以下に、本発明に係る各種ディスプレイ手段(表示手段)の実施の形態について説明する。本発明は、各種ディスプレイ手段あるいは書き込み機能を含めた手段を適宜組み合わせて多様な用途に対応できるものである。これらの手段は、電気的な制御によって表示を行う電子ディスプレイ手段や、そのような電気的な制御を利用しないあるいは熱や光などの他の制御手段によって表示を行う非電子ディスプレイ手段を組み合わせてなる。以下に示す実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の複合ディスプレイユニットに好適に適用される電子ディスプレイ手段の一例である有機EL素子の断面図であり、基板1上に順次第1電極2、電荷輸送性着色層3、発光層4および第2電極5が積層された構造になっている。この有機EL素子では、発光層4から放射された光は電荷輸送性着色層3、透明な第1電極2、透明な基板1を通して取り出される。この電荷輸送性着色層3がカラーフィルターとして機能し、発光スペクトル分布が修正され着色された光が取り出される。
本発明に適用される有機EL素子では、さらに、電荷輸送性着色層に正孔輸送あるいは正孔注入などの機能を付加することで着色した正孔輸送層あるいは正孔注入層とし、また、発光層を白色発光層として、この白色発光層を着色した正孔輸送層、正孔注入層と組み合わせることで任意の発光色を取り出すようにできる。
有機EL素子は、このようにカラー表示が可能である上に、
(1)自発光型の素子であるため、視野角に制限がなく視認性に優れる、
(2)LCDと異なりバックライトが不要なため、薄型化・小型化が容易、
(3)LCDよりも応答速度が速いため動画表示に優れる、
(4)熱をほとんど出さないので消費電力が小さい、
(5)発光セルが固体からできているためフレキシブルな基板も可能、
などの特徴がある。
ところで、現在のテレビは30フレーム/sで画面の切り替えを行い、動画表示を行っているが、一般に、動画を快適に見るためには、ピクセルの応答速度として15ms以下が必要とされている。これに対して、有機EL素子の場合、そのピクセルの応答速度は10μsあるいはそれ以下を実現できている。すなわち、有機EL素子は、快適なカラー動画表示を行うのに充分な性能を持った優れた技術といえる。
図2は、本発明に適用されるフルカラー有機ELディスプレイの断面図であり、基板1上に第1電極2が設けられ、第1電極2上に赤色電荷輸送性着色層6、緑色電荷輸送性着色層7および青色電荷輸送性着色層8が、これら3色の電荷輸送性着色層上に発光層4が、さらに、発光層4上に第2電極5が積層された構造になっている。このような赤、緑、青色の3色の電荷輸送性着色層(正孔輸送層)を微細配置することで、発光層の微細な配置やカラーフィルターを必要とすることなく、赤、緑、青の発光ピクセルを微細配置でき、フルカラー有機ELディスプレイを形成することができる。もちろん、この電荷輸送性着色層の微細配置を発光層の微細配置、カラーフィルターと組み合わせて用いることもできる。
本発明に適用される有機EL素子に設けられるEL層とは、対向する第1電極と第2電極間に設けられる有機物層である。少なくともEL層の1層がエレクトロルミネッセンスを起こすものであれば限定されない。また、EL層は第1電極上(第1電極と第2電極の間)に設けられるが、第1電極上に直接設けられたものであっても、必要に応じ第1電極とEL層との間に他の層を介在させたものであってもよい。
本発明のEL層は、さらに、その構成要素として、必須の層として発光層、電荷輸送性着色層、任意の層として、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層および電子を輸送する電子輸送層(これらはまとめて、電荷輸送層とよぶことがある)、ならびに、発光層または正孔輸送層に正孔を注入する正孔注入層および発光層または電子輸送層に電子を注入する電子注入層(これらはまとめて、電荷注入層とよぶことがある)を設けることができる。
これらEL層を構成する材料としては以下のものが挙げられる。まず、第1に電荷輸送性着色層であるが、本発明で用いる電荷輸送性着色層は、光透過率が特定の波長領域のみで大きくなる電荷輸送性を有する有機化合物層である。本発明で用いる電荷輸送性着色層は、それ自体電荷輸送性を有する染料、顔料で構成されるか、または、電荷輸送性を有さなくともよい染料、顔料を電荷輸送性材料に分散させて構成される。また、正孔注入、正孔輸送など他の機能を備えたものであってもよい。電荷輸送性着色層に用いることのできる染料、顔料としては、例えば、トリフェニルメタン色素、キサンチン色素、アゾ色素などの有機色素、金属フタロシアニン、金属錯体アゾなどの金属錯体、α−Fe2O3、CoO・Al2O3などの無機顔料、CdS、CdSSeなどの可視域にバンドギャップの値を持つ半導体などが挙げられる。染料、顔料を分散させる場合の電荷輸送性材料として、後述の正孔輸送材料などを用いることができる。このような材料を用いた場合、発光強度に悪影響はない。
電荷輸送性着色層の厚みは、好ましくは、選択透過波長領域以外での透過率を20%以下にするため、20〜2000nm、より好ましくは100〜500nmと通常の正孔輸送層より厚いものとする。染料、顔料を電荷輸送性材料に分散させて用いる場合には、染料、顔料と電荷輸送性材料との間で塩を形成することや電荷移動錯体を形成することによる沈降や色変化を生じにくいことが重要である。
次に、発光層は、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層であり、電圧印加時に陽極または正孔輸送層から正孔を注入できるとともに陰極または電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能を有することができる。発光層の材料として用いることのできる材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、キナクリドン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などの高分子化合物、およびこれらの混合物などが挙げられる。
次に、正孔輸送層は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能の少なくともいずれかを有している層である。また、機能別に正孔注入層、正孔輸送層など複数層に分割してもよい。正孔輸送層を構成する材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体などの正孔輸送性低分子、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体などの正孔輸送性高分子、ポリメチルメタクリレートやポリスチレンのような電荷輸送性のない高分子をバインダーとして正孔輸送性低分子を分散したものなどが挙げられる。前出の電荷輸送性着色層材料を分散させることで着色した正孔輸送層として用いることができる。
本発明においては、先に設ける電極を第1電極、その後EL層上に設ける電極を第2電極として呼ぶ。これらの電極は特に限定されないが、好ましくは、電極は陽極と陰極からなり、この場合第1電極は陽極、陰極のいずれであってもよい。好ましくは陽極と陰極のどちらか一方が、透明または半透明である。
陽極は正孔を注入しやすいように4eVより大きい仕事関数を持つものが好ましく、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)などの導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケルなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリピロールなどの有機導電性材料、これらの混合物または積層物などが挙げられ、特に高導電性、透明性などの点からITOが好ましい。
陰極は電子を注入しやすいように4eVより小さい仕事関数を持つものが好ましく、例えば、アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、セシウムなど)およびそのフッ化物、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)およびそのフッ化物、アルミニウム、銀などの金属およびこれらの合金または混合物などが挙げられる。
本発明においては、基板を設けることができる。この基板は、その上に電極やEL層が設けられるものであり、所望により透明材料からなることができるが、不透明材料であってもよい。基板にはシート状あるいは板状のものが使用され、例えば、石英、ソーダガラスなどのガラス板、金属板や金属箔、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などのプラスチック基板/シートなどが用いられるが、ガラス、プラスチックのような透明なものが望ましい。特に、プラスチック基板/シートは軽量化ができ、壊れにくく、また、可撓性があるので、ディスプレイ手段の操作性が紙に近くなり、使用時に手になじみやすい(他のディスプレイ手段との切り替え時にページをめくるという感覚が紙に近くなる)ので好ましい。
本発明の有機EL素子の製造方法は、前記の有機EL素子が製造できる方法であれば限定されない。具体的には、例えば、基板上に第1電極を設ける工程と、前記第1電極上に赤色、緑色および青色の電荷輸送性着色層を形成する工程と、前記赤色、緑色および青色の電荷輸送性着色層上に白色発光層を形成する工程と、前記白色発光層上に第2電極を設ける工程から少なくともなる有機EL素子の製造方法を用いることができる。
このような手順による製造方法とすることにより、従来一般的な、基板上にカラーフィルター、第1電極、正孔輸送層、白色発光層、第2電極を順次設ける手順と比較して、製造工程を短縮することができる。なお、カラーフィルター、基板、第1電極の順での配置は、視差が大きくなるため実用的ではない。また、発光層と電荷輸送性着色層が隣接するので、従来のカラーフィルターと発光層との間に第1電極を挟む有機EL素子と比べてもさらに色純度が良好である。さらに、第1電極の形成が、耐熱温度が最高でも250℃程度のカラーフィルターなどの熱に弱い中間層を介在させることなく基板上に形成できるので、第1電極が高温で形成でき、そのため、第1電極の抵抗値が従来の1/4程度まで低下して、導電性が高まり、有機EL素子の発光効率が高まる利点がある。
また、本発明に用いることのできる正孔輸送層は厚膜化が可能なものであるので、正孔輸送層や電荷輸送性着色層の形成に印刷法を用いることができ、この点でも製造工程の簡略化やコストダウンが可能である。さらに、EL素子の発光層は、薄くしかも空気との接触を避ける必要がありパターニングが困難であるが、本発明は発光層のパターニングを行わずパターニングしやすい電荷輸送性着色層について行うことが可能であるので、製造工程上有利である。
次に、図3ならびに図4を用いて、本発明の複合ディスプレイユニットに好適に適用される電子ディスプレイ手段の一例である液晶表示素子について説明する。ここでは消費電力が少なくてすむ反射型液晶表示素子の実施形態の説明をするが、これによって本発明が限定されるものではない。
本実施に好適に適用される反射型液晶表示素子は、対向して配される一対の透光性基板と、該一対の透光性基板の対向面間に挟装される液晶材料とを有し、該液晶材料の有する電気光学効果を用いて表示を行う液晶表示素子であって、上記一対の透光性基板のいずれか一方の対向面側に、光反射層と、透光性の光散乱層とがこの順に積層されてなる構造を有している。
図3に、より具体的に示すように、液晶表示素子(反射型液晶表示素子)30は、透光性基板11の一方の面(対向面)上に、反射層(光反射層)12、透光性の光散乱層13、平行に配された複数の信号電極(液晶駆動用電極)15、並びに液晶配向膜16が順に形成されてなる信号電極側基板10と、透光性基板21の一方の面(対向面)上に、平行に配された複数の走査電極(液晶駆動用電極)22および液晶配向膜23が順に形成されてなる走査電極側基板20とが、それぞれの対向面により液晶材料17を挟装するべく対向配置された液晶パネル構造を有している。また、上記信号電極15と走査電極22とは互いに直行するように配されている。
なお、それぞれの「透光性基板の対向面側」とは、透光性基板11(または透光性基板21)の対向面側と液晶材料17との間を指すものとする。また「対向面側にA層とB層とがこの順に積層される」とは、A層とB層とが積層構造になっているとともに、該A層がB層より対向面近傍に位置していることを指す。したがって、場合によっては上記対向面とA層との間に、他の層が介在していてもよい。
この液晶表示素子30は、白黒表示に適用された単純マトリクス型の液晶表示素子であり、上記信号電極15と走査電極22との交差部間に所定の電圧を印加し、液晶材料17の有する電気光学効果を用いて表示を行う反射型液晶表示素子である。なお、この液晶パネル構造において、透光性基板11,21それぞれの「対向面」は液晶セル内面を形成するものであり、場合によっては「内面」と称するものとする。また透光性基板11,21それぞれの「内面」の背向面を、「外面」と称するものとする。
以下、上記液晶表示素子30の製造工程の概略について説明を行う。まず、液晶表示素子30を構成する信号電極側基板10の製造工程を説明する。はじめに、透光性基板11の一方の面(対向面)上にアルミニウム等の高反射特性を有する材料よりなる薄膜、すなわち、反射層12をスパッタリング法により面内均一に形成する。反射層12の層厚(膜厚)は特に限定されるものではないが、本実施の形態では約1000Åである。また、反射層12をなす材料は所望される反射特性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、銀などを使用することもできる。
続いて、基材としてのアクリル系樹脂に粒径2μmの粒状シリカ(光散乱粒子)14がほぼ均一に分散されてなる透光性樹脂材料をスピンコーティングにより反射層12上に均一に塗布し、例えば、紫外線硬化することで層厚6μmの光散乱層(透光性樹脂層)13を形成した。なお、本実施の形態では、図3に示すように、反射層12が完全に被覆されるべく光散乱層13を形成している。また、光散乱層13の層厚は特に限定されるものではないが、平面平坦性を確保しながら、膜厚分布による散乱特性の面内分布を抑えるという理由により、5μm〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
上記透光性樹脂材料をなす基材は、透光性を有し、かつ、光散乱粒子を変質させることなく分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、などをアクリル系樹脂に代えて使用することができる。ただし、平坦な薄膜を容易に形成することが可能である(平面平坦性が良好である)という観点からはアクリル系樹脂がより好ましい。また、光散乱粒子14は、上記基材とは異なる屈折率を有する粒子状物質であって、光散乱層13の層厚以下の粒子径を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラスビーズ、プラスチックビーズ等を使用することができる。
続いて、上記光散乱層13上にITO(Indium Tin oxide)等の透明(透光性)導電性材料よりなる透明導電膜をスパッタリング法により面内均一に形成した。そして、該透明導電膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングすることで、互いに略平行に配された複数の信号電極(一つのみ図示される)15が形成される。そして、この信号電極15を被覆し、かつ、凹凸を平坦化するように、ポリイミド材料等の透光性材料よりなる薄膜が印刷法によりパターン形成され、該薄膜にラビング処理を施すことにより液晶配向膜16が形成される。上記説明のようにして信号電極側基板10は製造される。
次に、走査電極側基板20の製造工程の概略について以下に説明を行う。はじめに、透光性基板21の一方の面(対向面)上にITO(Indium Tin oxide)等の透明(透光性)導電性材料よりなる透明導電膜をスパッタリング法により面内均一に形成する。そして、該透明導電膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングすることで、互いに略平行に配された複数の走査電極22が形成される。そして、この走査電極22を被覆し、かつ、凹凸を平坦化するように、ポリイミド材料等の透光性材料よりなる薄膜が印刷法によりパターン形成され、該薄膜にラビング処理を施すことにより液晶配向膜23が形成される。
続いて、液晶配向膜16,23の一方(場合によっては両方)に対しスペーサー18を分散するとともに、信号電極側基板10または走査電極側基板20の周縁部に、接着材および封止材としてのシール樹脂層19を形成する。なお、シール樹脂層19は図示しない液晶注入口に相当する部分には形成しない。
そして、信号電極側基板10と走査電極側基板20とがシール樹脂19を介して貼り合わされる。次いで、液晶セル内部に対し液晶注入口より液晶材料17を注入・充填し、液晶注入口を封止することで液晶表示素子30が製造される。なお、上記のスペーサー18は、上記液晶表示素子30のセル間隔を一定に保持するべく機能する。また、上記信号電極15が走査電極として、かつ、走査電極22が信号電極として機能する構成であってもよい。
上記の製造工程でも説明したように、反射層12と光散乱層13とはいずれも平面状に均一に形成されている。したがって、凹凸形状を有する樹脂層上にその形状に沿って反射層(光反射層)を形成して光散乱・反射板とする従来の反射型液晶表示素子(従来型液晶表示素子と称する)と比較すれば、該凹凸形状平坦化のために平坦化樹脂層を設ける必要がない。よって、目的とする光散乱・反射板(すなわち、本実施の形態における反射層12と光散乱層13との積層構造板)を備えた反射型液晶表示素子を効率よく製造することが可能である。
また、本実施の形態において、反射層12は1000Åと極めて薄い層厚で透光性基板11内面上に形成されており、該内面と同等の平坦性を有すると考えられる。すなわち、光散乱層13は、高い平坦性を有する反射層12上に形成されるので、面内分布および基板間分布よく(すなわち、品質安定性よく)形成可能である。本実施の形態では光散乱層13の層厚は6μmであるが、面内分布と基板間分布との双方に優れるとともに、その表面平坦性も水平面を基準として±0.1μm以内と極めて優れた値を示した。さらに、この構造では、反射層12と光散乱層13との間に介在する層がないため光学的なロスを抑制することが可能であり、上記従来型液晶表示素子と同等の極めて優れた光学特性(コントラストや視野角等)を有する反射型液晶表示素子を品質安定性良く製造することが可能である。
図4に示すように、製造された液晶表示素子30が反射型のみに適用される場合、表示に利用される光は透光性基板21の外面側(図中、観測者Mのいる側)にある反射用光源31より該液晶表示素子30内に入射される。この光は、例えば、偏光板と位相差板とを積層してなるフィルム(以下、偏光位相差板27と称する)を透過させた光として液晶表示素子30に与えられ、透光性基板21、透明導電性材料よりなる走査電極22(光の一部は走査電極22・22間を透過する)、液晶配光膜23、液晶材料17、液晶配向膜16、透明導電性材料よりなる信号電極15(光の一部は信号電極15・15間を透過する)、並びに、透光性樹脂層である光散乱層13、を順に透過して反射層12に到達し、該反射層12において透光性基板21方向に反射される。
反射層12において反射された上記光は、直ちに光散乱層13に入射され、該光散乱層13中に均一に分散された光散乱粒子14により、液晶セル内部に均一に拡散されて表示に利用される。なお、光散乱層13の光散乱特性(光拡散特性)は、例えば、基材と光散乱粒子14との組合せ;光散乱粒子の粒子径;光散乱粒子14の含有量;層厚;基材中における光散乱粒子14の分散均一性度合い;等の要素を変更することにより所望するように制御可能である。
上記偏光位相差板27は、反射用光源31と液晶表示素子30との間に配置されていればよく、透光性基板21の外面上に貼り付けられて液晶表示素子30と一体化されたものであってもよい。偏光位相差板27を設けることにより、反射用光源31の存在下で良好な表示品位を得ることが可能となる。また、上記光を発する反射用光源31は特に限定されるものではなく、自然光源または人工光源(補助光源等)より任意に選択すればよい。
なお、透光性基板11,21としては、一般的には寸法安定性に優れている等の理由でガラス基板が使用されるが、本発明のように可搬性を重視し、また、使用時に他のディスプレイ手段との切り替えて使用するという特殊性を考慮すると、透光性プラスチック基板(透光性プラスチック材料からなる基板)を使用することが望ましい。この理由として、本実施の形態にかかる液晶表示素子30は白黒表示に好適に適用されるので、
(1)透光性基板11,21のそれぞれに形成される樹脂層の数は比較的少なく、寸法変化の制御が比較的容易であること、
(2)厳密な位置あわせが要求されるのは、基本的に、液晶駆動用電極(信号電極15および走査電極22)同士の位置関係だけであるため寸法変化に対する許容度が比較的広いこと、
(3)可撓性とすることにより、他のディスプレイ手段との切り替え使用時に、より紙に近い使用感覚(ページをめくる感覚)が得られること、すなわち、手になじみやすい、
等が挙げられる。
加えて、ガラス基板にかえて透光性プラスチック基板を使用すれば、本発明にかかる反射型液晶表示素子の薄型化、軽量化が可能となるとともに、割れ・ひびなどの破損が生じにくい等の利点がある。本発明では実際に透光性基板11,21として透光性プラスチック基板を使用した場合でも、図4に示す表示用光学システムを適用することで良好な表示品位を得ることができている。なお、本発明において、プラスチック基板とは、透光性、可撓性を有するプラスチック基板であれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、またはポリイミドからなる基板を指している。
なお、液晶表示素子の応答速度は、最速のもので10ms程度であり、かろうじて、快適な動画表示可能なレベルになっているが、前述の有機EL素子には及ばない。つまり、通常の動画表示は問題なくできるが、より高速な動画表示を快適に行うという要望が出てきた場合には、有機EL素子に分がある。
しかしながら、液晶表示素子は、低消費電力という点で有機EL素子に対して有利である。特に、上記説明のようなバックライトを使用しない反射型液晶の場合、非常に消費電力が少ないので、本発明のように、携帯することを前提とした装置においては、バッテリー容量も少なくてすむので好都合である。ところで、液晶表示素子もカラーフィルターを併用し、カラー表示が可能であるため、それほど高速な動画表示を必要とせず、しかも、低消費電力でカラー表示を行いたいという場合には、液晶表示素子は有利である。
図5及び図6は、本発明の複合ディスプレイユニットに好適に適用される他の電子ディスプレイ手段の一例として、マイクロカプセル型のディスプレイシステムの部分破断図を示す。デバイスは、一般的に、KAPTON薄膜のような薄い可撓性の材料である基板40を備える。行電極42は、印刷プロセスによって基板40上に被着されていることが好ましい。例示の実施態様では、非線形バックプレーン44は、粒状バリスター材料または粒状ダイオード材料の連続層である。44で示す構造は、また、粒状シリコンの層、印刷された金属接点、及び、次に、粒状シリコンの別の層とすることができる。代替的には、構造44は、PNPNPNNPNPNPのような上に向かうパターンで印刷された、P型及びN型のドーピングされた粒状半導体インクの層から構成することができる。任意の多くの数の層を印刷することができ、その最適な数は、主として、所望の破壊電圧に依存して決まる。
第1の組(行電極)42に位置合わせされた、オプションの第2の組の印刷された行電極46(図5にのみ示している)は、非線形材料44の他方の面に対する接点を設ける。Acheson ML25208のような絶縁材料が、電極42間の空間を画定するレーン48に印刷被着され、これによって、なめらかな表面が形成される。電気泳動式ディスプレイのマイクロカプセルの層のような電気光学ディスプレイ41は、電極46上に、もし、それらが省かれている場合には、非線形バックプレーン44上に印刷被着される。1組の透明な列電極49が、行電極42(及び、もし、含まれていれば46)に直交するパターンで、ディスプレイ41上に印刷被着される。絶縁材料は、電極49間のレーン50に印刷被着される。アクティブな画素は、ディスプレイ41の領域内で画定され、そこでは、これらの直交する電極の組がオーバーラップする。従って、M個の行電極とN個の列電極を備えるディスプレイは、M×N個の画素を有する。
図7及び図8に、マイクロカプセル47によるディスプレイ表示の動作原理を示す。この原理によるものは、マイクロカプセル47がITO電極付きの可撓性を有するプラスチックフィルム上にシリコン樹脂等をバインダーとして塗布されているため、自由に曲げることができ、手によくなじむため、ページめくり等がしやすく、大変扱いやすいディスプレイ手段である。
図7は、単一のタイプまたは色の粒子を含む電気泳動マイクロカプセルの例である。電極46および49に、選択的に逆向きのバイアスをかけることによって、スピロピランとキレート剤を含み、マイクロカプセル47に封入されている、電荷を有する着色粒子51の多くが、オイルよりなる染料添加懸濁流体52の中で、一方の電極の方向あるいは逆向きに移動をおこす。
ここで、白色を得るために、このような着色粒子51としては、例えば、酸化チタンを用いることもできる。その場合、着色粒子51が電極46の方向に引きつけられ、その色(今、ここでは白色)が見えるようになる。その逆の形態になると、着色粒子51が電極46の方向に引きつけられ、その結果、粒子は染料添加懸濁流体52によって見えなくなってしまう。
図8(A)および図8(B)は、複数のタイプまたは色の粒子を含む電気泳動マイクロカプセルの例である。図8(A)においては、電気泳動マイクロカプセル47の中にオイルよりなる懸濁流体53があり、その中にはスピロピランおよびキレート剤を含む単一の色の多量の電荷粒子54と、別な色あるいは視覚的に対照的な色で同程度の量の非電荷粒子55が分散されている。ここで、それぞれの粒子54,55は、例えば、酸化チタン(白色用粒子)とカーボンブラック(黒色用粒子)とされる。電極49および46にバイアスをかけると、電荷を有する着色粒子54が電極49の方に移動する(この場合にはその粒子の色が強くなる。今、ここでは白色)か、あるいは電極46の方に移動する(この場合には、粒子54は粒子55の後に隠れてしまうので、粒子55の色が強くなる。今、ここでは黒色)。この実施態様においては、それぞれの粒子54、55は、例えば、酸化チタン(白色用粒子)とカーボンブラック(黒色用粒子)としたが、スピロピランおよびキレート剤を電荷粒子54や非電荷粒子55の中に入れてもよい。
図8(B)は、別な方法を示す。図8(B)に示すように、粒子54と、それとは別の色にした粒子56に逆の電荷を担持させると、プッシュ・プル効果が生まれ、電極49に引きつけられる粒子の視認性を高め、逆側の粒子による視覚的な妨害を防ぐことができる。また、別な方法では異なった粒子の組を作る際に、同じ符号の電荷であるがその電荷の大きさを変えておくこともできる。これらすべての実施態様において、粒子54と粒子56の電気泳動的な移動性には実質的に差がある。なお、本明細書で「実質的に差がある」という用語を用いる場合には、一方の色の粒子の約25%未満、好ましくは約5%未満しか他方の色の粒子と同一あるいは類似の電気泳動的挙動を示さないことを意味する。
以上の説明では、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、電気泳動式ディスプレイに関して詳述したが、本発明の複合ディスプレイユニットに適用される電子ディスプレイ手段はこれらに限定されるものではなく、これら以外にも、分散粒子配向型ディスプレイ、着色粒子回転型ディスプレイ、PLZTディスプレイ、DMD(デジタル・マイクロミラーデバイス)ディスプレイ、電子粉流体ディスプレイ、SED(サーフィス・コンダクション・エミッター・ディスプレイ)等が適用できる。要するに、本発明のポイントは、電子ディスプレイ手段を複数種類設け、用途に応じて使い分けるということである。
次に、本発明の複合ディスプレイユニットに好適に適用される非電子ディスプレイ手段の代表例であるとともに、本発明の非電子ディスプレイ手段としてより好ましい紙について説明する。いうまでもなく、紙は可撓性を有しており、手になじみやすくページめくり等がしやすいものであるが、ここでは、より扱いやすい紙について検討する。
本発明に適した紙は、植物より加工され、植物組織をいったんバラバラにして、植物が本来その成長過程で持っている細胞繊維組織の方向性(異方性)をランダムにして、繊維の集合体が等方的な性質を持つようにして、シート状にするとともに、素材の密度を、0.50g/cm3以上にするようにしたものである。なお、ここでいっている密度とは、製紙業界で一般に適用している密度のことであり、秤量(1m2あたりの重さ(グラム数))を厚さで除して算出したものである(いわゆる物理学でいうところの密度とは厳密には同じではない)。
これは、表示体としての閲覧性および書き込み手段としての書き込み性(例えば、筆記インクの浸透性や裏面まで浸透しないことなど)、ならびに、それらの作業を行う際のページめくりのしやすさ等を考慮したこしの強さ(剛性)などを総合的に加味して決められるものである。本発明では、表1に示す9種類の紙を、図11に示すように形成して、図9に示すバインダー62に留められるような形状とし、それぞれ10枚ずつ準備して使いやすさを評価した。
その結果、サンプルNo.7、8、9のものは、機械的強度(こし)が弱く、ページめくりする際にまつわりつき使いにくいものであることがわかった。また、それらはボールペンで強く筆記すると裏面に押圧による変形(文字の浮き)が現れ、さらに、その下の紙にその押圧による文字の線が写り、好ましくないこともわかった。また、これらの紙で万年筆で筆記した場合、裏面からもはっきり見えるくらいにインクが裏面近くまで浸透し好ましくないこともわかった。一方、それ以外のサンプルは、こしも強く、また、裏面への文字の浮きもなく大変使いやすいものであった。また、インクの浸透も裏面側から見て全く気にならない程度であった。
つまり、本発明のように、非電子ディスプレイ手段としての紙を複数枚束ねて使用する場合には、ある程度のこしの強さ、また、インク等の筆記性などを考慮して、紙の密度を0.50g/cm3以上にしなければならないことがわかった。
なお、他の紙の例として、石油・石炭・天然ガス等の化石燃料から化学的に作られるいわゆる合成紙も、本発明の非電子ディスプレイ手段として好適に用いることができる。また、OHPシート等のプラスチックシート等も同様に用いることができる。これらも上記紙と同様に可撓性を有しており、手になじみやすくページめくり等がしやすいものである。
これらの非電子ディスプレイ手段は、その表面に鉛筆、ボールペン、万年筆、サインペン等の各種筆記具による情報の追記が可能であり、追記後のディスプレイ機能のみならず、それを記録保存するというメモリー機能も有するものである。また、これらの非電子ディスプレイ手段は以下に述べる他の非電子ディスプレイ手段も含めて、電子ディスプレイ手段も比べて構造が簡単でありシート状に薄くできるので、シートの裏表両面に表示あるいは追記(記録保存)の機能を持たせることが可能である。つまり、構造が簡単であるため、裏表両面にそれらの機能を持たせ、容易にその情報の表示あるいは追記(記録保存)の機能を2倍に高めることができる。そして、このような非電子ディスプレイ手段はページめくりが容易なので、シートの裏表両面にその機能を持たせても、取り扱い上、何ら不都合は生じることなく、能力を倍増することができるのである。
上記各種の電子/非電子ディスプレイ手段は本発明の複合ディスプレイユニットに好適に適用できる例としてあげたものであるが、本発明が、これらのディスプレイ手段のみに限定されるものではないことはいうまでもない。
例えば、さらに、他の非電子ディスプレイ手段、すなわち、電気的な制御を利用しないあるいは熱や光などの他の制御手段によって表示を行うディスプレイ手段としては、いわゆる、リライタブルペーパーと呼ばれているものが適用できる。
このリライタブルペーパーは、例えば、紙や樹脂フィルム等の支持体上に、以下に説明するような材料を記録層として塗布してなり、熱エネルギー制御によって発色に可逆性を与え、表示/消去を可逆的に行うものである。透明白濁型リライタブルマーキング法とロイコ染料を用いた発消色型リライタブルマーキング法があり、いずれも熱記録方式のためサーマルヘッドを用いた熱エネルギー制御によって記録することができる。
透明白濁型は、高分子薄膜の中に脂肪酸の微粒子を分散したもので、110℃以上に加熱すると脂肪酸の溶融により樹脂が膨張する。その後、冷却すると脂肪酸は過冷却状態になり液体のまま存在し、膨張した樹脂が固化する。その後、脂肪酸が固化収縮して多結晶の微粒子となり、樹脂と微粒子間に空隙が生まれる。この空隙により光が散乱されて白色に見える。次に、80℃から110℃の消去温度範囲に加熱すると脂肪酸は一部溶融し、樹脂は熱膨張して空隙を埋める。この状態で冷却すると透明状態となり画像の消去が行われる。
ロイコ染料を用いたリライタブルマーキング法は、無色のロイコ型染料と長鎖アルキル基を有する顕消色剤との可逆的な発色および消色反応を利用している。サーマルヘッドにより加熱されると、ロイコ染料と顕消色剤が反応して発色し、そのまま急冷すると発色状態が保持される。今度は、加熱後、ゆっくり冷却すると、顕消色剤の長鎖アルキル基の自己凝集作用により相分離が起こり、ロイコ染料と顕消色剤が物理的に分離されて消色する。
他に、レーザ光等の光エネルギー制御によって発色に可逆性を与え、表示/消去を可逆的に行うものがある。例えば、紫外光を当てるとC(シアン)に発色し、可視光のR(レッド)の光で消色するフォトクロミック化合物、紫外光を当てるとM(マゼンタ)に発色し、可視光のG(グリーン)の光で消色するフォトクロミック化合物、紫外光を当てるとY(イエロー)に発色し、可視光のB(ブルー)の光で消色するフォトクロミック化合物を紙や樹脂フィルム等の支持体上に設けたいわゆるカラーリライタブルペーパーである。これは、一旦、紫外光を当てて真っ黒にし、R・G・Bの光を当てる時間や強さで、Y・M・Cに発色する3種類の材料の発色濃度を制御してフルカラーを表現する。仮に、R・G・Bの強力な光を当て続ければ3種類とも消色して真っ白にすることもできる。このような、光エネルギー制御によって発色に可逆性を与えるものも本発明の非電子ディスプレイ手段として好適に適用される。
なお、本発明の複合ディスプレイユニットに適用される非電子ディスプレイ手段は、これらに限定されるものではなく、要するに、本発明のポイントは、非電子ディスプレイ手段を複数種類設け、用途(カラー/モノクロ表示、追記可否、手書き加筆/サーマルヘッドあるいはレーザ手段による画像形成および消去など)に応じて使い分けるということである。
このような非電子ディスプレイ手段は、いずれも表示部分が電子ディスプレイ手段に比べてはるかに簡単な構成であり、いわゆる紙あるいはそれとほぼ同等の厚さ、軽さとすることができるため、電子ディスプレイ手段より厚さを薄くし軽量とすることができる。また、これらの非電子ディスプレイ手段は可撓性を有しており、手になじみやすくページめくり等がしやすいものである。
さらに、このような非電子ディスプレイ手段は、紙と同様に薄く、また、軽いため、ほとんど紙と同じようにページめくり等の扱いやすさがあるので、複数枚束ねて使用することが効果的である。具体的には、例えば、2枚〜200枚程度束ねて使用するのがよい。
次に、図9から図11を用いて、本発明に係る各種ディスプレイ手段を組み合わせたユニットの実施の形態の全体的構成について説明する。なお、以下に示す実施の形態は例示であり、これに限定されるものではない。
図9(A)は本発明の複合ディスプレイユニットを閉じた時の斜視図、図9(B)は開いた時の斜視図であり、本発明による複合ディスプレイユニットは、このように、外側カバー60ならびにカバー留め具61よりなり、ブック状に構成され、各種ディスプレイ手段65を外側から挟み込むように外側カバー60が配置される。
図9(B)は留め具61をはずし、内部を本のように開いた状態であり、保持されたディスプレイ手段65は、バインダー62により保持されている。
本発明においては、上記ディスプレイ手段65として、上記説明のような、例えば、カラー表示あるいは動画表示を行う有機ELによるディスプレイと、モノクロ表示あるいは静止画表示を行う液晶ディスプレイや電気泳動粒子を利用したディスプレイ、さらに、古典的表示手段である紙などを積層し、このような電子的なディスプレイ手段と紙などの非電子的なディスプレイ手段との混合群をバインダー62(図10参照)により保持している。なお、紙は、ディスプレイ手段であるとともにいわゆるノートとしての使い方もできるので、ディスプレイ手段ならびに書き込み媒体ということもできる。
なお、カラー/モノクロ、動画/静止画のそれぞれを表示する各ディスプレイ手段は、上記の組み合わせに限定されるものではなく、どのディスプレイ手段を利用するかは使う側で適宜選べばよい。また、ディスプレイ手段も、上記各ディスプレイ手段に限定されるものではなく、これら以外のディスプレイ手段も適宜組み合わせて、ディスプレイ手段の混合群として使用すればよい。
図11は、本発明の複合ディスプレイユニットに適用される各種電子ディスプレイ手段ならびに紙などの非電子ディスプレイ手段等を保持する方法を説明するために、1つだけ取り上げ概念的に示した図である。本発明の複合ディスプレイユニットは、ディスプレイ手段65として、上記説明のように有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ等の電子ディスプレイ手段、そして、紙あるいはリライタブルペーパー等書き込み機能をも有する非電子ディスプレイ手段の各種ディスプレイ手段を適宜組み合わせてなるものであるが、これらのディスプレイ手段あるいは書き込み媒体等には、複数個の穴66を設け、図9(B)に示したように、バインダー62のピン64によって嵌合されている。
つまり、これらの各ディスプレイ手段は、保持手段との取り付け部分を互換性のある形状(今、この例では、複数個の穴66を設けた形状)とするとともに、各ディスプレイ手段が着脱あるいは交換可能としている。そして、このような電子的なディスプレイ手段と紙をはじめとした各種非電子ディスプレイ手段の混合群は、本のようにページめくりをすることができるので、所望のディスプレイ手段を必要に応じて自由に使用することができる。
また、このバインダー62は、図10に示すように、回転部63を軸とし、バインダー留め部62cとバインダー留め部62dの着脱を行うことにより、バインダー62aとバインダー62bに図の矢印方向に回転分割でき、ピン64も分割され、ディスプレイ手段(あるいは紙)65を着脱可能としている。すなわち、紙などは筆記によりたまったものを新たな紙に交換することができる。また、紙に限らず、上記電子的なディスプレイ手段も、故障等が生じた場合に交換することも簡単にできるようになっている。
なお、ここで、非電子ディスプレイ手段を交換する場合について補足しておく。先に、本発明では、非電子ディスプレイ手段を複数枚束ねて使用することが効果的であることを述べた。この場合、複数枚束ねた状態で一括で交換することもできるが、より好ましくは、1枚ずつ交換できるようにするのがよい。このようにしておけば、例えば、追記(筆記)して不要になった非電子ディスプレイ手段を、1枚ずつはずせるので好都合である。
次に、本発明の他の特徴について説明する。前述のように、本発明は、電子的なディスプレイ手段と紙をはじめとした各種非電子ディスプレイ手段の混合群であるが、ここでは、このようなディスプレイ手段への情報入力手段を備えた例について説明する。
図12は、本発明の複合ディスプレイユニットにキーボード67を備えた例を説明するための斜視図で、この場合、キーボード67にも各種ディスプレイ手段65と同様に複数個の穴66が設けられ、バインダー62のピン64によって嵌合されている。そして、通常は、他の各種ディスプレイ手段65と同様に外側カバー60内に保持され、携帯されるようになっているが、各種ディスプレイ手段65と同様に接続部の形状を互換性があるようにして着脱自在とした構成であるので、使用時に、図12に示したように、バインダー62からはずし、外側カバー60の外側に引き出して使用してもよい。バインダー62のピン64によって嵌合された状態で使用してもよいのはいうまでもない。
図12では、情報入力手段であるキーボード67を、外側カバー60の内部に保持する例を示した。そして、それは情報入力手段であるキーボード67を外力等から保護したり、あるいは汚染等から保護したりするのには最もよい構成である。
一方で、この情報入力手段であるキーボード67を外側カバー60の外側に設けてもよい。その場合、各キー面は破損、汚染等から保護するために、外側にむき出しにならないように見開きの内向きになるようにしておく。つまり、キー配置の裏面側が外側カバーを兼用するような構成とする。このようにすると、キー配置の裏面側が外側カバーを兼用することができるので、外側カバー60の少なくとも片側を省略することも可能となる。
なお、図12では、各キーが立体的な構成のキーボードの例を示しているが、キーボード全体を可撓性シート状構造とし、各キーもタッチパネル式とし、全体をキーボードならぬキーシートとすると、本発明の複合ディスプレイユニットに組み合わせた場合、軽量化、可搬性、ページめくりのしやすさ等の使い勝手が向上する。
なお、詳述は避けるが、このような情報入力手段を備えた本発明は、情報の入出力、演算記憶といったコンピュータ手段も有するものである。そして、このコンピュータ手段は、本発明の各種ディスプレイ手段65と電気的接続される。いうまでもないが、その接続は着脱可能である。このコンピュータ手段は、このようなキーボードと一体的に構成してもよいし、別構成としてもよい。また、このコンピュータ手段は他の各種ディスプレイ手段65と同様にバインダー62から着脱可能としてもよいし、外側カバー60等に組み込んだ一体的構成としてもよい。
他の情報入力手段として、本発明では、タッチパネル方式と手書きペン入力手段を採用するのも良い手段である。また、入力ツールとしてペン状の物に限らず、人間の指による方式を採用してもよい。
以上の例は、主として、文字等のコード情報入力を想定した場合であるが、他の情報入力手段として、画像情報をビットマップ情報として入力する手段も本発明に好適に適用できる。具体的には、スキャナーが好適に適用される。近年、技術が進歩し、スキャナーもかなり薄い板状の構成をとることができ、本発明の複合ディスプレイユニットに着脱可能な構成とすることができるようになった。
さらに、デジタルカメラ/デジタルビデオカメラ等に代表されるイメージキャプチャー手段を、本発明に適用する情報入力手段とすることもよい方法である。このようなイメージキャプチャー手段によって得られた動画/静止画情報は本発明の各種ディスプレイ手段によって、好適に再生、表示される。なお、イメージキャプチャー手段の場合は、必ずしも、他の各種ディスプレイ手段と同様に板状/シート状にする必要はなく、本発明の複合ディスプレイユニットに着脱可能なようにすればよい。
次に、本発明の他の特徴について説明する。本発明は上記説明のように、各種電子ディスプレイ手段あるいは情報入力手段等を、一体的に束ね、外側カバー60で覆ったものである(図9、図12参照)。そして、それは携帯して使用することが多い。その場合、何かのひょうしに、本発明の複合ディスプレイユニットを何かにぶつけたりすることがままある。
そこで、本発明では、この外側カバー60の大きさ、すなわち、本のように開閉する際の表紙に相当する部分の外形寸法を、前述の各電子/非電子ディスプレイ手段群、あるいは情報入力手段の外形寸法より大きくしている。つまり、この外側カバー60を各電子/非電子ディスプレイ手段群、あるいは、情報入力手段の外形寸法より大きくして、各電子/非電子ディスプレイ手段群等が外側カバー60の大きさ内に収まるようにしている。
このようにしておくと、携帯時等に、何かのひょうしで、本発明の複合ディスプレイユニットをぶつけたりした場合に、内部の各電子/非電子ディスプレイ手段群、あるいは、情報入力手段がぶつかる前にこの外側カバー60がぶつかるため、内部の各電子/非電子ディスプレイ手段群等を保護できるという効果がある。
さらに、この外側カバー60は、前述の非電子ディスプレイ手段より厚くしている。これは、こしの弱い非電子ディスプレイ手段を使用時(例えば、表示時あるいは書き込み時)に良好に保持/支持できるようにするためである。そして、その材質は、不慮の事故防止も考慮して、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等の硬質プラスチック材料などとすればよい。
図13は、本発明のさらに他の例を説明するための図で、同図は、外側カバー60を構成するシート状、板状部材の断面図を示したものであり、図中、68は支持基体、69は衝撃吸収層、74は外装体である。本発明ではこのように外側カバー60を構成するシート状、板状部材を2層以上の積層シート状構造とし、機能を分担させている。
支持基体68は、例えば、外側カバー60に剛性を持たせる役割を持ち、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等の硬質プラスチック材料などの基板によって形成される。衝撃吸収層69は、シート状のスポンジ部材によって構成され、外部から圧力がかかったり衝撃を受けた場合に、このスポンジ部材69の弾性によってそれらを吸収するものである。そして、内部の各電子/非電子ディスプレイ手段群、あるいは、情報入力手段等を衝撃による破損を回避できるというものである。言うまでもないが、本発明は、この2層構成に限定されるものではなく、装飾等の目的からより多層の構成としてもよい。
なお、これら2層をなす支持基体68と衝撃吸収層69の積層物を覆う外装体74は必ずしも必要ではないが、防水のためにビニールシート等より構成したり、装飾の意味もかねて、羅紗部材、フェルト部材などで構成してもよい。
次に、本発明のさらに他の特徴について説明する。本発明は、上記説明のように携帯して使用すること場合が多い。そして、例えば、かばん等に入れて持ち運びされるシーン等を想定すると、外側カバー60内の各種電子ディスプレイ手段等が外部からの圧力によって破損したりすることがままある。あるいは、かばんに入れなくても、上記説明と同様に、ものをその上に置いたりした場合に、その重みに耐えかねて、内部の、高度技術によって実現されている各電子/非電子ディスプレイ手段群、あるいは情報入力手段等が破損するといった事故が起き得る。
そこで、ここでは、上記保護手段とは別の機械的/物理的な圧力から保護する本発明の更なる構成について説明する。
具体的には、図9(A)において、図9(A)は、ブック状の本発明の複合ディスプレイユニットが閉じられた状態を示したものであるが、このようなブック状の形状において、外側カバー60が表表紙、背表紙、裏表紙からなると見立て、表表紙と裏表紙の間隔(本でいうならば、厚さに相当)が、ある間隔以下にならないようにしている。具体的には、表表紙と裏表紙の間隔を決めるブロック状のストッパーを表表紙と裏表紙のどちらか一方あるいは両方に複数個設け、そのブロック高さで、表表紙と裏表紙の間隔を決めるようにしている。いうまでもないが、このブロックの高さは、この外側カバー60内に保持された各種ディスプレイ手段の集合体全体の厚さ以上の高さとしている。
また、それに加えて、この外側カバー60にもある程度の機械的剛性を持たせ、不慮の事故により物理的外力が加わった際に、内部の各種電子ディスプレイ手段が破損しないようにしている。このような機械的剛性を持たせることができる材料としては、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等の硬質プラスチック材料が使用できる。
つまり、本発明においては、外側カバー60に付与されたある程度の剛性と、それを閉じた際に各種ディスプレイ手段の集合体全体の厚さ以下には閉じないようにされたストッパー機能によって、内部の各種電子ディスプレイ手段を外部の物理的外力から守っているのである。
なお、他の構成として、外側カバー60そのものを、剛性のある容器のように構成し、その容器の内部に各種ディスプレイ手段の集合体全体を入れるようにしてもよい。このような容器を構成する材料は、例えば、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等の硬質プラスチック材料で充分である。
次に、本発明のさらに他の特徴について説明する。本発明の外側カバー60は、書籍(本)の表表紙と裏表紙に相当する構成をとっている。そして、書籍の中身に相当するのが、ディスプレイ手段あるいは情報入力手段等である。
このような構成の本発明において、外側カバー60の内側部分、すなわち、外側カバー60のディスプレイ手段あるいは情報入力手段等と向かい合う面は、弾力性を持たせた構造としている。すなわち、外側カバー60の内側部分にシート状スポンジを配したり、羅紗部材、フェルト部材などを配したりして、ディスプレイ手段あるいは情報入力手段等と接する外側カバー60の内側部分を、衝撃吸収可能な弾力ある構成あるいはやわらかい部材としている。
これにより、多少の外力、衝撃があっても、その部分で衝撃を吸収できるので、内部の、高度技術によって実現されている各電子/非電子ディスプレイ手段群、あるいは情報入力手段等が破損するといった事故を回避することができる。
なお、外側カバー60を図13に示したような構成とした場合、衝撃吸収層69の部分が、ディスプレイ手段あるいは情報入力手段等と向かい合う面とされるが、弾性、衝撃吸収力を阻害しない程度のシート(外装体74に相当)が、間に存在してもいいのはいうまでもない。
次に、本発明の他の特徴について説明する。前述のように、本発明は、電子的なディスプレイ手段と紙をはじめとした各種非電子ディスプレイ手段の混合群である複合ディスプレイユニットであるが、このような電子的なディスプレイ手段に電力を供給する構成について説明する。
本発明の複合ディスプレイユニットは、本来の趣旨(表示機能あるいは書き込み機能)からいえば、ディスプレイ手段65を上記のように積層したものをバインダー62によって保持すれば一応機能する。しかしながら、本発明では、図9に示すように、内容物であるディスプレイ手段65をバインダー62によって保持するとともに、外側カバー60によって覆っている。これは高価な電子的なディスプレイ手段である内容物を保護するためのものであるが、本発明においては、この外側カバー60に内容物を保護する以上の機能を持たせている。すなわち、電子的なディスプレイ手段に電力供給手段としての機能である。
具体的には、本発明においては、外側カバー60をシート状構成としたバッテリーとしている。より具体的には、ポリマー電解質電池が好適に用いることができる。以下、その構造の1例について図14から図16を用いて説明する。
図14において、70はゲル状ポリマー電解質保持正極ユニットで、72はゲル状ポリマー電解質保持負極ユニットである。上記ゲル状ポリマー電解質保持正極ユニット70は、図15に示すように、正極75を袋状の支持体77に収容し、正極75と支持体77とを一体化した後、ゲル化成分含有電解液を含浸させ、その状態で紫外線を照射してモノマー成分を重合するとともに電解液をゲル化してゲル状ポリマー電解質76にすることにより構成されたものである。
ただし、図15は、ゲル状ポリマー電解質保持正極ユニット70を模式的に示すもので、ゲル状ポリマー電解質76が支持体77の周囲に形成されているかのように図示されているが、実際には、正極ユニットへのゲル化成分含有電解液の含浸時に上記ゲル化成分含有電解液が多孔質の不織布で構成される支持体の内部に侵入し、さらに、正極の内部の空孔部分にも侵入し、そこで重合とゲル化が行われてゲル状ポリマー電解質になっている。しかし、その部分のゲル状ポリマー電解質は図示しがたいので、図15においては図示していない。
また、ゲル状ポリマー電解質保持負極ユニット72は、図16に示すように、負極78を袋状の支持体77に収容し、負極78と支持体77とを一体化した後、ゲル化成分含有電解液を含浸させ、モノマー成分を重合するとともにゲル化してゲル状ポリマー電解質76とすることによって構成されたものであり、このゲル状ポリマー電解質保持負極ユニット72におけるゲル状ポリマー電解質76の形成態様も上記ゲル状ポリマー電解質保持正極ユニット70に関連して説明した場合と同様である。
図14において、74は上記ラミネートフィルムからなる外装体であり、この外装体74で上記ゲル状ポリマー電解質保持正極ユニット70とゲル状ポリマー電解質保持負極ユニット72とを積層して構成したユニットセルを外装しており、上記ゲル状ポリマー電解質保持正極ユニット70の正極75のリード部と正極端子71とは溶接によって接続され、ゲル状ポリマー電解質保持負極ユニット72の負極のリード部と負極端子73とは溶接によって接続され、正極端子71の自由端側と負極端子73の自由端側が外装体74の外部に引き出されて電池が構成されている。
以下、具体的な実施例を説明する。この例では、正極,負極ともあらかじめ支持体となる不織布で包んで電極と支持体とを一体化しておき、そのリード部に熱剥離シートを貼着してから、そのそれぞれにゲル化成分含有電解液を含浸させ、ゲル化してゲル状ポリマー電解質にする。まず、電極と支持体とを一体化して電極ユニット(つまり、電極と支持体との一体化物)とする工程から説明する。
正極ユニットの作製:
支持体としては、厚さ30μm、坪量12g/m2のポリブチレンテレフタレート不織布〔NKK社製、MB1230(商品名)〕を用い、これを200mm×320mmに切断した。
上記正極のリード部に熱剥離シート〔日東電工(株)製のリバアルファ(商品名)〕を貼着した後、この正極を上記ポリブチレンテレフタレート不織布の長さ方向の中央部より左側の部分に載置し、右側の部分を折り返して正極を覆った後、その幅方向の両側部を熱融着器(商品名:ポリシーラー、富士インパルス(株)製)でシールして支持体としてのポリブチレンテレフタレート不織布を袋状にし、両者を密接させて正極と支持体とを一体化して正極ユニットとした。
負極ユニットの作製:
上記負極のリード部に正極の場合と同様の熱剥離シートを貼着した後、この負極を正極の場合と同様の袋状のポリブチレンテレフタレート不織布に収容し、両者を密接させて負極と支持体とを一体化して負極ユニットとした。
上記正極ユニットおよび負極ユニットをそれぞれ前記ゲル化成分含有電解液に減圧下で1分間浸漬して正極ユニットおよび負極ユニットにゲル化成分含有電解液を含浸させた後、それぞれをポリエチレン製の袋に入れ、密閉した。
つぎに、上記電極ユニット入りのポリエチレン製袋の両面から、フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製の紫外線照射装置を用いて、紫外線を1.2W/cm2の照度で8秒間照射し、電解液中のモノマー成分を重合させるとともに、電解液をゲル化してゲル状ポリマー電解質にした。
上記のように、ゲル化してゲル状ポリマー電解質を保持させた正極ユニットおよび負極ユニットを袋から取り出し、そのリード部に140℃〜160℃の熱風を吹きつけることによって熱剥離シートをリード部から剥がした後、上記のゲル状ポリマー電解質保持正極ユニットとゲル状ポリマー電解質保持負極ユニットとを積層してユニットセルとし、それをポリエステルフィルム−アルミニウムフィルム−変性ポリオレフィンフィルムの三層構造のラミネートフィルムからなる外装体で外装して密閉することによりポリマー電解質電池を作製した。このようにポリマー電解質電池では、電解質をシート状にすることができ、それによって、例えば、A5版〜A3版などの大面積でしかも薄形の電池の作製が可能になる。このようなポリマー電解質を用いた電池は、耐漏液性を含めた安全性、貯蔵性が優れている。このポリマー電解質電池は、通常、アルミニウムフィルムを芯材にしたラミネートフィルムを外装体に用い、薄いシート状の電極とシート状のポリマー電解質層とを積層したユニットセルを上記外装体で外装して密閉することによって、薄形電池に仕上げられる。さらに薄く、また可撓性のあるフレキシブルなものとすることができるので、機器の形状に合わせた電池を設計できる。よって、本発明のような電子的なディスプレイ手段を積層し、ブック状にしたものの外側カバー60として好適に適用でき、カバーと電力供給を兼ね備えた構成とすることができる。
なお、このシート状構成としたバッテリーは、ブック状のカバーの表表紙、背表紙、裏表紙部分を連続した1枚のシート状としてもよいし、表表紙、背表紙、裏表紙部分でそれぞれ別々の独立したシート状としてもよい。また、さらに、もっと小さい領域で分割したシート状としてもよい。
ところで、このようなシート状構成としたバッテリーは、前述のように、カバー等と兼用の構成とすることができるが、本発明では必ずしも兼用することに限定されるものではない。このようなバッテリーは薄くシート状構成をとることができるので、本発明の各種ディスプレイ手段65と同等の外観形状、あるいは保持手段との取り付け部分を互換性のある形状とし、各種ディスプレイ手段65と同様に着脱可能とした構成としてもよい。
さらに、このようなシート状構成としたバッテリーは前述の各種の電子ディスプレイ手段と組み合わせ一体的に形成する、すなわち、各種の電子ディスプレイ手段に搭載し、それらと一緒に着脱可能としてもよい。このような構成とした場合は、各種の電子ディスプレイ手段は個別に電力供給手段を保有するので、本発明の複合ディスプレイユニットからはずしても1つの電子ディスプレイ手段単体として機能することができる。
なお、これらの電子ディスプレイ手段への電力供給手段は、シート状ポリマーバッテリーに限定されるものではなく、リチウムイオン電池等であってもよいことはいうまでもない。
次に、本発明のさらに他の特徴について説明する。ここでは、電子的なディスプレイ手段に電力を供給する他の構成として、ソーラーバッテリーの一例として有機太陽電池を用いる例を説明する。
図17は、本発明の電子的なディスプレイ手段に電力を供給するのに好適なシート状あるいは板状構成が実現できる有機太陽電池の一実施例の構成を示す模式断面図である。ここで、有機太陽電池80は、光が入射する側から、光を透過する部材として例えばガラス板または樹脂フィルム81、透明導電層(透明電極層)82、二酸化チタンコロイド発電層83、白金ペースト電極層84、フレキシブル反射性基材層85が、順に積層され、さらに前記フレキシブル反射性基材層85の背面側から、シール用積層フィルム86を重ねて、中間層の二酸化チタンコロイド発電層83、白金ペースト電極層84、フレキシブル反射性基材層85の積層体を包み込むようにして、その周縁部で前記ガラス板または樹脂フィルムの透明導電層82の積層面に熱シールするとともに、透明導電層(透明電極層)82、および、その対向電極となる白金ペースト電極84から、それぞれ電極リード87、87を外側に延長した構成である。
このような構成の有機太陽電池の具体的な製造方法としては、例えば、ガラス板または樹脂シート81と透明導電層82との積層体として、ガラス板またはETFE樹脂シートに酸化スズ(SnO2)層をスパッタリングして薄膜層を形成した積層体を作製し、必要に応じて、そのSnO2層をレーザ光照射により、所望の大きさに周囲を取り除いてパターニングする。
そして、上記とは別に、中間層の二酸化チタンコロイド発電層83と白金ペースト電極層84とフレキシブル反射性基材層85の積層体を、例えば、アルミニウム箔をフレキシブル反射性基材層85として、その上に白金ペースト電極層84と二酸化チタンコロイド発電層83とをグラビアリバースロールコーターで順次塗布、乾燥して作製する。
次に、上記中間層の積層体を、色素増感剤、例えば、ルテニウム触媒を分散させたアルコール液に浸漬した後、乾燥して二酸化チタンコロイド発電層にルテニウム触媒を担持させ、また、この積層体のアルミニウム箔層に所定の間隔で小孔を開孔させるとともに、必要に応じて前記パターニングしたSnO2層の大きさにカットして、その二酸化チタンコロイド発電層面が、前記ガラス板またはETFE樹脂シートのパターニングしたSnO2層面に接するように重ね合わせて加熱(熱処理)する。この時、両側の電極、即ち、SnO2層および白金ペースト電極層に電極リード87を加工し、また、両者の端面部をスポット状に接着剤で接合することができる。
次いで、上記積層体の背面、すなわち、アルミニウム箔層面に、別に用意したシール用積層フィルム、例えば、PETフィルム/アルミニウム箔/PETフィルム/エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂層(シーラント層)の積層フィルムを重ねて、中間層の積層体を包み込むようにして、その周囲をガラス板またはETFE樹脂シート側にシールすることにより、有機太陽電池80を製造することができる。
このようにして製造された有機太陽電池80は、シート状あるいは板状構成であるので、図9あるいは図12に示した外側カバー60のかわりにこの有機太陽電池80を用いることにより、電力供給手段を兼ね備えた複合ディスプレイユニットを実現できる。
図18は、本発明の各種電子ディスプレイ手段に電力を供給する蓄電池と有機太陽電池のシステム構成図であり、有機太陽電池80と、蓄電池ユニット92と、各種電子ディスプレイ手段93により構成される。蓄電池ユニット92には蓄電池91と制御ユニット90がある。昼間の太陽の自然光あるいは蛍光灯などにより有機太陽電池80の発電で電力を蓄電池91に充電し、そこから電力を取り出し、各種電子ディスプレイ手段93に供給するものである。悪天侯などで有機太陽電池80による蓄電池91の充電ができない日が数日間つづいてもよいように、蓄電池91の容量を選定される。
なお、以上の説明は、ソーラーバッテリーとしてロールコーターで大面積に製作できる有機太陽電池の例をあげたが、発電効率(エネルギー変換効率)を優先して考えた場合は、スパッタリングによって製作されるアモルファスシリコン太陽電池(エネルギー変換効率:約7%)を使用するのがよい。
また、このソーラーバッテリーは、現状の発電効率を考慮する(7%以下)とできるだけ広い面積構成とするのが好ましい。例えば、外側カバー60の全面をこのソーラーバッテリーで構成するのもよい考えである。
一方で、デザイン上の制約から外側カバー60の部分的にこのソーラーバッテリーを設けるようにしてもよい。
なお、このようなソーラーバッテリーも、前述のポリマーバッテリーと同様に、シート状構成、あるいは板状構成とすることができるので、本発明の各種ディスプレイ手段65と同等の外観形状あるいは保持手段との取り付け部分を互換性のある形状とし、各種ディスプレイ手段65と同様に着脱可能とした構成としてもよいことはいうまでもない。
他に、全ての電力を有機太陽電池80によってまかなうのではなく、前述のようなポリマーバッテリーやリチウムイオン電池等、あるいは燃料電池と組み合せたり、家庭用のAC100V電源からも電力供給できるようにした、すなわち、複数種類の電力供給源を有するいわゆるハイブリッド構成の電力供給システムとするのもよい方法である。それにより、仮にソーラーバッテリーが十分な電力供給能力がないような状況、例えば、薄暗い場所における長時間使用といった状況においても、ポリマーバッテリーで電力供給を行ったり、燃料電池から電力供給を行ったりすることによって補完でき、快適に使用することができる。
また、家庭用のAC100V電源を使用してもよいし、場合によっては車のバッテリーからDC12VあるいはDC24Vの供給を受けて使用できるような構成とするのもモバイル機器として位置づけられる本発明の複合ディスプレイユニットの好ましい実施形態である。
以上の説明より明らかなように、本発明では、各種電子/非電子ディスプレイ手段、各種動画/静止画表示が可能なディスプレイ手段、各種カラー/モノクロ表示が可能なディスプレイ手段を積層、保持してなるディスプレイユニットである。そして、それぞれ、カラー表示を必要とする場合、モノクロ表示で充分な場合、動画表示を必要とする場合、静止画表示で充分な場合、さらには、書き込みを必要とする場合といった用途に応じたディスプレイ手段あるいは書き込みならびにその書き込み後の情報のディスプレイ手段としてそれぞれの特性に応じて効果的に活用できるという利点がある。
1…基板、2…第1電極、3…電荷輸送性着色層、4…発光層、5…第2電極、6…赤色電荷輸送性着色層、7…緑色電荷輸送性着色層、8…青色電荷輸送性着色層、10…信号電極側基板、11…透光性基板、12…反射層(光反射層)、13…光散乱層(透光性樹脂層)、14…光散乱粒子、15…信号電極(液晶駆動用電極)、16…液晶配向膜、17…液晶材料、18…スペーサー、19…シール樹脂層、20…走査電極側基板、21…透光性基板、22…走査電極、23…液晶配向膜、27…偏光位相差板、30…液晶表示素子(反射型液晶表示素子)、31…反射用光源、40…基板、41…電気光学ディスプレイ、42…電極、44…非線形バックプレーン、46…電極、47…マイクロカプセル、48…レーン、49…電極、50…レーン、51…着色粒子、52…染料添加懸濁流体、53…懸濁流体、54…電荷を有する着色粒子、55…非電荷粒子、56…別の色にした粒子、60…外側カバー、61…カバー留め具、62(62a、62b)…バインダー、62c…バインダー留め部c、62d…バインダー留め部d、63…回転部、64…ピン、65…ディスプレイ手段、66…穴、67…キーボード、68…支持基体、69…衝撃吸収層、70…ゲル状ポリマー電解質保持正極ユニット、71…正極端子、72…ゲル状ポリマー電解質保持負極ユニット、73…負極端子、74…外装体、75…正極、76…ゲル状ポリマー電解質、77…支持体、78…負極、80…有機太陽電池、81…ガラス板または樹脂フィルム、82…透明導電層(透明電極)、83…二酸化チタンコロイド発電層、84…白金ペースト電極層、85…フレキシブル反射性基材層、86…シール用積層フィルム、87…電極リード、90…制御ユニット、91…蓄電池、92…蓄電池ユニット、93…各種電子ディスプレイ手段。