸方向を曲げられた後にフィルタ64を透過して光ファイバ71に結合され、光ファイバ71から送信される。また、光ファイバ71から受信した波長λ5、λ6、λ7、λ8の多重伝送信号は、フィルタ64によって導光板70の張り出し側へ反射され、導光板70の上面と下面で全反射を繰り返しながら導光板70内を伝搬する。導光板70内を伝搬する光が、回折素子72aに入射すると、波長λ5の光だけが回折素子72aを透過して受光素子68cに受光される。また、導光板70内を伝搬する光が、回折素子72b、72c又は72dに入射すると、それぞれ波長λ6、λ7又は波長λ8の光だけが回折素子72b、72c又は72dを透過し、それぞれ受光素子68d、68e、68fに受光される。なお、上記回折素子としては、回折格子のほかCGH素子なども用いることができる。
図63は第14の実施形態の変形例による光合分波器8vの構造を示す概略断面図である。この光号分波器8vにあっては、次のような構成によって図62の光合分波器8uと同様なトランスポンダを作製している。マイクロレンズアレイ14の下面には、光ファイバ71及び発光素子67c〜67fに対向させて直進レンズからなるマイクロレンズ35a、35c〜35fを設けている。また、下面にミラー層19を形成された導光ブロック16とプリズムブロック37の間にフィルタ層17を挟み込んで合分波用ブロック36を構成している。プリズムブロック37の上面には、マイクロレンズ35a、35c〜35fに対向させてプリズム39a、39c〜39fを形成している。
以上各実施形態により説明したように、本発明の光合分波器は、レンズやプリズム等からなる偏向素子を備えており、偏向素子によって光の光軸方向を曲げることができる。したがって、多重化された光を伝搬する光ファイバ等の伝送手段と、分波後の光を伝搬する光ファイバや分波後の光を受光する受光素子あるいは合波前の光を出射する発光素子等の光入出力手段とが平行に並んでいる面と、波長選択素子の配列している面や光反射面とを互いに平行に配置することができ、製造も容易で、分波又は合波される波長の数を増やしても小型の光合分波器を得ることができる。