JP2006202378A - ホログラフィック情報記録方法、ホログラフィック情報記録装置、ホログラム記録媒体、ホログラフィック情報再生方法および、ホログラフィック情報再生装置 - Google Patents
ホログラフィック情報記録方法、ホログラフィック情報記録装置、ホログラム記録媒体、ホログラフィック情報再生方法および、ホログラフィック情報再生装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】信号光の3次元的な要素を利用して情報を多重記録再生すること。
【解決手段】ミラーM1で進路を変更された信号光Ob1はレンズL1により集束光となり、空間変調器SLM1により空間変調された後、レンズL2に入射する。レンズL2を光軸方向に移動すると、移動する度に信号光の焦点が異なり、これら焦点が異なる信号光を順次、参照光Re1とホログラム記録媒体H1のところで干渉させて記録する。信号光の焦点を異ならせる毎に空間変調器SLM1に表示するデータ、或はデータ配列を異なるものとしておけば、信号光の3次元的な要素、即ち、光軸方向の要素を利用して情報を多重記録できる。また参照光Re1をホログラム記録媒体H1に照射すると、焦点の異なる複数の集束光が生じ、これをレンズL2やピンホールを光軸方向に移動することでこれらの集束光を分離してそれぞれを受光して信号に変換して元の情報を再生することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、信号光と参照光の干渉縞をホログラム記録媒体に記録するホログラムメモリに係り、特に情報をホログラム記録媒体の同一領域に多重記録する記録、再生方法、および、記録、再生装置に関する。
CD、DVD、BD(ブルーレイ・ディスク)等、現在普及している光ストレージ技術は面記録メモリを利用している。近年、マルチメディア技術の発展に伴い、高速かつ大容量メモリの必要性が高まっているが、現行の面記録形の光メモリは、ビット情報と光スポットが照射する記録媒体上のエリアが直接対応しているため、集光限界によって記録容量が制限されている。そこで、更なる高密度の記録を行うためには、同一エリア内に多数の情報を記録する多重記録が必要とされている。
情報をホログラムの形で記録媒体に体積記録するホログラムメモリは、同一エリア内に多重記録が可能な記録媒体として知られている。ここで、ホログラフィとは、光波の振幅、位相情報を同時に記録媒体に記録し、また、再生する技術である。レーザ光のようなコヒーレントな光を物体に照射し、物体光とよばれる物体からの反射光を記録媒体に入射する際に、参照光とよばれる別のコヒーレントな光を同時に記録媒体に入射すると、記録媒体上に干渉縞が形成される。この干渉による光強度分布を屈折率または吸収率の変化として記録媒体中に記録したものがホログラムである。ホログラムが記録された記録媒体に参照光のみを入射すると、ホログラムが回折格子として働き、物体光が再生される(例えば非特許文献1参照)。
ホログラムメモリでは、デジタルデータ(0、1のデータ)を空間変調器のオン/オフ・パターンに変換して、この空間変調器の出力光を物体光(信号光とよばれる)として用いることで、デジタルデータの情報をホログラム記録媒体に記録できる。再生時は、通常のホログラフィと同様、参照光を再生光として用いることで再生像が検出されるので、この像から空間変調器のオン/オフ・パターンと元のデジタルデータを読み取ればよい。このため、ホログラムメモリでは同一エリア内に空間変調器のピクセル分だけの情報を多重することが出来る。
一方、参照光に特徴を持たせることで同一エリア内に参照光の特徴が異なる複数のホログラムを記録することもできる。このように参照光の違いで同一面内に複数のホログラムを記録する多重方式として、角度多重・波長多重・位相多重・シフト多重等が知られている。これらは、直交状態となるような複数の参照光を区別して用いることで各々参照光に対して別の状態が記録できる。
IBM J.RES DEVELOP VOL 44 NO.3 MAY 2000 「Holographic datastorage」
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上記のようにホログラム記録を用いると同一エリア内に多重記録を行うことができる。これら従来のホログラム情報記録の多重記録の特徴をまとめると、(1)複数の直交した状態にある参照光を利用した多重記録、(2)信号光の波面を分割して2次元データにすることによる多重記録の二つであることがわかる。しかし、ホログラフィのもう一つの利点である信号光の3次元方向の情報が記録できる点を利用したホログラム情報記録方法および装置は未だ提案されていない。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、信号光の3次元的な要素を利用して情報を多重記録再生することができるホログラフィック情報記録方法、ホログラフィック情報記録装置、ホログラム記録媒体、ホログラフィック情報再生方法および、ホログラフィック情報再生装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するため、情報によって空間変調された信号光と参照光の干渉縞をホログラム記録媒体に記録するホログラフィック情報記録方法であって、前記ホログラム記録媒体に対向配置されるレンズを光軸方向に移動することで、同一光軸をもつ複数の焦点の異なる集束光を生成し、これらの集束光の波面を、それぞれ異なるデータあるいはデータ配列に基づいて空間変調を施した後、前記ホログラム記録媒体に照射して多重露光を実現することを特徴とする。
また、本発明は、情報によって空間変調された信号光と参照光の干渉縞をホログラム記録媒体に記録するホログラフィック情報記録方法であって、元のレーザ光を分岐して複数の信号光を生成し、これら信号光をそれぞれレンズを用いて焦点の異なる集束光に変換して、得られた集束光の波面を、それぞれ異なるデータあるいはデータ配列に基づいて空間変調を施した後、前記ホログラム記録媒体に照射して多重露光を実現することを特徴とする。
また、本発明は、異なる位置に焦点をもつ複数の集束光から成る信号光と参照光により生じる干渉縞をホログラム記録媒体の同一領域に多重記録したホログラム記録媒体に、参照光を照射して情報を再生するホログラフィック情報再生方法であって、前記再生参照光を前記ホログラム記録媒体の記録領域に照射して複数の焦点の異なる集束光を再生し、前記ホログラム記録媒体に対向配置されるレンズを光軸方向に移動することで、前記集束光を順に分離し、前記分離された集束光をそれぞれ受光素子で信号に変換して、元の情報を得ることを特徴とする。
また、本発明は、異なる位置に焦点をもつ複数の集束光から成る信号光と参照光により生じる干渉縞をホログラム記録媒体の同一領域に多重記録したホログラム記録媒体に、参照光を照射して情報を再生するホログラフィック情報再生方法であって、前記再生参照光を前記ホログラム記録媒体の記録領域に照射して複数の焦点の異なる集束光を再生してレンズに通し、前記レンズに対向配置される受光素子を光軸方向に移動することで、前記集束光を順に分離し、前記分離された集束光をそれぞれ前記受光素子で信号に変換して、元の情報を得ることを特徴とする。
このように本発明は、焦点の異なる複数の集束光を信号光として用いるものであり、それぞれの集束光は異なるデータ、データ配列に基づいて波面を空間変調されるものであって、共通の参照光と干渉させて、その干渉縞をホログラム記録媒体の同一の記録領域に多重記録し、参照光と同一の再生参照光をホログラム記録媒体に照射して、前記記録領域から発生する前記焦点の異なる集束光をピンホールを用いて焦点毎に分離して受光素子で受光し、信号に変換して元の情報を再生する。
本発明によれば、複数の焦点の異なる集束光を信号光として用い、それぞれの集束光は異なるデータ、あるいはデータ配列に基づいて波面に空間変調され、共通の参照光と干渉させて、その干渉縞をホログラム記録媒体の同一の記録領域に記録し、前記参照光と同一の再生参照光をホログラム記録媒体に照射して、前記記録領域から発生する前記焦点の異なる集束光をピンホールを用いて焦点毎に分離して、受光素子で受光し、信号に変換して元の情報を再生することによって、信号光の光軸方向の要素、すなわち、3次元的な要素を利用して情報を多重記録再生することができる。
また、信号光の3次元的要素を利用した多重化であるため、例えば、位相多重、シフト多重、角度多重などの既知の各種多重化方法と併用でき、情報の記録密度を向上させることができる。
さらに、焦点の異なる集束光は単一のレンズの移動で実現でき、再生光の分離はピンホールとレンズを移動することで実現できるので、簡単且つ安価な構成で多重記録再生を実現することができる。
また、信号光の3次元的要素を利用した多重化であるため、例えば、位相多重、シフト多重、角度多重などの既知の各種多重化方法と併用でき、情報の記録密度を向上させることができる。
さらに、焦点の異なる集束光は単一のレンズの移動で実現でき、再生光の分離はピンホールとレンズを移動することで実現できるので、簡単且つ安価な構成で多重記録再生を実現することができる。
信号光の3次元的な要素、すなわち、光軸方向の要素を利用して情報を多重記録再生するという目的を、複数の焦点の異なる集束光による信号光を用い、それぞれの集束光は異なるデータ、あるいは、データ配列でその波面に空間変調を施された後、共通の参照光と干渉させて、その干渉縞をホログラム記録媒体の同一の記録領域に記録し、前記参照光と同一の再生参照光をホログラム記録媒体に照射して、発生する焦点の異なる集束光をピンホールを用いて焦点毎に分離して受光して信号に変換して、元の情報を再生することで実現した。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るホログラフィック情報記録装置の構成を示したブロック図である。ホログラフィック情報記録装置は、レーザ光源LD1と、ビームスプリッタBS1と、ミラーM1、M2と、レンズL1、L2、および空間変調器SLM1と、ホログラム記録媒体H1によって構成されている。
図2は上記したホログラム記録媒体H1の構成を示した斜視図である。ホログラム記録媒体H1は、ラスやポリカーボネートなどの透明材質で形成された透明基板50の一面に光誘起複屈折性を示す記録層51を形成して構成する。信号光および参照光は、この記録層51側に照射される。ホログラム記録媒体H1は厚みに比べて十分大きな拡がり有するように形成して、基板一面に一様に塗布されるようにする。また、透明基板50はディスク形状などとする。
記録層51は前述のように光誘起屈折性を示す材料とする。例えば、側鎖に光異性化する基を有する高分子または高分子液晶、または光異性化する分子を分散させた高分子が挙げられる。このような材料による記録層は、たとえば溶液を基板上にキャストし、スピンコートするなどして乾燥させて作製する。
次に本実施形態の動作について説明する。レーザ光源LD1から出力されたレーザ光(平面波、非集束光)は、通常のホログラム記録と同様にビームスプリッタBS1により信号光Ob1と参照光Re1とに分岐される。参照光Re1は、通常のホログラムと同様にホログラム記録媒体H1を照射するように構成されている。ここでは、参照光Re1がホログラム記録媒体H1に照射されるように、ミラーM2によりその光路が決められている。
上記参照光Re1は非集束光とし、さらに波面は平面波であって、なんら変調は受けていないものとする。なお、たとえば、この参照光Re1を、位相多重が可能な状態に構成する、或いは、角度多重が可能となるように構成することもできるが、本実施形態ではこれらの形態については特に限定しない。また、レンズを用いて参照光をホログラム記録媒体H1上に集光することも可能であるが、これも本実施形態では特に限定はしない。
一方、信号光Ob1は光路を調整するためのミラーM1によって反射された後、レンズL1によって焦点f1に集光される。この集光位置には、空間変調器SLM1が設置されている。この空間変調器SLM1は透過型のもので、液晶の2次元配列を用いてビットデータを多重化したものが使われることが一般的である。複雑さを避けるために上記の液晶配列型変調器を用いず、スポットの位置にピンホール状に用意した透過、半(非)透過の区別によって1ビットのデータを表すものであってもよい。信号光Ob1は空間変調器SLM1を通るときに表示パターン(データページ)により空間変調され、このパターンが信号光上に転写される。
空間変調器SLM1を経た信号光は、空間変調器SLM1より2×f2離れた位置にある焦点f2のレンズL2に入射される。これにより、信号光は再度集光されてレンズL2より2×f2だけ離れたホログラム記録媒体H1上に照射される。ホログラム記録媒体H1上では、上記の信号光と参照光が集光されて2つの光の干渉に応じた光強度分布が発生する。これの強度分布はホログラム層を形成する光誘起屈折媒体材料に干渉縞として記録される。
次にレンズL2と空間変調器SLM1の間の長さを2×f2からδxだけ小さくする。このときδxを適当にとれば、レンズL2を通した像はL2から2×f2−δx(δxが充分小さいときの近似で)の位置に出来るので、ホログラム記録媒体H1上にできる干渉縞は、δx=0のときと異なるものとなる。これらの干渉縞から、後述する再生方法(再生装置)によって像を再生すると、各信号光の再生光は焦点の位置が異なるため、異なるδxで再生した像はピンボケを起こす。その結果、焦点の異なる再生光ごとに再生像を分離することが可能になる。
本実施形態によれば、空間変調器SLM1に表示されたデータページ(データ或いはデータ配列により構成される)により空間変調された信号光をレンズL2によりホログラム記録媒体H1に集光する際に、レンズL2を光軸方向に適当な距離移動させることにより信号光の焦点の位置を変化させ、変化させる毎に信号光を異なるデータページにより空間変調することで、複数のデータページをホログラム記録媒体H1の同一記録領域に多重記録することができる。
尚、空間変調器SLM1は図示を略したコンピュータなどに接続され、このコンピュータからデータが供給されるものとする。
図3は、本発明の第2の実施形態に係るホログラフィック情報記録装置の構成を示したブロック図である。但し、第1の実施形態と同様の部分には同一符号を付して説明する。本ホログラフィック情報記録装置は、レーザ光源LD1と、ビームスプリッタBS1、BS2、BS3と、透過型の空間変調器SLM1、SLM2、SLM3と、レンズL3、L4、L5、L6と、ミラーM1、M2と、ハーフミラーM3、M4と、ホログラム記録媒体H1によって構成されている。
次に本実施形態の動作について説明する。レーザ光源LD1から出力されたレーザ光(平面波、非集束光)は、通常のホログラム記録と同様にビームスプリッタBS1、BS2、BS3により信号光Ob1、Ob2、Ob3と参照光Re1とに分岐される。参照光Re1は、通常のホログラムと同様にホログラム記録媒体H1を照射するように構成されている。ここでは、参照光Re1がホログラム記録媒体H1に照射されるように、ミラーM2を用いて光路が決められている。また、参照光Re1は非集束光とし、さらに波面は単なる平面波であって、なんら変調は受けていないものとする。
なお、たとえば、この参照光Re1を位相多重が可能な状態に構成する、或いは、角度多重が可能となるように構成することもできるが、本実施形態ではこれらの構成については特に限定しない。また、レンズを用いて参照光Re1をホログラム記録媒体H1上に集光することも可能であるが、これも本実施形態では特に限定はしない。
一方、ビームスプリッタBS1、BS2、BS3によって分離された参照光Ob1、Ob2、Ob3は、それぞれ別々にレンズL3、L4、L5に入射される。従って、信号光Ob1、Ob2、Ob3は、図3の光学系では、それぞれ別の位置に焦点を生じるため三つの焦点が発生するが、この三つの焦点の位置が、SLM1、SLM2、SLM3の位置に一致するように調整する。この調整は、例えばレンズL3、L4、L5の焦点距離を変更し、或いは、配置する位置を微調整することによって行う。
空間変調器SLM1、SLM2、SLM3は、透過型のもので、さらに様々な問題を避ける為に、中心に0、1を現す透過率変化を実現できる変調器があって、それ以外の場所は透明材料であるものとする。
空間変調器SLM1、SLM2、SLM3を経た信号光Ob1、Ob2、Ob3はレンズL4に入射されて、再び集光されるが、その焦点はそれぞれ異なるものとなる。したがって、ホログラム記録媒体H1にはそれぞれ異なる干渉縞が記録される。これらを再生すると、異なる焦点位置にあった空間変調器SLMの状態を再生した像は、ピンボケを起こすため焦点の位置によって像を区別することが可能になり、多重記録が実現される。
本実施形態では、焦点の異なる複数の集束光Ob1、Ob2、Ob3を同時に生成してホログラム記録媒体H1に照射することができ、多重記録速度を第1の実施形態のそれに比べて向上させることができる。また、レンズを移動させる機械的な可動部分がないため、装置の信頼性を向上させることができる。さらに第1の実施形態のように多重露光を必要とせず、一度に多重露光に相当することが実現できるため、第1の実施形態と比べて、ホログラム記録媒体H1での感光時間の調整を格段に容易にすることができる。また、参照光の多重化によくあるような多重露光によってホログラム記録媒体H1上に生成される干渉縞が消えてしまうなどの課題を回避することができる。また、レンズを移動させる機械的な可動部分がないため、装置の信頼性を向上させることができる。また、空間変調器SLM1、SLM2、SLM3は、それぞれ図示を略したコンピュータなどに接続され、このコンピュータからデータが供給されるものとする。
また、空間変調器SLMには、液晶等の電気光学変換材料の両面に透明電極を形成した透過型の空間変調器を用いることができる。たとえば、プロジェクタ用の液晶パネルを挙げられる。これらの液晶パネルは、液晶の両面に電極を形成した透過型の液晶セルを備え、さらに液晶セルの両側には、偏光板が配置されている。
また、この多重記録方式は、位相多重や、角度多重や、シフト多重など、他の参照光を多重化する多重記録方式と併用して実施することも可能である。
図4は、本発明の第3の実施形態に係るホログラフィック情報記録装置の構成を示したブロック図である。但し、第2の実施形態と同様の部分には同一符号を付して説明する。本ホログラフィック情報記録装置は、レンズL3、L4、L5の位置を上記の図3に示した位置からビームスプリッタBS1、BS2、BS3とミラーM1、ハーフミラーM3、M4の間に移動した構成とすることにより、レンズL3、L4、L5の配置が第2の実施形態に比べて、焦点の異なる他の信号に影響しないようになる。それ故、これらレンズの調整が格段に容易になり、信号光Ob1、Ob2、Ob3の焦点の調整を図3の構成に比べて容易にすることができ、装置の操作性を向上させることができる。他の効果は図3に示した第2の実施の形態と同様である。
図5は、本発明の第4の実施形態に係るホログラフィック情報再生装置の構成を示したブロック図である。本実施形態のホログラフィック情報再生装置は、レーザ光源LD1と、ミラーM2と、移動可能なレンズL8と、ホログラム記録媒体H1と、電荷結合素子カメラCCD1によって構成されている。ここで、ホログラム記録媒体H1は、上記した第1、第2の実施形態で説明したいずれの記録方式で記録されたものであってもよい。
レーザ光源LD1から出力されたレーザ光(平面波、非集束光)は、ミラーM2を経てホログラム記録媒体H1に再生参照光として照射される。これにより、通常のホログラム再生同様、信号光の方向、すなわち、レンズL8の方向に回折が生じて再生光が生成される。この再生光は、第1、第2の実施形態の方法でデータが多重記録されたホログラム記録媒体H1の再生像なので平面波ではなく、幾つかの異なる中心を持った球面波となって放射状に広がっていき、レンズL8に入射される。
レンズL8は、記録時のレンズL2とほぼ同じ位置に配置しておく。これにより、レンズL8はホログラム記録媒体H1から広がっていった再生光を再び集めて集光する。そして図1の記録装置で空間変調器SLM1が配置されていた場所におかれた電荷結合素子カメラCCD1面に集光される。以上によって記録された多重情報の一つは再生されるが、このとき他の球面波からの情報はピンボケしている。それ故、多重記録時の焦点が異なる信号光の影響は、電荷結合素子カメラCCD1上では充分小さい。これにより、電荷結合素子カメラCCD1に焦点が合っている信号光に転写された情報のみが再生される。
次にたとえば電荷結合素子カメラCCD1の位置を固定し、レンズL8の位置のみを移動する。これにより、他の再生光の焦点が電荷結合素子カメラCCD1の位置で合って、このとき電荷結合素子カメラCCD1は、この信号光を受光して転写されているデータを再生する。同様に、レンズL8の位置を順次動かして、さらに他の信号光の焦点を電荷結合素子カメラCCD1上に位置させることにより、ホログラム記録媒体H1に多重されたデータ、或いはデータ配列が電荷結合素子カメラCCD1により順に再生されていく。以上によって、多重化された再生像を読み出すことができる。
本実施形態によれば、第1、第2の実施形態でホログラム記録媒体H1に多重記録された複数のデータページの中から所望の一枚をレンズL8を光軸方向に移動して分離することができる。
なお、上記実施形態ではレンズL8を光軸方向に移動して、焦点が異なる再生光を分離したが、レンズL8を固定し、電荷結合素子カメラCCD1の位置を光軸方法に移動して、焦点が異なる再生光のそれぞれの焦点に電荷結合素子カメラCCD1を位置させることにより、焦点が異なる信号光に対応する再生光に転写されているデータを分離して再生することができる。
図6は、本発明の第5の実施形態に係るホログラフィック情報再生装置の構成を示したブロック図である。但し、第4の実施形態と同様の部分には同一符号を付して説明する。ホログラフィック情報再生装置は、ミラーM1、M2と、ハーフミラーM3、M4と、レンズL8、L9、L10、L11、L12、L13、L14と、ホログラム記録媒体H1と、電荷結合素子カメラCCD1、CCD2、CCD3によって構成されている。ここで、ホログラム記録媒体H1は、上記した第1、第2の実施形態で説明したいずれの記録方式で記録されたものであってもよい。
次に本実施形態の動作について説明する。レーザ光源LD1から出力された非集束光は、ミラーM2を経てホログラム記録媒体H1に再生参照光Re1として照射される。これにより、通常のホログラム再生同様、信号光の方向、すなわち、レンズL8の方向に回折が生じて再生光が発生する。この再生光は、第1または第2の実施形態で記録されたホログラム記録媒体H1の再生像なので集束光であり、幾つかの異なる中心を持った球面波となって放射状に広がっていく。
レンズL8は、記録時の対物レンズとほぼ同じ位置に配置しておく。これにより、レンズL8はホログラム記録媒体H1から広がっていった再生光を再び集めて集光する。焦点を通過して広がった再生光は再生分離用のレンズL11、L10、L9により平面波になり、ハーフミラーM4により一部が反射してその進行方向が変更され、レンズL14により電荷結合素子カメラCCD3に集光され、さらに、ハーフミラーM3により再生光の一部が反射してその進行方向が変更され、レンズL13により電荷結合素子カメラCCD2に集光される。最後に、ミラーM1により再生光が反射してその進行方向が変更され、レンズL12により電荷結合素子カメラCCD1に集光される。
ここで、ホログラム記録媒体H1から発生する再生光は、異なる焦点を有する信号光に対応して記録されてホログラムに対応する再生光をすべて含んでいるが、レンズL12、L13、L14は焦点距離や配置される位置により、それぞれの再生光を分離して電荷結合素子カメラCCD1、CCD2、CCD3に集光するように調整されている。
これにより、ホログラム記録媒体H1に信号光の焦点位置が異なるようにして多重記録されたデータページがそれぞれ分離されて、電荷結合素子カメラCCD1〜CCD3により受光される。各電荷結合素子カメラでは、その画素と、記録時の空間変調器の画素の位置が調整されて元のデータページが検出されることで、多重記録されたデータが再生される。以上のようにして検出されたデータはパソコンなどに取り込まれる。
本実施形態によれば、再生参照光Re1をホログラム記録媒体H1に照射するだけで、ホログラム記録媒体H1に多重記録された複数のデータページを同時に再生することができる。その際に、第3、第4の実施形態のようにレンズなどの光学部品を移動させることがないため、装置の信頼性を向上させることができる。
図7は、本発明の第6の実施形態に係るホログラフィック情報再生装置の構成を示したブロック図である。但し、第4の実施形態と同様の部分には同一符号を付して説明する。本ホログラフィック情報再生装置は、レンズL16、L17、L18の挿入位置を第5の実施形態の位置からビームスプリッタBS1、BS2、BS3とミラーM1、ハーフミラーM3、M4の間に移動した構成を有している。
本実施形態の構成によれば、レンズL16、L17、L18の配置が第4の実施形態に比べて、他の焦点を有する再生光に影響されずに、これらレンズを独立に調整することができ、各再生光の集光点を対応する電荷結合素子カメラCCD1〜CCD3に容易且つ精度よく合わせることができ、装置の操作性を向上させることができる。
尚、本発明は上記実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲において、具体的な構成、機能、作用、効果において、他の種々の形態によっても実施することができる。例えば、上記実施形態は信号光の3次元的要素を利用した多重化であるため、位相多重、シフト多重、角度多重などの参照光側を操作して得られる多重化と併用することができ、従来よりも高密度なホログラムメモリを実現することができる。
50……透明基板、51……記録層、BS1〜BS3……ビームスプリッタ、CCD1〜CCD3……電荷結合素子カメラ、H1……ホログラム記録媒体、L1〜L18……レンズ、LD1……レーザ光源、M1、M2……ミラー、M3、M4……ハーフミラー、SLM1〜SLM3……空間変調器。
Claims (12)
- 情報によって空間変調された信号光と参照光の干渉縞をホログラム記録媒体に記録するホログラフィック情報記録方法であって、
前記ホログラム記録媒体に対向配置されるレンズを光軸方向に移動することで、同一光軸をもつ複数の焦点の異なる集束光を生成し、
これらの集束光の波面を、それぞれ異なるデータあるいはデータ配列に基づいて空間変調を施した後、前記ホログラム記録媒体に照射して多重露光を実現する、
ことを特徴とするホログラフィック情報記録方法。 - 情報によって空間変調された信号光と参照光の干渉縞をホログラム記録媒体に記録するホログラフィック情報記録方法であって、
元のレーザ光を分岐して複数の信号光を生成し、これら信号光をそれぞれレンズを用いて焦点の異なる集束光に変換して、
得られた集束光の波面を、それぞれ異なるデータあるいはデータ配列に基づいて空間変調を施した後、前記ホログラム記録媒体に照射して多重露光を実現する、
ことを特徴とするホログラフィック情報記録方法。 - 信号光と再生光の干渉縞を記録するホログラム記録媒体であって、
異なる位置に焦点を有する2つ以上の集束光からなる信号光と参照光で生成される複数の干渉縞を同一記憶領域に多重記録したことを特徴とするホログラム記録媒体。 - 情報によって空間変調された信号光と参照光の干渉縞をホログラム記録媒体に記録するホログラフィック情報記録装置であって、
複数の焦点の異なる集束光で形成される信号光を生成する信号光生成手段と、
前記生成される集束光をそれぞれ異なるデータあるいはデータ配列により空間変調する変調手段と、
前記空間変調された信号光を前記ホログラム記録媒体に照射する照射手段とを具備し、
前記信号光生成手段は、前記ホログラム記録媒体に対向配置される対物レンズを光軸方向に移動させて、同一光軸をもつ複数の焦点の異なる集束光を生成するように構成されている、
ことを特徴とするホログラフィック情報記録装置。 - 情報によって空間変調された信号光と参照光の干渉縞をホログラム記録媒体に記録するホログラフィック情報記録装置であって、
複数の焦点の異なる集束光で形成される信号光を生成する信号光生成手段と、
前記生成される集束光をそれぞれ異なるデータあるいはデータ配列により空間変調する変調手段と、
前記空間変調された信号光を前記ホログラム記録媒体に照射する照射手段とを具備し、
前記信号光生成手段は、元のレーザ光を分岐して複数の信号光を生成し、これら信号光をそれぞれレンズを用いて焦点の異なる集束光に変換するように構成されている、
ことを特徴とするホログラフィック情報記録装置。 - 異なる位置に焦点をもつ複数の集束光から成る信号光と参照光により生じる干渉縞をホログラム記録媒体の同一領域に多重記録したホログラム記録媒体に、参照光を照射して情報を再生するホログラフィック情報再生方法であって、
前記再生参照光を前記ホログラム記録媒体の記録領域に照射して複数の焦点の異なる集束光を再生し、
前記ホログラム記録媒体に対向配置されるレンズを光軸方向に移動することで、前記集束光を順に分離し、
前記分離された集束光をそれぞれ受光素子で信号に変換して、元の情報を得る、
ことを特徴とするホログラフィック情報再生方法。 - 異なる位置に焦点をもつ複数の集束光から成る信号光と参照光により生じる干渉縞をホログラム記録媒体の同一領域に多重記録したホログラム記録媒体に、参照光を照射して情報を再生するホログラフィック情報再生方法であって、
前記再生参照光を前記ホログラム記録媒体の記録領域に照射して複数の焦点の異なる集束光を再生してレンズに通し、
前記レンズに対向配置される受光素子を光軸方向に移動することで、前記集束光を順に分離し、
前記分離された集束光をそれぞれ前記受光素子で信号に変換して、元の情報を得る、
ことを特徴とするホログラフィック情報再生方法。 - 異なる位置に焦点をもつ複数の集束光から成る信号光と参照光により生じる干渉縞をホログラム記録媒体の同一領域に多重記録したホログラム記録媒体に、参照光を照射して情報を再生するホログラフィック情報再生方法であって、
前記再生参照光を前記ホログラム記録媒体の記録領域に照射して複数の焦点の異なる集束光を再生して前記集束光をそれぞれ分離した後に分岐して、
これら集束光をそれぞれレンズを用いて対応する受光素子に集光して信号に変換して、元の情報を得る、
ことを特徴とするホログラフィック情報再生方法。 - 前記集束光の分離は、前記再生光を再度集光して集束光の成分ごとに異なる位置に集束させて、
各集束光の焦点に、その焦点径程度のピンホールを配置して他成分を除去することでなされる、
ことを特徴とする請求項8記載のホログラフィック情報再生方法。 - 異なる位置に焦点をもつ複数の集束光から成る信号光と参照光により生じる干渉縞をホログラム記録媒体の同一領域に多重記録したホログラム記録媒体に、参照光を照射して情報を再生するホログラフィック情報再生装置であって、
前記ホログラム記録媒体から回折光を生成するための参照光を前記ホログラム記録媒体に照射する照射手段と、
前記参照光が照射されたホログラム記録媒体の記録領域から生成される複数の焦点の異なる集束光を分離する分離手段と、
前記分離された再生光から再生データを得る受光手段とを具備し、
前記分離手段は、前記記録領域から生成される複数の焦点の異なる集束光を前記ホログラム記録媒体に対向配置されるレンズを光軸方向に移動して順に分離することでなされる、ことを特徴とするホログラフィック情報再生装置。 - 異なる位置に焦点をもつ複数の集束光から成る信号光と参照光により生じる干渉縞をホログラム記録媒体の同一領域に多重記録したホログラム記録媒体に、参照光を照射して情報を再生するホログラフィック情報再生装置であって、
前記ホログラム記録媒体から回折光を生成するための参照光を前記ホログラム記録媒体に照射する照射手段と、
前記参照光が照射されたホログラム記録媒体の記録領域から生成される複数の焦点の異なる集束光を分離する分離手段と、
前記分離された再生光から再生データを得る受光手段とを具備し、
前記分離手段は、前記受光手段を光軸方向に移動して、焦点の異なる集束光を順に分離する、
ことを特徴とするホログラフィック情報再生装置。 - 異なる位置に焦点をもつ複数の集束光から成る信号光と参照光により生じる干渉縞をホログラム記録媒体の同一領域に多重記録したホログラム記録媒体に、参照光を照射して情報を再生するホログラフィック情報再生装置であって、
前記ホログラム記録媒体から回折光を生成するための参照光を前記記録媒体に照射する照射手段と、
前記参照光が照射されたホログラム記録媒体の記録領域から生成される複数の焦点の異なる集束光を分離する分離手段とを具備し、
前記分離手段は、前記記録領域から生成される複数の焦点の異なる集束光をそれぞれ分岐して複数の再生光を生成し、これら集束光をそれぞれレンズを用いて対応する受光素子に受光させて情報を再生するように構成されている、
ことを特徴とするホログラフィック情報再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005011418A JP2006202378A (ja) | 2005-01-19 | 2005-01-19 | ホログラフィック情報記録方法、ホログラフィック情報記録装置、ホログラム記録媒体、ホログラフィック情報再生方法および、ホログラフィック情報再生装置 |
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ID=36960253
Family Applications (1)
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JP2005011418A Pending JP2006202378A (ja) | 2005-01-19 | 2005-01-19 | ホログラフィック情報記録方法、ホログラフィック情報記録装置、ホログラム記録媒体、ホログラフィック情報再生方法および、ホログラフィック情報再生装置 |
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JP (1) | JP2006202378A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008251132A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Sony Corp | 光ディスク装置及び情報再生方法 |
-
2005
- 2005-01-19 JP JP2005011418A patent/JP2006202378A/ja active Pending
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