JP2006201707A - 電気光学装置及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 例えば液晶装置等の電気光学装置において、複数系列のイネーブル信号相互間の系列差を低減することにより、高品質な表示を可能とする。
【解決手段】 電気光学装置は、基板上に、複数の走査線に走査信号を供給して画素部の水平走査を行う走査線駆動部と、複数のデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動部と、走査線駆動部に複数系列のイネーブル信号を供給する複数本の第1のイネーブル供給線とデータ線駆動部に複数系列のイネーブル信号を供給する複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方と、前記画像信号を前記データ線駆動部に供給する画像信号線を含む複数の引回配線とを備える。複数本の第1のイネーブル供給線と複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、データ線駆動部及び走査線駆動部の少なくとも一方へ引き回される途中の少なくとも一箇所において複数本のイネーブル供給線同士が互いに交差している。
【選択図】 図3
【解決手段】 電気光学装置は、基板上に、複数の走査線に走査信号を供給して画素部の水平走査を行う走査線駆動部と、複数のデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動部と、走査線駆動部に複数系列のイネーブル信号を供給する複数本の第1のイネーブル供給線とデータ線駆動部に複数系列のイネーブル信号を供給する複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方と、前記画像信号を前記データ線駆動部に供給する画像信号線を含む複数の引回配線とを備える。複数本の第1のイネーブル供給線と複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、データ線駆動部及び走査線駆動部の少なくとも一方へ引き回される途中の少なくとも一箇所において複数本のイネーブル供給線同士が互いに交差している。
【選択図】 図3
Description
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えて構成される、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
この種の電気光学装置では、例えばその基板上に、データ線を駆動するためのデータ線駆動回路や走査線を駆動するための走査線駆動回路等が作り込まれる。即ち、この場合には、電気光学装置は、駆動回路内蔵型として構築される。その動作時には、データ線駆動回路は、画像信号線に供給される画像信号をサンプリングパルスのタイミングでサンプリングし、データ線に供給するように構成されている。ここで特に高い駆動周波数になると、サンプリングに用いられる時間的に相前後するサンプリングパルスの先端と後端とが僅かに重なってしまうため、相異なる時間にサンプリングされる筈の画像信号が部分的に重畳されてデータ線に供給されてしまう。この結果、解像度劣化やゴーストが発生する。
このため従来から、高い駆動周波数に追従して高精細な画像表示を実現するために、サンプリングパルスの各パルスを、順に選択される複数系列のイネーブル信号により夫々規定する技術がある。但し、サンプリングパルスの位相がずれると、やはり、相異なる時間にサンプリングされる筈の画像信号が重畳されてしまい、解像度劣化やゴーストが発生することがある。例えば特許文献1に記載された技術によれば、シフトレジスタ出力(一次クロック信号)を、二次クロック信号で整形してサンプリングパルスを生成し、サンプリングスイッチの開閉制御に用いる。この場合、サンプリングパルスのばらつきは、二次クロック信号のばらつき内に収められる。
しかしながら、サンプリングパルスの形状やパルス幅は、イネーブル信号の系列間誤差に起因して系列毎に異なる場合がある。その場合は、表示面に系列に対応した筋状の輝度斑が発生するおそれがあるが、特許文献1に記載されているような技術はこうした問題に十分に対応していない。駆動周波数が高くなる程、このようなイネーブル信号の系列間誤差の影響は相対的に増大するので、この問題は深刻さを増す。尚、以上の問題は液晶装置に限ったものではなく、他の電気光学装置であっても原理的に同様の問題が生じる可能性がある。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、複数系列のイネーブル信号相互間の系列差を低減することにより、高品質な表示を可能とする電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、互いに交差して延びる複数のデータ線及び複数の走査線と、前記データ線及び前記走査線に夫々電気的に接続され表示面を構成する複数の画素部と、前記複数の走査線に走査信号を供給して前記画素部の水平走査を行う走査線駆動部と、前記複数のデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動部と、前記走査線駆動部に複数系列のイネーブル信号を供給する複数本の第1のイネーブル供給線と前記データ線駆動部に複数系列のイネーブル信号を供給する複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方と、前記画像信号を前記データ線駆動部に供給する画像信号線とを備えており、前記データ線駆動部及び前記走査線駆動部の少なくとも一方は、(i)所定周期のクロック信号に基づいて複数の段から夫々転送信号を順次出力するシフトレジスタ、(ii)前記順次出力された転送信号における各パルスのパルス幅を、該パルス幅よりも狭い、前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方から供給される前記複数系列のイネーブル信号の夫々が有するパルス幅に制限するパルス幅制限手段、及び(iii)前記パルス幅が制限された転送信号に応じて、前記画像信号及び前記走査信号の少なくとも一方を供給する供給手段を含み、前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、前記データ線駆動部及び前記走査線駆動部の少なくとも一方へ引き回される途中の少なくとも一箇所において前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方同士が互いに交差している。
本発明の電気光学装置によれば、その動作時に、走査線駆動部による水平走査で選択された画素部列に、データ線駆動部からデータ線を通じて画像信号が供給され、データが書き込まれる。これらにより、複数の画素部における、アクティブマトリクス駆動等の所定種類の動作が可能となる。
この際、例えば「データ線駆動部」では、シフトレジスタによって、転送信号が出力され、そのパルス幅が、パルス幅制限手段によって、複数系列のイネーブル信号のパルス幅に制限される。これらにより、パルス幅が一定となるように制限された転送信号が、サンプリングパルスとして得られる。このサンプリングパルスに応じて、例えばサンプリング手段によって、画像信号がサンプリングされ、サンプリングされた画像信号が対応するデータ線に入力される。尚、「サンプリングパルス」とは、画像信号線に供給される画像信号をデータ線に選択的に供給するためのサンプリングの際のタイミング制御用の信号であり、一般には、画像信号線とデータ線との間に設けた、サンプリング手段の一例たる、サンプリングスイッチの開閉を制御するように構成されている。また、シフトレジスタからの転送信号は各段から「順次」出力されるが、これは、各段から次々に出力される、といった意味であり、必ずしも、転送信号の時系列が各段の物理的な配列と対応している場合に限定されない。また、幾つかのサンプリングスイッチを一グループとして、同一サンプリングパルスにより同時開閉してもよい。
また例えば、データ線駆動部における上述の如きイネーブル信号を用いた動作に加えて又は代えて、「走査線駆動部」では、シフトレジスタによって、転送信号が出力され、そのパルス幅が、パルス幅制限手段によって、複数系列のイネーブル信号のパルス幅に制限される。これらにより、パルス幅が一定となるように制限された走査信号の出力が可能となる。
このように、転送信号は、データ線駆動部や走査線駆動部において、高周波化の常套手段として、複数系列のイネーブル信号によって整形される。即ち、転送信号のパルス幅は、より幅が狭い、複数系列のイネーブル信号のパルス幅によって制限される。ここで「複数系列」というのは、例えば同一構成又は異なる構成を有すると共に相互に独立して設けられる、複数のイネーブル信号生成回路や複数のイネーブル信号供給経路など、信号の発生起源又は供給経路が互いに異なっていることを指しており、最終的に重畳されて一つの連続信号として取り扱われる場合であっても、この概念に含まれる。そのような場合には、たとえ元々同一波形であることが意図されていても、回路素子の特性や素子や配線の電気的影響によって波形が僅かながら異なることがあり得る。複数系列のイネーブル信号は互いに独立した信号として取り扱うことができるため、一つの転送信号を時分割して複数の信号線に分配供給することができる。但し、仮にこのような複数系列のイネーブル信号を用いた波形整形のみでは、系列差に起因して表示上の不具合が生じるおそれがある。例えば、データ線駆動部では、イネーブル信号のパルス形状が画像信号に反映されるため、系列間でのパルス幅の違いが輝度差として顕在化し、表示品質を低下させることがある。具体的には、系列周期に対応する縦筋状の輝度斑となって現れる。
しかるに本発明では、複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、データ線駆動部及び走査線駆動部の少なくとも一方へ引き回される途中の少なくとも一箇所において前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方同士が互いに交差している。ここに本発明に係る「互いに交差」或いは「互いに交差している」とは、基板上で平面的に見て、一の方向に束になって延びる複数のイネーブル供給線について、各イネーブル供給線が、他のイネーブル供給線と立体的に交差して、基板上における配列順序が循環的に入れ替わることを意味する。
より具体的には、広義には「互いに交差」或いは「互いに交差している」とは、一の方向に束になって配列されており、この一の方向に交差する方向についての、いずれかの片側を基準としての順番が、互いに交差される個所以前で夫々、第i番目(但し、i=1、…、N、Nは2以上の自然数)である複数本のイネーブル供給線を想定した場合、互いに交差される個所内では、第1番目のイネーブル供給線が、他のイネーブル供給線と交差して、それまで、例えば第N番目など第1番目以外の他のイネーブル供給線が配線されていた位置に入れ替わり、これに対応して該他のイネーブル供給線は夫々、例えばそれまで自らより一番ずつ若い順番など、それまで自らとは異なる他のイネーブル供給線が配線されていた位置に入れ替わることを意味する。
また狭義には「互いに交差」或いは「互いに交差している」とは、上述した広義の意味での「互いに交差」が、N回だけ行なわれること、即ち、順番の変更を一巡させることを意味する。言い換えれば、広義の「互いに交差」が一巡して行なわれることで、複数本のイネーブル供給線が「互いに交差」以前と以後とで、順番が不変であることを意味する。狭義の「互いに交差」が実施されているとは、複数本のイネーブル供給線が、複数本と同数の個所において、広義の「互いに交差」が繰り返して実施されているのと言い換えることも可能である。
このように互いに交差されているので、イネーブル供給線の周囲における回路素子の特性や素子や配線の電気的影響によって一のイネーブル供給線に対して生じる悪影響は、他のイネーブル供給線を含めた全イネーブル供給線において、大なり小なり均等化されることになる。即ち、複数本のイネーブル供給線が互いに交差されているので、これらの配線間における容量カップリングにより、或いは、これらの配線間でコンデンサ構造が構築されることになるので、一のイネーブル供給線で受けた波形の振れやノイズが、他のイネーブル供給線にも順繰りに伝わるのである。よって、一のイネーブル供給線における主に外的要因に基づく波形の揺らぎや変形、或いは雑音等は、互いに交差されている個所において、他のイネーブル供給線にも大なり小なり伝搬されるので、少なくとも複数系列のイネーブル信号の系列差が縮小されることになる。このようなイネーブル供給線の「互いに交差」によって、例えば、イネーブル信号の各パルスの幅や間隔(即ち、周波数)、立ち上がり時及び立ち下がり時の歪み具合を含めた形状等はほぼ一定となる。少なくとも、「互いに交差」を実施しない場合と比べると、極めて顕著に複数系列のイネーブル信号間におけるパルス幅等は均一になる。
そのため、上述の如く互いに交差された複数本のイネーブル供給線を介して供給されるイネーブル信号を用いてのパルス幅の制限によって、最終的に転送信号における各パルスの幅は均一化される。加えて、前述した「狭義の互いに交差」が施されている場合には、複数本のイネーブル供給線間における波形の揺らぎ等の均一化が、一層促進されることになるので、本発明に係る「互いに交差」による効果は、より大きいことになる。但し、前述した「広義の互いに交差」が施されている場合にも、複数本のイネーブル供給線間における波形の揺らぎ等の均一化が相応に促進されることになるので、本発明に係る「互いに交差」による効果は、相応に得られることになる。要すれば、本発明に係る「互いに交差」は、前述した「広義の互いに交差」でもよいし、「狭義の互いに交差」でもよく、特に後者の場合には絶大なる効果が期待できるというものであり、前者を除外するものではない。加えて、このような狭義の互いに交差が、イネーブル供給線の一区間又は大半の区間若しくは全区間に渡って繰り返して施されている場合についても勿論、本発明から除外されるものではない。尚、本明細書中において、「スクランブル」及び「スクランブルされている」を夫々、本発明に係る「互いに交差」及び「互いに交差されている」の意味として適宜用いる。
従って、例えば「データ線駆動部」では、以上のようにパルス幅が整形された転送信号に応じて、即ち、この信号をサンプリングパルスとして、画像信号のサンプリングが行われることから、データ線に供給される画像信号は、パルス幅が一定化される。或いは、例えば「走査線駆動部」では、以上のようにパルス幅が整形された転送信号に応じて、走査信号の出力が行われることから、走査信号は、パルス幅が一定化される。この際、転送信号の処理に際して複数系列のイネーブル信号を用いながらも、これらの系列差に起因する輝度斑を殆ど又は実践上全く生じさせないで済む。
以上の結果、本発明の電気光学装置によれば、イネーブル信号を極めて有効に利用しつつ、その欠点である、複数系列のイネーブル信号相互間の系列差を低減することで、最終的には、高品位の画像を表示可能となる。
本発明の電気光学装置の一態様では、前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方の途中に静電保護回路を備え、前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、前記静電保護回路と前記データ線駆動部及び前記走査線駆動部のうち少なくとも一方との間において、互いに交差している。
この態様によれば、製造中や製造後において不測の静電気が外部回路接続端子に印加されてしまった場合にも、静電保護回路が備えられているので、互いに交差された個所にコンデンサ構造が存在しても、ここで静電破壊が発生するのを極めて効果的に防止できる。仮に、静電保護回路がない、或いは静電保護回路及び外部回路接続端子間で複数のイネーブル供給線が互いに交差されていたとすれば、互いに交差された個所に存在するコンデンサ構造において、その個別具体的な構造に応じて静電破壊が大なり小なり発生し易くなってしまうのである。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、前記互いに交差している個所と異なる個所において、同一導電層から形成されており、前記互いに交差している個所内において、一本のイネーブル供給線の一部が、前記同一導電層に層間絶縁膜を介して積層された他の導電層から形成されると共に、該一本のイネーブル供給線の他部及び他のイネーブル供給線が、前記同一導電層から形成されている部分を含み、前記一本のイネーブル供給線の一部と前記一本のイネーブル供給線の他部とは、前記層間絶縁膜に開孔されたコンタクトホールにより相互に電気的に接続されており、前記一本のイネーブル供給線の一部は、前記互いに交差している個所内において、前記他のイネーブル供給線と前記層間絶縁膜を介して交差している。
この態様によれば、イネーブル供給線の一部と他のイネーブル供給線とが、層間絶縁膜を介して交差しているので、互いに交差している個所内において、係る層間絶縁膜を誘電体膜として且つイネーブル供給線の一部を一方の容量電極とすると共に他のイネーブル供給線を他方の容量電極として、コンデンサ構造を比較的容易にして実現できる。よって、上述した本発明に係る「互いに交差」による効果を増進させることが可能となる。
この態様では、前記一本のイネーブル供給線の他部は、前記基板上で平面的に見て、前記一本のイネーブル供給線の一部の延びる方向に対して斜めである第1方向に、斜めに延びており、前記他のイネーブル供給線は夫々、前記基板上で平面的に見て、前記互いに交差している個所内において、前記互いに交差している個所の前後で延びる方向に対して斜めであると共に前記第1方向に交差する第2方向に斜めに延びており且つ前記一本のイネーブル供給線の他部に前記層間絶縁膜を介して交差する斜め部分を含むように構成してもよい。
このように構成すれば、イネーブル供給線の一部と他のイネーブル供給線とが、層間絶縁膜を介して、例えば夫々斜め45度ずつなどで、交差しているので、効率の良い平面レイアウトで、複数本のイネーブル供給線を配線できる。更に、製造工程において、パターニングする際についても、このように交差させることで基板上スペースに余裕が生まれ、しかも、イネーブル供給線の一部と他部とを繋ぐコンタクトホールを開孔する際にも、該コンタクトホールを開孔する基板上スペースを確保し易くなるという実践上非常に大きな利益が得られる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記データ線駆動部は、前記シフトレジスタ、前記パルス幅制限手段及び前記供給手段を含み、前記データ線駆動部は、前記基板上において前記複数の画素部が配列されてなる画像表示領域の周辺に位置する周辺領域のうち前記画像表示領域及び前記辺間に位置する領域において、前記辺に沿って配置されており、前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、前記データ線駆動部における前記シフトレジスタよりも前記画像表示領域に近い回路部分へ引き回されており、前記画像信号線は、前記データ線駆動部における前記パルス幅制限手段よりも前記画像表示領域に近い回路部分へ引き回されており、前記基板上で平面的に見て、前記周辺領域のうち前記画像表示領域及び前記シフトレジスタ間に位置する領域において、前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方及び前記画像信号線は、前記走査線に沿った方向に横並びに延在している。
この態様によれば、イネーブル供給線を、外部回路接続端子から、周辺領域に基板の辺に沿って配置されたデータ線駆動部におけるシフトレジスタよりも後段側にまで、画像信号と交差しないように引き回すことが可能となる。他方、画像信号線を、外部回路接続端子から、周辺領域に基板の辺に沿って配置されたデータ線駆動部におけるパルス幅制限手段よりも後段側にまで、画像信号と交差しないように引き回すことが可能となる。よって、データ線駆動部において、サンプリング回路等の供給手段をデータ線が配線された画像表示領域に近い側に設けるという構成を採用すれば、引回配線について極めて効率的な平面レイアウトを実現できる。ここで特に、画像表示領域及びシフトレジスタ間に位置する領域において、複数本のイネーブル供給線及び画像信号線は、走査線に沿った方向に横並びに延在しているので、これらのイネーブル供給線及び画像信号線間における寄生容量等を介しての電磁気的な相互作用は大きい。このため、この領域で、画像信号線に最も近接する一のイネーブル供給線ついては、画像信号による影響で波形歪み等が生じ易い。しかるに、本発明では、係る一のイネーブル供給線を含めて複数のイネーブル供給線は、互いに交差されているので、係る一のイネーブル供給線で発生する波形歪み等により系列差が生じることを極めて効率的に防止することが可能となる。
しかも、本態様の如く画像表示領域及びシフトレジスタ間に位置する領域にイネーブル供給線及び画像信号線が横並びに延在している構成を採用することで、データ線駆動部において、サンプリング回路等の供給手段によりパルス幅が制限された転送信号をサンプリングパルスとして画像信号をサンプリングする構成を構築するのが極めて容易となる。更に、汎用的な電気光学装置の構成との整合性も取れるので、実践上極めて有利である。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品位の画像を表示可能な、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなど、更には電気光学装置を露光用ヘッドとして用いたプリンタ、コピー、ファクシミリ等の画像形成装置など、各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば、電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)等を実現することも可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
本発明の実施の形態について図1から図8を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
<液晶装置の構成>
先ず、本実施形態における液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、対向基板側から見た液晶装置の平面図であり、図2は、図1のH−H'断面図である。
先ず、本実施形態における液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、対向基板側から見た液晶装置の平面図であり、図2は、図1のH−H'断面図である。
図1及び図2において、液晶装置は、対向配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20とから構成されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
TFTアレイ基板10上における、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域では、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102が、TFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。また、TFTアレイ基板10及び対向基板20の間には、両基板間の電気的導通を確保するための上下導通端子106が配置されている。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用TFTや各種配線等の上に画素電極9aが、更にその上から配向膜が形成されている。他方、対向基板20上の画像表示領域10aには、液晶層50を介して複数の画素電極9aと対向する対向電極21が形成されている。即ち、夫々に電圧が印加されることで、画素電極9aと対向電極21との間には液晶保持容量が形成される。この対向電極21上には、格子状又はストライプ状の遮光膜23が形成され、更にその上を配向膜が覆っている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
データ線駆動回路101は、後に詳述するように、シフトレジスタ、論理回路及びサンプリング回路を含んで構成されているが、このうち例えばサンプリング回路については、図1中で額縁領域53に覆われる額縁領域内に配置されていてもよい。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(ツイステッドネマティック)モード、 STN(スーパーTN)モード、D−STN(ダブル−STN)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。以上が、この液晶装置の構成の概要である。
次に、この液晶装置の主要な構成について図3から図6を参照して説明する。ここに、図3は、当該液晶装置の要部の構成を示している。図4は、図3に示した構成のうち転送信号の整形に関する回路系を表しており、図5は、変形例に係る図4と同趣旨の図である。
図3において、液晶装置は、例えば石英基板、ガラス基板或いはシリコン基板等からなるTFTアレイ基板10と対向基板20(ここでは図示せず)とが液晶層を介して対向配置され、画像表示領域10aにおいて区画配列された画素電極9aに印加する電圧を制御し、液晶層にかかる電界を画素毎に変調する構成となっている。これにより、両基板間の透過光量が制御され、画像が階調表示される。この液晶装置はTFTアクティブマトリクス駆動方式を採り、TFTアレイ基板10における画素表示領域10aには、マトリクス状に配置された複数の画素電極9aと、互いに交差して配列された複数の走査線2及びデータ線3とが形成され、画素に対応する画素部が構築されている。尚、ここでは図示しないが、各画素電極9aとデータ線3との間には、走査線2を介して夫々供給される走査信号に応じて導通、非導通が制御されるTFTや、画素電極9aに印加した電圧を維持するための蓄積容量が形成されている。また、画像表示領域10aの周辺領域には、データ線駆動回路101等の駆動回路、外部回路接続端子102及び静電保護回路103が形成されている。
データ線駆動回路101は、シフトレジスタ51、論理回路55及びサンプリング回路7からなる。シフトレジスタ51は、データ線駆動回路101内に入力される所定周期のX側クロック信号CLX(及びその反転信号CLXB)及びシフトレジスタスタート信号DXに基づいて、各段から転送信号Pi(i=1、…、n)を順次出力するように構成されている。
論理回路55は、本発明の「パルス幅制限手段」の一具体例であり、転送信号Pi(i=1、…、n)を複数系列のイネーブル信号に基づいて整形し、それを基にしてサンプリング回路駆動信号Si(i=1、…、2n)を出力する機能を有している。図4において、論理回路55は、AND回路55Aからなる。AND回路55Aは、シフトレジスタ51から入力される転送信号Pi(i=1、…、n)と、4本のイネーブル供給線81の夫々から供給される複数系列のイネーブル信号ENB1〜ENB4のうちの一つとの論理積を、サンプリング回路駆動信号Si(i=1、…、2n)として出力するように構成されている。論理積を求めることにより、転送信号Pi(i=1、…、n)の波形は、よりパルス幅の狭いイネーブル信号ENB1〜ENB4の波形に基づいてトリミングされ、パルス幅がイネーブル信号のパルス幅に制限される。ここで、イネーブル信号ENB1〜ENB4は、本発明の「複数系列のイネーブル信号」の一例である。
サンプリング回路7は、画像信号線6に供給される画像信号VIDを、基準クロック信号であるサンプリング回路駆動信号Si(i=1、…、2n)に応じてサンプリングし、夫々をデータ信号としてデータ線3に印加する。サンプリング回路7は、例えば図4に示したように、Pチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFT若しくは相補型のTFTから構成されたサンプリングスイッチ71からなる。
尚、ここでは説明の簡便のために画像信号線6は一本とし、いずれのサンプリングスイッチ71もこの画像信号線6から画像信号VIDを供給されるようにしたが、画像信号は、シリアル−パラレル展開(即ち、相展開)されていてもよい。図5に変形例として示すように、画像信号を画像信号VID1〜VID6の6相にシリアル−パラレル展開した場合、これらの画像信号は、6本の画像信号線を夫々介してサンプリング回路7に入力される。複数の画像信号線に対し、シリアルな画像信号を変換して得たパラレルな画像信号を同時供給すると、データ線3への画像信号入力をグループ毎に行うことができ、駆動周波数が抑えられる。
走査線駆動回路104は、マトリクス状に配置された複数の画素電極9aをデータ信号及び走査信号により走査線2の配列方向に走査するために、走査信号印加の基準クロックであるY側クロック信号CLY(及びその反転信号CLYB)及びシフトレジスタスタート信号DYに基づいて生成される走査信号を、複数の走査線2に順次印加するように構成されている。その際には、各走査線2には、両端から同時に電圧が印加される。
尚、クロック信号等の各種タイミング信号は、図示しないタイミングジェネレータにて生成され、TFTアレイ基板10上の各回路に供給される。また、各駆動回路の駆動に必要な電源電圧VDDX、VDDY、VSSY、VSSY、制御信号DIRX、DIRY等もまた外部回路から外部回路接続端子102を介して供給される。更に、上下導通端子106から引き出された信号線には、外部回路から対向電極電位LCCが供給される。対向電極電位LCCは、上下導通端子106を介して対向電極21に供給される。対向電極電位LCCは、画素電極9aとの電位差を適正に保持して液晶保持容量を形成するための対向電極21の基準電位となる。
<液晶装置の駆動方法>
次に、この液晶装置の動作、特に転送信号Pi(i=1、…、n)をサンプリング回路駆動信号Si(i=1、…、2n)に整形する過程について図3から図6を参照して説明する。図6は、図4に示した駆動系における各種信号のタイミングチャートである。
次に、この液晶装置の動作、特に転送信号Pi(i=1、…、n)をサンプリング回路駆動信号Si(i=1、…、2n)に整形する過程について図3から図6を参照して説明する。図6は、図4に示した駆動系における各種信号のタイミングチャートである。
図6のタイミングチャートに示したように、データ線駆動回路101では、先ずシフトレジスタ51から転送信号Pi(i=1、…、n)がP1、P2、…と順に出力される。転送信号Pi(i=1、…、n)の夫々は、AND回路55Aにおいて、イネーブル信号ENB1〜ENB4のいずれかとの論理積をとることによって、そのパルス幅がイネーブル信号ENB1〜ENB4のパルス幅d1に制限される(即ち、イネーブル信号ENB1〜ENB4によって整形される)。転送信号Pi(i=1、…、n)は、シフトレジスタ51に入力されるクロック信号CLX等に応じて出力されることから、その高周波化にはクロック周期による制限のために一定の限界があるが、このように論理回路55にてイネーブル信号との論理積をとることでパルス幅を制限すれば、狭小化することができる。
サンプリング回路駆動信号Si(i=1、…、2n)は、サンプリング回路7のサンプリングスイッチ71群を駆動し、サンプリングスイッチ71に画像信号線6から画像信号VIDを供給する。こうして画像信号VIDはサンプリングされるが、ここでサンプリング回路駆動信号Si(i=1、…、2n)のパルス幅がパルス幅d1に揃っているために、生成されるデータ信号のパルス幅もパルス幅d1に規定されており、また一様に揃えられている。また、サンプリング回路駆動信号Si(i=1、…、2n)のパルス周波数若しくはパルス間隔が所定値をとることから、生成されるデータ信号のパルス周波数若しくはパルス間隔も所定値に規定される。更に、ここではサンプリング回路駆動信号Si(i=1、…、2n)のパルス形状が所定形状に規定されているため、生成されるデータ信号のパルス形状も所定形状に規定される。よって、パルス幅やパルス形状等が適正に制御されたデータ信号を得ることができる。
データ信号は、各データ線3から選択画素列の画素電極9aに印加され、また図示しない蓄積容量を充電又は放電して、データの書き込みを行う。その際、データ信号は、上述したようにパルス幅やパルス形状等が揃っているために輝度を相対的な適正値として表すことができ、表示像におけるパルス幅の差に基づく輝度斑の発生を低減或いは防止することができる。即ち、表示上の輝度は、画素電極9aに供給されるデータ信号の高さ、幅、そして立ち上がり時及び立ち下がり時の歪み具合等によって左右されるからである。
図3に示すように、本実施形態では、特に4本のイネーブル供給線81は、外部回路接続端子102からデータ線駆動回路101へ引き回される途中のスクランブル個所SCR1においてスクランブルされている(つまり、イネーブル供給線81同士が互いに交差している)。仮に4系列のイネーブル信号ENB1〜ENB4を用いた波形整形のみでは、系列差に起因して表示上の不具合が生じるおそれがある。例えば、データ線駆動回路101では、イネーブル信号ENB1〜ENB4のパルス形状が画像信号VIDに反映されるため、系列間でのパルス幅の違いが輝度差として顕在化し、表示品質を低下させることがある。具体的には、系列周期に対応する縦筋状の輝度斑となって現れる。
図3、図7及び図8を参照しつつ、本実施形態に係る「スクランブル」或いは「スクランブルされている」(即ち、「互いに交差」或いは「互いに交差している」)について説明する。図7は、図3の点線円SCR1部分の部分拡大図である。図8(a)、図8(b)及び図8(c)は夫々、図7のA−A’断面図、B−B’断面図及びC−C’断面図である。
図3において、本実施形態では、特に、4本のイネーブル供給線81は、外部回路接続端子102からデータ線駆動回路101へ引き回される途中のスクランブル個所SCR1においてスクランブルされている。
4本のイネーブル供給線81は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、一の方向(図3中、左右方向)に束になって延びている。図7及び図8に示すように、各イネーブル供給線81は、他のイネーブル供給線81と立体的に交差して、TFTアレイ基板10上における配列順序が循環的に入れ替わっている。
より具体的には、図7及び図8に示すように、スクランブル個所SCR1内では、イネーブル供給線81aが、イネーブル供給線81b、81c及び81dと交差して、それまでイネーブル供給線81dが配線されていた位置に入れ替わり、イネーブル供給線81bは、それまでイネーブル供給線81aが配線されていた位置に入れ替わり、イネーブル供給線81cは、それまでイネーブル供給線81bが配線されていた位置に入れ替わり、イネーブル供給線81dは、それまでイネーブル供給線81cが配線されていた位置に入れ替わっている。上述した4本のイネーブル供給線81の配列順序の循環的な入れ替えは、本発明に係る広義の「スクランブル」或いは「スクランブルされている」の一具体例である。
図7において、更に、上述した4本のイネーブル供給線81の配列順序の循環的な入れ替え(広義のスクランブル)は、4個所において、繰り返して実施されているので、4本のイネーブル供給線81がスクランブル以前と以後とで、順番が不変である。このような繰り返しは、本発明に係る狭義の「スクランブル」或いは「スクランブルされている」の一具体例である。
このようにスクランブルされているので、イネーブル供給線81の周囲における回路素子の特性や素子や配線の電気的影響によって一のイネーブル供給線81に対して生じる悪影響は、他のイネーブル供給線81を含めた全イネーブル供給線81において、大なり小なり均等化されることになる。即ち、4本のイネーブル供給線81がスクランブルされているので、これらの配線間における容量カップリングにより、或いは、これらの配線間でコンデンサ構造が構築されることになるので、一のイネーブル供給線81で受けた波形の振れやノイズが、他のイネーブル供給線81にも順繰りに伝わる。よって、一のイネーブル供給線81における主に外的要因に基づく波形の揺らぎや変形、或いは雑音等は、スクランブル個所SCR1において、他のイネーブル供給線81にも大なり小なり伝搬されるので、少なくとも4系列のイネーブル信号ENB1〜ENB4の系列差が縮小されることになる。このようなイネーブル供給線81のスクランブルによって、例えば、イネーブル信号ENB1〜ENB4の各パルスの幅や間隔(即ち、周波数)、立ち上がり時及び立ち下がり時の歪み具合を含めた形状等はほぼ一定となる。少なくとも、スクランブルを実施しない場合と比べると、極めて顕著にイネーブル信号ENB1〜ENB4間におけるパルス幅等は均一になる。
そのため、上述の如くスクランブルされた4本のイネーブル供給線81を介して供給されるイネーブル信号ENB1〜ENB4を用いてのパルス幅の制限によって、最終的に転送信号における各パルスの幅は均一化される。
更に、本実施形態では、前述した「狭義のスクランブル」が施されているので、4本のイネーブル供給線81間における波形の揺らぎ等の均一化が、一層促進されることになる。但し、前述した「広義のスクランブル」だけを施すように構成してもよい。この場合にも、4本のイネーブル供給線81間における波形の揺らぎ等の均一化が相応に促進されることになるので、本発明に係るスクランブルによる効果は、相応に得られる。
図8において、TFTアレイ基板10上には、順に、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41、第2層間絶縁膜42、第3層間絶縁膜43、第4層間絶縁膜44が、この順に積層されている。4本のイネーブル供給線81は、スクランブル個所SCR1と異なる個所において、第3層間絶縁膜43上の同一導電層134から形成されている。スクランブル個所SCR1内において、イネーブル供給線81aの一部が、同一導電層134に層間絶縁膜41、42及び43を介して積層された他の導電層131から形成されると共に、イネーブル供給線81aの他部及び他のイネーブル供給線81b、81c及び81dが、同一導電層134から形成されている部分を含み、イネーブル供給線81aの一部とイネーブル供給線81aの他部とは、層間絶縁膜43、42及び41に開孔されたコンタクトホール91により相互に電気的に接続されている(図8(a)参照)。イネーブル供給線81aの一部は、スクランブル個所SCR1内において、他のイネーブル供給線81b、81c及び81dと層間絶縁膜41、42及び43を介して交差している(図7及び図8(b)参照)。その後、イネーブル供給線81aの他部は、それまでイネーブル供給線81dが配線されていた位置に形成された同一導電層134からなり、イネーブル供給線81aの一部とイネーブル供給線81aの他部とは、層間絶縁膜41、42及び43に開孔されたコンタクトホール94により相互に電気的に接続されている(図8(c)参照)。
このように構成されているので、スクランブル個所SCR1内において、係る層間絶縁膜41、42及び43を誘電体膜として且つイネーブル供給線81aの一部を一方の容量電極とすると共に他のイネーブル供給線81b、81c及び81dを他方の容量電極として、コンデンサ構造を実現している。よって、上述した本発明に係るスクランブルによる、波形の揺らぎ等の均一化に係る効果を増進させることが可能となる。
なお、導電層134と131とは互いに異なる材質で形成してもよい。例えば、導電層134をアルミニウム、導電層131をポリシリコンで形成するようにしてもよい。
この場合、イネーブル供給線81a〜dの間で、導電層134で形成される部分の配線長さ、配線幅、あるいは配線層厚さを等しく揃えると共に、導電層131で形成される部分の配線長さ、配線幅、あるいは配線層厚さも等しく揃えることが望ましい。このようにすると、導電層131と134とが異なる材質であってもイネーブル供給線全体の抵抗・容量値を揃えることができる。
更に、本実施形態では、イネーブル供給線81aの他部は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、イネーブル供給線81aの一部の延びる方向に対して斜めである第1方向に、斜めに延びており、他のイネーブル供給線81b、81c及び81dは夫々、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、スクランブル個所SCR1内において、スクランブル個所SCR1の前後で延びる方向に対して斜めであると共に第1方向に交差する第2方向に斜めに延びており且つイネーブル供給線81aの他部に層間絶縁膜41、42及び43を介して交差する斜め部分を含むように構成されている。
このように構成されているので、イネーブル供給線81aの一部と他のイネーブル供給線81b、81c及び81dとが、層間絶縁膜41、42及び43を介して、夫々斜め約45度ずつで、交差しているので、効率の良い平面レイアウトで、4本のイネーブル供給線を配線できる。更に、製造工程において、パターニングする際についても、このように交差させることでTFTアレイ基板10上スペースに余裕が生まれ、しかも、イネーブル供給線81aの一部と他部とを繋ぐコンタクトホール91を開孔する際にも、コンタクトホール91を開孔するTFTアレイ基板10上スペースを確保し易くなる。
従って、データ線駆動回路101では、以上のようにパルス幅が整形された転送信号Pi(i=1、…、n)に応じて、即ち、この信号をサンプリングパルスとして、画像信号VIDのサンプリングが行われるので、データ線3に供給される画像信号VIDは、パルス幅が一定化される。この際、転送信号Pi(i=1、…、n)の処理に際して4系列のイネーブル信号ENB1〜ENB4を用いながらも、これらの系列差に起因する輝度斑を殆ど又は実践上全く生じさせない。
以上の結果、本実施形態の電気光学装置では、イネーブル信号ENB1〜ENB4を極めて有効に利用しつつ、その欠点である、4系列のイネーブル信号ENB1〜ENB4相互間の系列差を低減することで、最終的には、高品位の画像を表示可能となる。
図3において、本実施形態の電気光学装置は、特に、4本のイネーブル供給線81の途中に静電保護回路103を更に備え、4本のイネーブル供給線81は、静電保護回路103とデータ線駆動回路101との間のスクランブル個所SCR1において、スクランブルされている。
このように構成されているので、製造中や製造後において不測の静電気が外部回路接続端子102に印加されてしまった場合にも、静電保護回路103が備えられているので、スクランブル個所SCR1にコンデンサ構造が存在しても、ここで静電破壊が発生するのを極めて効果的に防止できる。仮に、静電保護回路103がない、或いは静電保護回路103及び外部回路接続端子102間で4本のイネーブル供給線81がスクランブルされていたとすれば、スクランブルされた個所に存在するコンデンサ構造において、その個別具体的な構造に応じて静電破壊が大なり小なり発生し易くなってしまう。
図3において、本実施形態の電気光学装置は、データ線駆動回路101は、シフトレジスタ51、論理回路55及びサンプリング回路7を含み、データ線駆動回路101は、TFTアレイ基板10上において複数の画素部9aが配列されてなる画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域のうち画像表示領域10a及びTFTアレイ基板10の外部回路接続端子102が配列された辺間に位置する領域において、TFTアレイ基板10の外部回路接続端子102が配列された辺に沿って配置されており、4本のイネーブル供給線81は、データ線駆動回路101におけるシフトレジスタ51よりも画像表示領域10aに近い回路部分へ引き回されており、画像信号線VIDは、データ線駆動回路101における論理回路55よりも画像表示領域9aに近い回路部分へ引き回されており、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、周辺領域のうち画像表示領域9a及びシフトレジスタ51間に位置する領域において、4本のイネーブル供給線81及び画像信号線VIDは、走査線2に沿った方向に横並びに延在している。
このように構成されているので、イネーブル供給線81を、外部回路接続端子102から、周辺領域にTFTアレイ基板10の辺に沿って配置されたデータ線駆動回路101におけるシフトレジスタ51よりも後段側にまで、画像信号VIDと交差しないように引き回すことが可能となる。他方、画像信号線6を、外部回路接続端子102から、周辺領域にTFTアレイ基板10の辺に沿って配置されたデータ線駆動回路101における論理回路55よりも後段側にまで、画像信号VIDと交差しないように引き回すことが可能となる。よって、データ線駆動回路101において、サンプリング回路等7の供給手段をデータ線3が配線された画像表示領域9aに近い側に設けるという構成になっているので、引回配線について極めて効率的な平面レイアウトを実現できる。ここで特に、画像表示領域10a及びシフトレジスタ51間に位置する領域において、4本のイネーブル供給線81及び画像信号線6は、走査線2に沿った方向に横並びに延在しているので、これらのイネーブル供給線81及び画像信号線6間における寄生容量等を介しての電磁気的な相互作用は大きい。このため、この領域で、画像信号線6に最も近接する一のイネーブル供給線81aについては、画像信号VIDによる影響で波形歪み等が生じ易い。しかるに、本実施形態では、係る一のイネーブル供給線81aを含めて複数のイネーブル供給線81は、スクランブルされているので、係る一のイネーブル供給線81aで発生する波形歪み等により系列差が生じることを極めて効率的に防止することが可能となる。
しかも、本実施形態の如く画像表示領域9a及びシフトレジスタ51間に位置する領域にイネーブル供給線81及び画像信号線6が横並びに延在している構成を採用することで、データ線駆動回路101において、サンプリング回路7等の供給手段によりパルス幅が制限された転送信号をサンプリングパルスとして画像信号VIDをサンプリングする構成を構築するのが極めて容易となる。更に、汎用的な電気光学装置の構成との整合性も取れる。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
まず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図9は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。この図9に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
なお、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
次に、液晶装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図10は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図10において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた液晶装置1005の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
さらに、液晶装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図11は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図11において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶装置1005を備えるものである。この反射型の液晶装置1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
尚、図9から図11を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
2…走査線、3…データ線、6…画像信号線、7…サンプリング回路、10…TFTアレイ基板、9a…画素電極、10a…画像表示領域、20…対向基板、21…対向電極、41、42、43…層間絶縁膜、50…液晶層、51…シフトレジスタ、52…シール材、53…額縁遮光膜、55…論理回路、71…サンプリングスイッチ、81、81a、81b、81c、81d…イネーブル供給線、91、94…コンタクトホール、101…データ線駆動回路、102…外部回路接続端子、103…静電保護回路、104…走査線駆動回路、106…上下導通端子、131、134…導電層、d1…パルス幅、ENB1〜ENB4…イネーブル信号、Pi…転送信号、Si…サンプリング回路駆動信号、VID、VID1〜VID6…画像信号
Claims (6)
- 基板上に、
互いに交差して延びる複数のデータ線及び複数の走査線と、
前記データ線及び前記走査線に夫々電気的に接続され表示面を構成する複数の画素部と、
前記複数の走査線に走査信号を供給して前記画素部の水平走査を行う走査線駆動部と、
前記複数のデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動部と、
前記走査線駆動部に複数系列のイネーブル信号を供給する複数本の第1のイネーブル供給線と前記データ線駆動部に複数系列のイネーブル信号を供給する複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方と、
前記画像信号を前記データ線駆動部に供給する画像信号線と
を備えており、
前記データ線駆動部及び前記走査線駆動部の少なくとも一方は、(i)所定周期のクロック信号に基づいて複数の段から夫々転送信号を順次出力するシフトレジスタ、(ii)前記順次出力された転送信号における各パルスのパルス幅を、該パルス幅よりも狭い、前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方から供給される前記複数系列のイネーブル信号の夫々が有するパルス幅に制限するパルス幅制限手段、及び(iii)前記パルス幅が制限された転送信号に応じて、前記画像信号及び前記走査信号の少なくとも一方を供給する供給手段を含み、
前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、前記データ線駆動部及び前記走査線駆動部の少なくとも一方へ引き回される途中の少なくとも一箇所において前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方同士が互いに交差していることを特徴とする電気光学装置。 - 前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方の途中に静電保護回路を備え、
前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、前記静電保護回路と前記データ線駆動部及び前記走査線駆動部のうち少なくとも一方との間において、互いに交差していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。 - 前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、
前記互いに交差している個所と異なる個所において、同一導電層から形成されており、
前記互いに交差している個所内において、一本のイネーブル供給線の一部が、前記同一導電層に層間絶縁膜を介して積層された他の導電層から形成されると共に、該一本のイネーブル供給線の他部及び他のイネーブル供給線が、前記同一導電層から形成されている部分を含み、
前記一本のイネーブル供給線の一部と前記一本のイネーブル供給線の他部とは、前記層間絶縁膜に開孔されたコンタクトホールにより相互に電気的に接続されており、
前記一本のイネーブル供給線の一部は、前記互いに交差している個所内において、前記他のイネーブル供給線と前記層間絶縁膜を介して交差していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。 - 前記一本のイネーブル供給線の他部は、前記基板上で平面的に見て、前記一本のイネーブル供給線の一部の延びる方向に対して斜めである第1方向に、斜めに延びており、
前記他のイネーブル供給線は夫々、前記基板上で平面的に見て、前記互いに交差している個所内において、前記互いに交差している個所の前後で延びる方向に対して斜めであると共に前記第1方向に交差する第2方向に斜めに延びており且つ前記一本のイネーブル供給線の他部に前記層間絶縁膜を介して交差する斜め部分を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。 - 前記データ線駆動部は、前記シフトレジスタ、前記パルス幅制限手段及び前記供給手段を含み、
前記データ線駆動部は、前記基板上において前記複数の画素部が配列されてなる画像表示領域の周辺に位置する周辺領域のうち前記画像表示領域及び前記辺間に位置する領域において、前記辺に沿って配置されており、
前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方は、前記データ線駆動部における前記シフトレジスタよりも前記画像表示領域に近い回路部分へ引き回されており、
前記画像信号線は、前記データ線駆動部における前記パルス幅制限手段よりも前記画像表示領域に近い回路部分へ引き回されており、
前記基板上で平面的に見て、前記周辺領域のうち前記画像表示領域及び前記シフトレジスタ間に位置する領域において、前記複数本の第1のイネーブル供給線と前記複数本の第2のイネーブル供給線とのうち少なくとも一方及び前記画像信号線は、前記走査線に沿った方向に横並びに延在していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備することを特徴とする電子機器。
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