JP2006211230A - スピーカアレイシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 任意の指向性および方向を持った音響ビームを生成することができ、かつ、低コストで構成することが可能なスピーカアレイシステムを提供する。
【解決手段】 第1の軸方向の指向性制御のための第1の遅延処理を入力オーディオ信号INに施し、スピーカユニット列SP(i,1)(i=1〜m)、SP(i,2)(i=1〜m)、…、SP(i,n)(i=1〜m)の各々に対応付けられたn個の第1遅延オーディオ信号を生成する。次に第2の軸方向の指向性を持たせるための第2の遅延処理を選択し、選択した第2の遅延処理をn個の第1遅延オーディオ信号の各々に施し、これにより得られるn×m個の第2遅延オーディオ信号をスピーカユニットSP(i,j)(i=1〜m,j=1〜n)に供給する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、アレイ状に配置された複数のスピーカユニットから音響ビームを出力するスピーカアレイシステムに関する。
スピーカユニットを多数配列したスピーカシステムは“スピーカアレイ”と呼ばれる。スピーカアレイでは、個々のスピーカユニットに供給するオーディオ信号に与える遅延やゲインを制御することにより、スピーカの指向性を鋭くしたり、音響ビームの方向を制御することができる。指向性を強くすると、同じエネルギーをより狭い範囲に放射するため、音圧の距離減衰が小さくなり、遠くまで明瞭に音を聴かせることができ、また、不必要な方向への音響放射を抑えることができる。また、音響ビームの方向を制御することができると、スピーカを必ずしも音の聴取位置に向かせる必要がないため、スピーカの設置方法の制約が少なくなるという利点がある。この種のスピーカアレイに関する文献として特許文献1および2がある。これらの文献は、デジタルフィルタによりオーディオ信号から複数の遅延オーディオ信号を生成し、これらの遅延オーディオ信号をスピーカアレイの個々のスピーカに供給し、指向性制御を行う技術を開示している。
特開平6−205496号公報 特開平5−41897号公報
ところで、上述した従来のスピーカアレイシステムは、例えばスピーカアレイの前方にある焦点に収束する音響ビームを形成する場合、スピーカアレイを構成する個々のスピーカ毎に、そのスピーカユニットに供給する遅延オーディオ信号の入力オーディオ信号に対する位相遅れである遅延時間を演算し、入力オーディオ信号をその遅延時間だけ遅延させて遅延オーディオ信号を生成し、そのスピーカユニットに供給する、という処理が必要であり、この処理を行うための膨大な演算能力を確保するためにシステムが高価なものになっていた。しかしながら、スピーカアレイの用途によっては、例えば水平方向に関しては高い自由度および分解能での指向性制御が望まれるのに対し、垂直方向に関してはそれほど自由度が高く、かつ、分解能の高い指向性制御は必要でない場合もある。そのような場合にまで、多大なコストを掛けて、スピーカアレイの個々のスピーカユニットに供給する遅延オーディオ信号の遅延時間を厳密に制御するのは非経済的である。
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、任意の指向性および方向を持った音響ビームを生成することができ、かつ、低コストで構成することが可能なスピーカアレイシステムを提供することを目的とする。
この発明は、第1の軸方向に並んだn個(nは2以上の整数)のスピーカユニットからなるスピーカラインを第2の軸方向にm行(mは2以上の整数)並べたスピーカアレイと、前記第1の軸方向の指向性制御のための第1の遅延処理を入力オーディオ信号に施し、前記スピーカアレイにおいて前記第1の軸方向に並んだn列のスピーカユニット列の各々に対応付けられたn個の第1遅延オーディオ信号を生成する第1の遅延手段と、前記第2の軸方向において音響ビームに各々所定の指向性を持たせるための第2の遅延処理を複数種類実行可能であり、選択された第2の遅延処理により、前記n列のスピーカユニット列の各々に対応付けられたn個の第1遅延オーディオ信号の各々から前記第2の軸方向におけるm行のスピーカラインの各々に対応付けられたm個の第2遅延オーディオ信号を各々生成し、生成されたn×m個の第2遅延オーディオ信号を前記スピーカアレイにおける各々に対応付けられたスピーカユニットに各々供給する第2の遅延手段と、音響ビームの指向性を指定する情報に基づき、前記第1の遅延手段に実行させるべき前記第1の遅延処理における前記入力オーディオ信号と前記n個の第1遅延オーディオ信号の各々との間の遅延時間を演算するとともに、前記第2の遅延手段に実行させるべき前記第2の遅延処理の選択を行う制御手段とを具備することを特徴とするスピーカアレイシステムを提供する。
好ましい態様において、前記第2の遅延手段は、各々複数の遅延オーディオ信号の出力タップを有する複数のアナログディレイラインにより構成されている。
他の好ましい態様において、前記第1の遅延手段は、指定された遅延時間に応じて決定されるフィルタ係数列を過去一定個数の前記入力オーディオ信号のサンプルに畳み込むデジタルフィルタにより構成されている。
他の好ましい態様において、前記第1の遅延手段は、前記入力オーディオ信号のサンプルを順次記憶し、指定された遅延時間だけ以前に記憶したサンプルを前記第1遅延オーディオ信号として出力するリングバッファにより構成されている。
他の好ましい態様において、前記入力オーディオ信号は、複数チャネルのオーディオ信号からなり、前記制御手段は、チャネル毎に与えられる音響ビームの指向性を指定する情報に基づき、前記第1の遅延処理における遅延時間をチャネル毎に演算するとともに、全てのチャネルに共通に適用する前記第2の遅延処理の選択を行うものであり、前記第1の遅延手段は、チャネル毎に独立してオーディオ信号に対する前記第1の遅延処理を実行し、前記第1の軸方向に並んだn列のスピーカユニット列の各々に対応付けられたn個の遅延オーディオ信号を生成する複数チャネルの遅延処理部と、前記複数チャネルの遅延処理部から出力される遅延オーディオ信号を同一スピーカユニット列に対応したもの同士でミキシングして、前記n個の第1遅延オーディオ信号を出力するn個のミキシング部とを具備する。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態であるスピーカアレイシステムにおけるスピーカアレイ10の構成例を示す正面図である。図1に示すように、スピーカアレイ10は、水平方向(第1の軸方向)にn個のスピーカユニットSP(i、j)(j=1〜n)を並べて配置してなるスピーカラインを垂直方向(第2の軸方向)にm行並べてなる平面状のスピーカアレイである。スピーカアレイ10を構成する各スピーカユニットSP(i、j)(i=1〜m、j=1〜n)は、例えばコーン型スピーカなどの指向性の広いスピーカであり、各々のスピーカ軸はスピーカアレイ10がなす平面に対して垂直な方向を向いている。
本実施形態に係るスピーカアレイシステムは、出力すべき音響ビームの指向性を指定する情報に基づき、入力オーディオ信号INからm×n個の遅延オーディオ信号を生成し、これらの遅延オーディオ信号によってスピーカユニットSP(i、j)(i=1〜m、j=1〜n)を各々駆動することにより、指定された通りの指向性を持った音響ビームをスピーカアレイ10に形成させるシステムである。
ここで、図2および図3を参照し、本実施形態における音響ビームの指向性制御の特徴を説明する。本実施形態では、図2および図3に示すように、音響ビームの指向性を、指向性制御の自由度および分解能に関する要求の厳しい第1の軸方向の指向性とそれほど要求が厳しくない第2の軸方向の指向性とに分けて考え、第1の軸方向の指向性制御と第2の軸方向の指向性制御を別々に行う。そして、本実施形態では第1の軸方向の指向性制御に多くの演算能力を割り当て、第2の軸方向の指向性制御は簡単な処理により行う。なお、本実施形態では、第1の軸方向が水平方向、第2の軸方向が垂直方向である例を説明するが、これらは逆でも構わない。
図3に示すように、本実施形態では、第1の軸方向の指向性制御のための第1の遅延処理を入力オーディオ信号INに施し、第1の軸方向に並んだn列のスピーカユニット列SP(i,1)(i=1〜m)、SP(i,2)(i=1〜m)、…、SP(i,n)(i=1〜m)の各々に対応付けられたn個の第1遅延オーディオ信号を生成する。
ここで、スピーカアレイ10の前方の焦点Pに収束する音響ビームを形成する場合を例に挙げ、第1の遅延処理の具体例を説明する。本実施形態では、任意の第k行のスピーカラインSP(k,j)(j=1〜n)を含む水平面を想定し、この仮想水平面における焦点Pの投影点に収束する音響ビームをスピーカラインSP(k、j)(j=1〜n)により形成するための条件を求める。すなわち、共通の入力オーディオ信号INを遅延させたn個の第1遅延オーディオ信号をn個のスピーカユニットSP(k、j)(j=1〜n)に供給した場合において、各スピーカユニットから放射された音波が投影点に同位相で到達するために必要な入力オーディオ信号INとn個の第1遅延オーディオ信号の各々との間の遅延時間を求めるのである。そして、第1の遅延処理では、このようにして求めた各遅延時間だけ遅延させる遅延処理を入力オーディオ信号INに施すことによりn個の第1遅延オーディオ信号を生成するのである。以上が第1の遅延処理の詳細である。
この第1の遅延処理により得られたn個の第1遅延オーディオ信号を仮にm行のスピーカラインSP(i,j)(i=1〜m,j=1〜n)に供給すると、図2に例示するような焦点Pを通過する垂直線分Lに収束する音響ビームが形成されると考えられる。何故ならば、各スピーカラインSP(k,j)(j=1〜n)は、各々を含む水平面内において焦点Pの投影点に収束する音響ビームを形成するからである。
次に本実施形態では、第2の軸方向において音響ビームに各々所定の指向性を持たせるための第2の遅延処理をn個の第1遅延オーディオ信号の各々に施す。以下、この第2の遅延処理について説明する。
スピーカアレイ10は、第2の軸方向に並んだm個のスピーカユニットからなるスピーカユニット列を第1の軸方向にn列並べたものと捉えることができる。ここで、1つのスピーカユニット列を構成する各スピーカユニットに共通の第1遅延オーディオ信号を供給するものとすると、そのスピーカユニット列を含む垂直平面に沿って垂直線分Lに向かう帯状の音響ビームが形成される。
第2の遅延処理は、この帯状の音響ビームに対し、例えば図2に例示するP点に収束するような第2の軸方向の指向性を持たせるための遅延処理である。本実施形態では、第2の軸方向の指向性の異なった第2の遅延処理を行うための手段が予め複数種類用意されている。焦点Pの第2の軸方向における位置(第2の軸が垂直軸である場合には高さ)などが指定された場合、本実施形態では、そのような位置のある方向に音響ビームを指向させるのに最も適した第2の遅延処理が選択される。そして、選択された第2の遅延処理により、n列のスピーカユニット列の各々に対応付けられたn個の第1遅延オーディオ信号の各々から第2の軸方向におけるm行のスピーカラインの各々に対応付けられたm個の第2遅延オーディオ信号を各々生成し、生成されたn×m個の第2遅延オーディオ信号をスピーカアレイにおける各々に対応付けられたスピーカユニットに各々供給するのである。
そして、本実施形態では、CPUなどの制御手段(図示略)が、音響ビームの指向性を指定する情報に基づき、第1の遅延処理における入力オーディオ信号とn個の第1オーディオ信号の各々との間の遅延時間を演算するとともに、実行すべき第2の遅延処理の選択を行うのである。
図4は、以上説明した原理に従って音響ビームを生成するスピーカアレイシステムの具体的構成例を示すブロック図である。CPU101は、図示しない上位装置から音響ビームの指向性を指定する情報を受け取り、そのような指向性を持った音響ビームをスピーカアレイ10に形成させるための各部の制御を行う制御手段である。この制御に必要なパラメータはメモリ102に予め格納されている。音響ビームの指向性を指定する情報としては、例えばスピーカアレイ10の前方の焦点に収束する音響ビームを形成する場合には、その焦点の3次元座標値などがこれに含まれる。
DSP103は、CPU101による制御の下、第1の軸方向の指向性制御を行うための第1の遅延処理を行う装置である。このDSP103は、共通の入力オーディオ信号INに対し、n種類のデジタルフィルタ処理DF−j(j=1〜n)を施し、n個の第1遅延オーディオ信号を生成する。個々のデジタルフィルタ処理DF−jでは、CPU101によって指示された遅延時間に対応付けられたフィルタ係数列を過去一定時間以内に発生した入力オーディオ信号INのサンプル列に畳み込み、指示された遅延時間を持った遅延オーディオ信号を生成する。このような畳み込み演算により遅延オーディオ信号を生成するのは、遅延オーディオ信号の遅延時間を入力オーディオ信号INのサンプリング周期よりも細かい分解能で制御するためである。このDSP103から出力されるn個の遅延オーディオ信号は、図示しないD/A変換器によりアナログ信号に変換された後、n個のアナログディレイライン部104−j(j=1〜n)に各々供給される。
n個のアナログディレイライン部104−j(j=1〜n)は、CPU101による制御の下、第2の軸方向の指向性制御を行うための第2の遅延処理を行う装置である。個々のアナログディレイライン部104−jは、複数種類の第2の遅延処理を行うための複数のアナログディレイラインADLを有している。図5および図6は、各々これらのアナログディレイラインの一例であるアナログディレイラインADL1およびADL2を各々示している。これらの図において、D1、D2、…等は、各々ある長さ(遅延量)を持ったアナログディレイラインである。なお、これらの図では、第2の軸方向に並んだスピーカユニットの数mが13である場合の例が示されている。
図5に示すアナログディレイラインADL1は、図7に示すように、第2の軸方向(垂直方向)に並んだ13個のスピーカユニット列の中央の高さに焦点Pが位置している場合に選択される。このアナログディレイラインADL1において、上下両端のスピーカユニットSP(1、j)およびSP(13,j)に出力される第2遅延オーディオ信号の位相がもっとも進み、中央のスピーカユニットSP(7,j)に出力される第2遅延オーディオ信号が最も遅れるように、13個の第2遅延オーディオ信号を生成するための遅延処理が行われる。より厳密には、13個の第2遅延オーディオ信号とその元となる第1遅延オーディオ信号との間の遅延時間は次のようにして決定されている。まず、焦点Pを中心とし、上下両端のスピーカユニットSP(1、j)およびSP(13,j)を通過する円弧を想定する。そして、各スピーカユニットについて、焦点Pとそのスピーカユニットの位置とを通過する直線を想定し、この直線の円弧との交点を求め、この交点からそのスピーカユニットの位置までの行程を音波が伝播するための所要時間を求める。アナログディレイラインADL1は、このようにして各スピーカユニットについて求めた所要時間に相当する時間だけ遅延されて出力されるように13個の第2遅延オーディオ信号の各々の取り出し位置が定められている。
図6に示すアナログディレイラインADL2は、図8に示すように、スピーカユニット列の中央よりも上方に焦点Pが位置している場合に選択される。このアナログディレイラインADL2において、最も下にあるスピーカユニットSP(13,j)に出力される第2遅延オーディオ信号の位相がもっとも進み、これから離れるに従って各スピーカユニットに出力される第2遅延オーディオ信号が遅れるように、13個の第2遅延オーディオ信号を生成するための遅延処理が行われる。13個の第2遅延オーディオ信号の遅延時間の演算方向はアナログディレイラインADL1に関して説明した方法と同様である。
図4におけるCPU101は、指向性を指定する情報に基づき、以上述べたような複数のアナログディレイラインのうち、指定された指向性に最も近い第2の軸方向の指向性を得ることができるアナログディレイラインを選択し、選択したアナログディレイラインによる第2の遅延処理をn個のアナログディレイライン部104−j(j=1〜n)に指令する。n個のアナログディレイライン部104−j(j=1〜n)は、この指令に従い、CPU101が選択したアナログディレイラインにより第2の遅延処理を行い、各々に供給される第1遅延オーディオ信号からm個の第2遅延オーディオ信号を生成する。このようにして生成されたn×m個の第2遅延オーディオ信号は、図4におけるアンプAにより増幅され、各スピーカユニットSP(i,j)(i=1〜m,j=1〜n)に供給される。
本実施形態では、以上の構成により、指向性制御に関する要求の厳しい第1の軸方向についてはDSP103による高精度の遅延処理を利用した指向性制御が行われ、指向性制御に関する要求の厳しくない第2の軸方向についてはアナログディレイラインを用いた簡便な指向性制御が行われる。従って、要求に合った指向性制御を低コストで実現することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明には、これ以外にも他の実施形態が考えられる。
(1)上記実施形態では、第2の遅延処理を行う手段としてアナログディレイラインを用いたが、RAMやシフトレジスタを用いて第2の遅延処理を行うようにしてもよい。RAMを用いて第2の遅延処理を行う場合、CPU101は、第1遅延オーディオ信号をRAMに書き込んでから第2遅延オーディオ信号として読み出すまでの遅延時間を管理する負担を負うこととなる。しかし、その場合においても、CPU101は、第1遅延オーディオ信号と第2遅延オーディオ信号との間の遅延時間を得るための演算を行う必要はなく、予め求めておいた遅延時間の中から、要求される第2の軸方向の指向性に合ったものを選択するだけでよいので、CPU101の負担は著しく軽減される。
(2)焦点Pのスピーカアレイ10からの距離に応じて、第2の遅延処理の態様を変化させてもよい。すなわち、n個のアナログディレイライン部104−j(j=1〜n)として、焦点Pがスピーカアレイ10の近くにあるときに用いるものと、焦点Pがスピーカアレイ10の遠くにある場合に用いるものの2系統用意し、焦点Pのスピーカアレイ10からの距離に応じて適切なものを選択して第2の遅延処理に用いる。焦点Pが近くにある場合にはm個の第2遅延オーディオ信号の遅延時間の差が大きくなるのに対し、焦点Pが遠くにある場合にはm個の第2遅延オーディオ信号間の遅延時間の差は小さく微妙な遅延時間の制御が必要である。第2の遅延処理のための手段を近距離用と遠距離用に分けて用意すればこのような要求に応えることが可能になる。なお、スピーカアレイ10から焦点までの距離に応じたアナログディレイライン部の切り換えは、このように2段階の切り換えに限定されるものではなく、必要な焦点の範囲に応じて適切に定めればよい。
(3)第1の軸方向の指向性制御のための第1の遅延手段は、デジタルフィルタ群ではなく、リングバッファにより構成してもよい。図9はその構成例を示すブロック図である。この図に示す第1の遅延手段は、A/D変換器1031と、デュアルポートRAMなどにより構成されたリングバッファ1032と、書込制御部1033と、読出制御部1034とにより構成されている。この態様において、処理対象である入力オーディオ信号INは、アナログ信号である。A/D変換器1031は、この入力オーディオ信号を十分に高速なサンプリングクロックφによりサンプリングしてデジタル信号のサンプルに変換する。書込制御部1033は、サンプリングクロックφをカウントし、カウント結果を書込アドレスWAとしてリングバッファ1032に供給し、A/D変換器1031から出力されるサンプルをリングバッファ1032に書き込む。読出制御部1034は、図4におけるCPU101から入力オーディオ信号とn個の第1遅延オーディオ信号との間の遅延時間td(j)(j=1〜n)を指定する情報を受け取り、n個の第1遅延オーディオ信号をリングバッファ1032から読み出すための制御を行う。
さらに詳述すると、サンプリングクロックφの周期がTS、入力オーディオ信号と第1遅延オーディオ信号S(j)(j=1〜n)との間の遅延時間がtd(j)(j=1〜n)である場合、読出制御部1034は、サンプリングクロックφが与えられる度に、次の処理を行う。すなわち、1サンプリング周期の間に、次式により与えられる読出アドレスRA(j)(j=1〜n)をリングバッファ1032に順次供給し、第1遅延オーディオ信号S(j)(j=1〜n)をリングバッファ1032から順次読み出すのである。
RA(j)=WA−td(j)/TS ……(1)
このようにして読み出されるn個の第1遅延オーディオ信号S(j)(j=1〜n)は、次のサンプリンククロックφが発生したときに、図示しないD/A変換器により、一斉にアナログ信号に変換される。そして、n個のアナログ信号は、図4におけるn個のアナログディレイライン部104−j(j=1〜n)に各々供給される。この態様によれば、サンプリンククロックφの周期TSを十分に短くすることにより、第1遅延オーディオ信号S(j)(j=1〜n)の遅延時間を高い精度で調整することができる。
(4)以上説明した各実施形態では、1チャネルの入力オーディオ信号を取り扱った。しかし、これらの実施形態において第1の遅延手段に改良を加えることにより、複数チャネルのオーディオ信号について第1の軸方向の指向性を独立に制御することが可能である。図10は、複数チャネルについて第1の軸方向の指向性を独立に制御することができるように改良した第1の遅延手段の構成例を示している。この第1の遅延手段は、複数チャネル(図10に示す例ではpチャネル)の入力オーディオ信号の各々に対する第1の遅延処理を各々実行する複数の遅延処理部と、これらの遅延処理部の後段に設けられたn個のミキシング部MXとを有している。なお、この場合における第1の遅延処理は、図4に示すようにデジタルフィルタ処理により構成してもよいし、図9に示すようにリングバッファを用いた処理であってもよい。n個のミキシング部MXの出力端子には、図4におけるn個のアナログディレイライン部104−j(j=1〜n)が各々接続されている。
図4におけるCPU101は、チャネル毎に与えられる音響ビームの指向性を指定する情報に基づき、各チャネルに対応した第1の遅延処理において生成すべきn個の遅延オーディオ信号の遅延時間を演算するとともに、n個のアナログディレイライン部104−j(j=1〜n)において複数のアナログディレイラインADLのうちいずれを選択するか、すなわち、全てのチャネルに共通に適用されるべき第2の遅延処理を決定する。各チャネルに対応した遅延処理部は、そのチャネルの入力オーディオ信号とn個の第1遅延オーディオ信号との間の遅延時間を指定する情報をCPU101から受け取り、入力オーディオ信号からn個の遅延オーディオ信号を生成する第1の遅延処理を実行する。n個のミキシング部MXは、複数の遅延処理部から出力される遅延オーディオ信号を同一スピーカユニット列に対応したもの同士でミキシングして、n個の第1遅延オーディオ信号をn個のアナログディレイライン部104−j(j=1〜n)に各々出力する。ミキシング部が行うミキシングは、単に各チャネルの遅延オーディオ信号を加算するものであってもよいし、チャネル毎に異なった重み係数を乗じて加算するものであってもよい。後者の場合、各チャネルに適用する重み係数をユーザが操作子の操作により設定し得るように構成してもよい。本態様によれば、第1の軸方向の指向性を複数のチャネルについて独立に制御することができ、臨場感に富んだ音響再生が実現される。
この発明の一実施形態であるスピーカアレイシステムにおけるスピーカアレイの構成を示す正面図である。 同スピーカアレイシステムの動作原理を説明する図である。 同スピーカアレイシステムの動作原理を説明する図である。 同スピーカアレイシステムの具体的構成例を示すブロック図である。 同スピーカアレイシステムにおけるアナログディレイラインの一例を示すブロック図である。 同スピーカアレイシステムにおけるアナログディレイラインの一例を示すブロック図である。 同スピーカアレイシステムにおけるアナログディレイラインによって行われる第2の軸方向の指向性制御の例を示す図である。 同スピーカアレイシステムにおけるアナログディレイラインによって行われる第2の軸方向の指向性制御の例を示す図である。 同実施形態における第1の遅延手段の他の構成例を示す図である。 同実施形態における第1の遅延手段の他の構成例を示す図である。
符号の説明
101…CPU、103…DSP、104−j(j=1〜n)…アナログディレイライン部、SP(i,j)(i=1〜m,j=1〜n)…スピーカユニット、10…スピーカアレイ。

Claims (5)

  1. 第1の軸方向に並んだn個(nは2以上の整数)のスピーカユニットからなるスピーカラインを第2の軸方向にm行(mは2以上の整数)並べたスピーカアレイと、
    前記第1の軸方向の指向性制御のための第1の遅延処理を入力オーディオ信号に施し、前記スピーカアレイにおいて前記第1の軸方向に並んだn列のスピーカユニット列の各々に対応付けられたn個の第1遅延オーディオ信号を生成する第1の遅延手段と、
    前記第2の軸方向において音響ビームに各々所定の指向性を持たせるための第2の遅延処理を複数種類実行可能であり、選択された第2の遅延処理により、前記n列のスピーカユニット列の各々に対応付けられたn個の第1遅延オーディオ信号の各々から前記第2の軸方向におけるm行のスピーカラインの各々に対応付けられたm個の第2遅延オーディオ信号を各々生成し、生成されたn×m個の第2遅延オーディオ信号を前記スピーカアレイにおける各々に対応付けられたスピーカユニットに各々供給する第2の遅延手段と、
    音響ビームの指向性を指定する情報に基づき、前記第1の遅延手段に実行させるべき前記第1の遅延処理における前記入力オーディオ信号と前記n個の第1遅延オーディオ信号の各々との間の遅延時間を演算するとともに、前記第2の遅延手段に実行させるべき前記第2の遅延処理の選択を行う制御手段と
    を具備することを特徴とするスピーカアレイシステム。
  2. 前記第2の遅延手段は、各々複数の遅延オーディオ信号の出力タップを有する複数のアナログディレイラインにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカアレイシステム。
  3. 前記第1の遅延手段は、指定された遅延時間に応じて決定されるフィルタ係数列を過去一定個数の前記入力オーディオ信号のサンプルに畳み込むデジタルフィルタにより構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスピーカアレイシステム。
  4. 前記第1の遅延手段は、前記入力オーディオ信号のサンプルを順次記憶し、指定された遅延時間だけ以前に記憶したサンプルを前記第1遅延オーディオ信号として出力するリングバッファにより構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスピーカアレイシステム。
  5. 前記入力オーディオ信号は、複数チャネルのオーディオ信号からなり、
    前記制御手段は、チャネル毎に与えられる音響ビームの指向性を指定する情報に基づき、前記第1の遅延処理における遅延時間をチャネル毎に演算するとともに、全てのチャネルに共通に適用する前記第2の遅延処理の選択を行うものであり、
    前記第1の遅延手段は、チャネル毎に独立してオーディオ信号に対する前記第1の遅延処理を実行し、前記第1の軸方向に並んだn列のスピーカユニット列の各々に対応付けられたn個の遅延オーディオ信号を生成する複数チャネルの遅延処理部と、前記複数チャネルの遅延処理部から出力される遅延オーディオ信号を同一スピーカユニット列に対応したもの同士でミキシングして、前記n個の第1遅延オーディオ信号を出力するn個のミキシング部とを具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の請求項に記載のスピーカアレイシステム。
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