JP5522640B2 - シアリルラクトサミン系、シアリルルイスx系のシアル酸とフコース含有新規糖鎖化合物 - Google Patents

シアリルラクトサミン系、シアリルルイスx系のシアル酸とフコース含有新規糖鎖化合物 Download PDF

Info

Publication number
JP5522640B2
JP5522640B2 JP2011536112A JP2011536112A JP5522640B2 JP 5522640 B2 JP5522640 B2 JP 5522640B2 JP 2011536112 A JP2011536112 A JP 2011536112A JP 2011536112 A JP2011536112 A JP 2011536112A JP 5522640 B2 JP5522640 B2 JP 5522640B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substituted
group
compound
unsubstituted
sugar chain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011536112A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011046057A1 (ja
Inventor
弘樹 清水
紳一郎 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2011536112A priority Critical patent/JP5522640B2/ja
Publication of JPWO2011046057A1 publication Critical patent/JPWO2011046057A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5522640B2 publication Critical patent/JP5522640B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7028Compounds having saccharide radicals attached to non-saccharide compounds by glycosidic linkages
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • A61P31/16Antivirals for RNA viruses for influenza or rhinoviruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H15/00Compounds containing hydrocarbon or substituted hydrocarbon radicals directly attached to hetero atoms of saccharide radicals
    • C07H15/02Acyclic radicals, not substituted by cyclic structures
    • C07H15/04Acyclic radicals, not substituted by cyclic structures attached to an oxygen atom of the saccharide radical

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、抗ウィルス薬の有効成分として有用な新規糖鎖化合物に関する。
シアル酸は、ノイラミン酸のアミノ基やヒドロキシル基が置換された9炭糖の総称(ファミリー名)である。ノイラミン酸とは、分子内にカルボキシル基とアミノ基を持つ特殊な9炭糖で、天然には5位がアセチル化されたN-アセチルノイラミン酸 (Neu5Ac) が多く存在し、グリコール酸で修飾されたN-グライコリルノイラミン酸 (Neu5Gc) が次に多く存在する。しかしながら、ヒトにはNeu5Gcは存在しないと言われている。
シアル酸は主に糖鎖の非還元末端に存在している。細胞表面に存在するシアル酸含有糖鎖は、細胞表面の水分を保つ役割を果たしているだけでなく、様々な生物現象を制御する生体内分子認識機構において、重要な役割を果たしている。
シアル酸を多く含有するセレクチンは、ヒトとその他の生物との結合を制御する糖タンパク質である。また、転移ガン細胞は多くのシアル酸リッチな糖タンパク質を発現しており、これらのガン細胞が血流に入るのを助長している。
ガングリオシドは、少なくとも1つのシアル酸を含有するスフィンゴ糖脂質の一種である。現在までに40種類以上が発見されており、それぞれN-アセチルノイラミン酸の数及び結合位置が異なっている。ガングリオシドは、細胞膜表面の脂質ラフトに集中して存在しており、細胞のシグナル伝達を調節している。また、免疫学的にも重要な働きをしていることがわかっている。天然、若しくは半合成のガングリオシドは、神経変性疾患の治療に役立つ可能性がある。
インフルエンザウィルスのヘマグルチニンは、特定のガングリオシドと結合することで細胞に感染する。例えば、A型及びB型インフルエンザウィルスでは、ウィルスタンパク質の一種であるヘマグルチニンが、ガングリオシドに含まれるシアル酸を認識して結合する。増殖したウィルスは、別のウィルスタンパク質であるノイラミニダーゼ(シアル酸加水分解酵素:シアリダーゼの一種)によりシアル酸を切断し、宿主細胞表面から脱離する。このように、シアル酸含有糖鎖はウィルスによる宿主細胞の認識において主要な役割を果たしている。
このため、シアリダーゼ活性に抵抗性を有する化合物やシアリダーゼ阻害活性を有する化合物は、新規抗ウィルス薬開発のリード化合物として極めて有用であり、種々のアプローチにより新規シアル酸含有糖鎖化合物の開発が進められている(特許文献1〜4)。
特開2006-223198号公報 特開2006-271372号公報 特開2007-297521号公報 特開2008-195667号公報
上記のように、シアル酸含有糖鎖は、生体内分子認識機構において重要な役割を果たしている。このため、天然のシアル酸含有糖鎖の構造を改変することにより、薬理活性や生体内での安定性の点で天然物に比べて様々な利点を有する、非天然型の新規なシアル酸含有糖鎖化合物を開発できると考えられる。
しかしながら、シアル酸含有糖鎖化合物の合成にはいくつかの問題点が存在する。
シアル酸含有糖鎖化合物は、シアル酸結合が概して酸性条件に弱いことから、抽出操作時に該結合の切断が起こりやすく、また、シアル酸自体がカルボニル基を有していることから、分離精製が困難である。これらの理由から、天然のシアル酸含有糖鎖の構造を修飾して非天然型の新規なシアル酸含有糖鎖化合物を開発する場合、母核となるシアル酸含有糖鎖化合物を天然資源から取得するのは容易ではない。
化学合成によるシアル酸含有糖鎖化合物の製造も研究・開発されているが、ヒドロキシル基の保護・脱保護が煩雑であることに加え、シアル酸導入反応も容易ではないことから、実用的な製造方法の確立には至っていない。
これに対し、酵素反応を利用する化合物の製造は、一般に常温の水溶液中で進行し、基質特異性及び反応選択性が高いことが特徴である。このため、糖鎖化合物の製造においても酵素反応の活用が注目されており、シアル酸転移酵素(Kajihara, Y.ら、J. Org. Chem., 第61巻、p. 8632-8635, 1996年)やα1,3-フコース転移酵素(国際公開第2009/104738号パンフレット)等を用いた糖鎖構造の構築が試みられている。
ここで重要なことは、構造改変によって非天然型の新規シアル酸含有糖鎖化合物を合成する場合、生体内分子認識機構において天然物が有する結合親和性を保持しつつ、生体内での安定性や溶解性等の特性を付与する必要があるという点である。例えば、シアリダーゼによる加水分解反応に抵抗性を示すシアル酸含有糖鎖化合物の場合、同時にウィルス粒子との結合活性を保持していれば、抗ウィルス薬の有効成分として有用である。
それ故本発明は、基質特異性及び反応選択性の高い糖転移酵素による反応を利用することにより、ウィルス粒子との結合活性を有し、かつシアリダーゼ存在下でも安定な非天然型の新規シアル酸含有糖鎖化合物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、α1,3-フコース転移酵素を用いてシアル酸含有糖鎖にフコシル基を導入した新規糖鎖化合物は、ウィルス粒子との結合活性を保持しつつ、ノイラミニダーゼのようなシアル酸加水分解酵素(シアリダーゼ)に対する加水分解抵抗性が顕著に向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 一般式:
Siaα2-3(Siaα2-6)Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAc (1)
からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩。
(2) 式:
[式中、
Xは、O、S、NH若しくはCH2であり;
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換の脂肪族複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、アミノ酸、ペプチド又は糖基であり;
R2は、N-アセチル-2-デオキシ-α-ノイラミン酸-2-イルである]
で表される、前記(1)の化合物又はその塩。
(3) XがOであり、かつR1が水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基であり、R2がN-アセチル-2-デオキシ-α-ノイラミン酸-2-イルである、前記(2)の化合物又はその塩。
(4) 一般式:
Siaα2-3(Siaα2-6)Galβ1-4GlcNAc (4)
からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩。
(5) 式:
[式中、
Xは、O、S、NH若しくはCH2であり;
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換の脂肪族複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、アミノ酸、ペプチド又は糖基である]
で表される、前記(4)の化合物又はその塩。
(6) XがOであり、かつR1が水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基である、前記(5)の化合物又はその塩。
(7) 前記(1)〜(3)のいずれか1項の化合物又はその塩を含有するシアリダーゼ阻害剤。
(8) 一般式:
Siaα2-3(Siaα2-6)Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAc (1)
からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩の製造方法であって、以下:
αシアル酸の2-位とガラクトースの6-位の間のエーテル結合をα2,6-シアル酸転移酵素によって形成する工程;
αフコースの1-位とN-アセチルグルコサミンの3-位の間の1,3’-α-グリコシド結合をα1,3-フコース転移酵素によって形成する工程;
を含む、前記製造方法。
(9) 一般式:
Siaα2-3(Siaα2-6)Galβ1-4GlcNAc (4)
からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩の製造方法であって、以下:
αシアル酸の2-位とガラクトースの6-位の間のエーテル結合をα2,6-シアル酸転移酵素によって形成する工程;
を含む、前記製造方法。
(10) 前記(1)〜(3)のいずれか1項の化合物又はその塩を有効成分として含有する抗ウィルス薬。
(11) 前記ウィルスがインフルエンザウィルスである、前記(10)の抗ウィルス薬。
(12) ウィルス感染症の予防又は治療を必要とする対象者に、前記(10)の抗ウィルス薬を投与することを含む、ウィルス感染症の予防又は治療方法。
(13) ウィルス感染症の予防又は治療に用いるための前記(1)〜(3)のいずれか1項の化合物又はその塩。
(14) ウィルス感染症を予防又は治療するための医薬の製造のための、前記(1)〜(3)のいずれか1項の化合物又はその塩の使用。
(15) 前記(1)〜(3)のいずれか1項の化合物又はその塩と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物。
本発明により、ウィルス粒子との結合活性を有し、かつシアリダーゼ存在下でも安定な非天然型の新規シアル酸含有糖鎖化合物を提供することが可能となる。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願第2009-238144号の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
本発明の化合物と、ヒトC型肝炎ウィルス(HCV)又はヒトB型肝炎ウィルス(HBV)との相互作用を解析した結果を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
1. フコース及びシアル酸含有新規糖鎖化合物
本発明は、一般式:
Siaα2-3(Siaα2-6)Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAc (1)
又は
Siaα2-6Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAc (2)
からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩に関する。
本明細書において、「Sia」はシアル酸残基を、「Gal」はガラクトース残基を、「Fuc」はフコース残基を、「GlcNAc」はN-アセチルグルコサミン残基を、それぞれ意味する。「LeX」は、ルイスX糖鎖に相当するGalβ1-4(Fucα1-3)GlcNAc残基を意味する。「Siaα2-3Gal」は、αシアル酸の2-位とガラクトースの3-位でエーテル結合を形成している残基を意味する。同様に、「Siaα2-6Gal」は、αシアル酸の2-位とガラクトースの6-位でエーテル結合を形成している残基を意味し、「Galβ1-4GlcNAc」は、βガラクトースの1-位とN-アセチルグルコサミンの4-位で1,4’-β-グリコシド結合を形成している残基を意味し、「Fucα1-3GlcNAc」は、αフコースの1-位とN-アセチルグルコサミンの3-位で1,3’-α-グリコシド結合を形成している残基を意味する。ここで、上記の「Sia」としては、N-アセチルノイラミン酸残基(Neu5Ac)、N-グライコリルノイラミン酸残基(Neu5Gc)、N-レブリノイルノイラミン酸残基、N-アルキルノイラミン酸残基が好ましく、N-アセチルノイラミン酸残基(Neu5Ac)、N-グライコリルノイラミン酸残基(Neu5Gc)がより好ましい。また、上記の「Siaα2-3Gal」としては、N-アセチルノイラミン酸残基(Neu5Ac)、N-グライコリルノイラミン酸残基(Neu5Gc)、N-レブリノイルノイラミン酸残基又はN-アルキルノイラミン酸残基、より好ましくはN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)又はN-グライコリルノイラミン酸(Neu5Gc)の2-位と、ガラクトースの3-位でエーテル結合を形成している残基が好ましい。「Siaα2-6Gal」としては、N-アセチルノイラミン酸残基(Neu5Ac)、N-グライコリルノイラミン酸残基(Neu5Gc)、N-レブリノイルノイラミン酸残基又はN-アルキルノイラミン酸残基、より好ましくはN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)又はN-グライコリルノイラミン酸(Neu5Gc)の2-位と、ガラクトースの6-位でエーテル結合を形成している残基が好ましい。
なお、上記の糖残基に含まれるヒドロキシル基は、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜置換されていてもよい。
本発明者は、各種の糖転移酵素を用いてシアル酸含有糖鎖化合物に新たな糖残基を導入し、得られた新規糖鎖化合物について、構造改変による効果を調査した。その結果、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物のように、N-アセチルグルコサミン残基の3-位に1,3’-α-グリコシド結合したαフコシル基を含有すると、シアル酸加水分解酵素であるシアリダーゼに対する加水分解抵抗性が顕著に向上することを見出した。
シアリダーゼは、生体内分子認識機構における主要な酵素の一種であり、例えば、A型及びB型インフルエンザウィルスが増殖後、宿主細胞から脱離する際に作用する酵素として広く知られている。インフルエンザの予防、治療薬として世界的に使用されているオセルタミビル(例えば、タミフル(登録商標:ロシュ社))は、シキミ酸由来の6員環骨格がシアル酸ミミックとして働き、シアリダーゼの一種であるノイラミニダーゼ阻害活性を示すことによって、インフルエンザウィルス増殖抑制効果を奏する。このため、シアリダーゼに抵抗性を示すシアル酸含有糖鎖化合物は、オセルタミビルのようにシアリダーゼ阻害剤として作用する可能性が高いと考えられた。
本発明の一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物は、シアリダーゼによって基質として認識され、ガラクトース残基の3-位に結合したαシアリル基は加水分解されるものの、6-位に結合したαシアリル基は加水分解されずに残存する。また、一般式(2)からなる糖鎖構造を有する化合物は、ガラクトース残基の6-位に結合したαシアリル基のみを有し、3-位に結合したαシアリル基を有しないため、シアリダーゼによる加水分解は全く進行しない。
以上のように、本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物は、シアリダーゼによって基質として認識されながらも、ガラクトース残基の6-位に結合したαシアリル基の加水分解は殆ど又は全く進行しない。それ故、本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物を含有するシアリダーゼ阻害剤は、シアリダーゼによる加水分解反応を特異的に阻害するために使用することが出来る。
加えて、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物は、αフコシル基を導入しても、依然としてウィルス粒子に対する結合活性を保持している。それ故、上記の化合物を有効成分として含有する抗ウィルス薬は、インフルエンザウィルス、B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)又はBKウィルス、JCウィルス、MCウィルス、KIウィルス若しくはWUウィルスのようなポリオマーウイルス等の病原性ウィルスに対して高い抗ウィルス活性を奏することが出来る。
生体に存在するシアル酸含有糖鎖は、通常は該糖鎖の非還元末端にシアル酸が結合している。このため、シアル酸加水分解酵素であるシアリダーゼは、基質糖鎖の構造のうち、非還元末端側の糖鎖構造を認識してシアル酸残基を切断すると考えられる。それ故、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物において、還元末端の構造は特に限定されない。シアリダーゼに対する親和性を損なうことなく、還元末端を所望により様々な基で置換することが出来る。
具体的には、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物の還元末端は、XR1であって、XはO、S、NH若しくはCH2であることが好ましい。また、R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換の脂肪族複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、アミノ酸、ペプチド又は糖基であることが好ましい。より好ましくは、XがOであり、かつR1が水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基である。ここで、上記の各基の置換基としては、-アルキル、-アルケニル、-アルキニル、-シクロアルキル、-シクロアルケニル、-アリール、-ハロゲン、-アジド、-ORa、-NRbRc(式中、Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル基若しくはアリール基である)が好ましい。特に好ましくは、XがOであり、かつR1が、ドデシルアジド(C12H24N3)、3-プロピルアジド(C3H6N3)又はp-メトキシフェニル(MP)である。
なお、上記の化合物は、以下において説明する方法により製造することが出来る。
上記のような基を還元末端に導入することにより、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物の安定性や溶解性、薬物送達能力等を向上させることが可能となる。
なお、本明細書では特に言及しない限り、本発明の糖鎖構造を有する化合物は、該化合物の遊離酸及び塩の形態のいずれも包含するものとする。ここで塩の形態の場合、対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、カルシウムのようなカチオン、又は塩化物、臭化物のようなアニオンが好ましい。
上記の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物は、さらに式:
で表される化合物又はその塩であることが好ましい。
上記の式(3)において、X及びR1は上記の一般式(1)及び(2)の場合と同様の基から選択されることが好ましい。より好ましくは、XがOであり、かつR1が水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基である。ここで、上記の各基の置換基としては、上記の一般式(1)及び(2)の場合と同様の基から選択されることが好ましい。特に好ましくは、XがOであり、かつR1が、ドデシルアジド(C12H24N3)、3-プロピルアジド(C3H6N3)又はp-メトキシフェニル(MP)である。
また、R2は、水素又はN-アセチル-2-デオキシ-α-ノイラミン酸-2-イルであることが好ましい。
上記の式(3)からなる糖鎖構造を有する化合物は、ウィルス粒子に対する結合活性を保持しつつ、シアリダーゼに対して加水分解抵抗性を示すことから、本化合物を用いることにより、高活性のシアリダーゼ阻害剤や抗ウィルス薬を得ることが可能となる。
2. シアル酸含有新規糖鎖化合物
さらに本発明は、一般式:
Siaα2-3(Siaα2-6)Galβ1-4GlcNAc (4)
で表される化合物又はその塩に関する。
上記の一般式(4)において、「Sia」としては、N-アセチルノイラミン酸残基(Neu5Ac)、N-グライコリルノイラミン酸残基(Neu5Gc)、N-レブリノイルノイラミン酸残基、N-アルキルノイラミン酸残基が好ましく、N-アセチルノイラミン酸残基(Neu5Ac)、N-グライコリルノイラミン酸残基(Neu5Gc)がより好ましい。また、上記の「Siaα2-3Gal」としては、N-アセチルノイラミン酸残基(Neu5Ac)、N-グライコリルノイラミン酸残基(Neu5Gc)、N-レブリノイルノイラミン酸残基又はN-アルキルノイラミン酸残基、より好ましくはN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)又はN-グライコリルノイラミン酸(Neu5Gc)の2-位と、ガラクトースの3-位でエーテル結合を形成している残基が好ましい。「Siaα2-6Gal」としては、N-アセチルノイラミン酸残基(Neu5Ac)、N-グライコリルノイラミン酸残基(Neu5Gc)、N-レブリノイルノイラミン酸残基又はN-アルキルノイラミン酸残基、より好ましくはN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)又はN-グライコリルノイラミン酸(Neu5Gc)の2-位と、ガラクトースの6-位でエーテル結合を形成している残基が好ましい。
なお、上記の糖残基に含まれるヒドロキシル基は、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜置換されていてもよい。
上記の一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物は、以下において説明するように、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造するための原料として有用である。それ故、一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物の製造方法に用いることにより、シアリダーゼ阻害剤や抗ウィルス薬として有用な一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を効率的に製造することが可能となる。
上記の一般式(4)において、還元末端の構造は、結果として得られる一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物の還元末端の構造に応じて適宜選択される。具体的には、一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物の還元末端は、XR1であって、XはO、S、NH若しくはCH2であることが好ましい。また、R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換の脂肪族複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、アミノ酸、ペプチド又は糖基であることが好ましい。より好ましくは、XがOであり、かつR1が水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基である。ここで、上記の各基の置換基としては、-アルキル、-アルケニル、-アルキニル、-シクロアルキル、-シクロアルケニル、-アリール、-ハロゲン、-アジド、-ORa、-NRbRc(式中、Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル基若しくはアリール基である)が好ましい。特に好ましくは、XがOであり、かつR1が、ドデシルアジド(C12H24N3)、3-プロピルアジド(C3H6N3)又はp-メトキシフェニル(MP)である。
上記のような基を有する一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を、以下で説明する糖鎖化合物の製造方法に用いることにより、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を効率的に製造することが可能となる。
上記の一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物は、さらに式:
で表される化合物又はその塩であることが好ましい。
上記の式(5)において、XR1は還元末端の基であって、X及びR1は、上記の一般式(4)の場合と同様の基から選択されることが好ましい。より好ましくは、XがOであり、かつR1が水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基である。ここで、上記の各基の置換基としては、上記の一般式(4)の場合と同様の基から選択されることが好ましい。特に好ましくは、XがOであり、かつR1が、ドデシルアジド(C12H24N3)、3-プロピルアジド(C3H6N3)又はp-メトキシフェニル(MP)である。
式(5)からなる糖鎖構造を有する化合物を、以下で説明する糖鎖化合物の製造方法に用いることにより、一般式(3)からなる糖鎖構造を有する化合物を効率的に製造することが可能となる。
3. 新規糖鎖化合物の製造方法
本発明はまた、上記で説明した一般式(1)、(2)又は(4)からなる糖鎖構造を有する化合物の製造方法に関する。
一般式(1)、(2)又は(4)からなる糖鎖構造を有する化合物は、例えば、各糖鎖構造を構成する単糖であるN-アセチルグルコサミン、ガラクトース、フコース及びシアル酸を原料として、化学反応により各グリコシド結合及びエーテル結合を形成する方法によって製造することが出来る。しかしながら、化学合成による製造方法は、反応に与らないヒドロキシル基の保護・脱保護が必要であるために反応工程が多段階となることに加え、シアル酸導入反応が容易でないことから好ましくない。
それ故、本発明の製造方法は、各グリコシド結合及びエーテル結合を糖転移酵素により形成する方法であることが好ましい。
すなわち、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物は、以下:
αシアル酸の2-位とガラクトースの6-位の間のエーテル結合をα2,6-シアル酸転移酵素によって形成するα2,6-シアル酸転移工程;
αフコースの1-位とN-アセチルグルコサミンの3-位の間の1,3’-α-グリコシド結合をα1,3-フコース転移酵素によって形成するフコース転移工程;
を含む製造方法(A)によって製造することが出来る。
上記の製造方法(A)において、α2,6-シアル酸転移酵素は、6-位炭素原子が遊離の水酸基を有するガラクトース残基(Gal)を含む、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する目的化合物の中間体a、又は6-位炭素原子が遊離の水酸基を有するガラクトース残基(Gal)を含む、一般式(2)からなる糖鎖構造を有する目的化合物の中間体bを糖受容体とし、これとシアル酸供与体とを基質として、αシアル酸の2-位とガラクトースの6-位の間のエーテル結合を形成する。α1,3-フコース転移酵素は、3-位炭素原子が遊離の水酸基を有するN-アセチルグルコサミン残基を含む、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する目的化合物の中間体c、又は3-位炭素原子が遊離の水酸基を有するN-アセチルグルコサミン残基を含む、一般式(2)からなる糖鎖構造を有する目的化合物の中間体dを糖受容体とし、これとフコース供与体を基質として、αフコースの1-位とN-アセチルグルコサミンの3-位の間の1,3’-α-グリコシド結合を形成する。
ここで、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、α2,6-シアル酸転移工程において使用される中間体aとしては、ガラクトース、N-アセチルラクトサミン(LacNAc)、ルイスX(LeX)の他、3-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-3LacNAc)、3-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-3LacNAc)、3-O-(N-レブリノイル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン及び3-O-(N-アルキル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン等のような3-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-3LacNAc)、3-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-ルイスX(Neu5Acα2-3LeX)、3-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-ルイスX(Neu5Gcα2-3LeX)、3-O-(N-レブリノイル-α-ノイラミノシル)-ルイスX及び3-O-(N-アルキル-α-ノイラミノシル)-ルイスX等のような3-O-α-シアリル-ルイスX(Siaα2-3LeX)を挙げることが出来る。このうち、3-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-3LacNAc)としては、3-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-3LacNAc)又は3-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-3LacNAc)が好ましく、3-O-α-シアリル-ルイスX(Siaα2-3LeX)としては、3-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-ルイスX(Neu5Acα2-3LeX)又は3-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-ルイスX(Neu5Gcα2-3LeX)が好ましい。
一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、α2,6-シアル酸転移工程に使用される糖供与体としては、CMP-N-アセチルノイラミン酸、CMP-N-グライコリルノイラミン酸、CMP-N-レブリノイルノイラミン酸及びCMP-N-アルキルノイラミン酸等のようなシアル酸供与体、並びにそれらの塩を挙げることが出来る。かかるシアル酸供与体としては、CMP-N-アセチルノイラミン酸又はCMP-N-グライコリルノイラミン酸が好ましい。
一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、フコース転移工程において使用される中間体cとしては、上記の中間体a(ガラクトース、ルイスX(LeX)及び3-O-α-シアリル-ルイスX(Siaα2-3LeX)を除く)の他、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)や、6-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-6LacNAc)、6-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-6LacNAc)、6-O-(N-レブリノイル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン及び6-O-(N-アルキル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン等のような6-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-6LacNAc)、3,6-O-ジ(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-3(Neu5Acα2-6)LacNAc)、3,6-O-ジ(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-3(Neu5Gcα2-6)LacNAc)、3,6-O-ジ(N-レブリノイル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン及び3,6-O-ジ(N-アルキル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン等のような3,6-O-α-ジシアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-3(Siaα2-6)LacNAc)を挙げることが出来る。このうち、6-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-6LacNAc)としては、6-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-6LacNAc)又は6-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-6LacNAc)が好ましく、3,6-O-α-ジシアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-3(Siaα2-6)LacNAc)としては、3,6-O-ジ(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-3(Neu5Acα2-6)LacNAc)又は3,6-O-ジ(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-3(Neu5Gcα2-6)LacNAc)が好ましい。
また、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、フコース転移工程に使用される糖供与体としては、GDP-フコースのようなフコース供与体及びそれらの塩を挙げることが出来る。
一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、3-O-α-シアリル基を含まない中間体a又はcを用いるときには、αシアル酸の2-位とガラクトースの3-位の間のエーテル結合をα2,3-シアル酸転移酵素によって形成するα2,3-シアル酸転移工程を実施することによって、目的の化合物を得ることが出来る。α2,3-シアル酸転移酵素は、3-位炭素原子が遊離の水酸基を有するガラクトース残基(Gal)を含む、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する目的化合物の中間体eを糖受容体とし、これとシアル酸供与体とを基質として、αシアル酸の2-位とガラクトースの3-位の間のエーテル結合を形成する。
ここで、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、中間体eとしては、ガラクトース、N-アセチルラクトサミン(LacNAc)、ルイスX(LeX)の他、6-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-6LacNAc)、6-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-6LacNAc)、6-O-(N-レブリノイル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン及び6-O-(N-アルキル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン等のような6-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-6LacNAc)、6-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-ルイスX(Neu5Acα2-6LeX)、6-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-ルイスX(Neu5Gcα2-6LeX)、6-O-(N-レブリノイル-α-ノイラミノシル)-ルイスX及び6-O-(N-アルキル-α-ノイラミノシル)-ルイスX等のような6-O-α-シアリル-ルイスX(Siaα2-6LeX)を挙げることが出来る。このうち、6-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-6LacNAc)としては、6-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-6LacNAc)又は6-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-6LacNAc)が好ましく、6-O-α-シアリル-ルイスX(Siaα2-6LeX)としては、6-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-ルイスX(Neu5Acα2-6LeX)又は6-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-ルイスX(Neu5Gcα2-6LeX)が好ましい。
一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、α2,3-シアル酸転移工程に使用される糖供与体としては、CMP-N-アセチルノイラミン酸、CMP-N-グライコリルノイラミン酸、CMP-N-レブリノイルノイラミン酸及びCMP-N-アルキルノイラミン酸等のようなシアル酸供与体、並びにそれらの塩を挙げることが出来る。かかるシアル酸供与体としては、CMP-N-アセチルノイラミン酸又はCMP-N-グライコリルノイラミン酸が好ましい。
一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、N-アセチルグルコサミン残基を含まない中間体a又はcを用いるときには、ガラクトースの1-位とN-アセチルグルコサミンの4-位の間の1,4’-β-グリコシド結合をβ1,4-ガラクトース転移酵素によって形成するガラクトース転移工程を実施することによって、目的の化合物を得ることが出来る。β1,4-ガラクトース転移酵素は、N-アセチルグルコサミンを糖受容体とし、1-位炭素原子が遊離の水酸基を有するガラクトース残基(Gal)を含む、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する目的化合物の中間体fを糖供与体として、ガラクトースの1-位とN-アセチルグルコサミンの4-位の間の1,4’-β-グリコシド結合を形成する。
一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、ガラクトース転移工程に使用される糖供与体(中間体f)としては、N-アセチルグルコサミン残基を含まない中間体a又はcのガラクトース残基の1-位がUDP等で活性化された誘導体、並びにそれらの塩を挙げることが出来る。
一般式(2)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、α2,6-シアル酸転移工程において使用される中間体bとしては、ガラクトース、N-アセチルラクトサミン(LacNAc)及びルイスX(LeX)を挙げることが出来る。
一般式(2)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、α2,6-シアル酸転移工程に使用される糖供与体としては、上記と同様のシアル酸供与体及びそれらの塩を挙げることが出来る。かかるシアル酸供与体としては、CMP-N-アセチルノイラミン酸又はCMP-N-グライコリルノイラミン酸が好ましい。
一般式(2)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、フコース転移工程において使用される中間体dとしては、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)及びN-アセチルラクトサミン(LacNAc)や、6-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-6LacNAc)、6-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-6LacNAc)、6-O-(N-レブリノイル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン及び6-O-(N-アルキル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン等のような6-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-6LacNAc)を挙げることが出来る。このうち、6-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-6LacNAc)としては、6-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-6LacNAc)又は6-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-6LacNAc)が好ましい。
また、一般式(2)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、フコース転移工程に使用される糖供与体としては、GDP-フコースのようなフコース供与体及びそれらの塩を挙げることが出来る。
一般式(2)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、N-アセチルグルコサミン残基を含まない中間体b又はdを用いるときには、ガラクトースの1-位とN-アセチルグルコサミンの4-位の間の1,4’-β-グリコシド結合をβ1,4-ガラクトース転移酵素によって形成するガラクトース転移工程を実施することによって、目的の化合物を得ることが出来る。β1,4-ガラクトース転移酵素は、N-アセチルグルコサミンを糖受容体とし、1-位炭素原子が遊離の水酸基を有するガラクトース残基(Gal)を含む、一般式(2)からなる糖鎖構造を有する目的化合物の中間体gを糖供与体として、ガラクトースの1-位とN-アセチルグルコサミンの4-位の間の1,4’-β-グリコシド結合を形成する。
一般式(2)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、ガラクトース転移工程に使用される糖供与体(中間体g)としては、N-アセチルグルコサミン残基を含まない中間体b又はdのガラクトース残基の1-位がUDP等で活性化された誘導体、並びにそれらの塩を挙げることが出来る。
一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物は、以下:
αシアル酸の2-位とガラクトースの6-位の間のエーテル結合をα2,6-シアル酸転移酵素によって形成する工程;
を含む製造方法(B)によって製造することが出来る。
上記の製造方法(B)において、α2,6-シアル酸転移酵素は、6-位炭素原子が遊離の水酸基を有するガラクトース残基(Gal)を含む、一般式(4)からなる糖鎖構造を有する目的化合物の中間体hを糖受容体とし、これとシアル酸供与体とを基質として、αシアル酸の2-位とガラクトースの6-位の間のエーテル結合を形成する。
ここで、一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、α2,6-シアル酸転移工程において使用される中間体hとしては、ガラクトース、N-アセチルラクトサミン(LacNAc)の他、3-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-3LacNAc)、3-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-3LacNAc)、3-O-(N-レブリノイル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン及び3-O-(N-アルキル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン等のような3-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-3LacNAc)を挙げることが出来る。このうち、3-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-3LacNAc)としては、3-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-3LacNAc)又は3-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-3LacNAc)が好ましい。
一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、α2,6-シアル酸転移工程に使用される糖供与体としては、CMP-N-アセチルノイラミン酸、CMP-N-グライコリルノイラミン酸、CMP-N-レブリノイルノイラミン酸及びCMP-N-アルキルノイラミン酸等のようなシアル酸供与体、並びにそれらの塩を挙げることが出来る。かかるシアル酸供与体としては、CMP-N-アセチルノイラミン酸又はCMP-N-グライコリルノイラミン酸が好ましい。
一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、3-O-α-シアリル基を含まない中間体hを用いるときには、αシアル酸の2-位とガラクトースの3-位の間のエーテル結合をα2,3-シアル酸転移酵素によって形成するα2,3-シアル酸転移工程を実施することによって、目的の化合物を得ることが出来る。α2,3-シアル酸転移酵素は、3-位炭素原子が遊離の水酸基を有するガラクトース残基(Gal)を含む、一般式(4)からなる糖鎖構造を有する目的化合物の中間体iを糖受容体とし、これとシアル酸供与体とを基質として、αシアル酸の2-位とガラクトースの3-位の間のエーテル結合を形成する。
ここで、一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、中間体iとしては、ガラクトース、N-アセチルラクトサミン(LacNAc)の他、6-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-6LacNAc)、6-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-6LacNAc)、6-O-(N-レブリノイル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン及び6-O-(N-アルキル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン等のような6-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-6LacNAc)を挙げることが出来る。このうち、6-O-α-シアリル-N-アセチルラクトサミン(Siaα2-6LacNAc)としては、6-O-(N-アセチル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Acα2-6LacNAc)又は6-O-(N-グライコリル-α-ノイラミノシル)-N-アセチルラクトサミン(Neu5Gcα2-6LacNAc)が好ましい。
一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、α2,3-シアル酸転移工程に使用される糖供与体としては、CMP-N-アセチルノイラミン酸、CMP-N-グライコリルノイラミン酸、CMP-N-レブリノイルノイラミン酸及びCMP-N-アルキルノイラミン酸等のようなシアル酸供与体、並びにそれらの塩を挙げることが出来る。かかるシアル酸供与体としては、CMP-N-アセチルノイラミン酸又はCMP-N-グライコリルノイラミン酸が好ましい。
一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、N-アセチルグルコサミン残基を含まない中間体iを用いるときには、ガラクトースの1-位とN-アセチルグルコサミンの4-位の間の1,4’-β-グリコシド結合をβ1,4-ガラクトース転移酵素によって形成するガラクトース転移工程を実施することによって、目的の化合物を得ることが出来る。β1,4-ガラクトース転移酵素は、N-アセチルグルコサミンを糖受容体とし、1-位炭素原子が遊離の水酸基を有するガラクトース残基(Gal)を含む、一般式(1)からなる糖鎖構造を有する目的化合物の中間体jを糖供与体として、ガラクトースの1-位とN-アセチルグルコサミンの4-位の間の1,4’-β-グリコシド結合を形成する。
一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合、ガラクトース転移工程に使用される糖供与体(中間体j)としては、N-アセチルグルコサミン残基を含まない中間体iのガラクトース残基の1-位がUDP等で活性化された誘導体、並びにそれらの塩を挙げることが出来る。
上記の製造方法(A)又は(B)において、各工程は、任意の順序で実施することが出来る。
一般式(1)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合において、上記の中間体a、c、e又はfとしては、当該化合物を製造するために行われる他の工程で得られる生成物を用いるが、その中間体が出発物質である場合には、天然より単離したものやその分解物、又は市販品を用いることにより、目的の化合物を得ることが出来る。
一般式(2)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合において、上記の中間体b、d又はgとしては、当該化合物を製造するために行われる他の工程で得られる生成物を用いるが、その中間体が出発物質である場合には、天然より単離したものやその分解物、又は市販品を用いることにより、目的の化合物を得ることが出来る。
一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造する場合において、上記の中間体h、i又はjとしては、当該化合物を製造するために行われる他の工程で得られる生成物を用いるが、その中間体が出発物質である場合には、天然より単離したものやその分解物、又は市販品を用いることにより、目的の化合物を得ることが出来る。
なお、本発明の製造方法に使用される糖転移酵素として、α2,6-シアル酸転移酵素(α2,6-SiaT;EC: 2.4.99.1;Photobacterium damsela 0160株由来;日本たばこ産業株式会社)、α2,3-シアル酸転移酵素(α2,3-SiaT;2.4.99.5;ラット由来;CalBioChem社)、α1,3-フコース転移酵素(α1,3-FucT;Helicobacter pylori J99B株由来;国際公開第2009/104738号パンフレット)、β1,4-ガラクトース転移酵素(β1,4-GalT;2.5.99.1;ヒト由来;TOYOBO社)等を挙げることが出来る。かかる糖転移酵素としては、天然より単離した酵素タンパク質や大腸菌、昆虫細胞等のタンパク質発現系を用いて大量発現させた組換え酵素タンパク質を用いても良く、市販の糖転移酵素を用いても良い。
各転移工程の反応条件は、使用される転移酵素によって様々であるが、通常、Tris-HCl、HEPES-NaOH、AcONH4、NaOAc、MOPS、CHAPS、グリシン又はリン酸等のバッファー中、pH 3〜12の範囲で実施することが好ましい。前記バッファーは、0〜200 mMの範囲であることが好ましい。また、上記の成分の他に、Mg2+、Mn2+、K+、Na+、Ca2+、Ba2+、Cd2+、Co2+、Cu2+、Ni2+、Zn2+等の酵素の補因子、BSA、Triton(登録商標)、Tween(登録商標)、グリセロール、メルカプトエタノール、カコジル酸ナトリウム類等のタンパク質安定剤を添加することが好ましい。
各転移工程は、温度25〜45℃で実施することが好ましく、0.5時間〜数日間反応させることが好ましい。
上記の糖転移酵素を本発明の製造方法に用いることによって、一般式(1)、(2)又は(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を効率的に製造することが可能となる。
一般式(1)、(2)又は(4)からなる糖鎖構造を有する化合物の還元末端であるN-アセチルグルコサミンの1-位ヒドロキシル基は、以下:
N-アセチルグルコサミンと保護化試薬を反応させて、還元末端以外のヒドロキシル基を保護基で保護する保護化工程;
前記工程の生成物と脱離基導入試薬を反応させて、1-位ヒドロキシル基を脱離基に置換する置換工程;
前記工程の生成物と反応試薬を活性化剤の存在下で反応させて、還元末端を変換する変換工程;
前記工程の生成物と脱保護試薬を反応させて保護基を脱保護して、N-アセチルグルコサミンの還元末端が変換された生成物を得る脱保護工程;
を含む還元末端変換工程により、上記で説明した好適な構造に変換することが出来る。かかる還元末端変換工程は、上記で説明した製造方法(A)又は(B)を実施する前に行っても良く、製造方法(A)又は(B)を実施した後に行っても良い。
ここで保護化工程に使用される保護化試薬としては、無水酢酸/ピリジン、ベンジルクロリド/水素化ナトリウム等を挙げることが出来る。置換工程に使用される脱離基導入試薬としては、無水臭化水素酸、アルキルチオール(EtSH、PhSH等)/ルイス酸(TMSOTf、BF3等)、無水酢酸/ピリジンや、トリクロロアセトイミデート等を挙げることが出来る。変換工程に使用される活性化剤としては、脱離基がハロゲンの場合はAgOTf等の重金属試薬、チオアルキル基の場合はMeOTf若しくはNIS-TfOH等の求核試薬、イミデートやアセテートの場合はTMSOTf若しくはBF3等のルイス酸を挙げることが出来る。また、同工程に使用される反応試薬としては、12-アジドドデシル-1-オール、3-アジドプロピル-1-オール、p-メトキシフェノール等を挙げることが出来る。さらに、脱保護工程に使用される脱保護試薬としては、アシル系保護基に対してはナトリウムメトキシド、DBU等の塩基類を、ベンジル保護基に対してはPd、Pt等の金属触媒存在下による接触還元反応や、ナトリウム−アンモニアによるバーチ還元反応等を挙げることが出来る。
上記の製造方法(A)において、シアル酸供与体としてCMP-N-アセチルノイラミン酸を、フコース供与体としてGDP-フコースを用いることにより、式(3)で表される化合物[式中、R2はN-アセチル-2-デオキシ-α-ノイラミン酸-2-イルである]又はその塩を製造することが出来る。
上記の製造方法(A)において、シアル酸供与体としてCMP-N-アセチルノイラミン酸を、フコース供与体としてGDP-フコースを用いることにより、式(3)で表される化合物[式中、R2は水素である]又はその塩を製造することが出来る。
また、上記の製造方法(B)において、シアル酸供与体としてCMP-N-アセチルノイラミン酸を、フコース供与体としてGDP-フコースを用いることにより、式(5)で表される化合物又はその塩を製造することが出来る。
4. 新規糖鎖化合物の用途
4-1. シアリダーゼ/ウィルス増殖阻害剤
本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物は、シアリダーゼによる加水分解反応に抵抗性を示し、かつウィルス粒子のタンパク質と高い結合活性を示す。また、本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物は、インフルエンザウィルスのような病原性ウィルスに対して増殖阻害活性を示す。それ故、本発明はさらに、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩を有効成分として含有するシアリダーゼ阻害剤又はウィルス増殖阻害剤を提供することが出来る。
本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩を有効成分として含有するシアリダーゼ阻害剤は、上記の作用機作に基づき、in vitroにおいてシアリダーゼ活性又はウィルスの増殖を阻害するために使用することができる。この場合、in vitroにおける使用は、上記の病原性ウィルス及びその病原性ウィルスの宿主となり得るヒト又は非ヒト動物に由来するウィルス−培養細胞系、或いはそれらに由来する天然又は組換え酵素タンパク質を用いる酵素反応系であることが好ましい。
上記の系に本発明のシアリダーゼ阻害剤又はウィルス増殖阻害剤を適用することにより、in vitroにおいてシアリダーゼの活性又はウィルスの増殖を阻害することが可能となる。
4-2. 医薬用途
本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物は、インフルエンザウィルスのような病原性ウィルスに対して増殖阻害活性を示す。それ故、本発明はさらに、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩を有効成分として含有する抗ウィルス薬を提供することが出来る。ここで、本発明の抗ウィルス薬の対象となるウィルス感染症としては、限定するものではないが、例えば、上記の病原性ウィルスに起因するウィルス感染症を挙げることができる。インフルエンザウィルスであることが好ましい。
また、本発明は、ウィルス感染症の予防又は治療を必要とする被験体に、本発明の抗ウィルス薬を投与することを含む、ウィルス感染症の予防又は治療方法を提供することが出来る。ここで、本発明の予防又は治療方法の被験体としては、ウィルス感染症の予防又は治療を必要とするヒト(対象者)又はニワトリ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ若しくはサルのような非ヒト動物を挙げることができる。また、本発明の方法の対象となるウィルス感染症としては、限定するものではないが、例えば、上記の病原性ウィルスに起因するウィルス感染症を挙げることができる。インフルエンザウィルスであることが好ましい。
本発明はさらに、ウィルス感染症の予防又は治療に用いるための、本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩を提供することが出来る。ここで、本発明の化合物の医薬用途の対象となるウィルス感染症としては、限定するものではないが、例えば、上記の病原性ウィルスに起因するウィルス感染症を挙げることができる。インフルエンザウィルスであることが好ましい。
本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩を上記の医薬用途に適用することにより、病原性ウィルスに起因するウィルス感染症を予防又は治療することが可能となる。
4-2 (a) 投与量
本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩を上記の医薬用途に適用する場合、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物の適切な投与量は、当然ながら患者により異なる。一般に、投与量は、実質的に有害な副作用を起こさずに所望の効果を達成する局所濃度を、作用の部位において達成するように選択される。ここで、選択される投与レベルは、限定するものではないが、例えば、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物の活性、投与経路、投与の時間、排出速度、治療の継続期間、組み合わせて使用される他の薬物、並びに患者の年齢、性別、体重、病態、全般的健康状態、及び既往歴を含む種々の因子に依存する。それ故、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物の量及び投与経路の選択は、最終的には医師の裁量に任される。
in vivo投与は、全治療過程を通して、一回の投与で、連続的に、又は断続的に(例えば、適切な間隔をあけて分割投与で)行うことができる。最も効果的な投与手段及び投与量を決定する方法は当業者に公知であり、治療に使用する製剤、治療の目的、及び治療される患者により異なる。1回又は複数回の投与は、治療する医師により選択される用量レベル及びパターンで実施することができる。一般に、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物の好適な用量は、被験体の体重kgあたり1日約10 μg〜約1000 mgの範囲である。
4-2 (b) 製剤
本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩を有効成分として含有する抗ウィルス薬は、該化合物を単独で被験体に投与してもよいが、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩を、該化合物と1種以上の製薬上許容される担体、補助剤、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、補助剤、安定剤、保存剤、滑沢剤、又は当業者に公知の他の材料、及び場合により他の薬物とを共に含む医薬組成物(例えば、製剤)として提供することもできる。それ故、本発明は、ウィルス感染症の予防又は治療に用いるための、本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩、或いは一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩と、1種以上の製薬上許容される上記成分とを含む医薬組成物を提供する。また、本発明は、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩を、1種以上の製薬上許容される担体、補助剤、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、補助剤、安定剤、保存剤、滑沢剤、又は当業者に公知の他の材料、及び場合により他の薬物と混合することを含む、医薬組成物を製造する方法を提供する。さらに、本発明は、ウィルス感染症を予防又は治療するための医薬の製造のための、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物又はその塩の使用を提供する。
本明細書において、「製薬上許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/危険比に相応する、過度の毒性、刺激、アレルギー反応又は合併症を起こさない、被験体(例えば、ヒト)の組織と接触させて使用するのに適した化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を意味する。それぞれの担体、賦形剤等は、製剤の他の成分と共存可能であるという意味でも「許容される」ものでなければならない。上記の担体、希釈剤、賦形剤等は、標準的な薬学の教科書に記載されているものを使用することができる。
製剤は、単位投薬形態として適宜提供することができ、製薬技術分野において周知の任意の方法により調製し得る。このような方法は、本発明の化合物と1種以上の副成分(例えば担体)とを混合する工程を含む。一般的には、製剤は、活性化合物と液体の担体若しくは微細に粉砕された固体の担体又はその両方とを均一かつ緊密に混合し、次いで必要な場合には生成物を成形することにより調製される。
製剤は、液剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、錠剤、ロゼンジ剤、顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、軟膏剤、ゲル剤、ペースト剤、クリーム剤、スプレー剤、ミスト剤、フォーム剤、ローション剤、油剤、ボーラス剤、舐剤、又はエアロゾル剤の形態であればよい。
経口投与(例えば、摂取による)に好適な製剤は、それぞれ所定量の本発明の化合物を含有するカプセル剤、カシェ剤若しくは錠剤などの個別単位として;水性若しくは非水性液体中の溶液剤若しくは懸濁剤として;又は水中油型液体乳剤若しくは油中水型液体乳剤として;ボーラス剤として;舐剤として、又はペースト剤として提供することができる。
錠剤は、場合により1種以上の副成分を加えて、通常の手段、例えば圧縮又は成形により製造することができる。圧縮錠剤は、本発明の化合物を、場合により1種以上の結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アカシアガム、ソルビトール、トラガカント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤又は希釈剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);界面活性剤若しくは分散剤又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム);及び保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)と混合して、好適な機械で圧縮することにより調製し得る。錠剤は、場合によりコーティング又は切込みを施してもよく、また、例えば、所望の放出特性を与える種々の割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて、製剤中に含まれる本発明の化合物の徐放又は制御放出を提供するように製剤してもよい。錠剤は、場合により、胃以外の消化管の部分で放出されるように、腸溶コーティングを施してもよい。
局所投与(例えば、経皮)に好適な製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、粉剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤、又は油剤として製剤することができる。
皮膚を介する局所投与に好適な製剤としては、軟膏剤、クリーム剤、及び乳剤が挙げられる。軟膏剤として製剤する場合、本発明の化合物は、場合によりパラフィン系又は水混和性軟膏基剤のいずれかと共に使用し得る。或いは、本発明の化合物は、水中油型クリーム基剤を用いてクリーム剤として製剤してもよい。所望により、クリーム基剤の水相は、例えば、少なくとも約30質量%の多価アルコール、すなわち、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール並びにそれらの混合物などの2個以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含んでもよい。局所製剤は、皮膚又は他の患部を介する活性化合物の吸収又は浸透を促進する化合物を含むことが好ましい。このような皮膚浸透促進剤の例としては、ジメチルスルホキシド及び関連する類似物を挙げることができる。
局所用乳剤として製剤する場合、油相は場合により乳化剤(他にエマルジェントとしても知られる)のみを含んでもよく、少なくとも1種の乳化剤と脂肪若しくは油、又は脂肪及び油の両方との混合物を含んでもよい。安定剤として作用する親油性乳化剤と共に親水性乳化剤を含むことが好ましい。また、油及び脂肪の両方を含むことが好ましい。上記の乳化剤は、いわゆる乳化ワックスを作り、そのワックスは油及び/又は脂肪と共に、いわゆる乳化軟膏基剤を構成し、これがクリーム製剤の油性分散相を形成する。
好適なエマルジェント及び乳化安定剤としては、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアレート及びラウリル硫酸ナトリウムが挙げることができる。クリーム剤は、好ましくは、油っぽくなく、汚れにくく、洗浄可能な製品であって、チューブ又は他の容器からの漏れを防ぐために適度な粘稠度を有するものでなければならない。ジイソアジペート、イソセチルステアレート、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、イソプロピルミリステート、デシルオレエート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、2-エチルヘキシルパルミテート、又はクロダモルCAP(Crodamol CAP)として知られる分枝鎖エステルの混合物のような、直鎖若しくは分枝鎖の一又は二塩基性アルキルエステルを使用することができる。これらは、要求される特性に応じて、単独で又は組合せて使用すればよい。或いは、白色軟パラフィン及び/若しくは液体パラフィン又は他の鉱油のような高融点脂質を使用することもできる。
非経口投与(例えば、皮膚、皮下、筋肉内、静脈内及び皮内などへの注射による)に好適な製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、静菌剤、及び対象とする患者の血液と製剤を等張にする溶質を含有し得る、水性及び非水性で、等張の、発熱物質を含まない無菌注射溶液剤、懸濁化剤及び増粘剤、並びに血液成分を含んでもよい水性及び非水性の無菌懸濁剤が挙げられる。このような製剤に使用するのに好適な等張媒体の例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液又は乳酸加リンゲル注射液を挙げることができる。製剤は、1回投与量又は複数回投与量の密閉容器、例えば、アンプル及びバイアルに入れて提供することができる。
以上説明したように、本発明の一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物は、シアリダーゼによる加水分解反応に抵抗性を示し、かつウィルス粒子のタンパク質と高い結合活性を示すことから、シアリダーゼ阻害剤及び/又は抗ウィルス薬の有効成分として使用することが出来る。また、本発明の一般式(4)からなる糖鎖構造を有する化合物は、上記のように有用な、一般式(1)又は(2)からなる糖鎖構造を有する化合物を製造するための原料として用いることが出来る。さらに、本発明の製造方法を用いることにより、一般式(1)、(2)又は(4)からなる糖鎖構造を有する化合物を高収率及び高純度で製造することが出来る。
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1:シアリル化反応によるSiaα2-3(Siaα2-6)LacNAc-OC 12 H 24 N 3 の調製
市販のSiaα2-3LacNAcのカルボニル基をエステル化し、ヒドロキシル基をアセチル基で保護した。そのままTMSOTf存在下、あるいは1位をHBr/AcOHにてブロモ化した後AgOTf存在下、12-アジドドデシル-1-オールと反応させた。その後、カルボニル基とヒドロキシル基を脱保護することにより、Siaα2-3LacNAcの還元末端をドデシルアジド(C12H24N3)化した生成物を得た。
得られた生成物(3.5 mg, 終濃度 4 mM)を、50 mM HEPES-NaOH (pH 7.0)、10 mM MnCl2、0.1% BSA、10 mM CMP-NeuAc, 2Na及び100 mU/ml α2,6-シアル酸転移酵素(α2,6-SiaT)を含有する反応溶液中に溶解し、25℃で撹拌することなく反応させた。なお、α2,6-SiaTは、大腸菌発現系によって製造されたPhotobacterium菌由来酵素の組換えタンパク質(EC: 2.4.99.1, 日本たばこ産業株式会社)を用いた。
HPLC分析により反応の進行状況を確認した。その結果、反応開始後4時間で82%、23時間で96%の原料が消費される一方、未同定化合物の蓄積が確認されたことから、反応が順調に進行していることが明らかとなった。
上記の反応溶液から、分取HPLCによりSiaα2-3(Siaα2-6)LacNAc-OC12H24N3を精製し、4.5 mgの該化合物を単離した。
なお、得られた化合物の化学構造は、MS(BRUKER REFLEX III)により決定した。MS: m/z 1174.523(測定値)、1175.19(計算値)。
実施例2:フコシル化反応によるSiaα2-3(Siaα2-6)LeX-OC 12 H 24 N 3 の調製
フコシル化反応に用いるα1,3-フコース転移酵素(α1,3-FucT)を、国際公開第2009/104738号パンフレットに記載の方法にしたがって調製した。
Helicobacter pylori J99B株由来のα1,3-FucTを発現する組換え大腸菌を、2培希釈した2 LのYT培地に植菌し、37℃で8時間前培養した。その後、イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)を終濃度1 mMとなるように添加し、20℃で20時間発現誘導した。
遠心分離(10,000×g、20分間)によって大腸菌を集菌した後、氷冷したバッファー(25 mM Tris-HCl (pH 8.0)、10%(w/v)グリセロール、1 mM メルカプトエタノール)によって菌体を懸濁し、冷却しながらソニケーターにより菌体を破砕(2分間、5回)した。
上記で得られた菌体の破砕液を遠心分離(10,000×g、20分間)して細胞残渣を除き、上清を菌体抽出液として回収した。この菌体抽出液をHisTrap HPカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)にロードして、酵素タンパク質を吸着画分として得た。上記の画分を、バッファー(25 mM グリシン-NaOH (pH 10.0) 、10%(w/v)グリセロール、1 mM メルカプトエタノール)に対して透析した。透析後の画分を、グリシン-NaOH (pH 10.0)で平衡化したHiTrapQ HPカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)にロードして、酵素タンパク質を吸着画分として得た。前記吸着画分を、Superdex 200 pgカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)を用いたゲル濾過クロマトグラフィーにより分画した後、酵素タンパク質を含有する画分を限外濾過にて濃縮し、目的の酵素タンパク質(α1,3-FucT)を得た。
実施例1で得られた化合物(3.5 mg, 終濃度 1 mM)を、50 mM Tris-HCl (pH 8.0)、10 mM MgCl2、0.01% Triton X-100、2.5 mM GDP-Fucose及び0.5若しくは1 U/ml α1,3-FucTを含有する反応溶液中に溶解し、25℃で撹拌することなく反応させた。
HPLC分析により反応の進行状況を確認した。結果を表1に示す。
表1に示すように、1 U/mlの濃度で酵素を使用することにより、反応開始後6日で約41%の基質が消費され、フコシル化反応が進行したことが明らかとなった。
上記の反応溶液から、分取HPLCによりSiaα2-3(Siaα2-6)LeX-OC12H24N3を精製し、1.6 mgの該化合物を単離した。
なお、得られた化合物の化学構造は、NMR(BRUKER ADVANCE 400スペクトロメーター)及びMSにより決定した。NMR(溶媒:重水): δ(ppm)(TMS基準)1.28 (3H, d, J = 6.4 Hz, (FucのCH3)), 1.84 (1H, t, J = 11.6 Hz, (Siaの3-H)), 1.85 (1H, t, J = 11.6 Hz, (Siaの3-H)), 2.04 (3H, s, COCH3), 2.07 (3H, s, COCH3), 2.12 (3H, s, COCH3), 4.56 (1H, d, J = 6.4 Hz, (GlcNAc又はGalの1-H)), 4.58 (1H, d, J = 7.2 Hz, (GlcNAc又はGalの1-H)), 5.00 (1H, d, J = 4.0 Hz, (Fucの1-H));MS: m/z 1320.581(測定値)、1321.33(計算値)。
実施例3:フコシル化反応によるSiaα2-6LeX-OC 12 H 24 N 3 の調製
市販のSiaα2-6LacNAcのカルボニル基をエステル化し、ヒドロキシル基をアセチル基で保護した。そのままTMSOTf存在下、あるいは1位をHBr/AcOHにてブロモ化した後AgOTf存在下、12-アジドドデシル-1-オールと反応させた。その後、カルボニル基とヒドロキシル基を脱保護することにより、Siaα2-6LacNAcの還元末端をドデシルアジド化した生成物を得た。
得られた生成物(3.5 mg, 終濃度 1 mM)を、50 mM Tris-HCl (pH 8.0)、10 mM MgCl2、0.01% Triton X-100、2.5 mM GDP-Fucose及び0.5若しくは1 U/ml α1,3-FucTを含有する反応溶液中に溶解し、25℃で撹拌することなく反応させた。なお、α1,3-FucTは、実施例2と同様の酵素を用いた。
HPLC分析により反応の進行状況を確認した。結果を表2に示す。
表2に示すように、1 U/mlの濃度で酵素を使用することにより、反応開始後6日で約30%の基質が消費され、フコシル化反応が進行したことが明らかとなった。
上記の反応溶液から、分取HPLCによりSiaα2-6LeX-OC12H24N3を精製し、1.2 mgの該化合物を単離した。
なお、得られた化合物の化学構造は、NMR及びMSにより決定した。NMR(溶媒:重水): δ(ppm)(TMS基準)1.27 (3H, d, J = 6.4 Hz, (FucのCH3)), 1.86 (1H, t, J = 12.0 Hz, (Siaの3-H)), 2.05 (3H, s, COCH3), 2.12 (3H, s, COCH3), 4.49 (1H, d, J = 8.0 Hz, (GlcNAc又はGalの1-H)), 4.57 (1H, d, J = 7.6 Hz, (GlcNAc又はGalの1-H)), 5.00 (1H, d, J = 4.0 Hz, (Fucの1-H));MS: m/z 1029.485(測定値)、1030.08(計算値)。
ウィルス粒子との結合活性試験
[糖鎖固定化セファロースの調製]
0.4 mlの75%セファロース懸濁液(NHS-活性化セファロース 4 Fast Flow ラボパック、GEヘルスケア・ジャパン株式会社)を、0℃にて遠心分離して回収し、0.6 mlの1 mM HCl水溶液を加えた。上記の操作を合計3回繰り返し、セファロースを洗浄した。
実施例1〜3の化合物及び対照化合物をPd/C, H2にて還元し、アジド基をアミノ基へと変換した。変換後の化合物(各2 μmol)を0.3 mlのカップリングバッファー(0.2 M NaHCO3、0.5 M NaCl、pH 8.3)中に溶解し、これを上記の洗浄済セファロースと混合して、室温にて30分間攪拌してカップリング反応させた。
反応終了後のセファロースを遠心分離し、0.6 mlのカップリングバッファーで合計3回洗浄した。その後、0.6 mlの洗浄バッファー(0.1 M AcONa、0.5 M NaCl、pH 4.0)にて同様に3回洗浄した。
洗浄後のセファロースを遠心分離し、0.6 mlのブロッキングバッファー(0.5 M エタノールアミン、0.5 M NaCl、pH 8.3)で合計2回洗浄した。その後、0.6 mlのブロッキングバッファーを加え、室温にて30分攪拌して未反応のNHS基をブロックした。
ブロッキング処理終了後のセファロースを遠心分離し、0.6 mlの洗浄バッファーで3回、0.6 mlのブロッキングバッファーで3回、0.6 mlの洗浄バッファーで3回、HEPESバッファー(50mM HEPES, pH 7.6)で3回、順次洗浄して、糖鎖固定化セファロースを得た。
[ウィルス粒子の調製]
以下の方法により、ヒトC型肝炎ウィルス(HCV)粒子を調製した。
文献(Aizaki, H. ら、J. Virol., 第82巻、p. 5715-5724 (2008))の方法に準じて、HCV JFH-1株のゲノムRNAをエレクトロポレーション法によりヒト肝癌細胞株Huh-7に導入し、HCV粒子を産生させた。培養上清を回収後、限外ろ過法による濃縮、ショ糖密度勾配遠心法による分画により、HCV粒子の粗精製を行った。
また、以下の方法により、ヒトB型肝炎ウィルス(HBV)S抗原粒子を調製した。
文献(Yoneyama, T. ら、J. Gen Virol., 第69巻、p. 1931-1939 (1988))の方法に準じて、HBV PreS/S遺伝子領域を組み込んだプラスミドDNAを作製し、HBVのS抗原粒子をHuh-7細胞で産生させた。培養上清を限外ろ過法によって濃縮し、ショ糖密度勾配遠心法による分画により、HBV S抗原粒子を精製した。
[糖鎖固定化セファロースを用いたウィルス-糖鎖相互作用解析]
糖鎖固定化セファロース懸濁液を遠心分離(8,000 rpm, 1分間)して上清を除き、これにゲルと当量のK-Mg HEPESバッファー(250 mM スクロース、150 mM 酢酸カリウム、2 mM MgCl2、50 mM HEPES(pH 7.6))を添加した。
1.5 mLプラスチックチューブに、50 μlのウィルス希釈液(HCV: HCVコア抗原 2.5 pmol相当、HBV: HBV S抗原 5 IU相当)、50 μlの糖鎖固定化セファロース懸濁液、400 μlのK-Mg HEPESバッファーを入れて混和した。その後、各プラスチックチューブをローテーターに固定して、2時間低速回転させ、ウィルス-糖鎖結合反応を行った。
反応終了後、各プラスチックチューブを小型高速遠心機にて12,000 rpmで1分間遠心分離して、上清を除去した。残った沈殿物に0.5 mlのK-Mg HEPESバッファーを加え、ピペッティング操作により混和した。各プラスチックチューブを12,000 rpmで1分間遠心分離して、再び上清を除去した。上記の操作を3回繰り返した後、沈殿物に50 μlのSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)用サンプルバッファーを加えた。なお、以上の操作は4℃又は氷上で行った。
SDS-PAGEバッファーを加えたサンプルを95℃で10分間加熱処理した。各変性タンパク質をSDS-PAGEに供した後、常法にしたがってウエスタンブロット解析を行い、HCVコア抗原又はHBV S抗原を検出した。結果を図1に示す。
図1に示すように、実施例1及び2の化合物は、HCVコア抗原及びHBV S抗原と高い結合活性を示した。実施例3の化合物は、HBV S抗原と高い結合活性を示したが、HCVコア抗原との結合活性を確認することは出来なかった。結合活性に対するシアリル基及びフコシル基導入の影響を評価すると、HCVコア抗原との結合活性は、LeXにシアリル基が導入されることによって低下する傾向を示した(レーン2に対してレーン5、7及び8)。これに対し、HBV S抗原との結合活性は、LeXにシアリル基が導入されることによって向上し、シアリル化されたLacNAcにフコシル基が導入されることによっても向上した(レーン3に対してレーン7、レーン4に対してレーン5、並びにレーン6に対してレーン8)。
ノイラミニダーゼによる加水分解試験
実施例1〜3の化合物、及び実施例3の原料化合物であるSiaα2-6LacNAc-OMP(フコシル基を含まない化合物)(それぞれ100 μM)を、50 mM 酢酸ナトリウム (pH 5.5)、0.1% BSA、50 mM NaCl、10 mM CaCl2及び7.5 mU/ml ノイラミニダーゼを含有する反応溶液中に加え、25℃で撹拌することなく反応させた。なお、ノイラミニダーゼは、Vibrio cholerae由来の市販品(EC: 3.2.1.18、シグマ社)を用いた。
HPLC分析により生成物を確認した。結果を表3に示す。なお、表中、「比較例」は、Siaα2-6LacNAc-OMPを意味する。
表3に示すように、フコシル基を有する実施例3の化合物は、6-O-シアリル基の加水分解が進行せず、ノイラミニダーゼ活性に抵抗性を有することが明らかとなった。シアリル基を3-位と6-位に有する実施例2の化合物では、6-O-シアリル基はノイラミニダーゼ存在下でも安定に保持されたが、3-O-シアリル基は加水分解された。これに対し、フコシル基を有しない実施例1の化合物の場合、何れのシアリル基も加水分解を受けたため、3-O-シアリル基、6-O-シアリル基並びに3-O-シアリル基及び6-O-シアリル基の加水分解物という、3種類の生成物が確認された。また、比較例の化合物の場合も、6-O-シアリル基の加水分解物が生成した。
以上の結果を考察する。ノイラミニダーゼ活性に抵抗性を有する化合物やノイラミニダーゼ阻害活性を有する化合物は、それ自体抗ウィルス薬の有効成分として有用であるだけでなく、さらに高い効果を示す新規抗ウィルス薬開発のリード化合物としても極めて有用である。
表3に示すように、本発明の実施例2及び3の化合物は、ノイラミニダーゼ活性に対して高い抵抗性を示した。この性質は、グルコース残基に導入されたフコシル基の存在により、ノイラミニダーゼとの親和性が変化したことに起因すると考えられる。一方、図1に示すように、本発明の実施例1〜3の化合物は、HCVコア抗原及び/又はHBV S抗原と高い結合活性を示した。以上のように、本発明の化合物は、ウィルスタンパク質によって認識され、かつノイラミニダーゼ活性に抵抗性を示すことから、ウィルス増殖阻害活性を示すことが期待される。
インフルエンザウィルス増殖阻害活性試験
[ウィルス及び細胞の調製]
インフルエンザウィルス A/PR/8/1934 (H1N1)は、10日齢発育鶏卵の尿膜腔内で35℃、48時間培養し、−80℃で保存したものを使用した。
インフルエンザウィルス増殖阻害活性試験では、ウシ血清(Bovine Calf Serum)を10%添加した最小必須培地(minimal essential medium : MEM)で培養したイヌ腎臓細胞(Mardin-Darby canine kidney : MDCK)を使用した。
[インフルエンザウィルス増殖阻害活性試験]
供試化合物のインフルエンザウィルス増殖阻害活性は、ウィルス収量減少量を指標に評価した。ウィルス収量減少量は、MDCK細胞を用いた時の25-100 PFUのPR8株プラーク阻害によって決定した。供試化合物を含まない対照区の溶液を用いた場合のウィルス収量減少量に対する供試化合物を含む試料溶液を用いた場合のウィルス収量減少量の比を、インフルエンザウィルス増殖阻害率(%)として算出した。
試料溶液は、PBSバッファーに供試化合物を溶解して調製した。なお、供試化合物は、実施例2と同様の方法で調製された、還元末端の基がp-メトキシフェニルであるSiaα2-3(Siaα2-6)LeX-OMPを使用した。抽出したインフルエンザウィルスと試料溶液とを混合し、4℃で1時間培養した。インフルエンザウィルスは、終濃度1×103 PFU/0.1 ml、試料溶液は、終濃度0.62 mM又は0.54 mMの2段階の濃度になるようにそれぞれ調製した。培養後、培養液を、MDCK細胞を前培養した2枚の12ウェルマイクロタイタープレートに分注した。一方のプレートは4℃で1時間培養し、もう一方は35℃で1時間培養した。培養後、ウィルス溶液を取り除き、PBSバッファーで洗浄し、続いて、0.7% Bacto-agar (Difco)及び0.5 μgのアセチル化トリプシン(Sigma-Aldrich)を含むMEM寒天培地で、35℃、48時間培養した。その後、寒天培地をneutralredで染色し、形成されたプラークの数を計測した。
その結果、終濃度0.62 mMのSiaα2-3(Siaα2-6)LeX-OMPを含む試料溶液を用いた場合、インフルエンザウィルス増殖阻害率は69.2%であった。
本発明の化合物は、ウィルス粒子のタンパク質と高い結合活性を示し、かつノイラミニダーゼによるシアル酸の加水分解反応に抵抗性を示す。それ故、本発明の化合物をリード化合物として利用することにより、インフルエンザウィルス等に対する抗ウィルス薬の開発が可能となる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (9)

  1. 式:

    [式中、
    Xは、Oであり;
    R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換の脂肪族複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、アミノ酸、ペプチド又は糖基であり;
    R2は、N-アセチル-2-デオキシ-α-ノイラミン酸-2-イルである]
    で表される化合物又はその塩。
  2. XがOであり、かつR1が水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基であり、R2がN-アセチル-2-デオキシ-α-ノイラミン酸-2-イルである、請求項の化合物又はその塩。
  3. 式:

    [式中、
    Xは、Oであり;
    R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換の脂肪族複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、アミノ酸、ペプチド又は糖基である]
    で表される化合物又はその塩。
  4. XがOであり、かつR1が水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基である、請求項の化合物又はその塩。
  5. 請求項1又は2の化合物又はその塩を含有するシアリダーゼ阻害剤。
  6. 式:

    [式中、
    Xは、Oであり;
    R 1 は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換の脂肪族複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、アミノ酸、ペプチド又は糖基であり;
    R 2 は、N-アセチル-2-デオキシ-α-ノイラミン酸-2-イルである]
    で表される化合物又はその塩の製造方法であって、以下:
    αシアル酸の2-位とガラクトースの6-位の間のエーテル結合をα2,6-シアル酸転移酵素によって形成する工程;
    αフコースの1-位とN-アセチルグルコサミンの3-位の間の1,3’-α-グリコシド結合をα1,3-フコース転移酵素によって形成する工程;
    を含む、前記製造方法。
  7. 式:

    [式中、
    Xは、Oであり;
    R 1 は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換の脂肪族複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、アミノ酸、ペプチド又は糖基である]
    で表される化合物又はその塩の製造方法であって、以下:
    αシアル酸の2-位とガラクトースの6-位の間のエーテル結合をα2,6-シアル酸転移酵素によって形成する工程;
    を含む、前記製造方法。
  8. 請求項1又は2の化合物又はその塩を有効成分として含有する抗ウィルス薬。
  9. 前記ウィルスがインフルエンザウィルスである、請求項の抗ウィルス薬。
JP2011536112A 2009-10-15 2010-10-07 シアリルラクトサミン系、シアリルルイスx系のシアル酸とフコース含有新規糖鎖化合物 Active JP5522640B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011536112A JP5522640B2 (ja) 2009-10-15 2010-10-07 シアリルラクトサミン系、シアリルルイスx系のシアル酸とフコース含有新規糖鎖化合物

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009238144 2009-10-15
JP2009238144 2009-10-15
JP2011536112A JP5522640B2 (ja) 2009-10-15 2010-10-07 シアリルラクトサミン系、シアリルルイスx系のシアル酸とフコース含有新規糖鎖化合物
PCT/JP2010/067614 WO2011046057A1 (ja) 2009-10-15 2010-10-07 シアリルラクトサミン系、シアリルルイスx系のシアル酸とフコース含有新規糖鎖化合物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2011046057A1 JPWO2011046057A1 (ja) 2013-03-07
JP5522640B2 true JP5522640B2 (ja) 2014-06-18

Family

ID=43876108

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011536112A Active JP5522640B2 (ja) 2009-10-15 2010-10-07 シアリルラクトサミン系、シアリルルイスx系のシアル酸とフコース含有新規糖鎖化合物

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5522640B2 (ja)
WO (1) WO2011046057A1 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10500948A (ja) * 1994-05-18 1998-01-27 グリコメド・インコーポレイテッド シアル酸/フコース含有薬剤
JP2006223198A (ja) * 2005-02-17 2006-08-31 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 転移酵素による化合物ライブラリーおよびその製造方法
JP2006271372A (ja) * 2005-03-01 2006-10-12 Yamasa Shoyu Co Ltd 糖鎖の製造法
JP2007527539A (ja) * 2004-03-05 2007-09-27 ザ スクリプス リサーチ インスティテュート ハイスループットグリカンマイクロアレイ
JP2007297521A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Noguchi Inst 多様性を表現するオリゴ糖またはその誘導体
JP2007308444A (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Kitasato Gakuen シアル酸含有糖鎖複合体及びその製造方法、並びに、該シアル酸含有糖鎖複合体を含有する抗インフルエンザウイルス剤
JP2008195667A (ja) * 2007-02-14 2008-08-28 Japan Science & Technology Agency 2−6シアリル6−スルホラクトサミン糖鎖含有化合物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10500948A (ja) * 1994-05-18 1998-01-27 グリコメド・インコーポレイテッド シアル酸/フコース含有薬剤
JP2007527539A (ja) * 2004-03-05 2007-09-27 ザ スクリプス リサーチ インスティテュート ハイスループットグリカンマイクロアレイ
JP2006223198A (ja) * 2005-02-17 2006-08-31 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 転移酵素による化合物ライブラリーおよびその製造方法
JP2006271372A (ja) * 2005-03-01 2006-10-12 Yamasa Shoyu Co Ltd 糖鎖の製造法
JP2007297521A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Noguchi Inst 多様性を表現するオリゴ糖またはその誘導体
JP2007308444A (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Kitasato Gakuen シアル酸含有糖鎖複合体及びその製造方法、並びに、該シアル酸含有糖鎖複合体を含有する抗インフルエンザウイルス剤
JP2008195667A (ja) * 2007-02-14 2008-08-28 Japan Science & Technology Agency 2−6シアリル6−スルホラクトサミン糖鎖含有化合物

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010067594; Journal of Organic Chemistry Vol.61, 1996, p.8632-8635 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2011046057A1 (ja) 2011-04-21
JPWO2011046057A1 (ja) 2013-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Xiao et al. Chemoenzymatic synthesis of a library of human milk oligosaccharides
Boons et al. Recent advances in O-sialylation
US5374655A (en) Methods for the synthesis of monofucosylated oligosaccharides terminating in di-N-acetyllactosaminyl structures
TW446710B (en) Preparation and use of sulfated oligosaccharides
US5646123A (en) Time dependent administration of oligosaccharide glycosides related to blood group determinants having a type I or type II core structure in reducing inflammation in a sensitized mammal arising form exposure to an antigen
US5580858A (en) Immunosuppressive and tolerogenic modified Lewisx compounds
de Lederkremer et al. Glycobiology of Trypanosoma cruzi
Yu et al. Enzymatic and chemoenzymatic syntheses of disialyl glycans and their necrotizing enterocolitis preventing effects
ALFRED GOTTSCHALK Neuraminidase: its substrate and mode of action
Neres et al. Rational drug design in parasitology: trans-sialidase as a case study for Chagas disease
Hirai et al. Ganglioside GM3 analogues containing monofluoromethylene-linked sialoside: synthesis, stereochemical effects, conformational behavior, and biological activities
AU2010233367A1 (en) 6"-sialyllactose salts and process for their synthesis and for the synthesis of other a-sialyloligosaccharides
Von Itzstein et al. Sialic acids and sialic acid-recognising proteins: Drug discovery targets and potential glycopharmaceuticals
JP5072264B2 (ja) シアル酸含有糖鎖複合体及びその製造方法、並びに、該シアル酸含有糖鎖複合体を含有する抗インフルエンザウイルス剤
JP5522640B2 (ja) シアリルラクトサミン系、シアリルルイスx系のシアル酸とフコース含有新規糖鎖化合物
JPH07502011A (ja) 免疫抑制性および寛容原性のオリゴ糖誘導体
David et al. Immobilized enzymes in preparative carbohydrate chemistry
WO1998048817A1 (en) Use of sialyl galactosides and related compounds as anti-angiogenic agents
WO1993024505A1 (en) Reducing inflammation by time dependent administration of oligosaccharides glycosides related to blood group determinants
Terabayashi et al. Inhibition of influenza-virus-induced cytopathy by sialylglycoconjugates
CZ89098A3 (cs) Syntetické polylaktosaminy obsahující až multivalentní sLEX a metody pro jejich použití
Liang et al. Sialoside arrays: new synthetic strategies and applications
JPH06510746A (ja) 免疫抑制性および寛容原性修飾ルイスxおよびルイスa化合物
Bose et al. Sialic acid-containing molecules in drug discovery and development
US7932236B2 (en) Glycolipids

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140311

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5522640

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250