JP2006236510A - 記録条件設定装置、記録再生装置、記録条件設定方法、制御プログラム及び記録媒体 - Google Patents

記録条件設定装置、記録再生装置、記録条件設定方法、制御プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 DCオフセットやクロック位相ずれ等による影響を受けずに、記録マークのエッジずれを検出し、良好な記録状態を得ることが可能となる記録条件設定装置を実現する。
【解決手段】 本発明の記録条件設定装置は、光ディスク2からの再生信号から生成された復号ビット列から、記録情報別に設定されたパターンを特定パターンとして検出する特定パターン検出回路8と、上記再生信号から生成されたパスメトリック差から、検出された特定パターンに対応する特定パスメトリック差を抽出した特定パスメトリック差を、記録情報別パターンに対応する記録情報別パスメトリック差に分類するパスメトリック差分類回路10と、分類された複数の記録情報別パスメトリック差に基づいて、上記記録条件を設定する記録条件設定回路20とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、記録情報に応じた複数の要素からなる記録条件に基づいて記録マークを形成する記録条件設定方法、記録再生装置、制御プログラム、及び記録媒体に関するものである。
大容量のデータを記録する光ディスク装置等の記録再生装置においては、記録情報に応じて変化するパルス列を、情報の最小単位より細かいパルス列に変換し、該細かいパルス列によってレーザビームを強度変調し、該強度変調されたレーザビームを記録媒体上に集光させて加熱することにより媒体の物理特性を変化させて記録マークを形成することで記録している。
ところで、光ディスクの高密度化が進むにつれて、マーク長(記録マークのトラック方向の寸法)毎或いはマーク長とスペース(記録マーク間)長の組み合わせ毎に記録条件を設定するといった厳密な設定が必要となってきている。
従来、光ディスクの記録条件を設定するため、記録されたトラックの再生信号品質の評価指標としてジッタが用いられることが多いが、より高密度記録を実現するためのデータ検出方式としてPRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式が採用されつつある状況においては、時間軸方向のばらつきを示すジッタを評価指標として用いることは適当ではない。
また、PRMLによるデータ検出結果のビットエラーレートを評価指標として用いることも行われているが、必要な測定サンプルビット数が多い点、ディスクのキズなどに起因するディフェクトの影響を受けやすい点、などの短所がある。
このような背景において、SAM(Sequenced Amplitude Margin)と呼ばれる再生信号品質の評価方法が提案されている(T.Perkins, "A Window Margin Like Procedure for Evaluating PRML Channel Performance";IEEE Transactions on Magnetics, Vol.31, No2, 1995, p1109-1114)。
図35及び図36を用いてSAMの概念を説明する。ここでは(1,7)RLL(Run Length Limited)符号で記録されたビット列の再生信号をPR(1,2,1)特性に基づいてPRML検出する場合を例に説明する。
PR(1,2,1)特性に従う、歪み及びノイズのない理想的な1Tマークの再生信号波形は、図35で示すようにチャネルクロック毎のサンプルレベル比が1:2:1になる。2T以上のマークの再生信号波形については、この1Tマークの再生信号波形の重ね合わせによって求められ、例えば2Tマークなら1:3:3:1に、3Tマークなら1:3:4:3:1に、4Tマークなら1:3:4:4:3:1になる。こうして任意のビット列について理想的な再生信号波形が想定され、理想的なサンプルレベルとしては、0、1、2、3、4の5レベルをとることになる。ここで、便宜上、最大振幅が±1になるようにサンプルレベルを正規化する。このとき、理想的なサンプルレベルは、−1、−0.5、0、+0.5、+1の5レベルとなる。
ここで、PRML復号を具体的に実現する手法として、ビタビ復号を用いる。上記で設定したサンプルレベルを用いたビタビ復号においては、図36に示すようなトレリス線図を考える。図36においてS(00)、S(01)、S(10)、S(11)は状態を表し、例えば状態S(00)は前ビットが0で現在ビットが0であったことを示す。状態と状態を結ぶ線はブランチと呼ばれ、状態遷移を表す。例えばS(00)→S(01)のブランチによって「001」なるビット列を表すことができる。
図36では、各ブランチの識別子としてa〜fの各文字をあてており、その横に、各状態遷移において期待される理想波形レベルを附してある。例えばaは「000」なるビット列を表すので−1、bは「100」なるビット列を表すので−0.5が理想レベルである。ここで、S(01)→S(10)及びS(10)→S(01)なるブランチが存在しないのは、(1,7)RLL符号ではd=1のランレングス制限により「010」、「101」なるビット列があり得ないことを反映している。
トレリス線図において、任意の状態から任意の状態を経て生成される全てのブランチの組み合わせ(これをパスと呼ぶ)を考えることは、全てのあり得るビット列を考えることに相当する。よって、全てのパスについて期待される理想波形と、実際に光記録媒体から再生した再生波形を比べて、波形が最も近い、すなわちユークリッド距離が最も小さい理想波形を持つパスを探索すれば、最も確からしい最尤パスを正解パスとして決定することができる。
具体的にトレリス線図を用いたビタビ復号の手順を説明する。任意の時刻において、状態S(00)とS(11)には2本のパスが、S(01)とS(10)には1本のパスが、それぞれ合流する。2本のパスが合流する状態S(00)とS(11)について、各パスの理想波形と再生信号波形とのユークリッド距離が小さい方を生き残りパスとして残すことにすれば、任意の時刻において、4つの各状態に至るパスが各1本ずつ、計4本のパスが残っていることになる。
ここで、パスの理想波形と再生信号波形とのユークリッド距離の二乗はパスメトリックと呼ばれ、ブランチの理想サンプルレベルと再生波形のサンプルレベルの差の二乗として求められるブランチメトリックを、パスを構成する全ブランチについて累積することによって計算される。
時刻tにおける再生信号波形のサンプルレベルをX[t]、ブランチa、b、c、d、e、fの時刻tにおけるブランチメトリックをそれぞれBa[t]、Bb[t]、Bc[t]、Bd[t]、Be[t]、Bf[t]、時刻tにおける各状態S(00)、S(01)、S(10)、S(11)への生き残りパスのパスメトリックをそれぞれM(00)[t]、M(01)[t]、M(10)[t]、M(11)[t]、と記すことにすれば、ブランチメトリックは、以下の(1)式、パスメトリックは、以下の(2)式に従ってそれぞれ計算される。M(00)[t]とM(11)[t]におけるパスメトリックが小さい方を選ぶ処理は、生き残りパスの決定に対応している。
Ba[t]=(X[t]+1)
Bb[t]=Bc[t]=(X[t]+0.5)
Bd[t]=Be[t]=(X[t]−0.5)
Bf[t]=(X[t]−1)
・ ・・(1)式

M(00)[t]=Min{M(00)[t−1]+Ba[t],M(10)[t−1]+Bb[t]}
M(01)[t]=M(00)[t−1]+Bc[t]
M(10)[t]=M(11)[t−1]+Bd[t]
M(11)[t]=Min{M(01)[t−1]+Be[t],M(11)[t−1]+Bf[t]}
( Min{m,n}= m(if m≦n): n(if m>n) )
・ ・・(2)式

こうして再生信号波形のサンプル値が入力される毎に生き残りパスを決定する手順を繰り返していくと、パスメトリックが大きなパスが淘汰されていくため、次第にパスは1本に収束していく。これを正解パスとすることにより、元のデータビット列が正しく再生されることになる。
ここで、ビタビ復号が正しく行われる条件を考えると、最終的に1本に収束していくパスが正解パスとなるためには、各時刻において生き残りパスを決定する過程で、正解パスのパスメトリックが、間違いパスであるもう一方のパスのパスメトリックよりも小さくなければならない。この条件は、以下の(3)式のように表される。
(正解ビット列が「・・・000」の場合)
ΔM=(M(01)[t−1]+Bb[t])― (M(00)[t−1]+Ba[t]) >0
(正解ビット列が「・・・100」の場合)
ΔM=(M(00)[t−1]+Ba[t])― (M(01)[t−1]+Bb[t]) >0
(正解ビット列が「・・・011」の場合)
ΔM=(M(11)[t−1]+Bf[t])― (M(01)[t−1]+Be[t]) >0
(正解ビット列が「・・・111」の場合)
ΔM=(M(01)[t−1]+Be[t])― (M(11)[t−1]+Bf[t]) >0
(正解ビット列が「・・・001」または「・・・110」の場合)
生き残りパスの決定は必ず正しく行われるため、常にΔM>0が成り立つ
・・・(3)式
(3)式において、ΔMは生き残りを賭けて対決する2本のパスのパスメトリックの差であり、この差をSAMと呼ぶ。エラーが発生しないためにはSAM>0である必要があり、またSAMが大きい程エラーを起こしにくいことを意味している。
さて、SAMを用いて記録条件を補償して設定する方法として、特開2003−151219号公報(特許文献1)では、符号ビット列"10"または"01"を含む第1のパターンと、前記符号ビット列"10"または"01"に対応する箇所が"11"である第2のパターンと、前記符号ビット列"10"または"01"に対応する箇所が"00"である第3のパターンとを提供し、再生信号と前記第1のパターンとの第1距離と、前記再生信号と前記第2のパターンとの第2距離と、前記再生信号と前記第3のパターンとの第3距離とを求め、第1距離と第2距離との間の第1距離差D2(=第2距離−第1距離)と、第1距離と第3距離との間の第2距離差D3(=第3距離−第1距離)に基づいて記録条件を補償して設定する手法が提案されている。
特開2003−151219号公報
ここで、特許文献1に記載の記録条件補償方法について、以下の例を考える。第1のパターンを"111000"とし、第2のパターンを"111100"、第3のパターンを"110000"とする。このとき、第2のパターンは、第1のパターンの符号ビット列"10"に対応する箇所が"11"である。第3のパターンは、第1のパターンの符号ビット列"10"に対応する箇所が"00"である。
図37に第1のパターンと第2のパターンのトレリス線図上のパスを示す。再生信号と前記第1のパターンとの第1距離と、前記再生信号と前記第2のパターンとの第2距離との間の第1距離差D2とは、図37の時刻t+4におけるパスメトリック差に対応する。また、図38に第1のパターンと第3のパターンのトレリス線図上のパスを示す。再生信号と前記第1のパターンとの第1距離と、前記再生信号と前記第3のパターンとの第3距離との間の第2距離差D3とは、図38の時刻t+3におけるパスメトリック差に対応する。
このとき、第1のパターンを記録したときに、その再生信号の識別結果が第2のパターンと誤認される確率は、第1距離差D2が0に近づくほど高くなる。また、第1のパターンを記録したときに、その再生信号の識別結果が第3のパターンと誤認される確率は、第2距離差D3が0に近づくほど高くなる。再生信号の識別結果が第2のパターンと誤認される確率と、第3のパターンと誤認される確率が等しくなるように記録補償を行えば再生信号の読み誤りの確率が低い状態が得られる。
ここで、第1のパターンを記録したときに、その再生信号の識別結果が第2のパターンと誤認される事象と、第3のパターンと誤認される事象は相反する事象であるため、第1距離差D2と、第2距離差D3の負の値である−D3が、原点0を基準にしてほぼ等距離になるようにすれば、再生信号の読み誤りの確率が低い状態が得られる。
しかし、再生信号によっては、ディスク上のマークのデューティーずれなどに起因する直流レベル変動や、再生信号をアナログデータからデジタルデータに変換するためのA/D変換器のオフセット調整ずれなどにより、ビタビ復号を行うためのビタビ復号回路に入力される再生信号にDCオフセットが付加される場合がある。ここで、DCオフセットとは、再生信号が無信号時にビタビ復号回路に入力される信号レベルと、理想波形の振幅中心(0)レベルとの差と定義する。図39に理想波形(破線)に対して、DCオフセットが付加された波形(実線)を示す。
図40に理想波形に対してDCオフセットを与えた場合の、第1距離差D2と第2距離差の負である−D3の値の変化を示す。理想値はそれぞれ1.5、−1.5であるが、DCオフセットによって各値が変化する。
ところで、特許文献1では、D2と−D3が原点0を基準にしてほぼ等距離になるようにすれば、再生信号の読み誤りの確率が低い状態が得られるとしている。このため、DCオフセットの影響により原点0との距離が変化すれば、良好な記録状態が得られないことになる。
また、再生信号からA/D変換器において必要な再生クロックを抽出するための再生クロック抽出回路におけるオフセット調整ずれなどにより、ビタビ復号を行うためのビタビ復号回路に入力される再生信号にクロック位相ずれが付加される場合がある。ここで、クロック位相ずれとは、PRMLの理想サンプリング位相と、クロック位相のDC的なずれと定義する。図41に理想サンプリング位相(白点)に対して、DC的なクロック位相ずれが付加されてサンプリングされた場合(黒点)を示す。
図42に理想波形に対してクロック位相ずれを与えた場合の、第1距離差D2と第2距離差の負である−D3の値の変化を示す。理想値はそれぞれ1.5、−1.5であるが、クロック位相ずれによって各値が変化する。
ところで、特許文献1では、D2と−D3が原点0を挟んでほぼ等距離になるようにすれば、再生信号の読み誤りの確率が低い状態が得られるとしているため、クロック位相ずれの影響により、良好な記録状態が得られないことがある。
また、特許文献1は、再生信号と前記第1のパターンとの第1距離と前記再生信号と前記第2のパターンとの第2距離との間の第1距離差D2と、前記第1距離と前記再生信号と前記第3のパターンとの第3距離との間の第2距離差D3の2つを用いて記録条件を補償し設定しているが、第1のパターンを含むパターンによってマーク長毎に第1距離差をさらに分類し、それらの値の比較を行うことをしておらず、マーク長間の記録マークのエッジずれの均一状態を検出していない。同様に、第1のパターンを含むパターンによってマーク長毎に第2距離差をさらに分類し、それらの値の比較を行うことをしておらず、マーク長間の記録マークのエッジずれの均一状態を検出していない。そのため、マーク長間のエッジずれが発生する可能性があり、良好な記録状態が得られないことがある。
本発明は、上記従来の各問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、DCオフセットやクロック位相ずれ等による影響を受けずに、記録マークのエッジずれを検出し、良好な記録状態を得ることが可能となる記録条件設定装置、記録再生装置、記録条件設定方法、制御プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
本発明に係る記録条件設定装置は、上記課題を解決するために、記録媒体に対して記録マークを形成するための、記録情報に応じた複数の要素からなる記録条件を設定する記録条件設定装置において、上記記録媒体からの再生信号から、ビタビ復号にてビット列を復号して復号ビット列を生成しつつ、パスメトリック差を生成するビタビ復号手段と、上記ビタビ復号手段によって生成された復号ビット列から、記録情報別に設定されたパターンを特定パターンとして検出する特定パターン検出手段と、上記ビタビ復号手段によって生成されたパスメトリック差から、上記特定パターン検出手段によって検出された特定パターンに対応する特定パスメトリック差を抽出する特定パスメトリック差抽出手段と、上記特定パターン検出手段によって検出された特定パターンを含む復号ビット列から、複数の記録情報のうち対応する記録情報を持つ記録情報別パターンを検出する記録情報別パターン検出手段とを有し、上記特定パスメトリック差抽出手段によって抽出された特定パスメトリック差を、上記記録情報別パターン検出手段によって検出された記録情報別パターンに対応する記録情報別パスメトリック差に分類するパスメトリック差分類手段と、上記パスメトリック差分類手段によって分類された複数の記録情報別パスメトリック差に基づいて、上記記録条件を設定する記録条件設定手段とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、特定パターンに対応したパスメトリック差(特定パスメトリック差)を、記録情報別に分類し、この分類したパスメトリック差に基づいて記録条件が設定されるので、実際に記録マークを再生して得られた記録情報別のパスメトリック差に基づいて記録条件が設定されることになる。このため、従来のように、再生信号にDCオフセットが付加されることによる影響や、再生クロックにクロック位相ずれが付加されることによる影響を受けずに、記録条件を設定することができるので、適切な記録条件を設定することが可能となる。
しかも、記録マークを形成する際の記録条件を記録情報別に設定することが可能となる。これにより、特定パスメトリック差が記録情報別に分類されていることで、特定パスメトリック差によって生じる記録マーク長間のエッジずれの状態を適切に把握することが可能となる。
従って、記録マーク長間のエッジずれを考慮した適切な記録条件によって記録情報を記録媒体上に記録することができる。
上記記録条件設定手段は、上記パスメトリック差分類手段によって分類された記録情報別パスメトリック差毎に平均値を算出する平均値算出手段を備え、上記平均値算出手段よって算出した平均値に基づいて記録条件を設定するようにしてもよい。
この場合、記録情報別にパスメトリック差の平均値がそれぞれ求められるので、パスメトリック差のばらつきを低減することになり、より適切な記録条件を設定することが可能となる。
さらに、より適切な記録条件を得るためには、上記記録条件設定手段は、上記平均値算出手段によって得られた平均値に基づいて、記録情報別パスメトリック差を正規化する正規化手段を備え、上記正規化手段によって正規化された記録情報別パスメトリック差に基づいて記録条件を設定するのが好ましい。
また、上記記録条件設定手段は、上記パスメトリック差分類手段によって分類された記録情報別パスメトリック差毎に度数分布を算出する度数分布算出手段を有し、上記度数分布算出手段によって算出された度数分布が記録情報間で互いに近づくように、記録条件を設定するようにしてもよい。
この場合も、記録情報別にパスメトリック差の平均値がそれぞれ求められるので、パスメトリック差のばらつきを低減することになり、より適切な記録条件を設定することが可能となる。
さらに、より適切な記録条件を得るためには、上記記録条件設定手段は、上記パスメトリック差分類手段によって分類された記録情報別パスメトリック差毎に度数分布を算出する度数分布算出手段を有し、上記度数分布算出手段によって算出された度数分布が所定範囲内に入るように、記録条件を設定するのが好ましい。
上記記録条件設定手段は、記録条件のうち、少なくとも記録パワーの設定を行えばよい。
このように、記録パワーを少なくとも適切に設定することができれば、記録するマーク長を適切に設定することが可能となる。
上記構成の記録条件設定装置は、記録情報に応じた複数の要素からなる記録条件を設定する記録再生装置に備えられるのが好ましい。
すなわち、記録条件をより適切に設定することが可能となるので、より精度の高い記録マークの形成が可能となる。
本発明の記録条件設定方法は、記録情報に応じた複数の要素からなる記録条件に基づいて、記録媒体に記録マークを形成する記録再生装置の記録条件設定方法において、上記記録媒体からの再生信号から、ビタビ復号にてビット列を復号して復号ビット列を生成しつつ、パスメトリック差を生成する第1のステップと、上記第1のステップにおいて生成された復号ビット列から特定パターンを検出する第2のステップと、上記第1のステップにおいて生成されたパスメトリック差から、上記第2のステップにおいて検出された特定パターンに対応する特定パスメトリック差を取り出す第3のステップと、上記第2のステップにおいて検出された特定パターンを含む復号ビット列から、複数の記録情報のうち対応する記録情報を持つ記録情報別パターンを検出する第4のステップと、上記第3のステップにおいて取り出された特定パスメトリック差を、上記第4のステップにおいて検出された記録情報別パターンに対応する記録情報別パスメトリック差に分類する第5のステップと、上記第5のステップにおいて分類された複数の上記記録情報別パスメトリック差に基づいて、記録条件を設定する第6のステップを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、特定パターンに対応したパスメトリック差(特定パスメトリック差)を、記録情報別に分類し、この分類したパスメトリック差に基づいて記録条件が設定されるので、実際に記録マークを再生して得られた記録情報別のパスメトリック差に基づいて記録条件が設定されることになる。このため、従来のように、再生信号にDCオフセットが付加されることによる影響や、再生クロックにクロック位相ずれが付加されることによる影響を受けずに、記録条件を設定することができるので、適切な記録条件を設定することが可能となる。
しかも、記録マークを形成する際の記録条件を記録情報別に設定することが可能となる。これにより、特定パスメトリック差が記録情報別に分類されていることで、特定パスメトリック差によって生じる記録マーク長間のエッジずれの状態を適切に把握することが可能となる。
従って、記録マーク長間のエッジずれを考慮した適切な記録条件によって記録情報を記録媒体上に記録することができる。
より適切な記録条件を設定するには、以下のような記録条件設定方法が考えられる。
すなわち、上記複数の記録情報別パスメトリック差の分布が近づくように記録条件を設定するのが好ましい。
また、上記複数の記録情報別パスメトリック差の分布が所定範囲内になるように記録条件を設定するのが好ましい。
さらに、上記複数の記録情報別パスメトリック差の平均値を基準にして所定範囲を設定することが好ましい。
上記記録情報別パスメトリック差を、前記特定パスメトリック差の平均値で正規化したものに基づいて記録条件を設定することが好ましい。
上記記録情報別パスメトリック差毎に算出した平均値に基づいて記録条件を設定することが好ましい。
上記特定パターンとして、"11000"を含むことが好ましい。
さらに、上記特定パターンとして、"11100"を含むことが好ましい。
このような記録条件を設定するにあたり、特定パターンのうち"1"がマーク、"0"が非マークを表すとき、上記記録条件を構成する要素のうち、記録マークの後ろエッジ部位置を変化させる要素に対して変化を加えることが好ましい。
上記特定パターンとして、"00111"を含むことが好ましい。
さらに、上記特定パターンとして、"00011"を含むことが好ましい。
このような記録条件を設定するにあたり、特定パターンのうち"1"がマーク、"0"が非マークを表すとき、上記記録条件を構成する要素のうち、記録マークの前エッジ部位置を変化させる要素に対して変化を加えることが好ましい。
この場合においても、記録条件を設定するにあたり、少なくとも記録パワーを変化させるのが好ましい。
本発明の制御プログラムは、記録再生装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラムである。
これにより、汎用のコンピュータにより記録再生装置の動作制御が行うことができるので、安価に記録条件設定装置を実現することができる。
上記制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。
本発明に係る記録条件設定装置は、以上のように、上記記録媒体からの再生信号から、ビタビ復号にてビット列を復号して復号ビット列を生成しつつ、パスメトリック差を生成するビタビ復号手段と、上記ビタビ復号手段によって生成された復号ビット列から、記録情報別に設定されたパターンを特定パターンとして検出する特定パターン検出手段と、上記ビタビ復号手段によって生成されたパスメトリック差から、上記特定パターン検出手段によって検出された特定パターンに対応する特定パスメトリック差を抽出する特定パスメトリック差抽出手段と、上記特定パターン検出手段によって検出された特定パターンを含む復号ビット列から、複数の記録情報のうち対応する記録情報を持つ記録情報別パターンを検出する記録情報別パターン検出手段とを有し、上記特定パスメトリック差抽出手段によって抽出された特定パスメトリック差を、上記記録情報別パターン検出手段によって検出された記録情報別パターンに対応する記録情報別パスメトリック差に分類するパスメトリック差分類手段と、上記パスメトリック差分類手段によって分類された複数の記録情報別パスメトリック差に基づいて、上記記録条件を設定する記録条件設定手段とを備えているので、再生信号にDCオフセットが付加されることによる影響や、再生クロックにクロック位相ずれが付加されることによる影響を受けずに、特定パスメトリック差によって生じる記録マーク長間のエッジずれの状態を適切に把握することが可能となり、この結果、記録マーク長間のエッジずれを考慮した適切な記録条件によって記録情報を記録媒体上に記録することができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1乃至図27を用いて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、本発明の記録再生装置として、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式の光ディスク装置について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる光ディスク装置1の概略構成ブロック図を示す。
上記光ディスク装置1は、図1に示すように、ピックアップ3、再生クロック抽出回路4、A/D変換器5、等化回路6、ビタビ復号回路7、特定パターン検出回路8、ビット列レジスタ9、パスメトリック差分類回路10、記録条件設定回路20(30、40)で構成されている。なお、上記光ディスク装置1には、上記のビタビ復号回路7、特定パターン検出回路8、ビット列レジスタ9、パスメトリック差分類回路10、記録条件設定回路20(30、40)からなる記録条件設定装置100が備えられた構成となっている。この光ディスク装置1の詳細については、後述する。
以下においては、上記光ディスク装置1に採用された変調方式として(1,7)RLL(Run Length Limited code)を例に挙げて説明する。但し、本発明においては、変調方式として(1,7)RLLの変調方式に限るものではなく、他の変調方式であってもよいことは言うまでもない。
(1,7)RLLコードとは、磁気的、光学的ディジタル記録において、反転間隔の最小値と最大値とを制限したコードである。また、この(1,7)RLLの変調方式では、後で詳述するが、一つの記録マークを形成するための記録パルスのパルス列は、最短の記録マークでは、始端部と終端部とから構成される。そして、最短の記録マークよりも長い記録マークでは、この始端部と終端部との間に、該マーク長に応じた中間部を加えて構成される。
なお、他の変調方式においては、最短の記録マーク長が3Tから始まるものなどもある。このときは、最短の記録マーク長が始端部、中間部、終端部にて構成されている(例えば、DVD−RW等)。また、最短マーク長が始端部のみで構成されているものもある(例えば、DVD−R等)。
図2に、記録情報、これに対応するパルス列、及び形成される記録マークの形状を示す。記録情報に対応する記録パルスのパルス列は、光ディスク2に記録を行うための媒体温度分布を考慮して設定されている。なお、図2は、4Tマークに対応するためのパルス列を示す。該パルス列は、上述したように、始端部と終端部、及び3Tマーク以上にある中間部とを合わせて構成されている。
ここで、「T」は、クロック1周期分の時間を表している。したがって、例えば4Tマークとは、クロック4周期分の時間に「1」が記録されるマーク、つまり記録領域をいう。また、パルス列は、同図に示すように、記録パワー、消去パワー、及びバイアスパワーのパワーレベルを表す要素によっても構成されている。以降、これら記録パワー、消去パワー、及びバイアスパワーを総称して記録パワー条件とする。なお、同図では、始端部、中間部のパルスの記録パワーは同一であるが、必ずしもこれに限らず、パルス毎(始端部、各中間部)で別個の記録パワーであってもよい。
次に、図3に、2Tマークから8Tマークまでのそれぞれを形成するためのパルス列と、該パルス列を実現するための記録パルス条件を示す。記録パルス条件は、始端部パルス開始位置dTtop、始端部パルス幅Ttop、終端部パルス終了位置dTe、中間部パルス幅Tmp、終端部パルス幅Tlast等の複数種類の要素の組み合わせにて構成され、これら要素を総称して記録パルス条件と呼ぶ。始端部パルス開始位置dTtopは始端部のパルス開始位置(記録マークの前エッジ部を変化させる要素)、始端部パルス幅Ttopは始端部のパルス幅、終端部パルス終了位置dTeや終端部パルス幅Tlastは終端部のパルス終了位置(記録マークの後エッジ部を変化させる要素)、及び中間部パルス幅Tmpは中間部のパルス幅を示している。これらの値の変化により、形成される記録マークの形状が変化する。
そして、これら各記録パルス条件は、記録情報の長さ、つまり、マーク長に応じて設定されており、その設定は互いに独立している。つまり、2Tの記録マーク長のパルス列は始端部と終端部とからなり、その記録パルス条件を構成する記録パルス条件は、始端部パルス開始位置dTtop、始端部パルス幅Ttop、及び終端部パルス終了位置dTeであるが、この記録パルス条件が、他のマーク長の始端部及び終端部の設定に用いられるものではなく、例えば、3Tマークの記録パルス条件における始端部パルス開始位置dTtop、始端部パルス幅Ttop、及び終端部パルス終了位置dTeは、これとは全く別もので、個別に設定されているものである。
以下では、記録情報として2T、3T、≧4Tの3種類のマーク長に分類されて、それぞれに対して、記録パルス条件が設定されている場合を例に説明する。
始めに、記録パルス条件と形成される記録マークとの関係について説明する。まず、始端部パルス開始位置dTtopについて言えば、これが大きくなると記録マークの始端位置が前方に移動し、逆に小さくなると記録マークの始端位置が後方に移動する。また、始端部パルス幅Ttopでは、これが大きくなると記録マークにおける先頭部分の幅(トラックの周方向と垂直な方向の寸法)が増大し、逆に小さくなると記録マークにおける先頭部分の幅は減少する。終端部パルス幅Tlastでは、これが大きくなると記録マークの終端位置が後方に移動し、逆にこれが小さくなると記録マークの終端位置が前方に移動する。終端部パルス終了位置dTeでは、これが大きくなると記録マークの終端位置が後方に移動し、逆にこれが小さくなると記録マークの終端位置が前方に移動する。そして、中間部パルス幅Tmpでは、これが大きくなると記録マークの幅(トラックの周方向と垂直な方向の寸法)が増大し、逆に小さくなると幅が減少する。また、記録マークの幅(以下、マーク幅)は、記録パワー条件の変化によっても変化する。以下、記録パワー条件と記録パルス条件を総称したものを記録条件と呼ぶ。
続いて、上述した光ディスク装置1における各部の動作について、図1に示す機能ブロック図および図4に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
まず、記録条件の設定を行う(ステップS1)。ここでは、記録条件は、記録条件設定装置100において行われる。つまり、記録条件設定装置100は、記録媒体である光ディスク2に対して記録マークを形成するための、記録情報に応じた複数の要素からなる記録条件を設定する装置である。最終的に、記録条件設定回路20にて所定の記録条件を設定する。
次に、光ディスク2上に記録データパターンを記録する(ステップS2)。
具体的には、ピックアップ3において、光ディスク2上に光ビームを照射して、記録データパターンを記録する。
次に、記録した領域の再生を行う(ステップS3)。
具体的には、ピックアップ3において、光ディスク2上に光ビームを照射して、その反射光を受光し、電気信号に変換されて再生信号として出力される。このときの再生信号は、アナログデータである。ピックアップ3から出力された再生信号は、次段の再生クロック抽出回路4及びA/D変換器5に出力される。
上記再生クロック抽出回路4は、PLL(Phase Locked Loop)回路からなり、入力された再生信号からA/D変換器5において必要な再生クロックを抽出するようになっている。
したがって、上記A/D変換器5では、再生クロック抽出回路4にて抽出された再生クロックのタイミングで、このアナログデータがデジタルデータの再生信号に変換される。変換されたデジタルデータの再生信号は、次段の等化回路6にて波形等化が行われ、ビタビ復号回路7に入力される。
次に、ビタビ復号を行う(ステップS4)。
具体的には、上記ビタビ復号回路7では、従来例と同様にパスメトリックの計算が行われる。すなわち、前述の(1)式と(2)式に従って、入力された再生信号のデジタルデータと、トレリス線図の各ブランチの理想レベルとの差の二乗(ブランチメトリック)を、パスを構成する全ブランチについて累積していく処理が行われる。
再生信号のデジタルデータが入力される毎に計算されるパスメトリックは、ビタビ復号回路7において、パスメトリックが最小になるパスが最終的に生き残りパスとして残り、復号ビット列が得られる。これにより、前述の(3)式に従って、その正解状態に入力する2本のパスのパスメトリック差ΔMとしてSAMが求められる。ここまでの処理は、従来例と同様である。この復号ビット列は、特定パターン検出回路8とビット列レジスタ9に入力される。また、パスメトリック差ΔMはパスメトリック差分類回路10に入力される。
次に、特定パターンのパスメトリック差を抽出する(ステップS5)。
具体的には、上記復号ビット列から特定パターンが検出された場合、特定パターン検出回路8からパスメトリック差分類回路10に対して信号を出力し、特定パターンに対応してビタビ復号回路7から入力された特定パスメトリック差ΔMを、パスメトリック差分類回路10内の図示しないメモリに特定パスメトリック差として格納する。このとき、特定パスメトリック差が複数検出される場合、平均値を算出しておく。
次に、特定パスメトリック差を記録情報別パスメトリック差に分類する(ステップS6)。
具体的には、パスメトリック差分類回路10内の図示しないメモリに格納された特定パスメトリック差を、ビット列レジスタ9の情報をもとに、記録情報別に分類する。
すなわち、上記パスメトリック差分類回路10は、図5に示すように、上記ビタビ復号回路7によって生成されたパスメトリック差から、上記特定パターン検出回路8によって検出された特定パターンに対応する特定パスメトリック差を抽出する特定パスメトリック差抽出部11と、上記特定パターン検出回路8によって検出された特定パターンを含む復号ビット列から、複数の記録情報のうち対応する記録情報を持つ記録情報別パターンを検出する記録情報別パターン検出部12とを有し、上記特定パスメトリック差抽出部11によって抽出された特定パスメトリック差を、上記記録情報別パターン検出部12によって検出された記録情報別パターンに対応する記録情報別パスメトリック差に分類するようになっている。
従って、例えば、図6に特定パターンを"11000"とした場合に、トレリス線図上の正解状態に入力する2本のパスを示す。太い実線が正解パス、太い破線が誤りパスを示している。この特定パターンのSAM理想値は1.5である。この特定パターン"11000"を含む復号ビット列を、記録情報別に分類すると図7のように表すことができる。
特定パターンを含む復号ビット列がどの記録情報に相当するかは、ビット列レジスタ9に格納されている復号ビット列により判断する。つまり、特定パターンを含む復号ビット列がビット列レジスタ9において"・011000"となっている場合(・は任意)、そのときの特定パスメトリック差を2Tマークに対応する記録情報別パスメトリック差ΔM12と見なし、図示しないメモリに格納する。特定パターンを含む復号ビット列がビット列レジスタ9において"・0111000"となっている場合(・は任意)や、"・1111000"となっている場合(・は任意)は、それぞれ3Tマーク、4Tマーク以上の記録情報別パスメトリック差ΔM13、ΔM14と見なし、図示しないメモリに格納する。このとき、各記録情報別パスメトリック差が複数検出される場合、平均値を算出しておく。
次に、記録情報別パスメトリック差が所定範囲内にあるかどうかを判断する(ステップS7)。
具体的には、パスメトリック差分類回路10内において分類された記録情報別パスメトリック差ΔM12、ΔM13、ΔM14の値の差を求めて、差が所定範囲内にあるかどうかを算出する。ここでは、上記記録条件設定回路20によって記録情報別パスメトリック差が所定範囲内にあるかどうかを判断する。
もし、差が所定範囲内に収まっている場合は、そのときの記録条件は良好な記録状態を得ることのできる条件であるとして、以降の記録動作に対して使用する。
もし、差が所定範囲内に収まっていない場合は、記録条件を変化させて(ステップS8)、ステップS1に戻る。
具体的には、そのときの記録条件は良好な記録状態を得ることができないため、パスメトリック差分類回路10から、記録情報別パスメトリック差ΔM12、ΔM13、ΔM14の値から判断して記録条件を変更し、記録条件設定回路20に設定する。
以下に、特定パターンを"11000"としたとき、記録情報別パスメトリック差ΔM12、ΔM13、ΔM14の値を用いた記録条件の変更について説明する。
ある記録条件で記録したときの各記録情報別パスメトリック差を図8の"変更前"に示す。このとき、3Tマークの記録情報別パスメトリック差ΔM13が、他の記録情報別パスメトリック差と比べて大きいことが分かる。これは、特定パターン"11000"を"11100"と誤りにくいことを示している。つまり、記録された3Tマークの終端位置が他のマーク長の終端位置と比較し、基準の位置よりも短いことを示している。
そこで、記録された3Tマークの終端位置が後に移動するように、記録マークの後ろエッジ部を変化させる要素である終端部パルス終了位置dTeを後ろ方向に変化させる。
変化後の記録条件で記録したときの各記録情報別パスメトリック差を図8の"変更後"に示す。各記録情報別パスメトリック差の間の差が"変更前"に比べて小さくなっている。記録条件の変更前と変更後における記録領域のエラーレートの変化を図9に示す。記録条件を変更後にエラーレートが良くなっていることがわかる。
これらの結果より、特定パターンを"11000"としたとき、記録情報別パスメトリック差ΔM12、ΔM13、ΔM14の値を用いて記録条件を変更することで、良好な記録状態が得られることを示すことができる。
図8における"変更前"の記録条件で得られた再生信号に、DCオフセットを加えた場合の、各記録情報別パスメトリック差の値を図10に示す。DCオフセットの値に対して、記録情報別パスメトリック差間の差はほとんど変わらない。したがって、DCオフセットの影響をほとんど受けずに、記録条件の変更のための判断を行えることがわかる。
図8における"変更前"の記録条件で得られた再生信号に、クロック位相ずれを加えた場合の、各記録情報別パスメトリック差の値を図11に示す。クロック位相ずれの値に対して、記録情報別パスメトリック差間の差はほとんど変わらない。したがって、クロック位相ずれの影響をほとんど受けずに、記録条件の変更のための判断を行えることがわかる。
また、特定パターンとして、"11100"を使用しても同様の効果が得られる。
図12に特定パターンを"11100"とした場合に、トレリス線図上の正解状態に入力する2本のパスを示す。太い実線が正解パス、太い破線が誤りパスを示している。この特定パターンのSAM理想値は1.5である。この特定パターン"11100"を含む復号ビット列を、記録情報別に分類すると図13のように表すことができる。
特定パターンを含む復号ビット列がどの記録情報に相当するかは、ビット列レジスタ9に格納されている符号ビット列により判断する。つまり、特定パターンを含む復号ビット列がビット列レジスタ9において"・011100"となっている場合(・は任意)、そのときの特定パスメトリック差を3Tマークに対応する記録情報別パスメトリック差ΔM23と見なし、図示しないメモリに格納する。特定パターンを含む復号ビット列がビット列レジスタ9において"・111100"となっている場合(・は任意)は、4Tマーク以上の記録情報別パスメトリック差ΔM24と見なし、図示しないメモリに格納する。このとき、各記録情報別パスメトリック差が複数検出される場合、平均値を算出しておく。この場合、記録条件設定回路20は、図14に示すように、各記録情報別パスメトリック差が複数検出された場合にそれぞれの平均値を算出するための平均値算出部21を備えていればよい。すなわち、上記平均値算出部21は、上記パスメトリック差分類回路10によって分類された記録情報別パスメトリック差毎に平均値を算出するものであり、上記記録条件設定回路20は、この平均値算出部21によってよ算出した平均値に基づいて記録条件を設定することを
図8と同じ記録条件(変更前、変更後)における各記録情報別パスメトリック差を図15に示す。このとき、3Tマークの記録情報別パスメトリック差ΔM23と、4T以上の記録情報別パスメトリック差ΔM24の差が変更後に小さくなっていることが分かる。これらの結果より、特定パターンを"11100"としたとき、記録情報別パスメトリック差ΔM23、ΔM24の値を用いても、特定パターンを"11000"としたとき同様に記録条件を変更し、良好な記録状態が得られることを示すことができた。なお、特定パターンの使用は"11000"と"11100"のいずれかだけでなく、両方の結果を用いて記録条件を変更しても同様の結果が得られる。
特定パターンの別の例として"00011"を使用したとき、記録情報別パスメトリック差ΔM32、ΔM33、ΔM34の値を用いた記録条件の変更について説明する。
図16に特定パターンを"00011"とした場合に、トレリス線図上の正解状態に入力する2本のパスを示す。太い実線が正解パス、太い破線が誤りパスを示している。この特定パターンのSAM理想値は1.5である。この特定パターン"00011"を含む復号ビット列を、記録情報別に分類すると図17のように表すことができる。
特定パターンを含む復号ビット列がどの記録情報に相当するかは、ビット列レジスタ9に格納される符号ビット列により判断する。つまり、特定パターンを含む復号ビット列がビット列レジスタ9において"000110・"となっている場合(・は任意)、そのときの特定パスメトリック差を2Tマークに対応する記録情報別パスメトリック差ΔM32と見なし、図示しないメモリに格納する。すなわち、特定パターン"00011"を検出し、そのときの特定パスメトリック差を図示しないメモリに格納しておき、特定パターン後の復号ビット列を参照し、マーク長が確定した後、記録情報別パスメトリック差への分類を行うことになる。また、特定パターンを含む復号ビット列がビット列レジスタ9において"0001110・"となっている場合(・は任意)や、"00011110・"となっている場合(・は任意)は、それぞれ3Tマーク、4Tマーク以上の記録情報別パスメトリック差ΔM33、ΔM34と見なし、図示しないメモリに格納する。このとき、各記録情報別パスメトリック差が複数検出される場合、平均値を算出しておく。
ある記録条件で記録したときの各記録情報別パスメトリック差を図18の"変更前"に示す。このとき、4Tマーク以上の記録情報別パスメトリック差ΔM34が、他の記録情報別パスメトリック差と比べて小さいことが分かる。これは、特定パターン"00011"を"00111"と誤りやすいことを示している。つまり、記録された4Tマーク以上の始端位置が2T、3Tのマーク長の始端位置と比較し、基準の位置よりも前方向にあることを示している。そこで、記録された4Tマーク以上の始端位置が後に移動するように、記録マークの前エッジ部を変化させる要素である始端部パルス開始位置dTtopを後ろ方向に変化させる。
変化後の記録条件で記録したときの各記録情報別パスメトリック差を図18の"変更後"に示す。各記録情報別パスメトリック差の間の差が"変更前"に比べて小さくなっている。
記録条件の変更前と変更後における記録領域のエラーレートの変化を図19に示す。記録条件を変更後にエラーレートが良くなっていることがわかる。これらの結果より、特定パターンを"00011"としたとき、記録情報別パスメトリック差ΔM32、ΔM33、ΔM34の値を用いて記録条件を変更することで、良好な記録状態が得られることを示すことができた。
また、特定パターンとして、"00111"を使用しても同様の効果が得られる。
図20に特定パターンを"00111"とした場合に、トレリス線図上の正解状態に入力する2本のパスを示す。太い実線が正解パス、太い破線が誤りパスを示している。この特定パターンのSAM理想値は1.5である。この特定パターン"00111"を含む復号ビット列を、記録情報別に分類すると図21のように表すことができる。
特定パターンを含む復号ビット列がどの記録情報に相当するかは、ビット列レジスタ9に格納されている符号ビット列により判断する。つまり、特定パターンを含む復号ビット列がビット列レジスタ9において"001110・"となっている場合(・は任意)、そのときの特定パスメトリック差を3Tマークに対応する記録情報別パスメトリック差ΔM43と見なし、図示しないメモリに格納する。特定パターンを含む復号ビット列がビット列レジスタ9において"001111・"となっている場合(・は任意)は、4Tマーク以上の記録情報別パスメトリック差ΔM44と見なし、図示しないメモリに格納する。このとき、各記録情報別パスメトリック差が複数検出される場合、平均値を算出しておく。
図18と同じ記録条件(変更前、変更後)における各記録情報別パスメトリック差を図22に示す。このとき、3Tマークの記録情報別パスメトリック差ΔM43と、4T以上の記録情報別パスメトリック差ΔM44の差が変更後に小さくなっていることが分かる。これらの結果より、特定パターンを"00111"としたとき、記録情報別パスメトリック差ΔM43、ΔM44の値を用いても、特定パターンを"00011"としたとき同様に記録条件を変更し、良好な記録状態が得られることを示すことができた。なお、特定パターンの使用は"00011"と"00111"のいずれかだけでなく、両方の結果を用いて記録条件を変更しても同様の結果が得られる。
また、特定パターンとして、"11000"、"11100"、"00011"、"00111"のすべての結果を用いて記録条件を変更しても上記と同様に良好な記録条件を得ることができる。
以上のように、上記光ディスク装置においては、特定パスメトリック差をさらに記録情報別に分類し、それらの値の比較を行うことで、DCオフセットやクロック位相ずれによる影響を受けず、記録マークのエッジずれを検出して、記録条件を変更することで、良好な記録状態を得ることが可能となる。
また、上記ではパスメトリック差分類回路10内において分類された各記録情報別パスメトリック差の平均値の差を用いて説明したが、これに限らない。各記録情報別パスメトリック差は値により度数をカウントすると、ヒストグラム(分布)を形成することになる。このように形成された複数の記録情報別パスメトリック差の分布が近づくようにすることで、各記録情報別パスメトリック差の平均値の差が小さくなるのと同様の効果が得られる。また、複数の記録情報別パスメトリック差の分布が所定範囲内に収まるようにしても、各記録情報別パスメトリック差の平均値が所定範囲内に収まるのと同様の効果が得られる。
この場合、図23に示すような記録条件設定回路30が考えられる。すなわち、上記記録条件設定回路30は、上記パスメトリック差分類回路10によって分類された記録情報別パスメトリック差毎に度数分布を算出する度数分布算出部31を有し、この度数分布算出部31によって算出された度数分布が記録情報間で互いに近づくように、記録条件を設定するようになっている。
また、上記ではパスメトリック差分類回路10内において分類された記録情報別パスメトリック差ΔM12、ΔM13、ΔM14の値の差を用いた記録条件の変更について説明したが、記録条件変更の判断のための所定範囲を、特定パスメトリック差の平均値を基準にして設定しても良い。
以下に、特定パターンを"11000"としたとき、記録情報別パスメトリック差ΔM12、ΔM13、ΔM14の値を用いて説明する。
図8と同じ記録条件(変更前、変更後)において、記録情報別パスメトリック差ΔM12、ΔM13、ΔM14の値と、特定パターン"11000"のパスメトリック差の平均値との差を算出した結果を図24に示す。このとき、3Tマークの記録情報別パスメトリック差ΔM13と平均値との差が、変更後に小さくなり、全ての記録情報別パスメトリック差と平均値との差が小さくなっていることが分かる。つまり、全ての記録情報別パスメトリック差が平均値に近づいているかどうかを所定範囲により判断し、記録条件を変更することにより、良好な記録状態を得ることができる。
図15と同じ記録条件(変更前、変更後)において、記録情報別パスメトリック差ΔM23、ΔM24の値と、特定パターン"11100"のパスメトリック差の平均値との差を算出した結果を図25に、また、図20と同じ記録条件(変更前、変更後)において、記録情報別パスメトリック差ΔM32、ΔM33、ΔM34の値と、特定パターン"00011"のパスメトリック差の平均値との差を算出した結果を図26に、また、図22と同じ記録条件(変更前、変更後)において、記録情報別パスメトリック差ΔM43、ΔM44の値と、特定パターン"00111"のパスメトリック差の平均値との差を算出した結果を図27に示す。特定パターンを"11100"、"00011"、"00111"としたときも、特定パターンを"11000"としたときと同様の結果が得られる。
また、特定パターンとして、"11000"、"11100"、"00011"、"00111"のすべての結果を用いて記録条件を変更しても上記と同様に良好な記録条件を得ることができる。
また、特定パターンとして、"11100"、"00111"を用いる場合は、記録情報別パスメトリック差には2Tは存在せず、3T以上のみとなる。特定パターンとして、"11000"、"00011"を用いる場合は、記録情報別パスメトリック差には2Tが存在するが、特定パターン"11100"、"00111"を用いる場合と同じ基準にするために、特定パスメトリック差のうち、3T以上のみを抽出して平均値を算出して用いたとしても、つまり、複数の記録情報別パスメトリック差の平均値を算出して用いたとしても、上記と同様に良好な記録条件を得ることができる。
ところで、図2に示す記録パワー条件(記録パワー、消去パワー、およびバイアスパワー)、少なくとも記録パワーを適当な値に設定しておかないと、極端な記録不足、記録過多が発生し、良好な記録状態が得られず、図1の再生クロック抽出回路において、再生クロックを抽出できない場合がある。そこで、記録パワー条件を少なくとも再生クロックを抽出できる程度まで良好な条件に決定しておく必要がある。以下の実施の形態2において、記録パワー条件を規定する例について説明する。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図28に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態は、記録条件のうち記録パワー条件の設定処理を規定している点で、前記実施の形態1と異なるが、それ以外の部分は、前記実施の形態1と同じである。したがって、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図28に示すフローチャートを参照して、記録パワー条件の設定処理について説明する。
まず、記録パワー条件を設定する(ステップS11)。
次に、記録状態の判定を行う(ステップS12)。
ここで、記録状態の判定を行う際に、再生クロックを抽出できるかどうかで判定しても良いし、また、記録したトラックの再生信号より、通常、再生信号評価の指標として使用されているジッタやエラーレートを求め、その値に基づいて判定しても良い。
上記ステップS12において、所定の記録状態が得られた場合は、図4のステップS1に移行する。
一方、ステップS12において、所定の記録状態が得られない場合は、記録パワー条件を変更し(ステップS13)、ステップS11に戻る。
以上のように、本実施の形態では、上記光ディスク装置において、記録パワー条件を更に変更することで、良好な記録状態を得ることが可能となる。
ところで、記録パワーを変化させて記録した場合、記録された領域に対する再生信号は記録されたマークの大きさにより振幅が変化することがある。つまり、記録パワーが小さいほど記録されたマークの再生信号の振幅が小さく、逆に記録パワーが大きいほど記録されたマークの再生信号の振幅が大きくなる。つまり、図1のA/D変換器5などの中で再生信号に対する振幅ゲインの値を固定にしていても、記録マークによっては振幅ゲインを変化させた場合と同じような結果となる。また、振幅ゲイン自体を変化させた場合も同様である。
そこで、図1のA/D変換器5などの中で再生信号に対する振幅ゲインが変化した場合であっても、精度よく再生する方法を、以下の実施の形態3において説明する。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図29乃至図31に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態と異なる部分は、前記実施の形態1および前記実施の形態2と同じである。したがって、説明の便宜上、前記の実施の形態1および前記実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図29に、理想波形に対して振幅ゲインを与えた場合における、特定パターン "11000"のパスメトリック差の変化を示す。パスメトリック差(SAM)は、理想値1.5に振幅ゲインを掛けた値になる。なお、特定パターンを"11100"とした場合、"00111"とした場合、"00011"とした場合のパスメトリック差の変化も"11000"とほぼ同様の変化となる。
次に、図30に、図8の"変更後"の記録条件における再生信号に振幅ゲインを変化させた場合の各記録情報別パスメトリック差の変化を示す。振幅ゲインによって値が変化することがわかる。そこで、各記録情報別パスメトリック差を、特定パターン"11000"のパスメトリック差の平均値で割る、つまり正規化すれば、振幅ゲインの影響を低減することができる。図31に、正規化後の各記録情報別パスメトリック差を示す。振幅ゲインが変化しても各値はその影響を受けずほぼ一定であることがわかる。
したがって、振幅ゲインが変化しても、正規化後の各記録情報別パスメトリック差を用いることで、更に精度の良い記録条件の変更、設定が可能となり、良好な記録状態を得ることができる。これは、例えば図32に示す記録条件設定回路40によって実現できる。すなわち、図32に示す記録条件設定回路40は、図13に示す記録条件設定回路20とほぼ同じ構成であるが、異なるのは、平均値算出部41(図13の平均値算出部21に相当)によって得られた平均値に基づいて、記録情報別パスメトリック差を正規化する正規化部42を備えている点である。
つまり、上記記録条件設定回路40では、上記正規化部42によって正規化された記録情報別パスメトリック差に基づいて記録条件を設定するようになっている。
なお、本実施の形態では、特定パターン"11000"のパスメトリック差で、各記録情報別パスメトリック差を割った結果を例にとって説明しているが、特定パターンとして"11000"だけでなく、"11000"、"11100"、"00011"、"00111"の少なくとも1つを用いても、同様の効果が得られるし、例えば、"11000"、"11100"、"00011"、"00111"のパスメトリック差の平均値であっても同様の効果が得られる。
以上の各実施の形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施の形態においては、PR(1,2,1)特性に基づいてPRML検出する場合を例に説明しているが、これに限らない。PR(1,2,2,1)特性に従う、歪み及びノイズのない理想的な1Tマークの再生信号波形は、図33で示すようにチャネルクロック毎のサンプルレベル比が1:2:2:1になる。2T以上のマークの再生信号波形については、この1Tマークの再生信号波形の重ね合わせによって求められ、例えば2Tマークなら1:3:4:3:1に、3Tマークなら1:3:5:5:3:1に、4Tマークなら1:3:5:6:5:3:1になる。こうして任意のビット列について理想的な再生信号波形が想定され、理想的なサンプルレベルとしては、0、1、2、3、4、5、6の7レベルをとることになる。
上記で設定したサンプルレベルを用いたビタビ復号においては、図34に示すようなトレリス線図を考える。S(000)、S(001)、S(011)、S(100)、S(110)、S(111)は状態を表す。ここで、(1,7)RLL符号ではd=1のランレングス制限により「010」、「101」となるビット列があり得ないことを反映している。
図33に特定パターンを"1110000"とした場合に、トレリス線図上の正解状態に入力する2本のパスを示す。太い実線が正解パス、太い破線が誤りパスを示している。このパターンが検出されたときのパスメトリック差を記録情報別パスメトリック差に分類して利用しても、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
また、図33では、時刻tにおいて状態S(111)を起点としているが、状態S(011)を起点としても、また、時刻t+4において状態S(000)を終点としているが、状態S(001)を終点としても上記実施の形態と同様の効果が得られる。つまり、特定パターンは"11000"を含んでいれば、前後のビットが0であっても1であってもよい。"11100"を特定パターンとして利用する場合についても同様に"11100"を含んでいれば、前後のビットが0であっても1であってもよい。また、特定パターンとして"00011"、"00111"を含んでいれば、上記と同様、前後のビットが0であっても1であってもよい。
また、上記実施の形態の説明においては、d=1のランレングス制限符号として(1,7)RLL符号を用いたが、これらに限らないことはもちろんである。
また、上記実施の形態の説明においては、記録情報別の分類として、マーク長のみを用いて説明を行っているが、マーク長とその前あるいは後のスペース長に対して分類を行っても、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施の形態の説明においては、再生装置の例として光ディスク再生装置について説明したが、これに限られるものではもちろんなく、PRML方式の信号再生を行う装置において等しくその効果を発揮すべきものである。すなわち、磁気記録装置、通信データ受信装置など、全て本発明が適用可能である。
また、上記記録再生装置は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。
そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウエアである制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記再生装置に供給し、そのコンピュータが記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
ここで、上記プログラムメディアとしての記録媒体は、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
また、本実施の形態は、光変調記録の光ディスク装置を用いて説明を行っているが、これに限らず、光磁界変調記録の光ディスク装置でも同様に用いることができる。
また、上記光ディスク装置1は、各機能を実現するプログラム(制御プログラム、記録条件設定プログラム)の命令を実行する演算手段であるCPU(Central Processing Unit)、上記プログラムを格納した記憶手段であるROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開する記憶手段であるRAM(Random Access Memory)、上記プログラム及び各種データを格納する記憶手段であるメモリ等の図示しない記憶装置(記憶媒体)等を備えている。
そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウエアである制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能にした記録媒体を、上記光ディスク装置1に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した機能を実現することにより、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
また、本実施の形態の制御プログラムは、上記記載の光ディスク装置1を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを前記の各手段として機能させる。
したがって、コンピュータを前記の各手段として機能させる制御プログラムを提供することができる。
また、本実施の形態のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記記載の制御プログラムを記録したものである。
したがって、制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的手段に含まれる。
本発明は、再生信号にDCオフセットが付加されることによる影響や、再生クロックにクロック位相ずれが付加されることによる影響を受けずに、記録条件を設定することができるので、記録媒体に対して記録再生可能な装置であれば、例えば光記録再生装置、光磁気記録再生装置、磁気記録再生装置等の各種記録再生装置に適用できる。
本発明の実施形態を示すものであり、光ディスク装置の要部構成を示すブロック図である。 記録情報に対応するパルス列の設定を説明するタイミングチャートである。 記録情報に対応する記録条件の設定を説明するタイミングチャートである。 図1に示す光ディスク装置の再生動作の処理の流れを示すフローチャートである。 図1に示す光ディスク装置に備えられたパスメトリック差分類回路の概略を示すブロック図である。 ビタビ復号で用いられるトレリス線図である。 記録情報に対応する複合ビット列と記録情報別パスメトリック差の対応を説明する図である。 再生信号評価を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。 ビタビ復号で用いられるトレリス線図である。 記録情報に対応する複合ビット列と記録情報別パスメトリック差の対応を説明する図である。 図1に示す光ディスク装置に備えられた記録条件設定回路の概略を示すブロック図である。 再生信号評価を示す説明図である。 ビタビ復号で用いられるトレリス線図である。 記録情報に対応する複合ビット列と記録情報別パスメトリック差の対応を説明する図である。 再生信号評価を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。 ビタビ復号で用いられるトレリス線図である。 記録情報に対応する複合ビット列と記録情報別パスメトリック差の対応を説明する図である。 再生信号評価を示す説明図である。 図1に示す光ディスク装置に備えられた記録条件設定回路の概略を示すブロック図である。 再生信号評価を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。 図1に示す光ディスク装置の再生動作の処理の流れの一部を示すフローチャートである。 再生信号に振幅ゲインを与えた状態を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。 図1に示す光ディスク装置に備えられた記録条件設定回路の概略を示すブロック図である。 PR(1,2,2,1)特性に従う再生信号波形の模式図である。 ビタビ復号で用いられるトレリス線図である。 PR(1,2,1)特性に従う再生信号波形の模式図である。 ビタビ復号で用いられるトレリス線図である。 ビタビ復号で用いられるトレリス線図である。 ビタビ復号で用いられるトレリス線図である。 再生信号にDCオフセットを与えた状態を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。 再生信号にクロック位相ずれを与えた状態を示す説明図である。 再生信号評価を示す説明図である。
符号の説明
1 光ディスク装置
2 光ディスク(記録媒体)
3 ピックアップ
4 再生クロック抽出回路
5 A/D変換器
6 等化回路
7 ビタビ復号回路(ビタビ復号手段)
8 特定パターン検出回路(特定パターン検出手段)
9 ビット列レジスタ
10 パスメトリック差分類回路(パスメトリック差分類手段)
11 特定パスメトリック差抽出部(特定パスメトリック差抽出手段)
12 記録情報別パターン検出部(記録情報別パターン検出手段)
20 記録条件設定回路(記録条件設定手段)
21 平均値算出部(平均値算出手段)
30 記録条件設定回路(記録条件設定手段)
31 度数分布算出部(度数分布算出手段)
40 記録条件設定回路(記録条件設定手段)
41 平均値算出部(平均値算出手段)
42 正規化部(正規化手段)
100 記録条件設定装置

Claims (22)

  1. 記録媒体に対して記録マークを形成するための、記録情報に応じた複数の要素からなる記録条件を設定する記録条件設定装置において、
    上記記録媒体からの再生信号から、ビタビ復号にてビット列を復号して復号ビット列を生成しつつ、パスメトリック差を生成するビタビ復号手段と、
    上記ビタビ復号手段によって生成された復号ビット列から、記録情報別に設定されたパターンを特定パターンとして検出する特定パターン検出手段と、
    上記ビタビ復号手段によって生成されたパスメトリック差から、上記特定パターン検出手段によって検出された特定パターンに対応する特定パスメトリック差を抽出する特定パスメトリック差抽出手段と、上記特定パターン検出手段によって検出された特定パターンを含む復号ビット列から、複数の記録情報のうち対応する記録情報を持つ記録情報別パターンを検出する記録情報別パターン検出手段とを有し、上記特定パスメトリック差抽出手段によって抽出された特定パスメトリック差を、上記記録情報別パターン検出手段によって検出された記録情報別パターンに対応する記録情報別パスメトリック差に分類するパスメトリック差分類手段と、
    上記パスメトリック差分類手段によって分類された複数の記録情報別パスメトリック差に基づいて、上記記録条件を設定する記録条件設定手段とを備えていることを特徴とする記録条件設定装置。
  2. 上記記録条件設定手段は、
    上記パスメトリック差分類手段によって分類された記録情報別パスメトリック差毎に平均値を算出する平均値算出手段を備え、
    上記平均値算出手段によって算出した平均値に基づいて記録条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の記録条件設定装置。
  3. 上記記録条件設定手段は、
    上記平均値算出手段によって得られた平均値に基づいて、記録情報別パスメトリック差を正規化する正規化手段を備え、
    上記正規化手段によって正規化された記録情報別パスメトリック差に基づいて記録条件を設定することを特徴とする請求項2に記載の記録条件設定装置。
  4. 上記記録条件設定手段は、
    上記パスメトリック差分類手段によって分類された記録情報別パスメトリック差毎に度数分布を算出する度数分布算出手段を有し、
    上記度数分布算出手段によって算出された度数分布が記録情報間で互いに近づくように、記録条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の記録条件設定装置。
  5. 上記記録条件設定手段は、
    上記パスメトリック差分類手段によって分類された記録情報別パスメトリック差毎に度数分布を算出する度数分布算出手段を有し、
    上記度数分布算出手段によって算出された度数分布が所定範囲内に入るように、記録条件を設定することを特徴とする請求項4に記載の記録条件設定装置。
  6. 上記記録条件設定手段は、
    記録条件のうち、少なくとも記録パワーの設定を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の記録条件設定装置。
  7. 記録情報に応じた複数の要素からなる記録条件を設定する記録条件設定装置を備えた記録再生装置において、
    上記記録条件設定装置は、請求項1〜6の何れか1項に記載の記録条件設定装置であることを特徴とする記録再生装置。
  8. 記録情報に応じた複数の要素からなる記録条件に基づいて、記録媒体に記録マークを形成する記録再生装置の記録条件設定方法において、
    上記記録媒体からの再生信号から、ビタビ復号にてビット列を復号して復号ビット列を生成しつつ、パスメトリック差を生成する第1のステップと、
    上記第1のステップにおいて生成された復号ビット列から特定パターンを検出する第2のステップと、
    上記第1のステップにおいて生成されたパスメトリック差から、上記第2のステップにおいて検出された特定パターンに対応する特定パスメトリック差を取り出す第3のステップと、
    上記第2のステップにおいて検出された特定パターンを含む復号ビット列から、複数の記録情報のうち対応する記録情報を持つ記録情報別パターンを検出する第4のステップと、
    上記第3のステップにおいて取り出された特定パスメトリック差を、上記第4のステップにおいて検出された記録情報別パターンに対応する記録情報別パスメトリック差に分類する第5のステップと、
    上記第5のステップにおいて分類された複数の前記記録情報別パスメトリック差に基づいて、記録条件を設定する第6のステップとを含むことを特徴とする記録条件設定方法。
  9. 上記複数の記録情報別パスメトリック差の分布が近づくように記録条件を設定することを特徴とする請求項8に記載の記録条件設定方法。
  10. 上記複数の記録情報別パスメトリック差の分布が所定範囲内になるように記録条件を設定することを特徴とする請求項9に記載の記録条件設定方法。
  11. 上記複数の記録情報別パスメトリック差の平均値を基準にして所定範囲を設定することを特徴とする請求項10に記載の記録条件設定方法。
  12. 上記記録情報別パスメトリック差を、前記特定パスメトリック差の平均値で正規化したものに基づいて記録条件を設定することを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の記録条件設定方法。
  13. 上記記録情報別パスメトリック差毎に算出した平均値に基づいて記録条件を設定することを特徴とする請求項8〜12の何れか1項に記載の記録条件設定方法。
  14. 上記特定パターンとして、"11000"を含むことを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載の記録条件設定方法。
  15. 上記特定パターンとして、"11100"を含むことを特徴とする請求項8〜14の何れか1項に記載の記録条件設定方法。
  16. 上記記録条件を設定するにあたり、特定パターンのうち"1"がマーク、"0"が非マークを表すとき、上記記録条件を構成する要素のうち、記録マークの後ろエッジ部位置を変化させる要素に対して変化を加えることを特徴とする請求項14または15に記載の記録条件設定方法。
  17. 上記特定パターンとして、"00111"を含むことを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載の記録条件設定方法。
  18. 上記特定パターンとして、"00011"を含むことを特徴とする請求項8〜13、17の何れか1項に記載の記録条件設定方法。
  19. 上記記録条件を設定するにあたり、特定パターンのうち"1"がマーク、"0"が非マークを表すとき、上記記録条件を構成する要素のうち、記録マークの前エッジ部位置を変化させる要素に対して変化を加えることを特徴とする請求項17または18に記載の記録条件設定方法。
  20. 上記記録条件を設定するにあたり、少なくとも記録パワーを変化させることを特徴とする請求項8〜19の何れか1項に記載の記録条件設定方法。
  21. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の記録条件設定装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラム。
  22. 請求項21に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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