JP2006232720A - ビニルエーテル系単量体の製造方法およびそれを用いた重合体の製造方法 - Google Patents

ビニルエーテル系単量体の製造方法およびそれを用いた重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルコール類から、効率よくビニルエーテル単量体を製造する。
【解決手段】 (i)一般式(1);H(OCH2CH2)q(OT)n(OR1mOH (1)(式中、Tは炭素数1〜3のアルキレン基または炭素数6〜9のアリール鎖、OR1は炭素数2〜18のオキシアルキレン鎖を示し、qは0または1、nは0または1、mは0〜4であり、m+n+qは0ではない。)で表される少なくとも2個のヒドロキシル基を有するアルコール類から一般式(2);CH2=CH(OT)n(OR1mOH (2)で表される化合物を得る工程(ii)一般式(2)の化合物にアルキレンオキシドを付加させ、一般式(3);CH2=CH(OT)n(OR1pH (3)(式中、pはOR15〜300)で表される化合物および/または該化合物の誘導体を得る工程を含むことを特徴とする製造方法でビニルエーテル系単量体を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビニルエーテル系単量体の製造方法およびそれを用いた重合体の製造方法に関するものである。
通常、ビニルエーテル系単量体は、アルキレンオキシドを予めある程度付加させたアルコールを脱水させるか、特許文献1に開示されているように該アルコールにアセチレンを付加させることで得られている。鎖長が長いビニルエーテル系単量体を得る場合、上記脱水反応では、原料となるアルコールの沸点が高いため気相では行うことはできず、液相で行なう必要があった。その際、分子構造内に少なくとも2つ以上のヒドロキシル基を有する原料アルコールを用いると、上記脱水反応の過程で、1つのヒドロキシル基のみが脱水反応されたモノビニル体以外に、2つのヒドロキシル基が脱水反応されたジビニル体も同時に生成されてしまう。一方、レッペ法でもアセチレンを付加させる過程で、ジビニル体が多く生成されてしまう。そのため分子構造内に少なくとも2つ以上のヒドロキシル基を有する原料アルコールからレッペ法や脱水反応でモノビニル体を得るには、反応後に、触媒などとして用いたアルカリ(レッペ法)や酸(脱水反応)を除去する以外に、蒸留法などでジビニル体を除去する工程も必要であった。
特開平9−309756号公報
上記方法で鎖長が長いビニルエーテル単量体を製造すると、目的生成物であるモノビニル体も、副生成物であるジビニル体も沸点が高いため、モノビニル体を蒸留精製したり、ジビニル体を蒸留により除去したりするのが難しく、高純度のモノビニル体を得ることは困難であった。また、そのようなジビニル体が含まれた単量体を重合反応に供すると、重合工程で架橋反応が引き起こり、不溶なゲル体を生じる原因となる。
そこで本発明は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルコール類から、効率よくビニルエーテル単量体を製造する方法を提供することを課題とした。
本発明者らは、先に原料アルコールの一方の末端に、優先的にエーテル結合を形成させて比較的鎖長の短いモノマーを製造し、必要に応じて精製した後、エーテル結合に関与しなかったヒドロキシル基にアルキレンオキシドを付加させて鎖長を長くすることで、副生成物(ジビニル体など)の混入を抑制でき、高純度のビニルエーテル系単量体を製造できることを見出し本発明に至った。
本発明のビニルエーテル単量体の製造方法は、
(i)下記一般式(1);
H(OCH2CH2q(OT)n(OR1mOH (1)
(式中、Tは同一または異なってもよく、炭素数1〜3のアルキレン基または炭素数6〜9のアリール鎖を表し、OR1は同一または異なってもよく、炭素数2〜18のオキシアルキレン鎖を表し、qは0または1を表し、nは0または1を表し、mはOR1の平均付加モル数を示し、0〜4であり、m+n+qは0ではない。)
で表される少なくとも2個のヒドロキシル基を有するアルコール類から一般式(2);
CH2=CH(OT)n(OR1mOH (2)
(式中、T、OR1、nおよびmは上記と同じであり、m+nは0ではない。)
で表される化合物を得る工程
(ii)一般式(2)の化合物にアルキレンオキシドを付加させ、
一般式(3);
CH2=CH(OT)n(OR1pH (3)
(式中、pはOR1の平均付加モル数を示し、5〜300であり、T、OR1およびnは上記と同じ)
で表される化合物および/または該化合物の誘導体を得る工程
を含むことを特徴とする。
また、工程(i)は、気相脱水反応を用いて行うことが好ましい。
また、工程(i)と工程(ii)の間に、(i)で得られた生成物を精製する工程を加えることも好ましい。
また、上記製造方法で得られたビニルエーテル系単量体を重合することを特徴とする重合体の製造方法を提供することで、上記課題を解決することができた。
さらに、上記ビニルエーテル系単量体をエチレン性不飽和カルボン酸エステルと重合し、得られた重合体を加水分解することで重合体を得ることも好ましい。
本発明のビニルエーテル系単量体の製造方法によれば、従来よりも容易に、かつ効率よくビニルエーテル系単量体を得ることができた。
(A)本発明のビニルエーテル系単量体の製造方法
本発明のビニルエーテル系単量体の製造方法は、少なくとも
(i)下記一般式(1);
H(OCH2CH2q(OT)n(OR1mOH (1)
で表されるアルコール類から、般式(2);
CH2=CH(OT)n(OR1mOH (2)
で表される化合物を得る工程と、
(ii)一般式(2)の化合物にアルキレンオキシドを付加させる工程の2つの工程を含んでいる。
上記一般式(1)で表される原料アルコール類のTは同一または異なってもよく、炭素数1〜3のアルキレン基または炭素数6〜9のアリール鎖を表し、OR1は同一または異なってもよく、炭素数2〜18のオキシアルキレン鎖を表し、qは0または1を表し、nは0または1を表し、mはOR1の平均付加モル数を示し、0〜4であり、m+n+qは0ではない。上記原料アルコール類の具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのジオール類などが挙げられる。
本工程では、上記一般式(1)の化合物を、一般式(2)で表される一般式(1)に記載のアルコール類の一方の末端に、優先的にエーテル結合を形成させる。
形成させる方法としては、レッペ反応や脱水反応など公知の方法を用いて行なうことができる。具体的には上記“q”が1であれば、一般式(1)の化合物を脱水反応に供することで、末端に存在する“HOCH2CH2”を“CH2=CH”に変化させて一般式(2)に記載の化合物を得ることができる。また上記“q”が0であれば、一般式(1)の化合物の末端に存在する“H(OT)n”にレッペ法にてアセチレンを付加させるなどの方法で一般式(2)の化合物を得ることができる。中でも、加圧下で行う必要がなく、かつレッペ法よりも反応制御が容易であることから、気相脱水反応または液相脱水反応法、さらには簡便・安全・コストなどの面から、気相脱水反応にて行うことが好ましい。
本工程を気相脱水反応にて行う場合、具体的には、固定床流通型や流動床型などの反応器に下記する触媒と原料アルコールを仕込み、原料となるアルコールが気相状態を維持できる反応圧力および反応温度の下で反応(脱水反応)させて行なうことができる。
触媒としては、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素とケイ素とを含有する酸化物などが挙げられる。中でも下記する一般式(3);
aSibcd (3)
で表される酸化物を用いることが好ましい。
式中、Mはアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素より選ばれる1種以上の元素を表しており、Siはケイ素を表しており、ZはB、AlおよびPからなる群より選ばれる1種以上の元素を表しており、Oは酸素を表している。添字a、b、cおよびdは、a=1としたときに、b=1〜500、好ましくは5〜200、c=0〜1の範囲を取るものであり、dはa、b、cの値および各種構成元素の結合状態により定まる数値を意味している。
反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれの条件も適用することができる。反応温度は、一般に、300℃より低いと原料の転化率が大幅に低下してしまうため、反応温度の下限は300℃、さらには350℃以上とすることが好ましい。また反応温度が高まると、目的とするビニルエーテルの選択率が著しく低下してしまうことがあるため、反応温度の上限は500℃以下、さらには450℃以下とすることが好ましい。
なお、原料を触媒の存在下で反応器に供給する場合、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭化水素など不活性な物質で希釈および/または減圧し、その分圧を5〜600mmHgに調節して供給することが好ましい。その際の原料の空間速度(GHSV)は、原料の種類および他の反応条件によっても異なるが、1〜1000h-1、さらには10〜500h-1の範囲とすることが好ましい。
上記触媒は下記のように公知の方法を用いて調製することができる。
Zを含まない触媒(cが0)の調製方法は、具体的には下記の1)〜4)の方法が挙げられる。
1)アルカリ金属元素源および/またはアルカリ土類金属元素源とケイ素源を、水中に溶解もしくは懸濁させ、撹拌しながら加熱濃縮し、得られたものを乾燥、成形、焼成する方法。
2)アルカリ金属元素源および/またはアルカリ土類金属元素源の水溶液に酸化ケイ素成形体を含浸させた後、加熱乾固し、乾燥、焼成する方法。
3)各種ケイ酸塩またはケイ素含有酸化物に、アルカリ金属元素源および/またはアルカリ土類金属元素源の水溶液を添加して混合した後、乾燥、成形、焼成する方法。
4)ケイ素含有モレキュラーシーブスに、アルカリ金属元素源および/またはアルカリ土類金属元素源をイオン交換法によりドープした後、乾燥、成形、焼成する方法。
Zを含む触媒は、例えば、アルカリ金属元素源および/またはアルカリ土類金属元素源またはケイ素源と同時に、Z源を添加して上記1)〜4)の方法を用いて調製してもよいし、触媒を調製する途中でZ源を加えて調製してもよい。
触媒の調製で用いるアルカリ金属元素源および/またはアルカリ土類金属元素源は、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素や、それらの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物および塩類(炭酸塩や硝酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、硫酸塩など)などが挙げられる。上記ケイ素源は、酸化ケイ素、ケイ酸、ケイ酸塩類(アルカリ金属ケイ酸塩やアルカリ土類金属ケイ酸塩など)、ケイ素含有モレキュラシーブス(アルミノシリケートやシリコアルミノホスフェートなど)および有機ケイ酸エステルなどが挙げられる。Z源は、B、AlおよびPや、それらの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、塩類(炭酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、硫酸塩など)などが挙げられる。
触媒の焼成温度は、300℃〜1000℃、好ましくは400℃〜800℃の範囲内に設定することが好ましい。さらに得られた触媒は、公知の担体(例えば、アルミナ、シリコンカーバイドなど)に担持または混合させて用いてもよい。
本工程を液相脱水反応で行なう場合、触媒は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸類;スルホン酸などの有機強酸類;ヘテロポリ酸などの無機酸類;活性白土、ケイソウ土、ケイ酸アルミニウム、天然ゼオライト、合成ゼオライトなどの無機イオン交換体類;陽イオン交換基が結合した高分子構造のスチレンとジビニルベンゼンの共重合体やアクリル酸あるいはメタアクリル酸をジビニルベンゼンと共重合させた不溶性樹脂などの有機イオン交換体類などを用いることができる。
反応温度は、30℃未満では反応速度が低下することがあるため、反応温度の下限は、30℃以上、さらには50℃以上、特に80℃以上とすることが好ましい。一方、反応温度が250℃以上になると、副反応が起こり易くなるため、反応温度の下限は、250℃以下、さらには200℃以下、特に180℃以下とすることが好ましい。反応圧力は、反応系の液相を保持できれば、上記気相脱水反応で述べたのと同様な条件を適用することができ、加圧、常圧または減圧のいずれの条件も適用できる。
反応は通常の回分式、半回分式または連続式のいずれの方法を適用してもよい。
また、本反応は、溶剤の存在下および非存在下の何れでも行うことができる。
中でも溶剤の存在下で脱水反応をする場合、用いる溶剤はとして水と共沸しうるものを用いることで、脱水反応によって生成される水を、効率よく反応器外に留去させることができる。このような溶剤としては、具体的にはベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族類;シクロヘキサンなどの脂環式化合物類:n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類などや、これらを組み合わせたものが挙げられる。溶剤の非存在下で脱水反応を行う場合、反応器を窒素、ヘリウムなどの不活性ガスを用いて循環させることで上記生成水を留去することができる。
本工程をレッペ反応で行なう場合、例えば、下記する触媒の存在下で、一般式(1)で表されるアルコール類とアセチレン類とを反応させて行なうことができる。
触媒としては、公知の塩基性触媒を適用することができる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムや水酸化セシウムなどのアルカリ水酸化物、ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、カリウムメタノラートやカリウム−tert−ブタノラートなどのアルカリアルコラートなどが挙げられる。中でも触媒としてアルカリアルコラートを用いることで、副生成物の生成を抑制することができる。アルコラートの製造方法は、特には限定されないが、例えばアルコール類とI.元素状アルカリ金属との反応、II.アルカリ水酸化物との反応および生成する水の除去、III.異なるアルカリアルコラートとの交換反応などによって得ることができる。
触媒の添加量は、原料アルコールに対して0.01〜15質量%、さらには0.02〜12質量%、特に0.05〜10%とすることが好ましい。反応温度は、高いほど反応速度を速めることができるものの、高すぎると、副反応が増加したり、触媒が失活したり、原料アルコールの分圧が増加してアセチレンの分圧が低下し、反応速度が増加しにくくなる場合がある。そのため反応温度は、100〜200℃、さらには130〜180℃、特に150〜170℃とすることが好ましい。圧力は、アセチレンの分圧で換算して、0.1〜3.0MPa、さらには0.5〜2.5MPa、特に1.0〜2.0MPaの加圧下で行なうことが好ましい。アセチレンは、単独で投与してもよいし、窒素やヘリウム、プロパン、一酸化炭素などの不活性ガスで希釈した後に投与してもよい。本工程で用いる反応容器としては、上記の条件を満たすことができれば、通常の気液接触反応で使用しうるものを適用することができる。具体的には充填塔や気泡塔、攪拌槽、スプレー塔、段塔やそれらを適宜組み合わせたものを用いることができる。
さらに反応の際に、脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエンやキシレンなど)、さらにはそれらのハロゲン化物(クロロベンゼンやジクロロベンゼンなど)や、アミド(N−メチル−ピロリドンなど)、エーテル類(テトラヒドロフランなど)、ジアルキルエーテル類(グリコール、ジグリコール、オリゴグリコール、ポリグリコールなど)などを同時に添加してもよい。
(i)の工程で得られた生成物は、主として一方の末端にエーテル結合が形成された化合物であるが、反応生成物の中には、同時に、2箇所以上で新たにエーテル結合が形成された副生成物も多少生成されている。それら副生成物が質量換算で、全単量体に対して、12,000質量ppm以上存在する場合、溶媒中にゲル体が生じることがある。そのため、それら副生成物を質量換算で、全単量体に対して、10,000質量ppm以下、さらには5,000質量ppm以下、特に4,000質量ppm以下であり、殊に3,000質量ppm以下となるように、蒸留するなどの公知の方法を用いて除去する工程を加えることが好ましい。
(ii)(i)で得られた化合物にアルキレンオキシドを付加させる反応
工程(i)で用いた原料アルコール類は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有しており、上記工程(i)で主として一方の末端に存在していたヒドロキシル基からエーテル結合が形成されているが、それ以外の部分にもヒドロキシル基を有している。そこで本工程では、そのヒドロキシ基にエチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加重合させることで、(i)で得られた化合物のオキシアルキレン鎖を伸長させることができる。アルキレンオキシドを付加させる方法は、公知の方法を適用して行うことができる。例えば、アルカリの存在下で、(i)で得られた化合物とアルキレンオキシドとを加熱する方法などが挙げられる。
なお本工程では、(i)で得られた化合物のヒドロキシ基の一部を、ハロゲン化アルキルなどによるアルキル化反応、酸無水物によるエステル化反応、各種イソシアネートによるアミド化反応などで修飾してもよい。
上記工程(i)および(ii)の方法で得られたビニルエーテル単量体は、下記一般式(3);
CH2=CH(OT)n(OR1pH (3)
で表される化合物および/または該化合物の誘導体である。
式中、pはOR1の平均付加モル数を示し、5〜300であり、T、OR1およびnは上記と同じである。
(B)(A)で得られたビニルエーテル単量体を原料とする(共)重合体
上記(A)で得られたビニルエーテル系単量体は、それら同士を重合させて重合体(単独重合体)としてもよいし、それらと下記するエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの間で共重合させて共重合体としてもよい。
本工程で称するエチレン性不飽和カルボン酸エステルとは、その分子構造内に1以上のエチレン結合を有する、直鎖状または分枝状の不飽和カルボン酸エステルであり、所望する共重合体の種類に応じて選択すればよい。具体的には下記のような化合物が挙げられる。
フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル類またはジエステル類;上記アルコールや炭素原子数1〜30のアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル類またはジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルクロトネート、エチルクロトネート、プロピルクロトネートなどの不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのエステル類;炭素原子数1〜30のアルコールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルコキシ(ポリ)アルキレングリコールと、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸類とのエステル類;などが挙げられる。さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの不飽和エステル類;マレイン酸およびその誘導体のエステル類:マレイン酸と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル類;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアミノアルコールとのハーフエステル類;炭素原子数1〜30のアルコールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加させた化合物とマレイン酸とのハーフエステル類;マレイン酸と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル類;なども挙げられる。
さらに本発明の製造方法では、前述のエチレン性不飽和カルボン酸エステル以外に下記する化合物を用いて共重合体を得ることもできる。化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸類およびこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩類;フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類およびこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド類またはジアミド類;(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)ブチレングリコールモノメタクリレートなどの、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸類への炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドの1〜500モル付加物類などが挙げられる。それ以外に、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレートなどの(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸類、およびそれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩;メチル(メタ)アクリルアミドなどの不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどのビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどのジエン類などが挙げられる。
上記以外に、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどの不飽和シアン類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジンなどの不飽和アミン類;ジビニルベンゼンなどのジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレートなどのシアヌレート類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテルなどのアリル類;ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)などのシロキサン誘導体なども挙げられる。さらには、N−ビニルコハクイミド、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニル化合物なども挙げられる。
それ以外に、無水マレイン酸;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド類;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアミノアルコールとのハーフアミド;炭素原子数1〜30のアルコールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加させた化合物の片末端の水酸基をアミノ化した化合物とマレイン酸とのハーフアミド類;マレアミン酸と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;ならびに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩なども挙げられる。一価金属としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属などが好ましく、二価金属としては、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属が好ましい。上記有機アンモニウムは、プロトン化した有機アミンであり、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウムなどのアルカノールアンモニウムや、トリエチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウムなどが好ましい。その場合、マレイン酸やその塩、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類からなる群より選ばれる1種以上の単量体を必須とするのが好ましく、さらには無水マレイン酸またはマレイン酸を必須とするのが好ましい。
そして、(A)で得られた単量体同士、または(A)で得られた単量体と上記エチレン性不飽和カルボン酸系単量体とを、例えば、下記する溶媒および重合開始剤の存在下で反応させて(共)重合体を得ることができる。
重合様式は、溶液重合であってもよく、塊状重合であってもよい。また溶液重合で(共)重合体を得る場合、回分式または連続式の何れの重合様式も適用することができる。重合に用いる溶媒は、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチルなどのエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル化合物などが挙げられる。中でもエチレン性不飽和カルボン酸エステルとして無水マレイン酸エステル類を用いて共重合体を得る場合、酸無水物基の開裂を避けるため、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチルなどのエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン化合物などの不活性溶媒を溶媒として用いるのが好ましい。
重合反応で用いる重合開始剤は、重合条件などに応じて適宜選択すればよいく、その一例を下記する。
(i)溶媒として、水溶性のものを用いる場合
重合開始剤には、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩などのアゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩などの環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチロニトリルなどのアゾニトリル化合物などの水溶性アゾ系開始剤や、それらを組み合わせたものを適用することができる。この場合、亜硫酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩などのFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)などの促進剤(還元剤)や、それらを組み合わせたものを上記重合開始剤と併用して用いることができる。中でも特に、重合開始剤として過酸化水素を用い、促進剤(還元剤)として有機系の還元剤とを組み合わせたものを用いるのが好ましい。上記有機系の還元剤の中では、L−アスコルビン酸(塩)、L−アスコルビン酸エステル、エリソルビン酸(塩)、エリソルビン酸エステルなどが好ましい。
(ii)溶媒として、低級アルコール、芳香族もしくは脂肪族炭化水素、エステル化合物またはケトン化合物を用いて溶液重合を行う場合や、塊状重合を行う場合
重合開始剤としてベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシドなどのパーオキシド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドなどのハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物などがラジカル重合開始剤として用いることができる。この場合、促進剤としてアミン化合物などを併用して用いることも好ましい。
(iii)溶媒として、水と低級アルコールからなる混合溶媒を用いる場合
前述の重合開始剤、又は、重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。
また、上記(i)〜(iii)では、重合開始剤や促進剤以外に、(共)重合体の分子量を調製するために、下記する親水性または疎水性の連鎖移動剤や(メタ)アリルスルホン酸(塩)類などの連鎖移動性の高い単量体や、それらを組み合わせたものを添加して(共)重合することも好ましい。
親水性の連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸などのチオール系連鎖移動剤;イソプロピルアルコールなどの2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウムなど)、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸およびその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなど)の低級酸化物およびその塩;などが挙げられる。疎水性連鎖移動剤としては、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチルなどの炭素原子数3以上の炭化水素基を有するチオール系連鎖移動剤などが挙げられる。中でも、得られた(共)重合体をコンクリートに添加する場合、(共)重合体と共に疎水性の連鎖移動剤を併用することで、コンクリート組成物の粘性を有効に改善させることができる。
重合温度は、用いる溶媒や重合開始剤などにより適宜選択すればよく、一般には0〜150℃の範囲内で行えばよい。反応時のpHは、水溶液中で重合反応を行う場合、pH7以上で行うと、重合率の低下が起こると同時に、重合性が悪くなり分散性能が低下することがある。そのため重合反応は、酸性から中性のpH範囲、さらにはpH6未満、特にpH5.5未満、殊にpH5未満の範囲内で行うことが好ましい。
各単量体の反応容器へ投入は、重合初期に反応容器へ一括して投入してもよいし、全量を反応容器に分割もしくは連続して投入してもよいし、重合初期に一部を反応容器に投入し、残りを反応容器に分割もしくは連続して投入してもよい。重合開始剤や促進剤も、重合初期に反応容器に初めから仕込んでおいてもよいし、重合過程で、滴下して投入してもよく、目的に応じて選択すればよい。
上記重合を溶液重合で行う場合、重合反応を安定に進行させ、所定の分子量を有する(共)重合体を再現性よく得るため、使用する溶媒の25℃での溶存酸素濃度を5ppm以下、さらには0.01〜4ppm、特に0.01〜2ppm、殊に0.01〜1ppmとすることが好ましい。
なお、溶媒に単量体を添加した後に窒素置換などを行う場合には、単量体をも含んだ系の溶存酸素濃度を上記範囲内とすることが好ましい。
上記溶媒の溶存酸素濃度の調製は、重合反応槽で行ってもよく、予め溶存酸素量を調製したものを用いてもよい。また溶媒中の酸素を追い出す方法としては、下記の(1)〜(5)などの方法が挙げられる。
(1)溶媒を入れた密閉容器内に窒素などの不活性ガスを加圧充填した後、密閉容器内の圧力を下げることで溶媒中の酸素の分圧を低くするか、窒素気流下で、密閉容器内の圧力を下げる。
(2)溶媒を入れた容器内の気相部分を窒素などの不活性ガスで置換したまま液相部分を長時間激しく攪拌する。
(3)容器内に入れた溶媒に窒素などの不活性ガスを長時間バブリングする。
(4)溶媒を一旦沸騰させた後、窒素などの不活性ガス雰囲気下で冷却する。
(5)配管の途中に静止型混合機(スタティックミキサー)を設置し、溶媒を重合反応槽に移送する配管内で窒素などの不活性ガスと混合させる。
(C)上記(B)の製造方法で得られた(共)重合体の用途
上記製造方法で得られた(共)重合体は、各種高分子材料、粘着剤、接着剤、塗料、化粧品添加剤ならびにセメントや石膏などの水硬性材料の混和剤などの各種分散剤に用いることができる。中でも上記(共)重合体を分散剤、特にセメント混和剤に含有させる場合、(共)重合体は、取り扱いの面から、水溶液状態で弱酸性以上、さらにはpH4以上、特にpH5以上、殊にpH6以上の範囲内に設定することが好ましい。そのため、上記(B)の重合反応の後、下記のようにして所望のpH値に調製することが好ましい。具体的には、pH値が低い場合には、一価金属又は二価金属の水酸化物や炭酸塩などの無機塩;アンモニア;有機アミン;などのアルカリ性物質などを(共)重合体に添加してpHを調節することができる。逆にpH値が低い場合には、リン酸、硫酸、硝酸、アルキルリン酸、アルキル硫酸、アルキルスルホン酸、(アルキル)ベンゼンスルホン酸などの酸性物質、特にpH緩衝作用がある点などからリン酸を(共)重合体に添加してpHを調節することができる。
また、反応終了後、必要に応じて分子量を調製してもよい。(共)重合体の重量平均分子量は、得られた(共)重合体の用途に応じて適宜調節すればよく、例えば得られた(共)重合体を分散剤として用いる場合、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」とも称する)によるポリエチレングリコール換算で1,000〜500,000、さらには5,000〜300,000、特に10,000〜150,000となるように調節することが好ましい。
得られた(共)重合体を分散剤として用いる場合、消泡剤と併用して使用してもよい。消泡剤としては、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物などのポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物などのポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オールなどのアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステルなどの(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンステアリルリン酸エステルなどのポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン(プロピレンオキシド1〜20モル付加、エチレンオキシド1〜20モル付加物など)、アルキレンオキシドを付加させた硬化牛脂アミン(プロピレンオキシド1〜20モル付加、エチレンオキシド1〜20モル付加物など)などのポリオキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミドなどのオキシアルキレン系の消泡剤や、これらを2種類以上組み合わせたものが挙げられる。添加する割合は、用途に応じて適宜選択すればよく、一般には(共)重合体の全質量に対して、0.0001〜10質量%となるように添加すればよい。
得られた(共)重合体を分散剤として使用する場合、水溶液の形態で使用してもよい。それ以外に、重合後にカルシウム、マグネシウムなどの二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末などの無機粉体に担持して乾燥させたり、ドラム型乾燥装置、ディスク型乾燥装置又はベルト式乾燥装置を用いて支持体上に薄膜状に乾燥固化させた後に粉砕したりすることにより粉体化して使用してもよい。また、その場合、粉体化した本発明の分散剤を予めセメント粉末やドライモルタルのようなセメント組成物に配合し、左官、床仕上げ、グラウトなどに用いるプレミックス製品として使用しても良いし、セメント組成物の混練時に配合してもよい。
本発明の(共)重合体は、分散剤の中でもセメントや石膏など、特にセメントの水硬性材料の混和剤として特に有用である。このような水硬性材料と本発明の製造方法で得られる(共)重合体とを含有し、必要に応じて細骨材(砂など)や粗骨材(砕石など)を配合したものとして、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスターなどが挙げられる。中でも本発明の製造方法で得られる(共)重合体は、水硬性材料としてセメントを含むセメント組成物の混和剤として用いるのが好ましい。セメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩および、それらの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)などが挙げられる。セメントの組成物には、さらに高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末などの微粉体や石膏を添加してもよい。さらに骨材として、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材など以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質などの耐火骨材を配合してもよい。セメント組成物の1m3あたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比(質量比)は、用途に応じて適宜選択すればよく、具体的には単位水量100〜185kg/m3、セメント使用量200〜800kg/m3、水/セメント比=0.1〜0.7、好ましくは単位水量120〜175kg/m3、セメント使用量250〜800kg/m3、水/セメント比=0.2〜0.65とすることができる。
本発明の製造方法で得られる(共)重合体をセメント混和剤として用いる場合、水/セメント比(質量比)=0.15〜0.5(好ましくは0.15〜0.4)の水/セメント比の低い領域(高減水率領域)から、単位セメント量が多く水/セメント比が小さい高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m3以下の貧配合コンクリートに至る幅広い用途で使用することができる。
上記セメントの組成物に対する本発明の製造方法で得られた(共)重合体の配合割合は、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、モルタルやコンクリートなどの混和剤として使用する場合、セメント対する混和剤の質量での配合割合が、固形分換算で0.01%未満や10.0%以上となる場合には、本発明の効果を得ることができないことがある。そのため、セメント対する混和剤の質量での配合割合を、固形分換算で0.01〜10.0質量%、さらには0.02〜5.0質量%、特に0.05〜3.0質量%、殊に0.1〜2.0質量%の範囲にすることで、従来よりも単位水量の低減、強度の増大、耐久性などが向上したセメントを得ることができる。つまり、上記範囲にすることで、得られるセメントは、高減水率領域で高い分散性と分散保持性能を有することができ、低温時には十分な初期分散性と粘性低減性を発揮することができ、優れたワーカビリティを有する。そのため、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリートなどとして好適に用いることができる。それ以外に、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材などの高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートの混和剤としても好適に用いることができる。
また本発明の(共)重合体は、対象となるセメントの特性を阻害しない範囲内で、公知のセメント分散剤と併用することもできる。中でも、セメントの銘柄やロット間でのバラツキが比較的少なく、かつ安定した分散性能を発揮することができる分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)を併用することが好ましい。本発明のスルホン酸系分散剤(S)とは、主にスルホン酸基によってもたらされる静電的反発力によってセメントに対する分散性を発揮することができる分散剤である。上記スルホン酸系分散剤(S)の中でも、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物などのポリアルキルアリールスルホン酸塩系;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物などのメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物などの芳香族アミノスルホン酸塩系;リグニンスルホン酸塩、変成リグニンスルホン酸塩などのリグニンスルホン酸塩系;ポリスチレンスルホン酸塩系などの分子中に芳香族基を有する化合物やそれらを2種類以上組み合わせたものを用いることが好ましい。特に、水/セメント比が高いコンクリートの分散剤として用いる場合、リグニンスルホン酸塩系の分散剤を本発明の(共)重合体と併用して用いることが好ましい。反対に、上記コンクリートよりも高い分散性能が要求される、つまり水/セメント比が中程度のコンクリートの分散剤として用いる場合、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系、芳香族アミノスルホン酸塩系、ポリスチレンスルホン酸塩系などの分散剤を本発明の(共)重合体と併用して用いることが好ましい。
本発明の(共)重合体とスルホン酸系分散剤(S)との配合比率は、固形分換算((共)重合体(A)/スルホン酸系分散剤(S))(質量%)で、1〜99/99〜1、さらには5〜95/95〜5、特に10〜90/90〜10、殊に20〜80/80〜20とすることが好ましい。
本発明の(共)重合体は、上記スルホン酸系分散剤(S)以外に、オキシカルボン酸系化合物(D)と併用して用いることもできる。上記構成を取ることで、高温の環境下での分散保持性能をさらに向上させることができる。そのためオキシカルボン酸系化合物(D)としては、炭素原子数4〜10のオキシカルボン酸もしくはその塩が好ましい。具体的には、グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸、クエン酸や、これらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミンなどの無機塩または有機塩などが挙げられる。中でも、グルコン酸またはその塩を用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、貧配合コンクリートの場合には、分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)としてリグニンスルホン酸塩系の分散剤を用い、オキシカルボン酸系化合物(D)としてグルコン酸もしくはその塩を用いることが好ましい。
本発明の分散剤とオキシカルボン酸系化合物(D)との配合比率((共)重合体(A)/オキシカルボン酸系化合物(D))(質量%)は、固形分換算で、1〜99/99〜1、さらには5〜95/95〜5、特に10〜90/90〜10、殊に20〜80/80〜20とすることが好ましい。
本発明の(共)重合体(A)に、上記スルホン酸系分散剤(S)とオキシカルボン酸系化合物(D)とを併用して用いる場合、本発明の(共)重合体(A)、スルホン酸系分散剤(S)およびオキシカルボン酸系化合物(D)の配合比率((共)重合体(A)/分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)/オキシカルボン酸系化合物(D))(質量%)は、固形分換算で、1〜98/1〜98/1〜98、さらには5〜90/5〜90/5〜90、特に10〜90/5〜85/5〜85、殊に20〜80/10〜70/10〜70とすることが好ましい。
上記以外に、(1)〜(12)に例示する下記の公知のセメント添加剤(材)とも併用して用いることができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩などの不飽和カルボン酸重合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの非イオン性セルロースエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖類のアルキル化又はヒドロキシアルキル化誘導体の一部又は全部の水酸基の水素原子が、炭素原子数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナランなどのβ−1,3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状の区別は問わない)などの微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物など。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキルなどの各種ビニル単量体の共重合物など。
(3)オキシカルボン酸系化合物(D)以外の硬化遅延剤:グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖などの単糖類や、二糖、三糖などのオリゴ糖、又はデキストリンなどのオリゴ糖、又はデキストランなどの多糖類、これらを含む糖蜜類などの糖類;ソルビトールなどの糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリンなどの多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などのホスホン酸及びその誘導体など。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウムなどの可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウムなどの塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウムなどのギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケートなど。
(5)オキシアルキレン系以外の消泡剤:燈油、流動パラフィンなどの鉱油系消泡剤;動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物などの油脂系消泡剤;オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物などの脂肪酸系消泡剤;グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックスなどの脂肪酸エステル系消泡剤;オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類などのアルコール系消泡剤;アクリレートポリアミンなどのアミド系消泡剤;リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェートなどのリン酸エステル系消泡剤;アルミニウムステアレート、カルシウムオレエートなどの金属石鹸系消泡剤;ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサンなどのポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油などのシリコーン系消泡剤など。
(6)AE剤:樹脂石鹸、飽和あるいは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネートなど。
(7)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコールなどの分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコールなどの分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタンなどの分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノールなどの分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミンなどの分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸などの分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシ基を置換基として有してもよい、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドなどの各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤など。
(8)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックスなど。
(9)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛など。
(10)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテルなど。
(11)膨張材;エトリンガイト系、石炭系など。
(12)その他の公知のセメント添加剤(材)、具体的にはセメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤などや、これらを2種以上組み合わせたもの。
上記セメント組成物での、セメントおよび水以外の成分についての特に好適な実施形態として、下記の(1)〜(4)のものが挙げられる。
(1)<1>本発明の分散剤、および<2>オキシアルキレン系消泡剤の2成分を必須とする組み合わせ
オキシアルキレン系消泡剤としては、ポリオキシアルキレン類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類などが使用可能であるが、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類が特に好適である。なお、<2>のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比は、<1>のセメント混和剤に対して0.01〜20質量%の範囲に設定することが好ましい。
(2)<1>本発明の(共)重合体を分散剤として用い、さらに<2>材料分離低減剤を必須成分とする組み合わせ
材料分離低減剤として、非イオン性セルロースエーテル類などの各種増粘剤、部分構造として炭素原子数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物などが使用可能である。なお、<1>のセメント混和剤と<2>の材料分離低減剤との配合質量比は、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。上記構成を取ることで、得られるセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適に用いることができる。
(3)<1>本発明の(共)重合体を分散剤として用い、さらに<2>促進剤を必須成分とする組み合わせ
促進剤として、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウムなどの可溶性カルシウム塩類、塩化鉄、塩化マグネシウムなどの塩化物類、チオ硫酸塩、ギ酸及びギ酸カルシウムなどのギ酸塩類などが使用可能である。尚、<1>のセメント混和剤と<2>の促進剤との配合質量比としては、10/90〜99.9/0.1が好ましく、20/80〜99/1がより好ましい。
(4)<1>本発明の(共)重合体を分散剤として用い、さらに<2>オキシアルキレン系消泡剤および<3>AE剤を必須成分とする組み合わせ
オキシアルキレン系消泡剤として、ポリオキシアルキレン類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類などが使用可能であり、中でもポリオキシアルキレンアルキルアミン類が特に好ましい。なお、<1>のセメント混和剤と<2>の消泡剤の配合質量比は、<1>のセメント混和剤に対して0.01〜20質量%が好ましい。一方、<3>のAE剤の配合質量比は、セメントに対して0.001〜2質量%とすることが好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、特にことわりのない限り、「%」は質量%を、「部」は質量部を表わすものとする。
<実施例1>ヒドロキシエトキシエチルビニルエーテルの気相脱水反応による合成
(触媒調製)硝酸カリウム1.69gを水40gに溶かした液中に、酸化ケイ素30gを加え、湯浴上で加熱混合しながら濃縮乾固した。次いで、空気中120℃で20時間乾燥し、9−16メッシュに破砕後空気中600℃で2時間焼成して、酸素を除く原子比でK1Si10からなる組成の触媒を調製した。
(反応)この触媒10mlを、内径10mmのステンレス製反応管に充填した後、400℃の溶融塩浴に浸漬し、該反応管内にトリエチレングリコールを、その分圧が76mmHgとなるまで窒素で希釈した原料ガスを、トリエチレングリコールの空間速度200h−1で供給し、常圧で反応を行った。供給開始1時間後の反応生成物を、ガスクロマトグラフにより分析した結果、トリエチレングリコールの転化率、ヒドロキシエトキシエチルビニルエーテルの選択率および単流収率はそれぞれ、30モル%、90モル%、27モル%であった。反応混合物から蒸留することにより、ヒドロキシエトキシエチルビニルエーテル(VE−2)を得た。
<実施例2>エチレンオキシド付加(VE−7の合成)
温度計、攪拌機、窒素及び酸素導入管を備えたステンレス製高圧反応器に実施例1で得られたヒドロキシエトキシエチルビニルエーテル(VE−2)を200部、水酸化カリウム0.4部を仕込み、撹拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で120℃まで加熱した。そして、安全圧下(反応器内の窒素分圧の方がエチレンオキシド分圧より常に高くなるような条件)で120℃を保持したままエチレンオキシド部を2.5時間で反応容器内に導入した。さらに、2時間120℃を保持してエチレンオキシド付加反応を完結させ、ヒドロキシエチルビニルエーテルに平均5モルのエチレンオキシドが付加したエチレンオキシド付加物(以下、VE−7と称す)を533部得た。
<実施例3>エチレンオキシド付加(VE−25の合成)
温度計、攪拌機、窒素及び酸素導入管を備えたステンレス製高圧反応器に実施例2で得られた水酸化カリウム含有VE−7を400部仕込み、撹拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で120℃まで加熱した。そして、安全圧下(反応器内の窒素分圧の方がエチレンオキシド分圧より常に高くなるような条件)で120℃を保持したままエチレンオキシド900部を6時間で反応容器内に導入した。さらに、2時間120℃を保持してエチレンオキシド付加反応を完結させ、ヒドロキシエチルビニルエーテルに平均23モルのエチレンオキシドが付加したエチレンオキシド付加物(以下、VE−25と称す)を1300部得た。
<実施例4>末端ヒドロキシル基アルキル化(VEM−2の合成)
マグネティックスターラー及び窒素導入管を備えたガラス製反応器に実施例1で得られたヒドロキシエトキシエチルビニルエーテル23部を室温にてテトラヒドロフランに溶解させ、そこへ水素化ナトリウム5部を少しずつ加えた。全量の水素化ナトリウムを加えた後、ヨウ化メチル30部滴下した。滴下終了後、1時間放置し反応を終結させた。反応終了後、テトラヒドロフランをエバポレーターにてある程度留去した後、トルエンを添加し、析出した不溶の塩をろ別した。得られたトルエン溶液からトルエンを留去することで、VE−2の末端ヒドロキシル基がメチル化されたVEM−2を25部得た。
<実施例5>末端ヒドロキシル基アルキル化(VEM−25の合成)
VE−25を使った以外は、実施例4と同様の操作を行うことでVE−25の末端ヒドロキシル基がメチル化されたVEM−25を得た。
<実施例6>VE−25とアクリル酸との共重合
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、実施例3で得られたVE−25;50部と開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN);0.23部とを仕込み、さらにトルエン;50部を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃に加熱した。
温度が安定した後、アクリル酸のトルエン溶液(50質量%);17.5部を1時間かけて添加し、80℃でさらに2時間反応させた後に重合を終了さて、共重合体(A1)のトルエン溶液を得た。
<実施例7>アクリル酸メチルとの共重合
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、実施例3で得られたVE−25;80部と開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.48部仕込み、さらにトルエン80部を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃に加熱した。次に、アクリル酸メチルのトルエン溶液(50質量%)40部を1時間で添加し、2時間引き続いて80℃に温度を維持した後、重合反応を終了し、共重合体(A2)を含むトルエン溶液を得た。
<実施例8>A2の加水分解
実施例7で得られた共重合体(A2)を含むトルエン溶液;40部に、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液;5部を添加した後、エバポレータにてトルエンを留去した。得られた共重合体を、分子量10,000の透析膜を用いて透析し、共重合体(A3)を得た。
<モルタル試験>
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)600g、ISO基準砂1350g、水道水200g、及び、本発明の共重合体(A1)を用いてモルタルを調製し、そのフロー値を測定した。共重合体(A1)を、セメント重量に対して、固形分で0.12%添加してモルタルを調製したところ、210mmのフロー値を示した。モルタル調製方法、及び、フロー値測定方法は、JIS R5201に示される強さ試験での練混ぜ方法、及び、フロー試験に準じて行った。

Claims (5)

  1. (i)下記一般式(1);
    H(OCH2CH2q(OT)n(OR1mOH (1)
    (式中、Tは同一または異なってもよく、炭素数1〜3のアルキレン基または炭素数6〜9のアリール鎖を表し、OR1は同一または異なってもよく、炭素数2〜18のオキシアルキレン鎖を表し、qは0または1を表し、nは0または1を表し、mはOR1の平均付加モル数を示し、0〜4であり、m+n+qは0ではない。)
    で表される少なくとも2個のヒドロキシル基を有するアルコール類から一般式(2);
    CH2=CH(OT)n(OR1mOH (2)
    (式中、T、OR1、nおよびmは上記と同じであり、m+nは0ではない。)
    で表される化合物を得る工程
    (ii)一般式(2)の化合物にアルキレンオキシドを付加させ、
    一般式(3);
    CH2=CH(OT)n(OR1pH (3)
    (式中、pはOR1の平均付加モル数を示し、5〜300であり、T、OR1およびnは上記と同じ)
    で表される化合物および/または該化合物の誘導体を得る工程
    を含むことを特徴とするビニルエーテル系単量体の製造方法。
  2. 前記工程(i)を、気相脱水反応を用いて行う請求項1に記載のビニルエーテル系単量体の製造方法。
  3. 前記工程(i)と工程(ii)の間に、
    (i)で得られた生成物を精製する工程を加える請求項1または2に記載のビニルエーテル単量体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造方法で得られたビニルエーテル系単量体を重合することを特徴とする重合体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造方法で得られたビニルエーテル系単量体をエチレン性不飽和カルボン酸エステルと重合し、
    得られた重合体を加水分解することを特徴とする重合体の製造方法。
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WO2024002135A1 (zh) * 2022-07-01 2024-01-04 佳化化学科技发展(上海)有限公司 一种炔基醇醚及其制备方法与应用

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