JP2006205348A - 障害物回避装置、障害物回避方法及び障害物回避プログラム並びに移動型ロボット装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】干渉チェック等の計算量を削減するとともに効率的に経路を計画し、障害物を回避することができる障害物回避装置、障害物回避方法及び障害物回避プログラム並びに移動型ロボット装置を提供する。
【解決手段】ロボット装置の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成し、ロボット装置の行動に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成する。そして、生成された経路に基づいて移動体の行動を制御し、障害物を回避する。
【選択図】図5
【解決手段】ロボット装置の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成し、ロボット装置の行動に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成する。そして、生成された経路に基づいて移動体の行動を制御し、障害物を回避する。
【選択図】図5
Description
本発明は、環境内の情報を取得して作成された環境地図に基づいて経路を計画し、障害物を回避する障害物回避装置、障害物回避方法及び障害物回避プログラム並びに移動型ロボット装置に関する。
自律型ロボット装置は、産業用ロボットと異なり、周囲の外部状態やロボット自身の内部状態に応じて自律的に動作を行うことのできるロボット装置である。例えば、歩行可能なロボット装置では、外部の障害物を検出して障害物を回避するような行動経路を計画することにより自律的に移動する。
このような経路計画の研究は、巡回路のなかで最短経路になる巡回順を求める巡回セールスマン問題や干渉チェックにおける計算幾何学の課題とともに人工知能の代表的な研究対象として古くから行われている。この経路計画の代表的な設問として、例えば、複雑に入り組んだ狭い部屋から大きなピアノを出すときのピアノの取るべき経路を幾何学的に求める際の問題、いわゆるPiano Mover's Problemに代表される既知環境における浮遊物体の経路計画が挙げられる。このような計算幾何学と探索アルゴリズムの効率性のベンチマーク的な課題に対して、多くの技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、二足歩行ロボット装置に対する障害物回避の経路計画を行っている。これは、計画対象であるロボット装置を円柱形でモデル化し、障害物の状況を表すグリッド(Occupancy Grid)を環境地図として利用することにより、障害物と干渉しないような経路を計画している。この技術によれば、ロボット装置が円柱表現されているため、干渉チェックを非常に高速に行うことができる。
また、非特許文献1では、ロボット装置のモデルとして図29に示すような矩形モデルを利用し、図30に示す代表的な姿勢ごとに離散的な複数のレイヤを有する空間を提案している。これにより、連続空間に比べて高速な経路計画を実現し、図31に示すように姿勢を変化させた移動を可能としている。
特許文献1に記載された技術は、計算量削減のためロボット装置の姿勢を考慮していない、2次元の経路計画である。また、全方位移動可能であるホロノミックなロボット装置であると仮定して経路計画を行っている。しかし、実際の二足歩行ロボット装置は、その場における旋回などのホロノミックな行動をすることができない。したがって、計画された経路が真に安全であるためには、どのような行動をしても障害物に衝突しないように、ロボット装置のモデルである円柱の半径を大きく設定しなければならなかった。
また、非特許文献1では、各レイヤにおいてロボット装置の矩形モデルが異なるため、高負荷な干渉チェックをモデルごとに独立に行う必要がある。また、姿勢変化に伴う各モデル間の遷移に関して特別な干渉チェックが必要であるため、計算量が膨大となっていた。
本発明は、このような課題を解決するために提案されたものであり、干渉チェック等の計算量を削減するとともに効率的に経路を計画し、障害物を回避することができる障害物回避装置、障害物回避方法及び障害物回避プログラム並びに移動型ロボット装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る障害物回避装置は、移動体の移動可能な領域が判別された地図に基づいて障害物を回避する障害物回避装置において、上記地図における上記移動体の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成する状態空間構成手段と、上記移動体の動作に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成する経路探索手段と、上記経路に基づいて上記移動体の動作を制御する経路追跡手段とを備えることを特徴としている。
また、本発明に係る障害物回避方法は、移動体の移動可能な領域が判別された地図に基づいて障害物を回避する障害物回避方法において、上記地図における上記移動体の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成する状態空間構成工程と、上記移動体の動作に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成する経路探索工程と、上記経路に基づいて上記移動体の動作を制御する経路追跡工程とを有することを特徴としている。
また、本発明に係る障害物回避プログラムは、移動体の移動可能な領域が判別された地図に基づいて障害物を回避する障害物回避プログラムにおいて、上記地図における上記移動体の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成する状態空間構成工程と、上記移動体の動作に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成する経路探索工程と、上記経路に基づいて上記移動体の動作を制御する経路追跡工程とを備えることを特徴としている。
また、本発明に係る移動型ロボット装置は、移動可能な領域が判別された地図に基づいて障害物を回避する移動型ロボット装置において、上記地図における自身の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成する状態空間構成手段と、自身の動作に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成する経路探索手段と、上記経路に基づいて自身の動作を制御する経路追跡手段とを備えることを特徴としている。
移動体の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成し、動作に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成することにより、干渉チェック等における計算量を削減することができる。また、効率的に経路を計画するとともに最適な行動を発現することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。この実施の形態は、本発明に係る障害物回避装置を2足歩行のロボット装置に適用したものである。
図1は、ロボット装置1の概略を示すブロック図である。ロボット装置1の頭部ユニット203には、2台のCCDカメラ10R,10Lが設けられ、このCCDカメラ10R,10Lの後段には、ステレオ画像処理装置12が設けられている(ただし、R及びLは、右及び左の各々を示す接尾辞である。以下において同じ)。2台のCCDカメラにより撮像された右目画像11R、左目画像11Lは、ステレオ画像処理装置12に入力される。ステレオ画像処理装置12は、各画像11R,11Lの視差情報(disparity data)(距離情報)を計算し、カラー画像(YUV:輝度Y、UV色差)13及び視差画像(YDR:輝度Y、視差D、信頼度R)14をフレーム毎に左右交互に算出する。ここで、視差とは、空間中のある点が左目及び右目に写像される点の違いを示し、そのカメラからの距離に応じて変化するものである。
このカラー画像13及び視差画像14はロボット装置1の体幹部202に内蔵されたCPU(制御部)15に入力される。また、ロボット装置1の各関節にはアクチュエータ16が設けられており、CPU15からの指令となる制御信号18が供給されて、その指令値に応じてモータを駆動する。各関節(アクチュエータ)には、ポテンショメータが取り付けられ、モータ駆動時の回転角がCPU15に送られる。このアクチュエータ16に取り付けられたポテンショメータ、足底に取り付けられたタッチセンサ及び体幹部202に取り付けられたジャイロ・センサ等の各センサ17は、現在の関節角度、設置情報、及び姿勢情報等のロボット装置1の状態を計測し、センサデータ19としてCPU15へ出力する。CPU15は、ステレオ画像処理装置12からのカラー画像13及び視差画像14と、アクチュエータ16全ての関節角度等のセンサデータ19とが入力されて、制御信号18によりロボット装置1の動作を制御する。
本実施の形態のロボット装置1におけるソフトウェアは、オブジェクト単位で構成され、ロボット装置の位置、移動量、周囲の障害物、及び環境地図等を認識し、ロボット装置1が最終的に取るべき行動についての行動列を出力する各種認識処理等を行うことができる。
図2は、ロボット装置1に搭載される障害物回避装置2の機能ブロック図である。なお、これらの機能は、障害物回避プログラムを基にCPU15が実行するものである。
障害物回避装置2は、CCDカメラ10R,10Lにより撮像された画像情報に基づいて環境内の障害物情報を示す環境地図を作成する環境地図作成部3と、環境地図を格納する環境地図データベース3aと、環境地図を用いて障害物と衝突しない経路を生成する経路計画部4と、生成された経路上に沿ってロボット装置1の行動を制御する経路追跡部5とを備えている。
環境地図作成部3は、図3に示すように3次元の距離データを取得する距離データ計測手段としてのステレオビジョンシステム(Stereo Vision System)31と、ステレオビジョンシステム31からのステレオデータD1が入力され、このステレオデータD1から環境内の平面を検出する平面検出器(Plane Segmentation)32と、平面検出器32から出力される平面データD2から後述する環境地図を更新し、環境地図データD5を出力する環境地図生成部(Update GridMap & HeightMap)33とを備える。
この環境地図作成部3は、まずステレオビジョンシステム31によって外界を観測し、ステレオ視カメラの視差画像によって算出される3次元距離情報であるステレオデータD1を画像として出力する。すなわち、人間の両眼に相当する左右2つのカメラからの画像入力を画素近傍毎に比較し、その視差から対象までの距離を推定し、3次元距離情報を画像として出力(距離画像)する。そして、ステレオデータD1から平面検出器32によって平面を検出することによって環境内に存在する複数の平面を認識する。また、環境地図生成部33によって平面データD2からステレオビジョンシステム31で取得された周辺の環境を水平方向及び垂直方向に所定の大きさの格子(Grid)に分割された環境地図を作成する。
この環境地図は、環境内の障害物の情報を有しており、例えば所定の閾値よりも高い位置にあるものを障害物として床面からの距離を算出し、この障害物データに基づいた障害物の占有確率に応じて各グリッドが着色されたものである。例えば、各グリッドは白と黒のモノトーンで着色され、黒味が強くなるにつれて障害物が存在する確率が高くなるようにする。
次に、環境地図に基づいて経路計画を行う経路計画部4について説明する。経路計画部4は、後述する状態空間内のスタートの状態を表す点から始めて、行動による遷移の連続によってゴールの状態を表す点まで到達する軌跡と一連の行動とを計画するものである。
経路計画部4は、図4に示すようにロボット装置1の歩行動作に関する情報を有する行動空間データベース41と、環境地図とロボット装置1の姿勢を行動空間データベースに応じて離散化し、状態空間を構成する状態空間構成部42と、状態空間を用いて現在地と目的地を結ぶ安全な経路を生成する経路探索部43とを備えている。
行動空間データベース41には、直進、回転、横歩きなど、歩行の基本的な要素(歩行プリミティブ=行動)について、各行動によって遷移する移動量や各行動の遷移に対するコストなどが格納されている。このコストは、後述するが、行動の実行に必要な時間、行動の安全性、行動の変更に対するペナルティ、行動に関する制限などに基づいて定義されている。
状態空間構成部42は、環境地図を用いて状態空間を構成する。状態空間とは、経路計画する対象の状態を表現する空間であり、通常、その次元数は、対象の幾何的な自由度と一致する。つまり、ロボット装置1の姿勢状態数と一致する。また、状態空間の中では、ロボット装置1の幾何的な状態は、ロボット装置1を円柱モデルとし、環境側を半径分拡大することにより1点で表現することができる。
ここで問題となるのが、この状態空間をどのように離散化するかということである。細かい離散化を行うことによって、経路の精度は向上するが、計算量は飛躍的に増加する。
そこで、本実施の形態では、状態空間を実空間のグリッド表現とロボット装置の離散的な姿勢表現によって構成する。例えば、図5に示すように姿勢表現として回転方向に45度毎、8方向に離散化し、これら8方向に対してそれぞれレイヤを設けるとともに、各レイヤを同じ環境地図にて構成する。すなわち、(a)、(b)…のように地図におけるロボット装置1の45度毎の方向に対し、それぞれレイヤを有して構成されている。
このように各レイヤで同じ環境地図を用いて状態空間を構成することにより、行動によってロボット装置1の状態が遷移する際、すなわちレイヤ間を遷移する際、特別な干渉チェックを必要としないため、計算量を著しく減少させることができる。
続いて、ロボット装置1の状態を遷移させる行動について説明する。行動の数は、ロボット装置1の行動の自由度と一致するが、本実施の形態では、ロボット装置1が図6に示す(a)Forward、(b)L-Turn、(c)R-Turn、(d)L-Forward、(e)R-Forward、(f)L-Side、(g)R-Side及び(h)Backwardの8つの行動を発現するものとする。これらの行動は、図7に示すようにロボット装置1を45度回転させた状態に分けることができる。このため、ロボット装置1を上述した状態空間内に表し、ロボット装置1が行動を実施することによって状態空間内の計画対象(ロボット装置1)が遷移する。この場合、ロボット装置1の円柱モデルは、行動に要する最小半径とすることが好ましい。つまり、ここでは、円柱モデルの直径をロボット装置1が横歩き可能な幅とすることが好ましい。
次に、経路探索部43について説明する。経路探索部43は、状態空間構成部42により構成された状態空間を用いて経路を探索する。経路探索は、例えば、経路全体のコストを最小化するA*探索と呼ばれる方法を用いることができる。具体的には、スタートノードから始めて、式(1)に示す評価関数fの評価値(コスト)が最小となるノードを順次展開することにより経路を探索する。ここで、ノードは状態空間内の各グリッドである。
このコストは、行動空間データベース41に格納され、行動の安全性(Obstacle Cost)、行動の実行に必要な時間(Action Cost)、行動の変更に対するペナルティ(Action Change Cost)、行動に関する制限(Environment Cost)により構成され、実験等による経験則によって適切に設定される。つまり、経路探索は、Obstacle Cost、Action Cost、Action Change Cost及びEnvironment Costの総和が最小となるように行われるため、式(2)のように表すことができる。
Action Costは、行動に要する時間に基づいて定義される。行動に要する時間は、例えば、Side Walk>Turn>Walkの順番に設定される。
また、Action Change Costは、行動を変更する際にかかる時間、つまり行動の遷移に要する時間に基づいて定義され、行動に制約を設けることができる。このAction Change Costは、例えば一定値で定義される。
Environment Costは、環境属性に基づいて定義され、経路に対して不連続な制約条件を付加することを可能とする。例えば、環境属性として、平面、階段、障害物、観測領域、未観測領域などを利用し、階段で可能な行動は前進のみとし、階段における旋回や後進には大きなコストを設定する。また、未観測の属性を持つグリッドでの横歩き及び後進にも大きなコストを設定する。例えば、図9に示すように階段(Stairs)領域では(a)Forwardの1つの行動のみ、未観測領域では、(a)Forward、(b)L-Turn、(c)R-Turn、(d)L-Forward、(e)R-Forwardの5つの行動のみに制限する。これにより、未観測領域に対して観測に適さない形で進入する経路を生成することを防ぐことができる。
また、各行動は、後述するコストを定義することにより領域毎に制限することができる。例えば、図9に示すように階段(Stairs)領域では(a)Forwardの1つの行動のみ、未観測領域では、(a)Forward、(b)L-Turn、(c)R-Turn、(d)L-Forward、(e)R-Forwardの5つの行動のみに制限する。このような制限は、コストを高く設定することによって行われる。
このようにコストをObstacle Cost、Action Cost、Action Change Cost及びEnvironment Costにより構成し、このコストに基づいて経路計画を行うことにより、2足歩行であるロボット装置1のノンホロノミック性を保持するとともに高速な経路計画を実現することができる。
ここで、図10に示す簡単な例を用いて経路探索について説明する。なお、ここでは、評価関数fにおけるg(n)は実際の移動距離と4近傍の障害物数との和とし、h(n,goal)は現在のノードからゴールまでの推定距離とする。
先ず、スタート位置であるノード0のコスト、f(0)を求める。図11(a)に示すように、ノード0において実際の移動距離は0であり、また、4近傍の障害物数も0である(地図の境界は含まない)。また、ゴールまでの推定距離は4であるため、f(0)=4となる。次に、ノード0から左方向に1移動したノード1、前方向に1移動したノード2及び右方向に1移動したノード3について、図11(b)のようにそれぞれのコストを求める。ノード0の展開において、ノード2のコスト(f(2))が最小であるから、ノード2を前後左右の4方向に展開する(コストを計算する)。ノード2の展開では、図11(c)に示すように、ノード0のコスト(f(0))は算出され登録済みであり、ノード6は衝突してしまうので計算する必要はない。ノード2の展開では、ノード4が最小のコストなので、次はノード4を展開する。このように、コストが最小であるノードをゴールまで順次展開していくことにより経路を生成することができる。
続いて、本実施の形態における経路探索を、図12に示すフローチャートを用いて説明する。先ず、ステップS1においてノードNを現在地とする。各ノードにはノード情報が存在する。ノード情報は、ノード番号、ノード位置情報、既探索フラグ(Visited Flag)、最小経路コスト(Cost)、親ノード(Parent)、到達アクション(Action)を含んでいる。
ステップS2では、ノードNの既探索フラグ(Visited Flag)をTrueとし、ノードNを展開する。次に、ノードNにおいて行動A=A1を発現した場合(ステップS3)に移動する遷移先Nxを決定し(ステップS4)、遷移先Nxに対し経路コストCostを計算する(ステップS5)。遷移先Nxの経路コスト(Cost)は、ノードNの最小経路コストとノードNからの遷移コストとの和によって計算される。
ステップS6では、遷移先Nxの親ノード(Nx.Parent)の登録の有無を判別する。遷移先Nxに親ノードがある場合、ステップS8に進む。また、遷移先Nxに親ノードNx.Parentがない場合、ステップS7に進み、ステップS5にて計算された遷移先Nxの経路コスト(Cost)と遷移先Nxの最小経路コスト(Nx.Cost)が比較される。そして、ステップS5にて計算された遷移先Nxの経路コスト(Cost)が登録されている遷移先Nxの最小経路コスト(Nx.Cost)以下の場合、ステップS8に進む。また、大きい場合は、遷移先として適切でないためステップS12へ進む。
ステップS8では、登録された遷移先Nxの最小経路コスト(Nx.Cost)に計算された遷移先Nxの経路コスト(Cost)を代入して更新する。そして、遷移先Nxの親ノード(Nx.Parent)にNを登録し(ステップS9)、遷移先Nxに到達した到達行動に行動Aを登録し(ステップS10)、遷移先の候補リストにNxを登録し(ステップS11)、ステップS12へ進む。
ステップS12では、行動A=A2,A3,,,Anを順に代入し、ステップS2乃至ステップS11の処理を行う。ステップS13では、ステップS12において全ての行動について終了したか否かが判別され、終了したと判別された場合ステップS14へ進む。また、終了していない場合ステップS4に戻る。
ステップS14では、候補リストに登録されたノードの有無を判断する。候補リスト中に何も登録されていない場合、ノードNにおける展開は失敗である。
また、候補リストに登録されたノードがある場合、候補リストから最小のコストを持つノードを新しいNとして選択する(ステップS15)。そして、新しいNが目的地か否かを判別する(ステップS16)。
ステップS16にて新しいNが目的地の場合、目的地から親ノードを辿ることによって、経路を生成する(ステップS17)。このように、経路を探索することにより、最適な経路で行動することができる。
ここで、コストを用いた干渉チェックについて説明する。例えば、図13に示すような障害物が存在する場合、環境地図作成部3は、入力されたカラー画像13及び視差画像14より上述の処理を行い、図14に示すような環境地図を生成する。この図14では、ロボット装置1と同じ高さの床面は白色で示され、高さが異なる面には高さに応じて着色されている。また、障害物の可能性の高いグリッドには黒色、階段及び高さの低い障害物には×印を用いて表している。また、図中Aの領域は、未観測領域である。
図15は、図14に示す環境地図を、コストを用いて表現したものである。図15はコストを白黒の濃淡で表し、色が濃いほどコストが高いことを示している。ここで、障害物に近いほどコストが高い。つまり、行動が制限されている。また、白色の領域は、ロボット装置1の行動が制限されない自由空間領域を示している。
このように、経路計画部4は、ロボット装置1の各状態に同じ環境地図を用いた状態空間を構成することにより、ロボット装置1の行動における干渉チェックや経路計画における計算量を減少させることができる。
また、経路追跡部5は、経路計画部4により生成された経路情報にロボット装置1が行うことができる行動の情報が含まれているため、容易にロボット装置1の行動を制御し、適切に障害物を回避することができる。
以上のように、障害物回避装置2は、状態空間の設計、行動空間の設計及び探索におけるコストを適切に定義することにより、ロボット装置1を円柱モデルとして扱っても効率よく経路を計画し、障害物を回避することができる。
次に、障害物回避装置2が搭載されるロボット装置1について図16乃至図18を参照して、さらに詳細に説明する。図16は、図1に示すロボット装置1の詳細な外観を示す斜視図である。図16に示すように、ロボット装置1は、体幹部ユニット202の所定の位置に頭部ユニット203が連結されるとともに、左右2つの腕部ユニット204R/Lと、左右2つの脚部ユニット205R/Lが連結されて構成されている。
このロボット装置1が具備する関節自由度構成を図17に模式的に示す。頭部ユニット203を支持する首関節は、首関節ヨー軸101と、首関節ピッチ軸102と、首関節ロール軸103という3自由度を有している。
また、上肢を構成する各々の腕部ユニット204R/Lは、肩関節ピッチ軸107と、肩関節ロール軸108と、上腕ヨー軸109と、肘関節ピッチ軸110と、前腕ヨー軸111と、手首関節ピッチ軸112と、手首関節ロール軸113と、手部114とで構成される。手部114は、実際には、複数本の指を含む多関節・多自由度構造体である。ただし、手部114の動作は、ロボット装置1の姿勢制御や歩行制御に対する寄与や影響が少ないので、本明細書では簡単のため、ゼロ自由度と仮定する。したがって、各腕部は7自由度を有するとする。
また、体幹部ユニット202は、体幹ピッチ軸104と、体幹ロール軸105と、体幹ヨー軸106という3自由度を有する。
また、下肢を構成する各々の脚部ユニット205R/Lは、股関節ヨー軸115と、股関節ピッチ軸116と、股関節ロール軸117と、膝関節ピッチ軸118と、足首関節ピッチ軸119と、足首関節ロール軸120と、足底121とで構成される。本明細書中では、股関節ピッチ軸116と股関節ロール軸117の交点は、ロボット装置1の股関節位置を定義する。人体の足底121は、実際には多関節・多自由度の足底を含んだ構造体であるが、本明細書においては、簡単のためロボット装置1の足底は、ゼロ自由度とする。したがって、各脚部は、6自由度で構成される。
以上を総括すれば、ロボット装置1全体としては、合計で3+7×2+3+6×2=32自由度を有することになる。ただし、エンターテインメント向けのロボット装置1が必ずしも32自由度に限定されるわけではない。設計・制作上の制約条件や要求仕様等に応じて、自由度すなわち関節数を適宜増減することができることはいうまでもない。
上述したようなロボット装置1がもつ各自由度は、実際にはアクチュエータを用いて実装される。外観上で余分な膨らみを排してヒトの自然体形状に近似させること、2足歩行という不安定構造体に対して姿勢制御を行うこと等の要請から、アクチュエータは小型かつ軽量であることが好ましい。
このようなロボット装置1は、ロボット装置全体の動作を制御する制御システムを例えば体幹部ユニット202等に備える。図18は、ロボット装置1の制御システム構成を示す模式図である。図18に示すように、制御システムは、ユーザ入力等に動的に反応して情緒判断や感情表現を司る思考制御モジュール200と、アクチュエータ350の駆動等、ロボット装置1の全身協調運動を制御する運動制御モジュール300とで構成される。
思考制御モジュール200は、情緒判断や感情表現に関する演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)211や、RAM(Random Access Memory)212、ROM(Read Only Memory)213及び外部記憶装置(ハード・ディスク・ドライブ等)214等で構成され、モジュール内で自己完結した処理を行うことができる、独立駆動型の情報処理装置である。
この思考制御モジュール200は、画像入力装置251から入力される画像データや音声入力装置252から入力される音声データ等、外界からの刺激等にしたがって、ロボット装置1の現在の感情や意思を決定する。すなわち、上述したように、入力される画像データからユーザの表情を認識し、その情報をロボット装置1の感情や意思に反映させることで、ユーザの表情に応じた行動を発現することができる。ここで、画像入力装置251は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラを複数備えており、これらのカメラにより撮像した画像から距離画像を得ることができる。また、音声入力装置252は、例えばマイクロホンを複数備えている。
思考制御モジュール200は、意思決定に基づいた動作又は行動シーケンス、すなわち四肢の運動を実行するように、運動制御モジュール300に対して指令を発行する。
一方の運動制御モジュール300は、ロボット装置1の全身協調運動を制御するCPU311や、RAM312、ROM313及び外部記憶装置(ハード・ディスク・ドライブ等)314等で構成され、モジュール内で自己完結した処理を行うことができる独立駆動型の情報処理装置である。また、外部記憶装置314には、例えば、オフラインで算出された歩行パターンや目標とするZMP軌道、その他の行動計画を蓄積することができる。
この運動制御モジュール300には、図18に示したロボット装置1の全身に分散するそれぞれの関節自由度を実現するアクチュエータ350、対象物との距離を測定する距離計測センサ(図示せず)、体幹部ユニット202の姿勢や傾斜を計測する姿勢センサ351、左右の足底の離床又は着床を検出する接地確認センサ352,353、足底121の足底121に設けられる荷重センサ、バッテリ等の電源を管理する電源制御装置354等の各種の装置が、バス・インターフェース(I/F)310経由で接続されている。ここで、姿勢センサ351は、例えば加速度センサとジャイロ・センサの組合せによって構成され、接地確認センサ352,353は、近接センサ又はマイクロ・スイッチ等で構成される。
思考制御モジュール200と運動制御モジュール300は、共通のプラットフォーム上で構築され、両者間はバス・インターフェース210,310を介して相互接続されている。
運動制御モジュール300では、思考制御モジュール200から指示された行動を体現すべく、各アクチュエータ350による全身協調運動を制御する。すなわち、CPU311は、思考制御モジュール200から指示された行動に応じた動作パターンを外部記憶装置314から取り出し、又は、内部的に動作パターンを生成する。そして、CPU311は、指定された動作パターンにしたがって、足部運動、ZMP軌道、体幹運動、上肢運動、腰部水平位置及び高さ等を設定するとともに、これらの設定内容に従った動作を指示する指令値を各アクチュエータ350に転送する。
また、CPU311は、姿勢センサ351の出力信号によりロボット装置1の体幹部ユニット202の姿勢や傾きを検出するとともに、各接地確認センサ352,353の出力信号により各脚部ユニット205R/Lが遊脚又は立脚のいずれの状態であるかを検出することによって、ロボット装置1の全身協調運動を適応的に制御することができる。更に、CPU311は、ZMP位置が常にZMP安定領域の中心に向かうように、ロボット装置1の姿勢や動作を制御する。
また、運動制御モジュール300は、思考制御モジュール200において決定された意思通りの行動がどの程度発現されたか、すなわち処理の状況を、思考制御モジュール200に返すようになっている。このようにしてロボット装置1は、制御プログラムに基づいて自己及び周囲の状況を判断し、自律的に行動することができる。
続いて、上述のロボット装置1に障害物回避装置を搭載させた結果を、図19乃至図28を用いて説明する。環境として図19に示すように障害物が配置された4m×1mのコースを用意した。ここで、障害物Aは図20に示す角材であり、長さ40cm、幅9cm、高さ4cmとなっている。また、図21に示す障害物Bは踏面が幅33cm、奥行き12cm、蹴り上げ3cmの階段を有する台である。ここで、スタート地点を図22に示すように障害物fと障害物gの前とし、ゴールを障害物Bの台上までとする。
図22に示すような位置のロボット装置1は、頭部ユニット203に搭載された2台のCCDカメラ10R,10Lにより、ステレオ画像を取得し、上述の処理を行うことによって、図23に示すような経路を生成する。この図23では、コストを白黒の濃淡で表し、色が濃いほどコストが高いことを示している。ここで、障害物fと障害物gの間は、ロボット装置1の行動が制限されない自由空間領域を示す白色ではないため、ロボット装置1は行動が制約され、横歩きする。このように、環境チェックを横歩きに必要な幅だけ拡大させた環境地図を用い、コストの横歩きの閾値を前進歩行よりも高く定義することによって、従来では横歩きで移動することが困難であった場所でも、高速に経路計画し、行動を制御して移動することができる。
また、障害物fと障害物gの間を横歩きし、図24に示すように障害物Aの前では、ロボット装置1は、例えば距離データの分布を解析することにより、踏面や床面との段差等を認識し、図25に示す経路計画を行う。この段差の領域Aでは、上述したように例えばEnvironment Costによって行動が制約されている。また、障害物Aの段差を乗り越えたロボット装置1は、図26に示すように経路計画し、図27の障害物Bの前まで行動する。
障害物Bの前では、ロボット装置1は、例えば距離データの分布を解析することにより、階段を検出し、踏面や段差を認識し、ゴールである障害物Bの台の上までの経路を図28に示すように計画する。
このように、障害物回避装置2を搭載したロボット装置1は、自律的にゴールまでの経路を計画及び行動し、障害物を回避することができる。
1 ロボット装置、 2 障害物回避装置、 3 環境地図作成部、 4 経路計画部、 5 経路追跡部、 41 行動空間データベース、 42 状態空間構成部、 43 経路探索部
Claims (8)
- 移動体の移動可能な領域が判別された地図に基づいて障害物を回避する障害物回避装置において、
上記地図における移動体の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成する状態空間構成手段と、
上記移動体の動作に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成する経路探索手段と、
上記経路に基づいて上記移動体の動作を制御する経路追跡手段と
を備えることを特徴とする障害物回避装置。 - 上記移動体の動作を離散的に構成する複数の歩行の基本的な要素と、各要素によって遷移する移動量と、各要素の遷移に対する評価値とが蓄積されたデータベースをさらに備え、
上記経路探索手段は、上記歩行の基本的な要素を遷移させながら経路を生成することを特徴とする請求項1記載の障害物回避装置。 - 上記状態空間構成手段は、上記状態空間の地図と移動体の方向とを上記データベースに基づいて構成することを特徴とする請求項2記載の障害物回避装置。
- 上記状態空間は、上記移動体を45度毎に回転させた8方向の層で構成されていることを特徴とする請求項1記載の障害物回避装置。
- 上記評価値は、上記移動体の動作に要する時間、動作の安全性、動作の変更に対するペナルティ、動作に関する制限のうち、少なくとも1以上に基づいて定義されることを特徴とする請求項1記載の障害物回避装置。
- 移動体の移動可能な領域が判別された地図に基づいて障害物を回避する障害物回避方法において、
上記地図における上記移動体の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成する状態空間構成工程と、
上記移動体の動作に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成する経路探索工程と、
上記経路に基づいて上記移動体の動作を制御する経路追跡工程と
を有することを特徴とする障害物回避方法。 - 移動体の移動可能な領域が判別された地図に基づいて障害物を回避する障害物回避プログラムにおいて、
上記地図における上記移動体の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成する状態空間構成工程と、
上記移動体の動作に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成する経路探索工程と、
上記経路に基づいて上記移動体の動作を制御する経路追跡工程と
を備えることを特徴とする障害物回避プログラム。 - 移動可能な領域が判別された地図に基づいて障害物を回避する移動型ロボット装置において、
上記地図における自身の方向毎に層を設け、各層で共通の地図を有する状態空間を構成する状態空間構成手段と、
自身の動作に関する評価値に基づいて上記状態空間内に経路を生成する経路探索手段と、
上記経路に基づいて自身の動作を制御する経路追跡手段と
を備えることを特徴とする移動型ロボット装置。
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