JP2006239593A - 乳化装置、乳化方法及び微小粒子の製造方法 - Google Patents

乳化装置、乳化方法及び微小粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 径の等しい分散相粒子が分散したエマルションを製造する。
【解決手段】 連続相となる材料が収納される容器である連続相収納容器4と、円筒形状で円筒の壁を貫通する同一形状で同一面積の複数の孔3が形成され、円筒形状の中心軸線方向を鉛直方向として連続相収納容器内4に設けられた、分散相となる材料が収納される容器である分散相収納容器2とを有する乳化装置1と、連続相となる材料と、分散相となる材料とを用意する。そして、分散相収納容器2に分散相を収納し、連続相収納容器4に連続相を孔3が浸漬されるように収納する。この後、中心軸線を回転中心として前記分散相収納容器2を連続相収納容器4内で一定速度にて回転し、その遠心力により分散相を孔3から連続相に押し出して分散相を連続相に分散させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、分散相を連続相中に分散させたエマルションを製造する乳化装置及び乳化方法、並びに、得られた分散相の粒子を硬化して微小粒子を得る微小粒子の製造方法に関する。
水と油のような本来混ざり合わないような物質でも、一方の物質を微小な粒子として分散させることで、見かけ上混合した状態とすることができ、この現象を乳化と呼ぶ。このような状態を保持するためには、分散している粒子の径が小さく比較的均一である必要がある。そして、このような乳化現象は粒径分布の小さい微粒子を形成する技術として利用されている。このような乳化方法及び微粒子の形成方法としては、例えば、以下の技術が知られている。
まず、特許文献1には、連続相と呼ばれる液体に微粒子化して分散させたい物質を投入し、機械的に攪拌を行うことでせん断力を繰り返し与え、乳化分散体を得る技術が開示されている。
特許文献2には、分散相と連続相とを多孔質ガラス膜により仕切り、分散相を連続相側へ押し出すことにより、分散相が膜を通過し、連続相に接触し表面張力がせん断力となり、最終的に分散相が微粒子化して乳化分散体を得る技術が開示されている。
特許文献3には、非円形の同一形状の開口を半導体製造プロセスにより人工的に多数形成した隔壁で分散相と連続相とを仕切り、開口を通して分散相を連続相へ押し出し、表面張力により剪断して微粒子を得る技術が開示されている。この技術では、開口形状がスリット状など非円形であることにより表面張力が不均一に働くことで分散相を剪断することができ、粒径分布の小さな粒子が得られるとしている。
特許文献4には、遠心力の作用で液体を微粒子化しそれを固化させることで微小な粒子を形成する技術について開示されている。粒子径は液体の物性及び回転速度により決定される。
特許第3476223号 特許第2733729号 特開2002−119841公報 特開平10−182840号公報
特許文献1に開示の技術では、分散相に与えられるせん断力が乳化位置によって不均一であるために、広い粒径分布を持った微粒子が生成する。このような広い粒径分布を持った微粒子は、生成後時間経過とともに互いに合体しやすいために、一般に多量の界面活性剤を添加して粒子を安定化することでこれを回避する対処が行われている。
しかしながら、粒径分布が広がる現象に関しては攪拌時間を長く取ることである程度の抑制が可能であるものの、そのためには長い時間と多くのエネルギーが必要となるという問題がある。
また、本来、界面活性剤は粒子の機能としては不要な場合が多く、ときには悪影響を及ぼす場合もある。したがって、通常は後工程で多くの水資源を投入して洗浄除去を行う必要がある。そのため、余計な工程を必要とする上、水資源を大量に消費するという問題がある。
特許文献2に開示の技術では、使用する多孔質ガラス膜は微小な孔が三次元的に複雑に入り組んだ構造となっているために、微粒子が分散しているような物質を分散相に用いた場合にはフィルターの作用をするため、得られる粒子に微粒子が含まれないという問題がある。さらに、この微粒子が目詰まりを起こして、粒子化を阻害するという問題もある。
特許文献3に開示の技術では、人工膜の開口に対してある程度の大きさにならないと粒子化に必要な剪断力に至らず、開口の大きさに対して比較的大きな粒子しか得られないという問題がある。
また、使用する人工膜は、シリコンを材料とし、半導体製造プロセスを用いて作製することが開示されているが、これは特殊で高価な設備が必要であるため、製造コストの上昇につながるという問題がある。また、シリコンは割れやすく取り扱いが容易ではないという問題もある。
特許文献4に開示の技術では、微小な液滴を効率よく形成できるものの、その粒径の大きさは材料が一定であれば回転体の回転速度のみで決定されてしまい、比較的粒径の大きなものを製造したいときにはその回転速度を落とす必要があるので、生産性が低下するという問題がある。
また、回転容器に開口を形成して得られる径の均一性を確保しているが、得られる粒子径は500μm程度と比較的大きく、より小さな粒子径の粒子を得ることができないという問題もある。
そこで、本発明の目的は、エマルションを製造する際に、微粒子のさらなる粒径の微小化、均一化、生産性の向上、微粒子の制御性の向上などが図れるようにすることである。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、連続相となる材料が収納される連続相収納容器と、分散相となる材料を収納し、且つ円筒壁に同一形状で同一面積の複数の孔が貫通形成された円筒形状の分散相収納容器と、を備え、前記分散相収納容器は、前記円筒形状の中心軸線方向を鉛直方向として前記連続相収納容器内に回転自在に支持され、且つ駆動装置によって前記連続相収納容器内で一定速度にて回転駆動されることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記分散相収納容器の内周面には1又は複数の凸部が形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1、又は2において、前記連続相収容容器の内周面は円筒形状であり、その中心軸線は前記分散相収容容器の回転中心となる中心軸線と一致していることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3において、前記連続相に対して前記分散相収容容器の回転とは独立して回転流を形成する手段をさらに備えていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4において、前記孔の縁部分には角度のある凹部又は凸部が形成されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1〜5において、前記各孔は同じ向きであることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1〜6において、前記分散相収容容器は、前記孔を形成した部材を別部材として着脱可能としていることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7において、前記別部材は、樹脂フィルムで形成されていることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項7において、前記別部材は、金属で形成されていることを特徴とする。
請求項10の発明は、連続相となる材料が収納される容器である連続相収納容器と、円筒形状で円筒の壁を貫通する同一形状で同一面積の複数の孔が形成され、前記円筒形状の中心軸線方向を鉛直方向として前記連続相収納容器内に設けられた、分散相となる材料が収納される容器である分散相収納容器とを有する乳化装置と、前記各材料とを用意する第1工程と、前記分散相収納容器に前記分散相となる材料を収納し、前記連続相収納容器に前記連続相となる材料を前記孔が浸漬されるように収納する第2工程と、前記第2工程後に前記中心軸線を回転中心として前記分散相収納容器を前記連続相収納容器内で一定速度にて回転し、その遠心力により前記分散相を前記孔から前記連続相に押し出して前記分散相を前記連続相に分散させる第3工程と、を備えることを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項10において、前記第1工程では、前記乳化装置として前記分散相収納容器の内周面に1又は複数の凸部が形成されているものを用意することを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項1乃至10において、前記第1工程では、前記乳化装置として前記連続相収容容器の内周面が円筒形状であり、その中心軸線は前記分散相収容容器の回転中心となる中心軸線と一致しているものを用意することを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項10乃至12において、前記第3工程では、前記乳化装置として前記連続相に対して前記分散相収容容器の回転とは独立して回転流を形成することを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項10乃至13において、前記第1工程では、前記乳化装置として前記孔の縁部分には角度のある凹部又は凸部が形成されているものを用意することを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項10乃至14において、前記第1工程では、前記乳化装置として向きが同じ前記各孔を用意することを特徴とする。
請求項16の発明は、請求項10乃至15において、前記第1工程では、前記乳化装置として前記分散相収容容器は前記孔を形成した部材を別部材として着脱可能としているものを用意することを特徴とする。
請求項17の発明は、請求項10〜16のいずれか一項に記載の乳化方法で得られた前記分散相の粒子を硬化することを特徴とする。
本発明によれば、どの孔から押し出された分散相であっても、ほぼ同等の体積で剪断分離され、粒子として連続相中に分散させることができるので、径の等しい分散相粒子が連続相中に分散したエマルションを製造することができる。
以下、本実施形態について説明する。
まず、本実施形態の乳化装置の装置構成について説明する。
図1は、本実施形態の乳化装置1の概念図である。乳化装置1は、連続相となる材料に分散相となる材料を微小粒子として分散させたエマルションを製造するための装置である。
乳化装置1において、分散相収容容器2は、円筒形状で、その円筒面の少なくとも一部には円筒の壁を貫通する同一形状で同一面積の複数の孔3が形成された容器である。分散相収容容器2内には分散相となる材料が収納される。
連続相収納容器4は、連続相となる材料が収納される容器である。そして、連続相収納容器4内には、分散相収容容器2がその円筒の中心軸線を鉛直方向として設けられる。この際、分散相収容容器2の円筒壁に形成された各孔3を連続相に浸漬させる。
分散相収容容器2には、その円筒の中心軸線を回転中心として当該分散相収容容器2を連続相収納容器4内で孔3を連続相に連続相内に浸漬させた状態で回転する図1に不図示の駆動装置に回転軸5を介して接続されている。回転軸5は、一端が分散相収容容器2の底部などに取り付けられ、他端が不図示の駆動装置に取り付けられている。
次に、乳化装置1を用いて実施する本実施形態の乳化方法について説明する。
この乳化方法は、次の第1〜第3工程を順次実行することにより実施する。
(1)第1工程
まず、準備工程として、前述の乳化装置1と、分散相、連続相となる材料とを用意する。
エマルションとして、水中に油粒子が形成された、いわゆる、O/W(Oil in Water)型エマルションを製造するためには、分散相として樹脂、モノマー、オリゴマー又はこれらの中に微粒子を添加したものを用意し、連続相として水又は水中に界面活性剤や増粘剤等添加したものを用意する。
また、エマルションとして、油中に水粒子が形成されたいわゆるW/O(Water in Oil)型エマルションを製造するためには、分散相として水又は水中に界面活性剤、水溶性物質、微粒子等を添加したものを用意し、連続相として樹脂、モノマー又はこれらの中に微粒子を添加したものを用意する。
(2)第2工程
次に、分散相を分散相収容容器2内に収納し、連続相を連続相収納容器4内に収納する。このとき、連続相収納容器4内で分散相収容容器2の孔3を連続相に浸漬させるようにする。
(3)第3工程
分散相、連続相がそれぞれ各容器に収納されたら、図示しない駆動装置を駆動して、分散相収容容器2を連続相収納容器4内で一定速度にて回転させる。
この回転により、分散相収容容器2内部の分散相は、その円筒形状の中心軸を中心とする一定速度の回転流を形成し、この回転流に伴い分散相には遠心力が働く。この遠心力の作用により、分散相は分散相収容容器2壁面に形成された孔3を通過して分散相収容容器2外部の連続相中に押し出される。そして、連続相中に押し出された分散相は、分散相収容容器2とほぼ等しい速度で連続相中を移動する。
一方、連続相も分散相収容容器2の影響で回転流を形成しているが、連続相内部では、分散相収容容器2から離れるにしたがって速度が低下するような速度差が生じる。連続相中に押し出された分散相には、この速度差に起因する剪断力が作用して、その押し出された分散相の先端部は分離して連続相中で粒子化する。このようにして連続相中に多数の分散相の粒子が形成されることにより乳化が行われる。符号6は、この場合の分散相の生成粒子を示す。
この一連の動作において、分散相収容容器2に形成された複数の孔3の形状及び大きさは等しいので、孔3から押し出される分散相はほぼ同じ速度で連続相中に押し出される。また、分散相収容容器2が円筒形状で一定の速度で回転しているために、その近傍の連続相との間の相対的な速度差は分散相収容容器2からの距離が一定であれば一定であり、複数の孔3から押し出された分散相に対してほぼ同等の剪断力を及ぼす。
また、孔3の形状及び大きさがすべて等しいために、いずれの孔3から押し出された連続相に対しても同様に剪断力がかかる。
これらの作用により、どの孔3から押し出された分散相でもほぼ同等の体積で剪断分離され、粒子として連続相中に分散する。剪断分離後の粒子は、最も安定な形状として球形化するので、体積の等しい、即ち、径の等しい多数の粒子として連続相中に存在する。
なお、図2に示すように、乳化装置1には、分散相収容容器2に分散相を供給するための供給経路11を設け、乳化に消費される分散相収容容器2内の分散相の補給を行なえるようにして、多量の分散相を連続相内に連続的に分散させるようにすることができる。
また、図3に示すように、図2の構成に、さらに連続相収納容器4内に連続相を供給する供給経路12を設け、また、連続相収納容器4に接続され、乳化により生成された連続相収納容器4内の分散相の粒子を含んだ連続相を外部に取り出す排出経路13を設けるようにしてもよい。これにより、分散相、連続相を連続的に補給し、生成した分散相の粒子を含んだ連続相は連続的に外部に取り出すことができる。
分散相収容容器2の内周面21の形状は平滑な円筒面としてもよいが、図4〜図7に分散相収容容器2の径方向断面図で示すように、内周面21に凸部22を設けることにより、分散相として粘弾性の流体を用いた際にさらに良好な結果を得ることができる。
すなわち、分散相収容容器2の内周面21に凸部22を形成することで、凸部22により内部の流体は強制的に分散相収容容器2と等しい回転速度で回転させられる。従って、分散相収容容器2の回転速度相当の遠心力を分散相収容容器2の内部にまで働かせることができ、分散相収容容器2から分散相流体の連続相への安定した供給を行うことができ、分散相の分散相収容容器2内での現在量に関わりなく、孔3からの分散相の押し出しを連続して一定に行うことができる。
図4〜図7は、いずれも凸部22の構成例の異なる例を示す平面図である。凸部22は内周面21に1つだけ形成するのでもよいが(図4参照)、分散相収容容器2が回転運動することを考慮すると、分散相収容容器2の円筒軸方向に内周面21を均等に複数に分割した2つ以上の位置に凸部22を配するようにすれば(図5〜図7参照。いずれも凸部22を3つ設ける例である)、分散相収容容器2の回転時の偏心を防ぐことができるので望ましい。
また、分散相収容容器2の円筒径方向の凸部22の長さは特に限定する必要はないが、回転軸5まで延出させ、分散相収容容器2内部の少なくとも円筒形状部分を分割するように形成すれば(図5、図7参照)、分散相の分散相収容容器2内部での複雑な対流運動を防ぐことができるために望ましい。
このような凸部22を設けた構成とすることにより、分散相収容容器2の回転速度と分散相全体の回転速度を一致させることができ、分散相収容容器2の孔2から連続相収納容器4外に押し出される分散相を分散相収容容器2の回転中心側から円滑に供給することができる。
ところで、連続相はそこに浸漬された分散相収容容器2が回転することにより、これにつられるようにして流れを形成する。この流れは分散相収容容器2の近傍では分散相収容容器2の外周に沿って流れる。また、連続相収容容器4の内周面近傍ではその面形状に沿って流れるが、連続相収容容器4の内周面は静止しているために、その速度は分散相収容容器2近傍よりも遅くなる。
したがって、連続相収容容器4の内周面23を円筒状とし、その中心軸線を分散相収容容器2の円筒形状の回転中心となる中心軸線と一致させれば(図1〜図3参照)、連続相収容容器4内の分散相収容容器2から距離が等しい位置においては等しい速度の連続相の流れが形成される。
したがって、分散相収容容器2から分散相が押し出される場合に受ける剪断力は、押し出される距離により変動するが、その距離が一定である位置においては何れの孔3から押し出された分散相にも等しい剪断力が働くようにすることができる。その結果、剪断分離される分散相粒子の大きさを一定にすることができる。
以上のように、本実施形態では、分散相収容容器2を回転させることにより遠心力で分散相を連続相に押し出し、押し出された分散相に剪断力を加えて分散相を分離粒子化することにより乳化を行っている。この際に得られる粒子の粒径は、孔3の形状及び大きさを固定すると連続相を押し出す速度と剪断力とにより決まる。
さらに、剪断力としては、表面張力によるものと連続相と押し出された分散相との速度差によるものの両者がある。前者の表面張力によるものは分散相及び連続相の材質によりほぼ決まる。
一方、連続相と押し出された分散相との速度差は、図1〜図3に示すような装置構成による場合は分散相収容容器2の回転速度の変化により調整することができる。すなわち、分散相収容容器2の回転速度が一定であれば連続相と押し出された分散相との速度差も一定となり、その速度差により得られる分散相粒子の粒径も決定される。
しかしながら、連続相に対しても分散相収容容器2の回転とは独立して回転流を形成する手段を乳化装置1に設けることにより、分散相収容容器2の回転速度と独立して連続相と押し出された分散相との速度差を制御することができる。このような構成にすることで、分散相収容容器の回転速度を一定のもとで得られる粒子径が制御可能となりまた、一定粒子径の生成速度の制御が可能となる。
図8は、このような手段の一例として、回転軸31を介して連続相収容容器4を所定のアクチュエータ32により回転駆動する例である。
これにより、分散相収容容器2の回転とは独立して連続相の回転流を形成することができる。この場合に、連続相収容容器4を分散相収容容器2と反対向きに回転させることにより、より大きな速度差となり、これに起因して分散相に働く剪断力も大きなものとなる。結果として得られる粒子径は小さなものが得られる。
また、連続相収容容器4を分散相収容容器2と同じ向きに回転させることで、速度差は小さくなり、これに起因して分散相に働く剪断力も小さくなることで、得られる粒子径は大きなものとなる。
図9は、他の構成例を示すものであり、図2の構成の乳化装置1において、連続相収容容器4の内底部に攪拌翼33を設け、この攪拌翼33を、回転軸31を介してアクチュエータ32で回転駆動する構成である。攪拌翼33を回転させることにより連続相に回転流を形成することができる。
図10は、図2の構成の乳化装置1において、図9の例と同様の回転軸31、アクチュエータ32、攪拌翼33を設けた例である。
ところで、孔3から押し出された分散相は表面張力及び速度差の影響で剪断力を受けて孔3の出口近傍で分離する。この際に孔3の縁部分は、すべて滑らかな円弧状に形成されているよりも、角度のある凹部又は凸部が形成されている方が、常に一定の場所より分散相の剪断が開始するので、大きさの揃った分散相粒子が得られて望ましい。
また、複数の孔3はすべて同じ向きとすれば、連続相と押し出された分散相との速度差に起因する剪断力をすべての孔3が同様に受けるために、大きさの揃った粒子が得られる。
さらに、分散相収容容器2に形成される孔3の大きさは。通常形成したい分散相粒子と同等もしくはその数分の一程度の大きさにする必要がある。よって、製造したい分散相粒子径が小さくなると孔3の大きさは非常に小さなものとなる。その結果として、孔3における分散相の目詰まりなどの発生が考えられる。
このような目詰まりが生じた場合、孔3が微細なために目詰まり部分を洗浄除去することは困難である。また、分散相収容容器2全体を破棄、交換することは、製造コストを上昇させるために望ましいことではない。
そこで、分散相収容容器2は、孔3を形成した部材を別部材として本体に着脱可能な構成とし、孔3の目詰まり等の不具合が発生した際にも、その孔3を形成した部材のみを交換できるようにすれば、製造工程への影響が少なくて済み、製造コストの点でも有利である。
また、分散相収容容器2の製造においても、分散相収容容器2本体の円筒面上に孔3の加工を直接行うことは、特に貫通孔の大きさが小さくなると困難となる。これに対して、その孔3を形成した部材のみを別部材として分散相収容容器2本体の円筒面に沿わせるように固定する構造とすれば、孔3は平面として別工程で加工することも可能となるので、貫通孔の大きさが小さくなっても対応可能である。
このように、孔3を形成した別部材は樹脂フィルムで形成すれば、紫外レーザ加工や酸素プラズマによるドライエッチングなどの加工法を適用することができ、高精度で微細な孔3を形成することができる。また、樹脂フィルム一般に可撓性に優れるために、分散相収容容器2の円筒面上に固定することが容易となる。
また、孔3を形成した別部材を金属で形成すれば、機械的強度に優れた部材とすることができる。この部材は孔3が複数個貫通した構造であり、かつ、分散相を押し出す力に耐えるためには、機械的強度が高いことで、より大きな遠心力、即ち、押し出し速度を実現することができ、乳化速度を向上させることが可能となる。
ただし、孔3を形成した別部材は、前述したように円筒面上に微細な孔3を形成することは困難であるため、適度な可撓性を有する程度の厚さのシート状にする必要がある。その厚さは、一般に100μm以下程度にする必要がある。
次に、このような形態の孔3を有する別部材としての金属シートの製造法について説明する。
ここでは、一例として、矩形形状の孔3を有する金属シートの製造法について説明する。
図11は、この製造方法について説明する説明図である。まず、(a)の平面図及び(b)の縦断面図に示すように、導電性を有する基板41の表面に感光性樹脂層42を形成し、マスク露光を行った後に現像することで感光性樹脂パターン43を形成する。
次に、この基板41に対して所定の膜厚になるまで電気めっきを施す。この際に感光性樹脂層42は製造すべき金属シートの厚さに対して十分に薄いために、めっきの成長とともに感光性樹脂層42表面を覆いながら成長する。その結果、(c)の平面図及び(d)の縦断面図に示すように、感光性樹脂層42の一部のみが露出した状態の金属シートが得られる。符号44はめっき層である。
そして、めっき層44から基板41及び感光性樹脂層42を剥離することで、(e)の平面図及び(f)の縦断面図に示すように、めっき層44からなる微小な孔3を有する別部材となる金属シート45を製造することができる得ることができる。
このような製造方法によれば、金属シート45の膜厚で孔3の大きさを変えることができる。さらに、元になる感光性樹脂パターン43の形状は比較的大きいために、高度な設備を必要とせずに小さな孔3が形成できる。
他の製造方法について図12を参照して説明する。導電性表面を有する基板51上に製造したい金属シートの厚さ以上の厚みを有する絶縁性の柱状構造52を形成する(a)。
そして、これを基板53として所望の厚さまで電気めっきを施す。符号54がめっき層である(b)。
最後に、めっき層54から基板53を剥離し、柱状構造52を除去することにより、めっき層54からなる孔3の形成された金属シート55が完成する(c)。
この製造方法では、ほぼ垂直断面の孔3が形成できるので、孔3の密度を高くすることができ、短時間で多量の分散相粒子を生成して乳化を効率よく行うことができる。
以上のような乳化方法により得られたエマルションは、そのままエマルションとして利用することができるが、分散している粒子の径が均一であることから、この粒子を硬化させて粒径の揃った微小粒子の製造方法として利用することもできる。
その方法としては紫外線照射を用いることができる。この場合には、分散相としてモノマー、オリゴマー、光重合開始剤を含む混合物とし、これを分散相として前述の乳化装置1及び乳化方法により乳化した後に、光重合開始剤の感応する波長の光を照射することによりポリマー化して硬化させることができる。
他の方法として、分散相にモノマー、ラジカル重合開始剤を含む混合物を用い、乳化装置1及び乳化方法により乳化した後に、加熱することによりポリマー化して硬化させることができる。
本発明の実施形態である乳化装置の概念図である。 図1の構成にさらに分散相の供給経路を備えた乳化装置の概念図である。 図2の構成にさらに連続相を供給する供給経路、分散相の粒子を含む連続相を外部に取り出す排出経路を備えた乳化装置の概念図である。 分散相収納容器の径方向断面図である。 分散相収納容器の別例の径方向断面図である。 分散相収納容器の別例の径方向断面図である。 分散相収納容器の別例の径方向断面図である。 分散相収容容器の回転とは独立して回転流を形成する手段を備えた乳化装置の概念図である。 分散相収容容器の回転とは独立して回転流を形成する手段の別例を備えた乳化装置の概念図である。 図9の構成にさらに連続相を供給する供給経路、分散相の粒子を含む連続相を外部に取り出す排出経路を備えた乳化装置の概念図である。 分散相収容容器本体に別部材として設ける金属シートの製造方法の工程図である。 分散相収容容器本体に別部材として設ける金属シートの別製造方法の工程図である。
符号の説明
1 乳化装置
2 分散相収納容器
3 孔
4 連続相収納容器
21 内周面
22 凸部
33 攪拌翼
44 金属シート
51 金属シート

Claims (17)

  1. 連続相となる材料が収納される連続相収納容器と、
    分散相となる材料を収納し、且つ円筒壁に同一形状で同一面積の複数の孔が貫通形成された円筒形状の分散相収納容器と、を備え、
    前記分散相収納容器は、前記円筒形状の中心軸線方向を鉛直方向として前記連続相収納容器内に回転自在に支持され、且つ駆動装置によって前記連続相収納容器内で一定速度にて回転駆動されることを特徴とする乳化装置。
  2. 前記分散相収納容器の内周面には1又は複数の凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乳化装置。
  3. 前記連続相収容容器の内周面は円筒形状であり、その中心軸線は前記分散相収容容器の回転中心となる中心軸線と一致していることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳化装置。
  4. 前記連続相に対して前記分散相収容容器の回転とは独立して回転流を形成する手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の乳化装置。
  5. 前記孔の縁部分には角度のある凹部又は凸部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳化装置。
  6. 前記各孔は同じ向きであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の乳化装置。
  7. 前記分散相収容容器は、前記孔を形成した部材を別部材として前記円筒壁に着脱可能としていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の乳化装置。
  8. 前記別部材は、樹脂フィルムで形成されていることを特徴とする請求項7に記載の乳化装置。
  9. 前記別部材は、金属で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の乳化装置。
  10. 連続相となる材料が収納される容器である連続相収納容器と、円筒形状で円筒の壁を貫通する同一形状で同一面積の複数の孔が形成され、前記円筒形状の中心軸線方向を鉛直方向として前記連続相収納容器内に設けられた、分散相となる材料が収納される容器である分散相収納容器とを有する乳化装置と、前記各材料とを用意する第1工程と、
    前記分散相収納容器に前記分散相となる材料を収納し、前記連続相収納容器に前記連続相となる材料を前記孔が浸漬されるように収納する第2工程と、
    前記第2工程後に前記中心軸線を回転中心として前記分散相収納容器を前記連続相収納容器内で一定速度にて回転し、その遠心力により前記分散相を前記孔から前記連続相に押し出して前記分散相を前記連続相に分散させる第3工程と、
    を備えることを特徴とする乳化方法。
  11. 前記第1工程では、前記乳化装置として前記分散相収納容器の内周面に1又は複数の凸部が形成されているものを用いることを特徴とする請求項10に記載の乳化方法。
  12. 前記第1工程では、前記乳化装置として前記連続相収容容器の内周面が円筒形状であり、その中心軸線が前記分散相収容容器の回転中心となる中心軸線と一致しているものを用いることを特徴とする請求項10又は11に記載の乳化方法。
  13. 前記第3工程では、前記乳化装置として前記連続相に対して前記分散相収容容器の回転とは独立して回転流を形成することを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の乳化方法。
  14. 前記第1工程では、前記孔の縁部分には角度のある凹部又は凸部が形成されていることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の乳化方法。
  15. 前記第1工程では、前記各孔の向きを同方向に設定したことを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載の乳化方法。
  16. 前記第1工程では、前記乳化装置として前記分散相収容容器は前記孔を形成した部材を別部材として着脱可能としているものを用意することを特徴とする請求項10〜15のいずれか一項に記載の乳化方法。
  17. 請求項10〜16のいずれか一項に記載の乳化方法で得られた前記分散相の粒子を硬化することを特徴とする微小粒子の製造方法。
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