JP2006226854A - 距離設定型光電センサー - Google Patents
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Abstract
【課題】光学系の位置や姿勢を調節する光学部可動機構が設けられた三角測距方式の距離設定型光電センサーにおいて、光学部可動機構の駆動を主制御部の制御によって電動で行う。
【解決手段】距離設定型光電センサーは、対象物に向けて光を投光するための投光部21と、対象物からの反射光を受光する受光素子22を含む受光部と、受光素子22からの信号を処理して受光面における受光スポット位置又は受光量分布の重心位置を求める主制御部33と、受光部の角度を調整する受光部調整機構27と、主制御部33の制御によって受光部調整機構27を駆動する姿勢制御部29とを備える。また、受光部の角度を示す情報を取得して主制御部に与える姿勢情報取得部28とを備え、主制御部33は、姿勢情報取得部28から与えられる情報に基づいて姿勢制御部29を介して受光部調整機構27の自動制御を実行する。
【選択図】図4
【解決手段】距離設定型光電センサーは、対象物に向けて光を投光するための投光部21と、対象物からの反射光を受光する受光素子22を含む受光部と、受光素子22からの信号を処理して受光面における受光スポット位置又は受光量分布の重心位置を求める主制御部33と、受光部の角度を調整する受光部調整機構27と、主制御部33の制御によって受光部調整機構27を駆動する姿勢制御部29とを備える。また、受光部の角度を示す情報を取得して主制御部に与える姿勢情報取得部28とを備え、主制御部33は、姿勢情報取得部28から与えられる情報に基づいて姿勢制御部29を介して受光部調整機構27の自動制御を実行する。
【選択図】図4
Description
本発明は、光を用いた三角測距によって得られる対象物までの距離を測定し、対象物までの距離と基準距離との比較結果である二値信号を出力する距離設定型光電センサーに関する。
この種の光電センサーは、位置センサー又は変位センサーと呼称される場合もあり、光を用いた三角測距によって対象物(以下、ワークという)までの距離を測定する。図1を参照して、この測定原理を簡単に説明する。図1に示すように、センサーヘッド101に発光素子102と受光素子103が所定の間隔で配設されている。発光素子102から投光された光が投光レンズ104を通ってワークWKに投光され、ワークWKで反射した光が受光レンズ105を通って受光素子103に入射する。受光素子103として、一定範囲の受光面を有し、入射光の受光面におけるスポット位置又は光量分布の重心位置を検出可能なPSD(位置検出半導体素子)、CCD(固体撮像素子)等のセンサー素子が使用される。
図1において、ワークWKの位置が破線で示すようにセンサーヘッド101に近づくと、受光素子103に入射する反射光が破線で示すように変化するので、受光素子103の受光面における受光スポット位置又は受光量分布の重心位置が矢印で示すように移動する。ワークWKがセンサーヘッド101から遠ざかる方向に移動すれば受光素子103の受光面における受光スポット位置又は受光量分布の重心位置は矢印と逆の方向に移動する。したがって、受光素子103の受光面における受光スポットの位置又は光量分布の重心位置を検出することによって、ワークWKまでの距離又はその変位を測定することができる。
このような光電センサーは通常、ワークまでの距離を測定して表示すると共に、測定結果と基準距離(予め定めた距離)との比較結果を二値信号として表示し、外部へ出力する機能を有する。また、ワークまでの距離と基準距離との比較結果である二値信号を出力する機能に特化した光電センサー(光電スイッチ)として、二分割PD(フォトダイオード)を受光素子に用いたものがある。二分割PDは、PSDやCCDに比べて安価であること等のメリットがある。二分割PDを用いた従来の距離設定型光電センサーの動作原理を図2に基づいて簡単に説明する。
図2に示すように、二分割PD103は受光面が2つに分割されており、各分割受光面から個別の受光量信号が得られる。一方の分割受光面をN側(Near側)受光面、他方の分割受光面をF側(Far側)受光面という。図2(b)に示すように受光スポットSPがN側受光面とF側受光面との境界に位置するときに両方の分割受光面から同等の受光量信号が得られる。また、図2(a)に示すように受光スポットSPがN側受光面に偏ると、N側受光面から得られる受光量NがF側受光面から得られる受光量Fより大きくなる(N>F)。逆に図2(c)に示すように受光スポットSPがF側受光面に偏ると、F側受光面から得られる受光量FがN側受光面から得られる受光量Nより大きくなる(N<F)。したがって、図2(b)に示す状態を基準距離とすれば、N側受光面とF側受光面から得られる受光量の差が正であるか負であるかに基づいて、ワークWKまでの距離が基準距離より近いか遠いかを示す二値信号を出力することができる。
ところで、距離設定型光電センサーで測定可能な距離範囲は、図1から分かるように、受光素子の受光面の大きさと光学系の定数(発光素子102と受光素子103との間隔や受光レンズの倍率等)によって決まる。ワークの位置が測定可能な距離の範囲から外れると、反射光の受光スポットが受光素子の受光面から外れてしまい測定不可能となる。受光レンズの倍率を大きくすれば、小さな受光素子(受光面)で広い距離範囲をカバーすることができるが、分解能が低下することになる。このため、例えば近距離用の光電センサーと遠距離用の光電センサーとを個別に用意することが従来から行われている。
1台の光電センサーで近距離から遠距離までの広い範囲をカバーする方法の一つとして、例えば特許文献1に開示されているように、光学系の位置や姿勢を調節する光学部可動機構を設ける方法がある。この方法では、センサーヘッド内に例えば受光部の受光軸の角度を変更調節するための機構を設け、ユーザーがトリマーを回転操作することによって受光軸の角度等を変更調節する。その結果、受光素子の受光面における受光スポット位置又は受光量分布の重心位置が移動するので、小さな受光素子で広い距離範囲をカバーすることができる。
また、特許文献1には、トリマーの回転角に対応する目盛りを表示する機構も記載されている。ユーザーは、その目盛りを読み取ることによってトリマーの回転角を知り、ひいては測定対象の距離範囲(又はワークまでの基準距離)の目安を知ることができる。
特開平6−168652号公報
上記の特許文献1に記載されている光電センサーでは、トリマーの回転角に対応する目盛りの表示を読み取ることによってユーザーは測定対象の距離範囲(又はワークまでの基準距離)の目安を知ることができるが、目盛りの数値を距離に換算する必要があり、わかりにくいものであった。また、トリマーの回転角に対応する目盛りを表示するための機構、例えば数値が刻まれた円筒又は円板と表示窓が必要になり、そのためのスペースも必要である。このことは、センサーヘッドの小形化の妨げ要因となっていた。
本発明は、上記のような課題に鑑みて為されたものであり、光学系の位置や姿勢を調節する光学部可動機構が設けられた三角測距方式の距離設定型光電センサーにおいて、光学部可動機構の駆動を主制御部の制御によって電動で行うことをを目的とする。
本発明による距離設定型光電センサーの第1の構成は、対象物に向けて光を投光するための発光素子及び投光レンズと、前記対象物からの反射光を受光するための受光レンズ及び受光素子と、この受光素子からの信号を処理して受光面における受光スポット位置又は受光量分布の重心位置を求めることにより前記対象物までの距離を算出する主制御部とを備えた距離設定型光電センサーにおいて、前記発光素子、前記投光レンズ、前記受光レンズ及び前記受光素子のうちの少なくとも1つを含む光学部の位置又は角度を調整することによって前記受光素子の受光面における受光スポット位置又は受光量分布の重心位置を変更する光学部可動機構と、前記主制御部の制御によって前記光学部可動機構を駆動する姿勢制御部とを設けたことを特徴とする。
このような構成によれば、従来の光電センサーのように光学部可動機構を直接的に手動操作するのではなく、主制御部の制御によって姿勢制御部を介して光学部可動機構を操作するので、ユーザーが光学部可動機構による基準距離の設定を行う際の操作性が改善される。また、自動設定も可能になる。姿勢制御部として、例えば電動モータや他のアクチュエータを用いることができる。
本発明による距離設定型光電センサーの第2の構成は、上記第1の構成において、前記姿勢制御部を介して前記光学部可動機構を駆動することを前記主制御部に指令するためにユーザーが操作する操作スイッチを更に備えていることを特徴とする。このような構成によれば、ユーザーが手動操作によって光学部可動機構を駆動して光学部姿勢の調整(又は微調整)を行うための手段が提供される。つまり、ユーザーは従来の光電センサーのように光学部可動機構を直接的に手動操作するのではなく、操作スイッチ(例えば増減スイッチ)の操作によって主制御部及び姿勢制御部を介して光学部可動機構を操作することができる。
本発明による距離設定型光電センサーの第3の構成は、上記第2の構成において、自動ティーチング又は手動操作によって基準距離を設定するための設定入力部と、前記光学部可動機構によって位置又は角度を変更調整される光学部の姿勢を示す光学部姿勢情報を取得して前記主制御部に与える姿勢情報取得部とを更に備え、前記主制御部が、前記設定された基準距離と前記光学部姿勢情報から得られた現在距離との比較結果に基づいて、前記光学部可動機構による前記光学部の調整方向をユーザーに知らせるための表示を表示部に表示させることを特徴とする。
このような構成によれば、ユーザーは、表示部に表示される記号(例えば+又は−の符号)にしたがって、光学部の調整方向(光学部可動機構を動かすべき方向)、例えば増減スイッチによる増加又は減少の方向を的確に知ることができる。したがって、調整に慣れていないユーザーであっても、容易に基準距離の設定を行うことができる。
本発明による距離設定型光電センサーの第4の構成は、上記いずれかの構成において、前記光学部可動機構によって位置又は角度を変更調整される光学部の姿勢を示す光学部姿勢情報を取得して前記主制御部に与える姿勢情報取得部を更に備え、前記姿勢情報取得部から与えられる前記光学部姿勢情報に基づいて前記主制御部が前記姿勢制御部を介して前記光学部可動機構の駆動制御を行うことを特徴とする。このような構成によれば、例えば設定モードにおいて、主制御部が光学部姿勢情報に基づいて光学部可動機構の自動制御(フィードバック制御)を行うことができる。
本発明による距離設定型光電センサーの第5の構成は上記第4の構成の具体例を示し、自動ティーチング又は手動操作によって基準距離を設定するための設定入力部を更に備え、前記光学部姿勢情報を換算して求めた現在距離と前記設定された基準距離との比較結果に基づいて前記主制御部が前記姿勢制御部を介して前記光学部可動機構の駆動制御を行うことを特徴とする。このような構成によれば、例えば光学部の姿勢によって決まる測定対象の距離範囲を代表する距離(例えば範囲の中心距離)が自動ティーチング又は手動操作によって設定された基準距離となるように前記主制御部が設定モードにおいて光学部可動機構の自動制御を行う。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
図3は、本発明の実施例に係る距離設定型光電センサーの外観を示す斜視図である。この実施例の距離設定型光電センサーは、いわゆるアンプ分離型であり、ヘッド部11とアンプ部12が電気ケーブル13で接続されている。
アンプ部12は薄型直方体形状のケース121を有し、その前端側にはヘッド部11に接続された電気ケーブル13が接続され、後端側には上位の制御装置(PLC等)に接続された電気ケーブル14が接続されている。ケース121の下面122には、DINレール(機器取付用規格レール)に装着するための構造が備えられている。複数のアンプ部12を重ねるように並べてDINレールに取り付けることができ、その際にアンプ部12の側面に設けられたコネクタ123によって隣接するアンプ部12との電気的な接続をとることができる。
アンプ部12の上面には、測定結果の数値表示等に使用される8桁(4桁×2)の7セグメントLEDを用いたディジタル表示器124と、測定距離と基準距離との比較結果を表示するための出力インジケータ(発光ダイオード)125が設けられている。また、基準距離の設定、動作モードや表示モードの切り替え等に使用される複数の押釦スイッチ126〜128が設けられている。これらの押釦スイッチ126〜128やディジタル表示器124等を保護するための透明樹脂製の保護カバー130が設けられ、図3では保護カバー130を開いた状態が示されている。保護カバー130はアンプ部12の後端側上部に設けられたヒンジ部で枢支されており、これを閉じた状態では押釦スイッチ126〜128やディジタル表示器124等を含むアンプ部12の上面パネル(表示・操作パネル)が保護カバー130で覆われるようになっている。
ヘッド部11には投光部及び受光部が内蔵され、投光部の発光素子から発した光LBがヘッド部11の前面からワークWKに向けて投光され、ワークWKからの反射光LB’が受光部の前面から受光素子に入射するように構成されている。図1を用いて既述したように、投光部には投光レンズが含まれ、受光部には受光レンズが含まれている。
図4は本発明の実施例に係る距離設定型光電センサーの回路構成を示すブロック図である。ヘッド部11に内蔵された投光部21には、レーザーダイオード又は発光ダイオードを用いた発光素子とその駆動回路が含まれている。また、受光部は二分割PDを用いた受光素子22を含む。二分割PDは図2を用いて既述したように、受光面がN側受光面とF側受光面とに分割されており、各分割受光面から個別の受光量信号が出力される。なお、図2において、N側受光面から出力された受光量信号をNで示し、F側受光面から得られる受光量信号をFで示している。また、N側受光面から得られた受光量(電圧又はディジタル変換値)をNで表し、F側受光面から得られた受光量をFで表すこともある。
図4に示すように、N側受光面及びF側受光面から出力された受光量信号N及びFはそれぞれの増幅器23及び24を経てアナログ演算部25に入力される。そして、アナログ演算部25から受光量信号Nと、2つの受光量信号の差(受光量差信号という)N−Fとが出力される。これらの信号は信号切替部26に入力される。信号切替部26は、アンプ部12からの切替制御信号にしたがって、受光量信号Nと受光量差信号N−Fを交互に(時分割で)電気ケーブル13に送り出す。信号切替部26に与えられる切替制御信号は、投光部21の制御信号に重畳されてアンプ部12から電気ケーブル13を介して送られる。なお、ヘッド部11に内蔵された受光部調整機構27、姿勢情報取得部28及び姿勢制御部29については後述する。
アンプ部12では、ヘッド部11から電気ケーブル13を介して送られた受光量信号N及び受光量差信号N−Fを信号増幅部31で増幅し、AD変換部32でディジタル値に変換して主制御部33に入力する。主制御部33は、ディジタル値となった受光量N及び受光量差N−Fから他方の受光量Fを復元する。なお、受光量差信号とそれに対応するディジタル値である受光量差についても便宜上、共にN−Fで表す。主制御部33は更に、後述する受光量差の正規化演算処理を行い、その結果得られるディジタル量を表示部34に表示させる。表示部34は、図3に示したアンプ部12の上面パネルに設けられたディジタル表示器124及び出力インジケータ125を含む。
また、アンプ部12には、基準距離の設定(変更調整)等を行うための設定入力部35と投光制御部36が備えられている。設定入力部35は、図3に示したアンプ部12の上面パネルに設けられた押釦スイッチ126〜128を含む。投光制御部36は、主制御部33の指令に基づいて、ヘッド部11の投光部21に対して投光制御信号を与える。また、前述のように、ヘッド部11からアンプ部12へ送られる受光量信号Nと受光量差信号N−Fとを時分割で切り替えるための切替制御信号を投光制御信号に重畳する働きも有する。主制御部33が測定モードで測定したワークWKまでの距離と基準距離との比較結果は、表示部34に含まれる出力インジケータ125に表示されると共に、制御装置(PLC等)に接続された電気ケーブル14へ出力される。
なお、電気ケーブル14を介して行われる外部出力は、2個のインジケータ125(図3参照)に対応する2本の出力線を設けて行ってもよいし、1本の出力線のみでいずれかのインジケータ125に対応する出力を行ってもよい。
図5は、受光量差の正規化演算を説明するためのグラフである。また、図6は、受光量差の正規化演算処理の流れを示すフローチャートである。背景技術の説明で図2を参照しながら述べたように、二分割PDのN側受光面とF側受光面との境界に受光スポットSPが位置するときに両方の分割受光面から同等の受光量信号が得られ、受光量差N−Fがゼロになる。受光スポットSPがN側受光面に偏るとN−Fは正の値になり、受光スポットSPがF側受光面に偏るとN−Fは負の値になる。この様子をグラフで表すと、図5(a)に示す実線又は破線の曲線のようになる。
図5(a)において、実線の曲線41は表面の光の拡散反射率が比較的高いワークWKの場合の特性であり、破線の曲線42は拡散反射率が比較的低いワークWKの場合の特性である。いずれの場合も、光学系の配置によって決まる基準距離Drefでは受光量差N−Fがゼロになる。つまり、このときに受光素子22である二分割PDのN側受光面とF側受光面との境界を中心にして受光スポットSPがN側受光面とF側受光面とに均等に分布している。しかし、基準距離Drefからずれた点では、同じ距離のずれであってもワークWKの表面の光の拡散反射率によっての受光量差N−Fの値が異なる。
また、図5(a)からわかるように、基準距離Drefからずれるにしたがって、受光量差N−Fの絶対値は増加した後に下降に転じる。そして、受光素子22の受光面の範囲内に受光スポットが存在する範囲に相当する距離範囲Rgdの両端でゼロになる。つまり、受光スポットが受光素子22の受光面の両端から外れれば受光量N及びFは共にゼロになるので、受光量差N−Fの値も当然ゼロになる。これらのことから、受光量差N−Fをそのまま相対距離(変位)を表す検出量として使用することはできない。
そこで、本実施例の距離設定型光電センサーでは、主制御部33が受光量差の正規化演算処理を行う。この処理は、基本的には受光量Nと受光量Fとの和(N+F)で受光量差N−Fを割ることによって、ワークWKの表面の光の拡散反射率の影響を除く処理である。更に、受光量N又は受光量Fがゼロに近づいたときに(N−F)/(N+F)の値を強制的に1にする処理を加えている。図6のフローチャートに沿ってこれらの処理について以下に説明を加える。
図6は、図4に示したアンプ部の主制御部33が入力された受光量N及び受光量差N−Fから正規化演算処理を行う過程を示している。まず、ステップ#101において、受光量Nから受光量差N−Fを引く演算によって受光量Fを求める(復元する)。この受光量Fは、後に説明するように、受光量Nと共にディジタル表示器124に個別に表示する場合があるので、得られた受光量Fの値は受光量Nと共に主制御部33内のメモリに保存される。
次のステップ#102において、受光量Nと受光量Fとの和(受光量和)N+Fを算出する。この値についても、ディジタル表示器124に表示する場合があるので、メモリに保存される。続くステップ#103において受光量差N−Fを受光量和N+Fで割って(N−F)/(N+F)を求める正規化演算を実行する。
更に、次のステップ#104において受光量N又はFがゼロ近傍のときの補正処理を行う。これは、受光量N又はFが予め定めたゼロに近い値より小さくなったときに、(N−F)/(N+F)の値を強制的に1又は−1にする処理である。この処理は、受光量N又は受光量Fがゼロに近づいたときに(N−F)/(N+F)の値が不安定になり、(N−F)/(N+F)と距離との関係が一義的に定まらなくなるのを回避するために行われる。なお、受光量N及びFが共に予め定めたゼロに近い値より小さくなったときは、エラー表示を行い、出力を強制オフ又は−1に相当する出力とする。このようにして得られた(N−F)/(N+F)の値は、ステップ#105で主制御部33内のメモリに保存されると共に相対距離(変位)を表す数値としてディジタル表示器124にディジタル表示される。
上記のようにして得られた正規化演算処理結果である(N−F)/(N+F)の値をグラフで表すと図5(b)のようになる。この図では、距離範囲Rgdにおける(N−F)/(N+F)に所定の係数Dを掛けた値D(N−F)/(N+F)が曲線43で表されている。図5(b)から分かるように、距離範囲Rgdのうちの両端部を除いた範囲Rglでは、D(N−F)/(N+F)が略直線的に変化する。この両端部が、図6のステップ#104で(N−F)/(N+F)の値を強制的に1にした範囲に対応している。両端部を除いた範囲Rglでは、D(N−F)/(N+F)と距離との関係が略直線的になるので、この範囲内で基準距離を任意に設定することが可能である。
すなわち、光学系の配置によって決まる受光量差N−Fがゼロになる距離Drefを基準距離として固定する必要はなく、それを含む所定範囲(図5(b)の範囲Rgl)内で基準距離を設定(変更)することができる。この基準距離の変更設定は、主制御部33がソフトウェアでディジタル値として行うことができる。したがって、従来のティーチングと同様にして基準距離を自動設定することができる。
ティーチングによる基準距離の自動設定の一例を図7及び図8に基づいて説明する。図7は、アンプ部12の押釦スイッチ126〜128やディジタル表示器124を含む上面パネルの平面図である。また、図8はティーチングの一例を示すフローチャートである。ティーチングの一例の説明の前に、図7に示す上面パネルの表示や操作について簡単に説明する。
図7において、出力インジケータ125は、既に説明したように、主制御部33が測定モードで測定したワークWKまでの距離と基準距離との比較結果が表示されるLEDである。例えば、ワークWKまでの距離が基準距離より短ければ左側の出力インジケータ125が点灯し、ワークWKまでの距離が基準距離より長ければ右側の出力インジケータ125が点灯する。なお、出力インジケータ125の表示及び外部への出力信号のチャタリングを回避するために、ワークWKまでの距離と基準距離との比較処理には一定のヒステリシス(不感帯)が設けられている。つまり、ワークWKがヘッド部11に対して接近するときと離間するときとでは出力インジケータ125等の切り替わりのタイミングがヒステリシス分だけ異なる。
なお、基準距離を複数設けるようにしてもよい。例えば2個の基準距離を設け(第1基準距離<第2基準距離とする)、次のように比較判断及び表示出力を行ってもよい。なお、この場合の出力インジケータ125の変形例を図12に示す。図12(a)は図3のように2個のインジケータ125(125a及び125b)を設けた例であり、図12(b)は2個のインジケータ125a及び125bの間に第3のインジケータ125cを設けた変形例である。また、図(c)及び(d)は、アンプ部12のインジケータ125と同様のインジケータをヘッド部11の背面又は上面に設けた場合の例を示している。図12(c)及び(d)はそれぞれ図12(a)及び(b)に対応している。まず、ワークWKまでの距離が第1基準距離より小さければ左側のインジケータ125aが点灯し、ワークWKまでの距離が第2基準距離より大きければ右側のインジケータ125bが点灯する。ワークWKまでの距離が第1基準距離と第2基準距離の間にある場合は、図11(a)の例では両方のインジケータ125a及び125bが点灯し、図11(b)の例では第3のインジケータ125cが点灯する。
ディジタル表示器124は8桁の7セグメントLEDであり、上4桁の表示部124Hと下4桁の表示部124Lとに分かれている。これら表示部124H及び124Lを用いて設定モード及び測定モードにおける多様な表示を行うことができる。例えば、測定モードにおいて表示部124Hに基準距離に相当する数値を表示し、表示部124LにワークWKまでの距離の現在値に相当する数値(正規化演算処理後のD(N−F)/(N+F)の値)を表示する。前述の受光量Nと受光量Fとを表示部124Hと表示部124Lとに表示してもよい。あるいは、受光量差N−Fと受光量和N+Fを表示部124Hと表示部124Lとに表示してもよい。
これらの複数の表示モードを押釦スイッチ126又は127で切り替えるようにしてもよい。数値表示だけでなくエラーコードや動作モードの記号等を簡易的に表示することもできる。また、後述するように、受光部調整機構(光学部可動機構)による基準距離の手動設定を行う際にユーザーの助けとなる増減方向の表示や検出余裕度の表示をディジタル表示器124によって行うことができる。
押釦スイッチ126又は127は、表示モードや動作モード(設定モード、測定モード等)の切り替え等に使用される。また、押釦スイッチ128はアップダウンキー(増減キー)であり、設定された基準距離の手動による微調整等に使用される。
図8のフローチャートは、ティーチングの一例をユーザーによる操作の流れとして示している。ステップ#201においてユーザーは、複数種類用意されたティーチングモードの中からティーチングモードAを選択する。この選択は、押釦スイッチ126又は127の押下、またはそれらの組み合わせ押下によって行われる。
次のステップ#202において、ユーザーはワークWKをヘッド部11の前方の第1位置にセットする。この第1位置は、ワークWKの存在を検出すべき近距離側の位置である。このとき、主制御部33はワークWKまでの距離の現在値に相当する数値を求め、ディジタル表示器124の例えば左側表示部124Hに表示させる。この状態で次のステップ#203においてユーザーは設定スイッチ(押釦スイッチ126又は127)を押下する。その結果、ディジタル表示器124に表示された近距離側の位置に相当する数値が固定される。
次のステップ#204において、ユーザーはワークWKをヘッド部11の前方の第2位置にセットする。この第2位置は、ワークWKの存在を検出すべきでない遠距離側の位置である。このとき、主制御部33はワークWKまでの距離の現在値に相当する数値を求め、ディジタル表示器124の例えば右側表示部124Lに表示させる。この状態で次のステップ#205においてユーザーは設定スイッチを押下する。その結果、ディジタル表示器124に表示された遠距離側の位置に相当する数値が固定される。最後にユーザーはディジタル表示器124に表示された第1位置及び第2位置の数値を確認し、決定スイッチ(押釦スイッチ126又は127)を押下する(ステップ#206)。これでティーチングモードAの操作は終了する。主制御部33は第1位置及び第2位置の数値の例えば中間値を求め、これを基準距離として設定する。設定された基準距離はディジタル表示器124の例えば左側表示部124Hに表示される。
上記のように、主制御部33がソフトウェアによって基準距離を設定可能な範囲、つまり、上記のティーチングモードAの操作でユーザーが第1位置及び第2位置を設定できる範囲は、前述のように図5(b)の範囲Rglに相当する。この範囲は、光学系の配置と受光素子22の受光面の大きさによって決まり、比較的狭い範囲に限定されてしまう。そこで、本実施例の距離設定型光電センサーは、受光部の角度を変更することによって図5(a)及び(b)における基準距離Drefを変更する受光部調整機構とそれを駆動する姿勢制御部(図4における27及び29)が備えられている。
図9は、受光部調整機構及び姿勢制御部の構成例を模式的に示す図である。ヘッド部11内には、投光部21と受光部20が内蔵され、投光部21は発光素子211及び投光レンズ212を含む。受光部20は受光素子22と受光レンズ201を含む。この例では、投光部21は位置及び角度が固定されており、受光部20は受光素子22及び受光レンズ201が一体として軸心AX周りに回転可能になっている。受光部20には扇形部材202が固定され、その周縁部には軸心AXを中心とする円弧に沿ってヘリカルギア203が形成されている。また、ヘリカルギア203に噛合するギア206が回転軸に固定された電動モータ(ステッピングモータ又はギアドモータ等)205が設けられている。
電動モータ205とその駆動回路(図示せず)が図4における姿勢制御部29に相当する。また、電動モータ205の回転によって受光部20を軸心AX周りに回転させるためのギア206、ヘリカルギア203及び扇形部材202を含む動力伝達機構が図4における受光部調整機構27に相当する。姿勢制御部29は、アンプ部12の主制御部33によって制御される。
上記のような構造によれば、主制御部33の制御によって姿勢制御部29を介して受光部調整機構27が操作されると、受光部20が軸心AX周りに回転操作される。その結果、ワークWKからの反射光LB’が受光素子22の中心に入射するときの光軸の角度が変化するので、光学系の配置によって決まる基準距離Drefを変更することができる。なお、以降の説明では、光学系の配置によって決まる測定対象の距離範囲を代表する距離(例えば範囲の中心距離である基準距離Dref)を現在距離と呼称し、前述のようにソフトウェアによって変更設定される基準距離(しきい値)と区別することにする。
ユーザーは、図7に示した押釦スイッチ128(増減キー)を用いて、主制御部33に対して受光部20を+側又は−側(図9におけるFR側又はNR側)に単位角度だけ回転させる指令を与えることができる。つまり、押釦スイッチ128は、姿勢制御部29を介して受光部調整機構(光学部可動機構)27を駆動することを主制御部33に指令するためにユーザーが操作する操作スイッチに相当する。
また、受光部20の姿勢、すなわち軸心AX周りの回転角を検出する角度センサー(例えばロータリーエンコーダ)207が設けられ、その出力信号が電気ケーブル13を介してアンプ部12に送られるように構成されている。すなわち、角度センサー207とその出力信号回路(図示せず)が、図4における姿勢情報取得部28に該当する。姿勢情報取得部28から出力される受光部20の姿勢情報は、アンプ部12の主制御部33に入力される。主制御部33は、入力された受光部20の姿勢情報から、現在距離や調整方向等を求める。
図9に示した受光部調整機構27の例では受光素子22及び受光レンズ201を一体として回転操作することによって現在距離を変更するが、受光素子22及び受光レンズ201を一体として平行移動することによっても現在距離を変更することが可能である。つまり、投光部21に対して受光部20を接近又は離間する方向(図9で上下方向)に平行移動すれば、受光素子22の受光面における受光スポット位置が変化するので現在距離が変化する。あるいは、受光素子22又は受光レンズ201を単独で上下方向に移動させても同様に現在距離を変化させることができる。
更に、受光部20の代わりに投光部21の角度や位置を変更した場合も受光素子22の受光面における受光スポット位置が変化し、現在距離が変化することがこれまでの記述から明らかであろう。つまり、受光素子22の受光面における受光スポット位置又は受光量分布の重心位置を変更することによって現在距離を変更するには、発光素子211、投光レンズ212、受光レンズ201及び受光素子22のうちの少なくとも1つを含む光学部の位置又は角度を調整する光学部可動機構を設ければよい。図9に示した受光部調整機構27は、この光学部可動機構の一例に過ぎない。例えば、受光部20及び投光部21の角度が同時に互いに逆方向に変更されるように構成すれば、特に光を正反射する表面(鏡面)を有するワークWKの検出に際して好ましい。
また、上記の例における角度センサー207とその出力信号回路である姿勢情報取得部28の構成についても種々の変更が可能である。つまり、光学部可動機構によって変化する光学部の位置又は角度に相当する光学部姿勢情報を取得して主制御部33に与える姿勢情報取得部28は、光学部可動機構の構成に応じて、公知の各種センサーを用いて構成することが可能である。例えば光学部(の一部)を平行移動させる光学部可動機構の場合は、静電容量センサー等を用いた距離センサーによってその距離情報を取得すればよい。
次に、主制御部33が姿勢情報取得部28から得た受光部の姿勢情報(光学部姿勢情報)を用いて行う表示等の制御について図10を参照して説明する。図10は、本実施例の距離設定型光電センサーにおいて主制御部33が実行する設定モード等の処理のフローチャートである。主制御部33が実行する設定モードの一部及び測定モードの処理が図10のフローチャートに示されている。
図10のステップ#301において主制御部33は、設定モードであるか測定モードであるかを判断する。設定モードである場合は、次のステップ#302で主制御部33は、姿勢情報取得部28から受光部姿勢情報(光学部姿勢情報)を取得する。続くステップ#303で主制御部33は、受光部姿勢情報を現在距離に換算する。この換算は、予め用意され記憶されているルックアップテーブルを参照することによって行われる。あるいは、定数の加算及び比例係数の乗算等による演算によって受光部姿勢情報から現在距離を求めてもよい。
次のステップ#304において、主制御部33は現在距離と基準距離との比較を行い、調整方向(受光部調整機構27によって受光部を回転させるべき方向)を決定する。例えば、現在距離と基準距離との差が正であれば調整方向も正と判断する。これは、現在距離が基準距離より長いので、現在距離が短くなる方向(図9における矢印NRの方向)に受光部20を回転させるべきでることを意味する。また、基準距離は、前述のティーチング等によってソフトウェアで設定され、測定モードで測定結果と比較されるしきい値に相当する。
次のステップ#305において、主制御部33は上記のステップで求めた調整方向の表示を行う。例えば、図7に示した2個の出力インジケータ125のいずれか一方を点灯することによって調整方向(+又は−)を表示させればよい。あるいは、ディジタル表示器124を用いて調整方向を記号(例えば+又は−の符号)として表示してもよい。このとき、調整方向の表示だけでなく、現在距離をディジタル表示器124に表示させてもよい。現在距離と基準距離との差を表示させてもよい。
ユーザーは、ディジタル表示器124や出力インジケータ125に表示される調整方向(及び現在距離等)の表示を参考にしながら、前述のように押釦スイッチ128(増減キー)を用いて、主制御部33に対して受光部20を単位角度だけ回転させる指令を与えることができる。すなわち、増減キー128が押されると(ステップ#306のYes)、主制御部33は次のステップ#307で受光部20を単位角度だけ回転させるように、姿勢制御部29に対して制御信号を出力する。なお、増減キー128の増加(アップ)側が押下されたか減少(ダウン)側が押下されたかによって、受光部20を回転させる方向が逆になる。この後、設定モードの次の処理に移行する。現在距離を基準距離に合わせる設定が完了すれば、ユーザーは押釦スイッチ126又は127を用いて設定モードから測定モードに切り替える。
ステップ#301において測定モードであると判断されると、次のステップ#308で主制御部33はワークWKまでの距離を測定する。この測定は、図5に示したように受光量差の正規化演算後の値D(N−F)/(N+F)が距離に応じて略直線的に変化する範囲Rglで行われる。続くステップ#309において、主制御部33は測定結果と基準距離との比較を行い、ワークWKまでの距離が基準距離より近いか遠いかを判断する。比較結果は前述のように制御装置(PLC等)に接続された電気ケーブル14へ出力される(ステップ#310)と共に表示部34に含まれる出力インジケータ125に表示される(ステップ#311)。この後、動作終了(ステップ#312のYes)まで測定モードの処理が繰り返される。
次に、第2の実施例における受光部20の角度の自動設定について図11のフローチャートを参照しながら説明する。この実施例において主制御部33は、姿勢情報取得部28から得た情報を換算して求めた現在距離と基準距離との比較結果に基づいて姿勢制御部29を介して受光部調整機構27の駆動制御(自動制御)を行う。
図11において、ステップ#401からステップ#403の処理については、図10に示したステップ#301からステップ#303の処理と同じである。続くステップ#404において主制御部33は、現在距離と基準距離とを比較し、両者の差(誤差)Eを算出する。次のステップ#405において、誤差Eが所定値(許容誤差)εより大きいか否かがチェックされ、大きい場合は次のステップ#406へ移行する。
ステップ#406において主制御部33は、誤差Eに基づく操作量、すなわち、受光部20の回転方向及び回転角度を算出する。誤差Eの符号(+又は−)に応じて回転方向が決まり、誤差Eの絶対値に応じて回転角度が決まる。次のステップ#407において、主制御部33は操作量に基づいて受光部20の回転操作を行うための制御信号を姿勢制御部29に与える。この後、設定モードの次の処理に移行する。
ステップ#405で誤差Eが許容誤差ε以下である場合は、設定完了と判断され、測定モードの開始が可能になる。したがって、誤差Eが許容誤差ε以下になるまで、ステップ#406及びステップ#407の処理が毎回実行されることになる。誤差Eが許容誤差ε以下になれば、設定完了を示す表示が表示部34(ディジタル表示器124)に表示されるので、ユーザーは押釦スイッチ126又は127を用いて設定モードから測定モードに切り替える。ステップ#401において測定モードであると判断されたときのステップ#408からステップ#412の処理は、図10に示したステップ#308からステップ#312の処理と同様である。
この別実施例では、ユーザーが増減キー128を用いて主制御部33に指令を与えなくても、主制御部33が自動的に現在距離を基準距離に近づけるように、受光部20の回転制御を行う。このようなフィードバック制御は、主制御部33の制御信号にしたがって受光部調整機構27の駆動制御を行う姿勢制御部29と、受光部20の回転角度(現在距離)を検出する姿勢情報取得部28の働きによって可能となる。
次に、第3の実施例における主制御部等の処理の例について図13のフローチャートを参照しながら説明する。ステップ#501において主制御部33は、設定モードであるか測定モードであるかを判断する。設定モードである場合は、ステップ#502以下の処理が実行され、設定モードでない場合はステップ#510以下の測定モードの処理が実行される。
設定モードでは、まずステップ#502で1点ティーチングか否かがチェックされる。1点ティーチングである場合はステップ#503で1点ティーチングが実行され、1点ティーチングでない場合はステップ#504で2点ティーチングが実行される。
1点ティーチングの処理の例を図14のフローチャートに示す。1点ティーチングでは、ワークWKを検出したい位置に置き、ワークまでの距離を検出する。この距離に対して所定量(又は所定割合)の減算を行って得られる値を第1基準距離とし、所定量(又は所定割合)の加算を行って得られる値を第2基準距離とする。また、検出した距離を姿勢目標距離とする。上記の所定量(又は所定割合)は予め定めた固定値でもよいし、ユーザーが設定、変更できるようにしてもよい。また、算出すべき距離は1回分のデータでもよいし、複数か取り込んだデータを平均処理してもよいし、ある幅を持たせてもよい。図14において、ステップ#601では設定スイッチの入力状態の監視を行い、ステップ#602で入力があれば、次のステップ#603で距離算出処理を実行する。続くステップ#604で、算出された距離から上記のようにして第1基準距離、第2基準距離及び姿勢目標距離を算出する。
次に、2点ティーチングの処理の例を図15のフローチャートに示す。2点ティーチングでは、ワークWKを検出したい位置に置き、ワークまでの距離を検出する。検出された距離を第1距離とする。続いて、ワークWKを検出したくない位置へ移動し、ワークまでの距離を検出する。検出された距離を第2距離とする。第1距離と第2距離との間の値を基準距離とし、姿勢目標距離についても同様に、第1距離と第2距離との間の値とする。また、算出すべき距離は1回分のデータでもよいし、複数か取り込んだデータを平均処理してもよいし、ある幅を持たせてもよい。図15において、ステップ#701では設定スイッチの入力状態の監視を行い、ステップ#702で入力があれば、次のステップ#703で第1距離の算出処理を実行する。ワークWKを移動させた後にステップ#704で設定スイッチの入力状態の監視を行い、ステップ#705で入力があれば、次のステップ#706で第2距離の算出処理を実行する。続くステップ#707で、算出された第1距離及び第2距離から基準距離及び姿勢目標距離を算出する。
上記のように、1点ティーチング又は2点ティーチングによって基準距離と姿勢目標距離が得られる。基準距離は測定モードで使用される、いわゆる、しきい値である。姿勢目標距離は、受光部姿勢を最適な状態に調整する際の目標距離である。
図13のフローチャートに戻って、ティーチングの後のステップ#505において、姿勢目標距離と受光面位置目標値からルックアップテーブルによって目標姿勢値を算出する。受光面位置目標値とは、姿勢目標距離にワークWKがあると仮定したときに、ワークWKからの反射光の受光面における受光スポットの目標位置を示す値である。例えば受光素子22が二分割PDの場合は、2個の分割受光面の境界が最も分解能が良くなるので、この位置が受光面における受光スポットの目標位置に適している。この場合の受光面位置目標値はゼロとなる(前述のように、受光素子22の受光面上での位置に関連する値は(N−F)/(N+F)である)。
次のステップ#506において、姿勢情報取得部28から受光部姿勢情報(光学部姿勢情報)が取得される。続くステップ#507で受光部姿勢情報が目標姿勢値となるように受光部が駆動される。更に、ステップ#508で受光部姿勢情報を取得し、続くステップ#509で受光部姿勢情報が目標姿勢値と一致したか否かチェックされる。一致するまでステップ#506からステップ#509までの処理が繰り返される。この後、次の処理へ移行する。
また、ステップ#510以下の測定モードの処理では、まずステップ#510で距離算出処理が実行される。図16に距離算出処理のフローチャートを例示する。ステップ#801において受光部姿勢情報の更新タイミングか否かが判断され、更新タイミングである場合は次のステップ#802で受光部姿勢情報が取得される。次のステップ#803において(N−F)/(N+F)の更新タイミングか否かが判断され、更新タイミングである場合は次のステップ#804で受光量N及び受光量Fが取得される。
次のステップ#805において、受光素子22の受光面上での位置に関連する値(N−F)/(N+F)が算出され、続くステップ#806でルックアップテーブルにより(N−F)/(N+F)を受光部姿勢情報に基づいて距離に換算する。ワークWKまでの距離が異なっていても、受光部の姿勢によっては(N−F)/(N+F)が同一になる場合があり得る。受光部の姿勢が決まれば(分かれば)、ワークWKまでの距離は(N−F)/(N+F)から一意に決まる。したがって、上記のルックアップテーブルとして、受光部姿勢情報と受光素子22の受光面上での位置に関連する値(N−F)/(N+F)とを引数として距離が求められる二次元のテーブルを予め用意しておけばよい。
図13に戻って、次のステップ#511において、測定結果と基準距離との比較を行い、ワークWKまでの距離が基準距離より近いか遠いかを判断する。比較結果は前述のように制御装置(PLC等)に接続された電気ケーブル14へ出力される(ステップ#512)と共に表示部34に含まれる出力インジケータ125に表示される(ステップ#513)。この後、次の処理へ移行する。
次に、第4の実施例における主制御部等の処理の例について図17のフローチャートを参照しながら説明する。この実施例は、受光部姿勢情報の取得手段が無い場合の実施例である。1点ティーチングの場合に、ワークWKを所望の位置にセットして受光部を可動範囲内で往復駆動(スキャン駆動)する。受光量N+Fが最大となる位置、又は(N−F)/(N+F)がゼロとなる位置、又は(N−F)/(N+F)がユーザにより予め定められた値になる位置で往復駆動を停止し、その状態で第1基準距離と第2基準距離とを設定する。
図17において、ステップ#901で設定モードであるか測定モードであるかが判断される。設定モードである場合は、ステップ#902以下の処理が実行され、設定モードでない場合はステップ#910以下の測定モードの処理が実行される。
設定モードでは、設定スイッチの入力状態の監視を行い(ステップ#902)、入力が有ると(ステップ#903のYes)、受光部のスキャン駆動を開始する(ステップ#904)。続くステップ#905で(N−F)/(N+F)と受光面位置目標値とを比較し、両者が一致すれば光学部スキャンを停止する(ステップ#907)。次のステップ#908で第1基準距離及び第2基準距離の算出を行う。続くステップ#909で設定モード終了か否かをチェックし、終了すれば次の処理に移行する。
また、ステップ#910以下の測定モードの処理は、図13のフローチャートにおけるステップ#510以下の処理と同様である。すなわち、ステップ#910で距離算出処理を実行し、次のステップ#911で測定結果と基準距離との比較を行い、ワークWKまでの距離が基準距離より近いか遠いかを判断する。次のステップ#912で比較結果の外部出力を行い、ステップ#913で表示出力を行う。
なお、設定モードで受光部を往復駆動(スキャン駆動)することは、受光部姿勢情報の取得手段がある場合にも、広検出範囲で高分解能の検出が実現できる点で有効である。この場合は、受光部姿勢情報の取得手段から受光部姿勢情報を取得して距離算出を行いながらスキャン駆動を行うことによって、ワークWKの位置を距離で把握することが可能になる。
また、測定モードでスキャン駆動すると応答速度が低下するので、測定モードではスキャン駆動を行わないほうがよいが、応答速度が問題にならない場合は測定モードでもスキャン駆動を行ってもよい。但し、受光部姿勢情報を用いて距離算出を実行しながらスキャン駆動を行うことが必要である。この場合に、検出範囲が非常に広いセンサーが実現できる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例の構成に限らず種々の構成で実施することができる。例えば、図3に示したようなヘッド部11とアンプ部12が電気ケーブル13で接続されたアンプ分離型の光電センサーに限らず、ヘッド部とアンプ部とが1つの筐体に内蔵されたアンプ一体型の光電センサーにも本発明を適用することができる。また、本実施例では受光素子22として二分割PDを用いているが、PSDやCCDを受光素子22として用いた構成にも本発明を適用することができる。また、上記の実施例で示した構成の一部を除いて実施することも可能である。
22 二分割PD(受光素子)
27 受光部調整機構(光学部可動機構)
28 姿勢情報取得部
33 主制御部
34 表示部
124 ディジタル表示器(表示部)
125 出力出力インジケータ(表示部)
201 受光レンズ
211 発光素子
212 投光レンズ
WK ワーク(対象物)
27 受光部調整機構(光学部可動機構)
28 姿勢情報取得部
33 主制御部
34 表示部
124 ディジタル表示器(表示部)
125 出力出力インジケータ(表示部)
201 受光レンズ
211 発光素子
212 投光レンズ
WK ワーク(対象物)
Claims (5)
- 対象物に向けて光を投光するための発光素子及び投光レンズと、前記対象物からの反射光を受光するための受光レンズ及び受光素子と、この受光素子からの信号を処理して受光面における受光スポット位置又は受光量分布の重心位置を求めることにより前記対象物までの距離を算出する主制御部とを備えた距離設定型光電センサーであって、
前記発光素子、前記投光レンズ、前記受光レンズ及び前記受光素子のうちの少なくとも1つを含む光学部の位置又は角度を調整することによって前記受光素子の受光面における受光スポット位置又は受光量分布の重心位置を変更する光学部可動機構と、
前記主制御部の制御によって前記光学部可動機構を駆動する姿勢制御部とを備えていることを特徴とする距離設定型光電センサー。 - 前記姿勢制御部を介して前記光学部可動機構を駆動することを前記主制御部に指令するためにユーザーが操作する操作スイッチを更に備えていることを特徴とする
請求項1記載の距離設定型光電センサー。 - 自動ティーチング又は手動操作によって基準距離を設定するための設定入力部と、前記光学部可動機構によって位置又は角度を変更調整される光学部の姿勢を示す光学部姿勢情報を取得して前記主制御部に与える姿勢情報取得部とを更に備え、前記主制御部が、前記設定された基準距離と前記光学部姿勢情報から得られた現在距離との比較結果に基づいて、前記光学部可動機構による前記光学部の調整方向をユーザーに知らせるための表示を表示部に表示させることを特徴とする
請求項2記載の距離設定型光電センサー。 - 前記光学部可動機構によって位置又は角度を変更調整される光学部の姿勢を示す光学部姿勢情報を取得して前記主制御部に与える姿勢情報取得部を更に備え、前記姿勢情報取得部から与えられる前記光学部姿勢情報に基づいて前記主制御部が前記姿勢制御部を介して前記光学部可動機構の駆動制御を行うことを特徴とする
請求項1,2又は3記載の距離設定型光電センサー。 - 自動ティーチング又は手動操作によって基準距離を設定するための設定入力部を更に備え、前記光学部姿勢情報を換算して求めた現在距離と前記設定された基準距離との比較結果に基づいて前記主制御部が前記姿勢制御部を介して前記光学部可動機構の駆動制御を行うことを特徴とする
請求項4記載の距離設定型光電センサー。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080201 |
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Effective date: 20100824 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20101221 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |