JP2006215708A - 防犯装置および防犯装置の動作方法 - Google Patents

防犯装置および防犯装置の動作方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 外乱による影響を排除しつつ、盗難行為の有無を正確に判定することができる技術を提供する。
【解決手段】 所定の閾値である警報基準電圧を超える出力が得られる音を音感センサ102が検出すると、コンパレータC1(107)の出力がHighになる。その時、移相回路110から得られる遅延したローパス・フィルタ105の出力を所定の基準値と比較する。これにより、前に遡って検出信号の立ち上がり状態を検出する。そして、この検出結果に基づいて盗難行為に伴う衝撃音であるか否かを判断する。これにより、警報基準電圧を高く設定することができ、外乱の影響を排除することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、盗難行為等に際して発生する衝撃音や衝撃振動を検出して警報等の報知を行い、それにより防犯効果を発揮する防犯装置に関する。
車や車内からの盗難行為を防止する防犯装置として、盗難行為が行われた際に発生する衝撃音や衝撃振動を検出し、警報を発生する仕組みが知られている。例えば、盗難行為が行われる場合に発生するドアの開閉音や窓ガラスの破壊音を音感センサによって検出し、警報音の発生や警報ライトの点灯が行われる防犯装置が市販されている。このような防犯装置に関する技術として、特許文献1や特許文献2に記載された技術が知られている。
特許文献1には、音や衝撃を検出したセンサの出力が、所定の閾値を超えた場合に、その後における信号波形の立ち上がりを検出し、その信号波形の立ち上がりの勾配値が所定の値を超えた場合に盗難行為が行われた旨を判定する構成が記載されている。
特許文献2には、音や衝撃を検出したセンサの出力が、所定の第1の閾値を超えた場合に、さらに一定時間が経過する間に第2の閾値に達したか、を判定することで、盗難行為の有無を判定する構成について記載されている。
これらの技術は、ノイズの影響を排除するために、閾値を設定し、その閾値を超えたセンサ出力があった場合に、その後のセンサ出力の立ち上がりを見、その立ち上がりが所定の急峻性をもっている場合に盗難行為を判断するものである。すなわち、この技術においては、盗難行為に従う音や衝撃の立ち上がりが、ノイズ成分に比べて急峻であることを利用し、センサの出力の立ち上がりがある程度急峻なものを検出することで、盗難行為を判定している。
特許第3290160号 特許第3290161号
しかしながら、上記特許文献に記載された方法は、外乱(バックグラウンドノイズ)が大きい環境においては、盗難行為の検出精度が低下する傾向が見られる。
以下、この点について詳述する。すなわち、上記特許文献に記載された方法は、センサの出力が閾値を超えた場合に、その後におけるその信号の立ち上がり方から盗難行為の有無を判断している。したがって、信号の立ち上がりを見極めるために、信号が立ち上がる余地が残っている段階に閾値を設定する必要がある。つまり、閾値をある程度低く設定する必要がある。仮に、信号のピーク近くに閾値を設定した場合、信号の立ち上がり方を評価することができず、盗難行為の有無を判定する精度が著しく低下してしまう。
閾値をある程度低く設定する必要があるということは、外乱の影響をより受けやすいことを意味する。外乱は、主に周辺環境の騒音や振動により発生するものであるが、そこには多様な成分が含まれている。外乱は、その立ち上がりが緩やかであるといっても、複数の外乱要因が重なって検出される場合も多々あり、その場合は、盗難行為に従う音や衝撃の発生と同じような立ち上がりの急峻な信号が検出される可能性がある。そして検出レベルが低い程、その可能性は高くなる。
上述したように、特許文献1および2に記載されている技術は、原理的に信号検出の閾値をある程度下げる必要がある。したがって、外乱による誤判定の可能性を排除することには限界がある。
外乱による誤判定の可能性を排除する方法として、信号の立ち上がりをより正確に見極める方法が考えられる。しかしながら、信号の立ち上がりを正確に見極めるには、複雑な信号処理と、高分解能のA/Dコンバータ等の高精度の回路が必要になる。これは、高コスト化、高消費電力化を招き好ましくない。
このように、特許文献1および2に記載された技術は、外乱による誤判定を排除することが原理的に困難である一面がある。
本発明は、外乱による影響を排除しつつ、盗難行為の有無を正確に判定することができる技術を提供することを課題とする。
本発明の防犯装置は、音感センサまたは加速度センサからのセンサ出力が入力されるセンサ出力入力部と、前記センサ出力が所定の閾値を超えた場合に、その時点から所定時間前の前記センサ出力を比較信号として得る比較信号取得部と、前記比較信号が所定値を下回る場合に要報知判断を行う判断部とを備えることを特徴とする。
本発明においては、設定した閾値を超えた出力がセンサから得られた場合に、その時点から前に遡った時点のセンサの出力を比較用信号として取得する。そして、閾値とこの比較信号とを比較することで、センサが検出した信号の立ち上がりを評価する。
判断部における処理において、比較信号が所定の基準値未満の値である場合、それはある程度急峻な信号の立ち上がりであると評価される。なぜなら、それは、単位時間当たりの信号の平均上昇率がある程度大きいことを意味しているからである。
この場合、判断部は、要報知判断を行う。要報知判断とは、何らかの信号による報知を行う必要がある旨を判断する処理である。ここで報知というのは、検出した情報に関する内容や所定情報の検出等を周囲等に知らせる行為(あるいは処理や動作)のことをいう。報知には、音による方法、視覚情報(例えば発光や表示)による方法、報知信号を携帯電話や適当な受信機等に送信する方法等を挙げることができる。
また上記とは逆に、比較信号が所定の基準値以上の値である場合、それはある程度緩やかな信号の立ち上がりであると評価される。この場合は、報知を行う判断は下されない。こうすることで、信号の立ち上がりが鈍い外乱(ノイズ)を検出して、報知が行われる不都合を回避することができる。
また、本発明においては、センサの出力が設定した閾値を超えた時点から前に遡った時点の信号を取得するので、閾値をある程度高く設定することができる。すなわち、本発明においては、閾値を超えた以降の信号の振る舞いは、検出精度に関係しない。例えば、検出した信号の上昇率が、閾値を超えた直後に飽和したとしても、それは検出精度に関係しない。なぜならば、設定した閾値を超えた信号を取り扱わないからである。したがって、閾値をある程度高く設定することができる。
この閾値をある程度高く設定できることにより、外乱(ノイズ)の影響を排除する能力を高くすることができる。すなわち、外乱の影響に起因する誤動作や誤判定が発生し難い構成を得ることができる。これは、後述する処理手順を行う契機となる閾値を高く設定することで、低レベルの外乱を検出し、その信号を評価する頻度を減らすことができるからである。
例えば、上述した公知の特許文献に記載されている構成では、低レベルの信号を頻繁に検出し、その都度その立ち上がりを評価する。よって、必然的に誤動作や誤判定の頻度が高くなってしまう。これに対して、本発明においては、処理開始の閾値を高くできるので、低レベルの外乱を評価してしまう無駄な処理の頻度を減らすことができる。そのため、誤動作や誤判定の発生頻度を相対的に低減することができる。
また、本発明を採用した場合、所定の閾値を超えた信号が入力しない状態において、回路を待機状態(スリープ状態)とすることができる。このことは、低消費電力を追求する上で有用となる。
特に本発明は、A/Dコンバータを用いた構成に適用した場合に、低消費電力化を追求する上で有用となる。すなわち、A/Dコンバータを用いた構成に本発明を適用した場合、ある程度高く設定できる閾値を超えた入力がある場合にA/Dコンバータが動作する。したがって、A/Dコンバータの動作頻度を減らすことができる。A/Dコンバータは、コンパレータ等に比較して、極めて大きな電力を消費する。よって、その動作頻度を減らすことで、装置全体における消費電力を大きく低減することができる。
本発明において、閾値は、段階的に複数設定することができる。例えば、閾値として、警告レベルと警報レベルの2段階を設定することができる。勿論、閾値の設定を一種類とすることもできる。
ここで、警報は、盗難行為が行われたことを報知することをいう。そして、警報レベルは、警報を行うか否かを判断する目安となる閾値(基準レベル)のことをいう。
警告は、盗難行為とまでは確定できないが、盗難行為が行われている可能性が想定される場合に行われる報知である。つまり、警告とは、警報より緊急性の低いレベルの報知のことをいう。
例えば、警報信号が音であれば、それは、周囲に盗難行為を報知し、さらに盗難行為を行っている者への威嚇となる必要がある。そのため、大きな音がある程度の時間発生するような設定となる。これに対して、警告は、より小さい音での報知やLED等の点滅といった控えめな報知となる。
報知方法として、警報の他に警告を設定するのには以下の意味がある。例えば、車に対する盗難行為が行われようとする場合、犯人は防犯装置の有無やその効力の有無を確認するために、車体を軽く叩いたり、車体に触れたりする場合がある。このような場合に検出される音や衝撃は、偶発的に車に通行人が触れてしまった場合等と区別がつかない場合がある。したがって、それを契機として警報を発するのは適当ではない。
そこで、警報より下位の警告レベルを設定する。警告においては、周囲に迷惑にならない程度の報知(例えば、比較的小さな音の発生や発光素子の発光等)が行われる。このように、警告、警報という2段階のレベルを設定することで、より効果的な防犯を行うことができる。また、扱いやすい防犯装置を得ることができる。
本発明は、上述した防犯装置を動作させる方法、すなわち防犯判定方法として把握することもできる。すなわち、本発明の防犯装置の動作方法は、音感センサまたは加速度センサからのセンサ出力が所定の閾値を超えたか否かを判断する第1判断ステップと、前記第1判断がYESである場合に、その時点から所定時間前の前記センサ出力を比較信号として得る比較信号取得ステップと、前記比較信号が所定値を下回るか否かを判断する第2判断ステップと、前記第2判断ステップがYESである場合に報知処理を行う報知処理ステップとを備えることを特徴とする。
本発明は、閾値を超えた信号を検出した場合に、所定時間前に戻った段階の信号を取得し、この取得した信号と閾値とを比較する。そしてこの比較によって、検出信号の立ち上がりを判定する。このため、原理的に閾値を高く設定することができ、外乱の影響を排除することが可能になる。したがって本発明によれば、外乱による影響を排除しつつ、盗難行為の有無を正確に判定することができる技術を提供することできる。
また、閾値を高く設定することができることで、報知を行うか否かの判断処理の実行頻度を減らすことができる。そのため、誤動作の発生確率を下げることができる。また、消費電力を低減することができる。
1.第1の実施形態
(1―1)第1の実施形態の構成
図1は、本発明を利用した防犯装置の概要を示すブロック図である。図1に示す防犯装置は、検出部101と信号処理部104を備えている。例えば、図1に示す防犯装置は、自動車に設置され、自動車の盗難や自動車内の物品の盗難を察知し、盗難行為の発生を警報音により報知する機能を有する。
検出部101は、音感センサ102と増幅回路103を備えている。音感センサ102は、音波を検出する機能有する高感度マイクである。検出部101は、音感センサ102が検出した音波を電気信号に変換し、その電気信号を増幅回路103によって増幅し、出力する機能を有している。
信号処理部104は、検出部101が検出した情報を後述する手順に従って処理し、警告処理または警報処理を実行する機能を有する。信号処理部104は、ローパス・フィルタ105、警告基準電圧生成回路106、コンパレータC1(107)、警報基準電圧生成回路108、コンパレータC2(109)、移相回路110および制御部111を備えている。また、信号処理部104には、ブザー112およびLED(発光ダイオード)113が接続されている。
ローパス・フィルタ105は、検出部101から送られてくる検出信号から、高周波成分を取り除き、処理に適した信号波形を得るために設けられている。
警告基準電圧生成回路106は、警告を実行するのか否かを判断する目安の基準電圧(警報基準電圧)を生成する。
コンパレータC1(107)は、ローパス・フィルタ105の出力電圧と警告基準電圧とを比較する。コンパレータC1(107)は、ローパス・フィルタ105の出力電圧が警告基準電圧より大きな値であれば、Highレベルの電圧(例えば所定+電位)を出力する。また、コンパレータC1(107)は、ローパス・フィルタ105の出力電圧が警告基準電圧より小さな値であれば、Lowレベルの電圧(例えアース電位)を出力する。
警報基準電圧発生回路108は、警報を実行するのか否かを判断する目安の基準電圧(警報基準電圧)を生成する。コンパレータC2(109)は、ローパス・フィルタ105の出力電圧と警報基準電圧とを比較する。コンパレータC2(109)は、ローパス・フィルタ105の出力電圧が警報基準電圧より大きな値であれば、Highレベルの電圧を出力する。また、コンパレータC2(109)は、ローパス・フィルタ105の出力電圧が警報基準電圧より小さな値であれば、Lowレベルの電圧を出力する。
例えば、警告基準電圧をαとした場合、警報基準電圧は、βに設定される。ここで、βはβ>αを満たす定数である。つまり、警告基準電圧より警報基準電圧が大きな値に設定される。なお、αの値は、音感センサ102の感度や出力レベル、増幅回路103の増幅率や出力電圧、さらには検出部101が設置される環境によって異なる。したがって、αの値は、フィールドテストによって実験的に求める必要がある。なお、検出部101の設置環境やユーザの希望に応じて、αの値を調整できるようにしておいてもよい。
移相回路110は、ローパス・フィルタ105の出力信号を、所定の時間遅らせたタイミングで出力する機能を有する。すなわち、ローパス・フィルタ105から出力され、移相回路110に入力された信号波形は、すぐに移相回路110からは出力されず、設定した時間が経過した後に出力される。移相回路110における遅延時間は、回路定数の設定により任意に決めることができる。
制御部111は、A/Dコンバータ、メモリ、CPU、入力インターフェース回路、出力インターフェース回路、およびその他回路を内蔵している。制御部111は、コンパレータC1(107)、コンパレータC2(109)の出力レベル(HighまたはLow)、およびADC入力の信号を利用して、後述する信号処理を行い、ブザー112およびLED113を用いた警告処理または警報処理を行う機能を有する。
すなわち、制御部111内のA/Dコンバータは、ADC入力端子から入力されるアナログ信号をA/D変換する。メモリは、処理に必要なデータおよび処理手順のプログラムを記憶している。CPUは、後述するフローチャートに示す処理を制御する。入力インターフェース回路は、コンパレータC1(107)およびコンパレータC2(109)の出力を外部割り込み入力として制御部内に取り込む機能を有する。出力インターフェース回路は、後述する警告処理または警報処理が選択された場合に、ブザー112またはLED113を駆動するための信号を出力する。
ブザー112は、警報処理が実行された時に、警報音を発する。LED113は、警告処理または警報処理が実行された時に点滅する。
例えば、警告処理は、LEDの点滅による温和な報知を行い、警報処理は、ブザー112からの激しい警告音およびLEDの点滅による報知を行う。勿論、警告音として、ブザー112から控えめな音を発生させてもよい。
図1に示す構成において、音感センサ102として、振動を検出する加速度センサを利用することもできる。この場合、盗難行為に伴って発生する衝撃振動を検出することになる。
すなわち、図1に示す防犯装置は、制御部111に、音感センサからのセンサ出力が入力されるセンサ出力入力部である外部入力割り込み入力およびADC入力を備えている。また、前記センサ出力が所定の閾値(警告基準電圧または警報基準電圧)を超えた場合に、その時点から所定時間前の前記センサ出力を得る比較信号取得部として、移相回路110を備えている。また、前記比較信号が所定値を下回る場合に要報知判断を行う制御部111を備えている。
(1−2)第1の実施形態の動作の概要
図2は、図1に示す防犯装置の動作を説明するフローチャートである。図2に示す処理手順は、図1の制御部111の機能によって実行される。なお、以下においては、図1に示す防犯装置を車に設置し、盗難行為時に発生する衝撃音を検出する場合の例を説明する。
まず図示しない電源をONにすると、図1に示すシステムに電源が入り、図2に示す処理が開始される。電源が投入されると、所定の初期処理を行い、制御部111がスリープ状態(低消費電力待機モード)にされる(ステップS1)。スリープ状態では、制御部111内のA/Dコンバータが待機状態になる。A/Dコンバータの動作消費電力は大きいので、この待機状態を採用することで、装置全体の消費電力を大きく低減することができる。
この状態において、音感センサ102は、音響信号を検出し続けている。音感センサ102によって検出された音響信号は電気信号に変換され、アンプ103において増幅される。増幅された電気信号は、ローパス・フィルタ105において不要な高域成分が減衰させられ、コンパレータC1(107)、コンパレータC2(109)、および移相回路110に入力される。
図3は、増幅回路103からの信号波形の一例を示す電気信号波形図である。音感センサ102が検出する音響信号は、滑らかな波形でなく、途切れ途切れな成分を含んでいる。このような途切れ途切れな成分は、後段の回路で扱いにくい。そこで、ローパス・フィルタ105を通して、例えば図4に示すような滑らかな波形を得る。
なお、図4は、図3に示す信号波形がローパス・フィルタ105を通過した場合に得られる信号波形の一例を示す信号波形図である。また、図3および図4における横軸は時間軸であり、縦軸は電圧軸である。なお、時間軸および電圧軸の単位は相対値である。
上述したスリープ状態において、コンパレータC1(107)は、ローパス・フィルタ105からの信号の電圧レベルと警告基準電圧のレベル(α)とを比較する。
また、このスリープ状態において、移相回路110は、音感センサ102からの信号を取り込み、それを所定の時間遅延させて出力する動作を行う。つまり、移相回路110からは、音感センサ102からの信号が、所定の時間遅延したタイミングで出力される。例えば、移相回路110の遅延時間が20msに設定してある場合、ある時点における移相回路110の出力は、20ms前に音感センサ102から出力された信号である。
音感センサ102が、ある程度以上大きなレベルの音を検出していない段階では、音感センサ102からの信号のレベルは警告基準電圧αより小さい。この状態においては、コンパレータC1(107)の出力は、+入力端子の電圧より−入力端子の電圧が高いので、その出力はLowとなる。したがって、ステップS2の判断は、NOとなる。ステップS2の判断がNOである場合、ステップS2の前段階に戻り、ステップS2の処理が繰り返される。
スリープ状態において、音感センサ102が検出した音圧が上昇すると、ローパス・フィルタ105の出力の値が上昇する。そしてそれがαを超えた段階において、ステップS2の判断がYESとなる。これは、コンパレータC1(107)の+入力端子への入力電圧が警告基準電圧αを超えるので、コンパレータC1(107)の出力がLowからHighに変化するからである。
ステップS2の判断がYESとなると、ステップS3に進み、スリープ状態の解除が行われる。さらに制御部111において、移相回路110からのアナログ出力(ADC値)がADC入力から取り込まれ、A/D変換の後にADC1としてメモリに保存される(ステップS4)。このメモリに保存されるADC1の値は、所定の時間前の時点におけるローパス・フィルタ105の出力電圧である。
ステップS5においては、コンパレータC1(107)からの出力がLowであるか否か、が判断され、NOであればステップS6に進み、YESであれば、ステップS9に進む。
ステップS6では、コンパレータC2(109)の出力がHighであるか否か、が判断され、YESであれば、ステップS7に進み、Noであればステップ5に戻る。
ステップS7では、その時点における移相回路110からの出力電圧をADC2として制御部111内に取り込み、ADC2≦Vs1であるか否か、が判断される。Vs1は、警報判定基準電圧であり、音感センサ102が検出した音波信号波形の立ち上がりの急峻性を判定するための基準値である。
警報判定基準電圧Vs1を用いる理由を説明する。まず、ステップS6における判断がYES、つまり音感センサ102が検出した音圧が警報レベルを超える大きな音圧であることが判断された段階においては、それが盗難行為に伴う大きな音であるのか、外乱(ノイズ)の音であるのかは、判断されていない。
そこで、ステップS6の判断がYESである場合、観察している波形の立ち上がりが、急峻であれば、「盗難行為発生」との判断、そうでなければ、「外乱であり盗難行為は行われていない」との判断、を下すための処理を行う。ここでは、この処理のために警報判定基準電圧Vs1を用いる。
すなわち、ADC2は、所定時間前のローパス・フィルタ105の出力電圧である。よって、その値が所定のレベル以下であれば、検出している音波波形の立ち上がりが鋭いもの(急峻なもの)であることが判断できる。逆に、ADCの値が所定のレベルを超えた値である場合、波形の立ち上がりが鈍いものであることが判断できる。
ここでは、比較の対象とする値を警報判定基準電圧Vs1とし、その値を適切に設定することで、上述した検出音波波形の立ち上がりを評価している。
一般に、盗難行為に伴って発生する衝撃音は、立ち上がりが急峻であり、外乱の音は、立ち上がりが急峻でない。したがって、ステップS7における判断がYESであれば、「盗難行為の発生」が判断され、ステップS7における判断がNOであれば、「盗難行為の発生なし」が判断される。
ステップS7における判断がYES(つまり「盗難行為の発生」と判断)であれば、ステップS8に進み、警報処理が行われる。警報処理においては、ブザー112からの大きな警報音の発生とLED113の点滅とが行われる。
ステップS5の判断がYES、あるいはステップS7の判断がNOである場合、ステップS9の処理が行われる。すなわち、音感センサ102が検出した音の大きさが、警告基準を超えた直後にすぐに下降した場合(ステップ5がYESの場合)、あるいは音感センサ102が検出した音の大きさが、警告基準を超え、さらに警報基準を超えたが、その音が外乱(ノイズ)であった場合(ステップS7がNOの場合)、ステップ9の処理が行われる。
ステップS9においては、メモリに記憶しておいたADC1(ステップ4参照)とVs2とを比較し、ADC1≦Vs2であるか否か、が判断される。Vs2は、警告判定基準電圧であり、音感センサ102が検出した音波信号波形の立ち上がりの急峻性を判定するための基準値である。
警告判定基準電圧Vs2も警報判定基準電圧Vs1と同様な意味を持っている。すなわち、警告判定基準電圧Vs2を用いることで、検出している音の立ち上がりが所定の急峻性を持っているのか否かが判断される。
ステップS9における判断がYESであれば、「盗難行為発生の可能性あり」が判断され、ステップS9における判断がNOであれば、「盗難行為発生の可能性発生なし」が判断される。すなわち、ステップS9における判断がYESであれば、検出した音の立ち上がりがそれなりに急峻であり、「盗難行為発生の可能性あり」が判断される。一方、ステップS9における判断がNOであれば、検出した音の立ち上がりが急峻ではなく、それは外乱であり、「盗難行為発生の可能性なし」が判断される。
ステップ9の判断がNOである場合、処理はステップS1の前段階に戻る。この場合、ステップS1以下の処理手順が再度行われる。すなわち、ステップS9において、検出した音が外乱であり、「盗難行為発生の可能性なし」が判断された場合、警告処理は行われず(当然警報処理も行われていない)、ステップS1以下の処理が再び行われる。
一方、ステップ9の判断がYESである場合、ステップS10に進み、警告処理が行われる。本実施形態における警告処理では、LEDが点滅する。
これにより、盗難行為を行おうと画策している不審者が、その車の防犯体制を確認するために軽く車を叩いたりした場合に、防犯装置が稼働中であることを警告として報知することができる。この場合、不審者がそれ以上の不審行為に及ぶことを防止することができる。すなわち、防犯効果を得ることができる。
また、図1に例示する防犯装置を装着した車に、善意の第三者が意図せず触れてしまった場合、防犯装置が動作中であることを警告として報知することができる。
例えば、日常の中で、駐車中の車に通行人が触れてしまったり、子供が触れてしまったりする可能性がある。このような場合、盗難行為と判断され、警報が鳴り響く事態は、好ましいことではない。しかしながら、上述したLEDの点滅といった温和な報知を警告として行うことで、つまり報知レベルに段階をつけておくことで、防犯装置としての機能を落とさずに、この不都合を緩和することができる。
また、Vs1とVs2の設定値を適切に選ぶことで、「警報処理が行わなくて良いが、警告処理は行っておいた方が好ましい」といった微妙な処理を実行することができる。つまり、検出した信号の立ち上がりの評価に段階を設けることができる。例えば、Vs1をVs2より少し小さな値に設定しておくことで、検出波形の立ち上がりの急峻性の判断に段階を設けることができる。
以上述べたように、図1に示す防犯装置の動作においては、音感センサからのセンサ出力が所定の閾値を超えたか否かを判断する第1判断ステップ(ステップS2またはステップS6)と、前記第1判断がYESである場合に、その時点から所定時間前の前記センサ出力を得る比較信号取得ステップと、前記比較信号が所定値を下回るか否かを判断する第2判断ステップと(ステップS7またはステップS9)、前記第2判断ステップがYESで有る場合に報知処理を行う報知処理ステップ(ステップS8またはステップS10)とが実行される。
(1−3)第1の実施形態の動作の具体例(外乱検出の場合)
以下、図1に示す防犯装置の動作の具体例として、近くを通った車やトラックの音(外乱)を音感センサ102が検出した場合を説明する。ここで説明するのは、音感センサ102が検出するのが、外乱(ノイズ)であり、警報処理や警告処理は行われない場合の処理の流れである。
まず、センサが特に問題となるような音を検出していない状態を考える。この状態において、図示しない電源が導入されると、ステップS1→ステップS2と処理が進む。そして、音感センサ102が警告基準を超えるような音圧を検出しなければ、ステップS2が繰り返され、スリープ状態が維持される。
ここで、音感センサ102が車の通過音を検出したとする。車の通過音は、徐々に大きくなり、徐々に小さくなるから、ローパス・フィルタ105の出力は、例えば図5に示すような波形になる。図5は、ローパス・フィルタ105の出力電圧(縦軸)と時間経過(横軸)との関係を示す線図である。図5において、縦軸と横軸の値は、相対値である。
音感センサ102が、図5に示すような音を検出し始めると、ローパス・フィルタ105の出力電圧が図5に示すように徐々に上昇する。そして、ローパス・フィルタ105の出力電圧が警告基準電圧αを超えると、コンパレータC1(107)の出力がLowからHighに変化し、ステップS2の判断がYESとなる。そして、ステップS3→ステップS4→ステップS5と処理は進む。
図5に示す外乱の検出に対応した出力変化の場合、αを超えたローパス・フィルタ105の出力電圧は、時間経過と共に緩やかに上昇してゆく。この状態において、コンパレータC1(107)に出力はHighのままであるので、ステップS5の判断は、NOとなる。
この時、ローパス・フィルタ105の出力電圧が警報基準電圧βを超えるまで、コンパレータC2(109)の出力は、Lowであり、ステップS6の判断はNOとなる。したがって、ローパス・フィルタ105の出力電圧が警報基準電圧βを超えるまで、ステップS5→ステップS6→ステップS5のサイクルが繰り返される。
そして、ローパス・フィルタ105の出力電圧が警報基準電圧βを超えると、コンパレータC2(109)の出力がHighになり、ステップS6の判断がYESとなる。
そして、ステップS7の判断が行われるのであるが、ここでは、図5に示すような外乱による緩やかな音圧の上昇を考えているので、ステップS7の判断は、NOとなる。すなわち、移相回路110から出力される信号電圧は、警報判定基準電圧Vs1より大きい。
またこの場合は、外乱を考えているので、信号の立ち上がりは緩慢であり、よってADC2>Vs2となる。したがって、ステップS9の判断はNOとなる。こうして、検出している信号の立ち上がりが急峻ではなく、外乱であることが判断される。この場合、警報処理および警告処理は行われず、ステップS1以下の処理が再度行われる。
そして、ローパス・フィルタ105の出力電圧がピークに達し、その後下降し始め、警報基準電圧βを下回るまで(図5参照)、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS9→ステップS1、と流れる処理の手順が繰り返される。
そして、図5に示すように、ローパス・フィルタ105の出力電圧が下降し始め、その値がβを下回ると、ステップS6の判断がNOとなり、ステップS5→ステップS6→ステップS5のサイクルが繰り返される処理に移行する。
さらにローパス・フィルタ105の出力電圧が低下し、その値がαを下回ると、ステップS5の判断がYESに変化する。しかしながらこの場合、ステップS9の判断は、NOのままであるから(ステップS4で取得したADC1の値と警告処理判定基準レベルVs2との関係に変化はない)、ステップS9からステップS1へと処理は進む。
このような処理が行われることで、図5に示すような警告基準αおよび警報基準βを超えるような大きなピーク音圧を有する外乱を音感センサ102が検出しても、警告処理および警報処理は行われない。つまり、ノイズ音である外乱による誤動作が発生しない。
(1―4)第1の実施形態の動作の具体例(盗難行為を検出した場合)
以下、盗難行為に伴う衝撃音を音感センサ102が検出した場合の動作の具体例を説明する。図6は、盗難行為が行われた際におけるローパス・フィルタ105の出力の時間変化を示す線図である。この場合、ガラス窓を破る、ガキを壊すといった破壊行為が行われるので、検出する音は、図6に示すように急峻に鋭く立ち上がる。
まず、センサが特に問題となるような音を検出していない状態を考える。この状態において、図示しない電源が投入されると、図2に示すステップS1→ステップS2と処理が進む。そして、音感センサ102が警告基準を超えるような音圧を検出しなければ、ステップS2が繰り返される。
ここで、車の窓を割り、車内の物色する盗難行為が行われたとする。この場合、音感センサ102は、窓ガラスが割れる音を検出し、ローパス・フィルタ105からは、図6に示すような信号電圧が出力される。ここで、ローパス・フィルタ105の出力が、警告基準電圧αを超えるまでは、ステップS2の判断はNOであり、ステップS2の判断が繰り返される。ローパス・フィルタ105の出力が、警告基準電圧αを超えると、ステップS3→ステップS4へと進み、ステップS5の判断が行われる。
ローパス・フィルタ105の出力が、警報基準電圧βを超えるまでは、ステップS5→ステップS6→ステップS5の判断が繰り返される。そして、ローパス・フィルタ105の出力が更に増加し、それが警報基準電圧βを超えると、ステップS6の判断がYESになる。
ステップS6の判断がYESになると、ステップS7に進む。ステップS7においては、移相回路110から出力される遅延信号ADC2が、警報判定基準電圧Vs1以下であるか否かが判断される。ここでは、盗難行為に伴う立ち上がりが急峻な音圧を検出しているので、ADC2≦Vs1となる。すなわち、図6に示す盗難行為に伴う検出信号は、立ち上がりが急峻であるので、所定時間(Δt)前の値ADC2は、警報判定基準電圧Vs1以下の値となる。こうして、ステップS7の判断はYESとなり、ステップS8の警報処理が行われる。すなわち、ブザー112から警報が発せられる。
以上のように、盗難行為が行われ、窓ガラスが割られるというような衝撃音が検出されると、警報処理が実行される。
(1−5)第1の実施形態の動作の具体例(警告処理を実行すべき状況を検出した場合)
以下、警告処理を実行すべき音を検出した場合における処理の一例を説明する。警告処理を実行すべき音とは、窓ガラスが割られるような衝撃音ではないが、外乱でもない音のことをいう。この音としては、車の車体が軽く叩かれる等の弱いが立ち上がりのある程度鋭い衝撃音を挙げることができる。
図7は、軽く車体が叩かれた場合におけるローパス・フィルタ105の出力の時間変化を示す線図である。この場合、ピークは小さいが、音感センサ102が検出する音は、図7に示すようにある程度鋭く立ち上がる。
まず、センサが特に問題となるような音を検出していない状態を考える。この状態において、図示しない電源が投入されると、図2に示すステップS1→ステップS2と処理が進む。そして、音感センサ102が警告基準αを超えるような音圧を検出しなければ、ステップS2が繰り返される。
ここで、車体が軽く叩かれ、その衝撃音を音感センサ102が検出したとする。すると、ローパス・フィルタ105の出力が、警告基準電圧αを超え、ステップS2の判断がYESとなる。そして、ステップS3→ステップS4と進み、ステップS5の判断が行われる。
ここでは、ローパス・フィルタ105の出力が、警報基準電圧βを超えることがない状況を想定しているので、ステップS6がYESになることはない。そして、ステップS5→ステップS6→ステップS5の判断が繰り返される中で、ローパス・フィルタ105の出力がピークに達し、そして下降してゆく。
ローパス・フィルタ105の出力が下降する途中において、その値が警告基準電圧α未満なると、ステップS5の判断がYESになる。その結果、ステップS9の判断が行われる。
この場合、立ち上がりがある程度急峻な信号を想定しているので、ステップS4において取得されたADC1の値は、それなりに小さい。ここでは、ADC1が、警告判定基準電圧Vs2より小さくなるような、ある程度急峻な信号の立ち上がりを想定しているので、ステップS9の判断はYESとなる。したがって、この場合は、ステップS10の警告処理が行われる。この例の場合、警告処理が実行されると、LED113が点滅する。
以上のように、盗難行為が判断される程の衝撃ではないが、車体に何かが触れた程度の衝撃を検出した場合に、警告処理が行われる。
(1−6)第1の実施形態の優位性
まず、図5に示すような外乱を検出した場合は、警告処理および警報処理が行われない処理を行うことができる。つまり、外乱によって誤動作しない防犯装置を得ることができる。
図1に示す防犯装置においては、移相回路110を用いて、音感センサ102からの出力信号を遅延させ、所定の条件を満たした場合に、この遅延信号と基準値とを比較し、信号の立ち上がりを判定している。つまり、音感センサ102が検出した信号の立ち上がりを判断する際には、ある時点から所定時間前の音感センサ102の出力情報を、移相回路を利用することで取得する。そして、その遅延信号を利用することで、前に遡って、センサが検出した信号の立ち上がりを判定している。こうすることで、信号の立ち上がりの判断を行う契機となる閾値を高く設定することができる。
信号の立ち上がりの判断を行う契機となる閾値を高く設定することで、低レベル信号に起因する処理動作の発生頻度を減らすことができる。処理動作の発生頻度を減らすことで、誤動作の発生確率を低減することができる。また、消費電力を低減することができる。
前述した公知の特許文献1および特許文献2に記載された技術においては、所定の閾値を検出した後、その時点以後に立ち上がる信号波形を解析する必要がある。この場合、感度を確保する上で、処理を始める閾値を低めに設定しなければならない。したがって、低レベルの外乱信号による処理動作が頻繁に発生することになる。このことは、誤動作の発生確率の低減、さらには低消費電力化には不利となる。
2.第2の実施形態
(2−1)第2の実施形態の構成
本実施形態は、実施形態1に示す態様に比較して、消費電力を抑えることができる構成に関する。本実施形態においては、制御部にA/Dコンバータを必要としないので、装置全体における消費電力を低減することができる。
図8は、本実施形態の概要を示すブロック図である。図8に示す防犯装置は、図1に示す構成と同様に、検出部101と信号処理部104を備えている。検出部101は、図1に示すものと同じである。
信号処理部104は、ローパス・フィルタ105、警告基準電圧発生回路106、コンパレータC1(107)、警報基準電圧発生回路108、コンパレータC2(109)、移相回路110、警告判定基準電圧発生回路801、警報判定基準電圧発生回路802、コンパレータC3(803)、コンパレータC4(804)、および制御部805を備えている。また、制御部805には、ブザー112およびLED(発光ダイオード)113が接続されている。
警告判定基準電圧発生回路801、警報判定基準電圧発生回路802、コンパレータC3(803)、コンパレータC4(804)、および制御部805以外の構成は、図1に示す構成と同じである。よって、ここでは、それらの説明を省略する。
警告判定基準電圧発生回路801において生成される警告判定基準電圧は、コンパレータC3(803)において、移相回路110からの出力電圧と比較される基準電圧である。コンパレータC3(803)は、移相回路110の出力電圧が、警告判定基準電圧より小さければHighレベル、移相回路110の出力電圧が、警告判定基準電圧より大きければLowレベルの電圧を出力する。
警報判定基準電圧発生回路802において生成される警報判定基準電圧は、コンパレータC4(804)において、移相回路110からの出力電圧と比較される基準電圧である。コンパレータC4(804)は、移相回路110の出力電圧が、警報判定基準電圧より小さければHighレベル、移相回路110の出力電圧が、警報判定基準電圧より大きければLowレベルの電圧を出力する。
この例においては、コンパレータC3(803)とコンパレータC4(804)を巧みに用いることで、制御部805に警告判断に関係するデジタル信号(HighまたはLowのレベル信号)と警報判断に関係するデジタル信号(HighまたはLowのレベル信号)を供給する。このため、制御部805は、移相回路110からのアナログ信号をロジック系回路に取り込むためのA/Dコンバータを備えなくても良い。
制御部805は、例えば後述する図9に示すフローチャートの処理を実行する機能を有する。また、上述する理由により、制御部805は、A/Dコンバータを備えていない。このため、制御部805は、図1に示す制御部111に比較して、動作時における消費電力を低く抑えることができる。
(2−2)第2の実施形態の動作
図9は、図8に示す防犯装置の動作の一例を示すフローチャートである。図8に図示されない電源が投入され、装置の動作が開始されると、所定の初期動作を行い、まず制御部805がスリープ状態におかれる(ステップS21)。その後、コンパレータC1(107)の出力がHighか否かが判断され(ステップS22)、YESであればステップS23に進み、NOであればステップS22を繰り返す。
ステップS23に進んだ場合、制御部805のスリープ状態が解除され(ステップS23)、コンパレータC3(803)の出力状態(HighまたはLowの状態)が、制御部805に取り込まれる(ステップS24)。制御部805に取り込まれたHighまたはLowの信号状態は、内部のメモリに保存される。
ステップS24の後、コンパレータC2(109)の出力がHighか否かが判断され(ステップS25)、YESであればステップS26に進み、NoであればステップS28に進む。
ステップS26においては、コンパレータC4(804)の出力がHighか否かが判断され、YESであれば、警報処理が行われ(ステップS27)、NOであれば、ステップS30に進む。
ステップS28においては、カウントが開始され、さらに開始されたカウントが設定された所定の経過時間T1以上であるか否か、が判断される(ステップS29)。ステップS28において開始されたカウントが所定の値以上になっていれば、ステップ30に進み、そうでなければ、ステップS25の前段階に戻る。
ステップ30においては、ステップS24において取得したコンパレータC3(803)の状態(HighまたはLowの出力状態)がHighであるか否かが判断される。ここで判断結果が、YESであれば、ステップS31に進み、LED113の点滅による警告処理が実行される。また、NOであればステップS21の前段階に戻り、スリープ状態に移行する。なお、一通りの処理が終了し、ステップS21の前段階に戻った段階で、ステップS28におけるカウント開始処理が開始されている場合、カウント処理を停止し、初期状態に戻す。
ステップS28〜ステップS30までの処理には、以下のような意味がある。すなわち、ステップS25の判断がNOで有る場合、それは、ローパス・フィルタ105の出力が警告基準電圧は超えているが(ステップS22参照)、警報基準電圧は超えていないことを示している。このことは、警報を発する必要はないが、警告を発する可能性があることを意味している。そこで、図9に示す処理手順においては、ステップS28以下の処理を実行し、所定の条件を満足する場合に、警告処理を実行する。
すなわち、ステップS28において開始したカウントtが所定の値T1以上であるか否かをステップS29において判断し、判断がNOであれば、ステップS25に戻り、ステップS26に進むのか否かを再度判断する。これにより、ステップS26において、再度警報処理実行の要否を判断する必要がある立ち上がりの鋭い衝撃音を見逃さないようにすることができる。
なお、立ち上がりの鈍い衝撃音を検出した場合は、その音圧レベルの増加率が小さいので、ステップ29がNOである間は、ステップS25判断がYESにならない。
そして、ステップS28におけるカウントの開始から、所定時間T1が経過した段階において、メモリに記憶されているステップS24において取得されているコンパレータC3(803)の出力が、High状態であるか否か判断される。すなわち、ステップS24の段階において、警告判定基準電圧より、移相回路110からの遅延信号電圧が小さいか否かが判断される(ステップS30)。ここでステップS24の段階において、警告判定基準電圧より、移相回路110からの遅延信号電圧が小さければ(つまりステップS30の判断がYES)、それは、鈍いなりにも警告に値する立ち上がりを有する衝撃音であると判断される。この場合、警告処理が行われる(ステップS31)。
また、ステップS24の段階において、警告判定基準電圧より、移相回路110からの遅延信号電圧が大きければ(つまりステップS30の判断がNO)、それは、警告に値する立ち上がりを有さない衝撃音であると判断され、ステップS21の前段階に戻る処理が実行される。
こうして、音感センサ102が検出した衝撃音の立ち上がり特性を判断し、警報処理あるいは警告処理が実行される。
以下、具体的な例を説明する。例えば、上記の処理において、ローパス・フィルタ105の出力電圧が、警報基準電圧を超え、さらにその信号波形の立ち上がりが鋭い場合(つまり、盗難行為に伴う衝撃音である場合)、ステップS25およびステップS26の判断は共にYESとなり、警報判定処理が行われる(ステップS27)。この場合、ブザー112から、盗難行為が行われている旨を報知する警報音が発せられる。
なおここで、ステップS26の判断がYESとなるのは、以下の理由による。この場合、音感センサ102の出力信号の立ち上がりが鋭いが故に、この時に遅延信号を出力する移相回路110の出力電圧の値は、警報判定基準電圧よりも小さい。そのため、コンパレータC4の出力電圧は、Highとなり、ステップS26の判断はYESとなる。
(2−3)第2の実施形態の優位性
本実施形態も第1の実施形態と同様の優位性を備えている。更にそれに加えて、第1の実施形態の防犯装置に比較して、消費電力を低減することができる優位性がある。これは、コンパレータを使用して、移相回路からの遅延信号電圧と、判定基準電圧(警告判定基準電圧と警報判定基準電圧)とを比較判断する構成とすることで、消費電力の大きいA/Dコンバータをこの部分で使用しなくても良い構成としたからである。消費電力の大きいA/Dコンバータを使用しないことは、防犯装置を乾電池で長時間駆動させる仕様を満たす場合に非常に有用なことなる。
3.他の実施形態
図8に示す構成における制御部の機能を、ANDゲートを用いて構成してもよい。この場合、コンパレータC1(107)の出力とコンパレータC3(803)の出力とを第1のANDゲートに入力し、コンパレータC2(108)の出力とコンパレータC4(804)の出力とを第2のANDゲートに入力した構成とする。そして、第1のANDゲートの出力がHighレベル出力の場合に、警告処理回路をONにし、第2のANDゲートの出力がHighレベル出力の場合に、警報処理回路をONにする構成とすればよい。
この構成において、盗難行為に伴う衝撃音が音感センサによって検出されると、全てのコンパレータの出力がHighになる。そして、第1のANDゲートおよび第2のANDゲートの出力は、共にHighとなり、警告処理と警報処理の両方が実行される。
また、音感センサ102が検出した衝撃音の立ち上がりが、警報処理を行う程度ではなく、警告処理を行う程度のレベルであり、またその音圧が警告基準を上回るレベルである場合、コンパレータC4(804)の出力はLowであり、コンパレータC1(107)とコンパレータC3(803)の出力は共にHighである。したがって、第1のANDゲートの出力がHigh、第2のANDゲートの出力がLowとなる。この場合、警報処理が行われず、警告処理が行われる。
このように、デジタル演算回路(マイクロコンピュータ)を利用しない防犯装置を構築することもできる。上述したコンパレータとANDゲートを用いた回路は、デジタル演算回路に比較して消費電力を大きく低減することができる。したがって、低消費電力の防犯装置を得る場合に有利となる。
以上の実施形態において、警報処理あるいは警告処理は、警報音の発生やLEDの点滅によって行う例を説明した。しかしながら、警報信号や警告信号を有線通信あるいは無線通信等の通信手段を用いて、伝送するようにしてもよい。例えば、携帯電話回線を用いて携帯電話に警報信号や警告信号を送り、携帯電話の着信音を利用して、警報あるいは警告の報知を行うようにすることができる。
本発明は、破壊行為に伴う衝撃音を検出し、異常の発生を報知する機能を備えた防犯装置に適用することができる。
発明を利用した防犯装置の概要を示すブロック図である。 図1に示す防犯装置の動作の一例を示すフローチャートである。 音感センサの出力波形の一例を示す信号波形図である。 図3の出力波形をローパス・フィルタの通過させた場合に得られる信号波形の一例を示す信号波形図である。 外乱(ノイズ)を検出した場合の信号波形の一例を示す線図である。 盗難行為に伴う衝撃音を検出した際の信号波形の一例を示す線図である。 盗難行為に伴うものではないが、警告処理を行う必要がある衝撃音を検出した際の信号波形の一例を示す線図である。 他の防犯装置の概要を示すブロック図である。 図8に示す防犯装置の動作の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
101…検出部、102…センサ、103…増幅回路、104…信号処理部、105…ローパス・フィルタ、106…警告基準電圧発生回路、107…コンパレータC1、108…警報基準電圧発生回路、109…コンパレータC2、110…移相回路、111…制御部、112…ブザー、113…LED、801…警告判定基準電圧発生回路、802…警報判定基準電圧発生回路、803…コンパレータC3、804…コンパレータC4、805…制御部。

Claims (2)

  1. 音感センサまたは加速度センサからのセンサ出力が入力されるセンサ出力入力部と、
    前記センサ出力が所定の閾値を超えた場合に、その時点から所定時間前の前記センサ出力を比較信号として得る比較信号取得部と、
    前記比較信号が所定値を下回る場合に要報知判断を行う判断部と
    を備えることを特徴とする防犯装置。
  2. 音感センサまたは加速度センサからのセンサ出力が所定の閾値を超えたか否かを判断する第1判断ステップと、
    前記第1判断がYESである場合に、その時点から所定時間前の前記センサ出力を比較信号として得る比較信号取得ステップと、
    前記比較信号が所定値を下回るか否かを判断する第2判断ステップと、
    前記第2判断ステップがYESである場合に報知処理を行う報知処理ステップと
    を備えることを特徴とする防犯装置の動作方法。
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