JP2006241359A - 導電性交互共重合体及びその製造方法、並びにそれを用いた有機電子デバイス及び電界効果トランジスタ - Google Patents

導電性交互共重合体及びその製造方法、並びにそれを用いた有機電子デバイス及び電界効果トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】 キャリア移動に有利な二次元的導電経路を有する結晶構造を形成し、且つ、イオン化ポテンシャルの制御が可能な導電性高分子を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表わされる構成単位Aと、オリゴチオフェン構造を有する構成単位Bとが、交互に結合してなる導電性交互共重合体である。
Figure 2006241359

(式(1)中、R1は各々独立して、炭素数4以上のアルキル基を表わす。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性交互共重合体及びその製造方法、並びにそれを用いた有機電子デバイス及び電界効果トランジスタに関し、より詳しくは、ビアルキルチアゾールとその他の芳香族複素環化合物とが交互に重合した導電性交互共重合体と、この導電性交互共重合体の製造方法に関し、更にはこの導電性交互共重合体を半導体層に含有する有機電子デバイス及び電界効果トランジスタに関する。
近年、有機半導体を半導体層に用いた有機電界効果トランジスタの研究開発が活発に行なわれている。有機電界効果トランジスタにおいては、有機半導体層の持つ機械的フレキシビリティを利用したフレキシブルシートディスプレイの画素駆動素子への応用等が期待されている。また、溶媒に可溶な有機半導体の場合、有機半導体の溶液からの塗布により半導体層を形成することができるため、製造プロセスにおいてコストのかかる工程を経て作製されるシリコンベースの電界効果トランジスタと比べ、安価に製造することが可能となるという利点を有する。
しかし、有機電界効果トランジスタを画素駆動素子へ応用する場合などに必要な高いキャリア移動度を得るためには、有機半導体層において有機半導体低分子或いは有機半導体高分子をキャリア移動が有利なように配列、配向させることが効果的であり、また、その配列、配向部分を大きくすること、及び/又はその配列、配向部分が有機半導体層において占める割合を高くすることが効果的である(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1、特許文献2など参照)。
各種の有機半導体に対し、種々の方法により上述のような配列、配向を得る試みがなされている。例えば、導電性高分子の場合、導電性高分子が本質的に持つ一次元主鎖方向の鎖内導電経路を活かすように、高分子主鎖を電界効果トランジスタのソース電極からドレイン電極の方向へと配向させる試みがなされている。ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジチオフェン)などの液晶相を示す可溶性導電性高分子を半導体層に用いる場合、前述した配向を促す目的で、ソース電極からドレイン電極の方向へラビング処理されたポリイミド絶縁層上に溶液を塗布して半導体層を形成した後、等方相に至るまで加熱してから急冷することにより、高分子主鎖をソース電極からドレイン電極の方向に配向させている。この方法で作製された、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジチオフェン)からなる半導体層を有する電界効果トランジスタにおいては、0.01〜0.02cm2/Vs程度の比較的高いキャリア移動度が得られている(非特許文献2など参照)。
一方、繰り返し単位の結合様式の規則性が高い立体規則的ポリ(3−アルキルチオフェン)などの可溶性導電性高分子においては、溶液塗布からの薄膜形成において、図1に示すように、高分子主鎖内の隣接チオフェン間同士の平面性が高い構造をとり、その結果として強いπ共役を示す。なお、図1は、立体規則的ポリ(3−アルキルチオフェン)が自己組織的に形成する、二次元的導電経路を有する結晶構造を説明するための模式図であり、符号3は基板を表わしている。これとともに、隣接高分子鎖間の相互作用も強くなるような主鎖間π−πスタッキングの配列(図1の符号1の方向)をとり、この配列が更に上下方向に積層する(図1の符号2の方向)結晶構造を自己組織的に形成し易い性質を有している。この強い隣接鎖間相互作用の結果、前述した鎖内導電経路に加え有効な鎖間導電経路も形成するため、二次元的な導電経路を有するようになる(非特許文献1、非特許文献3など参照)。
この二次元的導電経路を有する結晶構造を利用することにより、立体規則的ポリ(3−ヘキシルチオフェン)を半導体層に用いた電界効果トランジスタにおいては、0.05〜0.1cm2/Vsの高いキャリア移動度が報告されている(非特許文献1、非特許文献4など参照)。
有機電界効果トランジスタの有機半導体層に前述した二次元的導電経路を有する結晶構造を利用する方法は、前述した液晶相を利用し高分子主鎖をソース電極からドレイン電極の方向へと配向させ鎖内導電経路のみを利用する方法に比べ、キャリア移動に対して有利であり、また、この結晶構造が溶液塗布後の薄膜形成過程で自己組織的に形成しやすいことから、製造プロセス的にも有利である。
しかしながら、高い立体規則性を有するポリ(3−アルキルチオフェン)が作るこの二次元的導電経路を有する結晶構造においては、前述したように高分子主鎖内の隣接チオフェン間同士の平面性が高い構造をとり易いために、ポリ(3−アルキルチオフェン)のイオン化ポテンシャルが小さくなり、空気中の酸素等がドーパントとして働くために、半導体層として用いた場合の電界効果トランジスタにおいてはオン/オフ比が低下してしまうという課題が存在する(非特許文献5など参照)。
一方、チアゾール化合物に代表されるイミン結合部位を主鎖π共役骨格に持つ導電性高分子においては、イミン結合部位導入によりイオン化ポテンシャルを大きくすることが可能であり、且つ、ビチアゾール誘導体を繰り返し単位とする結合様式の規則性が高い立体規則的可溶性導電性高分子において、前述した高い立体規則性を有するポリ(3−アルキルチオフェン)における二次元的導電経路を有する結晶構造を形成するものが見出されている(非特許文献6など参照)。従って、前記ビチアゾール誘導体を繰り返し単位とする高い立体規則性を有する可溶性導電性高分子を半導体層とした場合、上述の空気中における酸素ドーパントの課題を回避することが可能である。
しかしながら、前記ビチアゾール誘導体を繰り返し単位とする高い立体規則性を有する導電性高分子を半導体層に用い、金電極をソース電極に用いた場合、前記導電性高分子のイオン化ポテンシャルが大きいために、正孔キャリアがソース電極から半導体層に注入され難いという課題が存在する。
Nature,1999年,401巻,p.685 Applied Physics letters,2000年,77巻,p.406 Physical Review B,2001年,63巻,p.125204 Synthetic Metals,1999年,102巻,p.857 Advanced Solid State Physics,1999年,39巻,p.101 Journal of American Chemical Society,1998年,120巻,p.2047 特開平11−195790号公報 特表2003−502874号公報
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、キャリア移動に有利な二次元的導電経路を有する結晶構造を形成し、且つ、イオン化ポテンシャルの制御が可能な導電性高分子及びその製造方法を提供すること、並びにその導電性高分子を半導体層に含有する有機電子デバイス及び電界効果トランジスタを提供することに存する。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ビチアゾール誘導体由来の構成単位と縮合環構造を有するものを除く他の芳香族複素環化合物由来の構成単位とが交互に結合した導電性交互共重合体が、前述したキャリア移動に有利な二次元的導電経路を有する結晶構造を形成し、且つ、イオン化ポテンシャルの制御が可能であることを見出し、この導電性交互共重合体を用いることによって、上記課題が効果的に解決されるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記一般式(1)で表わされる構成単位Aと、下記一般式(2)で表わされる構成単位Bとが、交互に結合してなることを特徴とする、導電性交互共重合体に存する(請求項1)。
Figure 2006241359
(式(1)中、R1は各々独立して、炭素数4以上のアルキル基を表わす。)
Figure 2006241359
(式(2)中、R2〜R7は各々独立して、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表わす。R2とR3、R4とR5、R6とR7は、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。n及びmは各々独立して、0以上、2以下の整数を表わす。)
ここで、上記一般式(2)の構成単位Bが、下記式(3)で表わされることが好ましい(請求項2)。
Figure 2006241359
また、上記一般式(2)の構成単位Bが、下記一般式(4)で表わされるのも好ましい(請求項3)。
Figure 2006241359
(式(4)中、R8は各々独立して、炭素数4以上のアルキル基を表わす。)
また、本発明の別の要旨は、導電性交互共重合体を製造する方法であって、下記一般式(5)で表わされる単量体と、下記一般式(6)で表わされる単量体とを、下記一般式(7)で表わされる錯体化合物を触媒として重合させることを特徴とする、導電性交互共重合体の製造方法に存する(請求項4)。
Figure 2006241359
Figure 2006241359
(式(5)及び式(6)中、A及びBは、上記式(1)及び上記式(2)と同義であり、X及びYは各々独立して、ハロゲン原子、又は、−Sn(R93で表わされるスタニル基である(R9は、炭素数4以下のアルキル基である。)。)
Figure 2006241359
(式(7)中、Lp及びLoは各々独立して、トリフェニルホスフィン、トリアルキルホスフィン、アルケン、アレン、及びジベンジリデンアセトンから選択される化合物に由来するリガンドであり、n’及びm’はそれぞれ、0≦n’≦4、0≦m’≦4、n’+m’≦4を満たす整数である。)
また、本発明の別の要旨は、上述の導電性高分子を含有する半導体層を備えたことを特徴とする、有機電子デバイスに存する(請求項5)。
また、本発明の別の要旨は、基板と、該基板上に設けられた絶縁体層と、該絶縁体層により隔離されるように設けられたゲート電極及び電荷輸送層と、該電荷輸送層に接するように設けられたソース電極及びドレイン電極とを備え、該電荷輸送層が、上述の導電性高分子を含有する半導体層であることを特徴とする、電界効果トランジスタに存する(請求項6)。
本発明の導電性交互共重合体は、キャリア移動が有利な二次元的導電経路を有する結晶構造を形成する上に、イオン化ポテンシャルが制御可能である。従って、本発明の導電性交互共重合体を用いることによって、例えば電界効果トランジスタ等の有機電子デバイスにおいて、優れた半導体層を形成することが可能である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
[I.導電性交互共重合体]
<I−1.導電性交互共重合体の特徴>
本発明に係る導電性交互共重合体は、下記一般式(1)で表わされる構成単位Aと、下記一般式(2)で表わされる構成単位Bとが、交互に結合してなるものである。
Figure 2006241359
上記一般式(1)中、R1は各々独立して、炭素数4以上のアルキル基を表わす。アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状の何れであっても良く、これらが結合したものであっても良い。中でも、得られる導電性交互共重合体の溶解性が良く、且つ、前述した二次元的導電経路を有する結晶構造を形成し易いという理由から、直鎖状アルキル基が好ましい。R1の炭素数の下限は上述の様に4以上であり、炭素数の上限は特に制限されないが、好ましくは12以下、より好ましくは10以下の範囲である。直鎖状アルキル基の具体例としては、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等が挙げられるが、中でもn−ヘキシル基が好ましい。
Figure 2006241359
上記一般式(2)中、R2〜R7は各々独立して、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表わす。アルキル基又はアルコキシ基の炭素数は特に制限されないが、通常4以上、中でも6以上、また、通常12以下、中でも10以下の範囲であることが好ましい。中でも、得られる導電性交互共重合体の溶解性が良く、且つ、前述した二次元的導電経路を有する結晶構造を形成し易いという理由から、R2〜R7は各々独立に、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状の何れであっても良く、これらが結合したものであっても良いが、直鎖状アルキル基が好ましい。直鎖状アルキル基の具体例としては、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等が挙げられるが、中でもn−ヘキシル基が好ましい。また、R2とR3、R4とR5、及び/又は、R6とR7が、それぞれ互いに結合して環を形成していても良い。環の員数は制限されないが、5員環又は6員環であることが好ましい。n及びmは各々独立に、0以上、2以下の整数を表わす。中でも、0又は1であることが好ましい。nとmは同じであっても良く、異なっていても良いが、同じであることが好ましい。特に、R2=R7、R3=R6、R4=R5、n=mであること、即ち、式(2)の構成単位Bは対称形であることが好ましい。
式(2)の構成単位Bは、式(2)の構成単位Bのみから成る導電性高分子において、前述した二次元的導電経路を有する結晶構造を形成し易いという点でも好ましい。更に、前述した様に空気中での酸素ドーピングの課題が回避でき、且つ、金、銀、銅、ITOなどの汎用な電極からのキャリア注入が起こり易いような、適切なイオン化ポテンシャルを取るという点でも好ましい。
上記式(2)の構成単位Bの例としては、ビチオフェン化合物、ターチオフェン化合物、クオーターチオフェン化合物、3,4−エチレンジオキシチオフェン、ビス−3,4−エチレンジオキシチオフェン等に由来する構成単位が挙げられる。これらの中でも、前述した二次元的導電経路を有する結晶構造をより形成し易いという理由から、上記式(2)の構成単位Bとしては、下記式(3)で表わされる3,4−エチレンジオキシチオフェン由来の構成単位、又は、下記一般式(4)で表わされるターチオフェン化合物由来の構成単位が特に好ましい。
Figure 2006241359
Figure 2006241359
上記一般式(4)中、R8は各々独立して、炭素数4以上のアルキル基を表わす。アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状の何れであっても良く、これらが結合したものであっても良いが、直鎖状アルキル基が好ましい。炭素数は上述の様に4以上であるが、中でも6以上が好ましく、また、通常12以下、中でも10以下の範囲であることが好ましい。直鎖状アルキル基の具体例としては、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等が挙げられるが、中でもn−ヘキシル基が好ましい。
本発明の導電性交互共重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値で、数平均分子量(Mn)が通常1000以上、好ましくは3000以上、また、通常100000以下、好ましくは50000以下の範囲であり、重量平均分子量(Mw)が通常3000以上、好ましくは5000以上、また、通常100000以下、好ましくは50000以下、更に好ましくは25000以下の範囲である。
また、本発明の導電性交互共重合体の平均繰り返し数(式(1)の構成単位A及び式(2)の構成単位Bの繰り返し数)は、通常5以上、好ましくは20以上、また、通常200以下、好ましくは100以下の範囲である。なお、平均繰り返し数は、公知の方法(例えばGPC、質量分析法(MS)など)によって求めれば良い。
<I−2.導電性高分子の製造方法>
本発明の導電性交互共重合体は、特に、高い位置規則性を有する共重合体が得られるという側面から、下記一般式(5)で表わされる単量体(以下適宜「単量体(5)」という。)と、下記一般式(6)で表わされる単量体(以下適宜「単量体(6)」という。)を混合し、触媒として下記一般式(7)で表わされる錯体化合物(以下適宜「パラジウム触媒(7)」という。)を用い、共重合反応(通常は、stilleカップリング反応による共重合反応)を行なうことにより製造される。
Figure 2006241359
Figure 2006241359
式(5)及び式(6)中、A及びBは、上記式(1)及び上記式(2)と同義であり、X及びYは各々独立して、ハロゲン原子、又は、−Sn(R93で表わされるスタニル基である(ここでR9は、炭素数4以下のアルキル基である。)。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、中でも臭素原子が好ましい。
一方、スタニル基の有するアルキル基R9としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられるが、中でもメチル基又はn−ブチル基が好ましい。3つのアルキル置換基R9は、同じであっても異なっていても良いが、全て同じであることが好ましい。
式(5)の2つのX、及び、式(6)の2つのYは、それぞれ互いに同じでも良く、異なっていても良いが、通常は、ハロゲン原子同士の組み合わせ、又は、スタニル基同士の組み合わせとなる。即ち、単量体(5)及び単量体(6)は、通常はジハロゲン化物又はジスタニル体の形態を取る。
単量体(5)は、例えば下記反応式(A)で表わされるように、ハロゲノアルカノンとジチオキサミドを出発原料とした反応により、下記一般式(8)で表わされるビチアゾール化合物を中間体として合成される(Chemistry of Materials,1995年,7巻,p.2232など参照)。
Figure 2006241359
なお、上記反応式(A)において、R1及びXはそれぞれ上記式(1)及び上記式(5)と同様の定義を表わす。
上記反応式(A)に示す反応を段階的に説明すると、下記のようになる。
まず、出発原料であるハロゲノアルカノンと、ジチオキサミドを、エタノール等のアルコール溶媒中で反応させて、中間体であるビチアゾール化合物(8)を製造する。
次に、目的とする単量体(5)がジハロゲン化物の場合には、中間体のビチアゾール化合物(8)を、ジメチルホルムアミド、四塩化炭素、又は酢酸のような溶媒中で、N−ブロモサクシイミドや、ブロミンを用いハロゲン化反応を行なうことにより、合成することができる。
また、目的とする単量体(5)がジスタニル体の場合には、中間体のビチアゾール化合物(8)を、テトラヒドロフラン、ヘキサン等の溶媒中で、n−ブチルリチウムなどの塩基を反応させアニオンを形成し、トルブチル錫クロライドや、トリメチル錫クロライドのような錫化物と反応させることにより、合成することができる。
一方、単量体(6)は、単量体(5)と同様に、式(2)の構成単位Bの骨格を持つ化合物、例えば、ターチオフェン化合物、クオーターチオフェン化合物、3,4−エチレンジオキシチオフェン、ビス−3,4−エチレンジオキシチオフェン等の化合物を前駆体として合成できる(Chemistry - A European Journal,2002年,8巻,10号,p.2384、Journal of Materials Chemistry,1999年,9巻,p.865など参照)。
例えば、単量体(6)がジハロゲン化物の場合、ジメチルホルムアミド、四塩化炭素、酢酸等の溶媒中で、N−ブロモサクシイミドやブロミンを用いてハロゲン化反応を行なうことにより、合成することができる。
また、単量体(6)がジスタニル体の場合、テトラヒドロフラン、ヘキサン等の溶媒中で、n−ブチルリチウムなどの塩基と反応させてアニオンを形成し、トルブチル錫クロライド、トリメチル錫クロライドなどの錫化物と反応させることにより、合成することができる
Figure 2006241359
上記一般式(7)中、Lp及びLoは各々独立して、トリフェニルホスフィン、トリアルキルホスフィン(トリメチルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等)、アルケン(エチレン、プロピレン等)、アレン(スチレン等)、及び、ジベンジリデンアセトンから選択される化合物に由来するリガンドを表わす。中でも、トリフェニルホスフィン又はトリアルキルホスフィンに由来するリガンドが好ましい。
また、上記一般式(7)中、n’及びm’はそれぞれ、0≦n’≦4、0≦m’≦4、n’+m’≦4を満たす整数である。
パラジウム触媒(7)の具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキストリメチルホスフィンパラジウム、ビスエチレンビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビスエチレンビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ビススチレンビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビススチレンビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ビストリt−ブチルホスフィンパラジウム、ビストリシクロヘキシルホスフィンパラジウム、ジベンジリデンアセトンホスフィンパラジウム等が挙げられる。中でもテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキストリメチルホスフィンパラジウムが好ましく、更にはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。
共重合反応の手順は特に制限されないが、通常は、原料となる単量体(5)及び単量体(6)を溶媒に溶解させ、得られた溶液中にパラジウム触媒(7)を加えることにより行なう。
溶媒は、上述の単量体(5)及び単量体(6)を好適に溶解させるものであって、反応に好ましからぬ影響を及ぼすものでない限り、その種類は特に制限されないが、例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアルデヒド等のケトン系溶媒等が挙げられる。中でもトルエン、ジメチルホルムアミドが好ましく、更にはジメチルホルムアミドが好ましい。
パラジウム触媒(7)の使用量は、原料となる単量体(5)及び単量体(6)の合計量に対する比率で、通常1モル当量以上、好ましくは5モル当量以上、また、通常50モル当量以下、好ましくは20モル当量以下の範囲である。
反応は通常、不活性雰囲気下で行なう。具体的には、低酸素濃度環境下で行なうことが好ましく、また、アルゴンや窒素等の不活性ガスの乾燥気流下で行なうことが好ましい。
反応時の温度は、通常25℃以上、好ましくは60℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲である。
反応時の圧力は特に制限されないが、通常は常圧又は減圧下で行なう。
反応時間は反応条件によって異なるが、通常1時間以上、120時間以下である。
反応後、メタノール等の溶媒に反応液を注ぎ、沈殿した固体を濾過により取得後、希塩酸水溶液、続いて希アンモニア水溶液と撹拌し洗浄後、更に水で洗浄する。乾燥後、必要に応じて、メタノール、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の適当な溶媒を用いたソックスレー抽出によりポリチオフェン生成物を抽出し、ポリマー生成物を単離することができる。
<I−3.導電性交互共重合体の特性及び用途>
本発明の導電性交互共重合体は、絶縁体よりは電気を通しやすいが、本質的な電荷を持っていないために、金属領域の電気伝導度よりは電気を通しにくいものである。その電気伝導度は通常10-6S/cm以下、好ましくは10-7S/cm以下、また、通常10-12S/cm以上、好ましくは10-11S/cm以上である。
また、本発明の導電性交互共重合体は、好ましくは可溶性である。ここで「可溶性」とは、常温、常圧の条件下において、例えばトリフルオロ酢酸に、0.01重量%以上の濃度で溶解することをいう。好ましくは、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、THF等の溶媒に、常温且つ{(溶媒の沸点)−10℃}以下の温度において、常圧条件下、0.01重量%以上の濃度で溶解することをいう。
本発明の導電性交互共重合体は、キャリア移動が有利な二次元的導電経路を有する結晶構造を形成するため、主鎖内π共役平面が高い上に、イオン化ポテンシャルが調節可能であるため、空気中における酸素ドーパントの課題が回避でき、更に、ソース電極からの正孔キャリア注入効率も向上する。従って、例えば電界効果トランジスタ等の有機電子デバイスにおいて、優れた半導体層を形成することが可能である。
以上の効果を有することから、本発明の導電性交互共重合体は、各種の有機電子デバイスの電荷輸送材料として、好適に使用することができる。有機電子デバイスの中でも、電界効果トランジスタ(FET)や、光により起電力を生じる太陽電池、光電流を生じるフォトダイオード、フォトトランジスター等の光素子、有機EL素子などの電荷輸送材料に用いることが好ましい。
[II.有機電子デバイス]
本発明に係る有機電子デバイスは、本発明の導電性交互共重合体を有機半導体として用い、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、又は化学物質等により制御するデバイス、或いは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場を発生させる装置である。例えば、電圧や電流の印加により電流や電圧を制御する素子、磁場の印加による電圧や電流を制御する素子、化学物質を作用させて電圧や電流を制御する素子が挙げられる。この制御としては、整流、スイッチング、増幅、発振が挙げられる。現在シリコン等で実現されている対応するデバイスとしては、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、化学センサー等、或いはこれらの素手の組み合わせや集積化したデバイスが挙げられる。
有機電子デバイスのより具体的な例としては、Physics of Semiconductor Devices, 2nd Edition,S. M. Sze著,Wi1ey-Interscience刊,1981年に記載されているものを挙げることができる。
本発明の有機デバイスの中でも特に好ましいのは、上述のように、電界効果トランジスタ(FET)である。図2(a)〜(c)はそれぞれ、本発明の有機電子デバイスの一種である電界効果トランジスタ(以下「本発明の電界効果トランジスタ」或いは「本発明のFET」と略する場合がある。)の構成例を模式的に示す断面図である。本発明の電界効果トランジスタの基本的な構造は、図2(a)〜(c)に示すように、支持基板100上に、絶縁体層300と、この絶縁体層300により隔離されたゲート電極200及び電荷輸送層400と、この電荷輸送層400に接するように設けられたソース電極500及びドレイン電極600とを有するものである。各層が積層される順番は特に制限されず、図2(a)〜(c)の何れの順序で積層されていてもよい。更には、本発明の電界効果トランジスタは何ら図2(a)〜(c)に示す構造の電界効果トランジスタに限定されず、更に図2(a)〜(c)に示される層以外の層が形成されていても良い。
本発明の導電性交互共重合体を有機電子デバイスに用いる場合には、基板等の上に成膜して半導体膜として用いることが適当である。
成膜対象となる基板の材料は、電界効果トランジスタ及びその上に作製される表示素子、表示パネル等を支持できるものであれば、その種類は特に制限されない。例としては、ガラス等の無機基板やポリマーからなるプラスチック基板が挙げられる。中でも好ましくは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、アモルファスポリオレフィン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ビニル系ポリマー、ポリパラバン酸、ポリシルセスキオキサン、及びシロキサンよりなる群から選択されるプラスチック基板が好適である。更に、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル類やポリカーボネート等の汎用樹脂が強度やコストの点から好ましく、また、ポリイミド、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリパラバン酸等の縮合系高分子や、熱処理などにより不溶化が行なえるポリビニルフェノール等の架橋体が耐熱性や耐溶剤性の点から好ましい。支持基板の構成材料としては、特に、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールが好ましく、最も好ましいのはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル及びポリイミドである。
導電性交互共重合体を成膜する方法も特に制限はなく、公知の方法を用いて成膜することができる。例えば、導電性交互共重合体を有機溶媒に溶解させた溶液を用いた塗布プロセスは、簡便に多層構造素子を作製する場合に好適である。
塗布の方法としては、溶液をたらして乾燥するだけのキャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、更にはこれらの手法を複数組み合わせた方法を用いることができる。更に、塗布に類似の技術として、水面上に形成した単分子膜を基板に移し積層するラングミュア・ブロジェット法、液晶や融液状態を2枚の基板で挟んだり毛管現象で基板間に導入したりする方法等も挙げられる。
本発明の導電性交互共重合体を用いた半導体膜の膜厚は特に制限されない。先に例示した電界効果トランジスタの場合、素子の特性は必要な膜厚以上であれば膜厚には依存しない。膜厚が厚くなると漏れ電流が増加してくることが多い。従って、好ましい膜厚は、通常1nm以上、好ましくは10nm以上である。また、通常10μm以下、中でも500nm以下が望ましい。
また、本発明の導電性交互共重合体は、それを単独で用いることはもちろんであるが、他の材料との混合で用いることもできるし、更には他の層との積層構造で用いることも出来る。
作製された半導体膜は、後処理により特性を改良することが可能である。例えば、加
熱処理により、成膜時に生じた膜中の歪みを緩和することができ、特性の向上や安定化を図ることができる。更に、酸素や水素等の酸化性或いは還元性の気体や液体にさらすことにより、酸化或いは還元による特性変化を誘起することもできる。これは例えば膜中のキャリア密度の増加或いは減少の目的で利用することができる。
有機電子デバイスを作製する際の電極や配線には、金、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属、InO2、SnO2、ITO等の導電性の酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、等の導電性高分子及びそれに塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウムカリウム等の金属原子等のドーピングされた材料、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、等の半導体及びそのドーピングされた材料、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料や金属粒子を分散した導電性の複合材料等の、導電性を有する材料が用いられる。これらを形成する方法も、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等を用いることができる。また、そのパターニング方法も、フォトレジストのパターニングとエッチング液や反応性のプラズマでのエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法及びこれらの手法を複数組み合わせた手法を利用することができる。また、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して材料を除去したり材料の導電性を変化させたりすることにより、直接パターンを作製することも利用できる。
形成した電荷輸送膜や電極、配線等の表面には、外気の影響を最小限にするために、保護膜を形成することができる。これには、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール等のポリマー膜、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化膜や窒化膜等が挙げられる。ポリマー膜の形成方法としては、ポリマー溶液を塗布、乾燥する方法や、モノマーを塗布或いは蒸着して重合する方法等が挙げられる。更には、架橋処理を施したり、多層膜を形成することも可能である。無機物の膜の形成には、スパッタ法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法に代表される溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。
本発明の有機電子デバイスは、その種類に応じて任意の用途に用いることができる。例えば、本発明の電界効果トランジスタは、ディスプレーのアクティブマトリクスのスイッチング素子として利用することが出来る。これは、ゲートに印加される電圧でソースとドレイン間の電流をスイッチング出来ることを利用して、ある表示素子に電圧を印加或いは電流を供給する時のみスイッチを入れ、その他の時間は回路を切断することにより、高速、高コントラストな表示を行なうものである。また、従来のアクティブマトリクスの代替としても、省エネルギープロセス、低コストプロセスの可能な素子として有利である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載中、水は全て蒸留水を使用した。
[実施例1: ポリ(4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾール−コ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)の合成]
アルゴン雰囲気下、反応器に、5,5’−ジブロム−4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾール0.21g(0.43mmol)と、2,5−ビス(トリ−n−ブチルスタニル)−3,4−エチレンジオキシチオフェン0.31g(0.43mmol)と無水ジメチルホルムアミド17mlを入れ、更にテトラキストリフェニルホスフィン50mg(0.04mmol)を加え、90℃に加熱して24時間、攪拌しながら重合反応を行なった。
重合反応の終了後、反応液をメタノール250mlに注ぎ、1時間攪拌した。析出した固体を濾過により分離し、1Nの塩酸水溶液250mlで2回、1Nのアンモニア水250mlで2回、水250mlで2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥後、メタノール、アセトン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム、トルフルオロ酢酸を用いたソックスレー抽出により精製することにより、クロロホルム相から青紫色の固体状の重合生成物61mgを得た。原料に対する重量比から求めた収率は30%であった。
得られた重合生成物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を、ポリスチレン標準との比較より求めたところ、重量平均分子量(Mw)は5235、数平均分子量(Mn)は4513であった。
また、得られた重合生成物の1H−NMRスペクトルを、室温において、バリアンINOVE400NMRスペクトロメータを用いて測定した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) d(ppm) 0.79 (m, CH3), 1.19 (m, (CH2)3), 1.74 (m, β-CH2), 2.94 (m, α-CH2), 4.35 (m, -OCH2CH2O-)
以上の結果より、得られた重合生成物が、ポリ(4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾール−コ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)であることが確認された。これを以下、適宜「実施例1の導電性交互共重合体」という。
[実施例2:ポリ(4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾール−コ−3,3”−ジヘキシル−2,2’:5’,2”−ターチオフェン)の合成]
アルゴン雰囲気下、反応器に、5,5’−ビス(n−トリブチルスタニル)−4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾール0.54g(0.50mmol)と、5,5”−ジブロモ−3,3”−ジヘキシル−2,2’:5’,2”−ターチオフェン0.34g(0.59mmol)と無水ジメチルホルムアミド34mlを入れ、更にテトラキストリフェニルホスフィン58mg(0.05mmol)を加え、90℃に加熱して60時間、攪拌しながら重合反応を行なった。
重合反応の終了後、反応液をメタノール250mlに注ぎ、1時間攪拌した。析出した固体を濾過により分離し、1Nの塩酸水溶液250mlで2回、1Nのアンモニア水250mlで2回、水250mlで2回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥後、メタノール、アセトン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、及びクロロホルムを用いたソックスレー抽出により精製することにより、クロロホルム相から赤紫色の固体状の重合生成物98mgを得た。原料に対する重量比から求めた収率は26%であった。
得られた重合生成物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を、ポリスチレン標準との比較より求めたところ、重量平均分子量(Mw)は17274、数平均分子量(Mn)は10864であった。
また、得られた重合生成物の1H−NMRスペクトルを、室温において、バリアンINOVE400NMRスペクトロメータを用いて測定した。その結果を以下に示す。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) d (ppm) 0.91 (m, CH3), 1.35 (m, (CH2)3), 1.70 (m, β-CH2), 1.82 (m, β-CH2), 2.81 (m, α-CH2), 2.98 (m, α-CH2), 7.06, (s, Thiophene-H), 7.14 (s, Thiophene-H)
以上の結果より、得られた重合生成物が、ポリ(4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾール−コ−3,3”−ジヘキシル−2,2’:5’,2”−ターチオフェン)であることが確認された。これを以下、適宜「実施例2の導電性交互共重合体」という。
[実施例3]
実施例1の導電性交互共重合体を0.06重量%の濃度となるようにトリフオロ酢酸に加え、加熱して溶解させた。得られた溶液を石英基板上にキャストして100nmの厚さに成膜し、吸光度計測器(島津製作所 UV-3100PC UV-VIS-NIR Scanning Spectrophotometer)により紫外−可視吸収スペクトルを測定した。結果を図3に示す。630nm近辺の吸収ピークは、Macromolecules,1998年,31巻,p.7273(以下、適宜「参考文献A」という。)や上述の非特許文献3などに記載されているように、ポリ(4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾール−コ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)の主鎖における隣接チアゾール間同士及び隣接チアゾール−チオフェン間同士の平面性が高いために起こる振電(バイブロニック)構造における0−0遷移に帰属される。
[実施例4]
実施例2の導電性交互共重合体を0.3重量%の濃度となるようにクロロホルム溶液に加え、加熱して溶解させた。得られた溶液を石英基板上にキャストして300nmの厚さに成膜し、吸光度計測器(島津製作所 UV-3100PC UV-VIS-NIR Scanning Spectrophotometer)により紫外−可視吸収スペクトルを測定した。結果を図4に示す。620nm近辺の吸収ピークは、上述の参考文献Aや非特許文献3などに記載されているように、ポリ(4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾール−コ−3,3”−ジヘキシル−2,2’:5’,2”−ターチオフェン)の主鎖における隣接チアゾール間同士及び隣接チアゾール−チオフェン間同士、並びに隣接チオフェン間同士の平面性が高いために起こる振電(バイブロニック)構造における0−0遷移に帰属される。
[実施例5]
実施例1の導電性交互共重合体を0.06重量%の濃度でトリフルオロ酢酸に溶解させた溶液を調製し、これを石英基板上にキャストして100nmの厚さに成膜し、実施例1の導電性交互共重合体のキャスト膜を作製した。得られたキャスト膜に対して、インプレーンゴニオメーター(リガク製RINT2000)を用い、斜入射X線回折測定を行なった。結果を図5に示す。図5における5.5度近辺のピークは、ポリ(4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾール−コ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)の主鎖間π−πスタッキングの配列が更に上下方向に積層している(図1中、符号2の方向)ことに由来する回折ピークである。
[実施例6]
実施例2の導電性交互共重合体を0.3重量%の濃度でクロロホルムに溶解させた溶液を調製し、これを石英基板上にキャストして300nmの厚さに成膜し、実施例2の導電性交互共重合体のキャスト膜を作製した。得られたキャスト膜に対して、インプレーンゴニオメーター(リガク製RINT2000)を用い、斜入射X線回折測定を行なった。結果を図6に示す。図6における5.5度近辺のピークは、ポリ(4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾール−コ−3,3”−ジヘキシル−2,2’−5’,2”−ターチオフェン)の主鎖間π−πスタッキングの配列が、更に上下方向に積層している(図1中、符号2の方向)ことに由来する回折ピークである。
上述の実施例3〜6より、実施例1の導電性交互共重合体及び実施例2の導電性交互共重合体は、図1に示されるような二次元的導電経路を有する結晶構造を形成しており、主鎖におけるπ共役の平面性が高いことが示された。
[実施例7]
実施例1の導電性交互共重合体を0.06重量%の濃度となるようにトリフルオロ酢酸に溶解させた溶液を調製し、これをITOガラス上にキャストして、実施例1の導電性交互共重合体の膜厚100nmのキャスト膜を成膜した。このキャスト膜を作用電極とし、白金線対極、Ag/Ag+参照電極、0.1Mテトラブチルアンモニウム過塩素酸塩/アセトニトリル支持電解質溶液を用いて、サイクリックボルタンメトリー(EG&G Instruments Princeton Applied Research Potetiostat / Galvanostat Model 273A)による測定を行なった。電位補正はフェロセン/フェロセニウム酸化還元にて行なった。実施例1の導電性交互共重合体に対する酸化電流の立ち上がりは−0.18V(vs. Ag/Ag+)であった。従って、このキャスト膜における実施例1の導電性交互共重合体のイオン化ポテンシャルは、4.84eVと見積もられる。
[実施例8]
実施例2の導電性交互共重合体を0.3重量%の濃度となるようにクロロホルムに溶解させた溶液を調製し、これをITOガラス上にキャストして、実施例2の導電性交互共重合体の膜厚300nmのキャスト膜を成膜した。このキャスト膜を作用電極とし、白金線対極、Ag/Ag+参照電極、0.1Mテトラブチルアンモニウム過塩素酸塩/アセトニトリル支持電解質溶液を用いて、サイクリックボルタンメトリー(EG&G Instruments Princeton Applied Research Potetiostat / Galvanostat Model 273A)による測定を行なった。電位補正はフェロセン/フェロセニウム酸化還元にて行なった。実施例2の導電性交互共重合体に対する酸化電流の立ち上がりは0.29V(vs. Ag/Ag+)であった。従って、このキャスト膜における実施例2の導電性交互共重合体のイオン化ポテンシャルは、5.31eVと見積もられる。
上述の実施例7及び実施例8より、ビチアゾール化合物と縮合環構造を有するものを除く他の芳香族複素環化合物が交互に結合した二次元的導電経路を有する結晶構造を形成する実施例1及び実施例2の導電性交互共重合体において、イオン化ポテンシャルの制御が可能であることが示された。
本発明の導電性交互共重合体は、各種の有機電子デバイスの電荷輸送材料として、好適に使用することができる。中でも、電界効果トランジスタ(FET)や、光により起電力を生じる太陽電池、光電流を生じるフォトダイオード、フォトトランジスター等の光素子、有機EL素子などの電荷輸送材料に用いることが好ましい。
導電性高分子の一種である立体規則的ポリ(3−アルキルチオフェン)が自己組織的に形成する、二次元的導電経路を有する結晶構造を説明するための模式図である。 (a)〜(b)は何れも、本発明の導電性交互共重合体を用いた電界効果トランジスタの構成例を模式的に表わす断面図である。 実施例1の導電性交互共重合体のキャスト膜の紫外−可視吸収スペクトルである。 実施例2の導電性交互共重合体のキャスト膜の紫外−可視吸収スペクトルである。 実施例1の導電性交互共重合体のキャスト膜に対する斜入射X線回折測定結果である。 実施例2の導電性交互共重合体のキャスト膜に対する斜入射X線回折測定結果である。
符号の説明
1 主鎖間π−πスタッキング配列の方向
2 主鎖間π−πスタッキング配列の積層方向
3 基板
100 基板
200 ゲート電極
300 絶縁体層
400 電荷輸送層(半導体層)
500 ソース電極
600 ドレイン電極

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表わされる構成単位Aと、下記一般式(2)で表わされる構成単位Bとが、交互に結合してなる
    ことを特徴とする、導電性交互共重合体。
    Figure 2006241359
    (式(1)中、R1は各々独立して、炭素数4以上のアルキル基を表わす。)
    Figure 2006241359
    (式(2)中、
    2〜R7は各々独立して、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表わす。R2とR3、R4とR5、R6とR7は、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。
    n及びmは各々独立して、0以上、2以下の整数を表わす。)
  2. 上記一般式(2)の構成単位Bが、下記式(3)で表わされる
    ことを特徴とする、請求項1記載の導電性交互共重合体。
    Figure 2006241359
  3. 上記一般式(2)の構成単位Bが、下記一般式(4)で表わされる
    ことを特徴とする、請求項1記載の導電性交互共重合体。
    Figure 2006241359
    (式(4)中、R8は各々独立して、炭素数4以上のアルキル基を表わす。)
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の導電性交互共重合体を製造する方法であって、
    下記一般式(5)で表わされる単量体と、下記一般式(6)で表わされる単量体とを、下記一般式(7)で表わされる錯体化合物を触媒として重合させる
    ことを特徴とする、導電性交互共重合体の製造方法。
    Figure 2006241359
    Figure 2006241359
    (式(5)及び式(6)中、
    A及びBは、上記式(1)及び上記式(2)と同義であり、
    X及びYは各々独立して、ハロゲン原子、又は、−Sn(R93で表わされるスタニル基である(R9は、炭素数4以下のアルキル基である。)。)
    Figure 2006241359
    (式(7)中、
    Lp及びLoは各々独立して、トリフェニルホスフィン、トリアルキルホスフィン、アルケン、アレン、及びジベンジリデンアセトンから選択される化合物に由来するリガンドであり、
    n’及びm’はそれぞれ、0≦n’≦4、0≦m’≦4、n’+m’≦4を満たす整数である。)
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載の導電性高分子を含有する半導体層を備えた
    ことを特徴とする、有機電子デバイス。
  6. 基板と、
    該基板上に設けられた絶縁体層と、
    該絶縁体層により隔離されるように設けられたゲート電極及び電荷輸送層と、
    該電荷輸送層に接するように設けられたソース電極及びドレイン電極とを備え、
    該電荷輸送層が、請求項1〜3の何れか一項に記載の導電性高分子を含有する半導体層である
    ことを特徴とする、電界効果トランジスタ。
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