JP2006218392A - 汚染物の浄化方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排出酸性ガス量の低減と共に、浄化処理コストの低減ができ、浄化物がアルカリ性になる虞も少ない汚染物の浄化方法の提供。
【解決手段】有機ハロゲン化合物に汚染された汚染物を還元加熱する還元加熱工程と、該工程により生成した排ガスを浄化する排ガス処理工程とを備え、前記排ガス処理工程は、排ガスと油とを接触させ、排ガス中の未分解有機ハロゲン化合物を油に吸収させる油洗浄工程と、油洗浄工程後の油にアルカリ金属を加えて油中の有機ハロゲン化合物を分解する分解工程と、分解工程後の油に水を添加して、油中のアルカリ金属及びハロゲン化アルカリ金属塩を水に吸収させる水和工程とを備えた汚染物の浄化方法であって、前記排ガス処理工程は、排ガスと水とを接触させることにより排ガス中の分解生成物である酸性ガスを水に吸収させる水洗浄工程を更に備え、該水洗浄工程後の水を前記水和工程にて油に添加する水として用いる方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、BHC、HCB、DDT、ドリン剤、PCB、ダイオキシン等の有機ハロゲン化合物に汚染された汚染物、特に、BHC、HCB、DDT、ドリン剤等に汚染された農薬、該農薬を含む土等の浄化方法及びその装置に関する。
従来、この種の汚染物の浄化方法としては、汚染物を還元加熱して有機ハロゲン化合物を熱分解させると共に、生成した排ガスを浄化する方法が採用されている(特許文献1)。
そして、生成した排ガスを浄化する方法として詳しくは、先ず、油との接触により排ガス中に含まれる未分解の有機ハロゲン化合物を油に吸収させ、該油にナトリウムを添加して有機ハロゲン化合物を分解し、次いで、該油に水を添加して油中のアルカリ金属及び反応生成物(ハロゲン化アルカリ金属塩)を水に吸収させ、該水を分離除去した後、残存する油を有機ハロゲン化合物の吸収に再利用する方法が採用されている。
特開2003−225643号公報
斯かる従来の方法によれば、還元加熱により汚染物を浄化することができ、また、還元加熱により生成した排ガスに含まれる有機ハロゲン化合物を油に吸収させてアルカリ金属により分解できるので、排ガスも浄化することができる。
しかしながら、斯かる従来の方法に於いては、汚染物を還元加熱すると、還元加熱後の排ガスには有機ハロゲン化合物以外に有機ハロゲン化合物の熱分解により生成した酸性ガス(例えば、塩素ガス、塩酸ガス等)が含まれることとなるため、そのまま排ガスを系外(大気中)に放出できないという問題がある。特に、農薬のように有機ハロゲン化合物濃度が数%〜数十%である汚染物を浄化処理する場合には、排ガス中に多量の酸性ガスが含まれることとなるため、この問題はより大きなものとなる。
これに対して、還元加熱前に、汚染物に過剰の中和剤を添加する方法も考えられるが、このような方法では、多量の中和剤が必要になるため、浄化処理にコストがかかると共に、還元加熱された浄化物(汚染物を浄化したもの)がアルカリ性になるという問題がある。
一方、還元加熱する前に中和剤を添加せず、排ガス中の酸性ガスを水との接触により水に吸収させる方法も考えられるが、このような方法であっても、酸性ガスを吸収した水の排水処理にコストがかかり、結局、浄化処理全体としてコストがかかることとなる。
従って、本発明は、上記問題点に鑑み、排出される酸性ガスの量を低減できると共に、浄化処理のコストを低減でき、しかも、浄化物がアルカリ性になる虞も少ない汚染物の浄化方法およびその装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、有機ハロゲン化合物に汚染された汚染物を還元加熱することにより、該汚染物を浄化する還元加熱工程と、該還元加熱工程により生成した排ガスを浄化する排ガス処理工程とを備え、
前記排ガス処理工程は、排ガスと油とを接触させることにより排ガス中に含まれる未分解の有機ハロゲン化合物を油に吸収させる油洗浄工程と、油洗浄工程後の有機ハロゲン化合物を吸収した油にアルカリ金属を加えて有機ハロゲン化合物を分解する分解工程と、分解工程後の油に水を添加して、油中のアルカリ金属及びハロゲン化アルカリ金属塩を水に吸収させる水和工程とを備えてなる汚染物の浄化方法であって、
前記排ガス処理工程は、排ガスと水とを接触させることにより排ガス中に含まれる有機ハロゲン化合物の熱分解生成物たる酸性ガスを水に吸収させる水洗浄工程を更に備え、該水洗浄工程により酸性ガスが吸収された水を前記水和工程にて油に添加する水として用いることを特徴とする汚染物の浄化方法を提供する。
本発明に於いては、還元加熱工程により有機ハロゲン化合物が分解して酸性ガス(ハロゲンガス、ハロゲン化水素)が生成し、該酸性ガスが排ガス中に含まれることとなるが、水洗浄工程により排ガス中の酸性ガスを水に吸収させることから、酸性ガスの排出量を低減できる。
更に、水洗浄工程により、酸性ガスが溶け込んだ酸性の水が生じることとなるが、この水は、水和工程に於ける油に添加する水として利用することにより、分解工程後の油中に存在するアルカリ金属によって中和されることとなる。
従って、酸性ガスが溶け込んだ水の排水処理にコストがかかるという虞も低減できる。また、還元加熱工程前に予め汚染物に中和剤を添加しておく必要がなく、浄化処理のコストを低減できると共に、浄化物がアルカリ性となる虞も低減できる。
本発明に係る汚染物の浄化方法に於いて、前記水洗浄工程は、油洗浄工程後の排ガスを水と接触させる工程であるのが好ましい。
斯かる方法によれば、油洗浄工程を経た排ガスを水洗浄工程で水と接触させることから、有機ハロゲン化合物が油に吸収される前に水洗浄工程にて水に吸収されることがなく、有機ハロゲン化合物が分解工程の処理(分解)を受けずにそのまま系外に排出されという虞が低減される。
また、本発明は、有機ハロゲン化合物に汚染された汚染物を還元加熱し該汚染物を浄化する還元加熱装置と、該還元加熱装置により生成された排ガスを浄化する排ガス処理装置とを備え、
前記排ガス処理装置は、排ガスと油とを接触させることにより排ガス中に含まれる未分解の有機ハロゲン化合物を油に吸収させる油洗浄装置と、該油洗浄装置により有機ハロゲン化合物を吸収した油に、アルカリ金属を加えて有機ハロゲン化合物を分解する分解装置と、該分解装置により有機ハロゲン化合物が分解された油に、水を加えて油中のアルカリ金属及びハロゲン化アルカリ金属塩を水に吸収させる水和装置とを備えてなる汚染物の処理装置であって、
前記排ガス処理装置は、排ガスと水とを接触させることにより排ガス中に含まれる有機ハロゲン化合物の熱分解生成物たる酸性ガスを水に吸収させる水洗浄装置を備え、該水洗浄装置により排ガスを吸収した水が、前記水和装置の油に添加する水として用いられるように構成されていることを特徴とする汚染物の浄化装置を提供する。
本発明に係る汚染物の浄化装置に於いては、前記水洗浄装置が、前記油洗浄装置により有機ハロゲン化合物が油に吸収された後の排ガスと水とを接触させるように構成されてなるものが好ましい。
以上の通り、本発明によれば、浄化処理のコストを低減できると共に、浄化物がアルカリ性になる虞も低減できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、第1実施形態の汚染物の浄化装置を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態の汚染物Aの浄化装置は、有機塩素化合物に汚染された汚染物Aを還元加熱し、該汚染物Aを浄化する還元加熱装置1と、該還元加熱装置1により生成された排ガスDを浄化する排ガス処理装置10とを備えて構成されている。
尚、本実施形態に於いては、汚染物Aとして、農薬及び水分を含む土(含水率25〜35重量%の土)が採用されている。
前記還元加熱装置1は、内部で汚染物Aを加熱する円筒状の加熱炉2と、該加熱炉2内を還元雰囲気にすべく加熱炉2内に窒素Bを供給する窒素供給装置3と、前記加熱炉2を加熱する燃焼装置6と、前記加熱炉2内に汚染物Aを導入する汚染物導入部4と、加熱炉2から排出された浄化物(汚染物Aが浄化されたもの)を冷却する冷却器5とを備えて構成されている。
前記還元加熱装置1は、加熱炉2内で有機塩素化合物が酸化することによってダイオキシン等の有害物質が生成されることを防止すべく、還元雰囲気、詳しくは、酸素濃度が3vol%以下好ましくは1vol%以下となるように設定されている。
また、前記加熱炉2の炉内温度が通常350〜700℃、好ましくは、450〜600℃で、汚染物Aが加熱炉2内に導入されてから通常20〜180分、好ましくは30〜120分で排出されるように設定されている。
前記排ガス処理装置10は、前記加熱炉2から排出された排ガスD中に含まれるダストを除去するための集塵装置11と、ダストが除去された排ガスDと油Cとを接触させることにより、気化によって排ガスD中に含まれることとなった未分解の有機塩素化合物を油Cに吸収させて洗浄除去する油洗浄装置12と、該油洗浄装置12により洗浄された排ガスDと水Eとを接触させることにより、排ガスD中に含まれている酸性ガスを水Eに吸収させて洗浄除去する水洗浄装置17と、該油洗浄装置12により有機塩素化合物を吸収した油Cにアルカリ金属を加えて有機塩素化合物を分解する分解装置14と、該分解装置14により有機塩素化合物が分解された油Cに、水Eを加えて油C中のアルカリ金属及び塩化アルカリ金属塩を水Eに抽出させる水和装置15と、水和装置15に於ける水和により生成された水和液を水Eと油Cとに分離する油水分離装置16とを備えて構成されている。
更に、本実施形態に於いては、有機塩素化合物を吸収することとなった油Cに分解装置14にてアルカリ金属を加える前に、油Cと油Cに混じる凝縮水Eとを分離する油水分離装置13を備えている。即ち、本実施形態に於いては、汚染物Aとして水分を含む土が採用されていることから、排ガスD中には水分が含まれ、油洗浄装置12により有機塩素化合物を吸収した油Cには、排ガスD中の水分が凝縮した凝縮水Eが混じることになるが、該凝縮水Eは、分解装置14にてアルカリ金属が加えられる前に、油水分離装置13によって油Cと分離されるようになっている。
前記集塵装置11としては、具体的には、排ガスDを高温(通常180〜300℃)に維持しながら集塵を行うことのできるバグフィルターが採用されている。尚、温度が低い場合、未分解の有機塩素化合物がスケーリングする虞がある。
前記油洗浄装置12としては、一般に、筒内に於いて互いに衝突するようにガスと洗浄剤たる液体とを流すことにより、ガスと洗浄剤とを接触させてガスを洗浄する装置(所謂スクラバー)であって、洗浄剤として油Cが用いられたオイルスクラバー12と称されるものが用いられている。
前記オイルスクラバー12は、筒状に形成され且つ縦置きに配されて、内部で気液接触が行われるスクラバー本体12aを備え、該スクラバー本体12aは、中段からバグフィルター11によりダストの除去された排ガスDが供給され、排ガスDと油Cとが接触するように上方から油Cが散布されるように構成されている。
更に、前記オイルスクラバー12は、下部の底から該油C及び凝縮した水Eが、最上部から有機塩素化合物の除去された排ガスDが排出されるように構成されている。
また、前記オイルスクラバー12は、スクラバー本体12a下部に、散布した油C及び凝縮した水Eが貯留されるようになっており、更に、スクラバー本体12aの下部に貯留された油Cを循環させうるように構成されている。
具体的には、スクラバー本体12aの下部から油Cを抜き出し、抜き出された油Cをポンプ23により上方に供給し、上方から再度散布しうる油循環機構を備えて構成されている。
尚、本実施形態に於いては、前記油Cとしては、水Eと層分離して下層に水層、上層に油層が形成されるように、水Eよりも比重の軽い炭化水素油Cが用いられて構成されている。
炭化水素油Cとしては特に限定されず、例えば沸点が90℃以上のものを利用でき、鎖式炭化水素油、芳香族炭化水素油、脂環式炭化水素油を利用できるが、処理対象が農薬含有汚染物Aであることから、芳香族炭化水素又は脂環式炭化水素を利用することが好ましい。これは農薬に含まれる有機塩素化合物の構造が芳香族もしくは脂環式であるため、洗浄剤(有機塩素化合物を吸収する油C)として芳香族炭化水素又は脂環式炭化水素を使用することで、未分解の有機塩素化合物をより溶解させることができるためである。
尚、鎖式の炭化水素としては、炭素数9〜13のノルマルパラフィンを挙げることができ、市販品としては、商品名「NSクリーン」(ジャパンエナジー社製)を挙げることができる。ノルマルパラフィンは、後段の分解装置14(分解工程)に於いてアルカリ金属を添加した際に、アルカリ金属と反応し難く、しかも、有機ハロゲン化合物(本実施形態に於いては有機塩素化合物)を溶解し易いという利点がある。また、芳香族または脂環式の炭化水素油としてはトルエン、キシレン、ジメチルベンゼン等を挙げることができ、市販品としては、商品名「EMクリーン」(ジャパンエナジー社製)等を挙げることができる。
更に、前記オイルスクラバー12には、スクラバー本体12a下部に於ける水層と油層との界面位を認知するセンサーが備えられてなり(図示せず)、水層と油層との界面が油抜き出し位置よりも上になる前に、底から油C及び水Eが排出されるようになっている。
前記水洗浄装置17は、所謂水スクラバー17と称されるもので、該水スクラバー17は、内部で気液接触が行われる円筒状で縦置きに配されたスクラバー本体17aを備え、該スクラバー本体17aは、中段からオイルスクラバー12を経た排ガスDが供給され、排ガスDと水Eとが接触するように上方から水Eが散布されるように構成されている。
更に、前記水スクラバー17は、スクラバー本体17a下部の底から水Eが、最上部から有機塩素化合物及び酸性ガスの除去された排ガスDが排出されるように構成されている。
また、前記水スクラバー17は、スクラバー本体17aの下部に、散布した水Eが貯留されるように構成されてなり、更に、貯留された水Eを抜き出し、ポンプ22により上方に供給し、上方から散布する水循環機構を備えて構成されている。
尚、本実施形態に於いては、水スクラバー17から排出された排ガスDは、微量のダストを除去する活性炭吸着塔26を介して大気中に放出されるように構成されている。
前記油水分離装置13は、オイルスクラバー12から排出された油C及び水Eを静置分離により分離する装置であり、貯留槽を備え、油Cを貯留槽上部から、水Eを下部から排出しうるように構成されている。
前記分解装置14は、反応槽を備え、前記油水分離装置13により水Eと分離された油Cにアルカリ金属を添加し、具体的にはナトリウムを分散体の状態で添加し、反応槽内で油Cに含まれる有機塩素化合物を脱塩素化させる装置である。この分解装置14に於いては、未分解のまま有機塩素化合物が残存しないように、過剰の(脱塩素化に理論上必要なアルカリ金属よりも多い)アルカリ金属が添加されるように設定されている。
前記水和装置15は、分解装置14によって有機塩素化合物が分解され且つ未反応のアルカリ金属及び反応生成物(塩化ナトリウム塩)を含む油Cに、水Eを添加してアルカリ金属及び反応生成物を水Eに抽出させて、水E及び油Cとを含む水和液を排出する装置である。
本実施形態に於いては、水和装置15で添加される水Eとして、水スクラバー17から排出された水E、即ち、前記水スクラバー17により酸性ガスを吸収した水Eが用いられるように構成され、更に、前記油水分離装置13により有機塩素化合物を吸収した油Cと分離された水Eも、水和装置15で添加される水Eとして用いられるように構成されている。
具体的には、前記油水分離装置13から排出された水E及び水スクラバーから排出された水Eを貯留する水和用水貯留槽30が備えられ、水和装置15にて添加する水Eとして、該水和用水貯留槽30内の水Eが水和装置15に供給されるように構成されている。
前記水和装置15に於いては、油C中に残存するアルカリ金属及び反応生成物が水Eに溶解されると共に、アルカリ金属が水Eに含まれる塩素、塩酸によって中和されることとなる。
従って、水和装置15内の水Eを中性域に保つことが可能となると共に、アルカリ金属の溶解した水E及び酸性ガスを吸収した水Eをそれぞれ排水処理するためのコストが低減されることとなる。
前記油水分離装置16は、水和装置15から排出される水和液を静置分離や蒸留等によって水Eと油Cに分離して排出する装置である。
本実施形態に於いて、油水分離装置16から排出された油C及び水Eは、それぞれオイルスクラバー12及び水スクラバー17に於いて散布される油C及び水Eとして再利用されうるように構成され、更に、複数回循環した後に排出されうるように構成されている。
本実施形態の汚染物Aの浄化装置は、上記の如く構成されてなるが、次に、該装置を用いた汚染物Aの浄化方法について説明する。
本実施形態の汚染物Aの浄化方法は、有機塩素化合物に汚染された汚染物Aを還元加熱することにより該汚染物Aを浄化する還元加熱工程と、該還元加熱工程により生成した排ガスDを浄化する排ガス処理工程とを備え、
前記排ガス処理工程は、排ガスDと油Cとを接触させることにより排ガスD中に含まれる未分解の有機塩素化合物を油Cに吸収させる油洗浄工程と、油洗浄工程後の排ガスDと水Eとを接触させることにより排ガスD中に含まれる有機塩素化合物の熱分解生成物たる酸性ガスを水Eに吸収させる水洗浄工程と、油洗浄工程後の有機塩素化合物を抽出した油Cにアルカリ金属を加えて有機塩素化合物を分解する分解工程と、分解工程後の油Cに水Eを添加して、油C中のアルカリ金属及び塩素化アルカリ金属塩を水Eに抽出させる水和工程とを備えてなる。
本実施形態に於いては、先ず、還元雰囲気下で汚染物Aを加熱する前記還元加熱工程を行う。
具体的には、窒素供給装置3により加熱炉2内に窒素Bを供給して還元雰囲気とし、燃焼装置6により加熱炉2を加熱した状態で、中和剤を添加することなく、汚染物導入部4から汚染物Aを加熱炉2内に導入して還元加熱する。
斯かる操作により、加熱炉2内では有機塩素化合物の一部が熱分解する共に、未分解の有機塩素化合物及び水分が蒸発する。
また、未分解の有機塩素化合物及び水分は、排ガスD中の成分として加熱炉2の外部に排出される。
次いで、還元加熱工程により生成した排ガスDを浄化する排ガス処理工程を行う。
排ガス処理工程に於いては、排ガスDと油Cとを接触させることにより排ガスD中に含まれる未分解の有機塩素化合物を油Cに吸収させる油洗浄工程と、油洗浄工程後の排ガスDと水Eとを接触させることにより酸性ガスを水Eに吸収させる水洗浄工程とを実施することにより、排ガスDを洗浄する。
具体的には、先ず、加熱炉2からの排ガスDをオイルスクラバー本体12aに供給し、オイルスクラバー本体12a内にて、油Cを上方から散布することにより排ガスDと油Cとを十分に接触させて、排ガスD中の有機塩素化合物を油Cに吸収させる。
斯かる操作により、オイルスクラバー本体12a内では、排ガスDから有機塩素化合物が除去されると共に、有機塩素化合物を吸収した油Cと排ガスD中の水分が凝縮し且つ塩素ガス、塩酸ガスの一部が溶け込んだ水Eとが下部に貯留されることとなる。
次いで、油Cと接触して有機塩素化合物が除去された排ガスDをオイルスクラバー本体12aの最上部から排出して水スクラバー17に供給し、水スクラバー本体17a内にて、水Eを上方から散布することにより排ガスDと水Eとを十分に接触させる。
斯かる操作により、オイルスクラバー12から排出される排ガスD中に含まれる塩素ガス、塩酸ガスが排ガスDから除去されることとなる。
前記排ガス処理工程に於いて、油洗浄工程により有機塩素化合物を吸収した油Cは、先ず、油水分離により該油Cに混じる凝縮水Eと分離する。
具体的には、オイルスクラバー12の底から排出される油Cと水Eとを油水分離装置13の貯留槽内に供給し、静置分離により、油Cと水Eとに分離する。
尚、分離した水Eを、水スクラバー17から排出される水Eと共に水和用水貯留槽30に供給して貯留する。
次いで、水Eが分離された油C中にアルカリ金属を加えて有機ハロゲン化合物を分解する分解工程を行う。
具体的には、水Eが分離された油Cを分解装置14の反応槽に供給し、更に、過剰のナトリウム分散体、反応促進剤としての低級アルコール(例えば、イソプロピルアルコール)を添加し、該反応槽内に於いて脱塩素化反応(分解)を行う。
尚、ナトリウム分散体の添加量は、分解に要する理論当量の2〜4倍となる量とするのが好ましい。
次いで、分解工程後の油Cに水Eを添加して、油C中のアルカリ金属及び塩素化アルカリ金属塩を水Eに吸収させる水和工程を行う。この水和工程に於いては、添加する水Eとして、水スクラバー17から排出された酸性ガスを吸収した水E及びオイルスクラバー12から排出されて油Cと分離された水Eを用いる。
具体的には、有機塩素化合物が分解された反応槽内の油Cを水和装置15の水和槽に供給し、更に、水和用水貯留槽30に貯留された水Eを水和槽に供給することにより水和を行う。
斯かる操作により、油C中に存在する未反応のアルカリ金属(ナトリウム)及び塩素化アルカリ金属塩(塩化ナトリウム)は、水Eに吸収され、アルカリ金属(ナトリウム)は水Eに溶解していた塩素、塩化水素によって中和される。
次いで、水和後の油C及び水Eの混合液を油水分離装置16に供給し、静置分離又は蒸留により油Cと水Eとを分離し、分離した油Cをオイルスクラバー12にて散布する油Cとして、分離した水Eを水スクラバー17にて散布する水Eとして再利用する。
本実施形態に於ける汚染物Aの浄化方法(装置)に於いては、排ガスDをオイルスクラバー12に通した後、水スクラバー17に通すことから、最終的に外部に排出する排ガスDに含まれる塩素ガス及び塩酸ガスの量を極めて微量とすることができ、環境が汚染される虞を低減できる。また、先ずオイルスクラバー12に通し、次いで、水スクラバー17に通すことから、水Eに有機塩素化合物が溶解し、該有機塩素化合物が分解工程を経ずに外部に排出されるような事態の発生を抑制できる。
また、本実施形態に於ける汚染物Aの浄化方法(装置)に於いては、オイルスクラバー12から排出され油水分離された水Eや水スクラバー17から排出された水Eには、微量の有機塩素化合物が混入している虞もあるが、該水Eを水和装置15にて油Cに添加する水Eとして利用することから、水E中の有機塩素化合物は、水和の際に、アルカリ金属を含む油Cに吸収されることとなる。その結果、後段の水処理の負担軽減が期待される。これは、水Eの添加される油Cが、アルカリ金属が添加されたために殆ど有機塩素化合物を含まれないものとなっているため、この油Cに有機塩素化合物を微量に含む水Eを接触させると、水E中の有機塩素化合物が、より溶解しやすい油C中に移動するからである。
更に、油Cに移動した有機塩素化合物は、該油Cをオイルスクラバー12の油Cとして再利用することにより、系内を循環してアルカリ金属により分解されるため、系外に排出される虞も低減される。
尚、本実施形態に於いて、汚染物Aの浄化装置は、別個のオイルスクラバー12及び水スクラバー17を備えて構成されたが、本発明に於いては、斯かる構成に代えて、例えば、図2に示すように、1つのスクラバー本体内12aにて、油C及び水Eを同時に散布するオイル水スクラバー12を備える構成であっても良い。
斯かる場合に於いては、図2に示すように、オイル水スクラバー12から排出された油水混合液を油水分離装置13にて油Cと水Eとに分離し、分離した油Cを分解装置14に供給し、水Eを水和装置15に供給するように構成されていればよい。
更に、本実施形態に於いては、汚染物Aとして水分を含む土を対象としたことから、オイルスクラバー12から排出された油Cと水Eとを油水分離装置13により油水分離する構成を採用したが、汚染物Aとして水分を含まないもの、例えば、絶乾汚染物A等を対象とする場合には、オイルスクラバー12から排出された油Cを油水分離することなくそのまま分解装置14に供給する構成を採用してもよい。
また、本実施形態に於いては、排ガスDと油C(又は水E)とを接触させる装置として、スクラバー12、17を採用したが、本発明に於いては、例えば貯留された油C(又は水E)内に、排ガスDを曝気することにより、排ガスDと油C(又は水E)とを接触させる装置を採用してもよい。但し、排ガスDの温度を効率的に下げるという観点からは、排ガスDと油C(又は水E)を接触させる装置としてはスクラバー12、17を利用するのが好ましい。
更に、本実施形態に於いては、オイルスクラバー12から排出された油Cと水Eとを油水分離する油水分離装置13として、静置分離により油水分離を行う装置を採用したが、本発明に於いては、蒸留により油水分離を行う装置を採用してもよい。
また、本実施形態に於いては、反応促進剤として、低級アルコールを使用したが、本発明に於いては水等を使用することも可能である。
一実施形態の汚染物の処理装置を示す概略図。 他実施形態の汚染物の処理装置を示す概略図。
符号の説明
1・・・還元加熱装置、10・・・排ガス処理装置、12・・・油洗浄装置、13・・・油水分離装置、14・・・分解装置、15・・・水和装置
A・・・土(汚染物)、C・・・油、D・・・排ガス、E・・・水

Claims (4)

  1. 有機ハロゲン化合物に汚染された汚染物を還元加熱することにより、該汚染物を浄化する還元加熱工程と、該還元加熱工程により生成した排ガスを浄化する排ガス処理工程とを備え、
    前記排ガス処理工程は、排ガスと油とを接触させることにより排ガス中に含まれる未分解の有機ハロゲン化合物を油に吸収させる油洗浄工程と、油洗浄工程後の有機ハロゲン化合物を吸収した油にアルカリ金属を加えて有機ハロゲン化合物を分解する分解工程と、分解工程後の油に水を添加して、油中のアルカリ金属及びハロゲン化アルカリ金属塩を水に吸収させる水和工程とを備えてなる汚染物の浄化方法であって、
    前記排ガス処理工程は、排ガスと水とを接触させることにより、排ガス中に含まれる有機ハロゲン化合物の熱分解生成物たる酸性ガスを水に吸収させる水洗浄工程を更に備え、該水洗浄工程により酸性ガスが吸収された水を前記水和工程にて油に添加する水として用いることを特徴とする汚染物の浄化方法。
  2. 前記水洗浄工程は、油洗浄工程後の排ガスを水と接触させる工程である請求項1記載の汚染物の浄化方法。
  3. 有機ハロゲン化合物に汚染された汚染物を還元加熱し該汚染物を浄化する還元加熱装置と、該還元加熱装置により生成された排ガスを浄化する排ガス処理装置とを備え、
    前記排ガス処理装置は、排ガスと油とを接触させることにより排ガス中に含まれる未分解の有機ハロゲン化合物を油に吸収させる油洗浄装置と、該油洗浄装置により有機ハロゲン化合物を吸収した油に、アルカリ金属を加えて有機ハロゲン化合物を分解する分解装置と、該分解装置により有機ハロゲン化合物が分解された油に、水を加えて油中のアルカリ金属及びハロゲン化アルカリ金属塩を水に吸収させる水和装置とを備えてなる汚染物の処理装置であって、
    前記排ガス処理装置は、排ガスと水とを接触させることにより排ガス中に含まれる有機ハロゲン化合物の熱分解生成物たる酸性ガスを水に吸収させる水洗浄装置を備え、該水洗浄装置により排ガスを吸収した水が、前記水和装置の油に添加する水として用いられるように構成されていることを特徴とする汚染物の浄化装置。
  4. 前記水洗浄装置は、前記油洗浄装置により有機ハロゲン化合物が油に吸収された後の排ガスと水とを接触させるように構成されてなる請求項3記載の汚染物の浄化装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018501954A (ja) * 2015-01-23 2018-01-25 ベイジン ボーユアン ヘンシェン ハイ−テクノロジー カンパニー リミテッド 排気ガスの除塵方法及び除塵剤

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