JP2006242986A - 形状記憶材料を利用したアクチュエータ、触覚ディスプレイ及び3dディスプレイ - Google Patents

形状記憶材料を利用したアクチュエータ、触覚ディスプレイ及び3dディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】 連続的に任意の形状に変形可能な形状記憶合金を用いたアクチュエータを提供する。
【解決手段】 回復温度以上になると所定の記憶形状に戻る形状記憶材料から成る単一の記憶部材12と、記憶部材を上記記憶形状とは異なる形状へと変形させる変形手段13と、記憶部材を局所的に回復温度以上に加熱するレーザ16と、レーザによって加熱される記憶部材の位置及び範囲を連続的に制御する加熱領域制御手段18、20とを具備するアクチュエータが提供される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、形状記憶材料を利用したアクチュエータ、触覚ディスプレイ及び3Dディスプレイに関する。
外力等による変形後に或る一定の温度以上に加熱すると変形前の形状に戻る現象、すなわち形状記憶効果を示す形状記憶合金が知られている。形状記憶合金は、温度変化によって結晶構造が双晶マルテンサイト変態を起こすことで形状記憶効果を示す。斯かる形状記憶効果を利用して、様々なアクチュエータ等が開発されている。
斯かるアクチュエータの一態様として、特許文献1に記載のマニピュレータが挙げられる。このマニピュレータでは、形状記憶合金製プレート(以下、「SMAプレート」と称す)の表面上にヒータが接触せしめられ、このヒータに電力を供給してSMAプレートを加熱することによりSMAプレートを記憶されている湾曲形状へと変形させると共に、このヒータへの電力の供給を停止してSMAプレートから自然放熱させることにより平面形状へと変形させるようにしている。
また、特許文献2には、形状記憶合金を用いたアクチュエータを利用した触覚ディスプレイが開示されている。斯かる触覚ディスプレイでは、触針に二つのSMA支持体が連結されており、一方の支持体を加熱するとこの支持体の形状記憶効果により触針が突出し、他方の支持体を加熱するとこの支持体の形状記憶効果により触針が陥没する。支持体の加熱はシャッタ及びスキャナを介してレーザにより行われる。
特開2001−260093号公報 特開昭59−198483号公報 特開2004−341255号公報 特開2003−211395号公報 特開平10−173306号公報 特開平8−327881号公報 特開平11−203019号公報 特開平9−325688号公報 特開2002−351306号公報
ところで、多くの形状記憶合金を用いたアクチュエータは、SMA部材が形状記憶効果を示す温度(以下、「回復温度」と称す)よりも低い温度においてSMA部材全体を外力により変形させた形状(以下、「初期形状」と称す)と、SMA部材全体の温度が回復温度以上となってSMA部材全体の形状が記憶形状に戻った形状(以下、「回復形状」と称す)との二つの形状のみの間で作動せしめられる。すなわち、斯かるアクチュエータは初期形状と回復形状との二値的な形状にしかならず、これら初期形状と回復形状との間の段階的な変形形状にすることができない。これは、斯かるアクチュエータの多くがSMA部材への通電によるジュール発熱や雰囲気からの熱伝達によってSMA部材全体を加熱していることによるものである。
また、特許文献1に記載のマニピュレータでは、SMAプレートの表面上に複数のヒータを接触させ、これらヒータに選択的に電力を供給することで、SMAプレートを局所的に加熱している。斯かる装置では、SMAプレートを初期形状と回復形状と間の段階的な変形形状、すなわちSMAプレートの一部が初期形状となっていながら他の部分が記憶形状に戻っている変形形状(以下、「部分変形形状」と称す)とすることができる。しかしながら、斯かる装置であっても、SMAプレートを初期形状と回復形状と間で連続的に部分変形形状とすることはできず、また、部分変形形状における変形段階を細かくしようとするにつれて必要なヒータの数が多くなり、またこれらヒータの作動回路も複雑なものとなってしまう。
そこで、本発明の目的は、連続的に任意の形状に変形可能な形状記憶合金を用いたアクチュエータ、及び斯かるアクチュエータを用いた触角ディスプレイを提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、回復温度以上になると所定の記憶形状に戻る形状記憶材料から成る単一の記憶部材と、上記記憶部材を上記記憶形状とは異なる形状へと変形させる変形手段と、上記記憶部材を局所的に上記回復温度以上に加熱するレーザと、上記レーザによって加熱される上記記憶部材の位置及び範囲の少なくともいずれか一方を連続的に制御する加熱領域制御手段とを具備するアクチュエータが提供される。
第1の発明によれば、レーザにより記憶部材が局所加熱される位置及び範囲の少なくともいずれか一方が連続的に制御されるため、記憶部材が記憶形状に戻る位置及び範囲を連続的に制御することができ、よって記憶部材の変位形状を連続的に制御することができる。
また、従来のヒータ等を用いた加熱では、アクチュエータ本体(すなわち記憶部材や変形手段)が大きくなると大きなまたは多数のヒータが必要となってコストが高くなり、逆に小さくなると非常に小さなヒータが必要となってしまう。第1の発明によれば、レーザによって局所加熱をすることで、広範囲または微小範囲のいずれについても記憶部材を容易に加熱することができる。このため、アクチュエータ本体が大型であろうと小型であろうと、任意のサイズのアクチュエータ本体を有するアクチュエータに本発明を適用することができる。
第2の発明では、第1の発明において、回復温度以上になると所定の記憶形状に戻る形状記憶材料から成る単一の記憶部材と、上記記憶部材を上記記憶形状とは異なる形状へと変形させる変形手段と、上記記憶部材の局所的な複数の部位を上記回復温度以上に加熱可能なレーザとを具備する。
第3の発明では、第1または第2の発明において、上記記憶部材は薄膜状に形成されている。
第3の発明によれば、記憶部材が薄膜状に形成されているため、記憶部材から放熱し易い。従って、記憶部材の局所加熱が中止された場合に、迅速に記憶部材の温度が低下するため、記憶部材を記憶形状から初期形状へと迅速に変形させることができる。
第4の発明では、基準面から突出または陥没するように変位可能な部位を有し、これら変位可能な部位を変位させることにより触覚情報を凹凸で表示する触覚ディスプレイにおいて、回復温度以上になると所定の記憶形状に戻る形状記憶材料から成る記憶部材と、上記記憶部材を上記記憶形状から上記基準面に沿うような形状へと変形させる変形手段と、上記記憶部材を局所的に上記回復温度以上にまで加熱することで、該加熱された部分を上記基準面から突出または陥没させる局所加熱手段と、上記局所加熱手段によって加熱される上記記憶部材の位置、範囲、及び変形量のうちの少なくともいずれか一つを制御する加熱領域制御手段とを具備する。
第4の発明によれば、局所加熱手段によって回復温度以上にまで加熱される記憶部材の位置、範囲、及び変形量のうちの少なくともいずれか一つを制御する加熱領域制御手段によって、記憶部材を基準面から突出または陥没させる位置、範囲、及び変形量(すなわち、突出量または陥没量)のうちの少なくともいずれか一つを容易に制御することができる。従って、部品点数が少なく構造が簡単な触覚ディスプレイが提供される。
第5の発明では、第4の発明において、複数の短冊状の記憶部材が上記基準面上に互いに平行に並べられる。
第6の発明では、第4または第5の発明において、上記局所加熱手段はレーザである。
第6の発明によれば、上述したようにレーザによって局所加熱をすることで、広範囲または微小範囲のいずれについても記憶部材を容易に加熱することができる。このため、触覚ディスプレイの表示面が大型であろうと小型であろうと、任意のサイズの表示面を有する触角ディスプレイに本発明を適用することができる。
第7の発明では、基準面から突出または陥没するように変位可能な部位を有し、これら変位可能な部位を変位させることにより視覚情報を三次元的に表示する3Dディスプレイにおいて、回復温度以上になると所定の記憶形状に戻る形状記憶材料から成る記憶部材と、上記記憶部材を上記記憶形状から上記基準面に沿うような形状へと変形させる変形手段と、上記記憶部材を局所的に上記回復温度以上にまで加熱することで、該加熱された部分を上記基準面から突出または陥没させる局所加熱手段と、上記局所加熱手段によって加熱される上記記憶部材の位置、範囲、及び変形量のうちの少なくともいずれか一つを制御する加熱領域制御手段とを具備する。
本発明によれば、連続的に任意の形状に変形可能な形状記憶合金を用いたアクチュエータ、及び斯かるアクチュエータを用いた触角ディスプレイ及び3Dディスプレイが提供される。
以下、図面を参照して本発明について詳細に説明する。図1は本発明における形状記憶合金製プレート(以下、「SMAプレート」と称す)の駆動原理を説明するための図であり、SMAプレート1の側面を示している。図1における斜線部分は後述する回復温度以上であるSMAプレートの部分、非斜線部分は回復温度よりも低いSMAプレートの部分をそれぞれ示している。
一般に、形状記憶合金は、一定の温度(以下、「回復温度」と称す)よりも低い温度において外力によって変形された後に上記回復温度以上に加熱すると変形前の形状に戻る現象、すなわち形状記憶効果を示す。この形状記憶効果は、温度変化によって結晶構造が双晶マルテンサイト変態を起こすことによって発揮される。
例えば、SMAプレート1に記憶された形状(以下、「記憶形状」と称す)が図1(a)に示したようなほぼ円形である場合について考える。SMAプレート1の温度が回復温度よりも低い温度であるとSMAプレート1は容易に変形せしめられる。従って、SMAプレート1の温度が回復温度よりも低いときにSMAプレート1を長手方向に延ばすようにSMAプレート1に引張力を加えると、SMAプレート1は記憶形状から図1(b)に示したように直線的に延びるように変形せしめられる。
その後、SMAプレート1を回復温度以上にまで加熱すると、SMAプレート1の形状は図1(a)に示したようなほぼ円形に、すなわち記憶形状に戻る。このSMAプレート1の記憶形状へ戻ろうとする力は比較的大きいため、上述したようにSMAプレート1に引張力が加えられたままの状態であっても、引張力の大きさによってはSMAプレート1を記憶形状に戻すことができる。
一般に、SMAプレート1に対する斯かる加熱は、SMAプレート1に通電することによるジュール熱、またはSMAプレート1周りの雰囲気からの熱伝達により行われる。このため、SMAプレート1の加熱はSMAプレート1全体について行われ、SMAプレート1は、SMAプレート1全体が回復温度以上に加熱された場合における回復形状(図1(a))と、SMAプレート1全体が回復温度よりも低い温度である場合における引張力によって変形せしめられた形状(図1(b)。以下、「初期形状」と称す)との二つの形状しか取り得なかった。
一方、形状記憶合金は熱伝導率が低い材料であり、また、SMAプレートを箔状に薄く形成すると単位体積あたりの表面積を大きくとることができ、よってSMAプレートの放熱性を高いものとすることができる。このため、箔状のSMAプレート1を局所的に加熱することにより、加熱された部分のみを回復温度以上の高温にすると共に、加熱されていない部分を回復温度よりも低いまま維持することができる。
図1(c)及び図1(d)は、図1(b)の初期形状からSMAプレート1が局所加熱された場合を示している。図1(c)では、SMAプレート1の右端部のみが局所加熱されて斯かる部分(斜線部分)のみが回復温度以上となっており、従って斯かる部分のみにおいてSMAプレート1の形状が初期形状から記憶形状へと変形されている。また、図1(d)では、SMAプレート1の中央部のみが加熱されて斯かる部分のみが回復温度以上となっており、従って斯かる部分のみにおいてSMAプレート1の形状が初期形状から記憶形状へと変形されている。
このようにSMAプレート1の局所加熱を利用すると、局所加熱されるSMAプレート1の位置及び範囲を段階的または連続的に変えることにより、SMAプレート1全体の形状を初期形状と回復形状との間で段階的または連続的に変形させることが可能である。
SMAプレート1を局所加熱する方法の一つとして、レーザによるものが挙げられる。レーザによれば、レーザ照射されているSMAプレート1の部分のみを局所加熱することができる。また、SMAプレート1が局所加熱される位置及び範囲を容易に連続的に変えることが可能である。すなわち、SMAプレート1が局所加熱される位置は、例えば、走査装置、スプリッタ、シャッタ等を用いることにより容易に変更することができ、また、SMAプレート1が局所加熱される範囲は、主にレーザ照射出力を調整することによって変更可能である。ここで、SMAプレート1が局所加熱される範囲と、レーザ照射出力及びレーザビームのスポット径との関係について説明する。
図2(a)は、レーザ照射出力と回復温度にまで局所加熱された範囲の直径(以下、「被加熱範囲径」と称す)との関係を示す図であり、レーザビームのスポット径を2mmに設定して測定されたものである。図2(a)に示したように、レーザ照射出力を高めることによって被加熱範囲径を大きくすることができる。
一方、図2(b)は、レーザビームのスポット径と被加熱範囲径との関係を示す図であり、レーザ照射出力を100mWに設定して測定されたものである。図2(b)に示したように、レーザビームのスポット径を変更しても被加熱範囲径はほとんど変化しない。以上のことから、SMAプレート1が局所加熱される範囲は、主にレーザ照射出力に依存し、レーザビームのスポット径にはほとんど依存しない。
レーザ照射によりSMAプレート1の一部を回復温度以上にまで局所加熱した後にレーザ照射を中止すると、上述したようにSMAプレート1の放熱性が高いことから上記局所加熱されていた部分は迅速に回復温度よりも低い温度にまで冷却せしめられ、記憶形状から初期形状へと変形せしめられる。従って、SMAプレート1はレーザ照射中に記憶形状となり、レーザ照射が中止せしめられると初期形状となる。
なお、本明細書では、形状記憶合金、及び形状記憶合金製プレートのみについて説明しているが、形状記憶効果を示す材料(形状記憶材料)であれば如何なる材料からなるプレートをSMAプレートとして用いてもよく、例えば、形状記憶ポリマ等を用いてもよい。
次に、図3〜図6を参照して、上述したSMAプレートの駆動原理を用いたアクチュエータについて説明する。
従来から、基板上に設置されると共に基板面外方向に駆動する面外変位アクチュエータが知られている。面外変位アクチュエータは、主にマイクロマシンやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用されている。後述する本発明のSMAプレートを用いたアクチュエータは、例えば斯かる面外変位アクチュエータとして用いられる。
図3に示したように、本発明のアクチュエータ10に用いられるアクチュエータ本体11は、箔状のSMAプレート12とこのSMAプレート12に接着される弾性プレート13とから構成される。SMAプレート12には、図3(a)に示したように、SMAプレート12の表面に対して垂直な方向に湾曲するような形状が記憶されている。一方、SMAプレート12に接着される弾性プレート13の形状は、図3(a)に示したように、弾性プレート13の表面に対して垂直な方向であってSMAプレート12の湾曲方向とは反対方向に湾曲する形状である。従って、SMAプレート12と弾性プレート13とを接着することにより、SMAプレート12全体の温度が回復温度よりも低い場合には、弾性プレート13の付勢力によりアクチュエータ本体11は図3(b)に示したように平板状となっている。一方、SMAプレート12全体の温度が回復温度以上である場合には、弾性プレート13の付勢力に関わらずアクチュエータ本体11はSMAプレート12の記憶形状となる。
なお、弾性プレートは、図3に示した実施形態ではSMAプレート12の湾曲方向とは反対方向に湾曲しているが、SMAプレート12と接着することでSMAプレート12全体の温度が回復温度より低い場合にアクチュエータ本体11が平板状となれば如何なる形状であってもよく、例えば平板状であってもよい。
図4は、本発明のアクチュエータ10全体を示す図である。図示したように、アクチュエータ本体11は基板14上に配置される。アクチュエータ本体11は、その一方の端部15のみが基板に固定され、それ以外の部分は基板14に対して移動可能である。また、アクチュエータ10は、アクチュエータ本体11にレーザビームを照射するためのレーザ発振装置16を具備する。レーザ発振装置16としては、そのレーザビーム17がSMAプレート12に吸収されるようなレーザビームを発するものであれば如何なるレーザ発振装置が用いられてもよく、本実施形態では、アルゴンイオンレーザ発振装置が用いられる。
レーザ発振装置16から発せられたレーザビーム17は、図4に示したように、走査装置18のミラー19を介してアクチュエータ本体11に照射される。ミラー19は走査装置18によりその角度が一定の角速度で変更せしめられ、これにより図4に破線で示した範囲内でアクチュエータ本体11にレーザビーム17を照射することができる。レーザ発振装置16と走査装置18のミラー19との間にはシャッタ20が配置され、このシャッタ20によりレーザビーム17を遮断することができる。従って、走査装置18及びシャッタ20を組み合わせて用いることにより、アクチュエータ本体11の所望の位置にレーザビーム17を照射することができ、すなわちアクチュエータ本体11のSMAプレート12を回復温度以上にまで局所加熱する位置を任意に連続的に調整することができる。また、レーザ発振装置16は、その照射出力を任意に連続的に調整することが可能であるため、アクチュエータ本体11のSMAプレート12を回復温度以上にまで局所加熱する範囲を任意に連続的に調整することが可能である。
図5は、アクチュエータ本体11の変形の様子を示しており、斜線部分はアクチュエータ本体11の温度が回復温度以上となっている部分、非斜線部分はアクチュエータ本体11の温度が回復温度よりも低い部分を示している。
図3(b)に示したように、アクチュエータ本体11は、全体の温度が回復温度よりも低い場合には平板状、すなわち初期形状となっている。一方、図5(a)に示したように、レーザビーム17をアクチュエータ本体11の一部に局所的に照射して、アクチュエータ本体11の一部を回復温度以上に局所加熱した場合には、局所加熱された部分のみが弾性プレート13の弾性力に抗して記憶形状に戻り、他の部分は弾性プレート13の弾性力により初期形状となっている。従って、アクチュエータ本体11は局所加熱された部分において基板14から離れるように湾曲せしめられ、それ以外の部分では平板状となっている。
図5(b)は、図5(a)に比べてレーザ発振装置16の照射出力を上げた場合を示している。上述したように照射出力を上げると、アクチュエータ本体11が局所加熱される範囲が広がる。従って、図5(a)に比べて局所加熱された部分の湾曲角度αが大きなものとなる。従って、アクチュエータ本体11の基板14に固定された側の端部15とは反対側の端部Aは、図5(a)に比べて基板14から離間される距離が長く、また局所加熱された部分よりも端部A側のアクチュエータ本体11の部分は、図5(a)に比べて基板14の表面に対して大きな角度で傾斜する。
図5(c)は、図5(a)に比べてレーザビーム17を端部15側に照射した場合を示している。このように、レーザビーム17の照射位置を変更すると、局所加熱されるアクチュエータ本体11の部分の位置が変わる。これに伴って、アクチュエータ本体11が湾曲せしめられる位置が変わる。図5(c)に示したようにアクチュエータ本体11の湾曲位置が端部15側に移動すると、局所加熱された部分の湾曲角度が同じであっても端部Aが基板14から離間される距離が長いものとなる。
図5(d)は、局所加熱されるアクチュエータ本体11の位置が図5(c)に示した場合と同様であり、局所加熱される範囲が図5(b)に示した場合と同様な場合のアクチュエータ本体11の様子を示している。この場合に端部Aが最も基板14から離間されることが分かる。
このように、本発明のアクチュエータ10によれば、アクチュエータ本体11の局所加熱される部分の位置及び範囲を変更することによって、アクチュエータ本体11の端部Aを様々な位置に移動させることができる。また、レーザによりアクチュエータ本体11を局所加熱することから、アクチュエータ本体11の局所加熱される部分の位置及び範囲はそれぞれ連続的に変更することが可能であり、よって端部Aを連続的に様々な位置に移動させることができる。
図6は、本発明のアクチュエータ10においてアクチュエータ本体11の端部Aの移動可能な範囲を示したものである。図中、x軸は基板14の表面上の軸、y軸は基板14に対して垂直な軸をそれぞれ表しており、直線Bは初期形状となっているアクチュエータ本体11、曲線Cは全体が記憶形状となっているアクチュエータ本体11をそれぞれ示している。図中の斜線部は、アクチュエータ本体11の端部Aが移動可能な範囲を示している。図から分かるように、アクチュエータ本体11の端部Aは、初期形状と記憶形状との間で連続的に移動可能であると共に、アクチュエータ本体11の端部Aはy軸方向のみならずx軸方向にも移動可能であることが分かる。すなわち、従来知られている形状記憶合金を用いた面外変位アクチュエータでは、SMAプレートの加熱をSMAプレートへの通電やヒータによって行っているため、SMAプレートを二値的にまたは段階的にしか変形させることができなかったのに対して、本発明によればその変形自由度が大きくなっている。
なお、上述したように、アクチュエータ本体11のSMAプレートの代わりに、形状記憶効果を示す他の材料から成るプレートを用いてもよい。この場合、例えば、斯かるプレートと弾性プレートとは接着のみならず、溶接等別の方法によって結合してもよい。
また、上記説明では、走査装置18によるレーザ照射位置の変更方向がアクチュエータ本体11の長手方向のみであったが、アクチュエータ本体の長手方向に垂直な方向にもレーザ照射位置を変更することができるようにしてもよい。この場合、局所加熱部分を調整することによりアクチュエータ本体11をねじるように変形させることも可能である。
次に、図7〜図9を参照して、上述したSMAプレートの駆動原理を用いた触角ディスプレイについて説明する。触覚ディスプレイとは、基準面から突出または陥没するように変位可能な部位を有し、これら変位可能な部位を変位させることにより触覚情報を凹凸で表示するものであり、例えば視覚障害者に文字情報や映像情報を伝達するのに用いられる。
図7は、本発明の触覚ディスプレイ30におけるSMAプレート31の作動原理を説明するための図である。本発明の触覚ディスプレイ30では、図7(a)に示したように、SMAプレート31には比較的直径Dの小さいロール形状が記憶せしめられる。そして、SMAプレート31には、SMAプレート31全体の温度が回復温度よりも低い状態でSMAプレート31を長手方向に延ばすようにSMAプレート1に引張力が加えられ、よってSMAプレート31は記憶形状から図7(b)に示したように直線的に延びる形状(初期形状)に変形せしめられる。
その後、レーザビームを照射することによりSMAプレート31の一部を局所加熱すると、局所加熱された部分のみが記憶形状に戻り、凸状(或いは凹状)に変形する。ここで、SMAプレート31が凸状に変形する位置はSMAプレート31にレーザ照射位置を変えることで変更せしめられ、またSMAプレートが凸状に突出する範囲及び高さはレーザ照射出力を変えることで変更せしめられる。
図8は、本発明の触覚ディスプレイ30全体を示す図である。図示したように、短冊状で且つ箔状のSMAプレート31が、基準面32上に互いに平行に並べられる。各SMAプレート31は、その長手方向端部に取り付けられた弾性部材(図示せず)等によりSMAプレート31が長手方向に延びるように引っ張られる。また、触覚ディスプレイ30は、SMAプレート31にレーザビーム34を照射するためのレーザ発振装置33を具備する。レーザ発振装置33としては、SMAプレート31に吸収されるようなレーザビームを発するものであれば如何なるレーザ発振装置が用いられてもよく、本実施形態では、アルゴンイオンレーザ発振装置が用いられる。
レーザ発振装置33から発せられたレーザビームは、図8に示したように、走査装置35のミラー36を介してSMAプレート31に照射される。ミラー36は走査装置35によりその角度が一定の角速度で変更せしめられ、これにより図8に破線で示した四角錐範囲内でSMAプレート31にレーザビーム34を照射することができる。レーザ発振装置33と走査装置35のミラー36との間にはシャッタ37が配置され、このシャッタ37によりレーザビーム34を遮断することができる。従って、走査装置35及びシャッタ37を組み合わせて用いることにより、SMAプレート31の所望の位置にレーザビーム34を照射することができ、すなわちSMAプレート31を回復温度以上にまで局所加熱する位置を任意に連続的に調整することができる。また、レーザ発振装置33は、その照射出力を任意に連続的に調整することが可能であるため、SMAプレート31を回復温度以上にまで局所加熱する範囲を任意に連続的に調整することが可能である。
このように、SMAプレート31を回復温度以上にまで局所加熱する位置及び範囲を任意に連続的に調整することが可能であるため、SMAプレート31を凸状に突出させる位置及び範囲を任意に連続的に調整することができる。従って、SMAプレート31を凸状に突出させる位置及び範囲を適切に制御することにより、触覚情報を凹凸で表示させることができる。
図9(a)は、本発明の触覚ディスプレイ30を構成するSMAプレート31全てが回復温度よりも低い温度となっており、初期状態にある場合を示している。このとき基準面32から突出している部分は無く、よって触覚ディスプレイ30の基準面32上には触覚情報が何も表示されていない。
図9(b)は、SMAプレート31が数箇所局所加熱されている場合を示している。局所加熱されたSMAプレート31の部分は凸状に突出せしめられる。図9(b)に示した例では、触覚ディスプレイ30の基準面32上にSMAプレート31の突出部により文字「A」が表示されている場合を示している。
このように、本発明の触覚ディスプレイ30によれば、SMAプレート31にレーザビームを照射する位置及び範囲を変更することにより、容易にSMAプレート31の突出部の位置及び突出高さを変更することができる。従って、本発明によれば、例えば引用文献2に示したように無数のピンをそれぞれ独立に駆動させることによって基準面上に立体形状を表示する従来のピンディスプレイと異なり、部品点数が少なく機構が簡単である触覚ディスプレイが提供される。
なお、上記実施形態では、短冊状で且つ箔状のSMAプレート31を基準面32上に互いに平行に並べた場合を示しているが、例えば円筒形状を記憶させた一枚の平板等、他の形状のSMAプレートを用いてもよい。
また、上記実施形態の触覚ディスプレイではレーザによりSMAプレートの局所加熱を行っているが、レーザではなく多数のヒータによりSMAプレートの局所加熱を行ってもよい。
さらに、上記実施形態では本発明に係るSMAプレートの駆動原理を利用して触覚情報を凹凸で表示するように触覚ディスプレイにSMAプレートを用いた例を示したが、上記駆動原理の利用対象は触覚ディスプレイに限られない。すなわち、ディスプレイ表面上に三次元的な表示を可能とする3Dディスプレイ等にも利用可能である。この場合、本発明によれば、レーザを用いることによりディスプレイ表面が大きい場合にも本発明を利用可能であり、例えば映画のスクリーンやアミューズメントパークの大型ゲーム等に上記3Dディスプレイを用いることもできる。
形状記憶合金製プレートの駆動原理を説明するための図である。 レーザ照射出力及びスポット径と被加熱範囲径との関係を示す図である。 本発明のアクチュエータに用いられるアクチュエータ本体の構成を示す図である。 本発明のアクチュエータ全体を示す図である。 アクチュエータ本体の変形の様子を示す図である。 本発明のアクチュエータにおいてアクチュエータ本体の端部の移動可能な範囲を示す図である。 本発明の触覚ディスプレイにおけるSMAプレートの作動原理を説明するための図である。 本発明の触覚ディスプレイ全体を示す図である。 本発明の触覚ディスプレイの作動状態を示す図である。
符号の説明
1 SMAプレート
10 アクチュエータ
11 アクチュエータ本体
12 SMAプレート
13 弾性プレート
16 レーザ発振装置
18 走査装置
19 ミラー
20 シャッタ

Claims (7)

  1. 回復温度以上になると所定の記憶形状に戻る形状記憶材料から成る単一の記憶部材と、
    上記記憶部材を上記記憶形状とは異なる形状へと変形させる変形手段と、
    上記記憶部材を局所的に上記回復温度以上に加熱するレーザと、
    上記レーザによって加熱される上記記憶部材の位置及び範囲の少なくともいずれか一方を連続的に制御する加熱領域制御手段とを具備するアクチュエータ。
  2. 回復温度以上になると所定の記憶形状に戻る形状記憶材料から成る単一の記憶部材と、
    上記記憶部材を上記記憶形状とは異なる形状へと変形させる変形手段と、
    上記記憶部材の局所的な複数の部位を上記回復温度以上に加熱可能なレーザとを具備するアクチュエータ。
  3. 上記記憶部材は薄膜状に形成されている請求項1または2に記載のアクチュエータ。
  4. 基準面から突出または陥没するように変位可能な部位を有し、これら変位可能な部位を変位させることにより触覚情報を凹凸で表示する触覚ディスプレイにおいて、
    回復温度以上になると所定の記憶形状に戻る形状記憶材料から成る記憶部材と、
    上記記憶部材を上記記憶形状から上記基準面に沿うような形状へと変形させる変形手段と、
    上記記憶部材を局所的に上記回復温度以上にまで加熱することで、該加熱された部分を上記基準面から突出または陥没させる局所加熱手段と、
    上記局所加熱手段によって加熱される上記記憶部材の位置、範囲、及び変形量のうちの少なくともいずれか一つを制御する加熱領域制御手段とを具備する触覚ディスプレイ。
  5. 複数の短冊状の記憶部材が上記基準面上に互いに平行に並べられる請求項4に記載の触覚ディスプレイ。
  6. 上記局所加熱手段はレーザである請求項4または5に記載の触覚ディスプレイ。
  7. 基準面から突出または陥没するように変位可能な部位を有し、これら変位可能な部位を変位させることにより視覚情報を三次元的に表示する3Dディスプレイにおいて、
    回復温度以上になると所定の記憶形状に戻る形状記憶材料から成る記憶部材と、
    上記記憶部材を上記記憶形状から上記基準面に沿うような形状へと変形させる変形手段と、
    上記記憶部材を局所的に上記回復温度以上にまで加熱することで、該加熱された部分を上記基準面から突出または陥没させる局所加熱手段と、
    上記局所加熱手段によって加熱される上記記憶部材の位置、範囲、及び変形量のうちの少なくともいずれか一つを制御する加熱領域制御手段とを具備する3Dディスプレイ。
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