JP2006200472A - ケース組立体のシール構造 - Google Patents

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彰 古屋
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Abstract

【課題】 簡単なシール構造によってブリーザ室の気密性を高める。
【解決手段】 エンジンのブローバイガスが案内されるブリーザ室33は、ブリーザケース35とブリーザカバー36とによって区画されている。ブリーザケース35にはネジ孔38aを備えるボス部38が形成されるとともに、このボス部38を囲うように側壁部37が形成されている。平板状のブリーザカバー36に開口する取付孔36aにボルト部材39を挿入し、このボルト部材39をボス部38のネジ孔38aに対して締め込むことにより、ブリーザケース35の開口端を閉塞するようにブリーザカバー36が取り付けられる。ブリーザケース35のボス部38は側壁部37に比して低く形成されるため、平板状のブリーザカバー36を湾曲させながら側壁部37に押し当てることができ、ブリーザカバー36を側壁部37に対して確実に密着させることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ケース本体とこれを閉塞するカバー部材とを備えるケース組立体のシール構造に関する。
4サイクルエンジンにおいては、燃焼室内からシリンダボアとピストンとの間を通過してクランクケース内のクランク室にブローバイガスが吹き抜けるため、このブローバイガスを吸気系統に案内して再び燃焼室に送るブリーザ機構が設けられている。また、クランク室に吹き抜けたブローバイガスはオイルミストを含有するため、ブローバイガスとオイルミストとを分離するブリーザ室を設けることにより、ブローバイガスをエアクリーナボックスに向けて案内する一方、潤滑油をクランクケースに向けて案内するようにしている。
このようなブリーザ室は、クランクケースに一体となって形成されるブリーザケースと、ブリーザケースの開口部に取り付けられるブリーザカバーとによって区画形成されることが多い。また、未燃ガスや燃焼ガスを含むブローバイガスは大気汚染の原因となるため、ブリーザケースとブリーザカバーとの合わせ面における気密性を高めることにより、ブローバイガスの外部流出を防止する必要がある。このように、ケースとこれを閉塞するカバーとの気密性を高めるシール構造としては、ケースとカバーとの間にゴムパッキン等のシール部材を組み込むことが一般的である(たとえば、特許文献1参照)。
特開平8−247375号公報
しかしながら、シール部材を組み込むことによって気密性を高めるシール構造にあっては、部品点数や作業工数の増加を招くことになるため、製造コストを増大させてしまう要因となっていた。また、前述したブリーザケースとブリーザカバーとの間にシール部材を組み込む場合には、強い酸性状態を示すブローバイガスに対して耐久性を有するシール部材を選定する必要があるため、シール部材の低コスト化を図ることが困難となっていた。
本発明の目的は、簡単なシール構造によってケース内の気密性を高めることにある。
本発明のケース組立体のシール構造は、ケース本体とこれを閉塞するカバー部材とを備えるケース組立体のシール構造であって、前記ケース本体に前記カバー部材を取り付けるボス部を形成するとともに、前記ボス部を囲うように側壁部を形成し、前記側壁部よりも前記ボス部を低く形成することにより、前記カバー部材を湾曲させながら前記側壁部に押し当てることを特徴とする。
本発明のケース組立体のシール構造は、前記ケース本体と前記カバー部材とによりエンジンのブローバイガスが案内されるブリーザ室を区画することを特徴とする。
本発明によれば、側壁部に対してボス部を低く形成するようにしたので、カバー部材を湾曲させながら側壁部に押し当てることができ、カバー部材を側壁部に対して確実に密着させることができる。これにより、側壁部とカバー部材との間にゴムパッキン等のガスケットを組み込む必要がなく、簡単な構造によってケース内の気密性を高めることができる。しかも、カバー部材を平板状に形成することができるため、カバー部材の製造コストを引き下げることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるシール構造を備えた4サイクルエンジン10(以下、エンジンという)を示す断面図である。なお、図示するエンジン10は、発電機や圧縮機の動力源として使用される汎用エンジンとなっている。
まず、図1に示すように、エンジン10は、クランク軸11を回転自在に収容するクランクケース12と、ピストン13を往復動自在に収容するシリンダ14とを備えており、クランクケース12とシリンダ14とは一体となってシリンダブロック15を形成している。クランク軸11とピストン13とはコネクティングロッド16を介して連結されており、ピストン13の往復運動に伴ってクランク軸11は回転運動を行っている。なお、クランクケース12内には潤滑油Lが貯留されており、コネクティングロッド16に設けられるオイルディッパ17によって潤滑油Lが掻き上げられ、この潤滑油Lがエンジン10内の各摺動部に供給されるようになっている。
また、シリンダ14の上端面には動弁機構20を備えるシリンダヘッド21が組み付けられ、シリンダヘッド21、シリンダ14およびピストン13によって燃焼室22が区画されている。シリンダヘッド21には燃焼室22に連通する吸気ポート23と排気ポート24とが形成されており、吸気ポート23には吸気バルブ25が開閉自在に組み付けられる一方、排気ポート24には排気バルブ26が開閉自在に組み付けられている。これらの吸気バルブ25や排気バルブ26は、クランク軸11に連動するカム軸27の回転運動に従って開閉されており、燃焼室22に混合気を案内する吸気行程にあっては、吸気バルブ25が開かれることにより、吸気管28から吸気ポート23を介して混合気が燃焼室22に吸入される一方、燃焼室22から燃焼ガスを排出する排気行程にあっては、排気バルブ26が開かれることにより、排気ポート24から消音器29を介して燃焼ガスが外部に排出されるようになっている。なお、吸気管28には図示しない気化器が組み込まれており、エアクリーナボックス30を通過して浄化された空気は吸気管28を通過する際に混合気となって吸気ポート23に案内されることになる。
このようなエンジン10を駆動する際には、ピストン13を下死点に移動させて燃焼室22内に混合気を取り込んだ後に、ピストン13を上死点に移動させて燃焼室22内で混合気を圧縮する。そして、圧縮した混合気を燃焼させることにより、燃焼圧力によってピストン13を下死点に向けて押し下げ、クランク軸11を回転させることになる。ところで、ピストン13を押し上げて混合気を圧縮する圧縮行程や、混合気を燃焼させてピストン13を押し下げる膨張行程にあっては、ブローバイガスがピストン13とシリンダ14のシリンダボア14aとの間を通過してクランクケース12内のクランク室12aに吹き抜けることになる。このブローバイガスは燃料の未燃成分(HC)を含んでおり、そのまま排出すると大気汚染の原因になるため、ブローバイガスをクランク室12aから吸気系を介して燃焼室22に再び案内するブリーザ機構31が組み込まれている。
ブリーザ機構31は、クランクケース12内のクランク室12aにガス流路32を介して連通するブリーザ室33と、ブリーザ室33とエアクリーナボックス30のクリーン室とを連通するガス案内管34とを備えている。クランク室12a内のブローバイガスは、このようなブリーザ機構31を介してエアクリーナボックス30から吸気管28に案内され、再び燃焼室22に供給されることになるが、ブローバイガスには霧状の潤滑油(オイルミスト)が含まれるため、ブリーザ室33においてブローバイガスとオイルミストとを分離するようにしている。つまり、オイルミストを含むブローバイガスをブリーザ室33に案内することにより、ガス流路32やブリーザ室33の壁部に付着した潤滑油をクランク室12a内に戻すことが可能となる一方、ブローバイガスのみをエアクリーナボックス30に供給することが可能となっている。
このように、ブローバイガスが案内されることから高い気密性が要求されるブリーザ室33は、クランクケース12に形成されるケース本体としてのブリーザケース35と、ブリーザケース35の開口部を閉塞するカバー部材としてのブリーザカバー36とによって区画形成されている。ここで、図2(A)はブリーザケース35を概略的に示す平面図であり、図2(B)は(A)のa−a線に沿ってブリーザケース35を示す断面図である。図2(A)および(B)に示すように、ブリーザケース35の外周には側壁部37が形成されており、ブリーザケース35のほぼ中央にはネジ孔38aを備えるボス部38が形成されている。そして、図2(B)に示すように、ブリーザケース35のボス部38の高さ寸法は、側壁部37の高さ寸法よりも所定値Hだけ低く形成されている。
続いて、ブリーザケース35に対するブリーザカバー36の取付方法について説明する。図3(A)はブリーザケース35とブリーザカバー36とを分解した状態で示す断面図であり、図3(B)はブリーザケース35に対してブリーザカバー36を取り付けた状態を示す断面図である。まず、図3(A)に示すように、平板状のブリーザカバー36に開口する取付孔36aにボルト部材39を挿入し、このボルト部材39をボス部38のネジ孔38aに対して締め込むことによって、ブリーザケース35の開口端を閉塞するようにブリーザカバー36が取り付けられている。ここで、図3(B)に示すように、ブリーザケース35のボス部38は側壁部37に比して低く形成されるため、平板状のブリーザカバー36はブリーザケース35に向けて凸状に湾曲した状態で側壁部37に押し当てられることになる。
このように、ブリーザカバー36を弾性変形させながら側壁部37に押し当てることにより、ブリーザカバー36を側壁部37に対して確実に密着させることができ、ブリーザケース35とブリーザカバー36との合わせ面における面圧を十分に確保することができる。したがって、側壁部37とブリーザカバー36との間にゴムパッキン等のガスケットを組み込むことなく、簡単な構造によってブリーザ室33の気密性を高めることができるため、エンジンの部品点数や組立工数を削減することができ、エンジンの製造コストを引き下げることが可能となる。しかも、ブリーザカバー36を平板状に形成することができるため、ブリーザカバー36の製造コストを引き下げることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示する場合には、ブリーザケース35とブリーザカバー36とに本発明のシール構造を適用しているが、これに限られることはなく、吸入空気を浄化するエアクリーナボックス30や、シリンダヘッド21に組み付けられて動弁機構20を覆うロッカーカバー40に本発明のシール構造を適用するようにしても良い。
本発明の一実施の形態であるシール構造を備えた4サイクルエンジンを示す断面図である。 (A)はブリーザケースを概略的に示す平面図であり、(B)は(A)のa−a線に沿ってブリーザケースを示す断面図である。 (A)はブリーザケースとブリーザカバーとを分解した状態で示す断面図であり、(B)はブリーザケースに対してブリーザカバーを取り付けた状態を示す断面図である。
符号の説明
10 エンジン
33 ブリーザ室
35 ブリーザケース(ケース本体)
36 ブリーザカバー(カバー部材)
37 側壁部
38 ボス部

Claims (2)

  1. ケース本体とこれを閉塞するカバー部材とを備えるケース組立体のシール構造であって、
    前記ケース本体に前記カバー部材を取り付けるボス部を形成するとともに、前記ボス部を囲うように側壁部を形成し、
    前記側壁部よりも前記ボス部を低く形成することにより、前記カバー部材を湾曲させながら前記側壁部に押し当てることを特徴とするケース組立体のシール構造。
  2. 請求項1記載のケース組立体のシール構造において、前記ケース本体と前記カバー部材とによりエンジンのブローバイガスが案内されるブリーザ室を区画することを特徴とするケース組立体のシール構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102016211158A1 (de) 2015-06-30 2017-01-05 Honda Motor Co., Ltd. Entlüftungsvorrichtung für Verbrennungsmotor

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102016211158A1 (de) 2015-06-30 2017-01-05 Honda Motor Co., Ltd. Entlüftungsvorrichtung für Verbrennungsmotor
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