JP2006206521A - 一酸化窒素供与体としてのn−ニトロソアミン化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】平滑筋弛緩作用剤である7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンN−ニトロソアミン類の合成方法、および医薬組成物の提供。
【解決手段】式(I)の化合物:

[式中、RおよびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル; R、R、RおよびRは、水素原子、アルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、およびカルバモイル;1位の窒素原子は、アルキル基またはアリール基; X、X、XおよびXは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、およびカルバモイルから選択される]またはその医薬的に許容な塩を含む医薬組成物が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、一酸化窒素供与体として有用であるN−ニトロソアミン化合物、および当該N−ニトロソ化合物を含む医薬組成物に関する。
一酸化窒素(以下、「NO」とも称する)は、生体内の一酸化窒素合成酵素(以下、「NOS」とも称する)によってアルギニンから生合成される。NOは生体内の種々の生理活性発現に関与することが知られており、例えば、循環器系疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患、炎症、糖尿病、癌などの様々な病態にも関連することが近年の研究により明らかとなっている(非特許文献1)。
生体内で生成するNOのうち、血管内皮細胞に発現するNOS(内皮型NOS、以下、「eNOS」とも称する)により合成されるNOは、血管の弛緩、血管壁を構成する血管平滑筋細胞の細胞増殖抑制、および内皮細胞表面への血液成分の接着などに寄与し、血管内皮細胞の機能に深く関わっている。古くから虚血性心疾患治療および予防のための医薬品として使用されているニトログリセリンや硝酸イソソルビドなどの硝酸薬は、生体内で代謝されて一酸化窒素を生成するNO供与体として作用し、このNOの作用により血管平滑筋の弛緩による心臓前負荷の軽減および冠動脈拡張による心筋への血流増大などの薬効を発現すると考えられている。
しかし、硝酸薬は長期使用により耐性が生じるという問題点を有している。この耐性発現の機構を十分に説明するための知見は、これまでのところ得られていないが、硝酸薬が分解されて生じるNOをNOに変換する酵素の活性の低下が耐性の発現に関与しているとの報告も近年されている(非特許文献2)。
一方、新たな一酸化窒素供与体として作用する化合物に関する研究のなされており、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有するN−ニトロソアミン類の合成について報告がされている(非特許文献3)。これらの化合物は、生体内でまずNOを生成し、NOが生体内に存在するシステイン残基を有するペプチドなどと反応してS−ニトロソチオールとなり、その後のホモリティックなS−N結合の開裂によりNOが生成すると考えられている(非特許文献3)。このため、既存の硝酸薬とは異なる非酵素的な機構の一酸化窒素供与体として、疾患の治療または予防に利用できる可能性がある。しかしながら、これらの化合物の生理活性についてはこれまで何らの報告もされていなかった。
Pharmacological Reviews、第43巻、第2号、第109−42頁、1991年 Lancet、第359巻、第2006頁、2002年 有機合成化学協会誌、第61巻、第1号、第45−57頁、2003年
既存の硝酸薬は、上述したとおり耐性の問題を有するほか、取り扱い性や生体内でのNO発生量の制御性について問題を有している。従って、医薬品としてより好ましい特性を有する一酸化窒素供与体が求められている。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究を進めたところ、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有するN−ニトロソアミン類が優れた生理活性を有することを発見して本発明を完成させた。
本発明の目的は、生理活性、特に平滑筋弛緩作用を有し、医薬品として有用である7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格のN−ニトロソアミン類を提供することである。さらに本発明の目的は、当該化合物を含む医薬組成物を提供することである。
すなわち本発明の一つの側面によれば、式(I)の化合物:
[式中、RおよびRは、各々独立に、水素原子またはC1−6アルキルから選択され;
、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−6アルコキシカルボニル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイルおよびジC1−6アルキルカルバモイルから選択され;または、RおよびR、RおよびRは、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって、ピロリジン−2,5−ジオン環を形成してもよく、ここで当該環の1位の窒素原子は、C1−6アルキルまたはアリールにより置換されていてもよく、ここでアリールは、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびヒドロキシから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
、X、XおよびXは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−6アルコキシカルボニル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイルおよびジC1−6アルキルカルバモイルから選択され、
ここで、上記のC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルバモイルおよびジC1−6アルキルカルバモイルのアルキル部分は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルコキシ、アミノC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルコキシ、カルボキシ、シアノおよびハロゲン原子から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい]
またはその医薬的に許容な塩を含む医薬組成物が提供される。当該医薬組成物は、特に限定はされないが、例えば、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、勃起不全,動脈硬化症、血栓塞栓症、認知症、気管支喘息、免疫不全、排尿障害から選択される疾患の予防または治療に使用されてもよく、好ましくは狭心症の治療または予防に使用されうる。
式(I)において、RおよびRが、それぞれが結合する炭素原子と一緒になってピロリジン−2,5−ジオン環を形成する場合、式(I)の化合物には、例えば以下の式で表される化合物:
[式中、Yは、水素原子、アリール、またはメチルなどのC1−6アルキルである]
が含まれる。ここで好ましくは、Yはフェニルまたはメチルである。
本発明の別の側面によれば、血管平滑筋弛緩作用を有する、上記式(I)の化合物またはその医薬的に許容な塩が提供される。
本発明のさらに別の側面によれれば、式(II)の化合物:
[式中、R11、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、およびヒドロキシから選択され、但し、R11、R12、R13およびR14のうちの少なくとの1つはヒドロキシであり;
11およびX12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、およびヒドロキシから選択される]
またはその医薬的に許容な塩が提供される。本発明の一つの実施態様において、式(II)のR11、R12、R13およびR14のうち、好ましくはR11およびR12のいずれかがヒドロキシ基であり、他方ならびにR13およびR14は水素原子である。本発明の別の実施態様において、式(II)のR11、R12、R13およびR14のうち、好ましくはR13およびR14がC1−6ハロアルキル(好ましくはトリフルオロメチル)であり、R11およびR12は水素原子である。
本発明のさらに別の側面によれば、上記式(II)の化合物またはその医薬的に許容な塩を含む医薬組成物が提供される。当該医薬組成物は、特に限定はされないが、例えば、高血圧症、狭心症を含む虚血性心疾患、心筋梗塞、勃起不全,動脈硬化症、血栓塞栓症、認知症、気管支喘息、免疫不全、排尿障害から選択される疾患の治療または予防のために使用されてもよく、好ましくは狭心症の治療または予防に使用されうる。
本発明のさらに別の側面によれば、
a) 式(III)のベンザイン:
[式中、X21およびX22は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシから選択される]
および式(IV)のピロール:
[式中、R21およびR22は、各々独立に、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、およびヒドロキシから選択され、Pは水素原子または保護基である]
を反応させ、式(V)の化合物:
[式中、X21、X22、R21、R22およびPは、既に定義したとおりである]
を得る工程;
b) 式(V)の化合物を、式(VI)の化合物:
[式中、X21、X22およびPは、既に定義したとおりであり;
23、R24、R25およびR26は、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、およびヒドロキシから選択され、但し、R23、R24、R25およびR26のうちの少なくとの1つはヒドロキシである]
に変換する工程;および
c)式(VI)の化合物のPが保護基の場合は脱保護を行った後に、N−ニトロソ化を行う工程
を含む、上記式(II)の化合物の製造方法が提供される。ここで、式(III)のベンザインは、本発明が属する技術分野の当業者に既知の方法により、反応系中で生成することができ、例えば式(IIIa)のアントラニル酸:
を亜硝酸アミルなどで処理することにより得られるジアゾニウム塩の脱炭酸を伴う分解により、または式(IIIb)のフルオロブロモベンゼン:
をマグネシウムで処理することにより調製することができる。
本発明の製造方法において、式(IV)のPとして使用されうる保護基には、例えば、アセチルなどのC1−6アルキルカルボニル、t−ブトキシカルボニルなどのC1−6アルコキシカルボニル、ベンゾイルなどのアリールカルボニル、フェニルアセチルなどのアラルキルカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどのアラルキルオキシカルボニル、t−ブチルジメチルシリルなどのトリC1−6アルキルシリル、ジメチル(フェニル)シリルなどのジC1−6アルキル(アリール)シリル、およびベンジルなどのアラルキルなどが含まれる。
本明細書において「C1−6アルキル」とは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状、環状または部分的に環状のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3−エチルブチル、および2−エチルブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロプロピルメチルなどが含まれる。好ましいC1−6アルキル基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜3のものが挙げられ、メチル、エチルが特に好ましい。
本明細書において「C1−6アルコキシ」とは、アルキル部分として既に定義した炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルオキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、3−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、1−メチルブトキシ、1−エチルプロポキシ、n−ヘキシルオキシ、4−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−メチルペントキシ、1−メチルペントキシ、3−エチルブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロプロピルメチルオキシなどが含まれる。
本明細書において「アラルキル」とはアリール基を含む炭素数が7〜14のアリールアルキル基を意味し、例えば、ベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチルなどが含まれる。
本明細書において「アリール」とは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を有するアリール基を意味し、例えば、フェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチルなどが含まれる。
本明細書において「C1−6アルキルアミノ」とは、アルキル部分として既に定義したC1−6アルキル基を有するアルキルアミノ基を意味し、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、i−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、s−ブチルアミノ、i−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、3−メチルブチルアミノ、2−メチルブチルアミノ、1−メチルブチルアミノ、1−エチルプロピルアミノ、n−ヘキシルアミノ、4−メチルペンチルアミノ、3−メチルペンチルアミノ、2−メチルペンチルアミノ、1−メチルペンチルアミノ、3−エチルブチルアミノ、2−エチルブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、およびシクロプロピルメチルアミノなどが含まれる。
本明細書において「ジ(C1−6アルキル)アミノ」とは、2つのアルキル部分として既に定義したC1−6アルキル基を有するジアルキルアミノ基を意味し、当該2つのアルキル部分は同一でも異なっていてもよい。当該「ジ(C1−6アルキル)アミノ」には、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn−プロピルアミノ、ジi−プロピルアミノ、ジn−ブチルアミノ、メチル−n−ブチルアミノ、メチル−s−ブチルアミノ、メチル−i−ブチルアミノ、メチル−t−ブチルアミノ、エチル−n−ブチルアミノ、エチル−s−ブチルアミノ、エチル−i−ブチルアミノ、エチル−t−ブチルアミノ、およびシクロプロピルメチル−メチルアミノなどが含まれる。
1−6アルコキシカルボニルとしては、アルキル部分として既に定義したC1−6アルキル基を有するアルキルオキシカルボニル基を意味し、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。アラルキルオキシカルボニル基としては、炭素数7〜14の基、例えばベンジルオキシカルボニル基、ナフチルメチルオキシカルボニル基などが挙げられる。
本明細書においてハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などが挙げられる。
本明細書において「C1−6ハロアルキル」とは、アルキル部分として既に定義したC1−6アルキル基を有する、1以上のハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のハロアルキル基を意味し、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチルなどが含まれる。好ましいC1−6ハロアルキル基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜3のものが挙げられ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルまたはペンタフルオロエチルなどが特に好ましい。
上記のC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルバモイルおよびジC1−6アルキルカルバモイルのアルキル部分は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルコキシ、アミノC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルコキシ、カルボキシ、シアノおよびハロゲン原子から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。置換アルキルの例としては、トリフルオロメチルなどのトリハロC1−6アルキル(好ましくは、トリハロメチル)、ジフルオロメチルなどのジハロC1−6アルキル(好ましくは、ジハロメチル)、C1−6アルキル(好ましくは、モノハロメチル)が挙げられる。
上記式(I)および式(II)の化合物には、互変異性体、幾何異性体、光学異性体等の各種の立体異性体、およびそれらの混合物が含まれる。
本明細書における「医薬的に許容な塩」とは、医薬品として使用されうる塩であれば特に限定されない。当該塩は、酸付加塩であってもよく、また置換基の種類によっては塩基との塩を形成する場合もある。かかる塩としては、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との酸付加塩が挙げられる。また、塩基と形成する塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基との塩;メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン等の有機塩基との塩;リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩およびアンモニウム塩が挙げられる。
更に、本発明化合物には、水和物、製薬学的に許容可能な各種溶媒和物や結晶多形等も含まれる。
式(I)の化合物の一部のものは、例えば、有機合成化学協会誌、第61巻、第1号、第45−57頁(2003年)に開示された方法により、または当該方法に準じて合成することができる。また、式(II)の化合物は、例えば、以下のスキームに示す工程により合成することができる。
[式中、X21、X22、R21、R22、R25、R26およびPは、既に定義したとおりである]
1)ジアゾ化
スキームに示すアントラニル酸誘導体を、塩酸存在下、亜硝酸イソアミル、亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸エステルまたは亜硝酸塩と反応させ、対応するジアゾニウム塩に誘導することができる。本工程のジアゾ化は、例えばエタノールなどの低級アルコール、含水アルコール、または水を溶媒として、-5〜30℃、好ましくは0〜5℃の反応温度、および30〜120分、好ましくは60〜120分の反応時間で行うことができる。生成するジアゾニウム塩は単離することもできるが、単離することなく次の工程に使用することもできる。
2)ディールス・アルダー反応
前記ジアゾニウム塩を分解することにより、求ジエン剤であるベンザインを反応系中で調製することができる。当該ベンザインとピロールによるディールス・アルダー反応により、ベンゼン環が縮合した7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプテン誘導体を得ることができる。ジアゾニウム塩を単離しない場合は、アントラニル酸誘導体の溶液(例えば塩化メチレン溶液またはクロロホルム溶液)、および亜硝酸イソアミル等のニトロソ化試薬の溶液(例えばアセトニトリル溶液)を、N−保護ピロール誘導体(例えばN−t−ブトキシカルボニル(Boc)ピロール誘導体)の溶液(例えばアセトニトリル溶液)に、0〜30℃、好ましくは0℃で同時に10分〜30分で滴下し、徐々に加温して2時間〜3時間還流することにより、目的のベンゼン環が縮合した7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプテン誘導体の7位N−保護誘導体を得ることができる。好ましくは本反応は、アントラニル酸誘導体の溶液およびニトロソ化試薬の溶液の滴下後、冷却をやめ室温まで温度を上げ、その後50℃に加熱して90分反応させさらに70〜80℃に昇温して90分加熱することにより行うことができる。
ジアゾニウム塩を単離する場合は、ジアゾニウム塩とN−保護ピロール誘導体(例えばN−t−ブトキシカルボニル(Boc)ピロール誘導体)をハロゲン系溶媒、好ましくはエチレンジクロライドに分散させ、プロピオンオキサイドなどを添加物として用いてゆっくりと加熱し、発生する窒素ガスが激しすぎないように加熱を調節し、ガス発生がやんでからさらに約1時間還流することにより、目的のベンゼン環が縮合した7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプテン誘導体の7位N−保護誘導体が得られる。
3)ヒドロホウ素化および酸化
前記7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプテン誘導体をヒドロホウ素化およびその後の酸化に付すことにより、二重結合にヒドロキシ基を導入することができる。ここでヒドロホウ素化は、ボランメチルスフィド錯体、ボランテトラヒドロフラン錯体および9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(以下、「9−BBN」とも称す)などのホウ素試薬を用いて、THFまたはエーテルなどの溶媒中で、0〜35℃、好ましくは25℃の反応温度、および1〜24時間の反応時間で行うことができる。
またその後の酸化反応は、水酸化ナトリウムなどの添加によるアルカリ条件下で、過酸化水素などを使用して、THFまたはエーテルなどの溶媒中で、0〜30℃、好ましくは25℃の反応温度、および1時間〜10時間、好ましくは5〜6時間の反応時間で行うことができる。
4)脱保護
脱保護は、当該技術分野の当業者により知られた反応条件により行うことができる。例えば、保護基Pがt−ブトキシカルボニル基である場合は、ギ酸、酢酸またはトリフルオロ酢酸などの有機酸、または塩酸などの無機酸を使用して、保護基を除去することができる。
5)ニトロソ化
上記脱保護により得られる7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体のニトロソ化は、例えば亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩を使用して、酢酸、トリフルオロ酢酸などを用い、水を溶媒として使用して、0〜5℃の反応温度、および30〜120分の反応時間で行うことができる。
また、式(II)の化合物は、例えば、以下のスキームに示す工程により合成することができる。
[式中、R31およびR32は、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、およびC1−6アルコキシから選択され、但し、R31およびR32のいずれか一方はC1−6ハロアルキルであり;X31およびX32は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、およびヒドロキシから選択され;Pは保護基である]
1)フタルイミド誘導体の還元によるイソインドール誘導体の合成
上記スキームに示すフタルイミド誘導体を、適切な溶媒中(例えば、THF−MeOH混合溶媒、エーテルメタノール混合溶媒)中で、還元剤(たとえば水素化リチウムアルミニウム)を使用して還元することにより、イソインドール誘導体が得られる。当該反応は、-78〜0℃、好ましくは−30〜−25℃の反応温度、および1〜2時間の反応時間で行うことができる。例えば、THF−MeOH混合溶媒を使用する場合、その最終混合比はTHF:MeOH=20:1〜15:1である。
2)ディールス・アルダー反応
前記イソインドール誘導体とアルキンとのディールス・アルダー反応により、ベンゼン環が縮合した7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプテン誘導体を得ることができる。当該反応は、-78〜0℃、好ましくは−30〜−25℃の反応温度、および2〜6時間の反応時間で行うことができる。ここで得られる7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプテン誘導体を、スキーム1に述べたヒドロホウ素化およびその後の酸化に付すことにより、分子内に水酸基を導入することもできる。
4)脱保護
脱保護は、当該技術分野の当業者により知られた反応条件により行うことができる。例えば、保護基Pがt−ブトキシカルボニル基である場合は、ギ酸、酢酸またはトリフルオロ酢酸などの有機酸、または塩酸などの無機酸を使用して、また保護基がベンジル基の場合は、NBSなどのハロゲン化剤を使用して、保護基を除去することができる。
5)ニトロソ化
上記脱保護により得られる7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体のニトロソ化は、例えば亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩を使用して、酢酸、トリフルオロ酢酸などを用い、水を溶媒として使用して、0〜5℃の反応温度、および30〜120分の反応時間で行うことができる。
本発明の医薬組成物は、種々の剤形、例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁液、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができ、非経口剤としては、例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤などの注射剤;経皮投与または貼付剤、軟膏またはローション;口腔内投与のための舌下剤、口腔貼付剤;ならびに経鼻投与のためのエアゾール剤とすることができるが、これらには限定されない。これらの製剤は、製剤工程において通常用いられる公知の方法により製造することができる。
当該医薬組成物は、一般に用いられる各種成分を含みうるものであり、例えば、1種以上の薬学的に許容され得る賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、コーティング剤等を含みうる。また本発明の医薬組成物は、持続性または徐放性剤形であってもよい。
本発明の医薬組成物の投与量は、投与経路、患者の体型、年齢、体調、疾患の度合い、発症後の経過時間等により、適宜選択することができ、本発明の医薬組成物は、治療有効量および/または予防有効量の上記式(I)または式(II)の化合物を含むことができる。本発明において上記式(I)または式(II)の化合物は、一般に30〜5000mg/日/成人、好ましくは30〜100mg/日/成人の用量で使用されうる。当該医薬組成物の投与は、単回投与または複数回投与であってもよく、例えば他の虚血性心疾患治療薬(狭心症治療薬)、降圧剤(β受容体遮薬、カルシウムチャネル遮断薬、ACE阻害薬、アンジオテンシンII拮抗薬、利尿薬など)、抗脂血症薬、抗糖尿病薬などの他の薬剤と組み合わせて使用することもできる。
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:N−ニトロソ−6−ニトロベンゾ−9−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エキソ−オール(化合物1)の製造
[工程1]
75mLのエタノール中に分散した5.0g(27.5mmol)の5−ニトロアントラニル酸に、0℃でゆっくり2.75mLの濃塩酸を滴下した。結果的に得られた溶液を0℃以下に保ちながら、5.5mLの亜硝酸イソアミルをゆっくり(15分)かけて滴下した。得られた反応溶液を0℃にて1時間撹拌後、85mLのエーテルを加えて、溶液を0℃で1時間保存したところ、淡褐色沈殿が析出した。沈殿(生成物)をエーテルで洗浄し、室温で真空下乾燥し、目的のジアゾニウム塩(1−1)を得た(収量3.24g、収率51%)。
[工程2]
ジアゾニウム塩(1−1)(3.74g、16.3mmol)、N−Boc−ピロール(2.72g、16.3mmol)およびプロピレンオキシド(3mL)をエチレンジクロライド(25mL)に懸濁させ、徐々に加熱したところ、窒素ガスの発生を確認した。泡が吹き出さないように温度を調節し(ゆっくり温度を上げる)、ガス発生から10分後に全てが溶解した溶液を得た。1時間反応液を加熱還流し多後に、溶媒を減圧下留去し、褐色溶液を得た。当該溶液にエーテルを加え、有機層を水酸化ナトリウム水溶液および水
で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒をエバポレ−ションして、残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:EtO:n−ヘキサン=1:3、その後1:2)に付して目的物(1−2)を赤褐色の油状物として得た(871mg、収率19%)。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:8.06(1H,d,J=2.02Hz),7.97−7.94(1H,dd,J=7.88Hz,2.02Hz),7.37(1H,d,7.88Hz),7.01(2H,d,J=16.3Hz),5.58(2H,s),1.38(9H,s)。
[工程3]
工程2の目的物(1−2)(2.80g、9.72mmol)のTHF溶液(5mL)に9−BBNの0.4MTHF溶液(29.16mL)をアルゴン雰囲気下25℃で加え、反応液を25℃で24時間撹拌した。0℃に冷却し、35%過酸化水素水溶液(12.2mL)を滴下し、ついで2M水酸化ナトリウム水溶液(16.5mL)を滴下した。反応液を25℃に徐々に昇温し、その後6時間撹拌した。反応液に炭酸カリウムを飽和するまで加えて中和し、エーテルで抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで脱水し、有機溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtO:n−ヘキサン=3:2〜EtOのみに徐々に交換)に付して、原料回収とともに目的物(1−3)を油状物として得た(258mg)。目的物のヒドロキシ基は3−エキソ選択的に導入されていた。
H−NMR(CDCl,400MHz)8.15−8.14(1H,m),8.12−8.10(1H,m),7.37−7.35(1H.m),5.22−5.21(1H,br m),5.11(1H,br s),1.97−1.87(1H,m),1.39(9H,s),1.26−1.21(1H,m)。
[工程4]
化合物1−3(258mg、0.85mmol)をギ酸(3mL)に溶解した。アルゴン雰囲気下反応液を室温で8時間撹拌した。ギ酸をエバポレーションして、塩化メチレンに溶かして10%炭酸ナトリウム水溶液で振り分け、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水して、有機溶媒をエバポレーションして、粗アミン1−3a(183mg、0.89mmol)を得た。精製することなくアミン1−3a(183mg、0.89mmol)を1.0mLの酢酸と2.0mLの水の混合物に溶解させ氷冷し、そこに1.0mLの水に溶解したNaNO(142mg、2.06mmol)水溶液を0℃で2分間で滴下した。反応液を1時間撹拌後、クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水する。有機溶媒をエバポレーションして、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:n−ヘキサン=2:3〜2:1に徐々に交換)に付して、目的の化合物1(94mg、収率45%)を油状物として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO)δ:8.41−8.11(2H,m),7.82−7.61(1H,m),6.33−5.63(3H,m),4.11−3.95(1H,m),2.10−1.81(1H,m),1.60−1.54(1H,m)。
実施例2:N−ニトロソ−ベンゾ−9−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エキソ−オール(化合物2)の製造
実施例1と同様の合成方法により、化合物2を油状物として得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:7.42−7.17(4H、m)、5.96−5.75(2H、m)、4.26−4.15(1H、m)、2.18−2.10(1H、m)、2.00−1.95(1H、m)、1.79−1.75(1H、m)。
実施例3:N−ニトロソ−6,7−ジメトキシベンゾ−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エキソ−オール(化合物3)の製造
実施例1と同様の合成方法により、化合物3を淡黄色薄板結晶として得た。
Mp.161−164℃(THF−n−ヘキサンから再結晶);
ハイレゾリューションマススペクトラム(FAB);計算値(C1215)(M+H):235.1083;測定値:235.111;
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:6.96−6.87(2H、m)、5.87−5.85(2H、m)、3.89(3H、s)、3.87(3H、s)、2.25−2.17(1H、m)、2.05−1.98(1H、m)、1.56-1.51(1H、m)、1.37−1.33(1H、m)。
実施例4:N−ニトロソ−(2−エンド,3−エンド)−ビス−トリフルオロメチル−ベンゾ−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(化合物4)の製造
[工程1]
LiAlHを3.61g(0.076mol)秤量し、500mLの三頚ナスフラスコに入れた。中央の口にセプタムを、片側にスリ付き三方コックと栓を装着した後、三方コックを通して真空ポンプで容器内を減圧して乾燥し、その後アルゴン置換した。
ナスフラスコを氷浴で冷却し、撹拌下シリンジでセプタムから脱水THF(75mL)を徐々に加えた。さらに栓を外してそこに滴下ロートを取り付け、THF(75mL)とMeOH(6.5mL)の混合液を入れ、25分かけて滴下した。滴下が終わってから、三頚ナスフラスコをドライアイス−アセトンバスで約5分間冷却し、その後N−ベンジルフタルイミド7.52g(0.032mol)をゆっくり加え、30分間撹拌した。ドライアイス−アセトンバスを氷浴に取りかえて30分反応させた後に、NaSO 1.0g/水 9.0gを加えて氷浴を外し、室温にまで昇温した。
生じたアルミニウム塩をセライト濾過によって除き、アルミニウム塩をアセトンで洗浄した。有機層をNaSOによって乾燥後、エバポレーターによって溶媒留去して、その後20mLのEtOHを加えて−20℃で一晩放置した。析出した黄土色の結晶を濾過後採取し、化合物4−1(2.82g、0.014mmol、収率45%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:7.51(2H,dd,J=2.93Hz,6.42Hz),7.30(4H,m),7.13(3H,m),6.92(2H,dd,J=2.93Hz,6.42Hz),5.36(2H,s)。
[工程2]
2−ベンジル−2H−イソインドール 1.26g(6.07mmol)を30mLの二頚ナスフラスコに入れ、約15mLのCHClに溶解した。二頚の片側には風船をすけた三方コックを反対側にはセプタムを装着した。このナスフラスコをドライアイス−アセトンバスに付けて10分間冷却し、その後針を通して、過剰の1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−ブト−2−インのガスを溶液中に通した。針を取り外した後に、ドライアイス−アセトンバスをエタノール−氷のバスと交換し、−30℃で2時間撹拌した。ドラフト内で風船の付いた三方コックを外しナスフラスコの口をあけたまま室温に戻した。
溶媒を減圧下取り除いた後、AcOEt:n−ヘキサン=1:4の展開液で粗生成物をTLC分析したところ、Rf値が0.7付近にUV吸収を有するスポットが観測され、当該スポットはリンモリブデン酸−MeOH溶液で強く発色した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(AcOEt:n−ヘキサン=1:5)によって精製し、化合物4−2を黄色の油状物として得た(1.08g、2.93mmol、収率48.3%)。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:7.34−7.25(9H,m),7.07(2H,br.s),4.87(2H,br.s)。
[工程3]
化合物4−2(1.08g、2.93mmol)をMeOH15mLに溶解した。Pd−C(118mg)をMeOH10mLに懸濁させた後に前記溶液に加え、水素を充填した風船を三方コックにより反応系に接続し、室温で28時間撹拌した。Pd−Cを濾過により取り除いた後、減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(EtO:n−ヘキサン=1:5)により精製し、目的の化合物4−3(738.3mg、1.99mmol、収率67.9%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:7.40−7.10(9H,m),5.74(2H,br.s),4.36(2H,br.s),3.50(2H,br.s)。
[工程4]
化合物4−3(738.3mg、1.99mmol)を10mLのジオキサンに溶解した。そこに、HO(2mL)に溶かしたNBS(701mg、3.96mmol)を加え、室温で23時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸(6mL)に溶解し、これを攪拌しながら氷浴で冷却し、HO(4mL)に溶かしたNaNO(405mg、5.87mmol)溶液を滴下し、そのまま0℃で2時間撹拌した。AcOEt:n−ヘキサン=1:5から1:4の展開溶媒によるカラムクロマトグラフィーにより目的物を単離した。これをさらに、CHCl−n−ヘキサンにより再結晶して、目的の化合物4を黄色結晶として得た(284mg、0.913mmol、収率45.9%)。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:7.55−7.32(4H,m),6.27−5.97(2H,m),3.63−3.19(2H,m)。
ハイレゾリューションマススペクトラム(FAB);計算値(C12)(M+H):311.0619;測定値:311.0609。
生物活性試験
[試験方法]
Wistar系雄性ラットから胸部下行大動脈を摘出し、幅約2ミリメートルの螺旋標本を作製した。静止張力1g重で5ミリリットルの人工栄養液(修正クレブス−ヘンゼライト液)を満たしたマグヌス装置に懸垂し、等尺性収縮を記録した。栄養液には酸素とpHを保つための二酸化炭素を通気するが、灌流はせず、薬物は累積的に投与した。大動脈標本は静止状態では弛緩しているので、検体による弛緩作用を調べる場合には、予め1−10μMのノルエピネフリンで収縮させた状態で添加した。
なお、マグヌスの栄養液として用いた修正クレブス−ヘンゼライト液(modified Krebs−Henseleit solution)の組成は以下の通りであった:
NaCl 120mM、KCl 4.7mM、CaCl・2HO 1.8mM、MgCl・6HO 1.2mM、NaHPO・2HO 1.2mM、NaHCO 25mM、グルコース 11.1mM。
[試験結果]
ノルエピネフリン(以下、「NE」とも称す)による血管平滑筋収縮に対して、NNO1は血管弛緩作用を示すことが確認された(図2)。
NOドナーであることが知られるS−ニトロソ−N−アセチルペニシラミン(以下、「SNAP」とも称す)(図2)およびNNO3(実施例1で製造した化合物1、図3)の血管弛緩作用の比較を行った。類似の濃度(7.6x10−5M)において、SNAPが投与後急速に血管平滑筋弛緩を起こすのに対して(図2)、NNO3は時間的にゆっくりと弛緩することが確認された。また用量(追加しているので積算用量となる)依存的に、弛緩の程度が増強することも確認された。
二環性骨格に水酸基の導入したNNO3は、該当の置換基のないNNO1に比べ、水溶性の大きな向上がある。5%(体積比)のDMSOを溶解補助溶媒と用いた場合の最大限溶解濃度はNNO1 0.6mg/ml(5%DMSO)に対してNNO3 4.5mg/ml(5%DMSO)と水溶性の向上がみられた。ただし、NNO1については上記濃度(0.6mg/ml(5%DMSO))においてでコロイド状態を呈し完全な溶液を与えない。水酸基導入による溶解性の向上は7倍以上でると評価でき、生体組織もしくは動物への投与濃度が制御しやすい特徴を有している。
ノルエピネフリンによる血管平滑筋収縮に対する、S−ニトロソ−N−アセチルペニシラミンの血管弛緩作用を測定するための試験結果の一例である。 ノルエピネフリンによる血管平滑筋収縮に対する、NNO1の血管弛緩作用を測定するための試験結果の一例である。 ノルエピネフリンによる血管平滑筋収縮に対する、S−ニトロソ−N−アセチルペニシラミンの血管弛緩作用を測定するための試験結果の一例である。 ノルエピネフリンによる血管平滑筋収縮に対する、NNO3の血管弛緩作用を測定するための試験結果の一例である。

Claims (9)

  1. 式(I)の化合物:
    [式中、RおよびRは、各々独立に、水素原子またはC1−6アルキルから選択され;
    、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−6アルコキシカルボニル、アミノ、シアノ、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイルおよびジC1−6アルキルカルバモイルから選択され;または、RおよびR、もしくはRおよびRは、それぞれが結合する炭素原子と一緒になって、ピロリジン−2,5−ジオン環を形成してもよく、ここで当該環の1位の窒素原子は、C1−6アルキルまたはアリールにより置換されていてもよく、ここでアリールは、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびヒドロキシから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
    、X、XおよびXは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−6アルコキシカルボニル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイルおよびジC1−6アルキルカルバモイルから選択され、
    ここで、上記のC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルバモイルおよびジC1−6アルキルカルバモイルのアルキル部分は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルコキシ、アミノC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルコキシ、カルボキシ、シアノおよびハロゲン原子から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい]
    またはその医薬的に許容な塩を含む医薬組成物。
  2. 血管平滑筋弛緩作用を有する、式(I)の化合物:
    [式中、R、R、R、R、R、R、X、X、XおよびXは、請求項1に定義したとおりである]
    またはその医薬的に許容な塩。
  3. 高血圧症、狭心症、心筋梗塞、勃起不全,動脈硬化症、血栓塞栓症、認知症、気管支喘息、免疫不全、排尿障害から選択される疾患の治療または予防のために使用する、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 疾患が狭心症である、請求項3の医薬組成物。
  5. 式(II)の化合物:
    [式中、R11、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびヒドロキシから選択され、但し、R11、R12、R13およびR14のうちの少なくとの1つはヒドロキシまたはC1−6ハロアルキルであり;
    11およびX12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、およびヒドロキシから選択される]
    またはその医薬的に許容な塩。
  6. 請求項5に記載の化合物またはその医薬的に許容な塩を含む医薬組成物。
  7. 高血圧症、狭心症、心筋梗塞、勃起不全,動脈硬化症、血栓塞栓症、認知症、気管支喘息、免疫不全、排尿障害から選択される疾患の治療または予防のために使用する、請求項6に記載の医薬組成物。
  8. 疾患が狭心症である、請求項7の医薬組成物。
  9. a) 式(III)のベンザイン:
    [式中、X21およびX22は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシから選択される]
    および式(IV)のピロール:
    [式中、R21およびR22は、各々独立に、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、およびヒドロキシから選択され、Pは水素原子または保護基である]
    を反応させ、式(V)の化合物:
    [式中、X21、X22、R21、R22およびPは、既に定義したとおりである]
    を得る工程;
    b) 式(V)の化合物を、式(VI)の化合物:
    [式中、X21、X22およびPは、既に定義したとおりであり;
    23、R24、R25およびR26は、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、およびヒドロキシから選択され、但し、R23、R24、R25およびR26のうちの少なくとの1つはヒドロキシである]
    に変換する工程;および
    c)式(VI)の化合物のPが保護基の場合は脱保護を行った後に、N−ニトロソ化を行う工程
    を含む、請求項5に記載の化合物の製造方法。
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