JP2006212677A - スラリー脱水機 - Google Patents

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Nobuyuki Kanemori
伸幸 兼森
Shigeru Kudo
工藤  茂
Yoichi Abe
安部  洋一
Hiroshi Oda
博史 織田
Morio Imamiya
盛雄 今宮
Yutaka Mori
豊 森
Hiroyuki Oto
博之 大戸
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Abstract

【課題】 ループを形成したベルト状の濾布1と、濾布1を挟み込む1対のロール3とを有し、濾布1を移送しつつ濾布上に供給されるスラリー11をロール3にて圧搾脱水するスラリー脱水機において、濾布の幅にかかわらず濾布にしわの発生しない双ロール型スラリー脱水機を提供する。
【解決手段】 濾布1の幅方向に張力を付与するための横張力付与ロール2を設置してなることを特徴とするスラリー脱水機である。横張力付与ロール2として、円弧状に湾曲した軸を回転中心とする湾曲回転ロール15、又は、横張力付与ロール2の周方向に放射状に配置された移動板22をロールの軸方向左右にそれぞれ配置した直線型エキスパンドロール、又は、横張力付与ロール2の周面にスパイラル突起部28を有し、スパイラル形状は、ロール幅方向左右のスパイラル形状が逆ネジ方向を有するスパイラルロール27を用いることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、含水率の高いスラリーを脱水して含水率を低減するためのスラリー脱水機に関するものである。
含水率の高いスラリーを脱水して含水率を低減するためのスラリー脱水機として、ループを形成したベルト状の濾布と、該濾布を挟み込む1対のロールとを有し、濾布を移送しつつ濾布上に供給されるスラリーを前記ロールにて圧搾脱水するスラリー脱水機が知られている。以下、このような形式のスラリー脱水機を、双ロール型スラリー脱水機ともいう。
双ロール型スラリー脱水機においては、ベルト状の濾布は無端状に巻き回され、その濾布は1対のロール(以下「圧搾ロール」ともいう。)に挟み込まれる。濾布は圧搾ロールの回転と共に所定の速度で移動する。濾布上に供給されたスラリーは、濾布の移送に伴って圧搾ロールに送り込まれ、ロール間で圧搾されることによってスラリー中の水分が排出される。排出された水分は濾布を通過し、濾布の下方で回収される。圧搾ロールで圧搾されて含水率が低下したスラリーは、一方の圧搾ロールに転着するので、この転着したスラリーをスクレーパーで掻き落として回収される。
特許文献1には、上記構成に加え濾布へのスラリー供給位置と圧搾ロールとの中間に濾布の下面側から吸引負圧を作用させてスラリーを初期脱水する負圧脱水部を備えた双ロール型スラリー脱水機が記載されている。
特許文献2には、双ロール型スラリー脱水機を用いて、製鉄工程で発生する酸化鉄を含むスラリーを脱水する方法が記載されている。
特開2001−170419号公報 特開2002−136998号公報
ベルト状濾布を用いる双ロール型スラリー脱水機に用いるベルト状濾布として、特許文献1に記載のものでは濾布幅1000mmのものが用いられ、特許文献2に記載のものでは濾布幅1.2mのものが用いられている。脱水機の能力を増大するためには、濾布幅の広い濾布を用いることが有効である。ところが、双ロール型スラリー脱水機に用いるベルト状濾布として、特許文献1、2に記載のものに比較してより広い幅の濾布を用いると、脱水機の運転中にベルト状濾布にしわが発生することがある。しわは、濾布の進行方向に沿って発生し、一旦、濾布にしわが発生すると、濾布の有効幅が狭くなるだけでなく、しわをロールで繰り返しプレスするため、やがて濾布がしわ部より破れ、場合によっては濾布の破れ部よりスラリーが流出するという現象に進展し、脱水機の正常な運転が困難になることがある。
本発明は、濾布の幅にかかわらずしわの発生しない双ロール型スラリー脱水機を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)ループを形成したベルト状の濾布1と、濾布1を挟み込む1対のロール3とを有し、濾布1を移送しつつ濾布上に供給されるスラリー11をロール3にて圧搾脱水するスラリー脱水機において、濾布1の幅方向に張力を付与するための横張力付与ロール2を設置してなることを特徴とするスラリー脱水機。
(2)横張力付与ロール2が、円弧状に湾曲した軸を回転中心とする湾曲回転ロール15であることを特徴とする上記(1)に記載のスラリー脱水機。
(3)濾布幅両端における湾曲回転ロール15の回転軸中心位置を結んだ直線と、ロール幅方向中心における湾曲回転ロールの回転軸中心位置との距離xが、濾布幅Wの1/150〜1/20の範囲であることを特徴とする上記(2)に記載のスラリー脱水機。
(4)横張力付与ロール2は、横張力付与ロール2の周方向に放射状に配置された移動板22を有し、移動板22はロールの軸方向左右にそれぞれ配置され、移動板22が濾布1と接しているときにロール幅中心からロール端部に向かって移動する直線型エキスパンドロールであることを特徴とする上記(1)に記載のスラリー脱水機。
(5)移動板22の最大移動量を濾布幅Wの0.5〜5%の範囲とすることを特徴とする上記(4)に記載のスラリー脱水機。
(6)横張力付与ロール2は、横張力付与ロール2の周面にスパイラル状に配置された凸部(以下「スパイラル突起部28」という。)を有し、スパイラル形状は、横張力付与ロール2の幅方向において、一方の側のスパイラル形状が他方の側のスパイラル形状に対して逆ネジ方向を有するスパイラルロール27であることを特徴とする上記(1)に記載のスラリー脱水機。
(7)スパイラル形状は、ロール径Dの110〜250%に相当するスパイラルピッチPを有することを特徴とする上記(6)に記載のスラリー脱水機。
(8)スパイラル突起部頂点と回転中心との距離は、スパイラル突起部以外の部分における横張力付与ロールの半径の1〜10%大きいことを特徴とする上記(6)又は(7)に記載のスラリー脱水機。
(9)スパイラルロール27の周速を濾布移送速度に対して±10%の範囲で可変速としたことを特徴とする上記(6)乃至(8)のいずれかに記載のスラリー脱水機。
(10)濾布上にスラリーを供給する位置から前記1対のロール位置までの間に、濾布を支持するロールあるいはプレートの少なくとも1種を設置したことを特徴とする上記(1)乃至(9)のいずれかに記載のスラリー脱水機。
(11)濾布の幅端部検出装置を備えることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載のスラリー脱水機。
(12)製鉄工程で発生したスラリーの脱水に用いることを特徴とする上記(1)乃至(11)のいずれかに記載のスラリー脱水機。
本発明の双ロール型スラリー脱水機は、ループを形成したベルト状の濾布の幅方向に張力を付与するための横張力付与ロールを設置しているため、常に濾布に幅方向の張力を付与してしわの発生を防止し、あるいは発生したしわを伸ばすことが可能であるため、濾布にしわを発生させることなく幅の広い濾布を用いた双ロール型スラリー脱水機とすることができる。
双ロール型スラリー脱水機の基本的構成を図1に基づいて説明する。
ループを形成したベルト状の濾布1は、繊維で編み込まれた布や不撚布で構成されるものであり、素材としては合成繊維を用いることができる。スラリーの水分吸収のよい合成繊維製のフェルトを用いた濾布が特に望ましい。ループを形成した濾布1は1対のロール(圧搾ロール3)に挟み込まれており、濾布1は圧搾ロール3の回転と共に所定の速度で移動する。スラリー供給口9からスラリー11が濾布1に注がれる。濾布1は定常速度で、圧搾ロール3に向かって移動して、圧搾ロール3は定常速度で回転しながら、濾布1とその上のスラリー11を上下から圧搾して水分を絞る。スラリー11は水分が低下した状態で圧搾ロール3の下流側に送られる。スラリー11に含有された水分の多くは、圧搾ロール3に押されて、濾布1の下側に押し出される。また、脱水後のスラリー11は、濾布が圧搾ロールで下方に曲がる部分で、濾布1から分離させる。ただし、多くの脱水後スラリーは濾布と上側の圧搾ロール3aに付着するので、これをスクレーパー10によって削ぎ落とす。
脱水が終了して、スラリーを分離した後の濾布1には、スラリー中の粉体が付着している。このまま、次の脱水サイクルで使用すると更に粉体の付着が増えて、濾布の目詰まりが起きる。そこで、濾布洗浄を行う。洗浄ノズルにて、水を吹き付けて、洗浄槽において粉体で汚れた水を流す。あるいは必要に応じて2段の洗浄を行う。第一段の洗浄では、洗浄ノズルから界面活性剤を含んだ水を吹き付けて、粉体を落とすとともに、油分を乳化して落とす。第二段で、洗浄ノズルにて水を吹き付け、洗浄槽にて、粉体を洗い落とす。洗浄の段数は任意に決定できるので、限定されるものでない。
ループ状の濾布を伸延状態で保持し所定の速度で移送するため、脱水機には種々のロールが配置され、ループ状の濾布はこれらのロールに順次巻き回される。1対の圧搾ロール3は濾布1を駆動する駆動ロールを兼ねることができる。濾布1の移送に伴い、圧搾ロール3を出た濾布は、濾布を洗浄する洗浄槽内に設けられた水中ロール5を経由し、ループ状の濾布に長手方向の張力を与える縦張力付与ロール6を経由し、1対のスクイズロール4の間を通過する。濾布1は洗浄槽を経由する際に洗浄され、スクイズロール4によって濾布に含まれる水分が除去される。スクイズロール4から圧搾ロール3までの間において、スラリー供給口9から濾布上にスラリー11が供給される。スクイズロール4と圧搾ロール3との間の位置には、濾布の走行位置を定めるためのガイダーロール8が配置される。その他、濾布1に沿って各所にフェルトロール7と呼ばれるロールを配置することがある。
圧搾ロール3とスクイズロール4とは左右に離間して配置され、ガイダーロール8は圧搾ロール3とスクイズロール4との中間部の若干上方に配置されている。そして、濾布1はその内面がガイダーロール8にガイドされ、緩いスロープの山形を描いて圧搾ロール3とスクイズロール4との間に張設されており、ガイダーロール8によって幅方向の位置ずれが修正されるようになっている。
本発明の横張力付与ロール2は、上記濾布ループのいずれかの箇所に、濾布1に接して配置される。横張力付与ロール2の最適配置位置は、濾布の幅方向に張力を付与する方式毎に定まるが、原則として、濾布の長手方向張力に基づいて濾布が横張力付与ロール周面に面圧をもって接することが可能な位置に配置すると良い。そのためには、横張力付与ロールによって濾布の走行方向が曲げられるような位置に配置することが好ましく、曲げ角度が大きくなるほど適切である。図1に示す例においては、横張力付与ロール2は縦張力付与ロール6とスクイズロール4との間の位置に配設されている。
本発明の横張力付与ロール2の形式としては、濾布の幅方向に張力を付与することができればいずれの形式をも用いることができるが、下記の湾曲回転ロール15、直線型エキスパンドロール21、スパイラルロール27のいずれか1種または2種以上を用いることとすると好ましい。以下、順次説明する。
まず、図2に基づいて湾曲回転ロール15について説明する。
湾曲回転ロール15とは、円弧状に湾曲した軸16を回転中心とする横張力付与ロール2である。円弧状に湾曲したロール軸16に一定間隔を置いてベアリング17を取り付け、その外側に弾性体で形成された外筒19が配置される。弾性体としてゴムを用いることができる。ベアリング17と外筒19との間には円筒状の内ローラ18を配置しても良い。
外筒19は湾曲した回転軸16に沿って湾曲変形する。従って、湾曲凸部側では外筒19は軸方向に伸びており、逆に湾曲凹部側では外筒19は軸方向に縮んでいる。このような湾曲回転ロール15を回転軸周りに回転させると、外筒19の一定の部分は、湾曲凹部側から湾曲凸部側に向かうに従って軸方向に伸張し、次いで湾曲凸部側から湾曲凹部側に向かう時点では軸方向に縮んでいく。
以上のように形成された湾曲回転ロール15に濾布1を接触させる。湾曲回転ロール15は、濾布の移動速度と湾曲回転ロール15の周速が一致するように回転する。濾布1が接触する周方向の部分は、外筒19が湾曲凹部側から湾曲凸部側に移動する部位とする。これにより、湾曲回転ロール15に接触した濾布1は、外筒19の表面が軸方向に伸張する変形に伴い、濾布1を幅方向に伸ばす力が働き、しわが伸ばされる。
湾曲回転ロール15において、軸16の湾曲程度が小さすぎると、十分なしわ伸ばし効果を得ることができない。図2(b)に示すように、濾布幅をWとし、濾布幅両端における湾曲回転ロールの回転軸中心位置を結んだ直線と、ロール幅方向中心における湾曲回転ロールの回転軸中心位置との距離xが、濾布幅Wの1/150以上であれば、十分なしわ伸ばし効果を得ることが可能である。
一方、軸の湾曲程度が大きすぎると、濾布中央部の張力が濾布端部に比べて大きくなって局所的に濾布が伸び、その部分の濾布の寿命が短くなるという問題が発生することがある。図2(b)に示す距離xが濾布幅Wの1/20以下であれば、このような問題が発生することなく、良好にしわ伸ばしを行うことができる。
湾曲回転ロール15の外周面に濾布1が接触している範囲は、湾曲回転ロール15の周方向30°以上の範囲とすると好ましい。また、濾布1の長手方向に付与する張力は、各ロールがスムーズに回転し、かつ、濾布幅が適正な値となるよう管理すると好ましい。
次に、図3に基づいて直線型エキスパンドロール21について説明する。
直線型エキスパンドロール21とは、ロールの周方向に放射状に配置された移動板22を有し、移動板22はロールの軸方向左右にそれぞれ配置され、移動板22が濾布1と接しているときにロール幅中心からロール端部に向かって移動する横張力付与ロール2である。図2に示す例では、移動板22はロールの周方向に8枚が放射状に配置されている。各移動板22はロールの幅方向にそれぞれ独立に移動可能であり、ロール21が1回転する間に各移動板22が1往復する。
ロール左側における1枚の移動板22Lに着目して、図2(b)に基づいてその運動について説明する。ロールの回転に伴い、移動板22Lcの位置で濾布1から離れると、移動板は22Ldの位置を経由して22Laまで回転し、その間に移動板22Lは幅端部側から幅中央側に移動する。さらにロールが回転すると移動板22Lは幅端部側への移動を開始する。そして移動板が22Lbの位置で次に濾布1に接した後も、移動板22は幅中央側から幅端部側に移動し、22Lcの位置に到達する。この移動に伴い、濾布1は移動板22に引っ張られることで幅端部側への張力を受け、濾布にしわが寄っている場合にはこのしわが延ばされる。
移動板22はロールの軸方向左右にそれぞれ配置されており、移動板22が濾布1に接する位置に到達すると、左側の移動板22Lは左に向かって移動を開始し、右側の移動板22Rは右に向かって移動を開始する。
図2に示す例では、ロールの回転に伴って移動板22を移動させる機構としてカム機構を採用している。移動板22はバネ24などの作用によってカム板23に押し付けられ、ロールの回転に伴ってカム板23の軌跡をなぞりながら移動板22が幅方向に往復運動を行う。
直線型エキスパンドロール21において、ロールは円筒状のロール本体25を有し、このロール本体の周面に放射状に移動板埋め込み溝26を有し、この移動板埋め込み溝26に移動板22を埋め込んで軸方向に移動可能とすることができる。ただしロール本体25は必須ではなく、放射状に配置した移動板22を軸方向に移動可能に配置することができれば良い。
直線型エキスバンドロール21において、ロール軸方向における移動板22の移動量が小さすぎると、十分なしわ伸ばし効果を得ることができない。移動板22の最大移動量を濾布幅Wの0.5%以上とすれば、十分なしわ伸ばし効果を得ることができる。
一方、ロールの軸方向における移動板22の移動量が大きすぎると、移動板と濾布との摩擦が大きく、濾布が早期に摩耗して、濾布の寿命が短くなるという問題が発生することがある。移動板22の最大移動量を濾布幅Wの5%以下とすれば、このような問題が発生することなく、良好にしわ伸ばしを行うことができる。
直線型エキスパンドロール21に濾布1が接触している範囲は、直線型エキスパンドロール21の周方向30°以上の範囲とすると好ましい。また、濾布の長手方向に付与する張力は、各ロールがスムーズに回転でき、かつ、濾布幅が適正な値となるように管理すると好ましい。
次に図4に基づいてスパイラルロール27について説明する。図4(b)(c)はA−A矢視図、図4(e)(f)はB−B矢視図である。
スパイラルロール27とは、ロールの周面にスパイラル状に配置された凸部(スパイラル突起部28)を有し、スパイラル突起部28のスパイラル形状は、ロールの幅方向において、一方の側のスパイラル形状が他方の側のスパイラル形状に対して逆ネジ方向を有する横張力付与ロールである。スパイラルロール27は回転モーター29によって駆動し、濾布1の移動速度とスパイラルロール27の周速とを異なった速度とすることが可能である。
図4(a)に示す例では、スパイラルロール27は幅中央を境にして図の左側に左ネジ、図の右側に右ネジの方向でスパイラル状に配置されたスパイラル突起部28を有する。このスパイラルロール27に、図4(b)に示すように濾布1を接触させ、濾布を移動させる。ロール周速を濾布の移動速度と一致させた場合、図4(b)に示す方向、即ちロールの左側から見たときに、ロールは左回転(反時計方向回転)を行う。さらにロールの周速を濾布の移動速度よりも速くした場合、ロール周面と濾布との間の相対速度によってすべりが発生する。濾布1から見ると、スパイラル突起部28が濾布1の幅中心から幅端部に向けて移動することとなるので、これによって濾布1の幅方向に張力が発生し、濾布のしわが伸ばされることとなる。
図4(a)に示すスパイラルロールを用い、図4(c)に示すようにロールの左側から見たときにロールが右回転(時計方向回転)するように濾布を接触させた場合には、上記とは逆にロールの周速を濾布の移動速度よりも遅くする。これによって、同じく濾布の幅方向に張力が発生し、濾布のしわが伸ばされることとなる。
図4(a)の場合とは反対に、図4(d)に示すようにロールの左側に右ネジ、右側に左ネジの方向でスパイラル突起部28を配置することもできる。この場合には、図4(e)に示すよう濾布の移動方向がロールの左側から見たときにロールを左回転(反時計回転)させる場合であれば、ロールの周速を濾布の移動速度よりも遅い速度とする。逆に図4(f)に示すように濾布の移動方向がロールの左側から見たときにロールを右回転(時計回転)させる場合であれば、ロールの周速を濾布の移動速度よりも速い速度とする。これにより、濾布の幅方向に張力が発生し、濾布のしわを伸ばすことができる。
スパイラルロール27において、スパイラルピッチPを図4(a)に示すように定義することができる。スパイラルピッチPが小さすぎると、スパイラルと濾布との接触による摩耗が激しく、濾布の寿命が短くなるという問題が発生することがある。本発明においては、スパイラルピッチPをロール径Dの110%以上とすることにより、この問題が発生することなく濾布のしわを伸ばすことが可能となる。逆に、スパイラルピッチPが大きすぎると、しわを伸ばす効果が得られないという問題が発生することがある。本発明においては、スパイラルピッチPをロール径Dの250%以下とすることにより、この問題が発生することなく濾布のしわを伸ばすことが可能となる。
スパイラルロールのスパイラル突起部28の高さには好適な範囲がある。スパイラル突起部28の高さが低すぎると、しわを伸ばす効果が得られないという問題が発生することがある。本発明においては、スパイラル突起部頂点と回転中心との距離をスパイラル突起部以外の部分における横張力付与ロールの半径の1%以上とすることにより、このような問題が発生することなく濾布のしわを伸ばすことが可能となる。逆にスパイラル突起部の高さが高すぎると、濾布にスパイラル突起部の形が残り、その部分からしわが発生しやすくなるという問題が発生することがある。本発明においては、スパイラル突起部頂点と回転中心との距離をスパイラル突起部以外の部分における横張力付与ロールの半径の10%以下とすることにより、このような問題が発生することなく濾布のしわを伸ばすことが可能となる。
上述のとおり、濾布1をスパイラルロール27に接触させ、濾布1の移動速度とスパイラルロール28の周速との間に差異を持たせることにより、濾布1のしわを伸ばすための張力を濾布に与えることができる。本発明においては、スパイラルロール27の周速と濾布移送速度との差の絶対値を濾布移送速度に対して2%以上大きくすることにより、しわ伸ばしのための張力を十分に付与することが可能となる。一方、濾布の移動速度とスパイラルロールの周速との差異が大きすぎると、濾布の摩耗が激しく、濾布の寿命が短くなるという問題が発生することがある。本発明においては、スパイラルロールの周速と濾布移送速度との差の絶対値を濾布移送速度に対して10%以下とすることにより、上記問題が発生することなくしわ伸ばしを行うことができる。
スパイラルロール27に濾布1が接触している範囲は、スパイラルロール27の周方向30°以上の範囲とすると好ましい。また、濾布の長手方向に付与する張力は、各ロールがスムーズに回転でき、かつ、濾布幅が適正な値となるように管理すると好ましい。
本発明のスラリー脱水機において、濾布上にスラリーを供給する位置から圧搾ロール3の位置までの間に、図1に示すように濾布を支持するロール(支持ロール31)あるいはプレートの少なくとも1種を設置すると好ましい。スラリーの載った濾布は、スラリーの重さでたわむため、スラリーの供給位置と圧搾ロールとの間で濾布の全幅方向に対して、スラリーの載った部分の濾布が部分的にたわみ、その部分的なたわみが濾布にしわを誘発する原因となる。そこで、このたわみを抑えるために、濾布を支持するロールやプレートを配置することで、しわの発生を抑えることができる。
本発明のスラリー脱水機において、濾布の幅端部検出装置を備えることとすると好ましい。これは、濾布にしわが発生した場合には濾布幅が狭くなり、濾布の幅端部が正常位置よりも濾布中央部へ移動することから、濾布の幅端部を検出することで、しわ発生時の異常を早期に発見し、発生したしわの進行を阻止するために有効である。
濾布の幅端部検出装置としては、正常時に濾布が走行する濾布の幅端部付近を濾布の上方向からの位置に検出端を設置して、常時、濾布の有無を検出し、その位置から濾布が無くなったことを検出できる方法であればいずれの装置でも構わないが、赤外線、レーダー、マイクロ波、超音波などの検出装置が好適である。
本発明のスラリー脱水機は、製鉄工程で発生したスラリーの脱水に用いることとすると特に好ましい。製鉄工程で発生するスラリーとしては、転炉や高炉の集塵スラリー、圧延工程から排出されるスケール、弱酸スラリーを挙げることができる。製鉄工程において排出される酸化鉄を含むダストやスラリーは10μm以下の微粒子を多く含んでいるため、真空脱水機やフィルタープレスなどの脱水機では脱水物の水分を十分に下げることができなかったが、双ロール脱水機では、水分を十分に低減可能であり、脱水物をリサイクルするのに適している。しかも、製鉄工程で発生したスラリーの複数種類を用いる場合には、それらの発生状況によって、スラリーの性状が変化するため、安定した脱水機の運転のためには、本発明のスラリー脱水機が好適である。
図1に示すスラリー脱水機を用い、横張力付与ロール2として図2に示す湾曲回転ロール15を適用した。濾布幅は4200mmである。
湾曲回転ロール15のロール径は190mmφ、濾布幅両端における湾曲回転ロールの回転軸中心位置を結んだ直線と、ロール幅方向中心における湾曲回転ロールの回転軸中心位置との距離xは80mmである。ロールの材質として軸16にはS45C、外筒19のゴムには黒色耐摩耗NSRを用いた。湾曲回転ロール15の設置位置として、図1の横張力付与ロール2の位置とした。
横張力付与ロール2として従来のロールを用いた場合には、濾布のしわ発生を防止することができなかった。それに対し、本発明の湾曲回転ロール15を設置することにより、濾布のしわ発生を防止することができた。
本発明のスラリー脱水機の全体を示す概念図である。 横張力付与ロールとして用いる湾曲回転ロールについて説明する図である。 横張力付与ロールとして用いる直線型エキスパンドロールについて説明する図であり、(a)は断面図、(b)はA−A矢視図である。 横張力付与ロールとして用いるスパイラルロールについて説明する図であり、(a)(d)は断面図、(b)(c)はA−A矢視図、(e)(f)はB−B矢視図である。
符号の説明
1 濾布
2 横張力付与ロール
3 圧搾ロール
4 スクイズロール
5 水中ロール
6 縦張力付与ロール
7 フェルトロール
8 ガイダーロール
9 スラリー供給口
10 スクレーパー
11 スラリー
15 湾曲回転ロール
16 軸
17 ベアリング
18 内ローラ
19 外筒
21 直線型エキスパンドロール
22 移動板
23 カム板
24 バネ
25 ロール本体
26 埋め込み溝
27 スパイラルロール
28 スパイラル突起部
29 回転モーター
31 支持ロール
33 幅端部検出装置
40 濾布移送方向
W 濾布幅
P スパイラルピッチ
D ロール径

Claims (12)

  1. ループを形成したベルト状の濾布と、該濾布を挟み込む1対のロールとを有し、濾布を移送しつつ濾布上に供給されるスラリーを前記ロールにて圧搾脱水するスラリー脱水機において、前記濾布の幅方向に張力を付与するための横張力付与ロールを設置してなることを特徴とするスラリー脱水機。
  2. 前記横張力付与ロールが、円弧状に湾曲した軸を回転中心とする湾曲回転ロールであることを特徴とする請求項1に記載のスラリー脱水機。
  3. 濾布幅両端における湾曲回転ロールの回転軸中心位置を結んだ直線と、ロール幅方向中心における湾曲回転ロールの回転軸中心位置との距離が、濾布幅の1/150〜1/20の範囲であることを特徴とする請求項2に記載のスラリー脱水機。
  4. 前記横張力付与ロールは、該横張力付与ロールの周方向に放射状に配置された移動板を有し、該移動板はロールの軸方向左右にそれぞれ配置され、該移動板が濾布と接しているときにロール幅中心からロール端部に向かって移動する直線型エキスパンドロールであることを特徴とする請求項1に記載のスラリー脱水機。
  5. 前記移動板の最大移動量を濾布幅の0.5〜5%の範囲とすることを特徴とする請求項4に記載のスラリー脱水機。
  6. 前記横張力付与ロールは、該横張力付与ロールの周面にスパイラル状に配置された凸部(以下「スパイラル突起部」という。)を有し、前記スパイラル形状は、横張力付与ロールの幅方向において、一方の側のスパイラル形状が他方の側のスパイラル形状に対して逆ネジ方向を有するスパイラルロールであることを特徴とする請求項1に記載のスラリー脱水機。
  7. 前記スパイラル形状は、ロール径の110〜250%に相当するスパイラルピッチを有することを特徴とする請求項6に記載のスラリー脱水機。
  8. 前記スパイラル突起部頂点と回転中心との距離は、スパイラル突起部以外の部分における横張力付与ロールの半径の1〜10%大きいことを特徴とする請求項6又は7に記載のスラリー脱水機。
  9. 前記スパイラルロールの周速を濾布移送速度に対して±10%の範囲で可変速としたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のスラリー脱水機。
  10. 濾布上にスラリーを供給する位置から前記1対のロール位置までの間に、濾布を支持するロールあるいはプレートの少なくとも1種を設置したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のスラリー脱水機。
  11. 濾布の幅端部検出装置を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のスラリー脱水機。
  12. 製鉄工程で発生したスラリーの脱水に用いることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のスラリー脱水機。
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