JP3788397B2 - 光導波路装置及び光導波路装置を用いた通信機器 - Google Patents

光導波路装置及び光導波路装置を用いた通信機器 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部で光を伝搬するコアと、コアを囲むクラッドを備えた光導波路にフィルタやミラーなどの光学素子を付加した光導波路装置、及び、該光導波路装置を用いた通信機器に関する。
【0002】
【背景技術】
近年、光ファイバケーブルを信号伝送媒体とする光通信が各家庭でも利用できるようになり、今後更なる利用が見込まれている。これに伴って、光ファイバの接続部や末端部で用いられる光トランシーバや光合分波器等の光導波路装置を小型化したり、性能の良い光導波路装置を低コストで歩留まり良く大量生産することが課題となっている。
【0003】
図1は、従来の光導波路装置1の概略斜視図である。この光導波路装置1は、基板2、下部クラッド層3、下部クラッド層3の内部に形成されているコア5a,5b,6、上クラッド層4、フィルタ7から構成されている。
【0004】
下部クラッド層3及び上部クラッド層4は、比較的屈折率の高い光学材料で形成されており、コア5a,5b,6は、下部クラッド層3及び上部クラッド層4よりもわずかに屈折率の高い光学材料で形成されている。しかして、コア5a,5b,6の端面から入射した光は、下部クラッド層3又は上部クラッド層4に漏れ出ることなくコア5a,5b,6の内部を伝搬することができる。コア5a,5bは直角に交わって一体化しており、コア5aとコア6は、フィルタ7を介して直線上に配置されている。コア5a,5b,6はいずれも断面が矩形状のコアであって、コア5a,6の幅よりもコア5bの幅は太くなっている。しかして、コア5a,6はシングルモードで光を伝搬するコアであって、コア5bはマルチモードで光を伝搬するコアである。
【0005】
光導波路装置1には、上部クラッド層4から基板2に達する深さまで設置溝8が形成されており、フィルタ7は設置溝8内に挿入されている。フィルタ7は、波長λ1を含む特定の波長帯域の光のみを透過し、それ以外の波長帯域の光は反射する特性を持った光学素子である。前述のようにコア5aに対してコア5bの幅が広くなっているのは、ダイシングの位置精度誤差等によって設置溝8の形成位置がずれたときにも、コア5aを伝搬し、フィルタ7で反射した光がコア5bに入射できるようにするためである。
【0006】
図2は、図1に示す光導波路装置1を光トランシーバとして使用するために、コア5a,5b,6の端面に対向させて、光ファイバ9、受光素子11、投光素子10をそれぞれ配置したときの上面図である。光ファイバ9を伝搬してきた波長λ2の光は、コア5aを伝搬してフィルタ7に入射し、フィルタ7で反射されて、コア5bを伝搬し、最後に受光素子11で受光される。また、投光素子10から出射された波長λ1の光は、コア6を伝搬してフィルタ7を透過し、コア5aを伝搬して、外部の他の装置と接続された光ファイバ9に入射する。このように本発明の光導波路装置1は、他の通信機器と信号の送受信を行うために使用することができる。
【0007】
図1の光導波路装置1によっては、フィルタ7で反射させることによってコア5aを伝搬してきた光の光軸を90度変換することができるので、コア5bとコア6の長さが短くても、コア5bの光出射端及びコア6の光入射端に、受光素子11及び投光素子10を設置するスペースが十分確保でき、小型の光導波路装置にすることができる。
【0008】
しかしながら、従来の光導波路装置1にあっては、波長λ1,λ2を伝搬するコア5aと、波長λ2のみを伝搬するためのコア5bとが一体化していたために、コア6に入射しフィルタ7を透過した波長λ1の光の一部がコア5bに漏洩してしまい、コア5bでクロストークが発生するという問題があった。
【0009】
【発明の開示】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小型でクロストークが発生しにくい分波器、合波器、光スイッチなどの光導波路装置、および該光導波路装置を用いた通信用機器を提供することである。
【0010】
請求項1に記載の光導波路装置は、光を選択的に透過又は反射させる光学素子と、前記光学素子を挟んで配置された第一のコア及び第二のコアと、前記光学素子を含む平面に関して前記第一のコアと同じ側に配置された第三のコアと、前記第一、第二及び第三のコアを囲むクラッドとを備えた光導波路装置において、前記第一のコアと前記第三のコアとが互いに独立しており、前記光導波路装置を平面視した場合、前記光学素子を設置するための溝が前記第三のコアの前記第一のコアに対向する面を切断するように形成されたことを特徴としている。
【0011】
前記光学素子とは、特定の波長域の光のみ透過し特定の波長域以外の波長の光を反射するフィルタや、ミラー、若しくは、ハーフミラーなどである。また、前記第一のコアと前記第三のコアとが互いに独立しているとは、前記第一のコアと前記第三のコアとが繋がっておらず、前記第一のコアと前記第三のコアの光入射端面とがクラッドで隔てられていることをいう。
【0012】
請求項1に記載の光導波路装置によれば、前記第一のコア内を伝搬する光が、前記光学素子で反射される以前に前記第三のコアに漏洩することがないため、前記第三のコア内でクロストークが発生する恐れがなく、波長の選別をより高い精度で行うことができる。前記第一のコア伝搬中の光の漏洩を防止するためには、前記第三のコアの光入射端面と前記第一のコアの最近接距離が5〜50μmであればよく、望ましくは10〜30μmであればよい。
【0013】
請求項3における請求項1に記載の前記光学素子は、光の反射と透過を制御できるミラーであることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の光学素子の具体例としては、透明板の間に封入された前記コアとほぼ同じ屈折率を有する液体を加熱して屈折率を変化させるものが挙げられる。液体を加熱していないときには前記第一のコアから前記光学素子に入射した光は光学素子を透過し、前記第二のコアに入射する。また、液体を加熱して気泡を発生させれば、前記第一のコアから前記光学素子に入射した光は気泡により反射され、前記第三のコアに入射することになる。
【0015】
請求項4に記載の請求項1における前記光学素子は、可動式のミラーであって、該ミラーは前記第一、第二、第三のコアの光軸上および光軸外に出し入れできることを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の光導波路装置は、前記光学素子に可動式のミラーを用いたものである。例えば、ミラーを光軸上に挿入しているときに、前記第一のコアを伝搬してミラーに入射した光は、前記第三のコアに反射される。また、ミラーを光軸外に外しているときに前記第一のコアを伝搬する光は、前記第二のコアに入射する。したがって、請求項4に記載の光導波路装置によっては、光を伝搬させるコアをミラーの出し入れで選択することによって、光信号の伝搬経路を選択することができる。
【0017】
なお、前記光学素子が固定されたミラーであるときには、光軸を変換するために使用できる光導波路装置になる。
【0018】
請求項6に記載の光導波路装置は、請求項1に記載の前記第一のコアの光出射端の面積に対し、前記第三のコアの光入射端の面積が大きいことを特徴としている。
【0019】
請求項1に記載の光導波路装置にあっては、前記第一のコアと前記第三のコアとが独立しているために、前記第一のコアを伝搬して前記光学素子で反射された光が前記第三のコアに入射するまでの間、反射光はクラッド層内を広がっていくことになる。請求項6における請求項1に記載の光導波路装置にあっては、前記第三のコアの光入射端面の断面積を大きくして前記第三の光導波路装置での受光量を増加させ、前記第一のコアから前記第三のコアへの伝搬損失を抑制することができる。
【0020】
請求項7に記載の光導波路装置にあっては、前記第一のコアはシングルモードで信号を伝搬するコアであり、前記第三のコアはマルチモードで信号を伝搬するコアであることを特徴としている。
【0021】
請求項7に記載の光導波路装置にあっては、前記第一のコアはシングルモードの光を伝搬する幅が狭いコアであって、前記第三のコアは、マルチモードで光を伝搬する幅の広いコアになっている。前記クラッドにダイシングブレードで切り込みを入れて前記光学素子を設置するための溝を形成したときに、前記第一のコアと前記第三のコアが同じ幅ならば、溝の形成位置が少しずれただけでも前記光学素子で反射された光が前記第三のコアへ入射できずに、歩留まり低下の原因になる。しかしながら、前記第三のコアの幅が前記第一のコアの幅よりも広くなっていれば、溝の形成位置がずれたときや光学素子の傾きがずれたときにも、前記第三のコアへ光を入射させることができる。また、前記第三のコアの幅が広ければ、前記第三のコアの受光面積が広くなるために前記光学素子で反射した光の受光量を増大させることもできる。
【0022】
請求項8に記載の通信機器は、請求項1に記載の光導波路装置を用いたものであって、例えば、光トランシーバ、分波器、合波器、光スイッチ等を内部に備えた通信用機器をいう。
【0023】
なお、この発明の以上説明した構成要素は、可能な限り組み合わせることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図3、図4は、本発明の一実施形態である光導波路装置12aの概略斜視図、及び、A−A’線断面図である。本発明の光導波路装置12aは、基板13と下部クラッド層14、下部クラッド層14の内部に形成されたコア15a,15b,15c、上部クラッド層16、カバーガラス17、及びフィルタ18から構成されている。
【0025】
コア15a,15b,15cは、いずれも断面矩形の直線状をしたコアであって、各コア15a,15b,15cは独立している。コア15aとコア15bは、同一直線上に光軸が並ぶように設置溝19を隔てて配置されている。また、コア15cの光軸は、コア15a,15bの光軸と垂直をなしている。コア15c端面とコア15aの側面との間の距離δは、δ=5μm〜50μmであって、10μm〜30μmであればなおよい。コア15a,15bはシングルモードの光信号を伝搬する幅の狭いコアであるが、コア15cはマルチモードの光信号を伝搬するコアであってコア15a,15bよりも幅が広くなっている。また、コア15cの厚みは、コア15a,15bの厚みよりも厚くなっている。
【0026】
設置溝19は、カバーガラス17の上面から基板13に達する深さまで形成されている。設置溝19の内部の、コア15aとコア15bの間に挿入されたフィルタ18は、特定の波長帯域の光のみ透過し、特定の波長帯域以外の波長の光は反射する特徴を持った光学素子である。通信に用いられる波長λ1,λ2の光はそれぞれ異なる波長帯域の光であって、波長λ1の光はフィルタ18を透過し、波長λ2の光はフィルタ18で反射される。
【0027】
図5は本発明の光導波路装置12aの光トランシーバとしての使用を説明する図であって、光ファイバケーブル21、投光素子22,受光素子23をコア15a,15b,15cの端面に対向させて設置したときの下クラッド層14の上面図である。光ファイバケーブル21は双方向の通信が可能な外部の他の装置等と接続されている。投光素子22から出射され、コア15bを伝搬してフィルタ18に到達した波長λ1の光は、フィルタ18を透過して光ファイバケーブル21に入射し、外部の他の装置に送信される。また、外部の他の装置から発信され、光ファイバケーブル21を伝搬してコア15aに入射した波長λ2の光は、フィルタ18で反射されてコア15c内を伝搬し、受光素子23で受光される。このように、本発明の光導波路装置12aにあっては、波長の異なる信号をそれぞれ個別のコア内で伝搬せずに同一コアを共有して伝搬するために光導波路装置を小型化することができる。
【0028】
上記のように投光素子22、受光素子23、光ファイバ21を設置して使用するときに、コア15aとコア15cが繋がっていると、投光素子22から出射された波長λ1の光の一部は、フィルタ18を透過した後に、コア15cを伝搬して受光素子23に入射し、コア15cでクロストークが発生する恐れがある。
【0029】
そこで、本発明の光導波路装置12aでは、コア15aとコア15cとを完全に分離して、コア15cの端面とコア15aの間にコア15a,15b,15cよりも屈折率の小さな下部クラッド層14を挟んでいる。しかして、コア15bを伝搬してフィルタ18を透過した光は、コア15cに入射することなくコア15aを伝搬することになる。また、コア15aを伝搬し、フィルタ18で反射した光は、臨界角よりも小さい角度で下部クラッド層14に入射するために、コア15aよりも屈折率の小さい下部クラッド層14でも反射されず、コア15cの端面に入射することになる。したがって、本発明の光導波路装置12aは、クロストークが発生することのない、小型で高精度の光トランシーバになっている。
【0030】
次に本発明の光導波路装置12の製造方法を図6を用いて説明する。まず、下部クラッド層14を形成するために、図6(a)に示すように、基板13上に未硬化の紫外線硬化樹脂14aを滴下してコア15c,15dと同じパターンを有するスタンパ25aで押圧し、紫外線を照射して硬化させ、下部クラッド層14を形成する。ここで、コア15dとは、後にコア15aとコア15bになる直線状のコアである。
【0031】
次に、コア15c,15dを形成するために、図6(b)に示すように下部クラッド層14のコア溝24に下部クラッド層14よりも屈折率の高い未硬化の紫外線硬化樹脂15xを注入し、コア溝24から下部クラッド層14の表面に溢れ出した樹脂15xによって形成されるバリの厚みができるだけ薄くなるように平面板25bで押圧し、紫外線を照射して硬化させる。
【0032】
その後、図6(c)に示すように下部クラッド層14及びコア15c,15d上に下部クラッド層14と同じ未硬化の樹脂16aを滴下し、カバーガラス17で押圧して図6(d)に示すように上部クラッド層16を形成すると同時にカバーガラス17を接着して導波路基板31を形成する。なお、上部クラッド層16を必ずしもカバーガラス17で覆う必要はないが、カバーガラス17で覆っておけば、コア15c,15dや上部クラッド層16が湿度等の環境変化による影響を受けにくくなり、光導波路の性能がより安定する。
【0033】
次に、ダイシングブレードを用いてコア15dをコア15aと15bに分断する設置溝19を形成し、設置溝19のコア15a,15bの間にフィルタ18を挿入すれば、図3に示す光導波路装置12aが完成する。なお、コア15dに対する設置溝19の傾きは、フィルタ18の特性等に合わせて決めると良い。
【0034】
フィルタ18を設置溝19に挿入した後に、フィルタ18を固定するために接着剤20をフィルタの上部や周辺部に滴下してフィルタ18を固定しても良い。接着剤20に入射した光が下部クラッド層14および上部クラッド層16に漏れ出さず、かつ、コア15a,15bに入射するためには、接着剤20の屈折率はコア15a,15b,15cよりも小さくなければならない。また、接着剤20の屈折率は、下部クラッド層14及び上部クラッド層16よりも大きい方が望ましい。
【0035】
なお、フィルタ18は必ずしも接着剤20で固定する必要はないが、フィルタ18を固定すればフィルタ18のずれや脱落が防止でき、また、接着剤20でフィルタ18を覆っていれば、フィルタ18が湿度変化等の影響を受けにくいため、光導波路装置12aの性能がより安定する。また、フィルタ18とコア15a,15b,15cとの隙間が接着剤で埋められることによって、フィルタ18の界面で生じるフレネル反射を低減させることができるため、フィルタ18での反射及び透過による損失を低減させることができる。
【0036】
本実施形態の光導波路装置は上述の複製法(スタンパ法)で製造すれば、大面積の基板を用いて多数の光導波路装置を一度に作製することができるので、大量生産に適している。しかしながら、光導波路基板は複製法以外の製造方法で製造されていても良く、例えば、光学結晶導波路、石英導波路、ポリマー導波路などであってもよい。
【0037】
図5では、光導波路装置の設置溝の理想的な形成位置を示しているが、ダイシングブレードでの切り込みの位置ずれや、ダイシングブレード厚みのバラツキや摩耗による厚みの変化等によって設置溝19が形成される位置や幅に多少のバラツキが生じることは避けられない。本発明の光導波路装置12aでは、このような問題に対処するためにコア15a,15bに対してコア15cの幅を広くしている。
【0038】
図5で示す設置溝19の位置は、ずれなく設置溝19が形成された場合であって、フィルタ18で反射された光は、コア15cの幅の中心位置に入射する。このときの設置溝19の中心線を一点鎖線で示している。しかしながら、現実には、ダイシングブレードでの形成位置精度誤差によって設置溝19は±ΔWずれた位置に形成されることがある。図7(a)(b)は、設置溝19の中心線が図5に示す中心線からそれぞれ+W方向、−W方向ずれたときの様子を表しており、ずれて形成された設置溝19の中心線を二点鎖線で、ずれの方向と大きさを矢印で示している。
【0039】
コア15cの幅は、設置溝が+ΔWずれたときにも、図7(a)に示すようにフィルタ19のコア15aで反射された光がコア15cに入射するように、また、図7(b)に示すように、設置溝が−ΔWずれたときにも、フィルタ18で反射された光がコア19cに入射するよう設計する。つまり、コア15a,15bと設置溝がなす鋭角をθとしたときに、コア15cの幅は、
【数1】
Figure 0003788397
(コア15aの幅と、コア15aとコア15cの隙間δは考慮せず)
を満たさなければならない。
【0040】
しかしながら、コア15cの幅は、光入射端付近で上記値を満たしていればよいので、受光素子23の受光面の大きさ等を考慮して、図8(a)(b)に示すようにコア15cの側面にはテーパーを設けてもよい。図8(a)に示すコア15cは、光入射端から光出射端に向けてコアの幅が徐々に狭くなっている。また、図8(b)に示すコア15cは、光入射端が略半円状になっており、コア15cの幅の中心方向に光を集光した後、直線状コアで伝搬させるようになっている。図8(a)(b)に示す形状のコア15cによっては、コア15cに光学的に接続した受光素子23との接続損失を抑制することができる。
【0041】
コア15aから出射され、フィルタ18で反射された光は、コア15cに達するまでに設置溝19又は下部クラッド層14の内部で厚み方向にも広がるので、、図3に示すようにコア15cの光入射端の厚みをコア15aの厚みよりも厚くしておけば受光面積が大きくなって損失光を抑制することができる。しかしながら、コア15cでの受光量に問題がなければ、図9(a)に示すようにコア15aの厚みとコア15cの厚みを同じ厚みにしておいてもよい。
【0042】
また、図9(b)に示すように受光素子の受光面の大きさや形状に合わせてコア15cの厚み方向でもテーパーを設けば、受光素子の受光面積が小さいときにも、接続損失を抑制することができる。なお、テーパーは幅方向と厚み方向の両方に設けても、いずれか一方のみに設けるようにしても良い。
【0043】
(第2の実施形態)
図10は本発明の一実施形態である光導波路装置(光トランシーバ)12bの概略斜視図である。本発明の光導波路装置12bは、支持基板29、導波路基板31及びフィルタ18から構成されている。導波路基板31は、上下反転した状態で支持基板29に設置されており、基板13、高屈折率の光学材料からなる下部クラッド層14及び上部クラッド層16、下部クラッド層14より高屈折率の光学材料からなるコア15a,15b,15cから構成されている。
【0044】
コア15a,15b,15cは、いずれも断面矩形の直線状をしたコアであって、各コア15a,15b,15cは独立している。コア15c端面とコア15aの側面は5μm以上離れており、間には下部クラッド層14が挟まれている。コア15aとコア15bは、同一直線上に光軸が並ぶように設置溝19を隔てて配置され、また、コア15cの光軸は、コア15a,15bの光軸と垂直をなしている。コア15a,15bはシングルモードの光信号を伝搬する幅の狭いコアであるが、コア15cはマルチモードの光信号を伝搬するコアであってコア15a,15bよりも幅が広くなっている。
【0045】
フィルタ18は特定の波長域の光のみを透過させ、特定の波長域以外の光を反射させる光学素子であって、導波路基板31に設けられた設置溝19に挿入されている。下部クラッド層14内に埋め込まれているコア15a及びコア15bはフィルタ18を介して一直線上に並んでいる。また、コア15cは、両コア15a,15bの光軸に対して90度の角度を持つようにして配置されている。
【0046】
支持基板29の表面には、上記光導波路基板31を積層するための導波路固定領域30(図示せず)が形成され、その周囲にはV溝状の光ファイバガイド28、凹状をした光学素子設置部26a,26bが設けられている。各光学素子設置部26a,26b内には、投光素子や受光素子を実装するための素子実装用ベンチ(電極パッド)27a,27bが形成されている。
【0047】
図10に示す光導波路装置12bにおいては、上記光導波路基板31は、上下反転された状態で設置されており、光ファイバガイド28及び素子実装用ベンチ27a,27bは光導波路基板31から露出している。
【0048】
図11は上記光導波路装置12bに投光素子22と受光素子23を実装し、光ファイバ21をつないだ状態を示す平面図である。光学素子設置部26a,26b内の素子実装用ベンチ27a,27bには、下面電極をダイボンドすることにより、それぞれ受光素子23と投光素子22が実装されており、受光素子23はコア15cの端面に対向し、投光素子22はコア15bの端面に対向している。また、投光素子22及び受光素子23の上面電極はボンディングワイヤで回路基板などに接続される。光ファイバ21は、光ファイバガイド28に納めて位置決めした状態で接着剤により固定されており、それによってコア15aの光軸と光ファイバ21の光軸が自動的に調芯されている。
【0049】
この光導波路装置12bにおいてフィルタ18は、投光素子22から出射される波長λ1の光を透過し、光ファイバ21から出射される波長λ2の光を反射する特性のものを用いている。しかして、投光素子22からコア15bに光(送信信号)を照射すると、光はコア15bの内部を伝搬し、フィルタ18を透過してコア15aの内部を伝搬し、光ファイバ21に入射して光ファイバ21内を送信される。また、光ファイバ21を伝搬してきた光(受信信号)は、コア15aに入射して、フィルタ18で反射し、コア15cを伝搬して受光素子23に受信される。このようにして光導波路装置12bは、一本の光ファイバ21を通じて繋がっている外部の他の装置と信号の送受信を行うことができる。
【0050】
本実施形態の光導波路装置12bでは、コア15aとコア15cとを完全に分離して、コア15cの端面とコア15aの間にコア15a,15b,15cよりも屈折率の小さな下部クラッド層14を挟んでいる。しかして、コア15bを伝搬してフィルタ18を透過した光は、コア15cに入射することなくコア15aを伝搬することになる。また、コア15aを伝搬し、フィルタ18で反射した光は、臨界角よりも小さい角度で下クラッド層14に入射するために、コア15aよりも屈折率の小さい下クラッド層14でも反射されず、コア15cの端面に入射することになる。したがって、本発明の光導波路装置12aは、クロストークが発生することのない、高精度の光トランシーバにすることができる。
【0051】
以下に、図12〜図17を用いて本発明の光導波路装置12bの製造方法を説明する。まず、支持基板29の親基板になるガラス基板やシリコン基板などの大面積のベース基板29aの表面に、図12に示すように導波路固定領域30、光学素子設置部26a,26b、ファイバガイド28を複数組形成し、光学素子設置部26a,26bの内部に素子実装用ベンチ27a,27bを電極材料によって形成する。図12のベース基板29aを用いれば一度に4個の光導波路装置12bを製造できるが、より大面積のベース基板29aを用いれば、光導波路装置12bの大量生産が可能になる。
【0052】
また、ベース基板29aと同面積以上のガラス基板13a上に下部クラッド層14と複数組のコア15c,15dを形成した導波路基板31を複製法(スタンパ法)等で製造する。複製法によるより詳しい製造方法は、第1の実施形態で説明している。
【0053】
次に、図13に示すように、光導波路基板31の表面に、未硬化の紫外線硬化樹脂16aを滴下し、樹脂16aによって光導波路基板31とベース基板29aとを接着する。ベース基板29aと光導波路基板31とを接着するときには、ファイバガイド28や光学素子設置部26a,26bとコア15c,15dを精密に位置合わせをしておく必要がある。そのためには、光導波路基板31とベース基板29aに設けたアライメントマークにより精度良く位置合せを行って光導波路基板31とベース基板29aを接着すればよい。大面積のベース基板29aと大面積の光導波路基板31とで位置合わせを行えば、個々の部品どうしを位置合わせするような煩雑さがなく、一度に複数のコアとファイバガイド等との位置合わせを精度良く行えるため効率的である。
【0054】
ベース基板29aと光導波路基板31を位置合わせして重ね合わせた後、紫外線を照射する前に、導波路固定領域30にのみ紫外線が照射されるように、ガラス基板13aを図14に示すような紫外線を透過しないマスク32で覆っておく。マスク32で覆われたガラス基板13aに紫外線を照射すると、導波路固定領域30にのみ紫外線が照射されて、樹脂16aが硬化し、上部クラッド層16が形成される。なお、ベース基板29aが紫外線を透過する材質であるときには、ベース基板29aをマスク32で覆うようにして、ベース基板29a側から紫外線を照射してもよい。
【0055】
次に図15に示すようにダイシングブレードを用いてコア15dをコア15a,15bに分断する設置溝19を形成する。その後、図16に二点鎖線で示すように、導波路固定領域30の縁を通過するよう光導波路基板31を切断し、コア19c,19dの端面を形成する。ダイシングブレードでの切断の際には摩擦熱が発生するために、ダイシングブレードには冷却水をかけながら使用するが、この冷却水が上部クラッド層16を形成したときに未硬化のまま残っていた樹脂16aを洗い流すので、導波路固定領域30以外の不要な導波路基板は簡単に取り除くことができる。また、ダイシングブレードの冷却水だけでは未硬化の樹脂16aを完全に除去できなければ、薬品によって未硬化の樹脂を除去すればよい。
【0056】
次に図17に示すように、設置溝19にフィルタ18を挿入し、フィルタ18の上方および周辺部に接着剤20を滴下してフィルタ18を固定する。なお、フィルタ18を固定するための接着剤20は、コア15a,15b,15cよりも屈折率が小さくなければならない。また、接着剤20の屈折率は、下部クラッド層14及び上部クラッド層16よりも大きい方が望ましい。最後に、図17に示すベース基板29aを導波路装置12bのチップに分断すれば、図10に示す光導波路装置12bが完成する。なお、フィルタ18は、チップに分断してから設置溝19に挿入してもよい。また、フィルタ18は必ずしも接着剤20で固定する必要はない。
【0057】
本発明の光導波路装置を上述の製造方法で製造すれば、大面積の光導波路基板31と、大面積のベース基板29aを上クラッド層20で接着して、最終工程で光導波路装置12bの個別チップに分割するために、個々の光導波路基板31と、個々の支持基板とを貼り合わせるよりも効率よく光導波路装置を製造することができ、大量生産に適している。また、大面積のベース基板29aと大面積の光導波路基板31とで位置合わせを行うために、小さな部品どうしで位置合わせをするよりも精度よく位置合わせをすることができる。
【0058】
本発明の光導波路装置12bは、支持基板29上に光ファイバガイド28等が設けられているために、光ファイバ28等の設置が煩雑でなく、また、高い位置精度でコアと接続することができる。また、各コア15a〜15cが独立しているために、コアc内でクロストークが発生することがない。したがって、本発明の光導波路装置12bは、各コア15a〜15c端面での接続損失や伝搬損失の低い、高品位の光トランシーバにすることができる。
【0059】
(第3の実施形態)
図18は本発明のさらに別の実施形態による光導波路装置12b(2×4光スイッチ)の概略平面図である。また、図19は、図18のB−B’線断面に相当する面を示した図である。発明の光導波路装置12bは、ガラス基板13、下部クラッド層14、コア15a,15b,15c,15d,15e,15f,15g,15h,15i,15j、上部クラッド層16、設置溝19a,19b,19c内のコア19a〜19jの交差部に挿入されたミラー18d,18e,18f,18g等から構成されている。コア15a〜15jは、それぞれ独立したコアである。図19に示すようにミラー18d〜18gは、アクチュエーターで上下に稼働させることによって、コア15a〜15jの光軸上へ挿入したり、光軸から外すことができるようになっている。本発明の光導波路装置12bには、2箇所の光入射端A,Bと、4箇所の光出射端C,D,E,Fが設けられている。
【0060】
すべてのミラー18d〜18gが挿入されているときに、光入射端Aから入射た光は、コア15aを伝搬し、ミラー18dで反射され、コア15dを伝搬し、ミラー18fで反射され、コア15gを伝搬して、ミラー18gで反射され、コア15jを伝搬して光出射端Dから出射される。また、ミラー18dがコア15aの光軸外に外されており、その他のミラー18e,18f,18gが挿入されているときには、光入射端Aから入射し、コア15aを伝搬した光はコア15bに入射し、ミラー18eで反射されて、コア15e内を伝搬し、ミラー18gで反射されてコア15hを内を伝搬して光出射端Eから出射される。
【0061】
このように、特定のミラー18d〜18eを光軸上に挿入したり光軸外に外すことによって、2箇所の光入射端A,Bに入射した光を、4箇所の光出射端C,D,E,Fの所望する光出射端から出射することができる。
【0062】
例えばコア15aとコア15dの一部が繋がっていれば、ミラー18dが光軸外に外されているときにも、コア15aを伝搬した光の一部がコア15dに漏洩するおそれがあるが、本実施形態の光導波路装置12cでは、各コア15a〜15jが独立しているために、クロストーク等の問題が発生する恐れがない。
【0063】
本発明の光導波路装置の製造工程において、設置溝19a〜19cを形成するまでの工程は第1の実施形態で説明した製造工程と同じである。コア15d,15e,15i,15jの幅は、コア15a,15b,15c,15f,15g,15hの幅よりも広くなっているために、ダイシングブレードで形成される設置溝19a〜19cの形成位置がずれたときにも、ミラー18d〜18eで反射された光を垂直方向にあるコアへ入射させることができ、歩留まりのよい光導波路装置にすることができる。
【0064】
本発明の光導波路装置によれば、ミラーを用いることによって伝搬する光の光軸を90度変化させることができる。例えばY字型に分岐したコアの上部にヒータや電極を設け、ヒータや電極のON/OFFによって熱や電界・磁界の変化させて光を伝搬させるコアを切り換えるといった光スイッチでは、分岐部間角度が小さいために、分岐後の長さを充分に取らなければ分岐後のコアの端面に光学素子等を設置するスペースが確保できないために、大型化してしまう。本発明の光導波路装置によれば、分岐したコアのなす角度が直角であるために、分岐したコアの光出射端どうしを分岐部分から短い距離で充分に離すことができ、分岐コアを多くして光出射端を増やした場合にも小さな光導波路にすることができる。なお、本発明の光導波路装置12cの光出射端C,D,E,Fを光入射端とし、光入射端A,Bを光出射端にしてもよい。
【0065】
本発明の光導波路12cのミラー18d〜18eには、上述の可動式ミラー以外にも、透明板の間に封入された前記コアとほぼ同等の屈折率を有する液体を加熱して屈折率を変化させ、光の透過と反射を制御できるミラーなどを用いても
良い。
【0066】
(第4の実施形態)
図20、図21は、本発明のさらに別の実施形態による光導波路装置12d(分波器)の概略平面図及び概略正面図である。本発明の光導波路装置12dは、基板13と、下部クラッド層14、コア15a,15b,15c,15d,15e,15f,15g、上部クラッド層16、および特定の波長域の光のみ反射し、特定の波長域以外の波長の光は透過するフィルタ18a,18b,18cから構成されている。フィルタ18aは、波長λ1を含む波長域の光のみを反射し、それ以外の波長の光は透過するフィルタである。フィルタ18bは波長λ2を含む波長域の光を反射し、それ以外の波長の光は透過するフィルタである。また、フィルタ18cは波長λ3を含む波長域の光を反射し、それ以外の波長の光は透過するフィルタである。
【0067】
本発明の光導波路装置12cは、1箇所の光入射端Aと4箇所の光出射端B,C,D,Eを有している。光入射端Aはコア15aの端面であり、光出射B,C,D,Eは、コア15e,15f,15gの端面である。本発明の光導波路12dは、第1の実施形態で説明した製造方法によって製造できる。
【0068】
光入射端Aに、それぞれ異なる波長帯域に属する波長λ1,λ2,λ3,λ4からなる光が入射すると、まず、フィルタ18aで波長λ1の光のみがコア15eに反射されて、波長λ1の光はコア15eの光出射端から出射される。同様に、フィルタ18b,18cでは、波長λ2,λ3の光がそれぞれコア15f、コア15gに反射され、それぞれ光出射端B,Cから出射される。また、いずれのフィルタも透過した波長λ4の光は、コア15dを伝搬して光出射端Eから出射される。
【0069】
本実施形態の光導波路装置は、コア15a〜15gがそれぞれ独立し、繋がっていないために、クロストークが発生する恐れがない。より具体的には、コア15aを伝搬する波長λ2,λ3,λ4の波長の光が、フィルタ18aに到達する前にコア15eに漏洩するおそれがない。
【0070】
本実施形態の光導波路装置は、異なる波長の光を分波して異なる波長毎に異なる出射端から出射する分波器として利用できる。また、光入射端Aを光出射端とし、光出射端B,C,D,Eを光入射端にすれば、合波器として利用できる。
【0071】
(第5の実施形態)
図22は、本発明にかかる分波器33(例えば図20、図21に示したような光導波路装置)および光スイッチ37(例えば、図18に示したような光導波路装置)を用いた光合分波を行う装置を示す概略図である。分波器33及び合波器34は、波長の異なる複数の光信号を一本の光ファイバで伝送する波長多重(WDM)方式の光通信システムで用いられる装置である。分波器33は、一本の光ファイバ35によって伝送された光信号を波長毎に分波して、波長毎に異なる光ファイバに出力する装置である。また、合波器34は、複数の光ファイバによって入力された波長の異なる光信号を合波して、一本の光ファイバ36に出力する装置である。
【0072】
光スイッチ37(2×2光スイッチ)は、コア内を伝搬する光の進行方向を切り換えて、選択した特定のコアからのみ光を出射することができる光導波路装置である。また、可変光減衰器(VOA)38,39は、受光したパワーの異なる光を光を一定のパワーに揃えて出力する装置である。光スイッチ37には、光入射端が2箇所設けられていて、一方の入射端は光ファイバ40aによって分波器33に接続されており、分波器33で分波された波長λ1,λ2,…,λNの光が入力されるようになっている。他方の光入射端は光ファイバ40bによって伝送された光信号の入射端である。なお、光ファイバ40bは分波器33以外の他の分波器に接続されていてもよい。
【0073】
また、光スイッチ37には、光出射端が2箇所設けられていて、一方の光出射端は光ファイバ40cによって可変光減衰器(VOA)38を介して合波器34に接続されており、他方の光出射端は光ファイバ40dに接続されている。光ファイバ40dは合波器34以外の他の合波器に接続されていてもよい。
【0074】
しかして、この光合波分波器を用いた光通信システムにおいては、光ファイバ35及び光ファイバ36は例えば都市内ネットワークや都市間ネットワークにおける中継系ネットワーク回線を構成しており、波長多重信号を伝送している。いま、すべての光スイッチ37が合波器34側に接続しているとすると、光ファイバ35からなる中継系ネットワーク回線を伝送されてきた波長多重信号は、分波器33により各波長λ1,λ2,…,λNの信号に分波された後、各光スイッチ37を合波器34側へ通過し、光減衰器38によって各波長の信号のパワーを均一に揃えられた後、各波長λ1,λ2,…λNの信号は再び合波器34で合波され、さらに光減衰器39により波長多重信号全体のパワーが規定値となるように調整されて光ファイバ36からなる中継系ネットワーク回線へ送り出される。
【0075】
これに対し、例えば波長λ1に対応する光スイッチ37が合波器側と異なる側へ切り換えられると、分波器33で分波された信号のうち波長λ1の信号だけが光ファイバ40dからなるアクセスネットワーク回線へ取り出される。また、光ファイバ40bからなるアクセスネットワーク回線から波長λ1の信号が送り込まれていると、この他線からの波長λ1の信号は光スイッチ37によって合波器34へ送られ、光ファイバ35から送られてきた波長多重信号に重畳させて光ファイバ36からなる中継系ネットワーク回線へ送り出される。
【0076】
図23は、光ネットワークシステムにおける、各家庭内などのユーザーネットワークと中継系ネットワークとをアクセスネットワーク(加入者光ファイバ)で結んだ様子を示している。例えばある家庭の電話やパーソナルコンピュータ42から発信された電気信号は、回線終端装置43によって光信号に変換され、光ファイバ44aによって局外スプリッタ45に集められる。局外スプリッタ45は、図20の光導波路装置12dのような、4箇所の光入射端と1箇所の光出射端を有する合波器を備えており、異なるデータ発信から光ファイバ44a,44b,44c,44dによって伝搬されてきた光信号を合波して加入者光ファイバ41aに出射することができる。
【0077】
加入者光ファイバ41aは交換局(電話事業者の設備センタ)内の局内スプリッタ46に接続されている。局内スプリッタ46は、8箇所の光入射端と、1箇所の光出射端を有する合波器である。加入者光ファイバ41aを伝搬してきた光信号は、他の入射光ファイバ41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hを伝搬してきた光信号と局内スプリッタ46で合波され、回線終局装置47で光信号から電気信号に変換されて他事業者IP網へと送出される。
【0078】
図24は上記回線終端装置43又は回線終端装置47の構成を示すブロック図である。回線終端装置43及び回線終局装置47は、アクセスネットワークを構成する加入者光ファイバ41aによって波長1550nmの光信号と波長1310nmの光信号を伝送される。光ファイバ41aの端面に対向する位置には、WDM48が設けられており、WDM48は光ファイバ41aから伝送されてきた波長1550nmの光信号を出力部から出力し、入力部から入力された波長1310nmの光信号を光ファイバ41aに結合させる。
【0079】
WDM48の出力部から出力された波長1550nmの光信号は光/電気変換モジュール(PIN-AMPモジュール)49に入力される。光/電気変換モジュール49は、受光素子(フォトダイオード)50とプリアンプ51からなり、入力した光信号を受光素子49で受光することによって電気信号に変換し、プリアンプ51で増幅した後、データ処理回路52に入力させる。ついで、データ処理回路52で処理された電気信号は、回線終端装置43に接続されているパーソナルコンピュータや電話、また、回線終局装置47に接続されている電話線などの他事業者IP網に送られる。
【0080】
一方、WDM48の入力部につながっている電気/光変換モジュール53は、発光素子(LD)54とモニター用受光素子55からなり、発光素子54は波長1310nmの光を出射するものであって、発光素子駆動回路56によって駆動される。また、発光素子54から出射される光信号をモニター用受光素子55で受光することにより、発光素子54から出射される光信号のパワーが一定になるように出力をコントロールしている。しかして、電話や家庭用機器、または他事業者IP網から送出された電気信号は、発光素子駆動回路56へ送られ、発光素子駆動回路56に入力された電気信号によって発光素子54を駆動することにより電気信号を光信号に変換し、WDM48を通して光ファイバ41aへ送信する。
【0081】
このような回線終端装置43及び回線終端装置47においては、本発明にかかる光導波路装置を用いることにより小型化することができる。例えば、図3、図10に説明したような光導波路装置12a,12bを上記WDM48として用い、光導波路装置12a,12bに実装された受光素子23を上記光/電気変換モジュール49の受光素子50として用い、光導波路装置12a,12bに実装された投光素子22を上記電気/光変換モジュール53の発光素子54として用いればよい。また、図10に示すような光導波路装置12bの支持基板29の上に上記プリアンプ51、データ処理回路52、モニター用受光素子55、発光素子駆動回路56等を実装することにより回線終端装置43又は回線終局装置47をワンチップ化することも可能になる。
【0082】
【発明の効果】
本発明の光導波路装置によれば、クロストークが発生することがなく波長域の異なる複数の信号の伝送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光導波路装置の概略斜視図である。
【図2】図1に示す光導波路装置の概略上面図であって、光トランシーバとしての使用態様を説明する図である。
【図3】本発明の光導波路装置の概略斜視図である。
【図4】図3に示す光導波路装置のA−A’線断面図である。
【図5】図4に示す光導波路装置の光トランシーバとしての使用態様を説明する図である。
【図6】図6は、図4に示す光導波路装置の製造工程を説明する図である。
【図7】設置溝形成位置ずれによる光の伝搬の様子を説明する図である。
【図8】(a)(b)は、コアの形状を説明する図である。
【図9】(a)(b)は、コアの断面形状を説明する図である。
【図10】本発明の別の実施形態による光導波路装置の概略斜視図である。
【図11】図10に示す光導波路装置の使用態様を説明する図である。
【図12】図12〜図17は、図10に示す光導波路装置の製造工程を説明する図である。
【図13】図12の続図である。
【図14】図13の続図である。
【図15】図14の続図である。
【図16】図15の続図である。
【図17】図16の続図である。
【図18】本発明のさらに別の実施形態による光導波路装置の概略平面図である。
【図19】図18のB−B’線断面に相当する面を示す図である。
【図20】本発明のさらに別の実施形態による光導波路装置の概略平面図である。
【図21】図20に示す光導波路装置の概略正面図である。
【図22】本発明の光導波路装置を用いた通信用機器を説明する図である。
【図23】本発明の光導波路装置を用いた光通信システムを説明する図である。
【図24】回線終端装置又は、回線終局装置のブロック図である。
【符号の説明】
12a 光導波路装置
13 基板
14 下部クラッド層
15a〜15c コア
16 上部クラッド層
17 ガラス基板
18 フィルタ
19 設置溝

Claims (8)

  1. 光を選択的に透過又は反射させる光学素子と、前記光学素子を挟んで配置された第一のコア及び第二のコアと、前記光学素子を含む平面に関して前記第一のコアと同じ側に配置された第三のコアと、前記第一、第二及び第三のコアを囲むクラッドとを備えた光導波路装置において、
    前記第一のコアと前記第三のコアとが互いに独立しており、前記光導波路装置を平面視した場合、前記光学素子を設置するための溝が前記第三のコアの前記第一のコアに対向する面を切断するように形成されたことを特徴とする光導波路装置。
  2. 前記光学素子は、特定の波長域の光のみ透過し特定の波長域以外の波長の光を反射することを特徴とする、請求項1に記載の光導波路装置。
  3. 前記光学素子は、光の反射と透過を制御できるミラーであることを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
  4. 前記光学素子は可動式のミラーであって、該ミラーは前記第一、第二、第三のコアの光軸上および光軸外に出し入れできることを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
  5. 前記第三のコアの光入射端面と前記第一のコアの最近接距離が10μmより大きく30μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光導波路装置。
  6. 前記第一のコアの光出射端の面積に対し、前記第三のコアの光入射端の面積が大きいことを特徴とする、請求項1に記載の光導波路装置。
  7. 前記第一のコアはシングルモードで信号を伝搬するコアであり、前記第三のコアはマルチモードで信号を伝搬するコアであることを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
  8. 請求項1に記載の光導波路装置を用いた通信機器。
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