JP2006212779A - ロール版、及び凹凸形状形成装置 - Google Patents

ロール版、及び凹凸形状形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ランダムな凹凸形状を有する反射体を、より効率的で、コストがかかることなく製造することを可能にするロール版を提供する。
【解決手段】本発明のロール版は、表面に多数の凹凸部を有する反射体を製造するに際して用いられ、凹凸を有するマスタ版35Aをロール40の表面に巻回して構成される。そして、ロール40の表面とマスタ版35Aとの間に、ガラス繊維を織布としてシリコンゴムを含浸させた弾性シート60を介在したことを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、例えば、液晶表示装置に組み込まれ、反射面に微細な凹凸形状を備えた反射体を製造するに当たって用いられるロール版、及び凹凸形状形成装置に関する。
従来、携帯電話、ゲーム機、情報処理装置等の携帯型の電子機器では、消費電力が抑えられるように、表示部として反射型の液晶表示装置を組み込んだものが知られている。反射型の液晶表示装置は、前面から入射する外光を反射するための反射体を備えており、この反射体は、通常、金属反射膜に多数の凹凸部を形成することで構成されている。
上記した反射体の表面に多数の凹凸部を形成する方法として、従来、サンドブラスト、エッチャントによるエッチング、フォトリソグラフィなどが知られているが、これらの技術によって形成された反射体は、凹凸部の分布にランダム性はあるものの、凹凸部が等方的な形状になる傾向にあり、得られる反射特性が、いわゆるガウス分布型の反射輝度−受光角特性になってしまうので、反射特性を所望の状態に制御することが極めて困難である。従って、そのような反射体を組み込んだ液晶表示装置では、反射、拡散特性に異方性や非対称性を付与することが困難となり、視認性が劣るという問題がある。また、上記した技術を用いて、凹凸部の形状を個別に制御しようとすると、加工リードタイムの延長、歩留まりの低下などの問題が発生してしまう。
そこで、反射体を製造するに当たって、上記した問題が生じないように、例えば、特許文献1には、予め、望ましい反射、拡散特性が得られるように設計された微細な凹凸形状を有するロール版を製造しておき、これを、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂を塗布(有機膜を形成)したガラスやプラスチックなど(製品基板)に押圧しながら回転させて、所望の凹凸形状を転写する技術が開示されている。
上記した凹凸形状を有するロール版は、例えば、以下の工程によって製造される。
まず、母型となる略円柱状の基材の表面に、設計値として予め定められた形状の微小な凹凸を形成しておき、これを転写樹脂膜上に押圧しながら回転させることで、転写樹脂膜に母型の表面形状を転写する。次に、転写樹脂膜の凹凸面に金属膜を形成し、この上から金属膜を電極とした電解メッキによりNi膜を形成する(Ni版を形成する)。次に、形成したNi版の金属膜上に、Ni電鋳によってNi膜を形成し、このNi膜をマスタ版として、略円柱状のロールに巻回することで、上記したロール版を製造する。
このように形成されたロール版は、上述したように、有機膜を形成したガラスやプラスチックなどに押圧しながら回転され、これによって、その表面には、最初の母型の基材表面に形成された微小な凹凸と略同一な凹凸形状が形成される。従って、母型の基材の表面に、予め、反射、拡散特性に異方性や非対称性を付与するような凹凸を形成しておくことにより、上記した反射体を精度良く、容易に製造することが可能となる。
なお、母型の基材の表面に形成される凹凸は、例えば、所望の反射、拡散特性が得られるように外観形状が設計された圧子を、母型の基材の表面に対して打刻し、圧痕を残すことで形成される。
ところで、上記したマスタ版を取着したロール(ロール版)による転写方法は、ロール版と製品基板との間の押圧条件が適正に選択された場合、極めて微細な母型の凹凸が製品基板の表面に忠実、かつ効率良く形成されるという利点を有するが、押圧条件の許容幅(製造条件のマージン)が小さい傾向にあった。例えば、ロールにNi膜によるマスタ版を取着してロール版を作成し、これを製品基板の表面に形成された有機膜に押圧する際、押圧力が強いと、有機膜上に形成される凹凸形状の最大深さは確保されるが、反射特性に最も重要な断面形状、特に傾斜角分布が設計値よりも崩れ易くなる傾向となり、逆に、押圧力が弱いと、所定の凹凸形状が付与できなくなる傾向となる。
さらに、金属材料によって形成されたマスタ版を、単に、表面が硬いロール(充分な押圧力が付与できるように、鉄、鋼材等によって製造される)に巻回し、これを製品基板に対して所定の押圧力をもって押圧すると、製品基板に転写ムラが発生することがある。これは、具体的には、ガラス製の製品基板では、その厚みに不均一な部分が存在していることがあり、また、ロール表面の精度も厳密な円周面に形成することが難しいため、剛体(ロール)−剛体(ガラスの製品基板)間の転写時において、精度のバラツキに基づく転写ムラとなるのである。特に、液晶表示素子を複数個、製品基板上にレイアウトしたマザーガラスの面全体、或いはロール版の幅方向は、少なくとも300mm以上になるため、このような範囲で押圧力の均一性を確保するのは困難となる。
このため、上記した特許文献1の図6に開示されているように、マスタ版をロールに巻回する際、両者の間に、ゴムなどの弾性体からなる緩衝材を介在させることで、ローラとマスタ版を一体化し、転写時に、剛体間の上記した精度のバラツキを吸収して、転写ムラを生じさせないようにすることが行われている。
特開2004−109785号
しかしながら、特許文献1に開示されている製造方法では、単に、マスタ版とロールとの間に、ゴムのような緩衝材を介在させているに留まり、ロール版の最適な押圧条件や、緩衝材の特性、或いはその耐久性等については、充分に考慮がされていなかった。このため、上記した従来の製造方法では、製品基板に対する処理回数(ショット数)がある程度進むと、緩衝材が伸びたり破断等してしまい、その都度、緩衝材やマスタ版を交換するなど、保守に手間がかかっている。特に、ゴムのような緩衝材を介在して大きな押圧力を付与すると、ゴムにバルジが発生してしまい、それが、正確な転写を妨げる(転写率を低下させる)要因になることから、いかに速やかにバルジを開放するか、或いは小さなバルジにするかが製造効率を向上する上では問題となる。すなわち、反射体を製造するに際しては、上記した緩衝材に関する保守作業を可能な限り少なくすることで、製造効率の向上、及びコストの低減化が図れるものと考えられる。
本発明は、上記した事情に基づいて成されたものであり、ランダムな凹凸形状を有する反射体を、より効率的で、コストがかかることなく製造することを可能にするロール版、及び凹凸形状形成装置を提供することを目的とする。そして、特に、特許第3547591号、或いは特許第3515544号後方に記載されているように、微小なランダム凹凸形状が多数形成された反射体を、その凹部(又は凸部)の断面形状、傾斜角分布を、所望の反射特性が得られるように、高精度で再現性良く形成することができる装置を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために、本発明に係るロール版は、表面に多数の凹凸部を有する反射体を製造するに際して用いられ、凹凸を有するマスタ版をロールの表面に巻回した略円柱状を成しており、前記ロールの表面とマスタ版との間に、強化材を含む弾性シートを介在したことを特徴とする。
上記した構成のロール版においては、ロールの表面とマスタ版との間に弾性シートを介在させることで、大きな押圧力でロール版を製品基板に押し付けながら加工しても、製品基板に対する圧力分布を均一化することができ、スジ状のムラが発生することを防止することが可能になると共に、製造条件のマージン(条件設定の許容度)を広くとることができる。そして、この場合、弾性シートに強化材を混入しておくことによって、ロール版に対して安定した転写率を得るために必要とされる押圧力を付与して処理を繰り返しても、弾性シートの変形、破損が生じ難くなり、適正な押圧条件が長期に亘って維持され、安定したロール転写加工が可能になる。そして、上記した強化材を含む弾性シートを介在させることで、微小なランダム凹凸形状が多数形成された反射体を、その凹部(又は凸部)の断面形状、傾斜角分布を、所望の反射特性が得られるように、長期に亘って、高精度で再現性良く形成することが可能となる。
上記した構成のロール版では、前記弾性シートは、硬度を70〜80に設定することが好ましい。すなわち、弾性シートの硬度が上記した範囲よりも低くなると、弾性シート上にあるマスタ版の自由度が大きくなる傾向となり、転写処理時において、ロールの転写方向に沿ってスジ状のムラが発生する可能性が高くなってしまう。また、弾性シートの硬度が上記した範囲よりも高くなってしまうと、逆に、転写処理時に適度な押圧力を均一に与えることが難しくなって転写率が低下したり、同様なスジ状のムラが発生する傾向になってしまう。なお、ここでの「硬度」については、一般的に弾性体の硬度を測定する際に用いられる硬度測定器(高分子計器株式会社製、型番DD2−A)によって測定した結果によって特定することとする。
また、介在される弾性シートの厚さについては1.5mm以下にすることが好ましい。すなわち、厚さが1.5mmより厚くなってしまうと、上記した硬度と同様、弾性シート上にあるマスタ版の自由度が大きくなる傾向となり、転写処理時において、ロールの転写方向に沿ってスジ状のムラが発生する可能性が高くなってしまう。この場合、弾性シートは、薄い方が望ましいが、余り薄くなり過ぎると、混入した強化材が外部に露出してしまうことから、1.0mm以上あることが好ましい。
上記したようにロールとマスタ版との間に介在される弾性シートは、その母材に用いられる材料、及び混入される強化材の材料に関しては各種のものを用いることが可能であるが、強化材としてガラス繊維を用い、これを織布状に編成して母材である弾性を有するシリコンゴムに混入したものとした場合、耐久性において、特に良好な結果が得られる。
そして、上記したように構成されるロール版は、表面に有機膜を形成した製品基板に対し、所定の押圧力で押圧しながら回転駆動されるように、凹凸形状形成装置に支持されることを特徴とする。
本発明に係るロール版、及び凹凸形状形成装置によれば、ロールとマスタ版との間に介在される緩衝材の耐久性が向上し、ランダムな凹凸形状を有する反射体を、より効率的で、コストがかかることなく製造することが可能になる。また、微小なランダム凹凸形状が多数形成された反射体を、その凹部(又は凸部)の断面形状、傾斜角分布を、所望の反射特性が得られるように、高精度で再現性良く形成することが可能となる。
以下、本発明に係るロール版、及び凹凸形状形成装置の一実施形態について、添付図面を参照して具体的に説明する。
まず、本発明に係るロール版、及び凹凸形状形成装置によって作製される反射体について説明する。図1に示すように、反射体10は、ガラスやプラスチックなどによって構成される支持層(製品基板)11と、支持層11の表面に形成され、所定の凹凸形状を与えるための樹脂材料(熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等)からなる有機膜12と、有機膜12の表面に対し、AlやAg等の高反射率の金属膜を被着することで形成された金属反射膜13とを備えて構成されている。この場合、前記有機膜12には、後述するロール版によって、複数の凹部15が形成されており、この凹部15上に金属反射膜13を被着することで、予め定められた反射、拡散特性を得るようにしている。
上記した各凹部15の内面(曲面)は、予め、曲率半径が異なる複数の曲面を組み合わせることで構成されている。具体的には、入射光に対する反射光を広角に散乱させて、広い受光角範囲で高い反射率が得られるようにその内面が設計されており、反射膜13の正面方向の反射輝度をより高めるようにしている。すなわち、上記したような反射体10を、液晶表示装置の反射層として適用するならば、液晶表示装置の正面方向における反射輝度を向上させることができ、液晶表示装置の観察者方向への輝度を高めることが可能となる。
上記した反射体10の内、支持層11の表面の有機膜12に対する所望の凹部15は、例えば、以下のような製造工程によって形成される。
図2は、反射体10の凹凸形状を形成するために用いられる母型の構成を示す斜視図であり、図3(a)〜(d)は、図2に示す母型を用いて、ロール版の表面部を構成する凹凸を備えた版(マスタ版)を形成するための一手順例を示す図である。
図2に示す母型17は、図示されていない母型製造装置によって作成される。この母型製造装置は、円柱状に形成された基材17aを回転可能に支持しており、基材17aの表面に、凹状の圧痕を打刻するための圧子(加工ヘッド)を備えて構成されている。この圧子は、上記した凹部15が形成されるような外観形状(曲率半径が異なる複数の曲面を組み合わせた外観形状)を有しており、回転駆動される基材17aに対して、軸方向にスライド駆動、及び径方向に駆動されながら、基材17aの表面に対して所望の凹部18を多数、打刻形成する(各凹部18は、図1に示す反射体10の凹部15と同様な形状となる)。
なお、前記基材17aは、鉛や真ちゅう、はんだ、ステンレス鋼等の塑性加工が比較的容易な金属材料で構成されており、圧子は、それよりも硬く、基材17aの表面を塑性変形させることが可能な材料、例えば、ステンレス製の本体の先端に所定形状に加工されたダイヤモンドを設けたもの、超硬鋼、セラミックス、タングステン等によって構成されている。もちろん、この圧子の形状は、作製する反射体の凹部18(又は凸部)の形状に応じて適宜変更することができ、また、その構成材料については、基材17aの材質に応じて適宜選択することができる。
次に、図3(a)に示すように、図2に示す母型17の表面形状を転写樹脂膜20に転写する。この工程において、母型17は、下側送りローラ21と、必要に応じて設けられる上側送りローラ22との間に、これらのローラ21,22と軸平行に垂直に配列されている。また、母型17と下側送りローラ21との間に、被加工物である転写樹脂膜20(ここでは、紫外線硬化性樹脂が用いられる)を表面に塗布された基板25が通過できるようになっており、母型17及び下側送りローラ21とが相互に滑り無く回転できるようにするための手段が設けられている。上記基板25の送り方向上流側には、基板25上に転写樹脂膜20を塗布形成する樹脂供給部26が設けられており、母型17よりも下流側の基板25上方に紫外線照射部27が配設されている。なお、母型17による加圧加工において、転写樹脂膜20の粘度あるいは硬さを調整するために、樹脂供給部26と母型17との間の基板25の上方に、補助の紫外線照射手段を設けることもできる。
前記基板25は、ガラス基板やプラスチック基板、樹脂フィルム基板などを用いることができる。また、樹脂供給部26により基板25上に塗布形成される転写樹脂膜20は、本実施形態では紫外線硬化性樹脂を用いているが、熱硬化性樹脂であっても良く、その場合には、紫外線照射部27をヒートランプ等の熱源とすればよい。上記送りローラ21,22は、基板25上で母型17を滑らせることなく回転させるために設けられており、母型17のスリップや転写樹脂膜20の破損等が生じなければ、どのような材質のものであっても構わない。
上記構成の図3(a)に示す工程では、送りローラ21,22を回転させることにより母型17を回転させた状態で、母型17と下側送りローラ21との間に基板25を挿入して基板25を図示右方向へ移動させながら、基板25上の転写樹脂膜20を母型17の表面に押し付けて母型17の表面形状を転写樹脂膜20に転写し、転写樹脂膜20表面に凹凸面29を形成する。転写樹脂膜20は、基板25を図示右方向へ移動させながら、樹脂供給部26により樹脂材料を順次塗布することにより形成され、母型17による形状加工を行う前に必要に応じて紫外線照射手段による予備硬化を行い、母型17による加工後に紫外線照射部27による最終硬化を行ってその表面形状を保持するようになっている。以上の工程により、転写樹脂膜20の表面に母型17と逆凹凸の凹凸面29が形成された樹脂版30を得る。
次に、図3(b)に示すように、図3(a)に示す工程により得られた樹脂版30の凹凸面29上に、金属膜32を成膜する。次いで、金属膜32を電極として用いた電解メッキによりNi膜33を形成する(Ni電鋳)。上記金属膜32は、金メッキ膜とすることが好ましく、これらの金属膜を形成することで、金属膜32とNi膜33との剥離をNi膜33に破損を生じることなく容易に行うことができる。
上記金属膜32及びNi膜33の膜厚は、特に限定されないが、金属膜32が5nm〜50nm程度、Ni膜33が30μm〜200μm程度とすればよい。次に、図3(b)に示すように金属膜32上にNi膜33を形成したならば、これらの金属の薄膜と、樹脂版30とを剥離して、一面側に母型17表面と略同一の凹凸形状が形成されたNi膜33と、Ni膜33の凹凸形状に沿う金属膜32とからなるNi版34を得る。
次に、図3(c)に示すように、上記工程で得たNi版34の金属膜32上に、Ni電鋳によりNi膜35を形成する。このNi膜35の形成に際しては、図3(b)に示すNi膜33と同様の形成方法を適用することができる。また、Ni膜35の膜厚は、特に限定されないが、30μm〜200μmとすれば良い。次いで、上記にて形成したNi膜35を金属膜32から剥離して、母型17の表面と逆凹凸の表面形状を有するNi電鋳版(マスタ版)35Aを得る(図3(d))。この金属膜32とNi膜35との剥離は、各薄膜の熱膨張差を利用することで行う。従って、金属膜32として、熱膨張率の小さい金等を用いることで、金属膜32とNi膜35との剥離をさらに容易に行うことが可能となる。
上記したようにして形成されたマスタ版35Aは、例えば、図4(a)〜(e)に示す工程によってロールに取着され、最終的に、図4(f)及び図5に示すようなロール版が作成される。以下、これらの図に基づいて、ロール版の形成工程について説明する。
ロール版50を構成するロール40は、後述するように、凹凸形状形成装置に設置された状態で、製品基板に対して、大きな押圧力で所定の範囲内を均一に押圧するという特殊性がある。このため、ロール40は、押圧時にたわみが生じたり、塑性変形などが生じない材料、例えば、鉄、鋼材等を鋳造することで略円柱形状に一体形成されている。また、本実施形態のロール40には、軸方向に沿って所定の角度切り欠かれた溝部40aが形成されており、溝部40aを利用してマスタ版35Aが固定されるようになっている。
上記したように構成されたロール40に対し、図4(b)に示すように、その外周面全面に亘って両面テープ41aを取着する。そして、両面テープ41aを取着した後、その上から、図4(c)に示すように、強化材を含む弾性シート60を巻回し、固定する(ここで用いられる弾性シート60の詳細な構成については後述する)。そして、弾性シート60が取着された後、その上から、図4(d)に示すように、その外周面全面に亘って両面テープ41bを取着する。そして、両面テープ41bを取着した後、その上から、図4(e)に示すように、上述したように形成されたマスタ版35Aを巻回し、固定する。
これにより、図4(f)及び図5に示すようなロール版50が形成される。なお、図5に示すように、上記した弾性シート60、及びマスタ版35Aは、ロール40に形成された溝部40aに設置されたクランプ機構48によって両端部が周方向に引張された状態で固定されており、ロール40と、弾性シート60及びマスタ版35Aは、ずれ等が生じたりバルジ等が生じることなく、一体回転するよう構成されている。また、上記したロール40−弾性シート60−マスタ版35A間を密着固定する両面テープ41a,41bは、押圧処理時において、マスタ版35Aが確実に密着固定され、変動等しないように(自由度が無いように)、ロール40の外周面全体に亘って取着されるシート形状に構成されていることが好ましい。
そして、図6に示すように、ガラスやプラスチックなどからなる製品基板70の被加工領域71に、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を塗布して有機膜を形成し、その後、上述した工程により作製したロール版50を回転させながら被加工領域71に押圧することで、被加工領域71の有機膜表面にロール版50のマスタ版35Aの表面形状を転写する。
図7は、上記したように作成されたロール版50を組み込んだ凹凸形状形成装置の一例を示した概略図である。
凹凸形状形成装置100は、上記した製品基板70を載置する処理台101と、処理台101に対し、矢印A方向に相対移動可能な支持部材102とを備えている。支持部材102は、図に示すように略コの字型に形成されており、その両側に立設された側壁102a,102間には、上記のように作成されたロール版50が回転可能に支持されている。また、支持部材102には、ロール版50を所定の速度で回転駆動する駆動手段(駆動モータなど)103が設けられると共に、支持されているロール版50を矢印B方向(製品基板70方向)に向けて、所定の押圧力で押圧する押圧手段(図示せず)が設けられている。
前記支持部材102の側壁102a,102bは、矢印A方向に沿って設置されたガイド部材107に支持されており、駆動手段(図示せず)によって、支持部材102は、ガイド部材107に沿って移動可能に構成されている。
このような凹凸形状形成装置100において、処理台101に製品基板70を載置した状態で、ロール版50に所定の押圧力を付与し、かつロール版50を回転駆動させながら支持部材102を処理台101に対して相対移動することで、製品基板70の被加工領域の有機膜表面には、上記したように、マスタ版35Aの表面形状が転写される。
上記したようにマスタ版35Aの表面形状が転写された製品基板70は、加工された有機膜を紫外線照射や加熱により硬化し、有機膜表面にAlやAg等の高反射率の金属反射膜を形成することによって、図1に示したような反射体10を得ることができる。
なお、上記した反射体10の製造方法において、ロール版50と被加工領域71とは、ロール版50のマスタ版35Aの幅W1が被加工領域71の幅W2よりも広く、ロール版50の円周(マスタ版35Aの転がり方向の長さ)が被加工領域71の長さLよりも長くなるように組み合わされる。これは、ロール版50に溝部40aが形成されていること、及びマスタ版35Aの幅が有限であることによる。すなわち、図6に示す工程で、ロール版50の溝部形成領域が被加工領域71上を通過しないようにする必要があり、また、マスタ版35Aの幅方向の端部も被加工領域71に掛からないようにする必要があるからである。
上記したように構成されるロール版50、及び凹凸形状形成装置100によって、凹凸形状を転写するに際しては、製品基板70に対するロール押し圧が、正確な形状を転写する上で重要となる。具体的に、ロール押し圧と、転写率との関係を側的したところ、以下の表1のような結果を得ることができた。ここでは、ロール押し圧を変えながら、転写率(マスタ版35Aの凹凸高さの実測値が転写凹凸の高さと比較して、どの程度忠実に転写されたかの比率)を測定した。
Figure 2006212779
表1の測定結果から見られるように、転写率が不足する領域から多少のマージンを考慮すると、ロール押し圧は、約136Kgf/cm2 で転写率が安定することが見出された(転写加工条件は、ロール温度;41℃、テージ温度;41.5℃、加工速度;5mm/sで測定)。
すなわち、安定した転写率を得るためには、ロール押し圧は、少なくとも136Kgf/cm2 以上が必要とされることから、上記した弾性シート60は、そのような押し圧に充分耐えるような構成にしておくことで、処理回数(ショット数)が増加しても、伸び、断裂などの不都合が発生することはなく、安定した転写率を維持することが可能となる。
本実施形態の弾性シート60は、弾性部材をシート状に形成するに際して、その内部に強化材を混入した複合材によって構成されている。このように弾性体に強化材を混入しておくことにより、弾性体としての特性を維持したまま、引き裂き強度や圧縮強度等の向上が図れ、伸びや断裂といった変形を効果的に防止することが可能になる。すなわち、上記したような大きなロール押し圧が作用しても、弾性シート60には、伸び、断裂、圧延等を生じさせず、その耐久性を向上させることが可能になる。
具体的に、本実施形態における弾性シート60は、図8に示すように、弾性を付与する母材60aをシリコンゴムとし、その内部に、強化材であるガラス繊維を混入して構成されている。この場合、強化材となるガラス繊維60bは、予め織布状(織り込み間隔を1mm前後にする)に編成されており、これを厚さ1.0mmのシリコンゴムに混入することで弾性シート60が構成される。そして、このような織布状の強化材を含んだ弾性シート60は、物性として硬度70、引張強度8.0MPa、切断時伸び230%、圧縮永久ひずみ14.1%の特徴を備えている。
上記した複合材による弾性シート60を介在させたロール版と、一般的なゴムシート(シリコンゴムシート)を介在させたロール版との間で、耐久性比較試験を行ったところ、下記の表2のような結果が得られた。この比較試験においては、両シートは、同一の厚さ(1.0mm)に設定してあり、ロール押し圧、温度、駆動速度等、各種の動作条件も同一にして行った(なお、シート部材そのものを介在させないと、転写率が75%前後となり転写率不足となる)。
Figure 2006212779
上記した試験結果によれば、強化繊維なしのシリコンゴムシートでは、転写が200ショット程で、ロール押圧による圧延が顕著に現れるようになり、マスタ版にゴム厚みムラに基づく凹凸が発生するようになる。特に、ロール版の回転終端部に、圧延されたゴムが集中するようになり、忠実な転写を妨げるようになる。また、それに伴ってシリコンゴムシートも変動することから、結果として、転写される製品基板に横スジ状のムラが発生するようになる。
一方、ガラス繊維を混入した弾性シート60は、表2に示す転写率からも明らかなように、約2000ショット繰り返しても、伸び、破断、圧延等が発生することはなく、忠実な転写が維持された。そして、このような忠実な転写は、約4000ショット程度まで維持することが確認され、一般のシリコンゴムシートと比較すると、約20倍程度の耐久性が得られるという結果が得られた。
また、表2には示していないが、強化繊維を混入していないバイトン(登録商標)についても、これをシート状にして介在し、同様な耐久性試験を行ったところ、約150ショットで転写率の低下が確認された。さらには、一般的なオフセット印刷に用いられるブランケットについても同様な耐久性試験を行ったが、約100ショットで転写率の低下が確認された。このようなブランケットについては、本発明において必要とされるロール押圧力が、一般的なオフセット印刷の場合と比較して、極端に高いことによるものと考えられる。
以上のように、弾性シート60に強化繊維を混入しておくことによって、ロール版50に対して安定した転写率を得るために必要とされる押圧力を付与して転写処理を繰り返しても、弾性シート60が変形、破損、圧延等、生じることは無く、条件設定の許容度の広い適正な押圧条件が長期に亘って維持され、安定したロール転写加工が可能になる。
そして、上記した構成においては、強化材が混入された弾性シート60は、その硬度が70〜80の範囲に設定しておくことが好ましい。これは、硬度が低くなると、弾性シート60上に被着されたマスタ版35Aの自由度が大きくなる傾向となり、バルジが発生する等、転写処理時においてスジ状のムラが発生する可能性が高くなるからである。また、硬度が高くなると、転写処理時に、適度な押圧力を均一に与えることが難しくなって転写率が低下したり、同様なスジ状のムラが発生する傾向になるからである。
さらに、弾性シート60の厚さTに関しても、1.0mm〜1.5mm程度に設定しておくことが好ましい。これは、厚さを厚くしてしまうと、弾性シート60上に被着されるマスタ版35Aの自由度が大きくなる傾向となり、バルジが発生する等、転写処理時においてスジ状のムラが発生する可能性が高くなるからである。また、余り薄くなり過ぎると、混入した強化材(ガラス繊維60b)が外部に露出してしまうことから、1.0mm以上あることが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記したようにロール40とマスタ版35Aとの間に介在される弾性シートについては、その母材として用いられる弾性材料、及び混入される強化材の材料に関しては、ロール押し圧、転写処理が成される製品基板に被着される有機膜の材料、マスタ版の構成材料、加工速度等に応じて、適宜変形することが可能である。
具体的には、強化材を含む弾性シートは、弾性材料(母材)に強化材を混入した複合材料をシート状に成形したものであれば良い。ここで母材となる弾性材料は、例えば、フッ素ゴム、シリコンゴムなどのゴムを用いることができ、強化材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックス繊維などを用いることができる。この場合、強化繊維の性状については、短繊維状のもの、長繊維状のものを用いることができ、混入方法についても、上記したように織布状に編成したもの以外にも、ランダムに混入する等しても良い。また、通常の弾性材料(母材)の原料に強化材料(モノマー、ダイマー、ポリマーなど)を混合、又は重合させてなる材料を用いてシート状に成形したものであっても良い。
液晶表示装置に利用可能な反射体の構成を示す斜視図。 反射体の凹凸形状を形成するための母型を示す斜視図。 (a)〜(d)は、図2に示す母型を用いてロール版を作成する一工程例を示す図(その1)。 (a)〜(f)は、図2に示す母型を用いてロール版を作成する一工程例を示す図(その2)。 図3及び図4に示した工程によって作成されるロール版の断面図。 図5に示すロール版を用いて図1に示す反射体の凹凸形状を形成する工程を示す斜視図。 ロール版を組み込んだ凹凸形状形成装置の一構成例を示す斜視図。 ロールとマスタ版との間に介在される弾性シートの構成を示す図。
符号の説明
10 反射体
17 母型
35A Ni電鋳版(マスタ版)
40 ロール
50 ロール版
60 弾性シート
60a 母材
60b 強化材
100 凹凸形状形成装置

Claims (6)

  1. 表面に多数の凹凸部を有する反射体を製造するに際して用いられ、凹凸を有するマスタ版をロールの表面に巻回した略円柱状のロール版であって、
    前記ロールの表面とマスタ版との間に、強化材を含む弾性シートを介在したことを特徴とするロール版。
  2. 前記弾性シートは、硬度が70〜80で、厚さが1.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のロール版。
  3. 前記弾性シートは、ガラス繊維を織布としてシリコンゴムを含浸して形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のロール版。
  4. 表面に有機膜を形成した製品基板に対し、所定の押圧力で押圧しながら回転駆動されるロール版を回転可能に支持し、前記ロール版の回転によって、前記製品基板の表面に多数の凹凸部を有する反射体を製造するに際して用いられる凹凸形状形成装置であって、
    前記ロール版は、略円柱状に形成されたロールと、このロールの表面に取着される強化材を含む弾性シートと、この弾性シートの表面に取着され、前記凹凸部を形成する所定形状の凹凸を有するマスタ版とを有することを特徴とする凹凸形状形成装置。
  5. 前記弾性シートは、硬度が70〜80で、厚さが1.5mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の凹凸形状形成装置。
  6. 前記弾性シートは、ガラス繊維を織布としてシリコンゴムを含浸して形成されたものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の凹凸形状形成装置。
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