JP2006209575A - 侵入者検知機能付きフェンス - Google Patents
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Abstract
【課題】 侵入検知に伴う検知用光ファイバの損傷の恐れが少なく、長い距離のフェンスでも要する光ファイバ長を低減でき、侵入者を検知し進入箇所を特定できる侵入者検知装置付きフェンス。
【解決手段】 侵入者検知機能付きフェンスを、フェンスの枠体に張られて固定された網と、フェンスの延設方向に亘って延設された光ファイバと、光ファイバの端部に接続された投光受光解析装置とを備え、網は複数の区画毎に枠体を区画の内側に向かって弾性変形させて張られるとともに、光ファイバは、複数の区間に順次配設され少なくともフェンスの上縁側に位置する枠体に沿って取り付けられ、投光受光解析装置は、光ファイバにその一端から投光し、光ファイバにおいて損傷に至らない変形を受けた箇所で発生する散乱光を一端側から受光して光ファイバが変形を受けたことを検出し、且つ、その箇所までの距離を算出するように構成されてなるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】 侵入者検知機能付きフェンスを、フェンスの枠体に張られて固定された網と、フェンスの延設方向に亘って延設された光ファイバと、光ファイバの端部に接続された投光受光解析装置とを備え、網は複数の区画毎に枠体を区画の内側に向かって弾性変形させて張られるとともに、光ファイバは、複数の区間に順次配設され少なくともフェンスの上縁側に位置する枠体に沿って取り付けられ、投光受光解析装置は、光ファイバにその一端から投光し、光ファイバにおいて損傷に至らない変形を受けた箇所で発生する散乱光を一端側から受光して光ファイバが変形を受けたことを検出し、且つ、その箇所までの距離を算出するように構成されてなるようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、長い距離でも侵入者を検知し進入箇所を特定できるフェンスに関する。
フェンスは、侵入者をその位置で一定時間足止めして、照明と監視により発見を容易にする所謂ディレイイング機能を持つ。従って、セキュリティーとしてはフェンスと監視機器(カメラと照明等)の組合せが用いられるが、見落とし,影ができること等により広域を網羅的に見ることが困難である。
そこで、フェンスに異常を検知して位置をモニタする機能を持たせることが行われており、カメラと照明等の設備で監視能力を向上させると共に巡回監視員を削減が可能となるメリットがある。
フェンスを経由した侵入を検知するフェンスとしては、従来から金属製信号線をフェンスに張り巡らして、信号線断線による張力解除や信号遮断を検知する方式があるが、信号線を予め察知された場合、張力の解除を防ぐ処置や、断線による信号遮断を防ぐ処置(バイパス線接続等)をされて無効となる恐れがある。また、電気的な方式は、落雷等の電磁気的なノイズを拾い誤動作しやすく、金属性信号線が腐食して断線しやすい問題がある。一方、従来の赤外線等の光線の投光・受光器を組み合わせるものは距離に限度がある、
それに対し、近年、信号線に電圧を付加するための電源が不要で、広域にわたる監視が可能なものとして、光ファイバを用いた監視手段が提案されている。
それに対し、近年、信号線に電圧を付加するための電源が不要で、広域にわたる監視が可能なものとして、光ファイバを用いた監視手段が提案されている。
しかしながら、侵入者検知機能付きフェンスの従来例の1つとして、光ファイバの一端に投光し、監視区間を一巡させてから光ファイバの他端で受光し、侵入によって生じた光ファイバのひずみが起こす偏波状態の変化を検出して侵入を検知するもの(例えば、特許文献1:特開2000−182158公報)は、侵入を検知すべき範囲をカバーする密度で光ファイバを張り巡らせる必要があり、図7に概略図を示すように、侵入区間を特定するために多数の監視区間110毎に光ファイバ111の往復回路を設けそれぞれに光源112と偏波変動検出器113を設け侵入判断部114に接続する必要があるため、光ファイバの利用効率が悪い問題がある。また、光ファイバ111に直接加えられたひずみを検知する方式なので、光ファイバが損傷する可能性が高く、検知後の復旧にコスト、労力、時間を要する問題がある。
その他には、侵入者検知機能付きフェンスの他の従来例として、上記のように光ファイバの一端から投光し往復路の光ファイバを通過させた後他端から受光することに代えて、一端から投光し、光ファイバが切断等破損により影響を受けた部分での散乱光を同一端側で検知する方式(例えば、特許文献2:特開平11−185174号公報)も提案されている。
これは、図8に概略図を示すように、光ファイバからなる検知線211の一旦にOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)212を接続し、レーザー光パルスを入射させ、検知線211の光ファイバ破損箇所で後方散乱を発生させ、入射パルスのその反射時間を測定することによって、検知線211が損傷されたこと(フェンス210が壊されたこと)と損傷箇所までの距離を検知、すなわち侵入箇所を特定しようというものである。この場合、例えば、フェンス210上縁の検知線211′は、侵入者乗り越えの外力を受けやすいことから、検知を確実にするためにフェンス210の変形や検知線211′に加えられた外力により、光ファイバからなる検知線211′を軸方向に移動させて、確実に損傷する、すなわち切断する切断機構213を備えた支持部を設けることも提案されている。
この方式の場合、検知線211、211′をループさせる必要がなく、破損による散乱光の反射で検出位置を特定することもできるメリットがあるが、フェンス210の変形からは、風などによる変形により誤検知の可能性が残るほか、光ファイバの切断による後方散乱光の反射光の受光量が低いため、長い検出距離を持たせることが困難な上、切断ないし損傷箇所を検知するため、フェンス210のどの部分が破壊されても検知できるためには検知線を蛇行させて張り巡らせることも必要となって検知線211、211′の長さが長大となり、結果として破損(切断)位置の検知精度が低下する問題もあった。また、光ファイバの切断等破損を前提にした検知方式であるので、検知後の復旧にコスト、労力、時間を要する問題がある。
上記のように、侵入者検知機能付きフェンスに光ファイバを用いる例はあるが、光ファイバを高密度で張り巡らせ往復させコスト的に問題があるものや、侵入による力で光ファイバに破断等損傷を与えメンテナンス、回復処置が困難なものであり、恒常的設備としての使用は困難であった。また、フェンスの揺れによる誤信号を生じ易い。そして、フェンス全体に光ファイバを組み込む(張る)必要があるためフェンス長に対し長い光ファイバを要し、一方、光ファイバの亘長はSN比の制約から数100mから数kmであり、空港や港湾など広域の施設に適用しようとすると、センサシステムの台数を増大させなければならない問題があった。
本発明は、侵入検知に伴う検知用光ファイバの損傷の恐れが少なく、風などによる誤検知が防止され、長い距離でも要する光ファイバ長を低減でき、侵入者を検知し進入箇所を特定できる侵入者検知装置付きフェンスを提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされ、下記の(1)から(8)の手段を提供するものであり、以下、特許請求の範囲に記載の順に説明する。
(1)その第1の手段として、フェンスの枠体に張られて固定された網と、前記フェンスの延設方向に亘って延設された光ファイバと、同光ファイバの端部に接続された投光受光解析装置とを備え、前記網は前記枠体が形成する複数の区画毎に同枠体を同区画の内側に向かって弾性変形させて張られるとともに、前記光ファイバは、前記複数の区間に順次配設され少なくとも前記フェンスの上縁側に位置する前記枠体の前記区間の内側または外側を向く面に沿って取り付けられ、前記投光受光解析装置は、前記光ファイバにその一端から投光し、光ファイバにおいて損傷に至らない変形を受けた箇所で発生する散乱光を前記一端側から受光して光ファイバが変形を受けたことを検出し、且つ、その箇所までの距離を算出するように構成されてなることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンスを提供する。
(2)その第2の手段としては、第1の手段の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記投光受光解析装置は前記光ファイバの同投光受光解析装置からの距離と前記フェンスにおける位置との関係を予め記憶し、前記光ファイバの変形を受けた箇所の位置から同フェンスにおける位置を判断するように構成されてなることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンスを提供する。
(3)また、第3の手段として、第2の手段の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記光ファイバは前記各区画毎に前記網を囲むように一巡して前記枠体に取り付けられてなることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンスを提供する。
(4)第4の手段として、第3の手段の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記フェンスの特定の区画の上縁側の枠体が下側に曲げられるように変形したことを検知した場合に侵入者の侵入と判断することを特徴とする侵入者検知機能付きフェンスを提供する。
(5)第5の手段として、第3の手段の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記フェンスの特定の区画の上下縁側または左右縁側の枠体が外側に変形したことを検知した場合に侵入者の侵入と判断することを特徴とする侵入者検知機能付きフェンスを提供する。
(6)第6の手段として、第1ないし第5の手段のいずれかの侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記枠体は、基礎に固定された前記フェンスの外枠であることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンスを提供する。
(7)第7の手段として、第1ないし第5の手段のいずれかの侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記枠体は、基礎に固定された前記フェンスの外枠に組み付けられた網固定枠であることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンスを提供する。
(8)第8の手段として、第1ないし第7の手段のいずれかの侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記投光受光解析装置はブリルアン散乱光を利用するBOTDRによるものであることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンスを提供する。
(1)特許請求の範囲に記載の請求項1の発明によれば、侵入者検知機能付きフェンスを上記第1の手段のように構成したので、侵入者がフェンスの網を切断等により破って侵入する場合には、網の張力が開放されて網の張力によって弾性変形していた枠体の弾性変形が戻り、区画の外側に戻る変形をするため、枠体に取り付けられた光ファイバが引張変形ないし圧縮変形を起こし、光ファイバに入射している光が、光ファイバの変形箇所を通過するときに散乱光を発生し、投光受光解析装置は、その戻り時間から、光ファイバの変形箇所の位置までの距離を算出することができ、フェンス延設方向に沿って固定された光ファイバによって、光ファイバが破損することなく侵入があったことが検知され、進入箇所も特定される。
また、侵入者がフェンスを乗り越えて侵入する場合はフェンスの上縁側の枠体が区画の内側に曲がる変形をするため、上縁側の枠体に取り付けられた光ファイバが圧縮変形ないし引張変形を起こし、同様に、フェンス延設方向に亘って固定された光ファイバによって光ファイバが損傷することなく侵入があったことが検知され、進入箇所も特定される。
そして、光ファイバは復路を要さないので長距離のフェンスに対して最低1本をフェンス延設方向に亘って固定すればよく、要する光ファイバ長を低減できる。
(2)請求項2の発明によれば、侵入者検知機能付きフェンスを上記第2の手段のように構成したので、請求項2の発明の作用効果に加え、光ファイバの変形がフェンスのどの区画の位置でどの方向に起きたかを検知でき、より正確な侵入防止を行うことができる。
(3)請求項3から請求項5の発明によれば、侵入者検知機能付きフェンスを上記第3の手段から第5の手段のように構成したので、請求項2の発明の作用効果に加え、フェンスの各区画の枠体全周の曲がり方向を比較でき、風などによりフェンスが面圧を受けた場合は、各区画の網が一様の面圧を受けるため、一つの枠体が全周に亘って区画の内側に引かれる変形を受け、且つ、配置上同様な区画は同様の変形を受けたことが検知される。侵入者による影響は、特定の区画の上縁側の枠体が下側に曲げられるように変形したことが検知されれば乗り越えによる侵入者の侵入と判断され、あるいは、特定の区画の枠体の上下縁部または左右縁部が外側へ変形したことが検知されれば網破断による侵入者の侵入と判断され、風等の自然力の影響か、侵入があったのかをより確実に判別できる。したがって、侵入検知に伴う検知用光ファイバの損傷の恐れが少なく、長い距離でも復路を要さないので最低1本をフェンス延設方向に亘って固定すればよく、要する光ファイバ長を低減でき、侵入者を検知し進入箇所を特定できるだけでなく、風などによる誤検知が防止される。
(4)請求項6の発明によれば、侵入者検知機能付きフェンスを上記第6の手段のように構成したので、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明の作用効果に加え、外枠を枠体としたことで、フェンスの構造外観をシンプルで美的に構成できる。
(5)請求項7の発明によれば、侵入者検知機能付きフェンスを上記第7の手段のように構成したので、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明の作用効果に加え、網固定枠を枠体としたことで、フェンスを構成する部材ごとの設計、組み立て構造が容易になる。
(6)請求項8の発明によれば、侵入者検知機能付きフェンスを上記第8の手段のように構成したので、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明の作用効果に加え、投光受光解析装置をBOTDRによるものとしたことで、より確実に光ファイバの損傷に至らない変形を検知することができ、より高性能な侵入者検知機能付きフェンスとなる。
本発明を実施するための最良の形態として、以下に実施例1と実施例2を説明する。
図1から図5に基づき本発明の実施例1にかかる侵入者検知機能付きフェンスを説明する。図1(a)は、本実施例の侵入者検知機能付きフェンスの一部を示す正面図、(b)は(a)中A部拡大図であり、光ファイバの取り付け状態の説明図、図2は網固定枠への網固定状態の説明図であり、(a)は網固定前、(b)は網固定後を示す。図3は、フェンス侵入時の網固定枠の動きの説明図であり、(a)は網が切断された場合、(b)はフェンス上縁を侵入者が乗り越える場合を示す。図4(a)は網固定枠への光ファイバの取り付け状態図であり網固定枠の上部に光ファイバが取り付けられた例を示し、(b)は網固定枠が下方に曲げられた場合、(c)は網固定枠が上方に曲げられた場合を示す。図5は複数の網固定枠間の光ファイバの取り付け状態の説明図であり、(a)は全体図、(b)は(a)中B部拡大図である。
図1(a)に示すように、本実施例においてフェンス10は、基礎11に固定された外枠12と、外枠12の区画14a毎に組み付けられ網14を固定する「枠体」としての網固定枠13と、区画14a毎に網固定枠13に張られて固定された網14とにより構成されている。そして、フェンス10の延設方向に亘って光ファイバ1が延設され、光ファイバ1はフェンス10の上縁部に沿って固定され、光ファイバ1の一端部に投光受光解析装置2が接続されている。
光ファイバ1は、図1(b)に示すように、各区画14aのフェンス上縁側の網固定枠13の上面(すなわち、各区画14aの外側に向く面)に接して固定されている。また、投光受光解析装置2からの光ファイバ1の距離とフェンス10上の位置との関係は、予め投光受光解析装置2に記憶させてある。
なお、ここで「光ファイバ1」とは、光ファイバの特性に関連して述べる場合は光ファイバ自体をいい、配置、取り付け、固定に関連して述べる場合は通常用いられる被覆部も含んだ意味においていう。
網14は、図2(a)に示す網14を張る前の網固定枠13の状態に対して図2(b)に示すように、網14の張力によって網固定枠13が図中矢印方向(各区画14aの内側方向)に弾性変形する程度に張力Fをかけて固定され、網固定枠13はその状態でフェンス10の外枠12に組み付けられている。なお、網14の材質は金属が好ましいが、網固定枠13に与える弾性変形を使用期間に亘って経時的に失わせることがないものであれば金属に限定されない。また、網固定枠13の材質は金属が好ましいが、網14により受けた弾性変形に対する復元力を使用期間に亘って経時的に失うことがないものであれば金属に限定されない。
投光受光解析装置2は、光ファイバ1にその一端からレーザパルス等を投光し、光ファイバ1において破損に至らない変形を受けた箇所で発生する散乱光を同一端側で受光して光ファイバ1が変形を受けたことを検出し、且つ、その箇所までの距離を算出するものであり、本実施例の場合は、BOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectometer)を用いる。そして、光ファイバ1の変形を受けた箇所の位置からフェンス10における位置を判断するように構成されている。
BOTDRは、光ファイバにパルス光を入射し、光ファイバ1の変形箇所をパルス光が通過するときに発生するブリルアン(Brillouin)散乱光の戻り時間から光ファイバ1の変形箇所の位置を算出し、ブリルアン散乱光の周波数の変化量から光ファイバに発生しているひずみを算出するものである。
ブリルアン散乱光は、光ファイバ中で発生する非線形現象で、伝播する電磁波によって励起された振動(フォノン)が回折格子の役目をはたし、光の一部を反射させるようにするものである。また、反射する光は、振動が光ファイバを伝播する方向や速度の影響を受けてドップラシフトする。振動の伝播速度は、光ファイバの密度(ひずみ)によって変化する。したがって、光ファイバのひずみで、ブリルアン散乱光のシフト量が変化する。
本実施例ではBOTDRを用いて説明するが、本発明の投光受光解析装置としては、他にBrillouin散乱光を利用するBOTDA(Brillouin Optical Time Domain Analysis)、BOFDA(Brillouin Optical Frequency Domain Analysis)、BOCDA(Brillouin Optical Coherent Domain Analysis)なども使用できる。
また、FBG(Fiber Bragg Grating)を用いることもできる。この場合、光ファイバに紫外線などを用いてコア(光が通る中心部)に屈折率の周期的変化(グレーティング)を作っておくと、光ファイバを伝播する光は、グレーティングの周期に適合する波長のみが反射する。グレーティングの部分に伸びのひずみが発生していると、グレーティングの周期が長くなるので、反射する波長が長いほうに変化する。したがって、反射波長を監視しておくことで、振動や変形を検出できる。
ドップラ方式を用いることもできる。その場合、光ファイバに光パルスを入射し、光ファイバ伝播中に光ファイバが軸方向に移動すると、通過する光パルスがドップラシフトを受けて波長が変化する。例えば、光ファイバの移動方向がパルスの伝播方向であると、後方に散乱する光の波長が長いほうにシフトする。したがって、波長のシフトを監視することで、光ファイバの振動を検出できる。
偏波方式を用いることもできる。光ファイバを伝播する光の偏光状態は、光ファイバの変形によって変化する。入射したパルス光の散乱光を監視し、偏光状態が変化(変動)していると、光ファイバが変形していることがわかる。
各区画14aの網固定枠13は、図2(a)に示す網固定前の状態に対して図2(b)のように弾性変形を受けた状態で、図1に示すように各区画14a毎にフェンス10の外枠12に組み付けておき、何者かの侵入を受けた場合には、図3(a)、(b)に示すような変形を受けることになる。
すなわち、侵入者が網14を切断して侵入を図った場合は、図3(a)に示すように網14の張力Fが失われるため網固定枠13は二点鎖線で示す内側に曲げられた弾性変形が戻り、網固定枠13の上下縁側または左右縁側のどちらかまたは両方が図中矢印方向の区画14aの外側に戻る変形(網固定状態から見れば外側に曲がる変形となる)をする。
また、侵入者15がフェンス10を乗り越えて侵入しようとした場合は、外枠12の剛性を適切に設定しておけば、図3(b)に示すように外枠12の上縁側が図中矢印方向の下方(区画14a内側)に曲がる変形をして、外枠12に組み付けられた網固定枠13の上縁側は共に下方に曲がる(さらに区画14aの内側に曲がる)変形をする。
光ファイバ1は、図4(a)に示すように、フェンス10の上縁側の網固定枠13の上面(区画14aの外側に向く面)に沿って接して固定されており、(b)に示すように網固定枠13が下向きDに曲がる時は、網固定枠13は光ファイバ1に比べてはるかに大きい剛性を有するから略網固定枠13を中心に曲がるため、光ファイバ1には圧縮力Cが働き、圧縮変形を受ける。逆に(c)に示すように網固定枠13が上向きに曲がる時は、網固定枠13は光ファイバ1に比べてはるかに大きい剛性を有するから略網固定枠13を中心に曲がるため、光ファイバ1には引張力Tが働き、引張変形を受ける。
光ファイバ1の網固定枠13への固定は、網固定枠13の軸に垂直な方向の曲げを検知するように曲げによる圧縮、引っ張りを受ける面に固定するので、網固定枠13の光ファイバ1の固定面は上記の上面に限らず、網固定枠13の下面(区画14aの内側を向く面)でも圧縮、引張りが逆になるだけで同様に網固定枠13の変形を検知できる。なお、水平方向の曲げを検知する場合は側面に固定することになる。
また、フェンス10の複数の区画14aをなす複数の網固定枠13間の光ファイバ1は、コネクタで接続してもよいが、図5(a)に示すようにフェンス10を一括して通すことができる。光ファイバ1は、同図(b)に示すように外枠12を貫通させて網固定枠13間で緊張させてもよく、外枠12の仕切りを迂回してもよい。貫通緊張させて固定すれば網固定枠13間の変形も検知できるものとなる。また、光ファイバ1の網固定枠13への固定は、光ファイバ1全体を網固定枠13に密着させて固定するだけでなく、図5(b)に例示するように、固定バンド16で間歇的に要所を固定してもよく、予め張力をかけて引っ張り状態で固定しておくと、伸縮の応答性が向上する。
そして、侵入者が光ファイバ1を発見し対策を講じることを防ぐために、網固定枠13と外枠12を密着させたり、あらかじめ網固定枠13に光ファイバ1を固定する溝と固定治具を設けておく等の処置を行うと好ましい。
上記のような、本実施例の侵入者検知機能付きフェンスによれば、侵入者がフェンス10の網14を切断等により破って侵入する場合には、図3(a)に示すように網14の張力Fが開放されて網14の張力によって弾性変形していた網固定枠13の弾性変形が戻り、特定の区画14aの網固定枠13の上下縁側または左右縁側のどちらかまたは両方が区画14aの外側に戻る変形(網固定状態から見れば外側に曲がる変形となる)をするため、フェンス10の上縁側の網固定枠13の上面に固定されていた光ファイバ1が引張変形を起こし、光ファイバに入射しているパルス光が、光ファイバ1の変形箇所を通過するときにブリルアン(Brillouin)散乱光の周波数シフトを発生し、BOTDRは、その戻り時間から、光ファイバ1の変形箇所の位置を算出し、ブリルアン散乱光の周波数の変化量から光ファイバに発生しているひずみを算出する。
したがって、フェンス10延設方向に沿って固定された光ファイバ1によって、光ファイバ1が破損することなく特定の区画14aで侵入があったことが検知され、進入箇所も特定される。
また、侵入者15がフェンス10を乗り越えて侵入する場合は、図3(b)に示すように特定のフェンス10の上縁側の外枠12が下方(区画14aの内側)に曲がる変形をして、外枠12に組みつけられた網固定枠13の上縁側は共に下方(さらに区画14aの内側)に曲がる変形をするため、上縁側の網固定枠13の上面(区画14aの外側に向く面)に固定されていた光ファイバ1が圧縮変形し、同様に、フェンス10に沿って固定された光ファイバ1によって光ファイバ1が損傷することなく侵入があったことが検知され、進入箇所も特定される。
なお、光ファイバ1を固定する網固定枠13の面は上述のとおり、上面(区画14aの外側に向く面)に限られず、下面(区画14aの内側を向く面)でもよい。
また、網14を固定するフェンス10の「枠体」としては、網固定枠13に限られず、網固定枠13と外枠12とが一体に形成されている場合は、外枠12をその「枠体」としてフェンス10上縁側の外枠12に沿って光ファイバ1を固定してもよい。外枠12を上記「枠体」とすれば、フェンス10の構造外観をシンプルで美的に構成できるし、網固定枠13を上記「枠体」とすれば、フェンス10を構成する部材ごとの設計、組み立て構造が容易になる。
したがって、本実施例の侵入者検知機能付きフェンス10は、侵入検知に伴う検知用光ファイバの損傷の恐れが少なく、長い距離でも光ファイバ1の復路を要さず最低1本の光ファイバ1をフェンス10の延設方向に亘って固定すればよく、要する光ファイバ長を低減でき、侵入者を検知し進入箇所を特定できる侵入者検知装置付きフェンスとなる。
次に、図6に基づき、本発明の実施例2にかかる侵入者検知機能付きフェンスを説明する。図6は、本実施例の侵入者検知機能付きフェンスの一部を示す正面図である。本実施例は、光ファイバのフェンスに対する固定位置が実施例1と異なり、他は同様であるので、異なる事項を主に説明し他は説明を省略する。
図6に示すように、本実施例においても、光ファイバ1はBOTDRからなる投光受光解析装置2に接続され、投光受光解析装置2は、光ファイバ1にその一端からレーザパルス等を投光し、光ファイバ1において変形を受けた箇所で発生する散乱光を同一端側から受光して光ファイバ1が変形を受けたことを検出し、且つ、その箇所までの距離を算出して光ファイバ1の変形を受けた箇所の位置からフェンス10における位置を判断するように構成されている。
光ファイバ1は、フェンス10を構成する網14の一区画14a毎に順次それを囲むように一巡して網固定枠13に取り付けられている。すなわち。1区画14aをなす網固定枠13に一周回転させた後、次の区画14aの網固定枠13に移り、そこでまた一周回転するように取り付けられている。光ファイバ1の投光受光解析装置2からの距離とフェンス10上における位置、どの区画14aのどの位置かの関係は、予め投光受光解析装置2に記憶させてある。
本実施例の侵入者検知機能付きフェンスによれば、風などによりフェンス10が面圧を受けた場合は、各区画14aの網14が一様の面圧を受けるので、一つの網固定枠13が全周に亘って区画14aの内側に引かれる変形を受け、且つ、配置上同様な区画14aは同様の変形を受けたことが検知される。
それに対して、侵入者15による影響は、特定の区画14aの網固定枠13の上下縁側または左右縁側のどちらかまたは両方が網14破断により外側へ変形したことを検知するか、侵入者乗り越えによりフェンス10の特定の区画14aの上縁側の網固定枠13が区画14aの内側(下向き)に変形したことを検知したときに侵入者の侵入と判断する。判断は投光受光解析装置2等に判断回路を組み込むことでなされ、監視員のモニタリングによる判断によって行うようにしてもよい。
なお、網14を固定するフェンス10の「枠体」としては、網固定枠13に限られず、網固定枠13と外枠12とが一体に形成されている場合は、外枠12をその「枠体」としてフェンス10上縁側の外枠12に沿って光ファイバ1を固定してもよいことは、実施例1と同じである。
したがって、前述の実施例1においてもフェンス10の全区画14aに検知される網固定枠13の変形と特定の区間14aで検知される網固定枠14aの変形とを峻別することで風等の自然力の影響か、侵入があったのかを一定程度判別できるが、本実施例2においては風等の自然力の影響か、侵入があったのかをより確実に判別でき、侵入検知に伴う検知用光ファイバの損傷の恐れが少なく、長い距離でも光ファイバ1の復路を要さず最低1本の光ファイバ1をフェンス10の延設方向に亘って固定すればよく、要する光ファイバ長を低減でき、侵入者を検知し進入箇所を特定できるだけでなく、風などによる誤検知が防止される侵入者検知装置付きフェンスとなる。
以上、本発明を図示の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。
例えば、投光受光解析装置2はBOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectometer)によるもので説明したが、光ファイバの一端からに入射した光が光ファイバの損傷に至らない変形部で発する散乱光を同一端側で受光することにより光ファイバの変形の発生と変形位置を検知できるものであれば限定されず、他に、Brillouin散乱光を利用するBOTDA、BOFDA、BOCDAなども使用でき、また、FBG、ドップラ方式、偏波方式を用いることもできる。もっとも、投光受光解析装置2をBOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectometer)によるものとすれば、より確実に上記のような光ファイバ1の損傷に至らない変形を検知することができ、より高性能な侵入者検知機能付きフェンスとなる。
1 光ファイバ
2 投光受光解析装置
10 フェンス
11 基礎
12 外枠
13 網固定枠
14 網
14a 区画
15 侵入者
16 固定バンド
2 投光受光解析装置
10 フェンス
11 基礎
12 外枠
13 網固定枠
14 網
14a 区画
15 侵入者
16 固定バンド
Claims (8)
- フェンスの枠体に張られて固定された網と、前記フェンスの延設方向に亘って延設された光ファイバと、同光ファイバの端部に接続された投光受光解析装置とを備え、前記網は前記枠体が形成する複数の区画毎に同枠体を同区画の内側に向かって弾性変形させて張られるとともに、前記光ファイバは、前記複数の区間に順次配設され少なくとも前記フェンスの上縁側に位置する前記枠体の前記区間の内側または外側を向く面に沿って取り付けられ、前記投光受光解析装置は、前記光ファイバにその一端から投光し、光ファイバにおいて損傷に至らない変形を受けた箇所で発生する散乱光を前記一端側から受光して光ファイバが変形を受けたことを検出し、且つ、その箇所までの距離を算出するように構成されてなることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンス。
- 請求項1に記載の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記投光受光解析装置は前記光ファイバの同投光受光解析装置からの距離と前記フェンスにおける位置との関係を予め記憶し、前記光ファイバの変形を受けた箇所の位置から同フェンスにおける位置を判断するように構成されてなることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンス。
- 請求項2に記載の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記光ファイバは前記各区画毎に前記網を囲むように一巡して前記枠体に取り付けられてなることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンス。
- 請求項3に記載の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記フェンスの特定の区画の上縁側の枠体が下側に曲げられるように変形したことを検知した場合に侵入者の侵入と判断することを特徴とする侵入者検知機能付きフェンス。
- 請求項3に記載の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記フェンスの特定の区画の上下縁側または左右縁側の枠体が外側に変形したことを検知した場合に侵入者の侵入と判断することを特徴とする侵入者検知機能付きフェンス。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記枠体は、基礎に固定された前記フェンスの外枠であることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンス。
- 請求項1ないし請求項5に記載の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記枠体は、基礎に固定された前記フェンスの外枠に組み付けられた網固定枠であることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンス。
- 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の侵入者検知機能付きフェンスにおいて、前記投光受光解析装置はブリルアン散乱光を利用するBOTDRによるものであることを特徴とする侵入者検知機能付きフェンス。
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JP2005022567A JP2006209575A (ja) | 2005-01-31 | 2005-01-31 | 侵入者検知機能付きフェンス |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2005-01-31 JP JP2005022567A patent/JP2006209575A/ja not_active Withdrawn
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