JP2006234869A - 画質調整方法、画質調整装置、および出力制御装置、並びにプログラム - Google Patents

画質調整方法、画質調整装置、および出力制御装置、並びにプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】画像の画質調整を画像処理装置において、出力対象画像と実際に使用される画像出力装置の双方にとってバランスの取れた適切な画質の出力画像を得ることができるようにする。
【解決手段】画像特徴量T10と画像出力装置50の画質を制御するための画質調整パラメータP10に対応した画像出力装置50の画質要素評価値Q10を対応付けて出力装置画質評価値記憶部46に記憶しておく。実際に画像を出力する際には、その画像の画像特徴量T10を画像特徴量算出部44にて算出し、この画像特徴量T10に対応する、出力装置画質評価値記憶部46に記憶しておいた画像出力装置50の画質要素評価値Q10に基づいて、画像出力装置50から画像を出力する際の画質調整パラメータP10を設定する。画像の明るさや鮮鋭さが最適でない場合や、画像出力装置50の粒状性や階調性が悪い場合でも、確実に最適な画質の出力画像を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、カラープリンタなどの画像出力装置から画像を出力する際の画質調整機能を実行する画質調整方法および画質調整装置並びにプログラムに関する。
近年、デジタルスチルカメラやスキャナなどによって生成された画像データの高画質化に伴い、デジタルカラープリンタなどの画像出力装置に対しても、出力画像の色味、濃度、画質などの編集処理に関して高機能化や高画質化の要求が年々高まってきている。
こうした状況において、近年、デジタル画像をディスプレイに表示させたり、プリンタによって印刷紙に出力させたりすることが行なわれるようになってきている。デジタルスチルカメラで撮影したデジタル画像や、スキャナを介して取り込んだ画像データは、コンピュータで画像処理ソフトウェアを起動するなどしてデジタル画像として取り込み、ディスプレイやプリンタに出力する。このとき、画像処理ソフトウェアが備える画像修整機能を利用して、取り込んだデジタル画像に対する所定の画像処理を行なうことも多い。
この際、 従来では、所望の出力画像を得るために、モニタなどの表示装置に画像を表示し、確認しながら色調整などを行ない、ユーザが気に入った時点でプリントするといういわゆるプレビュー機能を有する装置が提案されている。
この場合、ユーザは画像処理ソフトウェアが備える彩度、明度、コントラストなどの多種にわたる画像修整機能について所定の設定を行なう。そして、設定に基づく画像処理を実行させ、修正された画像データを利用してディスプレイに画像を表示させたりプリンタから印刷紙に出力させたりしている。
たとえば、画像出力装置は画像データの出力を制御するための画質調整パラメータを有しており、そのパラメータ設定値に従って画像が出力される。画質調整パラメータとしては、明度、彩度、カラーバランス、コントラスト、ガンマ、シャープネス、UCR(Under Color Removal )処理、スクリーン線数、ノイズ除去処理など、膨大な数のパラメータが有り、高画質の出力画像を得るためには、画像データに応じてこれらのパラメータを適切に設定する必要がある。
しかしながら、従来の画像修整機能を有する画像処理ソフトウェアでは、画像修整機能の諸設定をユーザが行なわなければならない。しかし、平均的なユーザにとっては、要求される作業が非常に分かり難く、煩雑で面倒であった。また、設定を行なってみても、思うように出来栄えが向上しないということが多かった。たとえば、モニタ、およびスキャナなどの入力デバイスによって入力される画像データとその画像データに基づいて、プリンタなどの出力デバイスによって出力される画像データとの間で色が一致しない、いわゆるカラーマッチングがうまくいかないため、プレビュー画像を見ながら画質の調整を行なったとしても、プリントを何回も繰り返さなければユーザの所望の画像を得ることができなかった。
このような問題点を解決するため、短時間でユーザの好みの色調のプリントを得ることができる仕組みが種々提案されている(たとえば特許文献1〜3を参照)。
特開2001−352459号公報 特開2000−201275号公報 特開2000−215306号公報
たとえば、特許文献1に記載の仕組みでは、情報処理装置に、入力装置からの入力信号に基づいて調整可能な複数個の画質調整パラメータを設けるとともに、調整された画質パラメータを用いて画像データを変換する機能と、変換後の画像データを複数生成する機能と、複数の変換後の画像データを一覧状態で出力する機能とを設けるようにしている。すなわち、画質調整パラメータの調整値に応じた一覧を出力するプレプリント機能を有し、このプレプリントを参考に各パラメータを設定し、所望の画質を持つ画像を出力する方法である。
また、特許文献2に記載の仕組みでは、評価対象の画像データ(原画像データ)を保持しておくとともに、録媒体上に画像を記録し、記録媒体上の画像を読み取り、読み取った画像データと保持しておいた画像データとの差分情報を抽出し、この抽出した差分情報に基づいて保持しておいた画像データを補正する補正データを作成し、補正データで原画像データを補正して印刷画像を出力するようにしている。
また、特許文献3に記載の仕組みでは、画像レタッチアプリケーションやプリンタドライバに備えられた自動画質調整機能を利用するものにおいて、各画素の画像データを利用して所定の演算処理を実行し、所定の画像処理に基づいて画質を変化させるための修整パラメータを取得し、ユーザによる画像修整指示を取得し、この指示に基づいて修整パラメータを修正し、この修整パラメータに基づいて画像データに対して所定の画像処理を実行するようにしている。
しかしながら、特許文献1に記載の仕組みでは、依然として、プリンタドライバの設定はユーザが手動で行なう必要があり、一般ユーザにはパラメータ設定値と出力画像との因果関係が判読し難いため、所望の画像を得るまでに膨大な時間と労力を要する。
これに対して、特許文献2に記載の仕組みでは、原画像データに基づく出力画像を読み取って補正を自動的に行なうので、ユーザはプリンタドライバの設定を手動で行なうことなく、原画像データの画質に近い出力画像を得ることができる。
しかしながら、特許文献2に記載の仕組みでは、原画像データの画質が悪い場合には、高画質の出力画像が得られないという問題がある。
一方、特許文献3に記載の仕組みのように、画像レタッチアプリケーションやプリンタドライバに備えられた自動画質調整機能を利用すれば、写真画像の画像データを自動的に補正し、出力画像の画質を容易に向上させることができると考えられる。すなわち、画像データの特徴量を抽出し修正パラメータを自動的に決定して、このパラメータに基づいて画像修正処理を行なうようにすれば、画像データの絵柄(シーン)に依存せず、ある程度きれいに修正された画像データを取得することが可能である。
しかしながら、特許文献3に記載の仕組みは、デジタル画像上での画像データの画質向上を目的としており、画像出力装置で得られた出力画像の画質を必ずしも向上できない。たとえば、画像データ全体が明るめの場合、自動画質調整では画像全体を暗い方へ変換するが、この画像データをインクジェットプリンタで出力すると、出力画像の明るさは最適になるものの、画像の暗部領域が増すため暗部のノイズや階調飛びが目立ち、総合的な画質が低下してしまう。また、画像データの鮮鋭さが低い場合、自動画質調整では画像全体のシャープネスを高めるが、この画像データを電子写真方式のプリンタで出力すると、出力画像の鮮鋭さは最適になるものの、画像全体のノイズが目立ち、総合的な画質が低下してしまう。
このように、特許文献3に記載の仕組みは、画像出力装置の画質特性を考慮していないため、最適な画質の出力画像が得られない。すなわち、画像出力装置の特性依存の影響を受ける。
加えて、特許文献3に記載の仕組みでは、画質調整パラメータはあらゆる画像に対して最適になっているとは言えないため、画像の絵柄に依存しない最適な画質が得られないという問題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、画像データや画像出力装置に依存せず、平均的なユーザでも、自分の好みに応じた最適な画質修整を行なうことで、最適な画質の出力画像を得ることができる仕組みを提供することを目的とする。好ましくは、ユーザの好みに応じた最適な画質調整パラメータを自動で設定することができる仕組みを提供することを目的とする。
本発明に係る画質調整方法においては、先ず、画像の特徴量と画像出力装置の画質を制御するための画質調整パラメータに対応した画像出力装置の画質評価値を対応付けて所定の出力装置画質評価値記憶部に記憶しておく。そして、画像出力装置から画像を出力する際には、画像出力装置から出力される画像の特徴量を算出し、この算出した画像の特徴量に対応する、出力装置画質評価値記憶部に記憶しておいた画像出力装置の画質評価値に基づいて画像出力装置から画像を出力する際の画質調整パラメータを設定することとした。つまり、画像出力時には、出力対象となる画像の特徴量と実際に使用される画像出力装置の画質特性を考慮して画質調整パラメータを設定する。
また本発明に係る画質調整装置は、前記本発明に係る画質調整方法を実施するのに好適な装置であって、画像の特徴量を算出する画像特徴量算出部と、画像の特徴量と画像出力装置の画質を制御するための画質調整パラメータに対応した画像出力装置の画質評価値を記憶する出力装置画質評価値記憶部と、画像特徴量算出部が算出した画像の特徴量に対応する、出力装置画質評価値記憶部に記憶しておいた画像出力装置の画質評価値に基づいて画像出力装置から画像を出力する際の画質調整パラメータを設定する画質調整パラメータ設定部とを備えるものとした。
また本発明に係る出力制御装置は、本発明に係る画質調整装置に備えられている画質調整パラメータ設定部により設定された画質調整パラメータを受け取り、この受け取った画質調整パラメータを用いて画像データの画像出力装置への出力を制御する出力指示部を備えるものとした。
さらに、本発明に係るプログラムは、本発明に係る画質調整方法や画質調整装置を、電子計算機を用いてソフトウェアで実現するために好適なものである。プログラムは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介した配信により提供されてもよい。
また従属項に記載された発明は、本発明に係る画質調整装置、あるいは画質調整方法やプログラムのさらなる有利な具体例を規定する。
本発明によれば、予め画像の特徴量と画像出力装置の画質を制御するための画質調整パラメータに対応した画像出力装置の画質評価値を出力装置画質評価値記憶部に対応付けて記憶しておき、画像出力時には、出力対象となる画像の特徴量と実際に使用される画像出力装置の画質特性を考慮して画質調整パラメータを設定するので、出力対象画像と実際に使用される画像出力装置の双方にとってバランスの取れた適切な画質の出力画像を得ることができる。たとえば、画像の明るさや鮮鋭さが最適でない場合や、画像出力装置の粒状性や階調性が悪い場合でも、確実に最適な画質の出力画像を得ることができる。
また、画像レタッチアプリケーションやプリンタドライバに備えられた自動画質調整機能によって明るさや鮮鋭さが変換された場合でも、その変換後の画像の特徴量と画像出力装置の画質特性を考慮して画質調整パラメータを設定するので、変換の影響を受けることなく、最適な画質の出力画像を得ることができる。
また、画像出力装置の画質が経時変化した場合でも、出力対象の画像の特徴量とその時点の画像出力装置の画質特性を考慮して画質調整パラメータを設定するので、経時変化の影響を受けることなく、最適な画質の出力画像を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<システム構成;第1実施形態>
図1は、画質調整装置を備えた画像処理システム1の第1実施形態の概略構成を示すブロック図である。ここでは、処理手順の機能ブロックに従ったブロック図により示している。
なお、本実施形態の画質調整パラメータ設定方法のアルゴリズムにおいては、カラープリンタなどの画像出力装置より出力されるカラー画像の画像品質を決定するパラメータを設定する場合について説明する。
図示するように、画像処理システム1は、出力されるカラー画像の画質に関わるパラメータを設定する画質調整装置40と、画質調整装置40により所定のパラメータが設定された画像データに基づいて画像を所定の記録媒体上に生成(形成)する画像出力装置(画像形成装置)50と、画像出力装置50に出力指令を発する出力制御装置80とを備えている。
画質調整装置40は、図示を割愛するが、装置内の各機能部を制御する制御部や、装置使用のためのガイダンス情報や所定の情報処理結果や管理情報などを画像情報として通知する表示部や、これらを音声情報として通知する本体内蔵もしくは外部設置の圧電体やスピーカなどで構成された音声通知部や、オペレータからの装置に対する種々の指示入力を受け付けるためのマウスやキーボードなどを有する指示入力部(操作部)を具備したユーザインタフェース部を備えている。
また、画質調整装置40は、画質調整パラメータ設定処理の実行に関わる各機能部として、先ず、パラメータ設定や出力の対象となる原画像データD10を記憶する原画像記憶部42と、原画像記憶部42に保存されている原画像データD10の特徴量を算出する画像特徴量算出部44とを有している。
また、画質調整装置40は、原画像データD10の特徴量と画像出力装置50の画質を制御するための画質調整パラメータに対応した画像出力装置50の画質評価値を対応付けて記憶する出力装置画質評価値記憶部46と、画像特徴量算出部44が算出した原画像データD10の画像特徴量T10と出力装置画質評価値記憶部46に保存してある画像出力装置50の原画像画質要素評価値Q10とに基づいて画質調整パラメータP10を設定する画質調整パラメータ設定部48とを有している。
原画像データD10としては文字やグラフや写真画像のような絵柄画像など様々な画像を用いることができる。なお、この原画像データD10は、RGBデータなどデバイス依存色空間の色信号でもよい。あるいは、デバイス非依存のデータであることが好ましい。一例としては、sRGB(standard RGB ),XYZ,Lab(正しくはL***),LCh(正しくはL**°)などのデバイス非依存色空間の色信号とすることが好ましい。
画像特徴量算出部44は、各画素の画素データを利用して所定の演算処理を実行し、所定の画像処理に基づいて画質を変化させるための修整パラメータを取得する。たとえば画像特徴量算出部44は、原画像データD10を解析し、原画像データD10の全体の明るさ情報、画像の粒状性(Grain-Shaped)、鮮鋭性(Sharp )、階調特性(Gradation)、および色再現性(Color-Reappearance )の少なくとも1つの画像特徴量T10を算出する。
出力装置画質評価値記憶部46は、画質調整装置40の外部に設けられた画像評価装置10にて取得された種々の画像評価値を取り込んで画像特徴量T10と対応付けて記憶する。この際、画像評価装置10は、予め様々な画質調整パラメータP10で出力したパッチ画像、パターン画像、写真画像などをスキャナなどの画像入力装置70で読み込み、この読み込んだ画像を解析して画像評価値Q10,Qを算出し、その結果を出力装置画質評価値記憶部46に通知する。
また、画像特徴量算出部44は、その際に設定した画質調整パラメータP10のセット下での画像特徴量T10を算出し、その結果を出力装置画質評価値記憶部46に通知する。なお、これらの事前のデータ取得を画像評価装置10側のみで行なうことができるように、画像評価装置10に、画像特徴量算出部44と同等の機能をも持たせ、画像評価値Q10,Qおよび画像特徴量T10の算出を画像評価装置10のみで行なうようにしてもよい。
出力装置画質評価値記憶部46は、その際に設定した画質調整パラメータでの画像の特徴量と、画像評価装置10から入力された画像評価値とを対応付けて記憶する。また、画像評価装置10による画像評価値の自動測定に限らず、ユーザによる主観評価により各画質項目について定量化してもよい。
たとえば、画像評価装置10は、被評価画像の粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性の少なくとも1つの評価値Q10(原画像についてのもの),Q20(入力画像についてのもの)を算出する。またこれら画質要素評価値Q10,Q20に基づいて総合画質評価値Qを求める。
画質調整パラメータ設定部48は、画像特徴量算出部44にて抽出された原画像データD10の画像特徴量T10と、出力装置画質評価値記憶部46に保存しておいた画像出力装置50の原画像画質要素評価値Q10,Qとに基づいて、画像出力装置50の画質を制御するための画質調整パラメータP10を設定する。たとえば、画像全体の明るさ、画像の粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性の少なくとも1つの特徴量に関して、最適な画質調整パラメータを設定する。また、粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性の複数の組合せとして最適となる(たとえばともに比較的良好かつバランスの取れた)画質調整パラメータを設定する。
出力制御装置80は、画質調整装置40により設定された画質調整パラメータに従って画像出力装置50に出力指令を発することができればよく、設定された画質調整パラメータで画像データの画像出力装置50への出力を制御する機能を持っていればよい。たとえば、パーソナルコンピュータ(いわゆるパソコン)などの電子計算機を利用した情報処理装置においてソフトウェアで出力を指示するいわゆるプリンタドライバなどの出力指示機能を利用することができる。もちろん、画質調整装置40が、この出力制御装置80を一体的に備えて構成されたものでもよい。
たとえば、画像をドットマトリクス状の画素で構成した原画像データD10に対して、画質調整装置40により設定された画質調整パラメータに従って所定の演算処理を実行して(画像処理を実行して)原画像を修整した後に、出力指示を画像出力装置50に発するようにすればよい。すなわち、出力制御装置80は、画質調整パラメータ設定部48により設定された画質調整パラメータで原画像データD10をプリンタ言語フォーマットに変換し、画像出力装置50へ印刷データDprint を送ることができればよい。
<画像評価値の取得方法>
図2は、画質調整装置40の外部に設けられる画像評価装置10の一構成例を説明する図である。ここでは、処理手順の機能ブロックに従ったブロック図により示している。
画像評価の対象となる被評価用画像Image を生成する画像出力装置50としては、たとえばインクジェット方式や電子写真方式などの画像形成プロセスを用いたカラープリンタが使用される。たとえば、画質調整装置40内に保存されている原画像データD10をRGBやCMYKなどのデバイス依存色空間の色信号に変換して紙などの出力媒体上に画像を形成する。
また画像入力装置70としては、原画像データD10に対応する入力画像データD20(電子化された画像情報)を生成して画像評価装置10に入力することができればよく、たとえばフラットベッド方式のスキャナなど、画像出力装置50で生成された被評価用画像Image の画素情報を電子化して出力する装置を使用する。たとえば、画像出力装置50により生成された原画像データD10の出力画像(被評価用画像Image )を光学的に読み取り、読み取った入力画像データD20を画像評価装置10に供給する。
この場合、画像入力装置70は、特性のキャリブレーション、ドライバの調整などがなされていて、粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性が、被写体によって変化しないことが望ましい。また、AGCやエッジ強調などの画像入力装置70側で行なわれる自動的な処理はオフにされていることがさらに望ましい。
あるいは、原画像データD10の出力画像を光学的に読み込む入力手段を具備する必要はなく、外部機器や保存記録媒体などと接続されるネットワーク機器を使用して、ネットワーク9を介してダウンロードした画像データ(原画像データD10)を取り込み画像評価装置10に入力画像データD20として供給するものであってもよい。あるいは、CD−ROMなどの可搬型の記憶媒体に記憶されている画像データ(原画像データD10)を取り込み画像評価装置10に入力画像データD20として供給するものであってもよい。なお、これらの場合、原画像データD10は、画質調整装置40から直接に取り込んでもよし、一旦画像評価装置10に入力画像データD20として取り込まれたものを、改めて原画像データD10として取り込んでもよい。
画像評価装置10は、図示を割愛するが、装置内の各機能部を制御する制御部や、装置使用のためのガイダンス情報や所定の情報処理結果や管理情報などを画像情報として通知する表示部や、これらを音声情報として通知する本体内蔵もしくは外部設置の圧電体やスピーカなどで構成された音声通知部や、オペレータからの装置に対する種々の指示入力を受け付けるためのマウスやキーボードなどを有する指示入力部(操作部)を具備したユーザインタフェース部を備えている。
画像評価装置10は、画像評価処理の実行に関わる各機能部として、先ず、画像データの受渡しをするインタフェース機能部としての出力インタフェース部11out および入力インタフェース部11inと、評価対象となる画像出力装置50の評価を行なうために必要な原画像データD10を記憶する原画像記憶部12と、画像入力装置70から供給された入力画像データD20を記憶する入力画像記憶部14とを備えている。
入力インタフェース部11inは、装置外の各種機器から原画像データD10を取り込んで原画像記憶部12に渡すとともに、入力画像データD20を取り込んで入力画像記憶部14に渡す。出力インタフェース部11out は、原画像記憶部12に保存してある原画像データD10を装置外の各種機器に出力する。
原画像データD10は、パッチ画像やグラデーション画像のようなパターン画像だけでなく、写真画像のような絵柄画像を用いることができ、本実施形態では絵柄画像の場合について説明する。なお、この原画像データD10は、デバイス非依存のデータであることが好ましい。一例としては、sRGB(standard RGB ),XYZ,Lab(正しくはL***),LCh(正しくはL**°)などのデバイス非依存色空間の色信号とすることが好ましい。
ここで、sRGB色空間のデータとは、デジタルカメラ、プリンタ、モニタなど多くのパーソナルコンピュータ用周辺機器などの分野で広く用いられている、IEC(International Electrotechnical Commission;国際電気標準会議 )が定める色空間の国際規格に即した色データである。このsRGBに則った色調整を行なうことで、入力と出力時の色の差異を極力少なくすることができる。
また、画像評価装置10は、デバイス依存色空間の画像データをデバイス非依存色空間の画像データに変換する色信号変換部16を備えている。また、画像評価装置10は、原画像データD10に基づいて原画像画質要素評価値Q10を算出するとともに、画像入力装置70から供給された入力画像データD20(画像データ)に基づいて入力画像画質要素評価値Q20を算出する画質要素評価値算出部20を備えている。さらに画像評価装置10は、画質要素評価値算出部20で求められた原画像画質要素評価値Q10と入力画像画質要素評価値Q20とに基づいて出力画像の画質評価値を算出する出力画像画質評価値算出部30を備えている。
色信号変換部16は、原画像データD10や入力画像データD20を、デバイスに非依存の色空間である均等知覚色空間の色彩データや3刺激値XYZまたは3刺激値XYZに変換可能な色彩データ(纏めて、原画像データD12,入力画像データD22)に変換する。画質要素評価値算出部20は、この色信号変換部16の変換結果(原画像データD12、入力画像データD22)を用いて評価値を算出するのがよい。
均等知覚色空間では、色差が人の目で見た場合の色の差と線形に近い関係を持つので、感覚的に分かり易い評価値を算出することができる。CIEの定める3刺激値XYZは、画像出力装置などの装置特性に依存しない絶対的な色の値を表している。この態様では、絶対的な色を表すXYZ表色系またはこれに変換可能な表色系で原画像データや入力画像データを作成しておくことにより、画像評価装置10内部では、画像入力装置70の特性を全く考慮しなくても、人間の目の視覚感度に一致した色彩情報として比較が可能になり、主観評価値と対応の取れた評価値を算出することができる。
画質要素評価値算出部20は、原画像および入力画像のそれぞれについて、粒状性に関する評価値(粒状性評価値Qg)を算出する粒状性評価値算出部220と、鮮鋭性に関する評価値(鮮鋭性評価値Qs)を算出する鮮鋭性評価値算出部240と、階調特性に関する評価値(階調性評価値Qt)を算出するとともに色再現性に関する評価値(色再現性評価値Qc)を算出する階調性・色再現性評価値算出部260とを備えている。
<個別の評価値の算出>
画質要素評価値算出部20は、色信号変換部16により色変換されたデバイス非依存色空間の色信号D12,D22に基づいて、各原画像および入力画像のそれぞれについての画質要素の評価値である原画像画質要素評価値Q10と入力画像画質要素評価値Q20とを算出する。
画質要素評価値算出部20は、画質要素の評価値として、粒状性、鮮鋭性、階調性、色再現性のうちの少なくとも1つに関する評価値を算出する。好ましくは、総合評価に資するように、これらの複数の評価値を算出する。また、さらに好ましくは、総合画質評価の精度を向上させるべく、人間の画質に対する心理評価との相関が高い粒状度、鮮鋭度、階調特性、および色再現性に関する評価値を算出することとする。
また、画質要素評価値算出部20は、入力画像と原画像の画素間で差分を取ることに起因した問題を解消するべく、好ましくは、先ず各画像から直接に評価値を算出し、その後に、各画像の評価値の間で差分を取ることが望ましい。
また、色彩情報を明度差、彩度差、色相差、あるいは色差という色彩属性に分解し、属性ごとに評価を行なうことにより精度の高い評価値を算出するのが望ましい。たとえば、各評価値算出部220,240,260は、原画像データD10(好ましくは原画像データD12)や入力画像データD20(好ましくは入力画像データD22)のそれぞれについて、対象画像から直接に明度差(ΔL*)、彩度差(ΔC*)、色相差(ΔH°)、あるいは色差(ΔE)を算出し、これら各成分に基づいてそれぞれの評価値を算出するものであると一層好ましい。
この際には、各画素の色差信号の平方2乗平均により評価値を算出したり、色差信号に空間周波数解析を行ない、この空間周波数解析結果に、人の目の空間周波数に対する感度分布に応じた重み関数を重畳して評価値を算出したりするとよい。
色信号変換部16で色変換された均等知覚色空間の色彩データや3刺激値XYZまたは3刺激値XYZに変換可能なデバイス非依存の色信号(色彩データ;D12,D22)を用いることで、画像入力装置の入力色特性の影響を排除できる。たとえば、ある色(Lab,LCH)を入力しても画像入力装置の違いで様々な入力画像データのRGB値が得られるが、画像入力装置の入力特性プロファイル(色変換プロファイル)を用いるなどして、デバイス非依存のデータに変換することで、画像入力装置が異なっても同じLab,LChが得られるようになる。
なお、絵柄画像の評価における出力イメージパスが異なることに起因した問題を解消するためには、絵柄を直接入力する手法を採る。自動画質調整機能を適用した場合、画像によって出力色変換が変わるため、パターン画像と絵柄画像とで出力イメージパスが異なり、入力する画像データ(RGB)も異なる。デバイス非依存の色信号に変換したとしても、Lab、LChの値も両画像で当然異なる。このため、今、評価したい対象はあくまでも絵柄画像であるので、絵柄画像を直接入力することとする。
ここで粒状性に関する評価値の算出方法としては、たとえば、本来均一であるように出力したパッチ画像の明度、彩度、色相信号に対して、人間の目の空間周波数特性によるフィルタリングを行なった後に標準偏差の評価値を算出する第1の方法がある。ただしこの方法では、パターン画像を用いるため写真のような絵柄画像の粒状性を評価することはできない。
また、被評価画像の濃度情報、明度情報、または色度情報のうち少なくとも1つの光学情報を用いて空間周波数成分を算出し、その算出結果に視覚系の空間周波数特性に応じた補正を行ない、この補正値を積分した値に光学情報の平均特性に応じた補正を行なうことによって粒状性に関する評価値を算出する第2の方法もある。この方法では、人間の感覚と相関がよく高精度な評価値を算出することができる。加えて、積分結果に画像の光学情報の平均特性に応じた補正を加えることで、画像のもつ光学情報の特性に依存しない粒状性に関する評価値を算出することができる。
あるいは評価対象画像に対して、2次元直交変換を施して2次元的な空間周波数分布を示す情報を生成し、これを1次元化した後、人の視覚系の空間周波数特性を表す関数によって補正し、積分することによって粒状性に関する評価値を算出する第3の方法もある。
第2や第3の方法では、パターン画像を用いずに粒状性に関する評価値を算出するので、絵柄画像の粒状性に関しても評価することができる。
また、何れも、デバイス非依存色空間の色信号の画像に関して評価を行なうのがよい。たとえば、デバイス非依存色空間の色信号の画像に対して2次元直交変換を施すようにするのがよい。デバイス非依存色空間の色信号から粒状性に関する評価値を求めることで、画像入力パスの違いに起因した粒状性に関する評価精度の低下を改善できる。
また、鮮鋭性に関する評価値の算出方法としては、たとえば、白黒の線の繰返パターンを出力し、その濃度プロファイルからコントラストを算出し鮮鋭性(解像性)の評価値とする第1の方法がある。ただしこの方法では、パターン画像を用いるため写真のような絵柄画像の鮮鋭性を評価することはできない。
あるいは、被評価画像の濃度情報、明度情報、または色度情報のうち少なくとも1つの光学情報を用いて空間周波数成分(空間周波数分布情報)を算出し、その算出結果に観察パラメータ(たとえば、観察距離、被評価画像の輝度、および被評価画像の周囲輝度の少なくとも1つを含む観察パラメータ)に応じた視覚系の空間周波数特性を表す関数によってフィルタリング補正を行ない、補正値から逆変換により得られた画像情報から鮮鋭性に関する評価値を算出する、あるいはこの補正値を積分した値に光学情報の平均特性に応じた補正を行なうことによって鮮鋭性に関する評価値を算出する第2の方法もある。この方法では、人間の感覚と相関がよく高精度な評価値を算出することができる。加えて、積分結果に画像の光学情報の平均特性に応じた補正を加えることで、画像のもつ光学情報の特性に依存しない鮮鋭性に関する評価値を算出することができる。
あるいは、評価対象画像に対して、微分フィルタにより水平方向と垂直方向の画像のエッジ量を算出し、エッジ量の2乗和の平方根の平均から鮮鋭性に関する評価値を算出する第3の方法がある。
第2や第3の方法では、パターン画像を用いずに鮮鋭性に関する評価値を算出するので、絵柄画像の鮮鋭性に関しても評価することができる。
また、何れも、デバイス非依存色空間の色信号の画像に関して評価を行なうのがよい。たとえば、デバイス非依存色空間の色信号の画像に対して微分フィルタ処理を施すようにするのがよい。デバイス非依存色空間の色信号から鮮鋭性に関する評価値を求めることで、画像入力パスの違いに起因した鮮鋭性に関する評価精度の低下を改善できる。
また、階調特性に関する評価値の算出方法としては、階調が連続的に変化するグラデーション画像を被評価画像として使用する第1の方法がある。この際には、被評価画像としてのグラデーション画像の明度情報、濃度情報、強度情報、彩度情報、色度情報、色相情報のうち少なくとも1つの情報から特徴量を抽出して評価値とする。
また、隣接する階調レベルで出力した画像に対して知覚される明度差または濃度差などを測定する第2の方法がある。たとえば、被評価画像の濃度情報、明度情報、または色度情報のうち少なくとも1つの光学情報を用いて隣接する階調レベル間の光学情報の差を算出し、この算出結果に光学情報に対する人間の認知限界に応じた補正を行ない、この補正値を全階調レベルで積分する。この方法では、人間の感覚と相関がよく高精度な評価値を算出することができる。加えて光学情報の差に光学情報に対する人間の認知限界に応じた補正を加えることで、人間の感覚と相関がよく高精度な画像評価値を算出することができ、総合画質評価の精度を向上させることができる。
また、一般に入出力の階調が離散性をもつプリンタやデジタル画像処理系における、入力レベルに対する出力レベルの相対的な数値関係や入出力曲線(γ曲線)を階調特性とする第3の方法がある。
あるいは、階調が連続的に変化するグラデーション画像を出力し、その明度、彩度、または色相の変化を測定して人間が感じる階調性の評価値を算出する第4の方法がある。
なお、第1〜第4の方法では、パターン画像を用いるため写真のような絵柄画像の階調特性を評価することができない。
また、入力画像と原画像とに関して、画像の画素ごとの差分から明度差(ΔL*)を算出し階調特性の評価値とする第5の方法がある。ただしこの方法では、入力画像と原画像との間で画素ごとに差分を求める必要があり、画像単体での階調特性を評価することができない。
あるいは、評価対象画像に関して、任意の色領域に対する個数密度を算出し、個数密度の頻度分布の標準偏差から評価値を算出する第6の方法がある。
第5や第6の方法では、パターン画像を用いずに階調特性に関する評価値を算出するので、絵柄画像の階調特性に関しても評価することができる。また、第6の方法では、評価対象画像そのものから階調特性に関する評価値を算出するので、基準画像がなくても、1つの評価画像から直接に階調特性に関する評価値を算出することができる。
また、何れも、デバイス非依存色空間の色信号の画像に関して評価を行なうのがよい。デバイス非依存色空間の色信号から階調特性に関する評価値を求めることで、画像入力パスの違いに起因した階調特性に関する評価精度の低下を改善できる。
また、色再現性に関する評価値の算出方法としては、入力画像と原画像とに関して、画像の画素ごとの差分から明度差(ΔL*)、彩度差(ΔC*)、色相差(ΔH°)、色差(ΔE)を算出し、色再現性の評価値とする第1の方法がある。ただしこの方法では、入力画像と原画像との間で画素ごとに差分を求める必要があり、画像単体での色再現性を評価することができない。
あるいは、評価対象画像に関して、任意の色領域に対する個数密度を算出し、個数密度の頻度分布の平均値から評価値を算出する第2の方法がある。この方法では、評価対象画像そのものから色再現性に関する評価値を算出するので、基準画像がなくても、1つの評価画像から直接に色再現性に関する評価値を算出することができる。
また、デバイス非依存色空間の色信号の画像に関して評価を行なうのがよい。デバイス非依存色空間の色信号から色再現性に関する評価値を求めることで、画像入力パスの違いに起因した色再現性に関する評価精度の低下を改善できる。
なお、粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性に関する評価値の取得方法は上記に挙げた例の他にも種々の方法が提案されており、それらを用いてもよく、また、粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性を得るための測定物理量として、上記に挙げた例の他にも濃度を用いるか明度を用いるかなどにより種々の方法が提案されており、それらを用いてもよい。
なお、粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性に関する評価値の取得方法は上記に挙げた例の他にも種々の方法が提案されており、それらを用いてもよく、また、粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性を得るための測定物理量として、上記に挙げた例の他にも濃度を用いるか明度を用いるかなどにより種々の方法が提案されており、それらを用いてもよい。
<総合評価値の算出>
出力画像画質評価値算出部30は、画質要素評価値算出部20において測定された粒状性に関わる粒状性評価値Qg、鮮鋭性に関わる鮮鋭性評価値Qs、階調特性に関わる階調性評価値Qt、および色再現性に関わる色再現性評価値Qcを用いて、人間が感じる総合的な画像品質を人間の感覚と相関よく表す総合画質評価値Qを求める。
色信号変換部210を有する画質要素評価値算出部20と出力画像画質評価値算出部30との協働処理によって、被評価画像と、この被評価画像とできるだけ同じ条件で出力された測定用画像(入力画像)を用いて、粒状性、鮮鋭性、階調性、および色再現性の少なくとも1つを算出して、デバイスに依存せずに、画像の総合的な画質を人間の感覚と相関よく評価することができるようにする。また、評価値を算出する際に、予め主観評価実験から得られた評価結果を考慮することで、主観的画質と対応の取れた総合特徴量Qを算出するようにする。
たとえば、粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性に関する各評価値の内の複数に基づいて、目視上、画像の“ざらつき”を表す粒状性と鮮鋭性と階調特性の積、および目視上、画像の“ぼけ”を表す鮮鋭性の逆数を変数とした線形方程式から算出される値により、画像のより高精度な総合画像評価を得るようにしてもよい。この際には、粒状性と鮮鋭性と階調特性の積、および鮮鋭性の逆数の値を、所定の定数のべき乗で補正した値を用いることにより総合的な画質評価の精度を向上させるようにするとよい。
画像の“ざらつき”と“ぼけ”といった2つの画像劣化要因が複雑に寄与している場合の画像の総合的な画像評価値(総合画質評価値Q)を定量的に得ることで、粒状性と鮮鋭性に関して総合的に評価できるようになる。加えて、所定の定数のべき乗より補正することで、粒状性や鮮鋭性あるいは階調特性が微妙に変化した場合の画像に対する人間の感覚に及ぼす影響を的確に捕らえることができる。
また、粒状性と鮮鋭性と階調特性の積、および鮮鋭度の逆数の値を、所定の定数のべき乗で補正した値を用いることにより総合的な画質評価の精度を向上させるようにしてもよい。あるいは所定の線形方程式の係数を画像種ごとに適した値を用いることにより、それぞれの画像種の持つ画像劣化要因の特徴に見合った画像の総合的な画質評価を行なうようにしてもよい。
また、画質要素評価値Q10(Qg,Qs,Qt,Qc)の重付け線形回帰式(たとえば重付け線形和)を用いて総合画質評価値Qを算出してもよい。たとえば、明度差、彩度差、色相差、あるいは色差のそれぞれについて平方2乗平均を求め、それらの平方2乗平均結果に基づいて評価値を算出したり、明度差、彩度差、色相差、あるいは色差のそれぞれに対して空間周波数解析を行ない、これら各空間周波数分析結果にそれぞれ人の目の空間周波数感度分布に応じた重み関数を重畳し、この重畳結果に基づき評価値を算出したりするとよい。平方2乗平均を取ることで、各評価値の差を1つの値に纏めることができるので、扱いの簡単な総合画質評価値Qを算出することができるようになる。
あるいは、明度差、彩度差、色相差、あるいは色差のそれぞれについて平方2乗平均を求め、これらの内の複数(好ましくは4つ全て)の平方2乗平均結果に基づいて総合画質評価値Qを算出するようにしてもよい。また、明度差、彩度差、色相差、あるいは色差のそれぞれについて空間周波数解析を行ない、これら各空間周波数分析結果にそれぞれ人の目の空間周波数感度分布に応じた重み関数を重畳し、この重畳結果に基づき総合画質評価値Qを算出するようにしてもよい。この方法では、色彩情報の属性ごとに人の目の空間周波数感度を考慮することができ、主観評価値とより相関の高い総合画質評価値Qを算出することができるようになる。
単純に粒状性や鮮鋭性などの個々の画像品質の劣化要因のみで画像を評価するのではなく、被評価用画像の持つ画質劣化要因の心理物理量である粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性の内の複数の評価値を組み合わせた総合的な評価の指標値(総合画質評価値Q)を求めて画像品質を総合的に評価することで、画像の総合的な画像品質評価を定量的かつ安定的に行なうことができる。また、心理物理量を組み合わせた量を変数とすることで、人間の感覚と相関がよく高精度な画像評価値を算出することができる。
なお、粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性を評価するための測定用画像を読み取るための装置としては、フラットベッド型のスキャナに限らず、たとえばマイクロデンシトメータ、ドラムスキャナ、測色計、濃度計などを用いることもできる。
さらに、上記に挙げた例の他にも空間周波数成分の導出方法や人間の視覚特性による補正の仕方や画像の平均特性に対する補正の仕方は種々の方法が提案されており、それらを用いてもよい。
何れにしても、本実施形態の画質要素評価値算出部20においては、求められた粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性に関する各評価値を用いて、人間が感じる総合的な画像品質を人間の感覚と相関よく表す総合画質評価値Qを算出することができればよい。好ましくは、基準画像がない場合でも正確な画像(特に画質)評価ができるように1つの画像から直接評価値を算出する。また、画像入力装置が異なる場合には、正確な画像(特に画質)評価ができるように、色信号変換部でデバイス非依存の色信号に変換された色信号を評価値の算出に用いる。
<色信号変換部の構成>
図3は、色信号変換部16の概略構成を説明するブロック図である。ここでは、処理手順の機能ブロックに従ったブロック図により示している。
図示するように、色信号変換部16は、原画像記憶部12に保存されている原画像データD10を均等知覚色空間の色彩データあるいは3刺激値XYZまたは3刺激値XYZに変換可能な色彩データなどデバイス非依存の色信号に変換する原画像データ色変換部162と、入力画像記憶部14に保存されている入力画像データD20を均等知覚色空間の色彩データあるいは3刺激値XYZまたは3刺激値XYZに変換可能な色彩データなどデバイス非依存の色信号に変換する入力画像データ色変換部164とを備えている。
原画像データ色変換部162は、一例として、原画像記憶部12から取り込んだsRGB値で示された原画像データD10を、一旦、デバイス非依存色空間の色信号であるXYZ3刺激値に変換した後に、均等色空間であるLab値もしくは色の3属性を構成するL(明度)C(彩度)h(色相)値で示された原画像データD12に変換する。
また入力画像データ色変換部164は、一例として、入力画像記憶部14から取り込んだRGB値で示された入力画像データD20を、一旦、デバイス非依存色空間の色信号であるXYZ3刺激値に変換した後に、均等色空間であるLab値もしくは色の3属性を構成するL(明度)C(彩度)h(色相)値で示された入力画像データD22に変換する。
ここで、入力画像データD20のRGB値はデバイス依存の色信号であるため、入力画像データ色変換部164は、画像入力装置70の入力特性プロファイル(色変換プロファイル)を用いて、デバイス非依存の色信号であるXYZ3刺激値またはLab,LChに変換する。
また、入力画像データ色変換部164は、画像入力装置70の入力特性を補正するべく、入力画像データD20を、色、階調特性だけでなく、空間周波数(MTF)特性についても、フィルタなどで補正しておく。この補正の後に、デバイス非依存の色信号であるXYZ3刺激値またはLab値やLCh値に変換する。すなわち、本実施形態の構成においては、入力画像データ色変換部164が、入力画像から入力画像画質要素評価値を算出するに先立って、入力画像データを生成する入力画像データ生成手段(たとえば入力画像データD20を生成する画像入力装置70)の入力特性を補正する入力特性補正部として機能する。
<粒状性評価値算出部の構成>
図4は、画質要素評価値算出部20の粒状性評価値算出部220の概略構成を説明するブロック図である。ここでは、処理手順の機能ブロックに従ったブロック図により示している。
粒状性評価値算出部220は、粒状性評価値算出部220は、原画像と入力画像のそれぞれについての粒状性評価値Qg(Qg10,Qg20)の算出に当たり、色信号変換部210142で得られた明度情報L(x,y)、彩度情報C(x,y)、色相情報h(x,y)を用いる。そして、画像ノイズ(ざらつき)の度合いを表す粒状性評価値Qgを、デバイス非依存色空間の色信号の画像に対して、2次元直交変換を施して2次元的な空間周波数分布を示す情報を生成し、これを1次元化した後、人の視覚系の空間周波数特性を表す関数によって補正し、積分することによって算出する構成となっている。
具体的には、図示するように、粒状性評価値算出部220は、先ず、色信号変換部210142により得られた明度情報L(x,y)、彩度情報C(x,y)、色相情報h(x,y)に基づいて色差情報を求める色彩差演算部222と、色彩差演算部222により求められた色差情報に2次元直交変換を施して2次元的な空間周波数分布を示す情報を生成する2次元直交変換部224とを備えている。
また粒状性評価値算出部220は、2次元直交変換部224により2次元直交変換された2次元空間周波数F(u,v)の強度を表す2次元パワースペクトルを算出する2次元パワースペクトル演算部226と、2次元パワースペクトル演算部226により求められた同一空間周波数に対するパワースペクトルを積分し、1次元したパワースペクトルを算出する2次元パワースペクトル1次元化演算部228とを備えている。
また、粒状性評価値算出部220は、2次元パワースペクトル1次元化演算部228により1次元化されたパワースペクトルに対して、視覚系の空間周波数特性を表す関数を掛け合わせて積分することによって画像ノイズの指標となる情報を算出する視感空間周波数特性補正部230と、視感空間周波数特性補正部230で求められた指標情報に基づいて、2次元明度、2次元彩度、2次元色相を総合した画像ノイズの指標となる粒状性評価値Qgを算出する粒状性評価値演算部232とを備えている。
ここで、色彩差演算部222は、下記式(1−1),(1−2)に従って、明度情報L(x,y)と明度平均値Lave との差である明度差情報ΔL(x,y)、および彩度情報C(x,y)と彩度平均値Cave との差である彩度差情報ΔC(x,y)を算出する。
Figure 2006234869
また、色彩差演算部222は、下記式(2−1)に従って、色相情報h(x,y)と色相平均値have との差である色相差情報Δh(x,y)を算出する。ただし、ここでは、下記式(2−2)に従って、角度から距離に変換した形式の色相差情報ΔH(x,y)を算出する。なお、“^”はべき乗を示す。
Figure 2006234869
2次元直交変換部224は、明度差情報ΔL(x,y)、彩度差情報ΔC(x,y)、色相差情報ΔH(x,y)に分割した画像ごとに離散的2次元フーリエ変換を施すことで、空間周波数成分を求める。具体的には、下記式(3−1),(3−2),(3−3)に従って、離散的にサンプリングされた情報ΔL(x,y),ΔC(x,y),ΔH(x,y)の変動に対する2次元フーリエ変換後の情報FΔL(u,v),FΔC(u,v),FΔH(u,v)を算出する。
Figure 2006234869
2次元パワースペクトル演算部226は、下記式(4−1),(4−2),(4−3)に従って、2次元直交変換部224にて求められたフーリエ変換後の情報FΔL(u,v),FΔC(u,v),FΔH(u,v)の、2次元空間周波数F(u,v)の強度を表す2次元パワースペクトルPΔL(u,v),PΔC(u,v),PΔH(u,v)を算出する。
Figure 2006234869
2次元パワースペクトル1次元化演算部228は、計量の簡略のために、同一空間周波数に対するパワースペクトルを積分し、1次元したPΔL(f),PΔC(f),PΔH(f)を算出する。
視感空間周波数特性補正部230は、下記式(5−1),(5−2),(5−3)に従って、2次元パワースペクトル1次元化演算部228により1次元化されたパワースペクトルPΔL(f),PΔC(f),PΔH(f)に対して、視覚系の空間周波数特性を表す関数VTFL(f),VTFC(f),VTFH(f)を掛け合わせ、周波数領域で積分することによって、画像ノイズの指標となるQΔL,QΔC,QΔHを算出する。
Figure 2006234869
なお、関数VTFL(f),VTFC(f),VTFH(f)としては、たとえば、下記式(6)を用いる。
Figure 2006234869
なお、必要に応じて、さらに画像の平均明度(光学情報の平均特性)に応じた補正を加えてもよい。
粒状性評価値演算部232は、下記式(7)に従って、それぞれに適当な重付けを掛けて加算することで、2次元明度、2次元彩度、2次元色相を総合した画像ノイズの指標となる粒状性評価値Qgを算出する。ここで、粒状性評価値Qgは、小さいほど、画像ノイズが少なく粒状性がよいことを表す。
Figure 2006234869
式中のa,b,cは、明度、彩度、色相に対する重みである。これらの重みは使用される画像読取装置や画像読取方法あるいは測定物理量または光学情報、表色系、視覚特性補正関数または補正方法、および画像の平均特性に対する種々の補正式または補正方法などに応じて最適な値を設定する。
なお、粒状性に関する評価値(粒状性評価値Qg)を算出するに当たっての上記演算過程は一例を示したに過ぎず様々な変更が可能である。たとえば、上記例では空間周波数成分を得る際にフーリエ変換を用いていたが、ウェーブレット変換を用いてもよい。また、上記例では計算の簡略のために2次元パワースペクトル1次元化演算部228にて2次元の空間周波数成分を1次元に変換したが、1次元への変換を行なわなくてもよい。また人間の視覚周波数特性に対する補正は、2次元の空間周波数成分を1次元に変換した後に行なってもよいし、変換する前に行なってもよい。
<鮮鋭性評価値算出部の構成>
図5は、画質要素評価値算出部20の鮮鋭性評価値算出部240の概略構成を説明するブロック図である。ここでは、処理手順の機能ブロックに従ったブロック図により示している。
鮮鋭性評価値算出部240は、原画像と入力画像のそれぞれについての鮮鋭性評価値Qs(Qs10,Qs20)の算出に当たり、色信号変換部16で得られた明度情報L(x,y)を用いる。また、鮮鋭性評価値算出部240は、デバイス非依存色空間の色信号の画像に対して、一般にMTF(Modulation Transfer Function)と呼ばれ線などのエッジの鋭さの特性を表す成分の空間周波数成分を画像の水平方向と垂直方向のそれぞれについて求め、それらに基づいて鮮鋭性評価値Qsを算出する。
たとえば、微分フィルタにより水平方向と垂直方向の画像のエッジ量を算出し、エッジ量の2乗和の平方根の平均から鮮鋭性評価値Qsを算出するように構成されている。具体的には、図示するように、鮮鋭性評価値算出部240は、明度情報L(x,y)の水平方向および垂直方向の各エッジ量を算出するエッジ量演算部242と、エッジ量演算部242にて求められたエッジ量に基づいてエッジ強度を画素ごとに算出するエッジ強度算出部244と、エッジ強度算出部244にて求められたエッジ強度に基づいて画像の鮮鋭さの指標となる鮮鋭性評価値Qsを求める鮮鋭性評価値演算部246とを備えている。
たとえば、エッジ量演算部242は、下記式(8−1),(8−2)に示すSobelフィルタ(微分フィルタ)を用いて、明度情報L(x,y)の水平方向のエッジ量SLh(x,y)と垂直方向のエッジ量SLv(x,y)とを算出する。なお、エッジ量(エッジ画像)の算出はこのような方法に限らず、たとえば、アンシャープマスク処理を利用して高周波成分だけを含む画像を作成する方法を用いることもできる。
Figure 2006234869
エッジ強度算出部244は、下記式(9)に従って、エッジ強度SL(x,y)を画素ごとに算出する。
Figure 2006234869
また、鮮鋭性評価値演算部246は、エッジ強度算出部244にて求められたエッジ強度が、閾値(たとえば“0”)より大きい画素を抽出して、下記式(10)に従って、エッジ強度平均値SLmを算出し、これを鮮鋭さの指標となる鮮鋭性評価値Qsとする。ここで、鮮鋭性評価値Qsは大きいほど、画像の鮮鋭性が高いことを表す。なお、鮮鋭性評価値Qsは、単純平均値に限らず、2乗平均値(RMS;Root Mean Square)や最大値などを用いてもよい。
Figure 2006234869
なお、鮮鋭性に関する評価値(鮮鋭性評価値Qs)を算出するに当たっての上記演算過程は一例を示したに過ぎず様々な変更が可能である。たとえば、鮮鋭性評価値算出部240は、デバイス非依存色空間の色信号の画像に対してエッジの鋭さの特性を表す成分の空間周波数成分を求め、この空間周波数成分に人間の視覚周波数特性を乗じて周波数領域で積分を行ない、得た値に適当な重付けを掛けて得た値を鮮鋭性評価値Qsとすることもできる。また必要に応じて、得た値に適当な重付け掛けた値を鮮鋭性評価値Qsとすることもできる。重みは、使用される画像読取装置や画像読取方法あるいは測定物理量または光学情報、表色系、視覚特性補正関数または補正方法などに応じて最適な値を設定する。
<階調性・色再現性評価値算出部の構成>
図6は、画質要素評価値算出部20の階調性・色再現性評価値算出部260の概略構成を説明するブロック図である。ここでは、処理手順の機能ブロックに従ったブロック図により示している。また、図7は、注目色領域の個数密度ヒストグラムの一例を示す図である。
階調性・色再現性評価値算出部260は、原画像と入力画像のそれぞれについての階調性評価値Qt(Qt10,Qt20)と色再現性評価値Qc(Qc10,Qc20)の算出に当たり、色信号変換部210142で得られたデバイス非依存のLab値で表わされた原画像データD12,D22を用いる。そして、階調性評価値Qtの算出に当たっては、デバイス非依存色空間の任意の色領域に対する個数密度を算出し、個数密度の頻度分布の標準偏差から階調性評価値Qtを算出するように構成されている。加えて、色再現性評価値Qcの算出に当たっては、デバイス非依存色空間の任意の色領域に対する個数密度を算出し、個数密度の頻度分布の平均値から算出するように構成されている。
具体的には、図示するように、階調性・色再現性評価値算出部260は、注目色領域を設定する注目色領域設定部262と、注目色領域内の個数密度を算出する際に基準となる領域を設定する基準格子設定部264と、注目色領域内のLab値の個数密度の頻度分布(個数密度ヒストグラム)を算出する個数密度分布解析部266とを備えている。
また階調性・色再現性評価値算出部260は、個数密度分布解析部266により解析された個数密度ヒストグラムの標準偏差に基づいて階調性評価値Qtを求める階調性評価値演算部272、および個数密度分布解析部266により解析された個数密度ヒストグラムの平均値に基づいて色再現性評価値Qcを求める色再現性評価値演算部274を有する評価値演算部270を備えている。
たとえば、注目色領域設定部262は、Lab色空間内で階調性または色再現性を評価したい任意の注目色領域を設定する。たとえば、人物画像では肌色、風景写真では青空、草色などの記憶色の領域を設定する。また、ユーザがディスプレイ上に表示された明度、彩度、色相が変化する色立体を見ながら注目色領域を設定することもできる。
基準格子設定部264は、注目色領域設定部262により設定された注目色領域内の個数密度を算出する際に基準となる領域を設定する。ここで、基準格子の大きさは、一例として、Lab空間でLab値をそれぞれ1刻みずつ変化させた立方体とする。ただし、基準格子の大きさは、これに限らない。
個数密度分布解析部266は、たとえば図7に示すように、注目色領域内のLab値の個数密度ヒストグラムを求める。ここで、個数密度は、基準格子設定部264により設定された立方体の中のLab値の個数とする。
評価値演算部270において、階調性評価値演算部272は個数密度ヒストグラムの標準偏差を求めて階調性評価値Qtとし、色再現性評価値演算部274は個数密度ヒストグラムの平均値を求めて色再現性評価値Qcとする。
ここで、階調性評価値Qtは小さいほど、注目色領域で階調ジャンプがなく階調性がよいことを表す。また、色再現性評価値Qcは、大きいほど、注目色領域の色が多く色再現性がよいことを表す。
なお、階調特性に関する評価値(階調性評価値Qt)や色再現性に関する評価値(色再現性評価値Qc)を算出するに当たっての上記演算過程は一例を示したに過ぎず様々な変更が可能であり、各画質要素と対応の取れるものであれば何でもよい。たとえば、個数密度分布解析部266において明度ヒストグラムを求め、その平均値、中央値(メジアン;median)、あるいは最頻値(モード;mode)などのヒストグラム(度数分布)の特徴を示す指標(統計的指標)を算出し、この指標を原画像データD10の階調性評価値Qtとしてもよい。同様に、個数密度分布解析部266において彩度ヒストグラムあるいは色相ヒストグラムを求め、それぞれの平均値、中央値、あるいは最頻値などのヒストグラムの特徴を示す統計的指標を算出し、この指標を原画像データD10の色再現性評価値Qcとしてもよい。
あるいは、画像を表わす光学情報における隣接する階調レベル間の光学情報の差を算出し、その差分に光学情報に対する人間の認知限界に応じた補正を加え、この補正された値を全階調レベルで積分することで階調性評価値Qtを求めてもよい。また必要に応じて、補正された値に適当な重付けを掛けてから全階調レベルで積分してもよい。人間の視覚の認知限界に応じた補正や重みは、使用される画像読取装置や画像読取方法あるいは測定物理量または光学情報、表色系、人間の認知限界導出方法やその値などに応じて最適な値を設定する。
以上のようにして、画質要素評価値算出部20は、粒状性、鮮鋭性、階調性、および色再現性の各画質要素評価値Qg,Qs,Qt,Qcを、原画像データD10と入力画像データD20(詳しくは色信号変換部210142にて色変換されたデバイス非依存の画像データD12,D22)から直接算出する。
画質要素評価値算出部20は、画像データから直接に各画質要素評価値Qg,Qs,Qt,Qcを算出しているので、原画像データD10の各画質要素評価値Qg10,Qs10,Qt10,Qc10には原画像固有の画像特性が含まれる。たとえば、画像生成時のノイズを多く含む画像では粒状性評価値が下がり、コントラストが大きい画像構造を多く含む画像では鮮鋭性評価値が上がる。また、入力画像データD20の各画質要素評価値Qg20,Qs20,Qt20,Qc20には、入力画像データD20の取得に当たって画像出力装置50を経由するか否か(たとえばネットワーク経由で原画像データD10を直接取り込む)に関わらず原画像固有の画像特性が含まれるとともに、画像出力装置50で出力された画像を読み取って入力画像データD20を取得する場合には画像出力装置50の出力特性も含まれる。
<出力画像画質評価値算出部の構成>
図8は、出力画像画質評価値算出部30の概略構成を説明するブロック図である。ここでは、処理手順の機能ブロックに従ったブロック図により示している。
出力画像画質評価値算出部30は、画質要素評価値の重付け線形回帰式により総合画質評価値Qを算出する。この際には、鮮鋭度と粒状度と階調特性の積および鮮鋭度の逆数を変数とした線形方程式を用いたり、線形方程式を構成する鮮鋭度と粒状度と階調特性の積、および鮮鋭度の逆数の値を所定の定数でべき乗に補正したりする。また、その係数を画像種に応じて調整(異なる値に)する。
何れにしても、画質要素評価値算出部20において求められた原画像と入力画像のそれぞれについての粒状性評価値Qg(Qg10,Qg20)、鮮鋭性評価値Qs(Qs10,Qs20)、階調性評価値Qt(Qt10,Qt20)、色再現性評価値Qc(Qc10,Qc20)を用いて、人間が感じる総合的な画像品質を人間の感覚と相関よく表す総合画質評価値Qを求める。
具体的には、図示するように、出力画像画質評価値算出部30は、画像出力装置50の画質特性(出力特性)を解析する出力特性解析部300と、出力特性解析部300による解析結果に基づいて主観的な総合画質と対応の取れた画像出力装置50の総合画質評価値Qを算出する総合画質評価値演算部320とを備えている。
出力特性解析部300は、粒状性評価値算出部220により得られた原画像と入力画像のそれぞれについての粒状性評価値Qg10,Qg20に基づいて、画像出力装置50の粒状性に関する出力特性(粒状性評価値)を解析する粒状性解析部302と、鮮鋭性評価値算出部240により得られた原画像と入力画像のそれぞれについての鮮鋭性評価値Qs10,Qs20に基づいて、画像出力装置50の鮮鋭性に関する出力特性(鮮鋭性評価値)を解析する鮮鋭性解析部304とを有している。
また、出力特性解析部300は、階調性・色再現性評価値算出部260の階調性評価値演算部272により得られた原画像と入力画像のそれぞれについての階調性評価値Qt10,Qt20に基づいて、画像出力装置50の階調特性に関する出力特性(階調性評価値)を解析する階調性解析部306と、階調性・色再現性評価値算出部260の色再現性評価値演算部274により得られた原画像と入力画像のそれぞれについての色再現性評価値Qc10,Qc20に基づいて、画像出力装置50の色再現性に関する出力特性(色再現性評価値)を解析する色再現性解析部308とを有している。
画質要素評価値算出部20において画像データD10(好ましくは原画像データD12),D20(好ましくは入力画像データD22)から直接に評価値Q10,Q20を算出し、出力画像画質評価値算出部30において、その評価値Q10,Q20を比較することにより画像出力装置50の出力特性を解析することにより、入力画像と原画像の画素間で差分を取ることで生じ得る両画像の位置ずれに起因した評価精度低下の問題を解消する。
具体的には、各解析部302,304,306,308は、原画像データD10と入力画像データD20の対応する各画質要素評価値Qg10,Qg20、Qs10,Qs20、Qt10,Qt20、Qc10,Qc20の差分を算出することで、出力画像の画像品質を表す粒状性評価値QgΔ,鮮鋭性評価値QsΔ,階調性評価値QtΔ,色再現性評価値QcΔを解析する。各画質要素評価値の差分は、画像出力装置50の出力画像の品質(出力特性)を表す評価値として用いることができる。
総合画質評価値演算部320は、出力特性解析部300にて求められた画像出力装置50の粒状性評価値QgΔ、鮮鋭性評価値QsΔ、階調性評価値QtΔ、色再現性評価値QcΔに基づいて、主観的な総合画質と対応の取れた総合画質評価値Qを算出する。
たとえば、予め主観評価実験から主観的な総合画質に対する各画質要素評価値の重み係数を求めておき、下記式(11)に示す画質要素評価値の重付け線形和に従って、総合画質評価値Qを算出する。式中において、kgは粒状性評価値の重み係数、ksは鮮鋭性評価値の重み係数、ktは階調特性評価値の重み係数、kcは色再現性評価値の重み係数である。
Figure 2006234869
ここで、本実施形態では、出力特性解析部300において、原画像および入力画像のそれぞれから直接に算出した画質要素評価値Qg10,Qg20、Qs10,Qs20,Qt10,Qt20,Qc10,Qc20の差分を取り総合画質評価値Qを算出しているので、従来人間の目視によって主観的に行なわれていた画像の総合的な画像品質評価を定量的かつ安定的に行なうことができ、また、心理物理量を組み合わせた量を変数としているので、人間の感覚と相関がよく高精度な総合画質評価値Qを算出することができる。
また、評価値演算部270では、両画像間で画素ごとに差分を取る必要がなく、入力画像と原画像との位置ずれの影響を無視でき、正確にかつ簡易に画像評価値を算出できる。
また、評価値演算部270において、原画像と入力画像の各評価値の差分を取るので、原画像の画質が悪い場合や、原画像の絵柄が異なる場合でも、画像出力装置50の出力特性のみを表す画質評価値を算出できる。
なお、出力画像画質評価値算出部30は、原画像データD10と入力画像データD20の各画質要素評価値Qg10,Qg20、Qs10,Qs20、Qt10,Qt20、Qc10,Qc20を比較することで、画像出力装置50の出力特性を示す指標値、すなわち粒状性評価値、鮮鋭性評価値、階調性評価値、色再現性評価値を求めることができればよく、上述のような指差分以外を出力特性を示す指標値としてもよく、たとえば、比を出力特性を示す指標値として用いることもできる。
<主観評価スコアとの相関関係>
図9は、原画像データD10として人物画像を用いた場合の総合画質評価値Qと主観評価実験から得られた主観評価スコアとの相関関係の一例を示す図である。なお、各評価値の重み係数は、それぞれ、kg=0.288、ks=0.326、kt=0.088、kc=0.298、kn=0としている。
式(3−1),(3−2),(3−3)並びに式(5−1),(5−2),(5−3)からも明らかなように、本実施形態による総合画質評価値Qと主観評価スコアとの相関は非常に高く、寄与率は0.906である。
このように、画質要素評価値に主観評価実験から得られた重み係数を乗じて総合画質評価値Qを算出することで、人間の主観的な総合画質と対応のとれた評価値を算出できる。
以上説明したように、画質要素評価値算出部20における画質評価方法によれば、画像出力装置50から出力された画像の品質を正確にかつ簡易に評価することができる。
また、画像出力装置50より出力された画像の画像品質を評価する場合に、画像から直接算出した画質要素評価値の差分を取り総合画質評価値Qを算出しているので、画素ごとに差分をとる必要がなく、入力画像と原画像との位置ずれの影響を無視でき、正確にかつ簡易に評価値を算出することができる。
また、評価値を算出する際に、デバイス非依存色空間の色信号を使用していること、並びに予め主観評価実験から得られた評価結果を考慮していることから、主観的画質と対応の取れた評価値を算出することができる。
また、パッチ画像やグラデーション画像のようなパターン画像だけでなく、写真画像のような絵柄画像を用いることができるので、プリンタドライバの自動画質調整機能により、絵柄画像に依存した色変換処理が行なわれて出力された画像に対しても、正確に画質評価値を算出することができる。
また、入力画像と原画像の画質要素評価値の差分を取るので、原画像の画質や絵柄に依存しない画質評価値を算出でき、原画像の画質が悪い場合や原画像の絵柄が異なる場合でも、画像出力装置50の出力特性のみを表す画質評価値を算出することができる。
次に、具体的な事例を用いて、第1実施形態の画質調整装置40による画質調整パラメータ設定方法について説明する。
<第1実施形態の動作;第1例>
図10は、図1に示した第1実施形態の画質調整装置40を構成する画像特徴量算出部44の第1の概略構成を説明するブロック図である。ここでは、処理手順の機能ブロックに従ったブロック図により示している。
この第1例の画像特徴量算出部44を備えた画像処理システム1は、原画像記憶部42に保存されている原画像データD10に基づいて、画像特徴量算出部44にて出力対象となる画像を表わす画像データの明度特徴量Ttを抽出し、画質調整パラメータ設定部48において、この抽出された明度特徴量Ttと、当該明度特徴量Ttに対応する出力装置画質評価値記憶部46に保存されている出力画像の粒状性や階調特性に関する評価値とに基づいて画質調整パラメータP10を設定する点に特徴を有する。以下具体的に説明する。
図10に示すように、第1例の画像特徴量算出部44は、デバイス依存色空間の画像データをデバイス非依存色空間の画像データに変換する色信号変換部442と、原画像データD10の明度情報を示すL(正しくはL*)の画像から明度のヒストグラム(明度ヒストグラムH10)を算出する明度ヒストグラム演算部446と、明度ヒストグラム演算部446にて算出されたヒストグラムに基づいて明度特徴量Ttを算出する明度特徴量演算部448とを備えている。
色信号変換部442は、原画像データD10を、デバイスに非依存の色空間である均等知覚色空間の色彩データや3刺激値XYZまたは3刺激値XYZに変換可能な色彩データ(纏めて原画像データD12)に変換する。明度ヒストグラム演算部446は、この色信号変換部442の変換結果(原画像データD12)を用いてヒストグラムH10を算出するのがよい。
均等知覚色空間では、色差が人の目で見た場合の色の差と線形に近い関係を持つので、感覚的に分かり易いヒストグラムを算出することができる。CIEの定める3刺激値XYZは、画像出力装置などの装置特性に依存しない絶対的な色の値を表している。この態様では、絶対的な色を表すXYZ表色系またはこれに変換可能な表色系で原画像データを作成しておくことにより、画像特徴量算出部44内部では、画像入力装置70の特性を全く考慮しなくても、人間の目の視覚感度に一致した色彩情報として比較が可能になり、主観評価値と対応の取れた画像特徴量T10を算出することができる。
一例として、色信号変換部442は、原画像記憶部42から取り込んだ原画像データD10を、sRGB値で示されたものであると仮定して、一旦、デバイス非依存色空間の色信号であるXYZ3刺激値に変換した後に、均等色空間であるLab値もしくは色の3属性を構成するL(明度)C(彩度)h(色相)値で示された原画像データD12に変換する。
明度ヒストグラム演算部446の構成や動作は、階調性・色再現性評価値算出部260における基準格子設定部264および個数密度分布解析部266とほぼ同様であり、注目色領域内のL値の個数密度ヒストグラムを求め明度ヒストグラムH10とする。
明度特徴量演算部448は、上述した階調性・色再現性評価値算出部260の評価値演算部270と同様の機能を有しており、明度ヒストグラム演算部446にて算出された明度ヒストグラムH10の平均値、中央値(メジアン;median)、最頻値(モード;mode)、あるいは標準偏差などのヒストグラム(度数分布)の特徴を示す指標(統計的指標)を算出し、この指標を原画像データD10の明度特徴量Ttとする。
図11は、図10に示した第1例の画像特徴量算出部44により抽出された明度特徴量Ttに対応する画質調整パラメータP10の設定例を説明する図である。ここで、図11に示す画質調整パラメータP10は、明度とスクリーンの画質調整パラメータの設定値を組み合わせたものである。たとえば、パラメータ1〜6が用意され、スクリーン種としての“誤差拡散”と“ディザ”のそれぞれに対して、明度として“低”、“中”、“高”の何れかが設定されるようにしている。
もちろん、この図11は画質調整パラメータP10の一例を示したに過ぎず、これ以外にも、たとえば、暗部の粒状性や階調性に影響が大きいと考えられる複数の画質調整パラメータP10を組み合わせたものを用いてもよい。
図12は、図10に示した第1例の画像特徴量算出部44により抽出される明度特徴量Ttと対応する、出力装置画質評価値記憶部46に保存されている原画像画質要素評価値Q10の一部を示す図である。本例において、出力装置画質評価値記憶部46は、原画像データD10の明度(L)の平均値(明度平均値Lave )と、各画質調整パラメータP10に対応した画像出力装置50の粒状性に関する評価値(粒状性評価値Qg)および階調特性に関する評価値(階調性評価値Qt)とを対応付けて記憶している。
ここで、原画像画質要素評価値Q10は、予め明度平均値Lave が異なる複数の画像データを複数の画質調整パラメータで出力し、出力画像を解析して算出したもので、ここでは主観評価で定量化した値を出力装置画質評価値記憶部46に保持している(上述の画像評価装置10内の画質要素評価値算出部20の各機能要素の説明を参照)。
粒状性に関する評価値(粒状性評価値Qg)は、画像ノイズ(ざらつき感)の度合いを表す評価値で、数値が高いほど粒状性がよい、すなわち画像ノイズが少ないことを表している。また、階調性に関する評価値(階調性評価値Qt)は階調飛び(滑らかさ)の度合いを表す評価値で、数値が高いほど階調性がよい、すなわち階調飛びが少なく滑らかであることを表している。
たとえば、図12は、暗部の粒状性と階調性が悪いインクジェットプリンタの一例を示している。図から分かるように、同一の画質調整パラメータP10であっても、明度特徴量T12によって、粒状性や階調性の評価値が異なる。換言すれば、粒状性や階調性の評価値が異なるけれども、同一の明度特徴量T12を与え得る画質調整パラメータP10(明度とスクリーンのセット)の候補が複数ある。全体としては、粒状性および階調性ともに、一部に評価値レベルの反転現象が見られるものの、概ね、原画像データD10の明度平均値Lave が低いほど、粒状性や階調性が悪くなっている。
画質調整パラメータ設定部48は、画像特徴量算出部44にて抽出された原画像データD10の明度平均値Lave と、図12に示した出力装置画質評価値記憶部46に保存されている画像出力装置50の原画像画質要素評価値Q10とに基づいて、画像出力装置50の画質を制御するための画質調整パラメータP10を設定する。
たとえば、出力する原画像データD10の明度平均値Lave が“40”の場合には、図12中にハッチングで示すように、25≦Lave <50の行で、粒状性と階調特性がともに比較的良好でかつバランスの取れた状態となるように、粒状性評価値Qgと階調性評価値Qtの平均値が最も大きい“パラメータ3”を選択し、“パラメータ3”に対応した図11に示す明度とスクリーンの各設定値(パラメータ値)を設定する。
このように、第1例の画質調整パラメータ手法によれば、原画像データD10の明るさ情報(本例では明度平均値Lave )と画像出力装置50の画質特性(本例では粒状性と階調特性)とに応じて画質調整パラメータP10を設定することで、暗部における粒状性や階調性が悪いインクジェットプリンタでも、最適な画質の出力画像を得ることができる。
なお、上記例では、粒状性評価値Qgと階調性評価値Qtの平均値に基づいて画質調整パラメータP10を決定していたが、これに限らず、出力画像の複数の画質評価値に重みを乗じた値、たとえば、粒状性評価値Qgと階調性評価値Qtの重付け線形和など、出力画像画質評価値算出部30により求められた総合画質評価値Qに基づいて画質調整パラメータP10を決定してもよい。なお、予め総合画質評価値Qを求めて出力装置画質評価値記憶部46に記憶しておくことに限らず、画質調整パラメータ設定部48が総合画質評価値Qを算出してもよい。この際には、たとえば、粒状性を重視したい場合は、粒状性の重み係数を階調性の重み係数より大きく設定することで、粒状性がよい出力画像を得ることができる。逆に、階調性を重視したい場合は、階調性の重み係数を粒状性の重み係数より大きく設定することで、階調性がよい出力画像を得ることができる。
以上説明したように、第1実施形態の第1例に掛かる画質調整パラメータ設定方法では、原画像データD10の特徴量(明度特徴量Tt)だけでなく、画像出力装置50の画質特性(原画像画質要素評価値Q10や総合画質評価値Q)をも考慮して画質調整パラメータP10を設定するようにしたので、画像データの明るさが最適でない場合や、画像出力装置50の粒状性や階調性が悪い場合でも最適な画質の出力画像を得ることができる。しかも、原画像データD10と画像出力装置50に依存せず、最適な画質の出力画像を得ることができる画質調整パラメータP10を自動で設定することができるようになる。
すなわち、画像出力装置50における原画像データD10の出力を制御する画質調整パラメータP10を設定する場合、原画像データD10の明るさ情報(本例では明度平均値Lave )と画像出力装置50の画質特性(本例では粒状性と階調特性)を考慮しているので、画像出力装置50の暗部の粒状性と階調性が悪い場合でも、最適な画質の出力画像を得ることができる。
また、画像レタッチアプリケーションやプリンタドライバに備えられた自動画質調整機能によって、明るさが変換された画像データに基づいて画像を出力する場合でも、原画像データD10に基づいて明るさ情報を再度抽出するので、出力画像の明るさと、画像全体ノイズや階調飛びとのバランスを取った最適な画質の出力画像を得ることができる。
<第1実施形態の動作;第2例>
図13は、図1に示した第1実施形態の画質調整装置40を構成する画像特徴量算出部44の第2の概略構成を説明するブロック図である。ここでは、処理手順の機能ブロックに従ったブロック図により示している。
この第2例の画像特徴量算出部44を備えた画像処理システム1は、原画像記憶部42に保存されている原画像データD10に基づいて、画像特徴量算出部44にて画像データの鮮鋭度特徴量を抽出し、画質調整パラメータ設定部48において、この抽出された鮮鋭度特徴量Tsとこの鮮鋭度特徴量Tsに対応する出力装置画質評価値記憶部46に保存されている出力画像の粒状性や鮮鋭性に関する評価値とに基づいて画質調整パラメータP10を設定する点に特徴を有する。以下具体的に説明する。
図13に示すように、第2例の画像特徴量算出部44は、デバイス依存色空間の画像データをデバイス非依存色空間の画像データに変換する色信号変換部452と、原画像データD10の明度情報を示すL(正しくはL*)の画像から明度のエッジ強度(明度エッジ強度E10)を算出する明度エッジ強度演算部456と、明度エッジ強度演算部456にて算出された明度エッジ強度E10に基づいて鮮鋭度特徴量Tsを算出する鮮鋭度特徴量演算部458とを備えている。
色信号変換部452は、第1例の色信号変換部442と同様に、原画像記憶部42から取り込んだ原画像データD10を、sRGB値で示されたものであると仮定して、一旦、デバイス非依存色空間の色信号であるXYZ3刺激値に変換した後に、均等色空間であるLab値もしくは色の3属性を構成するL(明度)C(彩度)h(色相)値で示された原画像データD12に変換する。
明度エッジ強度演算部456は、原画像データD10の明度情報を示す画像から明度(L)のエッジ強度を算出する。この際、明度エッジ強度演算部456は、上述した鮮鋭性評価値算出部240と同様に、色信号変換部452で得られた明度情報L(x,y)を用いる。そして、明度エッジ強度演算部456は、鮮鋭性評価値の算出は、デバイス非依存色空間の色信号の画像に対して、微分フィルタにより水平方向と垂直方向の画像のエッジ量を算出し、エッジ量の2乗和の平方根の平均から評価値を算出するように構成されている。
具体的には、明度エッジ強度演算部456は、明度情報L(x,y)の水平方向および垂直方向の各エッジ量を算出するエッジ量演算部242と同様の機能部と、この機能部(エッジ量演算部242相当)にて求められたエッジ量に基づいてエッジ強度を画素ごとに算出するエッジ強度算出部244と同様の機能部とを備えている。
なお、この明度エッジ強度演算部456の構成や動作は、鮮鋭性評価値算出部240におけるエッジ量演算部242やエッジ強度算出部244とほぼ同様であり、上述した式(8−1),(8−2)に示すSobelフィルタ(微分フィルタ)を用いて、明度情報L(x,y)の水平方向のエッジ量SLh(x,y)と垂直方向のエッジ量SLv(x,y)とを算出し、式(9)に従ってエッジ強度SL(x,y)を画素ごとに算出する。なお、エッジ量(エッジ画像)の算出はこのような方法に限らず、たとえば、アンシャープマスク処理を利用して高周波成分だけを含む画像を作成する方法を用いることもできる。
鮮鋭度特徴量演算部458は、上述した鮮鋭性評価値算出部240の鮮鋭性評価値演算部246と同様の機能を有しており、明度エッジ強度演算部456(特にエッジ強度算出部244相当の機能部)にて求められたエッジ強度に基づいて画像の鮮鋭さの指標となる鮮鋭度特徴量Tsを求める。
たとえば、鮮鋭度特徴量演算部458は、明度エッジ強度演算部456にて求められたエッジ強度が、閾値(たとえば“0”)より大きい画素を抽出して、上記式(10)に従って、エッジ強度平均値SLmを算出し、これを鮮鋭さの指標となる鮮鋭度特徴量Tsとする。ここで、鮮鋭度特徴量Tsは大きいほど、画像の鮮鋭性が高いことを表す。
図14は、図13に示した第2例の画像特徴量算出部44により抽出された鮮鋭度特徴量Tsに対応する画質調整パラメータP10の設定例を説明する図である。ここで、図14に示す画質調整パラメータP10は、シャープネス(鮮鋭性)とスクリーン線数の画質調整パラメータの設定値を組み合わせたものである。たとえば、パラメータ1〜6が用意され、シャープネスとしての“低”、“中”、“高”のそれぞれに対して、スクリーン線数として“低”、“高”の何れかが設定されるようにしている。
もちろん、この図14は画質調整パラメータP10の一例を示したに過ぎず、これ以外にも、たとえば、粒状性や鮮鋭性に影響が大きいと考えられる複数の画質調整パラメータP10を組み合わせたものを用いてもよい。
図15は、図13に示した第2例の画像特徴量算出部44により抽出される鮮鋭度特徴量Tsと対応する、出力装置画質評価値記憶部46に保存されている原画像画質要素評価値Q10の一部を示す図である。本例において、出力装置画質評価値記憶部46は、原画像データD10の平均エッジ強度SLmと、各画質調整パラメータP10に対応した画像出力装置50の粒状性に関する評価値(粒状性評価値Qg)と鮮鋭性に関する評価値(鮮鋭性評価値Qs)とを記憶している。なお、平均エッジ強度SLmの値は“0”〜“100”の範囲に規格化している。
ここで、原画像画質要素評価値Q10は、予め平均エッジ強度SLmが異なる複数の画像データを複数の画質調整パラメータで出力し、出力画像を解析して算出したもので、ここでは主観評価で定量化した値を出力装置画質評価値記憶部46に保持している(上述の画像評価装置10内の画質要素評価値算出部20の各機能要素の説明を参照)。
粒状性に関する評価値(粒状性評価値Qg)は、画像ノイズ(ざらつき感)の度合いを表す評価値で、数値が高いほど粒状性がよい、すなわち画像ノイズが少ないことを表している。また、鮮鋭性に関する評価値(鮮鋭性評価値Qs)は画像の鮮鋭さの度合い(シャープネス)を表す評価値で、数値が高いほど鮮鋭性がよい、すなわちボケが少ないことを表している。
たとえば、図15は、粒状性が悪い電子写真方式のプリンタの一例を示している。図から分かるように、同一の画質調整パラメータP10であっても、鮮鋭度特徴量T14によって、粒状性や鮮鋭性の評価値が異なる。換言すれば、粒状性や鮮鋭性の評価値が異なるけれども、同一の鮮鋭度特徴量T14を与え得る画質調整パラメータP10(シャープネスとスクリーン線数のセット)の候補が複数ある。全体としては、原画像データD10の平均エッジ強度SLmが高いほど、粒状性が悪くなっている。
画質調整パラメータ設定部48は、画像特徴量算出部44にて抽出された原画像データD10の平均エッジ強度SLm(すなわち鮮鋭度特徴量T14)と、図15に示した出力装置画質評価値記憶部46に保存されている画像出力装置50の原画像画質要素評価値Q10とに基づいて、画像出力装置50の画質を制御するための画質調整パラメータP10を設定する。
たとえば、出力する原画像データD10の平均エッジ強度SLmが“40”の場合には、図15中にハッチングで示すように、25≦SLm<50の行で、粒状性と鮮鋭性がともに比較的良好でかつバランスの取れた状態となるように、粒状性評価値Qgと鮮鋭性評価値Qsの平均値が最も大きい“パラメータ5”を選択し、“パラメータ5”に対応した図14に示すシャープネスとスクリーン線の各設定値(パラメータ値)を設定する。
このように、第2例の画質調整パラメータ手法によれば、原画像データD10の鮮鋭さ情報(本例では平均エッジ強度SLm)と画像出力装置50の画質特性(本例では粒状性と鮮鋭性)とに応じて画質調整パラメータP10を設定することで、粒状性の悪い電子写真方式のプリンタでも、最適な画質の出力画像を得ることができる。
なお、上記例では、粒状性評価値Qgと鮮鋭性評価値Qsの平均値に基づいて画質調整パラメータP10を決定していたが、これに限らず、出力画像の複数の画質評価値に重みを乗じた値、たとえば、粒状性評価値Qgと鮮鋭性評価値Qsの重付け線形和など、出力画像画質評価値算出部30により求められた総合画質評価値Qに基づいて画質調整パラメータP10を決定してもよい。なお、予め総合画質評価値Qを求めて出力装置画質評価値記憶部46に記憶しておくことに限らず、画質調整パラメータ設定部48が総合画質評価値Qを算出してもよい。この際には、たとえば、粒状性を重視したい場合は、粒状性の重み係数を鮮鋭性の重み係数より大きく設定することで、粒状性がよい出力画像を得ることができる。逆に、鮮鋭性を重視したい場合は、鮮鋭性の重み係数を粒状性の重み係数より大きく設定することで、鮮鋭性がよい出力画像を得ることができる。
以上説明したように、第1実施形態の第2例に掛かる画質調整パラメータ設定方法では、原画像データD10の特徴量(鮮鋭度特徴量Ts)だけでなく、画像出力装置50の画質特性(原画像画質要素評価値Q10や総合画質評価値Q)をも考慮して画質調整パラメータP10を設定するようにしたので、画像データの明るさや鮮鋭さが最適でない場合や画像出力装置の粒状性が悪い場合でも、最適な画質の出力画像を得ることができる。しかも、原画像データD10と画像出力装置50に依存せず、最適な画質の出力画像を得ることができる画質調整パラメータP10を自動で設定することができるようになる。
すなわち、画像出力装置50における原画像データD10の出力を制御する画質調整パラメータP10を設定する場合、原画像データD10の明るさ情報(本例では平均エッジ強度SLm)と画像出力装置50の画質特性(本例では粒状性と鮮鋭税)を考慮しているので、画像出力装置50の粒状性が悪い場合でも、最適な画質の出力画像を得ることができる。
また、画像レタッチアプリケーションやプリンタドライバに備えられた自動画質調整機能によって、鮮鋭さが変換された画像データに基づいて画像を出力する場合でも、原画像データD10に基づいて鮮鋭さ情報を再度抽出するので、出力画像の鮮鋭さと画像全体のノイズとのバランスを取った最適な画質の出力画像を得ることができる。
また、第1例および第2例の何れにおいても、画質調整パラメータ設定部48において、画像特徴量T10と原画像画質要素評価値Q10(あるいは総合画質評価値Q)とに基づいて画質調整パラメータP10を自動で設定できるので、短時間で最適な画質の出力画像を得ることができる。
また、第1例および第2例の何れにおいても、パッチ画像やグラデーション画像のようなパターン画像だけでなく、写真画像のような絵柄画像を用いることができるので、プリンタドライバの自動画質調整機能により、絵柄画像に依存した色変換処理が行なわれて出力された画像に対しても、正確に画質評価値を算出することができ、また、評価値演算部270において入力画像と原画像の画質要素評価値の差分を取るので、原画像の画質や絵柄に依存しない画質評価値を算出でき、結果的には、原画像の絵柄が異なる場合でも、その画像の絵柄に依存せず、かつ画像出力装置50の特性に応じた最適な画質が得られる画質調整パラメータP10を設定することができる。
<システム構成;第2実施形態>
図16は、画質調整装置を備えた画像処理システム1の第2実施形態の概略構成を示すブロック図である。ここでは、処理手順の機能ブロックに従ったブロック図により示している。
この第2実施形態は、出力装置画質評価値記憶部46に記憶する画質評価値を得るために、画像出力装置50の出力画像を光学的に読み込む画像入力部92と、画像入力部92が取り込んだ入力画像に基づいて出力画像の画質評価値を算出する出力装置画質評価値算出部94を、画質調整装置40内に内蔵している点に特徴を有する。
図1に示した第1実施形態の画像処理システム1の構成との対応では、画像入力部92が画像入力装置70に相当し、出力装置画質評価値算出部94が画像評価装置10に対応する。すなわち、第1実施形態の構成における画像評価装置10と画像入力装置70とを、画質調整装置40内に取り込んだ構成となっている。
出力装置画質評価値算出部94は、上述した画像評価装置10と同様の構成を持ち、同様の作用をする。ここでは、その詳細な説明を割愛する。
なお、原画像記憶部12と原画像記憶部42、あるいは明度ヒストグラム演算部446と基準格子設定部264および個数密度分布解析部266、明度特徴量演算部448と評価値演算部270、明度エッジ強度演算部456とエッジ量演算部242およびエッジ強度算出部244、鮮鋭度特徴量演算部458と鮮鋭性評価値演算部246など、同等の機能を持つ各機能部に関しては、1つの機能部にて対応する両機能を兼用するように構成することで、装置をコンパクトにするのがよい。
この第2実施形態のシステム構成によれば、複数の画像データを複数の画質調整パラメータで出力し、出力画像をスキャナなどの画像入力装置(本例では画像入力部92)で読み込み、出力装置画質評価値算出部94において入力画像を解析して、画像データと画質調整パラメータごとに原画像画質要素評価値Q10、入力画像画質要素評価値Q20を算出する。たとえば、画質評価値として鮮鋭性評価値を算出する場合は、上記第1実施形態の第2例で述べたと同様に、エッジ強度平均値SLmを算出し、これを鮮鋭性評価値Qsとする。
この第2実施形態によれば、画質調整装置40にて出力画像の画像入力と画質評価値の算出が行なえるため、出力装置画質評価値記憶部46の画質評価値をユーザが任意に変更できる。したがって、定期的に画質評価値を書き換えるようにしておくことで、経時変化で画像出力装置50の画質が変化した場合でも、変化した状態で最適な画質が得られる画質調整パラメータを設定することができる。
<電子計算機を利用した構成>
なお、上述した一連の画質調整処理機能(画質調整パラメータ設定処理機能)や画像評価処理機能は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。すなわち、制御部や画質調整パラメータ設定処理や画像評価処理の実行に関わる各機能部は、それぞれハードウェアにより構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づいて電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現することも可能である。たとえば、一般的なPC(パーソナルコンピュータ)本体の構成と同様に、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)などを備えて構成することができる。
上述の画質調整パラメータ設定処理や画像評価処理の実行に際しては、このコンピュータ構成の画質調整装置や画像評価装置に組み込まれたアプリケーションプログラムをCPUが実行することによって実現することができる。よって、本発明に係る画質調整パラメータ設定処理方法および装置や画像評価方法および装置を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適な画質調整パラメータ設定プログラムや画質評価プログラムあるいはこの画質調整パラメータ設定プログラムや画質評価プログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を発明として抽出することもできる。
もちろん、このようなコンピュータを用いた構成に限らず、それぞれの機能をなす専用のハードウェアの組合せにより構成することもできる。ソフトウェアにより処理を実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順や処理条件などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。逆に、ハードウェアで構成すれば、高速処理が実現できる。
記録媒体は、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気などのエネルギの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。
たとえば、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、または半導体メモリなどよりなるパッケージメディア(可搬型の記憶媒体)により構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMやハードディスクなどで構成されてもよい。または、ソフトウェアを構成するプログラムが、有線あるいは無線などの通信網を介して提供されてもよい。
一連の画像評価値算出処理や画質調整パラメータ設定処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ(組込みマイコンなど)、あるいは、CPU、論理回路、記憶装置などの機能を1つのチップ上に搭載して所望のシステムを実現するSOC(System On a Chip:システムオンチップ)、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
たとえば、画像評価値算出処理機能や画質調整パラメータ設定処理機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、ハードウェアにて構成する場合と同様の効果は達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が画像評価値算出処理機能や画質調整パラメータ設定処理機能を実現する。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することで、画像評価値算出処理や画質調整パラメータ設定処理を行なう機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム;基本ソフト)などが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって画像評価値算出処理や画質調整パラメータ設定処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって画像評価値算出処理や画質調整パラメータ設定処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
このような電子計算機には、たとえば、複写アプリケーションやプリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムなど、従来の画像形成装置(複合機)におけるものと同様のソフトウェアが組み込まれる。また、ネットワーク9を介して外部とのデータを送受信したりするための制御プログラムも組み込まれる。
このとき、画像評価値算出処理や画質調整パラメータ設定処理を行なう機能を実現するプログラムコードを記述したファイルとしてプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。たとえば、既存の複写装置制御ソフトやプリンタ制御ソフト(プリンタドライバ)に組み込まれるアドインソフトとして提供されてもよい。
図17は、CPUやメモリを利用してソフトウェア的に画質調整装置40や画像評価装置10を内蔵した画質調整装置40を構成する、すなわちパーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して画質調整装置40をソフトウェア的に実現する場合のハードウェア構成の一例を示した図である。
画質調整装置40を構成するコンピュータシステム900は、コントローラー部901と、ハードディスク装置、フレキシブルディスク(FD)ドライブ、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ、半導体メモリコントローラなどの、所定の記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取制御部902とを有する。
特に、本実施形態においては、ハードディスク装置やその他の記憶媒体を原画像記憶部12や入力画像記憶部14として機能させ、原画像データD10などを格納する。また、ハードディスク装置やその他の記憶媒体を出力装置画質評価値記憶部46として機能させる。
コントローラー部901は、CPU(Central Processing Unit )912、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)913、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)915、および不揮発性の記憶部の一例であるRAM(NVRAMと記述する)916を有している。
上記において“揮発性の記憶部”とは、画像出力端末4の電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、画像出力端末4のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続けることができるものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。
また、コンピュータシステム900は、ユーザインタフェースをなす機能部として、キーボードやマウスなどを有する指示入力部903と、操作時のガイダンス画面や処理結果などの所定の情報をユーザに提示する表示出力部904と、処理対象の画像を読み取る画像読取部(スキャナユニット)905と、画像出力端末4における処理済みの画像を所定の出力媒体(たとえば印刷用紙)に出力する画像形成部906と、各機能部との間のインタフェース機能をなすインタフェース部909とを有する。
インタフェース部909としては、処理データ(画像データを含む)や制御データの転送経路であるシステムバス991の他、たとえば、画像読取部905とのインタフェース機能をなすスキャナIF部995、画像形成部906や他のプリンタとのインタフェース機能をなすプリンタIF部996、およびインターネットなどのネットワーク9との間の通信データの受け渡しを仲介する通信IF部999を有している。スキャナIF部995と通信IF部999とは入力インタフェース部11inに対応し、プリンタIF部996は出力インタフェース部11out に対応する。なお、記録・読取制御部902も、所定の記憶媒体から画像データを取り込む入力インタフェース部11inの機能を持つ。
表示出力部904は、読み取った全体画像やガイダンス情報などの主要な情報を提示するための表示装置を有して構成されている。表示された情報を確認しながら所定の入力を行なう作業を効率的にできるように、表示装置は、指示入力部903の近傍に配置するのがよい。
表示出力部904は、たとえば、表示制御部942とCRT(Cathode Ray Tube;陰極線管)やLCD(Liquid Crystal Display;液晶)などでなるディスプレイ部944とを有する。たとえば、表示制御部942が、ディスプレイ部944上に、ガイダンス情報や画像読取部905が取り込んだ全体画像などを表示させる。なお、表示面上にタッチパネル932を有するディスプレイ部944とすることで、指先やペンなどで所定の情報を入力する指示入力部903を構成することもできる。
コンピュータシステム900には、画像読取部として、上記実施形態の画像入力装置70に相当するものが接続される。この画像入力装置70は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表す赤R、緑G、青Bのアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換する。特に、本実施形態においては、読み取った画像を、ハードディスク装置やその他の記憶媒体(RAM915でもよい)に入力画像データD20として格納する。
また、コンピュータシステム900には、画像形成部として、上記実施形態の画像出力装置50に相当するものが接続される。この画像出力装置50は、たとえば画像読取部(画像入力装置70)にて得られた画像信号により表される画像を、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する(印刷する)。
このため、画像形成部(画像出力装置50)は、たとえばイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックKの2値化信号などの印刷出力用データを生成する画像処理部52と、画像評価装置10をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャンベースのプリントエンジン54を備える。
このような構成において、CPU912は、システムバス991を介してシステム全体の制御を行なう。ROM913は、CPU912の制御プログラムなどを格納する。RAM915は、SRAM(Static Random Access Memory )などで構成され、プログラム制御変数や各種処理のためのデータなどを格納する。また、RAM915は、所定のアプリケーションプログラムによって取得した電子ドキュメント(文字データのみに限らず画像データを含んでよい)や自装置に備えられている画像読取部(画像入力装置70)で取得した画像データ、さらには外部から取得した電子データなどを一時的に格納する領域を含んでいる。
そして、たとえば画像評価値算出処理をコンピュータに実行させるプログラムは、CD−ROMなどの記録媒体を通じて配布される。あるいは、このプログラムは、CD−ROMではなくFDに格納されてもよい。また、MOドライブを設け、MOに前記プログラムを格納してもよく、またフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリカードなど、その他の記録媒体にプログラムを格納してもよい。さらに、他のサーバなどからインターネットなどのネットワーク9を経由してプログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新したりしてもよい。
なお、プログラムを提供するための記録媒体としては、FDやCD−ROMなどの他にも、DVDなどの光学記録媒体、MDなどの磁気記録媒体、PDなどの光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、ICカードやミニチュアカードなどの半導体メモリを用いることができる。記録媒体の一例としてのFDやCD−ROMなどには、画質調整装置40における画質調整パラメータ設定処理機能や画像評価値算出処理機能の一部または全ての機能を格納することができる。
また、ハードディスク装置は、制御プログラムによる各種処理のためのデータを格納したり、画像読取部(画像入力装置70)で取得した画像データや外部から取得した印刷データなどを大量に一時的に格納したりする領域を含んでいる。また、ハードディスク装置、FDドライブ、あるいはCD−ROMドライブは、たとえば、CPU912にコンテンツ取得やアドレス取得あるいはアドレス設定などの処理をソフトウェアにて実行させるためのプログラムデータを登録するなどのために利用される。
なお、画質調整装置40の画質調整パラメータ設定処理や画像評価値算出処理に関わる各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部を専用のハードウェアにて行なう処理回路908を設けてもよい。この場合、図示するように、画像特徴量算出部44に相当する画像特徴量算出部980、画質調整パラメータ設定部48に相当する画質調整パラメータ設定部982、色信号変換部16に相当する色信号変換部984、画質要素評価値算出部20に相当する画質要素評価値算出部986、出力画像画質評価値算出部30に相当する総合画質評価値算出部988などを個別に設けてもよい。
ソフトウェアで行なう仕組みは、並列処理や連続処理に柔軟に対処し得るものの、その処理が複雑になるに連れ、処理時間が長くなるため、処理速度の低下が問題となる。これに対して、ハードウェア処理回路で行なうことで、高速化を図ったアクセラレータシステムを構築することができるようになる。アクセラレータシステムは、処理が複雑であっても、処理速度の低下を防ぐことができ、高いスループットを算出することができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記実施形態における画質調整パラメータ設定の具体的事例として、暗部の粒状性と階調性が悪いインクジェット方式や粒状性の悪い電子写真方式のプリンタへの適用事例を示したが、画像データの特徴量だけでなく画像出力装置の画質特性をも考慮して画質調整パラメータを設定するものである限り、様々な変形適用が可能である。たとえば上記実施形態では、考慮する画像出力装置50の画質特性の悪さとして、粒状性、鮮鋭性、あるいは階調特性について示したが、これら以外にも、たとえば色再現性に関しても考慮することができるのはいうまでもない。
また、画像評価装置10は、上述した構成のものに限らず、たとえば、特開平9−153136号公報(参考文献1)、特開2003−16443号公報(参考文献2)、特開平11−39486号公報(参考文献3)、特開2000−251076号公報(参考文献4)などに記載されている画像評価装置(画質評価装置)の仕組みを採用してもよい。
ただし、参考文献1,2に記載の仕組みのように、パッチ画像やグラデーション画像のようなパターン画像を用いて単純に各画質要素の評価値を算出し、この評価値そのものに基づいて画像を評価するものでは、画像の総合的な画質を人間の感覚と相関よく評価することはできない(以下、この問題を第1の画像評価問題ともいう)。何故なら、総合的な画像品質に対する人間の感覚は色々な要因が複雑に寄与しており、単純に粒状度や鮮鋭度などの個々の画像品質の劣化要因のみでは表わせず、写真画像のような絵柄画像で人間が感じる総合的な画質の善し悪しを表わしているとはいえず、各評価値そのものに基づいて評価したのでは、画像の総合的な画質を人間の感覚と相関よく評価することはできないからである。
これに対して、参考文献3に記載の仕組みでは、心理物理量である被評価画像の鮮鋭度、粒状度、階調特性から総合画像評価値を得、この総合評価値により画像品質を評価するようにしているので、人間の感覚と相関よく画像品質を評価し、かつ定量的な総合画質評価を行なうことができ、前記第1の画像評価問題を解決し得る。しかしながら、参考文献3に記載の仕組みでは、客観評価用のパターン画像と主観評価用の絵柄画像で出力イメージパスが異なる場合には、パターン画像の画質要素評価値と絵柄画像の総合画質評価値とを対応付けることが難しい。たとえば、プリンタドライバの自動画質調整機能を使用する場合、出力する画像に依存した色変換処理が行なわれるので、パターン画像と絵柄画像とで出力時の色変換処理が異なり、両画像の画質も当然異なってくる。以下、この問題を第2の画像評価問題ともいう。
また、参考文献4に記載の仕組みでは、評価値の算出に当たり、入力画像と原画像とについて画素間で差分を取ることが必須であるので、両画像の位置ずれに起因した精度低下の問題を有する。すなわち、入力画像と原画像とでは、位置ずれが起きることが多く、画素ごとに正確な差分を取ることが困難で、正確な画質評価値を算出できない問題がある。以下、この問題を第3の画像評価問題ともいう。加えて、色再現性や粒状性などの各画質要素の評価値を算出し、この評価値そのものに基づいて画像を評価しているため、前記参考文献1,2に記載の仕組みと同様に、第1の画像評価問題を有する。
これらに対して、上記実施形態で採用した画像評価装置10の仕組みでは、上記説明から分かるように、参考文献1〜4が持つ第1〜第3の画像評価問題を解決することができる。パターン画像や絵柄画像などの画像種の相違や出力イメージパスの相違の影響を受けることなく、主観的な総合画質と対応の取れた画質評価値を求めて、画像の総合的な画質を人間の感覚と相関よく評価することにより各画像評価問題を解消し、安定的でより高度な評価を実現できる仕組みとなる。
さらに、上記説明から明らかなように、以下の構成を発明として提案することができる。以下列記する。
<付記1>
前記入力画像データを生成する入力画像データ生成手段の入力特性を補正する入力特性補正部をさらに備え、
それぞれの前記画質要素評価値算出部は、前記入力特性補正部により補正された画像データに基づいて画像品質を表すそれぞれの前記評価値を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の画質調整装置。
<付記2>
画像を表わす画像データをデバイス非依存色空間の色信号に変換する色信号変換部をさらに備え、
それぞれの前記画質要素評価値算出部は、前記色信号変換部により色変換された色信号に基づいて画像品質を表すそれぞれの前記評価値を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の画質調整装置。
<付記3>
前記原画像画質要素評価値算出部および前記入力画像画質要素評価値算出部は、前記画像データに基づいて画像の粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性の内の少なくとも1つに関する各評価値を求め、
前記出力画像画質評価値算出部は、この求められた対応する評価値同士を比較することにより前記出力画像画質評価値を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の画質調整装置。
<付記4>
前記原画像画質要素評価値算出部および前記入力画像画質要素評価値算出部は、前記画像データに基づいて画像の粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性の内の複数の出力特性に関する各評価値を求め、
前記出力画像画質評価値算出部は、この求められた対応する評価値同士を比較することにより個々の画質特性に関する評価値を求め、さらに、この個々の画質特性に関する評価値に基づいて出力画像の総合的な画像品質を表す総合画質評価値を算出し、この総合評価値により画像品質を評価する
ことを特徴とする付記3に記載の画質調整装置。
<付記5>
前記原画像画質要素評価値算出部および前記入力画像画質要素評価値算出部は、処理対象画像の空間周波数成分を算出し、この算出した空間周波数成分に対して視覚系の空間周波数特性に応じた補正を施し、この補正した空間周波数成分を積分することにより、処理対象画像の粒状性に関する各評価値を求める
ことを特徴とする付記3または4に記載の画質調整装置。
<付記6>
前記原画像画質要素評価値算出部および前記入力画像画質要素評価値算出部は、前記処理対象画像に2次元直交変換を施して2次元的な空間周波数分布を示す情報を生成し、これを1次元化した後に、前記視覚系の空間周波数特性に応じた補正を施す
ことを特徴とする付記5に記載の画質調整装置。
<付記7>
前記原画像画質要素評価値算出部および前記入力画像画質要素評価値算出部は、処理対象画像の空間周波数成分を算出し、この算出した空間周波数成分に基づいて処理対象画像の鮮鋭性に関する各評価値を求める
ことを特徴とする付記3または4に記載の画質調整装置。
<付記8>
前記原画像画質要素評価値算出部および前記入力画像画質要素評価値算出部は、処理対象画像に対して微分フィルタを施すことで、前記処理対象画像の空間周波数成分としての水平方向と垂直方向の各エッジ量を算出し、各エッジ量の2乗和の平方根の平均から前記処理対象画像の鮮鋭性に関する各評価値を求める
ことを特徴とする付記7に記載の画質調整装置。
<付記9>
前記原画像画質要素評価値算出部および前記入力画像画質要素評価値算出部は、処理対象画像の任意の色領域における画素情報の個数密度を算出し、この個数密度の頻度分布の標準偏差に基づいて処理対象画像の階調特性に関する各評価値を求める
ことを特徴とする付記3または4に記載の画質調整装置。
<付記10>
前記原画像画質要素評価値算出部および前記入力画像画質要素評価値算出部は、処理対象画像の任意の色領域における画素情報の個数密度を算出し、この個数密度の頻度分布の平均値に基づいて処理対象画像の色再現性に関する各評価値を求める
ことを特徴とする付記3または4に記載の画質調整装置。
<付記11>
前記出力画像画質評価値算出部は、前記原画像画質要素評価値算出部および前記入力画像画質要素評価値算出部において求められた前記粒状性、鮮鋭性、階調特性、および色再現性の内の複数の出力特性に関する各評価値を用いた所定の線形方程式により前記総合画質評価値を算出する
ことを特徴とする付記4に記載の画質調整装置。
<付記12>
前記出力画像画質評価値算出部は、前記線形方程式として、前記各評価値に画像種に応じた重み係数を掛けた重付け線形回帰式を用いて前記総合画質評価値を算出する
ことを特徴とする付記11に記載の画質調整装置。
画質調整装置を備えた画像処理システムの第1実施形態の概略構成を示すブロック図である。 画像評価装置の一構成例を説明する図である。 色信号変換部の概略構成を説明するブロック図である。 粒状性評価値算出部の概略構成を説明するブロック図である。 鮮鋭性評価値算出部の概略構成を説明するブロック図である。 階調性・色再現性評価値算出部の概略構成を説明するブロック図である。 注目色領域の個数密度ヒストグラムの一例を示す図である。 総合画質評価値算出部の概略構成を説明するブロック図である。 人物画像を用いた場合の総合画質評価値と主観評価実験から得られた主観評価スコアとの相関関係の一例を示す図である。 画像特徴量算出部の第1の概略構成を説明するブロック図である。 画像特徴量算出部により抽出された明度特徴量に対応する画質調整パラメータの設定例を説明する図である。 画像特徴量算出部により抽出される明度特徴量と対応する、出力装置画質評価値記憶部に保存されている原画像画質要素評価値の一部を示す図である。 画像特徴量算出部の第2の概略構成を説明するブロック図である。 画像特徴量算出部により抽出された鮮鋭度特徴量に対応する画質調整パラメータの設定例を説明する図である。 画像特徴量算出部により抽出される鮮鋭度特徴量と対応する、出力装置画質評価値記憶部に保存されている原画像画質要素評価値の一部を示す図である。 画質調整装置を備えた画像処理システムの第2実施形態の概略構成を示すブロック図である。 パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して画質調整装置をソフトウェア的に実現する場合のハードウェア構成の一例を示した図である。
符号の説明
1…画像処理システム、10…画像評価装置、11out …出力インタフェース部、11in…入力インタフェース部、12…原画像記憶部、14…入力画像記憶部、16…色信号変換部、20…画質要素評価値算出部、30…出力画像画質評価値算出部、40…画質調整装置、42…原画像記憶部、44…画像特徴量算出部、46…出力装置画質評価値記憶部、48…画質調整パラメータ設定部、50…画像出力装置、70…画像入力装置、80…出力制御装置、162…原画像データ色変換部、164…入力画像データ色変換部、220…粒状性評価値算出部、222…色彩差演算部、224…2次元直交変換部、226…2次元パワースペクトル演算部、228…2次元パワースペクトル1次元化演算部、230…視感空間周波数特性補正部、232…粒状性評価値演算部、240…鮮鋭性評価値算出部、242…エッジ量演算部、244…エッジ強度算出部、246…鮮鋭性評価値演算部、260…階調性・色再現性評価値算出部、262…注目色領域設定部、264…基準格子設定部、266…個数密度分布解析部、270…評価値演算部、272…階調性評価値演算部、274…色再現性評価値演算部、300…出力特性解析部、302…粒状性解析部、304…鮮鋭性解析部、306…階調性解析部、308…色再現性解析部、320…総合画質評価値演算部、442…色信号変換部、446…明度ヒストグラム演算部、448…明度特徴量演算部、452…色信号変換部、456…明度エッジ強度演算部、458…鮮鋭度特徴量演算部

Claims (11)

  1. 画像の特徴量を算出する画像特徴量算出部と、
    画像の特徴量と画像出力装置の画質を制御するための画質調整パラメータに対応した前記画像出力装置の画質評価値を対応付けて記憶する出力装置画質評価値記憶部と、
    前記画像特徴量算出部が算出した画像の特徴量に対応する、前記出力装置画質評価値記憶部に記憶しておいた前記画像出力装置の画質評価値に基づいて前記画像出力装置から画像を出力する際の画質調整パラメータを設定する画質調整パラメータ設定部と
    を備えたことを特徴とする画質調整装置。
  2. 前記画像特徴量算出部は、画像の明度に関する特徴量を算出し、
    前記出力装置画質評価値記憶部には、出力画像の粒状性に関する画質評価値または階調特性に関する画質評価値を記憶しており、
    前記画質調整パラメータ設定部は、前記画像特徴量算出部が算出した画像の明度に関する特徴量と、前記出力装置画質評価値記憶部に記憶しておいた、前記出力画像の粒状性に関する画質評価値または階調特性に関する画質評価値に基づいて前記画質調整パラメータを設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画質調整装置。
  3. 前記画像特徴量算出部は、画像の鮮鋭性に関する特徴量を算出し、
    前記出力装置画質評価値記憶部には、出力画像の粒状性に関する画質評価値または鮮鋭性に関する画質評価値を記憶しており、
    前記画質調整パラメータ設定部は、前記画像特徴量算出部が算出した画像の鮮鋭性に関する特徴量と、前記出力装置画質評価値記憶部に記憶しておいた、前記出力画像の粒状性に関する画質評価値または鮮鋭性に関する画質評価値に基づいて前記画質調整パラメータを設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画質調整装置。
  4. 前記画質調整パラメータ設定部は、前記出力画像の複数の画質評価値に基づいて前記画質調整パラメータを設定する
    ことを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の画質調整装置。
  5. 前記画質調整パラメータ設定部は、前記複数の評価値のそれぞれに画像種に応じた重み係数を掛けた重付け線形回帰式を用いて算出される総合画質評価値に基づいて前記画質調整パラメータを設定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の画質調整装置。
  6. 前記画像出力装置の画質を制御するための画質調整パラメータに対応した前記画像出力装置の画質評価値を算出して前記出力装置画質評価値記憶部に供給する画像評価部
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のうちの何れか1項に記載の画質調整装置。
  7. 前記画像評価部は、出力画像を表わす原画像データに基づいて前記出力画像の画像品質を表す原画像画質要素評価値を算出する原画像画質要素評価値算出部と、
    前記原画像データに対応する入力画像データを取り込む入力インタフェース部と、
    前記入力インタフェース部が取り込んだ前記入力画像データに基づいて前記出力画像に対応する入力画像の画像品質を表す入力画像画質要素評価値を算出する入力画像画質要素評価値算出部と、
    前記原画像画質要素評価値算出部により算出された原画像画質要素評価値と、前記入力画像画質要素評価値算出部により算出された入力画像画質要素評価値とを比較することにより、出力画像の画像品質を表す出力画像画質評価値を算出する出力画像画質評価値算出部と
    を有することを特徴とする請求項6に記載の画質調整装置。
  8. 前記入力インタフェース部は、前記原画像データに基づいて形成された出力画像を光学的に読み込んで前記入力画像データを生成する入力画像データ生成手段から前記入力画像データを取り込む
    ことを特徴とする請求項7に記載の画質調整装置。
  9. 画像の特徴量を算出する画像特徴量算出部と、画像の特徴量と画像出力装置の画質を制御するための画質調整パラメータに対応した前記画像出力装置の画質評価値を対応付けて記憶する出力装置画質評価値記憶部と、前記画像特徴量算出部が算出した画像の特徴量に対応する、前記出力装置画質評価値記憶部に記憶しておいた前記画像出力装置の画質評価値に基づいて前記画像出力装置から画像を出力する際の画質調整パラメータを設定する画質調整パラメータ設定部とを備えた画質調整装置から、前記画質調整パラメータ設定部により設定された画質調整パラメータを受け取り、この受け取った画質調整パラメータを用いて画像データの前記画像出力装置への出力を制御する出力指示部
    を備えたことを特徴とする出力制御装置。
  10. 画像の特徴量と画像出力装置の画質を制御するための画質調整パラメータに対応した前記画像出力装置の画質評価値を対応付けて所定の出力装置画質評価値記憶部に記憶しておき、
    前記画像出力装置から出力される画像の特徴量を算出し、
    この算出した画像の特徴量に対応する、前記出力装置画質評価値記憶部に記憶しておいた前記画像出力装置の画質評価値に基づいて前記画像出力装置から画像を出力する際の画質調整パラメータを設定する
    ことを特徴とする画質調整方法。
  11. 画像出力装置から画像を出力するのに先立って、出力される画像の画質を調整する画質調整処理をコンピュータを用いて行なうためのプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    画像の特徴量を算出する画像特徴量算出部と、
    画像の特徴量と画像出力装置の画質を制御するための画質調整パラメータに対応した前記画像出力装置の画質評価値を記憶する出力装置画質評価値記憶部と、
    前記画像特徴量算出部が算出した画像の特徴量に対応する、前記出力装置画質評価値記憶部に記憶しておいた前記画像出力装置の画質評価値に基づいて前記画像出力装置から画像を出力する際の画質調整パラメータを設定する画質調整パラメータ設定部と
    として機能させることを特徴とするプログラム。
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