JP2006238511A - 電源監視レコーダ - Google Patents

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秀彦 春原
Haruki Nozawa
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Abstract

【課題】瞬停等および漏れ電流の間欠的な発生等の短時間的な現象を監視する。
【解決手段】電源ラインの負荷電流および漏れ電流並びに電源ラインから分岐した複数の分岐線の各漏れ電流をサンプリングすることにより各電流についての波形データDa〜Diを生成する電流入力部4と、電源幹線の線間電圧をサンプリングすることにより線間電圧についての波形データDj,Dkを生成する電圧入力部5と、波形データDa〜Dkを取り込んで第1記憶部7に記憶させる波形取込部6と、各波形データDa〜Dkに基づいて、負荷電流、各漏れ電流および線間電圧の各実効値を波形の1周期毎に算出すると共に算出した各実効値を第1記憶部に記憶させ、かつ所定イベントが発生したときに、負荷電流、各漏れ電流および線間電圧のうちの少なくとも1つについての実効値を第1記憶部7から読み出して報知する制御部9とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電源ライン、および電源ラインから分岐した複数の分岐線を監視する電源監視レコーダに関するものである。
この種の電源監視レコーダとして、出願人は、特許第2741130号公報において、分電盤を介して使用する電力の供給停止(つまり停電)の原因を分析および判断すると共に、この判断結果を報知する電源監視レコーダを開示している。この電源監視レコーダでは、少なくとも負荷電流、漏れ電流および線間電圧を複数の電流クランプおよび電圧プローブを用いて分電盤内で検出し、各検出信号を入力手段でそれぞれ波形データにディジタル変換し、この波形データを短時間的にリング式に波形データ記憶手段で記録し、かつ同波形データによる実効値データを演算手段で演算すると共にこの実効値データを実効値データ記録手段で長時間的に記録する。また、使用している電力(商用電源)を電源監視手段で監視し、停電後の電源の再投入時において、制御手段が、使用電力の供給停止(所定イベントの発生)までの所定波形数の波形データを読み出すと共に、停電までの1周期の波形データに基いて実効値を算出し、その実効値と予め設定した種々定格値(感度電流値、定格電流値、線間電圧値)とを比較し、この比較結果によって上記停電の原因を判定(特定)し、かつ異常箇所およびその停電の原因をLCD等の画面に表示させる。これにより、分電盤を介して供給されている電力が停止したときに、供給停止の原因を上記画面で容易に知らしめることができる。また、長時間的に記録している実効値データを画面に表示させることにより、電力の長時間に亘る使用状態を知らしめることができる。
特許第2741130号公報(第5頁、第1図)
しかしながら、上記の従来の電源監視レコーダには、次のような解決すべき課題がある。すなわち、この電源監視レコーダでは、負荷電流、漏れ電流および線間電圧の各実効値データは、例えば、1分間に取り込んだ波形データに基づいて算出される。次いで、このようにして算出された実効値データは例えば2週間程度に亘って順次記憶される。したがって、この電源監視レコーダには、1分間毎の実効値データの推移に基づいて負荷電流、漏れ電流および線間電圧の長時間的な変化の様子は監視できるものの、電力が停止する(所定イベントが発生する)直前(例えば、波形の数周期前)における負荷電流および線間電圧についての瞬停、ディップおよびスウェル、並びに漏れ電流の間欠的な発生といった短時間的に発生する現象を監視することができないため、これを改善するのが好ましい。
本発明は、かかる解決すべき課題に鑑みてなされたものであり、負荷電流や線間電圧に発生する瞬停等および漏れ電流の間欠的な発生といった短時間的な現象を監視し得る電源監視レコーダを提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の電源監視レコーダは、電源ラインの負荷電流および漏れ電流並びに当該電源ラインから分岐した複数の分岐線の各漏れ電流をサンプリングすることにより当該各電流についての波形データを生成する電流入力部と、前記電源ラインおよび前記複数の分岐線のいずれかの線間電圧をサンプリングすることにより当該線間電圧についての波形データを生成する電圧入力部と、前記電流入力部および前記電圧入力部によって生成された前記各波形データを取り込んで波形記憶部に記憶させる波形取込部と、前記波形記憶部に記憶されている前記各波形データに基づいて、前記負荷電流、前記各漏れ電流および前記線間電圧の各実効値を波形の1周期毎に算出すると共に当該算出した前記各実効値を実効値記憶部に記憶させ、かつ所定イベントが発生したときに、前記負荷電流、前記各漏れ電流および前記線間電圧のうちの少なくとも1つについての前記実効値を前記実効値記憶部から読み出して報知する制御部とを備えている。
請求項2記載の電源監視レコーダは、請求項1記載の電源監視レコーダにおいて、バッテリと、商用電源から電力が供給されているときには当該電力に基づいて作動用電圧を生成して、前記電流入力部、前記電圧入力部、前記波形取込部および前記制御部に供給し、前記商用電源からの前記電力が停止したときには前記バッテリの電力に基づいて作動用電圧を生成して、前記電流入力部、前記電圧入力部、前記波形取込部および前記制御部に供給する電源供給部とを備えている。
請求項3記載の電源監視レコーダは、請求項1または2記載の電源監視レコーダにおいて、前記制御部は、前記実効値記憶部に記憶されている前記各実効値に基づいて、所定周期毎の前記負荷電流、前記各漏れ電流および前記線間電圧についての平均値、最大値および最小値の少なくとも1つを算出して特性値記憶部に記憶させる。
請求項4記載の電源監視レコーダは、請求項1から3のいずれかに記載の電源監視レコーダにおいて、前記制御部は、前記所定イベントが発生したときに、前記負荷電流、前記各漏れ電流および前記線間電圧の前記各実効値を前記実効値記憶部から読み出すと共に、前記負荷電流、前記各漏れ電流および前記線間電圧に対して予め設定されている定格値と比較して、その比較結果を前記表示部に表示させる。
請求項5記載の電源監視レコーダは、請求項1から4のいずれかに記載の電源監視レコーダにおいて、前記制御部は、前記実効値記憶部に記憶されている前記各漏れ電流のうちの少なくとも1つの前記実効値が予め設定されたイベント発生条件に合致したときに前記所定イベントが発生したとして、当該イベント発生条件に合致した前記漏れ電流が流れる前記電源ラインおよび前記分岐線のいずれかを異常箇所として特定し、かつ当該イベント発生条件に合致した前記漏れ電流についての前記波形記憶部に記憶されている前記波形データに基づいて当該漏れ電流の実部成分を算出すると共に当該漏れ電流の実部成分に対して予め設定されている定格値と比較することにより、前記異常の発生原因を特定する。
請求項1記載の電源監視レコーダによれば、制御部が波形記憶部に記憶されている各波形データに基づいて負荷電流、各漏れ電流および線間電圧の各実効値を波形の1周期毎に算出すると共に算出した各実効値を実効値記憶部に記憶させ、かつ所定イベントが発生したときに、負荷電流、各漏れ電流および線間電圧のうちの少なくとも1つについての実効値を実効値記憶部から読み出して報知する(例えば、表示部に表示させたり、音声で報知したり、読み出したデータを外部に出力したりする)ことにより、報知された数周期に亘る波形の1周期毎の各実効値の変化に基づいて、負荷電流および線間電圧に発生した瞬停、ディップおよびスウェル、並びに電源ラインや各分岐線での漏れ電流の間欠的な発生といった短時間的な現象を監視することができる。
また、請求項2記載の電源監視レコーダによれば、電源供給部が、商用電源からの電力が停止したときにはバッテリの電力に基づいて作動用電圧を生成することにより、商用電源が停止しているときであっても、継続して監視動作を実行することができる。また、この商用電源の停止を所定イベントとしているときには、商用電源の復帰の如何に拘わらず、直ちに、負荷電流、各漏れ電流および線間電圧の各実効値を表示部に表示させることができる。このため、商用電源の復帰を待つ必要がないため、所定イベントの発生の原因特定処理を迅速に実行することができる。
また、請求項3記載の電源監視レコーダによれば、制御部が、実効値記憶部に記憶されている各実効値に基づいて、所定周期毎の負荷電流、各漏れ電流および線間電圧についての平均値、最大値および最小値の少なくとも1つを算出して特性値記憶部に記憶させることにより、負荷電流、各漏れ電流および線間電圧についての平均値、最大値および最小値を表示部に表示させて監視することができる結果、より詳細な電源監視を実行することができる。
また、請求項4記載の電源監視レコーダによれば、制御部が、所定イベントが発生したときに、負荷電流、各漏れ電流および線間電圧の各実効値を実効値記憶部から読み出すと共に、負荷電流、各漏れ電流および線間電圧に対して予め設定されている定格値と比較して、その比較結果を表示部に表示させることにより、所定イベントが発生したときに、負荷電流、各漏れ電流および線間電圧のいずれに異常が発生しているか否かを監視することができる。
また、請求項5記載の電源監視レコーダによれば、制御部が、実効値記憶部に記憶されている各漏れ電流のうちの少なくとも1つの実効値が予め設定されたイベント発生条件に合致したときに所定イベントが発生したとして、イベント発生条件に合致した漏れ電流が流れる電源ラインおよび分岐線のいずれかを異常箇所として特定し、かつイベント発生条件に合致した漏れ電流についての波形記憶部に記憶されている波形データに基づいて漏れ電流の実部成分を算出すると共に定格値と比較して異常の発生原因を特定することにより、例えば、作動した漏電遮断器や配線用遮断器の動作原因が、電力線などの絶縁不良に基づく本質的な漏電によるものなのか、高調波や高周波成分に起因した不要動作によるものなのかを特定することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る電源監視レコーダの最良の形態について説明する。
最初に、電源監視レコーダ1の構成について説明する。
電源監視レコーダ1は、図1に示すように、複数(一例として9個)の電流クランプ(電流センサ)2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h,2i(以下、特に区別しないときには「電流クランプ2」ともいう)、少なくとも1組以上(一例として2組)の電圧プローブ3a,3b、電流入力部4、電圧入力部5、波形取込部6、第1記憶部7、第2記憶部8、制御部9、表示部10、操作部11、電源供給部12およびバッテリ13を備えている。
各電流クランプ2は、検出した電流を電圧に変換して出力する。電流入力部4は、各電流クランプ2を接続可能に構成されている。また、電流入力部4は、アンプおよびA/D変換器(いずれも図示せず)を備え、各電流クランプ2a〜2iによって検出された電流(実際には、電流クランプ2から出力される電圧)をアンプで増幅すると共にA/D変換器でサンプリングすることにより、各電流についての電流波形データDa〜Diを出力する。電圧入力部5は、一対の検出端子A,Aをそれぞれ備えた2組の電圧プローブ3a,3bが接続可能に構成されている。また、電圧入力部5は、アンプおよびA/D変換器(いずれも図示せず)を備え、各電圧プローブ3a,3bによって検出された電圧をアンプで増幅すると共にA/D変換器でサンプリングすることにより、各電圧についての電圧波形データDj,Dkを出力する。本例では、上記の各A/D変換器は、予め設定された同一のサンプリング周期Ts(例えば50Hzの波形の1周期を128分割した156.25μs)で各電流および各電圧をサンプリングする。
波形取込部6は、電流入力部4から出力された電流波形データDa〜Diと、電圧入力部5から出力された電圧波形データDj,Dkを取り込んで、第1記憶部7に記憶させる。この場合、波形取込部6は、一例として、16波形(16波長)分の電流波形データDa〜Diおよび電圧波形データDj,Dkを特に限定されないが例えばリング式に第1記憶部7に記憶させる。なお、本明細書において「リング式にデータ(値)を記憶させる」とは、新たなデータを記憶させる都度、最も古いデータ(値)を削除することにより、最新の所定数のデータ(値)を記憶させる記憶方式をいう。第1記憶部7は、一例として、高速アクセスが可能なメモリで構成されて、本発明における波形記憶部および実効値記憶部として機能する。ただし、第1記憶部7については、内部に配設されている構成に限らず、カード型不揮発性メモリ等の電源監視レコーダ1に着脱可能な外部メモリで構成することもできる。他方、第2記憶部8は、不揮発性のメモリで構成されて、本発明における特性値記憶部として機能する。同様にして、第2記憶部8についても、内部に配設されている構成に限らず、カード型不揮発性メモリ等の電源監視レコーダ1に着脱可能な外部メモリで構成することもできる。
制御部9は、CPU、タイマおよび内部メモリ等で構成されて、実効値算出処理、データ記録処理、イベント検出処理および原因特定処理などを実行する。この場合、制御部9は、電源監視レコーダ1の作動時に所定周期Ta(例えば数分間隔)でタイマがCPUに割り込みを発生させることにより、所定周期Taでデータ記録処理を実行する。また、制御部9は、操作部11に対する操作内容に応じて、各処理によって得られた結果を表示部10に表示させる。また、制御部9は、その内部メモリに、イベント検出処理において使用されるイベント検出条件、および原因特定処理において使用される各種の定格値を予め記憶している。表示部10は、液晶パネル等で構成されて、制御部9によって実行された各処理の結果を表示する。
電源供給部12は、電源コード12aを介して商用電源が供給されているときには、この商用電源の電力に基づいて作動用電圧(例えば直流電圧)を生成して電源監視レコーダ1内の各構成要素(電流入力部4、電圧入力部5、波形取込部6、第1記憶部7、第2記憶部8、制御部9、表示部10および操作部11)に供給する。他方、電源供給部12は、商用電源の供給が停止したときには、電力の供給源を商用電源からバッテリ13に切り替えると共に、バッテリ13から供給される電力に基づいて上記の作動用電圧を生成して電源監視レコーダ1内の上記各構成要素に供給する。
次いで、電源監視レコーダ1の動作について図3を参照して説明する。一例として図2に示す分電盤20内に配設された漏電遮断器22の動作原因を監視するときの動作について説明する。このため、線間電圧V1,V2についての各実効値の少なくとも一方が基準電圧(例えば80ボルト)を下回るというイベント発生条件が制御部9に記憶されているものとする。なお、このイベント発生条件としては、この線間電圧V1,V2の各実効値が基準電圧を下回るとの条件に限らない。例えば、各分岐線32〜37のいずれか1つ以上の線間電圧の各実効値が基準電圧を下回るとのイベント発生条件や、各分岐線32〜37のいずれか1つ以上の漏れ電流の各実効値が基準電流を上回るとのイベント発生条件を規定することもできる。
ここで、分電盤20の概要について図2を参照して説明する。分電盤20は、電流制限器21、漏電遮断器22、および6つの配線用遮断器23〜28を備え、屋外から引き込まれた単相三線式(一対の電力線U1,U2および接地線Nから構成される)の電源幹線(本発明における電源ラインの一例)31を単相の分岐線32〜37に分岐する。各分岐線32〜37は、電源幹線31から分岐されて、一対の電力線U1,U2のうちの一方と接地線Nとで構成される。また、分電盤20では、電源幹線31に電流制限器21および漏電遮断器22が介装されて、電源幹線31に規定以上の電流(本発明における負荷電流)が流れたときには電流制限器21が作動することにより、また電源幹線31に規定以上の漏れ電流が流れたときには漏電遮断器22が作動することにより、電源幹線31から各分岐線32〜37への電力の供給を停止させる。また、分電盤20では、各分岐線32〜37に配線用遮断器23〜28がそれぞれ介装されて、規定以上の負荷電流が流れた分岐線32〜37に介装されている配線用遮断器23〜28が作動することにより、この分岐線に接続されている屋内機器(図示せず)への電力の供給を停止させる。
まず、電源監視の準備として、電源監視レコーダ1の各電流クランプ2および各電圧プローブ3a,3bを分電盤20の所定部位に取り付ける。具体的には、負荷電流I1,I2を検出するために、電流制限器21と漏電遮断器22との間の電力線U1,U2に電流クランプ2a,2bをそれぞれ装着し、電源幹線31の漏れ電流を検出するために、電流制限器21と漏電遮断器22との間の電源幹線31全体に電流クランプ2cを装着する。また、電源幹線31または分岐線32〜37のいずれか1つ以上の線間電圧(本例では、一例として、電源幹線31の各線間電圧V1,V2とする。)を検出するために、漏電遮断器22の出力端側における電力線U1と接地線Nとに電圧プローブ3aを接続し、漏電遮断器22の出力端側における電力線U2と接地線Nとに電圧プローブ3bを接続する。また、監視対象である各分岐線32〜37の漏れ電流を検出するために、各分岐線32〜37に電流クランプ2d,2e,2f,2g,2h,2iをそれぞれ装着する。
次いで、電源監視レコーダ1の電源コード12aを分岐線32〜37のいずれかに設けられているコンセント(図示せず)に接続する。これにより、電源監視レコーダ1に分電盤20を介して商用電源が供給される。この状態では、電源供給部12がこの商用電源の電力に基づいて作動用電圧を生成することにより、電源監視レコーダ1が作動する。
電源監視レコーダ1では、まず、図3に示すように、電流入力部4が、負荷電流I1,I2、電源幹線31の漏れ電流、および各分岐線32〜37の漏れ電流を所定のサンプリング周期Tsでサンプリングすることにより、各電流波形データDa〜Diを生成して波形取込部6に出力する。同時に、電圧入力部5が、同じサンプリング周期Tsで各線間電圧V1,V2をサンプリングすることにより、各電圧波形データDj,Dkを生成して波形取込部6に出力する(ステップ50)。次いで、波形取込部6は、電流波形データDa〜Diおよび電圧波形データDj,Dkをそれぞれ取り込むと共に、各波形データDa〜Dkをリング式に第1記憶部7に記憶させる(ステップ51)。
次いで、制御部9は、例えば、波形1周期(一例として50Hzの波形のときには20ms)分の各電流波形データDa〜Diおよび各電圧波形データDj,Dkが波形取込部6によって第1記憶部7に記録される都度、実効値算出処理を実行する(ステップ52)。この実効値算出処理では、制御部9は、第1記憶部7から1周期分の各電流波形データDa〜Diおよび各電圧波形データDj,Dkを読み出すと共に、これら各波形データDa〜Dkに基づいて、負荷電流I1,I2、電源幹線31の漏れ電流、各分岐線32〜37の漏れ電流、および各線間電圧V1,V2についての波形1周期における各実効値を演算して、対応する波形データDa〜Dkに関連付けて第1記憶部7にリング式に記憶させる。また、制御部9は、実効値の演算と共に、波形1周期分の各電流波形データDa,Dbおよび各電圧波形データDj,Dkに基づいて、電源幹線31における各電力線U1,U2での波形1周期における各電力値を演算すると共に、各実効値と同様にして第1記憶部7にリング式に記憶させる。また、制御部9は、この実効値演算処理において、負荷電流I1,I2、電源幹線31の漏れ電流、各分岐線32〜37の漏れ電流、および各線間電圧V1,V2の各実効値を算出する都度、実効値毎に積算することにより、所定周期Ta毎の各実効値の積算値を算出して第1記憶部7に記憶させる。同様にして、制御部9は、各電力線U1,U2の各電力値の積算値も算出して第1記憶部7に記憶させる。また、制御部9は、各実効値を算出する都度、直前に算出した実効値と比較して、より大きな実効値を選択することにより、所定周期Ta毎の各実効値の最大値を算出すると共に、より小さな実効値を選択することにより、所定周期Ta毎の各実効値の最小値を算出して、第1記憶部7に記憶させる。同様にして、制御部9は、各電力線U1,U2の各電力値の最大値および最小値も算出して第1記憶部7に記憶させる。
制御部9は、図3に示すように、所定周期Taでの割り込みが発生したか否かの検出(ステップ53)と、イベントが発生したか否かを検出するイベント検出処理(ステップ55)とを実行しつつ、上記のステップ50〜ステップ55を繰り返す。本例では、制御部9は、16波形分の各波形データDa〜Dkをリング式に第1記憶部7に記憶させる。これにより、負荷電流I1,I2、電源幹線31の漏れ電流、および各分岐線32〜37の漏れ電流についての最新の16波形分の各実効値と、各線間電圧V1,V2についての最新の16波形分の各実効値と、各電力線U1,U2についての最新の16波形分の各電力値とが、最新の16波形分の各電流波形データDa〜Diおよび各電圧波形データDj,Dkと共に第1記憶部7にリング式に記憶される。
その後、制御部9は、ステップ53において割り込みの発生を検出したときには、データ記録処理を実行する。このデータ記録処理では、制御部9は、割り込みの発生の直前における所定周期Taでの各実効値および各電力値の積算値を第1記憶部7から読み出すと共に、読み出した各積算値を所定周期Taで除算することにより、この所定周期Taにおける各実効値および各電力値の平均値を算出し、第1記憶部7から読み出したこの所定周期Taにおける各実効値および各電力値の最大値および最小値と共に第2記憶部8に記憶させる(ステップ54)。このようにして上記のステップ50〜ステップ55を繰り返し実行し、所定周期Taでデータ記録処理を実行することにより、所定周期Ta毎の各実効値および各電力値の平均値、最大値および最小値が第2記憶部8に順次記憶(記録)される。
また、制御部9は、操作部11が操作されたときには、その操作内容に応じて、例えば、第2記憶部8に記憶されているデータを読み出すことにより、負荷電流I1,I2、電源幹線31の漏れ電流、各分岐線32〜37の漏れ電流、および各線間電圧V1,V2についての各実効値や、電源幹線31における各電力線U1,U2の各電力値や、各実効値および各電力値の平均値、最大値および最小値などを時系列で表示部10に表示させる。これにより、負荷電流I1,I2、電源幹線31の漏れ電流、各分岐線32〜37の漏れ電流、および各線間電圧V1,V2についての各実効値とその平均値等について、また電源幹線31についての各電力値とその平均値等の長時間的な変動を監視することができる。また、制御部9は、操作部11に対する操作内容に応じて、第1記憶部7から16波形分の各電流波形データDa〜Diおよび各電圧波形データDj,Dkのうちの所定の波形分(少なくとも最新の2波形分)、並びに各波形データDa〜Dkに関連付けて記憶されている各実効値および各電力値を読み出して、各波形データDa〜Dkについては表示部10に波形として表示させ、各実効値や各電力値については対応する波形に関連付けて数値表示させる。これにより、負荷電流I1,I2、電源幹線31の漏れ電流、各分岐線32〜37の漏れ電流、および各線間電圧V1,V2についての最新の波形を監視することができると共に、負荷電流I1,I2、電源幹線31の漏れ電流、各分岐線32〜37の漏れ電流、および各線間電圧V1,V2についての短時間的な実効値の変動、並びに電源幹線31の短時間的な電力値の変動を監視することができる。
また、制御部9は、上記のステップ55において、イベント検出処理として、線間電圧V1,V2についての各実効値の少なくとも一方が基準電圧を下回るというイベント発生条件が満たされたか否か、つまりイベントが発生したか否かを検出する。したがって、何らかの原因により、電流制限器21または漏電遮断器22が作動したときには、電源幹線31が遮断されて、線間電圧V1,V2についての各実効値の双方が基準電圧を下回るため、制御部9は、ステップ55でのイベント検出処理においてイベント発生条件が満たされたと判別して、ステップ50〜ステップ55の処理ループを抜けて、原因特定処理を実行する(ステップ56)。この場合、電源幹線31が遮断されたときには、電源監視レコーダ1への商用電源の供給が停止するが、電源供給部12が電力の供給源を商用電源からバッテリ13に直ちに切り替えるため、電源監視レコーダ1は作動状態を維持する。
この原因特定処理では、制御部9は、まず、イベントの発生時点の直前における波形から所定波形数前までの波形に関する負荷電流I1,I2、電源幹線31の漏れ電流、各分岐線32〜37の漏れ電流、および各線間電圧V1,V2についての各実効値を各波形データDa〜Dkと共に第1記憶部7から読み出して、不揮発性のメモリで構成された第2記憶部8に記憶させる。これにより、何らかの原因で、バッテリ13が故障したときにおいても、イベントの発生時点での各電流、電圧についての各実効値と波形データDa〜Dkとが第2記憶部8内に保存される。次いで、制御部9は、内部メモリに記憶されている各線間電圧V1,V2についての定格値と、第1記憶部7から読み出した各線間電圧V1,V2の各実効値とを比較する。この比較の結果、各線間電圧V1,V2の実効値のいずれかが対応する定格値を超えているときには、漏電遮断器22の作動原因が欠相であると判定する。また、制御部9は、内部メモリに記憶されている各負荷電流I1,I2についての定格値と、第1記憶部7から読み出した各負荷電流I1,I2の各実効値とを比較する。この比較の結果、各負荷電流I1,I2の実効値のいずれかが対応する定格値を超えているときには、漏電遮断器22の作動原因が過負荷であると判定する。また、制御部9は、内部メモリに記憶されている各漏れ電流についての定格値(一例として感度電流の定格値の2分の1の値)と、第1記憶部7から読み出した各漏れ電流の各実効値とを比較する。この比較の結果、各漏れ電流の実効値のいずれかが対応する定格値を超えているときには、漏電遮断器22の作動原因が漏電であると判定する。また、この場合、制御部9は、電源幹線31および各分岐線32〜37のいずれにおいて漏れ電流の実効値が定格値を超えたのかに基づいて、漏電の発生箇所を特定する。
また、漏電遮断器22の作動原因が漏電であると判定したときには、制御部9は、さらに、実効値が定格値を超えている漏れ電流についての実部成分(抵抗成分)を算出して定格値と比較することにより、電力線などの絶縁不良による漏電なのか、漏電遮断器22の不要動作による漏電なのかを特定する。具体的には、制御部9は、まず、実効値が定格値を超えている漏れ電流についての電流波形データと線間電圧V1,V2のいずれか一方(例えば線間電圧V1)の電圧波形データとに基づいて、両者間の位相差を算出し、算出した位相差と実効値とからその実部成分を算出する。次いで、制御部9は、この実効値が定格値を超えている漏れ電流の実部成分と定格値(一例として感度電流の定格値の2分の1の値)とを比較する。この比較の結果、漏れ電流の実部成分が定格値を超えているときには、絶縁抵抗の低下を意味するため、絶縁不良による漏電であると判別する。他方、漏れ電流の実部成分が定格値を超えていないときには、絶縁抵抗の低下がないため、漏電以外の何らかの原因(例えば高調波や高周波成分の影響)により、漏電遮断器22が不要動作したと判別する。
最後に、制御部9は、上記の原因特定処理での判定結果と、イベントの発生時点を基準として所定数前の負荷電流I1,I2、電源幹線31の漏れ電流、各分岐線32〜37の漏れ電流、および各線間電圧V1,V2についての各実効値および各波形データDa〜Dkとを表示部10に表示させる(ステップ57)。これにより、分電盤20内に配設された漏電遮断器22の動作原因の監視動作を終了する。
このように、この電源監視レコーダ1によれば、制御部9が、第1記憶部7に記憶されている各波形データDa〜Dkに基づいて負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2の各実効値を各波形データに対応する波形の1周期毎に算出すると共に算出した各実効値を第1記憶部7に記憶させ、かつ所定イベントが発生したときに、負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2の各実効値を第1記憶部7から読み出して表示部10に表示させることにより、表示部10に表示されている数周期に亘る波形の1周期毎の各実効値の変化に基づいて、負荷電流I1,I2および線間電圧V1,V2に発生した瞬停、ディップおよびスウェル、並びに電源幹線31や各分岐線32〜37での漏れ電流の間欠的な発生といった短時間的な現象を波形の数周期に亘って監視することができる。また、制御部9が、負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2の各実効値と、電源幹線31の電力値と、これらの平均値、最大値および最小値とを、所定周期Ta毎に第2記憶部8に記憶させることにより、負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2についての実効値等を長時間的に監視することができる。
また、電源供給部12が、商用電源からの電力が停止したときにはバッテリ13の電力に基づいて作動用電圧を生成することにより、商用電源が停止しているときであっても、継続して監視動作を実行することができる。また、この商用電源の停止を所定イベントとしているときには、商用電源の復帰の如何に拘わらず、直ちに、負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2の各実効値を表示部10に表示させることができる。このため、商用電源の復帰を待つ必要がないため、所定イベントの発生の原因特定処理を迅速に実行することができる。
さらに、制御部9が、第1記憶部7に記憶されている負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2の各実効値に基づいて、所定周期Ta毎の負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2についての平均値、最大値および最小値を算出して第2記憶部8に記憶させることにより、負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2についての平均値、最大値および最小値を表示部10に表示させて監視することができる。したがって、分電盤20に対して、より詳細な電源監視を実行することができる。
また、制御部9が、所定イベントの発生を検出したときに、負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2についての各実効値を第1記憶部7から読み出すと共に、対応する定格値と比較し、原因の特定結果(比較結果)を表示部10に表示させることにより、所定イベントが発生したときに、負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2のいずれに異常が発生しているか否かを監視することができる。
さらに、電源幹線31および各分岐線32〜37のいずれかに発生した漏れ電流の実効値が定格値を超えることに起因して、この漏れ電流の発生した部位に配設されている漏電遮断器22が作動したときに、制御部9が定格値を超えた漏れ電流の実部成分を算出すると共に算出した実部成分と定格値とを比較することにより、作動した漏電遮断器22の動作原因が、電力線などの絶縁不良に基づく本質的な漏電によるものなのか、高調波や高周波成分などに起因した不要動作によるものなのかを特定することができる。
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2の各実効値を第1記憶部7から読み出して表示部10に表示させる構成に代えて、これらのうちから選択した少なくとも1つの実効値を表示部10に表示させることもできる。また、バッテリ13を省いた構成を採用することもできる。この構成では、従来の電源監視レコーダと同様にして、次の起動時において、負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2の各実効値や波形データDa〜Dkを第2記憶部8から読み出して表示部10に表示させることにより、イベント発生直前における瞬停、ディップ、スウェル、および漏れ電流の間欠的な発生といった短時間的に発生する現象を監視することができる。また、電源監視レコーダ1の内部で所定イベントを発生させる構成について上記したが、所定イベント発生用の信号を外部から入力する構成を採用することもできる。また、電流クランプや電圧プローブの数は、上記例に限定されず、任意の数に規定することができる。また、電源監視レコーダ1を用いて、分電盤20における漏電遮断器22の動作を監視する例を挙げて説明したが、分電盤20における他の機器(電流制限器21や配線用遮断器23〜28)の動作を監視することもできる。さらには、分電盤20以外の機器の電源監視に電源監視レコーダ1を適用することもできる。また、負荷電流I1,I2、各漏れ電流および線間電圧V1,V2の各実効値を第1記憶部7から読み出して表示部10に表示(報知)させる構成について上記したが、読み出した各実効値を音声で報知したり、読み出した実効値のデータを装置外部に出力して報知する構成を採用することもできる。
電源監視レコーダ1の構成を示す構成図である。 分電盤20の構成、および分電盤20への電源監視レコーダ1の装着状態を示す構成図である。 電源監視レコーダ1の動作を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 電源監視レコーダ
4 電流入力部
5 電圧入力部
6 波形取込部
7 第1記憶部
8 第2記憶部
9 制御部
10 表示部
31 電源幹線
32〜37 分岐線
Da〜Di 電流波形データ
Dj,Dk 電圧波形データ
I1,I2 負荷電流
V1,V2 線間電圧

Claims (5)

  1. 電源ラインの負荷電流および漏れ電流並びに当該電源ラインから分岐した複数の分岐線の各漏れ電流をサンプリングすることにより当該各電流についての波形データを生成する電流入力部と、
    前記電源ラインおよび前記複数の分岐線のいずれかの線間電圧をサンプリングすることにより当該線間電圧についての波形データを生成する電圧入力部と、
    前記電流入力部および前記電圧入力部によって生成された前記各波形データを取り込んで波形記憶部に記憶させる波形取込部と、
    前記波形記憶部に記憶されている前記各波形データに基づいて、前記負荷電流、前記各漏れ電流および前記線間電圧の各実効値を波形の1周期毎に算出すると共に当該算出した前記各実効値を実効値記憶部に記憶させ、かつ所定イベントが発生したときに、前記負荷電流、前記各漏れ電流および前記線間電圧のうちの少なくとも1つについての前記実効値を前記実効値記憶部から読み出して報知する制御部とを備えている電源監視レコーダ。
  2. バッテリと、
    商用電源から電力が供給されているときには当該電力に基づいて作動用電圧を生成して、前記電流入力部、前記電圧入力部、前記波形取込部および前記制御部に供給し、前記商用電源からの前記電力が停止したときには前記バッテリの電力に基づいて作動用電圧を生成して、前記電流入力部、前記電圧入力部、前記波形取込部および前記制御部に供給する電源供給部とを備えている請求項1記載の電源監視レコーダ。
  3. 前記制御部は、前記実効値記憶部に記憶されている前記各実効値に基づいて、所定周期毎の前記負荷電流、前記各漏れ電流および前記線間電圧についての平均値、最大値および最小値の少なくとも1つを算出して特性値記憶部に記憶させる請求項1または2記載の電源監視レコーダ。
  4. 前記制御部は、前記所定イベントが発生したときに、前記負荷電流、前記各漏れ電流および前記線間電圧の前記各実効値を前記実効値記憶部から読み出すと共に、前記負荷電流、前記各漏れ電流および前記線間電圧に対して予め設定されている定格値と比較して、その比較結果を前記表示部に表示させる請求項1から3のいずれかに記載の電源監視レコーダ。
  5. 前記制御部は、前記実効値記憶部に記憶されている前記各漏れ電流のうちの少なくとも1つの前記実効値が予め設定されたイベント発生条件に合致したときに前記所定イベントが発生したとして、当該イベント発生条件に合致した前記漏れ電流が流れる前記電源ラインおよび前記分岐線のいずれかを異常箇所として特定し、かつ当該イベント発生条件に合致した前記漏れ電流についての前記波形記憶部に記憶されている前記波形データに基づいて当該漏れ電流の実部成分を算出すると共に当該漏れ電流の実部成分に対して予め設定されている定格値と比較することにより、前記異常の発生原因を特定する請求項1から4のいずれかに記載の電源監視レコーダ。
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