JP2006231146A - 中空糸膜モジュールおよびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来、容器内あるいは開放形で使用する中空糸膜モジュールでは、エアレーションする散気口の位置などが限定されことで中空糸膜間の細部にわたるエアレーションが難しく、大型化した膜モジュールでは汚れの偏在化が起こって長期に安定したろ過運転ができなかった。さらに過度なエアスクラビングの使用方法により中空糸膜に大きなダメージも与えていた。
【解決手段】中空糸膜の両端が接着剤で固定された中空糸膜モジュールであって、前記中空糸膜の一部に閉塞部分を設けて、中空糸膜上端部と中空糸膜下端部分を構成するとともに、前記中空糸膜の両端に開口部を有している中空糸膜モジュールであることが必要であって、前記中空糸膜下端部分のバブルポイント圧力が0.01〜3MPaの範囲にある中空糸膜モジュールが好ましい。さらに原水を中空糸膜上端部分で膜ろ過をすると同時に中空糸膜下端部分の開口部にエアを導入し、中空糸膜上端部分をエアレーションすることを特徴とする中空糸膜モジュールの使用方法によって達成される。
【選択図】図2
【解決手段】中空糸膜の両端が接着剤で固定された中空糸膜モジュールであって、前記中空糸膜の一部に閉塞部分を設けて、中空糸膜上端部と中空糸膜下端部分を構成するとともに、前記中空糸膜の両端に開口部を有している中空糸膜モジュールであることが必要であって、前記中空糸膜下端部分のバブルポイント圧力が0.01〜3MPaの範囲にある中空糸膜モジュールが好ましい。さらに原水を中空糸膜上端部分で膜ろ過をすると同時に中空糸膜下端部分の開口部にエアを導入し、中空糸膜上端部分をエアレーションすることを特徴とする中空糸膜モジュールの使用方法によって達成される。
【選択図】図2
Description
本発明は、中空糸膜モジュールおよびその使用方法に関するものであり、詳しくは精密ろ過および限外ろ過の中空糸膜モジュールの物理洗浄方法に関して、中空糸膜を効率的にエアレーションすることを特徴とする中空糸膜モジュールおよびその使用方法である。
浄水処理などの固液分離に用いられる中空糸膜モジュールには、中空糸膜の両端部を接着剤でポッティング(シール)した後、片方の端部だけを開口する「片端開口型」のモジュールと両端を開口する「両端開口型」のモジュール、中空糸膜をU字形状にして中空糸膜端部の片方だけを開口する「U字型」のモジュール、およびU字形状部分を切断した上で中空糸膜一本づつに単独で封止した状態の「くし型」のモジュールなどが知られている。これらの中空糸膜モジュールのろ過方法としては、中空糸膜の内側から外側に処理原水を流してろ過する内圧式、中空糸膜の外側にある処理原水を内側に流してろ過する外圧式がある。一般的に河川水、湖水などを長期間にわたり膜ろ過を行うと、膜面に懸濁物質などの堆積層を形成して、ファウリングが起こり、ろ過差圧の上昇や透過水量の低下が起こる。そのために膜の洗浄再生を必要として、物理洗浄や薬品洗浄を施している。通常、膜面に付着した堆積した汚れを剥離させる物理的な洗浄方法として、透過水側から原水側に透過水(清澄水)あるいは気体(空気)を圧力下に逆流させる「逆流圧洗浄法」、原水側に気体を導入して膜を揺動させる「エアバブリング法」、ポンプを用いて微細気泡を発生させる「微細気泡洗浄法」、およびスポンジボールを用いる洗浄方法など広く利用されている。かかる物理洗浄方法としては、モジュール容器の下部に設けた孔径2〜10mm程度の散気ノズルにより、処理原水中の中空糸膜をエアバブリングする(特許文献1参照)方法や中空糸膜モジュール下部に設けたエア分散誘導板により、エアバブリング効率を上げる方法が知られており(特許文献2参照)、さらに膜表面に堆積物の付着を抑制する方法として、開放系の処理原水中に中空糸膜モジュールを、常時あるいは間欠的に散気ノズルでエアバブリングするろ過運転方法(特許文献3参照)などが知られている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、散気エア量が増えると容器内の原水のエア呼吸(流)が発生して、原水に上下の脈動が起こり、過度の負荷が上部固定部分の中空糸膜の根元にかかって糸切れが起きやすく、また気泡が粗大化して洗浄効果の小さい部分が生じることがある。また特許文献2に記載の方法では、エア分散誘導板の取り付け位置によりエア散気に偏流が起こり易く、またモジュール構造が複雑化する難点がある。さらに特許文献3に記載の方法では、中空糸膜編織物のシート面に鉛直方向に配設してエア散気するもので、中空糸膜間の細部にわたるエアレーションが難しくなる。近年、膜ろ過プラントが大規模化し、コスト低減のために膜モジュールも大型化する傾向にある。このため中空糸膜の糸束間に堆積した汚れをモジュール外への排出も容易でなくなっており、従来のエアバブリング法では、これら大型膜モジュールの物理洗浄が充分に行えない場合が生じている。
特開2002−273179号公報(〔0008〕〜〔0010〕)
特開平11−33367号公報(〔0006〕)
特開2001−347267号公報(〔0024〕〜〔0025〕)
上述の通り、中空糸膜の糸束間の汚れ物質を確実にモジュール外に排出し、特に大型モジュールにおいても、長期間安定にろ過運転を継続できる中空糸膜モジュールおよびその使用方法を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するための本発明は、中空糸膜の両端が接着剤で固定された中空糸膜モジュールであって、前記中空糸膜の一部に閉塞部分を設けて、中空糸膜上端部分と中空糸膜下端部分を構成するとともに、前記中空糸膜の両端に開口部を有してなることを特徴とする中空糸膜モジュールであることが必要であって、前記中空糸膜下端部分のバブルポイント圧力が0.01〜3MPaの範囲にある中空糸膜モジュールが好ましい。さらに、かかる中空糸膜モジュールを使用する方法として、原水を中空糸膜上端部分で膜ろ過をするとともに、中空糸膜下端部分の開口部にエアを導入し、中空糸膜上端部分をエアレーションすることが好ましい。
本発明の中空糸膜モジュールを容器内あるいは開放形の原水で使用すると、中空糸膜上端部分で膜ろ過をすると同時に中空糸膜下端部分の開口部にエアを導入し、中空糸膜上端部分をエアレーションすることができる。このために中空糸膜上端部分の膜ろ過で起きる固形分の付着、堆積によるファウリングが抑制され、長期に安定したろ過運転が行える。さらに過度なエアバブリングによる中空糸膜のダメージも軽減することができる。
以下に図面を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明が以下の実施態様に限定されるものではない。
図1は本発明で用いる中空糸膜の模式図である。中空糸膜の軸方向の一部に閉塞部分2を有して、中空糸膜1の上端部分3(「中空糸膜上端部分」と称する。)と下端部分4(「中空糸膜下端部分」と称する。)に機能を分割している。
図3は本発明の中空糸膜モジュールの一例を示した概略側面断面図である。容器一体型の中空糸膜モジュール16は、原水供給口15、エアベント13、エア供給口7、及び透過水の集水口8を備えた容器14に多数本の中空糸膜1の両端を接着剤でポッティング固定し、固定上端部5と固定下端部6の一部を切断して中空糸膜内部を開口させた開口面10、11(以下、それぞれ「中空糸膜の開口上端部」、「中空糸膜の開口下端部」と称する。)を有しエア供給口7にエア供給源(図示せず)が接続されている。このモジュールにおいて処理原水を原水供給口15から中空糸膜1の外側に流してろ過する外圧式で使用した場合、処理原水中の汚れは中空糸膜上端部分3の外表面でろ過され、中空糸膜内部には透過水が流れ、中空糸膜の開口上端部10から集水口8から取り出される。中空糸膜を物理洗浄する際には、エアベント13を開いて、エア供給源に接続されたエア供給口7より中空糸膜の開口下端部11に圧縮エアを送気して、容器14内の中空糸膜1の上端部3をエアレーションする。
なお、ここでいう容器14には、ABS樹脂、ポリプロプレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの樹脂製の容器、エポキシ樹脂、ウレンタン樹脂などにガラス繊維、炭素繊維などの強化繊維で補強された繊維強化樹脂製の容器、ステンレスなどの金属製の容器が例示される。加圧型の中空糸膜モジュールとして使用する場合、運転ろ過圧力(耐圧性)や設置スペースなど考慮して、タンク型や容器一体型などから選定されることが好ましい。また、吸引型中空糸膜モジュールとして使用する場合には、中空糸膜を集束して両端が接着剤で固定される部分を支持するものであれば好ましく使用できる。例えばステンレス、アルミ、銅など金属製の金網、あるいはパンチング処理した製品、またポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、エチレン・酢酸ビニル(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリエチレンなどの樹脂製のネットあるいはパンチング処理されたフィルムなどが好ましく用いられる。金網(ネット)の織り組織としては、平織り、綾織りなどで線径が0.03〜2mm程度に空間(隙)率が30〜90%の範囲が好ましく、より好ましくは35〜80%の範囲である。またパンチング処理としては、一般的には円形、四角形であるが異形の処理であって良く、空間(隙)率が30〜90%の範囲が好ましく、より好ましくは35〜80%の範囲である。
こうして、本発明の中空糸膜モジュールでは、中空糸膜の下端部分4から発生する微細化した気泡17の上昇(流)により、中空糸膜上端部分3全体を細部に渡ってエアレーションするものであるから、従来の散気エア量が増えると原水のエア呼吸(流)が発生して、糸の揺動による過度の負荷が中空糸膜の根元にかかることが軽減される。
図2(A),(B)は、図3における中空糸膜モジュールの容器部分を取り外した場合の一例を示した、(A)は概略側面断面図、(B)はX−Xの矢視断面図である。この中空糸膜モジュール12は、多数本の中空糸膜1の両端を接着剤でポッティング固定し、固定上端部5と固定下端部6の一部を切断して中空糸膜内部を開口させた中空糸膜の開口上端部10、中空糸膜の開口下端部11を有して、固定下端部6にエア供給源が接続されたエア供給口7が、他方で固定上端部5の集水口8が設けられ、固定上端部5と固定下端部6の両端を側柱9で支える構造になっている。
本発明の中空糸膜モジュール12より、例えば処理原水を開放形で外圧全ろ過を行う場合、エア供給口7よりエア(気体)を供給して、中空糸膜下端部分4より原水中に散気して中空糸膜1の中空糸膜上端部分3をエアレーションするとともに、中空糸膜上端部分3で原水をろ過して中空糸膜の内側より透過水が集水口8にて取り出される。常時あるいは間欠的に行われるエア供給によって、中空糸膜下端部4の膜面細孔より発生する気泡12の一部が溶け込み、水中不純物(SS)などの吸着度が向上して浮上し易くなることで膜ファウリングが抑制される。また膜全体にエアレーションが行き届くことで膜の再付着が軽減されるために逆洗(エア、洗浄水)が容易になる。
本発明の中空糸膜の下端部分4では、中空糸膜の耐圧性を示すパンク圧力(破裂圧力)を考慮すると、バブルポイント圧力が0.01〜3MPaの範囲にあることが良い。ここでバブルポイント試験は、膜の表面張力と毛管現象により膜細孔中に満たされた液体を押し出すために必要とする圧力を測定することにより(最大)孔径を求めることができ、バブルポイント圧力が膜の孔径に反比例することが知られている。バブルポイント圧力が0.01MPaを超えると、膜面細孔で発生する気泡が10mm以下に微細化する。この微細化されたエアレーション(散気)により、膜面に堆積する汚れの剥離効果や再付着防止効果などが向上する。またバブルポイント圧力が3MPaを下回ることで、実質的な中空糸膜のパンク圧力(破裂圧力)範囲以下に抑えることができる。たとえ中空糸膜の下端部分4が過度なパンク圧力で破断しても、上端部分3(ろ過部分)に原水が流入することがない。また本発明の中空糸膜にあって、バブルポイント圧力や透水性などの膜性能を変化させるために、中空糸膜の上端部分および下端部分のどちらかにコーティング(複合膜化)や熱収縮を施すことであっても良い。
本発明の中空糸膜モジュールの使用方法では、上記のように中空糸膜の上端部分3で膜ろ過を行い、下端部分4でエアを送気してエアレーションする使用方法を提案しているが、例えば上端部分3でろ過による膜閉塞が起こった時に、下端部分4でろ過を行うバックアップとして用いても差し支えない。
また、膜ファウリングを抑制する使用方法として、中空糸膜下端部分4から界面活性剤、凝集剤などの液体を原水中に同時に流して、中空糸膜上端部分3で膜ろ過することであっても良い。中空糸膜下端部分4の有効長は、ろ過性能とエアレーション効果などを考慮する必要があるものの、実質的には中空糸膜全長の2〜50%、好ましくは5〜40%、さらに好ましくは10〜30%の範囲であると、中空糸膜1のろ過とエアレーション効果がバランスするので好ましい。
本発明の中空糸膜モジュールの製造は、通常、ポッティングと呼ばれる公知な方法で中空糸膜の両端を接着剤で固定する。ポッティングでは、接着剤を中空糸膜の間および内部に浸透させるにあたり、静置した状態で行う「静置法」、および遠心力を用いて浸透させる「遠心法」が用いられる。接着剤としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性接着剤を使用するが、接着剤の溶液粘度や発熱反応温度を調整するために無機微粒子などを添加することも良い。
本発明の中空糸膜は、基本的には芯鞘構造の紡糸ノズルを用いた中空糸製膜紡糸法において、紡糸ノズルの鞘部分より製膜原液を押し出しながら、芯部に供給する凝固性流体の流量を任意に変化させ、鞘部分の製膜原液の表面張力と凝固作用により、中空糸の一部に閉塞部分を有する中空糸膜を製造することができる。 (たとえば特開2001−38168号公報〔0016〕〜〔0019〕参照)。本発明における膜素材としては、精密ろ過膜、限外ろ過膜に使用されているものであれば良く。例えばポリアクリルニトリル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルアクリルレート、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、銅アンモニアセルロース、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレンなど挙げることができる。上記膜素材の溶剤としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、デカン、γ−ブチロラクトンなどを例示することができるが、この限りではない。
通常の紡糸方法で得られた中空糸膜に閉塞部分を設ける場合、例えばプレスなどで加圧下に熱融着する「熱融着法」、中空糸膜同士を接着剤で接合(接着)する過程で閉塞部分を設ける「接合法」、中空糸膜の一部分に接着剤を注入して硬化させる「接着剤注入法」などを例示することができる。
本発明における各性能については、下記のとおり評価した。
(1)バブルポイント圧力は、中空糸膜10本(延べ長さ4m)の両端部をアダプターに接着剤でポッティング固定した端部を一部切断し、中空糸膜内部を開口させた評価サンプルを使用して測定した。この評価サンプルを半導体圧力トランジューサーPMS−5(豊田工機社製)、デジタル指示計(豊田工機社製)、および圧力調整弁を組み込んだ装置の端部に装着して、20℃の50%イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に評価サンプルを浸漬させる。この後に中空糸膜内部にエアを送気して、圧力調整弁でエア圧力を緩やかに昇圧しながら、膜サンプルの外表面から最初にバブル(気泡)が発生する圧力(MPa)をデジタル指示計で測定し、バブルポイント圧力とした。
(2)中空糸寸法は、デジタルゲージを取り付けた実体顕微鏡(SMZ型、日本光学製)を使用し、中空糸内径(ID)及び中空糸外径(OD)を測定した。
(3)中空糸膜の透過水量は、長さ20cmの中空糸膜からなるガラス管ミニチュアモジュールを作製し、温度25℃、ろ過差圧20kPaの条件下で、実質的に微粒子などの固形物を含まない純水の外圧全ろ過を行い、その透過水量(リットル)を単位時間(h)および有効膜面積(m2)あたりの値に換算した。単位はリットル/(m2・h)とした。
以下に実施例をもって説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
極限粘度3.0dl/gのポリアクリロニトリル単独重合体をジメチルスルホキシド溶媒に80℃で溶解させ、重合体濃度を10重量%の製膜原液として50℃で保温した。この製膜原液をチューブインオリフィス(環状オリフィス外径1.2mmφ、チューブ外径0.6mmφ、チューブ内径0.3mmφ)の環状スリットに5.1g/分で供給し、チューブより85重量%ジメチルスルホキシド水溶液を3.4g/分と共に、エアギアップ5cmを介して、35℃の20重量%ジメチルスルホキシド水溶液が満たされた凝固浴中に紡出した。この際に紡糸ノズルのチューブに85重量%ジメチルスルホキシド水溶液を24秒間で供給した後、0.5秒間の供給を停止するタイムサイクルを繰り返すように供給を制御した。次いで紡出した中空糸膜を凝固浴中から6m/分で引き出して、50℃からなる水洗浴で脱溶媒を繰り返して、中空糸の一部に閉塞部分を有する中空糸膜を得た。得られた中空糸膜(中空糸膜下端部分のバブルポイント初期圧力=1.05MPa、中空糸膜上端部分の透過水量=120リットル/(m2・h)、外径810μm、内径470μm、閉塞部分の長さ4cm)500本を引き揃えて、中空糸膜の両端部をウレタン接着剤(日本ポリウレタン社製)用いてポッティングを行った。その後、両端のポッティング固定部分の一部を切断して、中空糸膜内部を開口させて集水口キャップを取り付けて、図2に示すような中空糸膜モジュール(ろ過有効長さ60cm、散気有効長さ6cm)を作製した。この中空糸膜モジュールを開放系の被処理液槽に琵琶湖水(原水)が満たされた状態で中空糸膜が鉛直線方向に配設して、中空糸膜の開口上端部口側よりブロワー装置による吸引で50リットル/hrの定流量(膜ろ過流束=0.5m/d)の外圧全ろ過を行った。エアレーションとして、中空糸膜の開口下端部側に接続したリザーブタンクを設け、リザーブタンクに1.8MPa(定圧)圧力下にエア供給源から連続的にエアを供給してろ過運転を行った。その結果、150日間で運転開始のろ過差圧10.5kPa、150日経過後が20.4kPaであり、安定にろ過運転を継続できた。また糸切れは皆無であった。
極限粘度3.0dl/gのポリアクリロニトリル単独重合体をジメチルスルホキシド溶媒に80℃で溶解させ、重合体濃度を10重量%の製膜原液として50℃で保温した。この製膜原液をチューブインオリフィス(環状オリフィス外径1.2mmφ、チューブ外径0.6mmφ、チューブ内径0.3mmφ)の環状スリットに5.1g/分で供給し、チューブより85重量%ジメチルスルホキシド水溶液を3.4g/分と共に、エアギアップ5cmを介して、35℃の20重量%ジメチルスルホキシド水溶液が満たされた凝固浴中に紡出した。この際に紡糸ノズルのチューブに85重量%ジメチルスルホキシド水溶液を24秒間で供給した後、0.5秒間の供給を停止するタイムサイクルを繰り返すように供給を制御した。次いで紡出した中空糸膜を凝固浴中から6m/分で引き出して、50℃からなる水洗浴で脱溶媒を繰り返して、中空糸の一部に閉塞部分を有する中空糸膜を得た。得られた中空糸膜(中空糸膜下端部分のバブルポイント初期圧力=1.05MPa、中空糸膜上端部分の透過水量=120リットル/(m2・h)、外径810μm、内径470μm、閉塞部分の長さ4cm)500本を引き揃えて、中空糸膜の両端部をウレタン接着剤(日本ポリウレタン社製)用いてポッティングを行った。その後、両端のポッティング固定部分の一部を切断して、中空糸膜内部を開口させて集水口キャップを取り付けて、図2に示すような中空糸膜モジュール(ろ過有効長さ60cm、散気有効長さ6cm)を作製した。この中空糸膜モジュールを開放系の被処理液槽に琵琶湖水(原水)が満たされた状態で中空糸膜が鉛直線方向に配設して、中空糸膜の開口上端部口側よりブロワー装置による吸引で50リットル/hrの定流量(膜ろ過流束=0.5m/d)の外圧全ろ過を行った。エアレーションとして、中空糸膜の開口下端部側に接続したリザーブタンクを設け、リザーブタンクに1.8MPa(定圧)圧力下にエア供給源から連続的にエアを供給してろ過運転を行った。その結果、150日間で運転開始のろ過差圧10.5kPa、150日経過後が20.4kPaであり、安定にろ過運転を継続できた。また糸切れは皆無であった。
(比較例1)
実施例1と同じポリアクリロニトリ系中空糸膜500本を用いて、図4に示す様に下端固定部6に直径15mmφのエア供給口7を設けた以外は、図2と同様な中空糸膜モジュールを作製した。この中空糸膜モジュールをエア供給源からエア供給口7に10L/分で連続的に供給して、実施例1と同様に吸引で50リットル/hrの定流量(膜ろ過流束=0.5m/d)の外圧全ろ過を行った。その結果、150日間の運転で開始ろ過差圧10.1kPaが、150日経過後に45.2kPaであった。
実施例1と同じポリアクリロニトリ系中空糸膜500本を用いて、図4に示す様に下端固定部6に直径15mmφのエア供給口7を設けた以外は、図2と同様な中空糸膜モジュールを作製した。この中空糸膜モジュールをエア供給源からエア供給口7に10L/分で連続的に供給して、実施例1と同様に吸引で50リットル/hrの定流量(膜ろ過流束=0.5m/d)の外圧全ろ過を行った。その結果、150日間の運転で開始ろ過差圧10.1kPaが、150日経過後に45.2kPaであった。
実施例1の初期ろ過差圧の上昇が約2倍に推移したのに対して、従来の散気口によるバブリングでは、ろ過差圧の上昇が約4倍になり膜ファウリングに対する抑制効果が低いことが分かった。また、中空糸膜2本の上端部根元部分に欠損(リーク)が見られた。
(実施例2)
ポリフッ化ビニリデン樹脂をγ−ブチロラクトンに150℃で溶解させ、重合体濃度を36重量%の製膜原液として120℃で保温した。この製膜原液をチューブインオリフィス(環状オリフィス外径1.7mmφ、チューブ外径0.7mmφ、チューブ内径0.4mmφ)の環状スリットに6.1g/分で供給し、チューブより85重量%γ−ブチロラクトン水溶液を4.0g/分と共に、エアギアップ5cmを介して、15℃の85重量%γ−ブチロラクトン水溶液が満たされた凝固浴中に紡出した。この際に紡糸ノズルのチューブに85重量%γ−ブチロラクトン水溶液を24秒間で供給した後、0.5秒間の供給を停止するタイムサイクルを繰り返すように供給を制御した。次いで紡出した中空糸膜を凝固浴中から6m/分で引き出して、40℃からなる水洗浴で脱溶媒を繰り返して、中空糸の一部が閉塞部分を有する中空糸膜を得た。得られた中空糸膜(中空糸膜下端部分のバブルポイント初期圧力=0.28MPa、中空糸膜上端部分の透過水量=850リットル/(m2・h))、外径830μm、内径570μm、閉塞長さ4cm)500本を引き揃えて、中空糸膜の両端部をウレタン接着剤(日本ポリウレタン社製)用いてポッティングを行った。その後、両端のポッティング固定部分の一部を切断して、中空糸膜内部を開口させて集水口キャップを取り付けて、図2に示すような中空糸膜モジュール(ろ過有効長さ60cm、散気有効長さ6cm)を作製した。この中空糸膜モジュールを開放系の被処理液槽に琵琶湖水が満たされた状態で中空糸膜が鉛直線方向に配設して、中空糸膜の開口上端部側よりブロワー装置による吸引で460リットル/hrの定流量(膜ろ過流束=1m/d)の外圧全ろ過を行った。エアレーションとして、中空糸膜の開口下端部に接続したリザーブタンクを設け、リザーブタンクに320kPa(定圧)圧力下にエア供給源から連続的にエアを供給してろ過運転を行った。その結果、10日間の運転で開始ろ過差圧7.8kPaが、10日経過後に15.4kPaであった。
ポリフッ化ビニリデン樹脂をγ−ブチロラクトンに150℃で溶解させ、重合体濃度を36重量%の製膜原液として120℃で保温した。この製膜原液をチューブインオリフィス(環状オリフィス外径1.7mmφ、チューブ外径0.7mmφ、チューブ内径0.4mmφ)の環状スリットに6.1g/分で供給し、チューブより85重量%γ−ブチロラクトン水溶液を4.0g/分と共に、エアギアップ5cmを介して、15℃の85重量%γ−ブチロラクトン水溶液が満たされた凝固浴中に紡出した。この際に紡糸ノズルのチューブに85重量%γ−ブチロラクトン水溶液を24秒間で供給した後、0.5秒間の供給を停止するタイムサイクルを繰り返すように供給を制御した。次いで紡出した中空糸膜を凝固浴中から6m/分で引き出して、40℃からなる水洗浴で脱溶媒を繰り返して、中空糸の一部が閉塞部分を有する中空糸膜を得た。得られた中空糸膜(中空糸膜下端部分のバブルポイント初期圧力=0.28MPa、中空糸膜上端部分の透過水量=850リットル/(m2・h))、外径830μm、内径570μm、閉塞長さ4cm)500本を引き揃えて、中空糸膜の両端部をウレタン接着剤(日本ポリウレタン社製)用いてポッティングを行った。その後、両端のポッティング固定部分の一部を切断して、中空糸膜内部を開口させて集水口キャップを取り付けて、図2に示すような中空糸膜モジュール(ろ過有効長さ60cm、散気有効長さ6cm)を作製した。この中空糸膜モジュールを開放系の被処理液槽に琵琶湖水が満たされた状態で中空糸膜が鉛直線方向に配設して、中空糸膜の開口上端部側よりブロワー装置による吸引で460リットル/hrの定流量(膜ろ過流束=1m/d)の外圧全ろ過を行った。エアレーションとして、中空糸膜の開口下端部に接続したリザーブタンクを設け、リザーブタンクに320kPa(定圧)圧力下にエア供給源から連続的にエアを供給してろ過運転を行った。その結果、10日間の運転で開始ろ過差圧7.8kPaが、10日経過後に15.4kPaであった。
(比較例2)
実施例2と同じポリフッ化ビニリデン系中空糸膜500本を用いて、比較例1と同様に下端固定部6に直径15mmφのエア供給口7を設けたモジュールを作製した。この中空糸膜モジュールにエア供給源からエア供給口7に10L/分で連続的に供給される以外は、実施例2と同様に吸引で60リットル/hrの定流量(膜ろ過流束=1m/d)の外圧全ろ過を行った。その結果、10日間の運転で開始ろ過差圧7.9kPaが、10日経過後に38.4kPaであった。実施例2の初期ろ過差圧の上昇が約2倍に推移したのに対して、従来の散気口によるバブリングでは、ろ過差圧の上昇が約4倍になり膜ファウリングの抑制効果が低いことが分かった。また、中空糸膜4本に欠陥ではないものの、糸の揺動によると見られる糸の弛み(伸び)が生じていた。
実施例2と同じポリフッ化ビニリデン系中空糸膜500本を用いて、比較例1と同様に下端固定部6に直径15mmφのエア供給口7を設けたモジュールを作製した。この中空糸膜モジュールにエア供給源からエア供給口7に10L/分で連続的に供給される以外は、実施例2と同様に吸引で60リットル/hrの定流量(膜ろ過流束=1m/d)の外圧全ろ過を行った。その結果、10日間の運転で開始ろ過差圧7.9kPaが、10日経過後に38.4kPaであった。実施例2の初期ろ過差圧の上昇が約2倍に推移したのに対して、従来の散気口によるバブリングでは、ろ過差圧の上昇が約4倍になり膜ファウリングの抑制効果が低いことが分かった。また、中空糸膜4本に欠陥ではないものの、糸の揺動によると見られる糸の弛み(伸び)が生じていた。
1:中空糸膜
2:中空糸膜(閉塞部分)
3:中空糸膜上端部分(ろ過部分)
4:中空糸膜下端部分(散気部分)
5:固定上端部
6:固定下端部
7:エア(気体)供給口
8:集水口
9:側柱
10:中空糸膜の開口上端部
11:中空糸膜の開口下端部
12:中空糸膜モジュール
13:エアベント
14:容器
15:原水供給口
16:容器一体型の中空糸膜モジュール
17:気泡
18:中空糸膜モジュール
2:中空糸膜(閉塞部分)
3:中空糸膜上端部分(ろ過部分)
4:中空糸膜下端部分(散気部分)
5:固定上端部
6:固定下端部
7:エア(気体)供給口
8:集水口
9:側柱
10:中空糸膜の開口上端部
11:中空糸膜の開口下端部
12:中空糸膜モジュール
13:エアベント
14:容器
15:原水供給口
16:容器一体型の中空糸膜モジュール
17:気泡
18:中空糸膜モジュール
Claims (3)
- 中空糸膜の両端が接着剤で固定された中空糸膜モジュールであって、前記中空糸膜の一部に閉塞部分を設けて中空糸膜上端部分と中空糸膜下端部分を構成するとともに、前記中空糸膜の両端に開口部を有してなることを特徴とする中空糸膜モジュール。
- 前記中空糸膜下端部分のバブルポイント圧力が0.01〜3MPaの範囲にある請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
- 原水を中空糸膜上端部分で膜ろ過をするとともに、中空糸膜下端部分の開口部にエアを導入して中空糸膜上端部分をエアレーションすることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュールの使用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005046939A JP2006231146A (ja) | 2005-02-23 | 2005-02-23 | 中空糸膜モジュールおよびその使用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006231146A true JP2006231146A (ja) | 2006-09-07 |
Family
ID=37039374
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005046939A Pending JP2006231146A (ja) | 2005-02-23 | 2005-02-23 | 中空糸膜モジュールおよびその使用方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006231146A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20160146725A (ko) | 2014-04-25 | 2016-12-21 | 도레이 카부시키가이샤 | 제탁막 모듈의 운전 방법 |
CN110711498A (zh) * | 2018-07-12 | 2020-01-21 | 北京耐恩环保科技有限公司 | 辫式中空纤维膜 |
-
2005
- 2005-02-23 JP JP2005046939A patent/JP2006231146A/ja active Pending
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KR20160146725A (ko) | 2014-04-25 | 2016-12-21 | 도레이 카부시키가이샤 | 제탁막 모듈의 운전 방법 |
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