JP2006223198A - 転移酵素による化合物ライブラリーおよびその製造方法 - Google Patents

転移酵素による化合物ライブラリーおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、迅速かつ容易に構築される構造が明らかな化合物ライブラリーの製造方法、および該製造方法によって製造される化合物ライブラリーを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の化合物ライブラリーは、同一容器内で作製する化合物ライブラリーの製造方法であって、(1)1種またはそれ以上の供与体基質、受容体基質、および転移酵素を混合し;(2)インキュベートすることにより転移率が1%−99%になるように転移反応を行い;そして(3)転移反応を停止することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、同一容器内で転移酵素を用いて迅速かつ容易に製造される化合物ライブラリーおよびその製造方法に関する。
生体の高次調節機構の解明において、生体分子間の相互作用や生体分子の構造と機能との相関を調べることは非常に重要である。生体の組織や細胞に微量にしか発現しないような核酸、タンパク質を抽出し、これらの配列情報や三次元構造を迅速かつ簡便に同定することは、分子構造から分子機能を推定しようとするバイオインフォマティックスの分野、あるいは発現したタンパク質を網羅的に解析していこうとするプロテオミクスの分野において重要な課題である。
高次調節機構を制御する生体分子としては、核酸、タンパク質、ペプチドの他、複合糖質等がある。例えば、細胞において遺伝子発現後に翻訳されたタンパク質の諸機能は、種々のプロテアーゼによる活性化、各種の転移酵素による糖鎖付加、硫酸化、リン酸化、アシル化などによる活性調節など、翻訳後の様々な修飾によって調節を受けている。また、生体内におけるタンパク質の約50%以上が、糖鎖を結合した形で存在し、糖鎖が糖タンパク質の構造および機能を制御する役割を果たしていると言われている。さらに、糖鎖自身も上述したように硫酸化、リン酸化、アシル化等、または新たな糖残基の付加によって糖鎖の機能も調節されている。
ところが、修飾されたタンパク質、ペプチド、糖鎖等の機能を解析する場合、各分子における修飾は一様ではなく、同一の分子において複数の修飾がなされることは頻繁である。したがって、このような修飾された分子の不均一性により、分子間の相互作用や分子の構造と機能との相関を詳細に解析することは非常に困難であるばかりか、このような研究において対象とされる修飾された複数の分子を同時に入手することは困難である。
今日、多くの生理活性ペプチドが知られている。こうしたペプチドのアミノ酸配列と生理活性との関係を調べることは極めて重要であるが、生体内で観察される翻訳後に修飾されたペプチドを用いて生理活性を詳細に検討した研究例は少ない。このような研究において、各種の修飾されたペプチドのライブラリーを入手することができれば、スクリーニングによって得られる特定のペプチドの生理活性を詳細に検討することにより、アミノ酸配列と生物活性等との関係を容易に解析することが可能になるばかりでなく、所望の活性を有する修飾ペプチドの探査も実現する。
一方、糖タンパク質や糖鎖の研究分野においも同様であり、糖鎖部分も様々な修飾を受け、糖転移酵素、糖鎖分解酵素、糖鎖合成酵素等の糖鎖伸長に関与する酵素、あるいは上述した硫酸化、リン酸化、アシル化等に必要な転移酵素が生体内で発現し、特定の時間と特定の場所で複数の酵素が受容体基質に作用し、多種の糖残基が付加される。このような糖鎖への修飾は、タンパク質のリン酸化カスケードに見られるような重要な機構であると言える。
例えば、タンパク質への糖鎖の付加については、糖鎖は、タンパク質またはペプチドのセリン/スレオニン残基に結合するO結合型糖鎖、およびアスパラギン残基に結合するN結合型糖鎖に大別され、糖鎖を構成する糖残基の種類、数、および結合様式により糖鎖構造のバリエーションとして存在する。このような糖鎖構造は、前記の糖転移酵素等によって、糖タンパク質の発現過程において精密に制御されている。また、糖鎖への硫酸化は、硫酸基の供与体である3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸(PAPS)から硫酸転移酵素によって触媒される受容体基質へ硫酸基の転移することであるが、様々な生物現象に関与していることが明らかになってきた。このように修飾された糖鎖の構造解析や糖鎖そのものがバイオテクノロジーや医療分野に応用される可能性は大きい。しかしながら、生体内で発現する糖鎖はごく微量であるため、糖鎖の修飾の重要性を解析することを含め、糖鎖研究に使用される種々の糖鎖または糖鎖ライブラリーを入手することは困難である。
これまで、糖鎖または糖鎖ライブラリーの供給方法としては、固相合成をベースとしたコンビナトリアル化学合成法(非特許文献1−4参照)や液相合成をベースとしたコンビナトリアル化学合成法(非特許文献5−9参照)が知られている。
固相または液相をベースとするコンビナトリアル化学合成法には、手法の違いによって、スプリット・コンバインライブラリー合成法(Split and Combine Library Synthesis)、化合物アレイの平行合成法(Parallel Synthesis of Compound arrays)、1ポットグリコシレーション法(One−Pot Glycosylation)が例示される。しかしながら、これらの方法は、主に有機化学合成を用いるものであり、糖残基の特定の位置に新たに糖残基を導入する場合には、予め糖供与体基質または糖受容体基質の各水酸基に適切な保護基を導入するため、各合成過程における保護基の導入/脱保護の工程が必要不可欠である。仮に、保護基を有さない受容体基質を用いた場合(ランダムグリコシド合成など)でも、生成物に立体異性体および位置異性体の混合物が多数混在することになり、それらの精製あるいは構造決定は容易ではない。
また、従来の酵素または化学−酵素合成法は、主として化学合成によって調製した糖受容体基質を用い、分解酵素の逆反応を利用した糖の付加または糖転移酵素による逐次合成を行うものである。例えば、糖残基が数個である糖鎖を合成する場合には、それぞれ1種の糖受容体基質、糖供与体基質、および糖転移酵素を混合し、該基質への糖の転移が100%進行した後に回収・精製した生成物を次の反応の糖受容体基質として使用され、別種の(又は同一の)糖転移酵素による転移反応により糖鎖伸長を行うことを基本とする。しかしながら、このような酵素合成法では、所望の糖鎖構造を得るためには、数多くの反応、回収、及び精製という複雑な工程を必要とし、さらに糖鎖ライブラリーを構築するためには、個別に調製した糖鎖を寄せ集めなければならない。また、市販等により使用可能な糖転移酵素の種類も限られるため、糖鎖ライブラリーに含まれる糖鎖構造の種類は極めて制限される。
さらに、有機合成によらない細胞による糖鎖ライブラリーを調製する方法としては、バイオコンビナトリアル合成法が知られている(非特許文献10参照)。この手法は、糖鎖の生合成経路の前駆体となる糖鎖構造を模倣した糖鎖プライマーを糖転移酵素反応の人工的な基質として使用するものである。具体的には、糖鎖プライマーを細胞内に導入し、細胞が有する糖鎖生合成経路を利用した糖鎖伸長により様々なオリゴ糖を得ることができる。細胞の種類によって生合成経路が異なるため、使用する糖鎖プライマーと細胞との組み合わせを変えることによって糖鎖ライブラリーを構築する。しかしながら、細胞内での糖転移酵素等の様々な糖鎖関連酵素の発現は、細胞の培養条件の僅かな変化によっても発現時期や発現量が異なる。また、糖鎖伸長は、個々の細胞が有する生合成経路に依存するため、糖鎖構造のバリエーションを自在に構築することが困難なだけでなく、生成物の精製、または異性体の分離及びそれらの構造決定も容易ではない。このため、バイオテクノロジーや医療分野に応用される糖鎖ライブラリーの安定供給が望まれる。
一方、本発明者らの研究グループは、糖鎖伸長または糖鎖修飾に不可欠であり、しかも入手困難な多種類の糖転移酵素や硫酸転移酵素を同定し、さらにこれらの遺伝子構造についても明らかにしている。具体的には、本研究グループでは、コアタンパク質やペプチド配列のセリン、スレオニン残基の水酸基にN−アセチルガラクトサミンをα1結合で転移する活性を有するN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)転移酵素として、ppGalNAc−T10(非特許文献11参照)、T12(非特許文献12参照)、T13(非特許文献13参照)、T14(非特許文献14参照)、T15(非特許文献15参照)、T16、T17、およびT18(特許文献1参照)を同定している。なお、上記ppGalNAc−T16、T17、およびT18は、各々、特許文献1におけるGalNAc−T11、T16、およびT15に対応する。また、本研究グループは、上記とは異なる受容体基質、例えば、グルクロン酸やN−アセチルグルコサミンにN−アセチルガラクトサミンを転移するN−アセチルガラクトサミン転移酵素も同定している(非特許文献16−22参照)。
さらに、本研究グループは、N−アセチルグルコサミンにガラクトースを転移する活性を有するガラクトース転移酵素として、β3GalT5(非特許文献23参照)を同定している。また、ガラクトースにN−アセチルグルコサミンを転移する活性を有するN−アセチルグルコサミン転移酵素として、β3GnT2、T3、T4(非特許文献24参照)、β3GnT5(非特許文献25参照)も同定している。さらに、硫酸転移酵素としては、ヘパラン硫酸3−O−硫酸転移酵素(非特許文献26参照)も同定している。
したがって、上述したように、多種の糖転移酵素や硫酸転移酵素を安定供給できる利点を生かし、さらに各転移酵素について基質特異性を明確にしたことにより、特定の構造を有する糖鎖ライブラリーを構築することができる。
さらに、このような転移酵素は、糖鎖伸長または糖鎖修飾に限定されず、タンパク質、ペプチド、脂質等の各種化合物への糖鎖付加や、硫酸基、リン酸基、アシル基を導入した構造を有する化合物ライブラリーの構築にも利用することができる。また、本発明の化合物ライブラリーの構築は、in vitroにおける転移酵素等の基質特異性の解析により、生体内での遺伝子発現後の修飾機構を解明する手がかりとなることが期待できる。
国際公開WO03/057887 Liang,R.et al.,Science,274,1520−1522(1996) Kahne,D.,Curr.Opin.Chem.Biol.,1,130−135(1997) Meldal,M.,Methods Enzymol.,289,83−104(1997) Hilaire,P.M.et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,39,1162−1179(2000) Kanie,O.,et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,34,2720−2721(1995) Ding,U.,et al.,Bioorg.Med.Chem.,4,683−692(1996) Wong,C.H.et al.,J.Am.Chem.Soc.,120,7137−7138(1998) Zhang,Z.et al.,J.Am.Chem.Soc. ,121,734−753(1999) Takahashi,T.,et al.,Tetrahedron Lett.,41,2599−2603(2000) 佐藤智典ら、「蛋白質 核酸 酵素」、第48巻、p.1213−1219(2003) Cheng,L.et al.,FEBS Lett.,531,115−121(2002) Guo,J.M.et al.,FEBS Lett.,524,211−218(2002) Zhang,Y.et al.,J.Biol.Chem.,278,573−584(2003) Wang,H.et al.,Biochem.Biohys..Res.Commun.,300,738−744(2003) Cheng,L.et al.,FEBS Lett.,566,17−24(2004) Gotoh,M.et al.,J.Biol.Chem.,277,38179−38188(2002)(1) Gotoh,M.et al.,J.Biol.Chem.,277,38189−38196(2002)(2) Sato,T.et al.,J.Biol.Chem.,278,3063−3071(2003) Sato,T.et al.,J.Biol.Chem.,278,47534−47544(2003) Yada,T.et al.,J.Biol.Chem.,278,30235−30247(2003) Yada,T.et al.,J.Biol.Chem.,278,39711−39725(2003) Gotoh,M.et al.,FEBS Lett.,562,134−140(2004) Isshiki,S.et al.,J.Biol.Chem.,274,12499−12507(1999) Shiraishi,N.et al.,J.Biol.Chem.,276,3498−3507(2001) Togayachi,A.et al.,276,22032−22040(2001) Mochizuki,H.et al.,278,26780−26787(2003) Gindzienski,A.et al.,Eur.J.Biochem.43,155−160(1974) Hinderlich,S.et al.,Eur.J.Biochem.,267,3301−3308(2000) Haritos,A.A.et al.,Biochim.Biophys.Acta.,873,335−339(1986) Shi,W.X.et al.,Glycobiology,8,199−205(1998) Shen,Y.et al.,383,307−317(2002)
本発明の目的は、迅速かつ容易に構造が明らかな化合物ライブラリーを作製することができる新規な化合物ライブラリーの製造方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、前記方法によって製造される化合物ライブラリーを提供し、およびこれらの利用を提供することである。
本研究グループは、基質特異性を利用した転移反応を利用し、転移反応が完全に終了する前に、さらに同一の又は異なる転移反応を行うことによって、迅速かつ容易に構造が明らかな多種の構成成分を有する化合物ライブラリーを調製できることを見出し、本発明を完成させた。さらに、化合物ライブラリーに含まれる構成成分の組成比などを簡便に測定することができることが判明した。
すなわち、本発明は、同一容器内で作製する化合物ライブラリーの製造方法であって、(1)1種またはそれ以上の供与体基質、受容体基質、および転移酵素を混合し;(2)インキュベートすることにより転移率が1%−99%になるように転移反応を行い;そして(3)転移反応を停止することを含む、前記化合物ライブラリーの製造方法を提供する。
本発明の方法の技術的特徴を一態様として、転移酵素として糖転移酵素、供与体基質として糖供与体基質、及び受容体基質として糖受容体基質を用いた場合の糖鎖ライブラリーの製造方法を例に説明する。例えば、スキーム1に示すように、出発物質として糖受容体基質であるβ4Gal−コア2を用い、各種の糖供与体基質と糖転移酵素を添加して逐次転移反応を行う場合に、各反応段階では未反応の糖受容体基質を残存させることによって、計4回の糖転移反応から8個の異なる糖鎖構造を有する糖鎖ライブラリーを構築できる。
スキーム1をより具体的に説明する。出発物質のβ4Gal−コア2を糖A、反応後に糖が転移された後の糖鎖を糖B、糖C等によって表記すると、スキーム1の第1段目の反応は、UDP−N−アセチルノイラミン酸(白星)(供与体基質)、糖A(受容体基質)、およびN−アセチルノイラミン酸転移酵素(ST3Gal IV)(転移酵素)を混合し、所定温度で所定時間、転移反応させる。この場合、糖転移(反応)率を100%にしないことにより、出発物質の糖AとN−アセチルノイラミン酸が転移された糖Bが生成される。さらに、第2段目の反応は、糖Aと糖B(反応物)に、UDP−N−アセチルグルコサミン(黒四角)(供与体基質)とN−アセチルグルコサミン転移酵素(β3GnT2)(転移酵素)を混合し、所定温度で所定時間反応させることによって、第1段目の反応と同様に糖転移率を100%未満にすることにより、基質特異性に基づいて、糖A、糖C、糖Bの3種の異なる糖鎖構造を有する化合物ライブラリーが得られる。同様に、第4段目までの反応を行うことによって、1種の出発物質(糖A)から8種の糖鎖構造を得ることができる。ここで、従来の酵素合成法と比較してみると、従来法では、糖転移率を100%進行させることを本質とするため、スキーム1の例では、たとえ同じく第4段目まで反応を行ったとしても、スキーム1の最下段の右端の出発物質(糖A)にN−アセチルノイラミン酸(白星)およびフコース(白三角)が結合した糖鎖しか得られない。このように、例えば、糖鎖を有する化合物を出発物質とし、糖転移酵素および糖供与体基質を用いた場合には、複数の糖鎖構造を有する糖鎖ライブラリーを迅速かつ容易に得ることができる。さらに、糖鎖、糖転移酵素、糖供与体基質に限定せず、その他の出発物質、転移酵素、供与体基質を用いることによって、多種の構造を含む化合物ライブラリーを製造することができるため、本発明は、このような化合物ライブラリーの供給に優れた手法となることが理解されるであろう。
本発明の一態様において、工程(1)において使用する供与体基質および転移酵素と同種または異種の供与体基質および転移酵素を使用し、工程(1)−(3)を繰り返す工程をさらに含んでもよい。この場合、工程(3)において転移反応を停止させた後の生成物は、更なる工程(1)の受容体基質となる。工程(1)−(3)の繰り返しは、所定の構造を含む化合物ライブラリーが得られるまで何回でも行うことができ、当業者であれば、繰り返し回数は目的に応じて決定することができる。好ましくは1回以上、より好ましくは1−50回、さらにより好ましくは1−10回、なおより好ましくは1−8回、最も好ましくは1−6回である。
本発明の一態様において、本発明の化合物ライブラリーの製造方法では、転移酵素による転移の反応率が100%に達していなくてもよい。すなわち、各成分の構造が異なる化合物ライブラリーを製造するためには、むしろ転移反応が100%に達する前に反応を停止させ、未反応の受容体基質が残存することが好ましい。転移反応を停止するには、好ましくは約1%−約99%、より好ましくは約5%−約95%、さらに好ましくは約10%−約90%、さらにより好ましくは約20%−約80%、なおより好ましくは約30%−約70%、さらになおより好ましくは約40%−約60%、最も好ましくは約50%に転移率が達したときである。工程(3)において反応率が50%となるように転移反応を停止させた場合、化合物ライブラリーに含まれる各成分の量が最も均一となることは容易に理解される。
本発明の一態様において、本発明の化合物ライブラリーの製造方法では、ライブラリー構築の途中段階の混合物を別のライブラリー構築のための出発物質とすることも可能である。
本発明の一態様において、本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用する各転移酵素の順番は、限定されないが、当業者であれば、特定の構造を有する化合物ライブラリーを製造するために、転移酵素の基質特異性を考慮して、転移酵素の種類を選択し、これらの添加順序を選択することができる。これとは反対に、転移酵素の基質特異性を利用して、特定の構造を含まない化合物ライブラリーを製造することもできる。
本発明の一態様において、本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用される転移酵素は、N−アセチルノイラミン酸転移酵素、フコース転移酵素、N−アセチルグルコサミン転移酵素、N−アセチルガラクトサミン転移酵素、ガラクトース転移酵素、グルコース転移酵素、グルクロン酸転移酵素、マンノース転移酵素、キシロース転移酵素、硫酸転移酵素、リン酸転移酵素、アシル基転移酵素が例示されるが、これらに限定されない。
本発明の一態様において、本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用される受容体基質は、転移酵素がその基質特異性に基づいて供与体基質から糖残基、硫酸基、リン酸基、アシル基等の置換基を転移することができるものであれば、特に限定されてない。好ましくは、糖受容体基質、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、それらの修飾体、より好ましくは、糖受容体基質、ペプチド、さらにより好ましくは糖受容体基質である。さらに、糖受容体基質は、好ましくは、糖ペプチド、糖タンパク質、単糖、糖鎖、糖脂質、タンパク質、ペプチド、それらの修飾体、より好ましくは、糖ペプチド、糖タンパク質、糖鎖、それらの修飾体、さらにより好ましくは糖ペプチド、糖鎖、それらの修飾体である。
本発明の一態様において、本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用される供与体基質は、糖ヌクレオチド、ドリコールリン酸−糖、3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホ硫酸(PAPS)、アデノシン三リン酸(ATP)、アセチル−CoAが例示される。
本発明によれば、本発明の化合物ライブラリーを製造する方法によって製造される化合物ライブラリーが提供される。
本発明の一態様において、化合物ライブラリーの各成分の構造がそれらの分子量から特定されることを特徴とする化合物ライブラリーが提供される。各成分の構造を分子量から測定する方法は、質量分析法、電気泳動法、ゲルろ過法が例示される。
本発明によれば、本発明の化合物ライブラリーを用いるチップが提供される。チップに使用される化合物は、本発明の化合物ライブラリーの製造方法によって得られる化合物である。本発明の一態様においては、化合物ライブラリーに含まれる各成分を分離・精製して使用することができる。また、本発明の一態様においては、化合物ライブラリーに含まれる各成分を分離・精製せずに使用することもできる。
以下、本発明の説明のために、好ましい実施形態に関して詳述する。
1.転移酵素
(1)糖転移酵素
糖転移酵素は、糖受容体基質(例えば、糖ペプチド、ペプチド)に糖供与体基質(例えば、糖ヌクレオチド)から糖残基の転移を触媒するタンパク質である。触媒反応を反応式で記載すると、
糖受容体基質+糖1ヌクレオチド⇔糖1−糖受容体基質+ヌクレオチド・・・式(A)
になる。式(A)において糖1が転移された生成物「糖1−糖受容体基質」は、さらに次の反応の糖受容体基質となる。例えば、糖2を転移する糖転移酵素と糖2ヌクレオチドを用いて反応させた場合には、反応が100%進行した場合、糖2−糖1−糖受容体基質として得られる。
上述のように、本発明者らの研究グループは、種々の基質特異性を有するN−アセチルガラクトサミン転移酵素、ガラクトース転移酵素、N−アセチルグルコサミン転移酵素、フコース転移酵素、グルクロン酸転移酵素、硫酸転移酵素をコードする遺伝子のクローニングに成功している。
(a)N−アセチルガラクトサミン転移酵素
N−アセチルガラクトサミン転移酵素は、糖受容体基質にN−アセチルガラクトサミン残基の転移を触媒するタンパク質である。これまでに、糖を有しない受容体基質であるセリン/スレオニンの水酸基にN−アセチルガラクトサミンを転移するヒトのN−アセチルガラクトサミン転移酵素としては、18種類が知られている。本研究グループは、pp−GalNAc−T10、T12、T14、T15、T16、T17、およびT18をコードする遺伝子を単離し、それぞれの塩基配列および推定アミノ酸配列を決定している(特許文献1参照)。これらN−アセチルガラクトサミン転移酵素をコードする核酸の塩基配列、推定アミノ酸配列、基質特異性、および組織における発現分布に関しては、特許文献1に開示される。なお、pp−GalNAc−T10は、特許文献1において開示するGalNAc−T13に該当し、pp−GalNAc−T12はGalNAc−T14、pp−GalNAc−T14はGalNAc−T12、pp−GalNAc−T15はGalNAc−T17、pp−GalNAc−T16はGalNAc−T11、pp−GalNAc−T17はGalNAc−T16に該当し、およびpp−GalNAc−T18はGalNAc−T15に該当する(表1参照)。その他全てのN−アセチルガラクトサミン転移酵素については、表1に記載の先行技術文献に開示されている。
また、本研究グループは、N−アセチルガラクトサミン転移酵素ではあるが、上記とは異なる糖受容体基質、例えば、グルクロン酸やN−アセチルグルコサミンにN−アセチルガラクトサミンを転移する糖転移酵素も同定している(非特許文献16−22参照)。
なお、上記のN−アセチルガラクトサミン転移酵素は、セリン/スレオニン、グルクロン酸、またはN−アセチルグルコサミンを有するものを糖受容体基質とするが、本発明の糖鎖ライブラリーの製造方法においては、N−アセチルガラクトサミンを転移するN−アセチルガラクトサミン転移酵素である限り、特に限定されない。
(b)ガラクトース転移酵素
本研究グループは、N−アセチルグルコサミンにガラクトースの転移を触媒するガラクトース転移酵素として、β3GalT5を同定している(非特許文献23参照)。なお、これらのガラクトース転移酵素は、N−アセチルグルコサミンを有するものを糖受容体基質とするが、本発明の糖鎖ライブラリーの製造方法においては、ガラクトースを転移するガラクトース転移酵素である限り、特に限定されてない。
(c)N−アセチルグルコサミン転移酵素
本研究グループは、ガラクトースへのN−アセチルグルコサミンの転移を触媒するN−アセチルグルコサミン転移酵素として、β3GnT2、T3、T4(非特許文献24参照)、β3GnT5(非特許文献25参照)を同定している。なお、これらのN−アセチルグルコサミン転移酵素は、N−アセチルグルコサミンを有するものを受容体基質とするが、本発明の化合物ライブラリーの製造方法においては、N−アセチルグルコサミンを転移するN−アセチルグルコサミン転移酵素である限り、特に限定されない。
(d)その他の糖転移酵素
本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用される糖転移酵素としては、上記の糖転移酵素以外に、限定されないが、N−アセチルノイラミン酸転移酵素、フコース転移酵素、グルクロン酸転移酵素、グルコース転移酵素、マンノース転移酵素、キシロース転移酵素が例示される。これらの糖転移酵素の一部には市販されているものもあり入手可能なものもある。
なお、一般に、糖転移酵素のような生理活性を有するタンパク質において、そのアミノ酸配列のうち、1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ酸配列に1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加された場合であっても、該生理活性が維持されることがあることは周知である。また、天然産のタンパク質の中には、それを生産する生物種の品種の違いや、生態型(ecotype)の違いによる遺伝子の変異、あるいはよく似たアイソザイムの存在等に起因して、1から複数個のアミノ酸変異を有する変異タンパク質が存在することは知られている。したがって、糖転移酵素のうちアミノ酸配列が既に明らかになっているものについては、そのアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ酸配列に1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、上記の転移活性を有する糖転移酵素も本発明の範囲に含まれる。
(2)その他の転移酵素
本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用される転移酵素としては、上記の糖転移酵素以外に、限定されず、供与体基質から受容体基質へ置換基を転移できる任意の転移酵素が含まれる。このような転移酵素には、硫酸転移酵素、リン酸転移酵素、アシル基転移酵素が例示される。
(a)硫酸転移酵素
硫酸転移酵素は、硫酸基の供与体基質である活性硫酸(3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸:PAPS)から受容体基質の水酸基、アミノ基、チオール基に硫酸基を転移する反応を触媒する。タンパク質の翻訳後修飾においては、アミノ酸残基のチロシンの側鎖の水酸基に硫酸基が導入され、タンパク質の活性を制御している。また、糖鎖における硫酸化は、特に、グリコサミノグリカンにおいて多様である。硫酸化グリコサミノグリカンは二糖の繰り返し構造であり、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸が例示される。例えば、コンドロイチン硫酸は、グルクロン酸残基とN−アセチルガラクトサミン残基を基本とし、硫酸転移酵素の種類に応じて硫酸化される部位が異なる。
本発明の化合物ライブラリーの製造方法においては、硫酸基を転移する硫酸転移酵素である限り、特に限定されない。好ましくは、チロシン硫酸化酵素、コンドロイチン硫酸転移酵素、ヘパラン硫酸N−硫酸転移酵素、ヘパラン硫酸O−硫酸転移酵素、ケラタン硫酸転移酵素、デルマタン・コンドロイチン硫酸2−硫酸転移酵素、βガラクトース3−O−硫酸転移酵素、NHK−1硫酸転移酵素、ガラクトース・N−アセチルガラクトサミン・N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素(GSTs)、N−アセチルガラクトサミン4−O−硫酸転移酵素、より好ましくは、βガラクトース3−O−硫酸転移酵素、NHK−1硫酸転移酵素、N−アセチルグルコサミン6−O−硫酸転移酵素、N−アセチルガラクトサミン4−O−硫酸転移酵素である。硫酸転移酵素については、例えば、Hand book of Glycosyltransferase and Related Genesに記載される。
(b)リン酸転移酵素
リン酸転移酵素(ホスホトランスフェラーゼ、キナーゼ)は、リン酸供与体(例えば、アデノシン5’−三リン酸)から受容体基質の水酸基にリン酸基を転移する反応を触媒する。タンパク質の翻訳後修飾においては、アミノ酸残基のチロシン、セリン、スレオニンの側鎖の水酸基にリン酸基が導入され、タンパク質の活性を制御している。また、糖鎖におけるリン酸化は、各種の代謝経路において顕著に見られる。例えば、グルコースからグルコース6−リン酸を合成する経路では、ヘキソキナーゼが関与する。
本発明の化合物ライブラリーの製造方法においては、リン酸基を転移するリン酸転移酵素である限り、特に限定されない。好ましくは、チロシンキナーゼ、セリン−スレオニンキナーゼ、ヘキソキナーゼ、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、より好ましくはヘキソキナーゼ、N−アセチルグルコサミンキナーゼである。リン酸転移酵素については、例えば、非特許文献27−29に記載される。
(c)アシル基転移酵素
アシル基転移酵素は、アシル基の供与体基質であるアセチル−CoAから受容体基質のカルボキシル基、水酸基、アミノ基、チオール基にアシル基を転移する反応を触媒する。特に、アシル基転移酵素は、ステロイド、脂肪酸の代謝に関与している。また、タンパク質の翻訳後修飾においては、アミノ酸残基のアスパラギン酸、グルタミン酸の側鎖のカルボキシル基にアシル基が導入され、タンパク質の活性を制御している。また、糖鎖におけるアシル化は、さまざまな生物学的過程を調節するための枢軸的な役割を果たすことが知られている。例えば、非還元末端側に結合したシアル酸の4位の水酸基にアセチル基を転移する反応ではシアル酸4−O−アセチル転移酵素が関与する。
本発明の化合物ライブラリーの製造方法においては、アシル基を転移するアシル基転移酵素である限り、特に限定されない。好ましくは、ステロールO−アシル基転移酵素、シアル酸4−O−アセチル転移酵素、シアル酸7−(9)−O−アセチル転移酵素、ガラクトースO−アセチル転移酵素、より好ましくは、シアル酸4−O−アセチル転移酵素、シアル酸7−(9)−O−アセチル転移酵素、ガラクトースO−アセチル転移酵素である。アシル基転移酵素については、例えば、非特許文献30及び31に記載される。
本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用できるいずれの転移酵素も、上記の特徴を有する限り、その起源、製法等は限定されない。すなわち、転移酵素は、天然産のタンパク質、遺伝子工学的手法により組換えDNAから発現されたタンパク質、あるいは化学合成タンパク質の何れでもよい。転移酵素は、その起源となる生物種は限定されないが、好ましくは、動物由来、微生物由来、植物由来、より好ましくは、哺乳動物由来、大腸菌由来、酵母由来、古細菌由来、さらにより好ましくは、ヒト由来、ラット由来、マウス由来、アフリカツメガエル由来、ハムスター由来、サル由来、さらによりなお好ましくは、ヒト由来、ラット由来、マウス由来である。
さらに、本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用される転移酵素には、遺伝子工学的手法により転移酵素を改変し、基質特異性を増加または減少させた転移酵素の改変体も含まれる。このような改変体の構築は、当業者であれば、周知の手法を用いて行うことができる。
2.受容体基質および供与体基質
(1)受容体基質
受容体基質への転移反応、即ち、糖鎖付加、硫酸化、リン酸化、アシル化等は、置換基の種類に応じた各転移酵素が触媒となって各種の置換基を受容体基質に転移することによって行われる。例えば、転移酵素がN−アセチルガラクトサミン転移酵素である場合には、N−アセチルガラクトサミン残基は、受容体基質として、少なくともタンパク質やペプチド中のセリン/スレオニンの水酸基、グルクロン酸、およびN−アセチルグルコサミンに基質特異的に転移されることが知られている。
本明細書において使用する用語「受容体基質」とは、置換基が各種の転移酵素によってその基質特異性に基づいて転移される化合物をいう。受容体基質は、転移酵素によって置換基が転移される官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基)を有する化合物であれば限定されてない。受容体基質は、好ましくは、糖受容体基質、タンパク質、ペプチド、脂質、より好ましくは、糖受容体基質、ペプチド、さらにより好ましくは、糖受容体基質である。さらに、「糖受容体基質」とは、糖が転移される基質をいう。好ましくは、糖ペプチド、糖タンパク質、単糖、糖鎖、糖脂質、タンパク質、ペプチド、それらの修飾体、より好ましくは、糖ペプチド、糖タンパク質、糖鎖、それらの修飾体、さらにより好ましくは糖ペプチド、糖鎖、それらの修飾体である。なお、糖受容体基質を構成する糖残基は、天然由来の糖、糖鎖等に限定されず、これらの修飾体であってもよい。修飾体とは、糖残基中の1またはそれ以上の水酸基が、硫酸基、リン酸基、プリン塩基、ピリミジン塩基、アルキル基、アシル基、アミド基、アミノ基で置換されているものをいう。
また、糖受容体基質の糖部分以外の部分は、この糖の何れかの水酸基(好ましくは、還元末端の水酸基)に結合し得るタンパク質、ペプチド、脂質、アルキル基、アシル基、アミノ基、ヒドラジド、オキシムが例示されるが、これらに限定されるものではない。よって、本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用される糖受容体基質は、好ましくは、タンパク質(またはペプチド)、糖タンパク質(または糖ペプチド)(例えば、O−グリカン、N−グリカン)、糖脂質、糖鎖、単糖(例えば、N−アセチルグルコサミン、グルクロン酸、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、グルコース、マンノース、フコース)、アミノ酸(例えば、セリン、スレオニン、アスパラギン)、それらの修飾体、より好ましくは、糖ペプチド、糖脂質、糖鎖、単糖、それらの修飾体、さらにより好ましくは、糖ペプチド、糖脂質、それらの修飾体、最も好ましくは、糖ペプチドである。なお、「O−グリカン」は、タンパク質またはペプチドのセリン/スレオニン残基に糖鎖が結合した糖タンパク質または糖ペプチドの一般名称であり、糖鎖構造に応じて、Tn抗原、コア1、コア2、コア3、コア4、コア5、コア6、コア7、コア8に分類される。ここで、Tn抗原はGalNAcα1−、コア1はGalβ1−3GalNAcα1−、コア2はGlcNAcβ1−6(Galβ1−3)GalNAcα1−、コア3はGlcNAcβ1−3GalNAcα1−、コア4はGlcNAcβ1−6(GlcNAcβ1−3)GalNAcα1−、コア5はGalNAcα1−3GalNAcα1−、コア6はGlcNAcβ1−6GalNAcα1−、コア7はGalNAcα1−6GalNAcα1−、コア8はGalα1−3GalNAcα1−である。
(2)供与体基質
転移反応は、転移酵素が触媒となって供与体基質を構成する置換基を受容体基質に転移することである。例えば、β4Gal−コア2構造を有する受容体基質にシアル酸残基(例えば、Neu5Ac)を転移させる場合には、供与体基質としてCMP−Neu5Acを用いることができる。
本明細書において使用する用語「供与体基質」とは、転移酵素が受容体基質を認識し、該酵素によってその基質特異性に基づいて転移されるべき置換基を構成する化合物をいう。転移酵素の基質特異性を損なわず、受容体基質に置換基を転移する供給源となる限り、特に限定されない。好ましくは、糖ヌクレオチド、ドリコールリン酸−糖、3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホ硫酸(PAPS)、アデノシン三リン酸(ATP)、アセチル−CoA、より好ましくは、糖ヌクレオチド、ドリコールリン酸−糖、3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホ硫酸(PAPS)、最も好ましくは、糖ヌクレオチドである。
3.化合物ライブラリーの製造方法
本発明の化合物ライブラリーの製造方法は、同一容器内で受容体基質に供与体基質の置換基を転移させる反応を行うものであって、各転移酵素による転移率が100%に達する前に反応を停止させまたは反応を停止させないで、置換基が転移した化合物と置換基が転移していない未反応の化合物との混合物に、さらに転移酵素を逐次添加することにより、バリエーションのある化合物ライブラリーを構築することを特徴とする。本発明の方法により、従来の酵素合成法とは異なり、各反応工程において生成物を回収および精製せずに連続して転移反応を行うことができ、多種の置換基を有する化合物ライブラリーを構築することができる。
本発明によれば、同一容器内で作製する化合物ライブラリーの製造方法であって、(1)1種またはそれ以上の供与体基質、受容体基質、および転移酵素を混合し;(2)インキュベートすることにより転移率が1%−99%になるように転移反応を行い;そして(3)転移反応を停止することを含む、前記製造方法が提供される。
本発明の製造方法に使用される容器は、化合物ライブラリーを製造する工程において、当業者であれば、適宜、容器を選択することができる。好ましくは、マイクロチューブ、プレート、フラスコ、より好ましくは、マイクロチューブ、プレート、最も好ましくは、マイクロチューブである。
本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用される供与体基質、受容体基質、および転移酵素は上記で詳述した通りである。工程(1)において使用する供与体基質および受容体基質は、転移酵素に基質特異的なものである限り、混合する種類は限定されない。また、同じ工程において使用する転移酵素は、前記供与体基質および受容体基質に基質特異的である限り、添加する種類は限定されない。さらに、工程(2)におけるインキュベートでは、転移酵素が置換基を転移する活性を発揮するのに適した反応時間と反応温度を維持することができる限り、いかなる装置を使用することもできる。好ましくは、恒温振とう機、PCRシステム、インキュベータ、恒温槽、ヒートブロック、より好ましくは、恒温振とう機、PCRシステムである。また、転移酵素の反応時間とは、後述するように、転移酵素を添加した後、受容体基質に供与体基質から置換基を転移する所定の反応率に達するまでの時間をいい、所定の反応率、各転移酵素の反応条件によって異なる。
本発明の一態様において、工程(1)において使用する供与体基質および転移酵素と同種又は異種の供与体基質および転移酵素を用いて、工程(1)−(3)を1回以上繰り返してもよい。供与体基質と転移酵素を適宜選択することによって、所望の構造を有する複数の化合物を特定の割合で含有する化合物ライブラリーを得ることができる。
また、工程(3)における転移反応の停止は、所定の転移率に達した場合に転移酵素を失活または除去させることができる限り、特に限定されない。好ましくは、熱処理、タンパク質変性剤の添加、阻害剤の添加、ろ過、固相抽出、より好ましくは熱処理、ろ過である。ここで、工程(3)において、転移反応を停止させる際の転移率は、特定の構造を所定量で含む化合物ライブラリーを製造するために、当業者であれば、適宜、転移率を決定することができる。例えば、化合物ライブラリーの製造過程において、1つの置換基を有する化合物と有しない化合物との混合比を1:1にするには、転移酵素の反応率を50%にすることによって達成される。一方、特定の置換基の存在比を増減させるには、転移率を50%ではなく1−99%の範囲で変化させることによって達成できる。本発明の化合物ライブラリーの製造方法における転移酵素の転移率は、好ましくは、約1−99%、より好ましくは約5−95%、さらに好ましくは約10−90%、さらにより好ましくは約20−80%、なおより好ましくは約30−70%、なおさらにより好ましくは約40−60%、最も好ましくは約50%である。例えば、スキーム2において、第1段目および第2段目の各転移酵素の転移率を50%とした場合には、2段階の反応によって生成される化合物A、化合物C、化合物Bおよび化合物Dの存在比は1:1:1:1となる。一方、各反応段階の転移率を40%とした場合には、化合物A:化合物C:化合物B:化合物D=9:6:6:4となる化合物ライブラリーを得ることができる。したがって、使用する各種の転移酵素の転移率を変えることにより、生成される特定の構造を有する各成分の存在比が異なる化合物ライブラリーを構築することができる。
本発明の一態様において、工程(1)−(3)を繰り返す場合、その一部の転移反応において転移率を100%とする工程を含んでいてもよい。このような工程を一部に含ませることにより、特定の構造を有する成分のみの存在比を増加させて化合物ライブラリーを製造することができる。
本発明の一態様において、さらにバリエーションのある化合物ライブラリーを製造するために、転移反応を開始させる前に未反応の受容体基質の一部を採取し、該転移反応を停止させた後の生成物に採取した受容体基質を添加する工程を含んでいてもよい。この反応工程を含めることにより、バリエーションのある化合物ライブラリーを製造することができる。
本発明の一態様において、本発明の化合物ライブラリーの製造方法では、ライブラリー構築の途中段階の混合物を別のライブラリー構築のための出発物質とすることも可能である。
また、各転移反応の転移率の測定は、限定されないが、溶液中の未反応物質、反応生成物の濃度、組成比、または重量比などを測定する方法が例示される。好ましくは、反応溶液の一部を採取し、質量分析計によって反応溶液中に存在する各成分の量(または組成比)を測定することができる質量分析法である。この質量分析法による転移率の測定は、質量分析後のスペクトルに示される各々のマススペクトル(m/z)が1つの化合物の構造に相当することに基づいている。各反応工程において生成物を分離・精製する必要はなく、質量分析計による1回の測定により、未反応物、生成物、これらの存在量(若しくは組成比)、または反応溶液中に含まれる各成分の構造を迅速かつ容易に同定することができる。したがって、本発明の化合物ライブラリーの製造方法によって、各成分の構造が明らかな化合物ライブラリーを製造することが可能である。
なお、「質量分析法」とは、試料導入部、イオン化部、質量分析部(質量分離部及び検出部)を含む気相イオン分光計を用いて、主に試料の質量を測定する分析方法である。具体的には、試料をイオン化部(又は装置)でイオン化し、得られたイオン化分子を質量分離部で質量/電荷(m/z)に従って分離し、検出部で検出する方法である。本明細書において本願明細書において「質量分析計」というときは、試料、例えば、糖鎖、糖、タンパク質、ペプチド、核酸等の生体分子を質量分析法よって測定することを可能にした装置をいう。生体分子のイオン化法は、特に限定されるものではないが、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、レーザー脱離(LD)法、高速原子衝撃(FAB)法、液体二次イオン質量分析(LSIMS)法、液体イオン化(LI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、大気圧化学イオン化(APCI)法が例示される。さらに、イオン化された生体分子のイオンは、電磁気的相互作用を利用して、生体分子特有の質量/電荷(m/z)に従って分離される。イオンを分離および検出する質量分析部には、飛行時間型(TOF)、四重極イオントラップ飛行時間型(QIT−TOF)、四重極型、イオントラップ型、磁場型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型(FT−ICR)が例示されるが、これらに限定されない。MALDI−TOF質量分析計としては、Ettan MALDI−ToF Pro (アマシャムバイオサイエンス社製)、 Reflex IV(ブルーカー社製)等が例示される。
本発明の一態様において、工程(1)−(3)を繰り返す回数は、所望の構造を有する化合物ライブラリーを得るために、当業者であれば、適宜、決定することができる。多種の構造を有する化合物ライブラリーを製造するためには、工程(1)−(3)を繰り返す回数を増加させることが好ましい。繰り返しの回数は、好ましくは1回以上、より好ましくは1−50回、さらにより好ましくは1−10回、なおより好ましくは1−8回、最も好ましくは1−6回である。例えば、後述する実施例1では、工程(1)−(3)を4回繰り返すことにより、1種の糖受容体基質(β4Gal−コア2−Muc1a)から4段階の糖転移反応を経て最大8種類の糖鎖を含む糖鎖ライブラリーを構築することができた。また、実施例2では、1種の糖受容体基質(Tn−Muc1a)から工程(1)−(3)を1回行うだけで、ラクトサミンの繰り返し数が異なる8種類のポリラクトサミンからなる糖鎖ライブラリーを構築することができた。
本発明の一態様において、本発明の化合物ライブラリーの製造方法に使用する各転移酵素の順番は限定されないが、当業者であれば、特定の構造を有する化合物を含むように転移酵素の種類と添加順序を選択することによって、転移酵素の基質特異性を利用した特定の構造を含む化合物ライブラリーを製造することもできる。例えば、後述する実施例1に記載したように、N−アセチルノイラミン酸転移酵素、フコース転移酵素、N−アセチルグルコサミン転移酵素、ガラクトース転移酵素の順序で反応系に添加した場合には得られなかった2種の糖鎖は、フコース転移酵素(2番目)とN−アセチルグルコサミン転移酵素(3番目)の添加順序を入れ換えることにより得られた。一方、上記とは反対に、転移酵素の組み合わせを変えることによって、特定の構造を含まない化合物ライブラリーも構築することができる。
4.化合物ライブラリー
本発明によれば、上述した製造方法によって製造される化合物ライブラリーが提供される。本発明の化合物ライブラリーの製造方法により、従来の方法とは異なり、迅速かつ容易に構造の明らかな多種の構造を含む化合物ライブラリーを構築することができる。
本発明の化合物ライブラリーは、使用される受容体基質、供与体基質、転移酵素の種類、転移率、前記工程(1)−(3)の繰り返しによって、多種の構造を有する成分を一定の割合で含むものである。また、化合物ライブラリーに含まれる各成分のうち特定の化合物の含有量を増減させるには、反応率を1−99%の範囲で変化させるか、および/または使用する転移酵素の添加順番を変えることによって行うことができる。
本発明の一態様において、化合物ライブラリーの各成分の構造がそれらの分子量から特定されることを特徴とする化合物ライブラリーが提供される。
より具体的には、後述する実施例1に記載したように、糖受容体基質(出発物質)としてβ4Gal−コア2−Muc1a(Ala−His−Gly−Val−Thr−Ser−Ala−Pro−Asp−Thr−Arg(配列番号1))を用いた場合に、N−アセチルノイラミン酸転移酵素(ST3Gal IV)、フコース転移酵素(FUT6)、N−アセチルグルコサミン(β3GnT2)、およびガラクトース転移酵素(β4GalT1)をこの順番で使用し、各糖転移酵素の糖転移率を50%とすることにより、計6種類の糖鎖、すなわち、(i)Galβ1−4GlcNAcβ1−6(Galβ1−3)GalNAcα1−Muc1a、(ii)Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−6(Galβ1−3)GalNAcα1−Muc1a、(iii)GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−6(Galβ1−3)GalNAcα1−Muc1a、(iv)Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−6(Galβ1−3)GalNAcα1−Muc1a、(v)Neu5Acα2−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3(Galβ1−3)GalNAcα1−Muc1a、および(vi)Neu5Acα2−3Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−6(Galβ1−3)GalNAcα1−Muc1aを含む糖鎖ライブラリーを構築することができた(図1参照)。本明細書においては、Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン、GalNAcはN−アセチルガラクトサミン、Fucはフコース、Neu5AcはN−アセチルノイラミン酸を示す。この製造方法では、添加する糖転移酵素の種類により、この他に2種の糖鎖(後述するスキーム3の×印)が理論的には合成される可能性はあるが、上記の反応順番では得られなかった。そこで、2番目のフコース転移酵素と3番目のN−アセチルグルコサミン転移酵素の添加順序を変えることにより、前記の方法では得られなかったGlcNAcβ1−3Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−6(Galβ1−3)GalNAcα1−Muc1a、およびGalβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−6(Galβ1−3)GalNAcα1−Muc1aを得ることができた。これらの糖鎖構造は、質量分析計によって容易に決定することができた。
また、後述する実施例2に記載したように、工程(1)−(3)を繰り返すことなく、Tn−Muc1aを出発物質とし、2種類の糖供与体基質(UDP−GlcNAcおよびUDP−Gal)、3種類の糖転移酵素(N−アセチルグルコサミン転移酵素2種類およびガラクトース転移酵素)を添加して1度の反応により、ラクトサミン構造(Galβ1−4GlcNAcβ1−3)が主として4−11にユニット伸長した糖鎖を含む糖鎖ライブラリーを得ることができた(図3参照)。さらに、このラクトサミン構造にN−アセチルノイラミン酸転移酵素とCMP−Neu5Acを用いることによって、糖鎖伸長の末端にN−アセチルノイラミン酸残基を有する糖鎖をさらに製造することもできた。
一方、後述する実施例4に記載したように、コア3(GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)構造を出発物質として、各種の糖転移酵素と糖供与体基質を用いることにより、シアリルルイスA(Neu5Acα2−3Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)、シアリルルイスX(Neu5Acα2−3Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)、A抗原(GalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)、またはB抗原(Galα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)を含む糖鎖ライブラリーを工程(1)−(3)を2−3回繰り返すことによって得ることができる。より具体的には、シアリルルイスAを含む糖鎖ライブラリーを製造する場合には、コア3構造にガラクトースを糖供与体基質として混合し、ガラクトース転移酵素による転移反応によりGalβ1−3コア3構造を得て、さらに、N−アセチルノイラミン酸とフコースを糖供与体基質として、N−アセチルノイラミン酸転移酵素とフコース転移酵素を用いて反応させることにより、シアリルルイスAと他3種類の糖鎖(Galβ1−3GlcNAcβ1−3GalNAcα1−、Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3GalNAcα1−、Neu5Acα2−3Galβ1−3GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)を得ることができる。
5.チップ
本発明によれば、本発明の化合物ライブラリーを疾患の診断等に使用可能なチップが提供される。本明細書において「チップ」というときは、固相基板、例えば、チップ、メンブラン、フィルター、ガラス上に、本発明の化合物ライブラリーを配列したものをいう。具体的には、本発明のチップを使用することにより、チップに配列した化合物ライブラリーのうち特定の化合物に反応する分子等を迅速に検出することが可能となる。例えば、糖鎖ライブラリーをチップに使用した場合は、糖鎖認識分子、例えば、レクチン、ウイルス、細菌、毒素、バクテリアなどがチップに固定した糖鎖を認識し結合等することによって、各糖鎖からのシグナルを検出し、得られたデータを解析するものである。なお、化合物ライブラリー中の化合物を固相基板に固定する方法としては、限定されないが、基板表面への疎水結合、または化学修飾したプレート表面へのアミド結合、スルフィド結合などがある。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の技術的分野を限定するためのものではない。当業者は、本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・変化を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1 β4Gal−コア2−Muc1aからの糖鎖ライブラリーの構築
下記の表2Aに記載した各容量のシアル酸転移酵素(ST3Gal IV)、糖受容体基質(β4Gal−コア2−Muc1a)、糖供与体基質(CMP−Neu5Ac)、2価カチオン、緩衝液等を含む溶液を37℃で20時間インキュベートした。この反応溶液の0.1μlをサンプリングし、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)の0.5μlと混合したものを質量分析計(Reflex IV(ブルーカー社製))を用いて反応経過をモニタリングした。反応がほぼ50%進行した時点で、反応溶液を100℃で5分間熱処理を行うことにより、酵素を失活させ反応を停止させた。この反応溶液を「反応溶液1」とする(反応1)。次に、反応溶液1に、表2Bに記載した各容量のフコース転移酵素(FUT6)と糖供与体基質(GDP−Fuc)を添加し、25℃で30分反応させた。この酵素反応溶液をReflex IVでモニターし、反応がほぼ50%進行したことを確認し、100℃で5分間熱処理することによって酵素を失活させた。この反応溶液を「反応溶液2」とする(反応2)。さらに、反応溶液2に、表2Cに記載した各容量のN−アセチルグルコサミン転移酵素(β3GnT2)と糖供与体基質(UDP−GlcNAc)を添加し、37℃で2時間反応を行った。Reflex IVでモニターし、反応がほぼ50%進行したことを確認した後、100℃で5分間熱処理を行い、反応を停止させた。この反応溶液を「反応溶液3」とする(反応3)。さらに次いで、反応溶液3を表2Dに記載した各容量のガラクトース転移酵素(β4GalT1)と糖供与体基質(UDP−Gal)を添加し、25℃で1時間反応させ、Reflex IVでモニターした。反応がほぼ50%進行したところで、100℃で5分間熱処理を行い、反応を停止させた。この反応溶液を「反応溶液4」とする(反応4)。
各反応停止後の反応溶液1−4をReflex IVでモニターした結果を図1に示す。図中の黒丸はN−アセチルガラクトサミン、白丸はガラクトース、黒四角はN−アセチルグルコサミン、白三角はフコース、白星はN−アセチルノイラミン酸を示す。反応4の終了後、ろ過処理によって反応液に含まれるアガロースゲルに結合した酵素を除去し、6種類の化合物を含む糖鎖ライブラリーを調製した。
反応1−4のような順番で各糖転移酵素を使用した場合には、スキーム3に示すような2種類の糖鎖(×印)、すなわち、GlcNAcβ1−3Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−6(Galβ1−3)GalNAcα1−、およびGalβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−6(Galβ1−3)GalNAcα1−は得られなかった(図1)。
この結果は、N−アセチルグルコサミン転移酵素(反応3)がN−アセチルグルコサミン残基に結合したフコース残基の存在により、N−アセチルグルコサミンが転移されなかったものと考えられる。上記の酵素の組合せと添加順番により、特定の糖鎖構造を有しない糖鎖ライブラリーを構築することができた。
そこで、上記の反応順番では得られなかった2種類の糖鎖を含む糖鎖ライブラリーを得ることを目的として、添加する糖転移酵素の順番を変え、同様に転移反応を行った。下記の表3Aに記載の各容量のシアル酸転移酵素(ST3Gal IV)、糖受容体基質(β4Gal−コア2−Muc1a)、糖供与体基質(CMP−Neu5Ac)、2価カチオン、緩衝液等を含む溶液を37℃で20時間反応させ、上記と同様にReflex IVでモニタリングし、反応がほぼ50%進行した時点で熱処理によって反応を停止させた。この反応溶液を「反応溶液1’」とする(反応1’)。次いで、表3Bに記載の各容量のN−アセチルグルコサミン転移酵素(β3GnT2)と糖供与体基質(UDP−GlcNAc)を添加し、37℃で2時間反応させて反応がほぼ50%進行した時点で反応を同様に停止させた。この反応溶液を「反応溶液2’」とする(反応2’)。さらに、表3Cに記載の各容量のフコース転移酵素(FUT6)と糖供与体基質(GDP−Fuc)を添加し、25℃で30分間反応させた後、熱処理により反応を停止させた。この反応溶液を「反応溶液3’」とする(反応3’)。さらに次いで、表3Dに記載の各容量のガラクトース転移酵素(β4GalT1)と糖供与体基質(UDP−Gal)を添加し、25℃で2時間反応させた後、熱処理によって反応を停止させた。この反応溶液を「反応溶液4’」とする(反応4’)。
各反応停止後の反応溶液1’−4’をReflex IVでモニターした結果を図2に示す。図2およびスキーム1に示すように、反応1’−4’により、反応1−4では得られなかった2種類の糖鎖構造を含む糖鎖ライブラリーを得ることができた。
これらの結果より、添加する糖転移酵素の順番を変えることによって、所望する糖鎖構造を有する糖鎖ライブラリーを構築することができる。それとは反対に、特定の糖鎖構造については、糖鎖ライブラリーに含まないようにすることもできる。
実施例2 ポリラクトサミンの糖鎖ライブラリーの構築
同一容器内でTn−Muc1aを出発物質としてポリラクトサミン鎖の伸長を行った。下記の表4に記載した各容量のN−アセチルグルコサミン転移酵素(β3GnT6およびβ3GnT2)とガラクトース転移酵素(β4GalT1)、糖受容体基質(Tn−Muc1a)、糖供与体基質(UDP−GlcNAcとUDP−Gal)を使用した。β3GnT6は、Tn抗原のGalNAc残基にN−アセチルグルコサミンをβ1−3で転移する酵素であり、β3GnT2は、ラクトサミン鎖のガラクトース残基にN−アセチルグルコサミンをβ1−3で転移する酵素である。これらと2価カチオン、緩衝液等を含む溶液を37℃で30時間反応させ、実施例1および2と同様にReflex IVでモニタリングしたところ、MALDI TOF MSでモニターしたところ、Galβ1−4−コア3構造にラクトサミン構造(Galβ1−4GlcNAcβ1−3)が主として4〜11ユニット伸長した糖鎖構造を含む混合物を1反応で得ることができた(図3)。
実施例3 シアル酸を有するポリラクトサミンの糖鎖ライブラリーの構築
下記の表5Aに記載した各容量のN−アセチルグルコサミン転移酵素(β3GnT2)、ガラクトース転移酵素(β4GalT1)、糖受容体基質(コア3−Muc1a)、糖供与体基質(UDP−GlcNAcとUDP−Gal)、2価カチオン、緩衝液等を含む溶液を37℃で12時間反応させた。Reflex IVでモニタリングしたところ、コア3構造にラクトサミン構造が主として1〜5ユニット伸長した糖鎖構造を含む糖鎖ライブラリーを1反応にて得ることができた。その後、熱処理によって反応を停止させた。この反応溶液を「反応溶液A」とする(反応A)。
さらに、表5Bに記載した各容量のシアル酸転移酵素(ST3GalIII)、糖供与体基質(CMP−Neu5Ac)を上記で得られた反応溶液Aに添加し、37℃で20時間反応させ、熱反応によって反応を停止させた(反応B)。Reflex IVでモニタリングした結果を図4に示す。これにより、ポリラクトサミン鎖の還元末端にシアル酸を有する糖鎖ライブラリーを構築することができた。
実施例4 コア3構造を有する各種の糖鎖ライブラリーの構築
コア3構造を出発物質として、各糖転移酵素の組み合わせにより、下記のスキーム4に示すように、シアリルルイスA、シアリルルイスX、A抗原、またはB抗原を含む各種の糖鎖ライブラリーを構築することができる。
(1)シアリルルイスAを含む糖鎖ライブラリー
ガラクトースをN−アセチルグルコサミン残基にβ1−3で転移させるガラクトース転移酵素(β3GalT5)、糖受容体基質(コア3:GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)、糖供与体基質(UDP−Gal)を用いて所定時間反応させ、反応率がほぼ100%の時点で反応を停止させる(反応1)。この反応によって、Galβ1−3GlcNAcβ1−3GalNAcα1−を得ることができる。この反応溶液を「反応溶液a」とする。次に、反応溶液aに、シアル酸転移酵素(ST3Gal I)とフコース転移酵素(FUT3)、糖供与体基質(CMP−Neu5AcとGDP−Fuc)を添加し、所定時間反応させることにより、シアリルルイスA(Neu5Acα2−3Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)と他3種類の糖鎖(Galβ1−3GlcNAcβ1−3GalNAcα1−、Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3GalNAcα1−、Neu5Acα2−3Galβ1−3GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)からなる4種類の糖鎖構造を有する糖鎖ライブラリーを構築することができる(スキーム4)。
(2)シアリルルイスXを含む糖鎖ライブラリー
ガラクトースをN−アセチルグルコサミン残基にβ1−4で転移させるガラクトース転移酵素(β4GalT1)、糖受容体基質(コア3:GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)、糖供与体基質(UDP−Gal)を用いて所定時間反応させ、反応率がほぼ100%の時点で反応を停止させる。この反応によって、Galβ1−4GlcNAcβ1−3GalNAcα1−を得ることができる。この反応溶液を「反応溶液b」とする。次に、反応溶液bに、シアル酸転移酵素(ST3Gal III)、N−アセチルグルコサミン転移酵素(β3GnT2)、フコース転移酵素(FUT6)、ガラクトース転移酵素(β4GalT1)、糖供与体基質(CMP−Neu5Ac、UDP−GlcNAc、GDP−Fuc、UDP−Gal)を添加し、所定時間反応させることにより、シアリルルイスX(Neu5Acα2−3Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)と他7種類の糖鎖からなる8種類の糖鎖構造を有する糖鎖ライブラリーを構築することができる(スキーム4)。
(3)A抗原を含む糖鎖ライブラリー
上記(1)で調製した反応溶液aに、シアル酸転移酵素(ST6GalNAc I)、フコース転移酵素(FUT2)、N−アセチルガラクトサミン転移酵素(H−α3GalNAcT)、糖供与体基質(CMP−Neu5Ac、GDP−Fuc、UDP−GalNAc)を用いて所定時間反応させ、反応率がほぼ50%の時点で反応を停止させる。これによりA抗原(GalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)を含む計6種類の糖鎖ライブラリーを構築することができる(スキーム4)。
(4)B抗原を含む糖鎖ライブラリー
上記(1)で調製した反応溶液aに、シアル酸転移酵素(ST6GalNAc I)、フコース転移酵素(FUT2)、ガラクトース転移酵素(H−α3GalT)、糖供与体基質(CMP−Neu5Ac、GDP−Fuc、UDP−Gal)を用いて所定時間反応させ、反応率がほぼ50%の時点で反応を停止させる。これによりB抗原(Galα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3GlcNAcβ1−3GalNAcα1−)を含む計6種類の糖鎖ライブラリーを構築することができる(スキーム4)。
糖鎖ライブラリーを確立することにより、糖鎖と糖鎖関連分子との相互作用、糖鎖構造と機能との相関関係を解析することによって、各種の疾患の診断、治療に応用することが可能である。
図1は、β4Gal−コア2構造を有する糖ペプチドを出発物質(糖受容体基質)とし、各種の糖転移酵素および糖(糖供与体基質)を4回の転移反応によって得られる糖鎖構造をReflex IV(質量分析計)を用いて測定した結果を示す。反応4までで6種類の糖鎖が得られた。図中、黒丸はN−アセチルガラクトサミン、白丸はガラクトース、黒四角はN−アセチルグルコサミン、白三角はフコース、白星はN−アセチルノイラミン酸を示す。 図2は、β4Gal−コア2構造を有する糖ペプチドを出発物質(糖受容体基質)とし、各種の糖転移酵素および糖(糖供与体基質)を4回の転移反応によって得られる糖鎖構造をReflex IV(質量分析計)を用いて測定した結果を示す。図1の反応2と反応3の反応順序を入れ換えて行ったものである。反応4’までで8種類の糖鎖が得られた。図中、黒丸はN−アセチルガラクトサミン、白丸はガラクトース、黒四角はN−アセチルグルコサミン、白三角はフコース、白星はN−アセチルノイラミン酸を示す。 図3は、Tn−Muc1aを出発原料とし、2種類の糖供与体基質(UDP−GlcNAcおよびUDP−Gal)、3種類の糖転移酵素(N−アセチルグルコサミン転移酵素2種類およびガラクトース転移酵素)を添加して1度の反応により得られるラクトサミン構造(Galβ1−4GlcNAcβ1−3)をReflex IV(質量分析計)を用いて測定した結果を示す。図中、黒丸はN−アセチルガラクトサミン、黒四角はN−アセチルグルコサミン、白丸はガラクトースを示す。 図4は、コア3−Muc1α構造を出発原料とし、N−アセチルグルコサミン転移酵素(β3GnT2)、ガラクトース転移酵素(β4GalT1)、糖受容体基質(コア3−Muc1a)、糖供与体基質(UDP−GlcNAcとUDP−Gal)を用いてポリラクトサミン構造を有する糖鎖を作製した後(反応A)、さらに、シアル酸転移酵素(ST3GalIII)、糖供与体基質(CMP−Neu5Ac)を用いて、ポリラクトサミン鎖の非還元末端にシアル酸を有する糖鎖構造をReflex IV(質量分析計)を用いて測定した結果を示す。図中、黒丸はN−アセチルガラクトサミン、黒四角はN−アセチルグルコサミン、白丸はガラクトース、白星はN−アセチルノイラミン酸を示す。

Claims (14)

  1. 同一容器内で作製する化合物ライブラリーの製造方法であって、
    (1)1種またはそれ以上の供与体基質、受容体基質、および転移酵素を混合し;
    (2)インキュベートすることにより転移率が1%−99%になるように転移反応を行い;そして
    (3)転移反応を停止する
    ことを含む、前記化合物ライブラリーの製造方法。
  2. 転移率を質量分析計によって測定することを特徴とする、請求項1に記載の化合物ライブラリーの製造方法。
  3. 工程(1)が、受容体基質に、供与体基質および転移酵素を添加する、請求項1または2に記載の化合物ライブラリーの製造方法。
  4. 転移反応の生成物に、さらに同種又は異種の供与体基質および転移酵素を添加し、工程(1)−(3)を1回以上繰り返す工程を含む、請求項3に記載の化合物ライブラリーの製造方法。
  5. 工程(1)−(3)の繰り返しが1−10回である、請求項4に記載の化合物ライブラリーの製造方法。
  6. 転移率が50%に達したときに反応を停止させる、請求項5に記載の化合物ライブラリーの製造方法。
  7. 転移酵素が、N−アセチルノイラミン酸転移酵素、フコース転移酵素、N−アセチルグルコサミン転移酵素、N−アセチルガラクトサミン転移酵素、ガラクトース転移酵素、グルコース転移酵素、グルクロン酸転移酵素、マンノース転移酵素、キシロース転移酵素、硫酸転移酵素、リン酸転移酵素、またはアシル基転移酵素である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物ライブラリーの製造方法。
  8. 受容体基質が、糖受容体基質、ペプチド、タンパク質、若しくは脂質、若しくはそれらの修飾体、またはこれらの混合物である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物ライブラリーの製造方法。
  9. 糖受容体基質が、単糖、糖鎖、糖ペプチド、糖タンパク質、または糖脂質である、請求項8に記載の化合物ライブラリーの製造方法。
  10. 糖鎖、糖ペプチド、糖タンパク質、または糖脂質が、Tn抗原、コア2構造、コア3構造、コア4構造、コア5構造、コア7構造、およびコア8構造からなる群から選択される糖鎖構造を有する、請求項9に記載の化合物ライブラリーの製造方法。
  11. 供与体基質が、糖ヌクレオチド、ドリコールリン酸−糖、3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホ硫酸(PAPS)、アデノシン三リン酸(ATP)、およびアセチル−CoAからなる群から選択される、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の化合物ライブラリーの製造方法。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される化合物ライブラリー。
  13. 化合物ライブラリーの各成分の構造がそれらの分子量から特定されることを特徴とする、請求項12に記載の化合物ライブラリー。
  14. 請求項12又は13に記載の化合物ライブラリーを用いるチップ。

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