JP2006199674A - アミノ化フラーレンの製造方法 - Google Patents

アミノ化フラーレンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006199674A
JP2006199674A JP2005141822A JP2005141822A JP2006199674A JP 2006199674 A JP2006199674 A JP 2006199674A JP 2005141822 A JP2005141822 A JP 2005141822A JP 2005141822 A JP2005141822 A JP 2005141822A JP 2006199674 A JP2006199674 A JP 2006199674A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fullerene
nmr
reaction
hydroperoxide
aminated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005141822A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiichi Nakamura
栄一 中村
Hiroyuki Isobe
寛之 磯部
Lemiegre Loic
ルミエグル ロイック
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2005141822A priority Critical patent/JP2006199674A/ja
Publication of JP2006199674A publication Critical patent/JP2006199674A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)

Abstract

【課題】 アミノ化フラーレンの製造方法について、従来の光照射下で行う方法に比べ、特殊な反応装置が不要で、反応制御が容易で、高収率な大量生産に適し、更に、従来の光照射下で行う方法では導入できなかった種類の2級アミンを高収率で付加させることができる方法を開発すること。そして、本発明の製造方法により、太陽電池などの電子材料および遺伝子導入試薬などの用途に好適なアミノ化フラーレンを得ることを課題とする。
【解決手段】 フラーレンと2級アミンとをヒドロペルオキシド存在下で反応させる、アミノ化フラーレンの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主に、アミノ化フラーレンの製造方法に関する。さらに詳しくは、フラーレンと2級アミンをヒドロペルオキシド存在下で反応させる、アミノ化フラーレンの製造方法に関する。
1990年にフラーレンC60の大量合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。その結果、数多くのフラーレン誘導体が合成され、その多様な機能が明らかにされてきた。これに伴い、フラーレン誘導体を用いた電子伝導材料、半導体、生理活性物質等の各種用途開発が進められている(非特許文献1〜4参照)。
本発明者らは、フラーレンC60骨格(以下適宜、「C60骨格」という)上の特定位置(シクロペンタジエン環に隣接する炭素)に5個の有機基が結合した化合物(以下、「5重付加C60誘導体」という)を種々合成し、報告してきた(特許文献1〜3及び非特許文献5〜7参照)。これらの化合物は、無置換のフラーレンC60と立体的構造や電子的性質が異なるため、新規の電子伝導材料、半導体、生理活性物質等として期待されている。
また、本発明者らは、4個のアミノ基と酸素が上記5重付加C60誘導体と同様の位置関係でフラーレンC60に結合している、アミノ化フラーレンについても報告している。具体的には、フラーレンC60と2級アミンに光(白熱灯又は水銀灯)を照射して、テトラアミノフラーレンエポキシド誘導体を製造し、これが核酸凝集能力を有することを示している(特許文献4及び非特許文献8参照)。該アミノ化フラーレンは、C60とモルホリンとを空気を飽和させたベンゼン中で1週間反応させることによっても得られることが報告されている(非特許文献9)。更に、該アミノ化フラーレンは、ヨウ素の存在下でフラーレンと2級アミンを反応させることによっても得られることが報告されている(非特許文献1
0)。
Chemical Reviews, 2002, vol.102, p.555-578 Nature, 2000, vol.403, p.669-672 J. Am. Chem. Soc. 2000, vol.122, p.2663-2664 現代化学,1992年4月号第12〜18頁 現代化学2000年6月号第46〜53頁 Chemical Reviews, 1998, vol.98, p.2527-2547 J. Am. Chem. Soc. 1996, vol.118, p.12850-120851 Org. Lett. 2000, vol2, p.3663-3665 J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1995, p.2023-2024. J. Org. Chem. 2004, 69, p.5800-5802 特開平10−167994号公報 特開平11−255509号公報 特開2002−241323号公報 特開2002−088075号公報
アミノ化フラーレンの合成反応のスケールアップを考えた場合、光を照射する方法は、光を効率的に照射できる特殊な反応装置が必要である上、光照射で分解してしまうために得られない又は収率が低くなってしまうアミノ化フラーレンがある、光が透過できるようフラーレン溶液を薄くすると生産効率が低下する上、多量の2級アミンが必要になる(例えば、フラーレン溶液濃度が2mg/mLの場合、1molのフラーレンに対して32molの2級アミンを要する)等の問題がある。また、空気を飽和させたベンゼン中でモルホリンと反応させる方法は、収率が9.1%と低い。さらにヨウ素を用いて2級アミンと
フラーレンとを反応させる方法は、転化率12%で収率31%であり、C60を基準とした収率は3.7%に過ぎない。
以上のように、従来報告されている方法は工業的製造方法としてはいずれも不十分であり、工業的に優れたアミノ化フラーレンの製法の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、この結果、反応系にヒドロペルオキシドが存在すると、可視光を照射しなくても反応が進行することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明の要旨は、フラーレンと2級アミンとをヒドロペルオキシド存在下で反応させることを特徴とするアミノ化フラーレンの製造方法に存する。
本発明の製造方法は、従来の光照射下で行うアミノ化フラーレンの製造方法に比べ、特殊な反応装置が必要無く、反応制御が容易で、高収率で効率よく目的物を得ることができるなどの利点があり、特に、アミノ化フラーレンの大量生産に有用である。そして、更に、本発明の方法により、従来公知の方法では導入できなかった種類の2級アミンを高収率で付加させることができる。
以下、本発明について具体的に説明するが、この発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
本発明の製造方法は、フラーレンと2級アミンをヒドロペルオキシド存在下で反応させる。従来のアミノ化フラーレンの製造方法に比べ、光を照射する必要がないため特殊な反応装置は不要である。
本発明において「フラーレン」とは、炭素原子が球状又はラグビーボール状に配置して形成される閉殻状の炭素クラスターを指す。その炭素数は通常60以上、120以下である。具体例としては、C60(いわゆるバックミンスター・フラーレン)、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びより高次の炭素クラスターが挙げられる。このうち、入手しやすい点でC60、C70が好ましく、特にC60が好ましい。
本発明に係る2級アミンは、アンモニアの2つの水素原子を有機基で置換した化合物であり、一般式、NHR12で表される(R1及びR2は、各々独立に任意の有機基を示し、同一でも異なっても、互いに結合してNを含んだ複素環を形成していてもよい)。
1とR2とが結合していない場合は、R1及びR2は、通常、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、その炭素数は1〜15である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基およびこれらの炭化水素基が置換基を有するものなどが挙げられる。
1及びR2の有する置換基は、置換基も含めたR1及びR2の炭素数が1〜15であれば特に限定はなく、どのような置換基でもよい。具体的には、メトキシ基、フェノキシ基などのアルコキシ基;トリメチルシロキシ基などのシロキシ基;t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;エチレンジオキシ基などのケタール基;テトラヒドロピラニルオキシ基などのアセタール基等があげられる。また、(t−ブチルジメチルシリルオキシ)メチル基など、上記置換基を有するアルキル基、アリール基、アラリール基も本発明のR1及びR2の置換基となる。
更に、R1とR2とが結合してNを含んだ複素環を形成する場合をR1−R2で説明すると、該R1−R2は、通常、炭素数3〜6の2価の有機基であり、R1−R2鎖内に酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含んでいてもよい。このうち、複素環としては、2級の窒素原子を少なくとも1つ含む4〜7員環の複素環になっているものが好ましい。R1とR2とが結合している場合のNHR12の具体例を以下に示す。なお、この場合も上述の置換基を複素環上に有していてもよい。
Figure 2006199674
(式中のXは、上述のR1及びR2の有する置換基を表し、Xが複数ある場合、互いのXは同一であっても異なっていてもよい。)。
本発明に係るヒドロペルオキシドは、過酸化水素に代表される無機ヒドロペルオキシドであっても有機ヒドロペルオキシドであってもよい。また、ヒドロペルオキシドが存在するとは、反応終了後の反応液を水で抽出し、市販の半定量試験紙(たとえばMACHERY−NAGEL社のQuantpfix Peroxide25など)で確認できることを言う。あるいは滴定で用いられる呈色反応によって検出されるなど、一般的な検出方法で検出されることを言う。ヒドロペルオキシド化合物を添加する場合の他、反応系中でヒドロペルオキシドを発生させるようなヒドロペルオキシドの前駆体を用いてもよい。
ヒドロペルオキシド化合物を添加する場合、その種類は特に限定されないが、通常、有機ヒドロペルオキシドを用いる。有機ヒドロペルオキシドは、過酸化水素の水素1原子を有機基で置換した化合物であり、一般式R3−OOHで表される(R3は、有機基を表す)。R3は、通常、置換基を有していてもよい炭化水素基で、その炭素数は1〜15である
。このうち、t−ブチル基、ネオペンチル基、t−へキシル基、クミル基等の3級炭化水素基が安定で取り扱い易いため好ましい。また、t−ブチル基、クミル基が、工業的な入手の容易さから更に好ましい。なお、R3が3級炭化水素であるヒドロペルオキシドは、
通常、対応するR3−Hと酸素分子から製造され、例えば、R3がクミル基であるクメンヒドロペルオキシドは、5〜30重量%の未反応のR3−Hを含んでいることが多いが、フラーレンのアミノ化反応を妨げなければ、このように純度の低いヒドロペルオキシドを用いても構わない。
一方、反応系中でヒドロペルオキシドを発生させる場合は、通常、適当な前駆体を反応系に添加する。ヒドロペルオキシドの前駆体としては、分子状酸素を用いるのが一般的である。分子状酸素は、通常、気体状態で供給されるが、ガスで供給する場合、純酸素ガスであっても、他のガスで希釈された状態などであっても、その反応を大幅に妨げなければよい。後者の具体例としては、空気が挙げられる。ガスの場合、その圧力に特に制限はないが、反応装置の簡便性から通常は0.1気圧〜2気圧の範囲で用いられる。
本発明に係る製造方法は、光照射しなくても反応が進行する。Org. Lett. 2000, vol2,p.3663-3665及び特開2002−088075号公報では、60Wの白熱灯又は水銀灯を
24時間照射しているが、本発明に係る製造方法で光照射しないとは、水銀灯や白熱灯などの人工的な光源で積極的に光照射しないことを言う。具体的には、消費電力が10W以上の光源を用いて、反応液中に光源を設置しての光照射、あるいは反応器表面から30cm以内での反応器への光照射を、行わないことを言う。
ただし、本発明の製造方法では光照射をして反応を行う方法を排除するものではないが、光照射する必要がないため、通常は光照射を行わずに行う。具体的には、ガラス反応器のような光を透過する反応器を用いて通常の作業所で行う方法、光を透過する反応器を用いて、暗室で反応を行う方法、金属性などの光を透過しない反応器を用いる方法、などが好ましい反応方法として挙げられる。
本発明の製造方法で用いるフラーレン、2級アミン及びヒドロペルオキシドは、各々1種類の純品でなくてもよく、2種類以上のフラーレン、2種類以上の2級アミンまたは2種類以上のヒドロペルオキシドを用いてもよい。また、ヒドロペルオキシド化合物とヒドロペルオキシドの前駆体を同時に用いてもよい。更に、本発明のフラーレンのアミノ化反応を大幅に妨げなければフラーレン、2級アミン及びヒドロペルオキシド以外の物質が存在した状態で行ってもよい。反応は、通常は、上記3成分を反応溶媒中で攪拌するなどして混合させて行う。
反応溶媒は、フラーレン、2級アミン及びヒドロペルオキシドを溶解するものが好適に用いられる。フラーレンに対して高い溶解性を示すことから、芳香族炭化水素類及び芳香族ハロゲン化炭化水素類などの芳香族系溶媒が好ましい。芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン類などが、芳香族ハロゲン化炭化水素類の具体例としては、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン類、トリクロロベンゼン類などが挙げられる。なお、これらの溶媒は混合溶媒として用いても、本発明のフラーレンのアミノ化反応を大幅に妨げなければこれら以外の溶媒を用いても構わない。
上述の芳香族系溶媒は、これを極性溶媒と混合して用いるのが反応速度の大幅な向上が期待されることから更に好ましい。また、ヒドロペルオキシドの前駆体を用いる場合、極性溶媒を用いると、光照射せずに反応が可能になる。この極性溶媒の作用機構は不明であるが、ヒドロペルオキシド前駆体の活性化に影響を及ぼすものと推察される。
極性溶媒とは、極性官能基を有する溶媒である。具体的には、溶媒の極性を表す指標である比誘電率εrの値が通常25以上、好ましくは30以上の化合物である。比誘電率εrは、例えば、Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry 2nd Ed. 1990、VCH p.59に記載されている化合物に固有の値である。誘電率は、電束密度Dとそれによって与えられる電場Eとの比(D/E)であり、物質内で電荷とそれによって与えられる力との関係を示す係数である。各物質は固有の誘電率をもち、この値は外部から電場を与えたとき物質中の原子(又は分子)がどのように応答するか(誘電分極の仕方)によって定まる。そして、ε0を真空の誘電率(8.854×10-12F/m)とするとき、ε/ε0を比誘電率といい、εrで表す。各種極性有機溶媒に対する比誘電率εrの値は、以下の通りである(Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry 2nd Ed. 1990、VCH,p.408−p.410の「TableA−1」より抜粋。)。
N−メチルホルムアミド;182.4
N,N−ジメチルホルムアミド;36.71
N,N−ジメチルアセトアミド;37.78
N−メチルピロリドン;32.2
ジメチルスルホキシド;46.45
スルホラン;43.3
N,N'−ジメチルプロピレンウレア;36.12
ヘキサメチルホスホリックトリアミド;29.6
極性溶媒は、用いる芳香族系溶媒と一定の割合以上、特に、芳香族系溶媒と極性溶媒の割合が100:1以上、特に10:1以上で均一に混合するものが好ましく用いられる。具体的には、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシドなどのスルホキシド類;ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;N,N'−ジメチルプロピレンウレアなどのウレア類;ヘキサメチル
ホスホラミドなどのリン酸アミド類;ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどの亜リン酸アミド類などがあげられる。中でもスルホキシド類、アミド類がその効果の強さからより好ましく、工業的な入手の容易さから、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。極性溶媒を用いる場合、用いる溶媒の量はその種類にもよるが、芳香族系溶媒に対して体積比で好ましくは1〜99%、更に好ましくは5〜50%の範囲で用いられる。極性溶媒の割合が少な過ぎると、極性溶媒の効果が十分発揮されず、多過ぎると、相対的に芳香族系溶媒の割合が少なくなるため、フラーレンや反応中間体の溶媒への溶解性が低下してしまう。
製造条件について説明する。先ず、ヒドロペルオキシド化合物を用いる場合について述べる。
各原料の使用比率は、フラーレン1molに対して、通常、4〜16molの2級アミン、3〜6molのヒドロペルオキシドを用いる。
溶媒量は、反応選択性の観点から、反応温度においてフラーレン、2級アミン及びヒドロペルオキシドを溶解するのに十分な量用いることが好ましく、溶媒の種類により異なるが、通常、フラーレンの濃度が4〜20mg/mLとなる。本発明の製造方法は、光照射方法で光透過性を保つために溶媒を2mg/mL程度用いていたのに比べ、より少量の溶媒で反応させることができるため、製造効率の観点から好ましい。反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは室温(10〜35℃)である。反応時間は、2級アミンやヒドロペルオキシドの種類などにもよるが、通常、数時間〜数日である。本発明の製造方法は、通常、不活性ガスまたは空気下で行うが、ヒドロペルオキシドが酸化剤となると考えられるため、必ずしも酸素が存在しなくてもよい。その他、本発明のフラーレンのアミノ化反応を妨げなければどのような雰囲気下で行っても構わない。本発明のフラーレンのアミノ化反応が進行すれば、上記各成分の混合順序は、特に問わないが、副反応を抑えるため、通常、フラーレン溶液に2級アミンを加えてからヒドロペルオキシドを添加する。なお、化学的に不安定なヒドロペルオキシドを用いる場合は、安全に反応できるような添加速度で添加するのが好ましい。反応の進行は、オクタデシル基結合シリカゲル(ODS)カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析などにより確認することができる。
反応の停止は、ジメチルスルフィドなどの還元剤を加えて、未反応のヒドロペルオキシドと反応させるなどして行える。目的物の単離は、適当な貧溶媒を加えて沈殿させる方法や結晶化、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する方法で行える。なお、反応液が本質的に均一である反応条件で、反応後に副生物等の沈殿がある場合は、適宜、濾紙などのフィルターによる濾過などを行って沈殿物を除去してもよい。また、予め、溶媒及び低沸点成分を適宜留去してもよい。
反応収率は、用いる2級アミンの種類にもよるが、通常50〜99%である。特に、従来の光照射法では、その求核反応性が低いため16%の収率しか得られなかったアゼチジンなどの4員環の2級アミン化合物について、工業的に満足すべき64%の収率が得られるようになり優れた方法といえる。また、光照射法では、光照射による官能基の分解によって合成できなかったと思われるt−ブトキシカルボニルアミノピペリジンなどのt−ブトキシカルボニル官能基を有するものも、本発明の製造方法では合成可能である。
次に、ヒドロペルオキシドの前駆体を用いる場合の製造条件について述べる。
各原料の使用比率は、フラーレン1molに対して、通常、4〜16molの2級アミンを用いる。溶媒については、特に、ペルオキシド前駆体が分子状酸素の場合は、芳香族系溶媒と極性溶媒の混合溶媒を用いると光照射無しでも反応が進行するため好ましい。芳香族溶媒および極性溶媒の種類と混合比率、溶媒量、反応温度、反応時間は、上述のヒドロペルオキシド化合物を用いる場合と同様である。
ペルオキシド前駆体としては、通常、分子状酸素が用いられ、純酸素の他、窒素やアルゴンなどの不活性気体のように本発明のアミノ化フラーレンの生成を妨げなければ他のガスなどで希釈されたものでもよい。後者の好ましい例が空気である。本発明のフラーレンのアミノ化反応が進行すれば、上述の各成分の混合順序は、特に問わない。なお、反応の進行は、上述のヒドロペルオキシド化合物を用いる場合と同様に確認することができる。
反応の停止は、反応液を水又は塩化アンモニウムなどの塩の水溶液で洗浄し、極性溶媒を除去する、などして行える。目的物の単離等は、上述のヒドロペルオキシド化合物を用いる場合と同様に行える。
反応収率は、用いる2級アミンの種類にもよるが、通常10〜100%である。特に、従来の光照射法では、その求核反応性が低いため全く得られなかったヘキサメチレンイミンなどの7員環の2級アミン化合物について、4重付加C60エポキシド体が得られるようになった点で優れた方法といえる。
次に、本発明の製造方法で得られるアミノ化フラーレンについて説明する。本発明の製造方法で得られるアミノ化フラーレンは、フラーレン骨格上に、窒素原子で結合したアミノ基NR12を有するフラーレン誘導体である(R1及びR2は上述の通り)。1つのフラーレン骨格に結合するアミノ基の数は、1つでも複数でもよいが、特に、本発明の製造方法によれば、フラーレン骨格上に4個のアミノ基が結合しているアミノ化フラーレンが生成されやすい。複数のアミノ基が結合している場合、各アミノ基の種類は同一でも異なっていてもよいが、同一の方が、1種類の2級アミンから合成しやすい点で好ましい。
本発明の製造方法によれば、通常、フラーレン骨格上にエポキシドが結合しているアミノフラーレンエポキシドが生成されやすいが、これは、反応時に存在するヒドロペルオキシドによるものと推定される。また、特に、フラーレン骨格上に4個のアミノ基とエポキシドが結合しているテトラアミノフラーレンエポキシド構造を有するアミノ化フラーレンが生成されやすい。複数のアミノ基が結合している場合の各アミノ基の結合位置は、特に限定されないが、テトラアミノフラーレンエポキシドの場合、フラーレン骨格上の1つのシクロペンタジエン環に隣接する5個のうちの4個にアミノ基が結合し、残り1個にエポキシドが結合しているものが高選択率で生成されやすい。本発明の製造方法で製造されるアミノ化フラーレンとしては、特に、以下の一般式(2)の部分構造を有するものが高選択率で生成されやすく好ましい。
Figure 2006199674
(式中、R1a、R1b、R1c及びR1dは上述のR1と同様の置換基で、R2a、R2b、R2c
びR2dは上述のR2と同様の置換基である。)
なお、本発明に係る製造方法によれば、従来公知の光照射法では合成できなかったt−ブトキシカルボニルアミノピペリジンなどのt−ブトキシカルボニル官能基を有するものが合成可能である。
特開2002−088075号公報によれば、このテトラアミノフラーレンエポキシドと核酸の凝集体は、トランスフェクション(細胞の形質転換)に用いることができる。また、5重付加C60誘導体と同様の立体的構造や電子的性質を有すると予想されるため、各種電子材料用途への適用が期待される。
これとは別に、2級アミンが分子内に2つの立体的に空いているNH基を有するもの、である場合、本発明の製造方法によれば、特に以下の部分構造を有するピペラジン環化付加体又はホモピペラジン環化付加体が生成されやすい。ここで、「立体的に空いているNH基を有する2級アミン」とは、窒素原子に隣接する炭素原子に置換基を有さない2級アミンであり、具体的には、無置換のピペラジンやホモピペラジンなどが挙げられる。
Figure 2006199674
この部分構造を有する付加体は、例えば、"Angew.Chem.Int.Ed.E
ngl.1993,32,1174"にC60の付加体として記載されている。該化合物は
、独特な電子的性質を有すると期待されるため、各種電子材料用途又は各種フラーレン誘導体の合成中間体として有用である。
本発明によりアミノ化フラーレンが製造されたことは、核磁気共鳴スペクトル(NMR)法、質量分析(MS)法、赤外線(IR)吸収スペクトル法などの各種有機分析法などで確認できる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1) ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドの合成
フラーレンC60(40.0mg)とピペリジン(44.0μL)のクロロベンゼン(20mL)溶液に、クメンヒドロペルオキシド(純度80%、30.6μL)を加え、空気開放下室温で30時間撹拌後、ジメチルスルフィド(20μL)を添加して反応を停止させ、溶媒及び低沸点成分を減圧下留去した。4mLまで濃縮された溶液に室温で約50mLのメタノールを加え、生成した沈殿物を濾別、メタノール洗浄後室温で減圧乾燥して、目的物を得た(50.2mg、収率84%)。Org. Lett. 2000, vol2, p.3663-3665に記載の光反応法での収率53%に対し高収率であった。
生成物のプロトン核磁気共鳴スペクトル法(以下、1H―NMRと表す)及びカーボン
核磁気共鳴スペクトル法(以下、13C―NMRと表す)による分析結果は、以下の通りであり、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.2023 (1995)記載の化合物と同一物質と同定された。
1H―NMR(500 MHz, CDCl3)δ1.53-1.60 (m, 2H), 1.74-1.78 (m, 4H), 3.17-3.34 (m, 4H).13C―NMR(125 MHz, CDCl3)δ24.33, 24.65, 26.84, 26.88, 51.74, 52.19, 71.27, 72.67, 76.30, 76.61, 140.36, 141.45, 142.73, 142.90, 143.46, 143.77, 143.82, 143.86, 144.93, 144.95, 145.37, 145.38, 146.25, 146.35, 146.84, 146.89, 146.99, 147.13, 147.29, 147.43, 147.69, 147.70, 147.73, 149.01, 149.28, 150.03, 150.26, 152.04.
(実施例2〜17)
フラーレンC60の量、2級アミンの種類と量、クメンヒドロペルオキシドの量、クロロ
ベンゼンの量、反応時間を表1に記載の通りとした他は、実施例1と同様にして、各種ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドを合成した。なお、実施例13では、最後に多量メタノール添加で粗生成物を析出させた後、更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン、次いで体積比でトルエン/メタノール=95/5)で精製を行い、目的物を得た。また、実施例16及び17では、濃縮溶液に多量のメタノールを加える代わりに、5重量%のNaHSO4水溶液に溶解し、トルエンで洗浄した後、NaHCO3を加えてpH9を越えるように調節し、この塩基性水溶液からクロロホルムで3回抽出し、クロロホルム相を乾燥後、減圧して溶媒留去し、得られた濃縮液に体積比で1000倍のジエチルエーテルを加えることで、目的物を得た。
実施例2〜17の生成物の分析結果は、各々、以下の通りであった。
実施例2
赤外線吸収スペクトル分析(以下、「IR」とする)(単位cm-1)、1H―NMR、13C―NMR及び大気圧化学イオン化法による質量分析(以下、「APCI-MS」とする)の結果
は以下の通りであった。IRν(cm-1) 3443, 2957, 2924, 2852, 1739, 1458, 1212, 1134,
860, 755. 1H−NMR(400 MHz,CDCl3)では、δ1.90-1.96 (overlapped t, J = 3.6 Hz, 16H), 3.20 (m, 8H), 3.33 (m, 8H). 13C-NMR(125MHz, CDCl3)δ 24.06, 24.18, 50.41, 51.26, 65.89, 70.17, 73.45, 77.68, 141.04, 141.70, 143.48, 143.85, 143.93, 144.02, 144.15, 144.63, 145.50, 145.71, 145.77, 146.66, 146.70, 147.21, 147.34, 147.42, 147.64, 147.77, 147.85, 148.07, 148.11, 148.20, 149.39, 149.61, 150.40, 150.42, 153.36. APCI-MS m/z 1017 (MH+).
実施例3
IR、1H−NMR、13C−NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであった。
IR ν (cm-1) 2956, 2850, 1479, 1458, 1162, 98, 852, 755. 1H−NMR (400 MHz, CDCl3
)δ2.1-2.3 (m, 8H), 3.7-3.9 (m, 8H), 3.9-4.1 (m, 8H). 13C−NMR (125MHz, CDCl3)
δ17.48, 17.67, 51.78, 52.29, 71.27, 71.58, 74.58, 76.55, 140.78, 143.24, 143.66, 143.76, 143.93, 144.37, 144.58, 145.19, 145.46, 146.17, 146.25, 146.70, 147.01, 147.29, 147.51, 147.77, 148.81, 149.05, 149.24, 149.49, 151.93. APCI-MS (IPA/toluene) m/z 961 (MH+).
実施例4
IR、1H−NMR、13C−NMR、APCI-MSおよび高分解能質量分析(以下、「HRMS」
とする)の分析結果は以下の通りであった。
IR ν (cm-1) 2926, 2854, 1461, 1256, 1103, 835, 774. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 0.01 (s, 12H), 0.02 (s, 12H), 0.84 (s, 18H), 0.85 (s, 18H), 1.31 (m, 8H), 1.53 (m, 4H), 1.75 (t, J = 13.3, 4H), 1.86 (t, J = 12.5, 4H), 2.59 (t, J = 10.5 Hz, 2H), 2.70 (t, J = 10.8, 4H), 2.77 (t, J = 10.8 Hz, 2H), 3.44 (d, J = 6.5 Hz, 4H), 3.48 (d, J = 6.5 Hz, 8H), 3.66 (d, J = 11.0 Hz, 2H), 3.78 (d, J = 11.0,2H), 3.85 (d, J = 10.0, 4H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ-5.27, -5.26, 18.36, 18.38, 25.96, 25.98, 29.72, 29.77, 29.79, 29.81, 38.45, 38.79, 50.58, 51.07, 51.53, 68.05, 68.08, 71.33, 72.41, 76.03, 76.60, 140.32, 141.46, 142.76, 142.94, 143.49, 143.76, 143.79, 143.89, 144.85, 144.88, 145.32, 145.36, 146.25, 146.36, 146.86, 146.89, 147.00, 147.14, 147.25, 147.44, 147.65, 147.72, 149.03, 149.30, 150.03, 150.15, 152.02. APCI-MS m/z 1651 (MH+). HRMS calcd for C108H104N4O5Si4 (MH+) 1649.7162; found: 1649.7140.
実施例5
IR、1H−NMR、13C−NMR、APCI-MS及びHR-MSの分析結果は以下の通りであった。
IR ν (cm-1) 2925, 1461, 1255, 1106, 834, 775. 1H−NMR (500 MHz, CDCl3) δ-0.01 (s, 12H), 0.00 (s, 12H), 0.83 (s, 18H), 0.84 (s, 18H), 1.32 (m, 8H), 1.46 (m, 12H), 1.73 (d, J = 12.0 Hz, 4H), 1.82 (d, J = 12.5 Hz, 4H), 2.57 (t, J = 11.2 Hz, 2H), 2.69 (t, J = 11.3 Hz, 4H), 2.76 (t, J = 11.0 Hz, 2H), 3.63 (m, 12H), 3.72 (d, J = 10.5 Hz, 2H), 3.79 (d, J = 11.0 Hz, 2H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ-5.23, -5.21, 18.29, 18.34, 25.96, 26.01, 32.16, 32.42, 33.15, 39.37, 50.87, 51.27, 51.35, 51.74, 60.83, 60.91, 71.39, 72.48, 76.05, 76.55, 140.35, 141.60, 142.77, 142.92, 143.47, 143.76, 143.82, 143.89, 144.69, 144.92, 145.33, 145.39, 146.27, 146.39, 146.89, 146.94, 147.02, 147.17, 147.25, 147.46, 147.56, 147.73, 149.07, 149.32, 149.93, 149.95, 151.96. APCI-MS m/z 1706 (MH+). HR-MS calcd for C112H112N4O5Si4: (MH+) 1705.7788; found: 1705.7783.
実施例6
1H-NMR から実施例5と同一物質と同定された。
実施例7
IR、1H−NMR、13C−NMR、APCI-MS及びHR―MSの分析結果は以下の通りであっ
た。
IR ν (cm-1) 3437, 2972, 2928, 2812, 1714, 1498, 1171, 1044, 860. 1H―NMR (500 MHz, CDCl3) δ1.47 (s, 18H), 1.49 (s, 18H), 1.50 (m, 8H), 2.10 (m, 8H), 2.33 (bs, 4H), 2.90 (m, 4H), 3.59 (bs, 8H), 3.74 (bs, 2H), 3.80 (bs, 2H), 4.59 (bs, 2H), 4.65 (bs, 2H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ28.43, 28.45, 33.35, 33.61, 47.19, 47.63, 49.36, 49.74, 71.52, 71.82, 75.61, 76.51, 79.26, 140.15, 141.55, 142.85, 143.03, 143.09, 143.56, 143.86, 144.01, 144.37, 144.58, 145.07, 145.29, 146.16, 146.33, 146.85, 146.89, 146.98, 147.06, 147.12, 147.43, 147.70, 147.77, 149.08, 149.35, 149.59, 151.68, 155.11, 155.17. APCI-MS m/z 1535 (MH+). HR-MS calcd for C100H76N8O9: (MH+) 1533.5814; found: 1533.5813.
実施例8
1H -NMR から実施例7と同一物質と同定された。
実施例9
IR、1H-NMR、13C-NMR、APCI-MS及びHR-MSの分析結果は以下の通りであった。IR :ν(cm-1)νcm-1 3413, 2955, 2883, 1668, 1463, 1364, 1308, 1231, 1146, 1079, 1038, 946, 914, 849, 754, 666, 545. 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.6-2.0 (m, 16H), 3.2-3.5 (m, 16H), 3.8-4.1 (m, 16H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ35.63, 35.79, 48.76, 49.39, 64.35, 64.36, 71.46, 71.79, 75.49, 76.45, 106.97, 107.12, 140.28, 141.56, 142.87, 143.08, 143.55, 143.67, 143.87, 144.00, 144.59, 144.72, 145.19, 145.34, 146.20, 146.36, 146.89, 146.92, 147.01, 147.15, 147.19, 147.47, 147.53, 147.74, 147.78, 149.08, 149.34, 149.81, 149.91, 151.79. APCI-MS (toluene:i-PrOH = 7:3) m/z 1305 (MH+). HR-MS calcd for C88H48N4O9: (MH+) 1305.3499; found: 1305.3492.
実施例10
1H-NMR から実施例9と同一物質と同定された。
実施例11
1H-NMRから、J. Chem. Soc., Chem.Commun. 2023 (1995)に記載のモルホリン4重付加C60エポキシドと同一物質であると同定された。
実施例12
1H-NMRから、特開2002−88075号公報記載のN−メチルピペラジン4重付加C60エポキシドと同一物質であると同定された。
実施例13
IR, 1H−NMR、13C−NMR、APCI-MS及びHR-MSの分析結果は以下のとおりであった。IR ν(cm-1) 3029, 2948, 2818, 1705, 1428, 1133, 860, 733, 696. 1H-NMR (500MHz, CDCl3) δ3.25 (m, 16H), 3.67 (bs, 16H), 5.17 (s, 4H), 5.18 (s, 4H), 7.28-7.45 (m, 20H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ44.36, 50.23, 50.70, 67.21, 71.72, 71.74, 75.47, 76.26, 127.95, 128.07, 128.09, 128.50, 136.58, 136.60, 140.10, 141.82, 143.03, 143.26, 143.48, 143.63, 143.87, 143.98, 144.19, 144.39, 144.89, 145.26, 146.07, 146.33, 146.68, 146.85, 146.93, 146.98, 147.02, 147.14, 147.47, 147.75, 147.90, 148.84, 149.20, 149.31, 149.46, 151.07, 155.04, 155.10. APCI-MS: m/z 1615 (MH+). HR―MS calcd for C108H60N8O9: (MH+) 1613.4562; found: 1613.4565.
実施例14
IR, 1H−NMR、13C−NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであった。IR:ν(cm-1) 3025, 2930, 2807, 1452, 1138, 1005, 859, 738, 698. 1H-NMR (400MHz, CDCl3)
δ2.2 - 2.8 (m, 16H), 3.0-3.3 (m, 8H), 3.3-3.5 (m, 8H), 3.5-3.6 (m, 8H), 7.2-7.4 (m, 20H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ50.53, 50.93, 53.58, 62.91, 71.54, 71.92, 75.54, 76.35, 127.06, 127.11, 128.22, 128.24, 129.14, 129.26, 137.88, 138.09, 140.33, 141.66, 142.90, 143.08, 143.48, 143.61, 143.86, 144.02, 144.37, 144.70, 145.13, 145.28, 146.17, 146.32, 146.84, 146.92, 146.99, 147.10, 147.13, 147.24, 147.43, 147.71, 147.78, 149.07, 149.33, 149.47, 151.57. APCI-MS m/z 1438 (MH+).
実施例15
1H-NMR から実施例14と同一物質と同定された。
実施例16
IR、1H−NMR、13C−NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであった。IR: ν(cm-1) 3420, 2959, 2813, 1454, 1324, 1150, 1055, 873, 752. 1HNMR (500MHz, CDCl3) δ1.11 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 1.19 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 1.21 (d, J = 6.5 Hz, 6H ), 1.24 (d, J = 6.5 Hz, 6H), 1.64 (bs, 4H), 2.34 (t, J = 10.5 Hz, 2H), 2.43 (t, J = 10.5 Hz, 2H), 2.48 (t, J = 11.0 Hz, 2H), 2.52 (t, J = 10.5 Hz, 2H), 3.06 (m, 4H), 3.11 (m, 4H), 3.53 (d, J = 10.0 Hz, 2H), 3.57 (d, J = 11.5 Hz, 2H), 3.65 (d, J = 11 Hz, 2H), 3.72 (d, J = 11.0 Hz, 2H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ20.13, 20.35, 20.53, 20.64, 51.10, 51.14, 51.17, 57.54, 57.90, 58.05, 58.45, 71.51, 72.01, 75.70, 76.43, 140.30, 141.73, 142.81, 143.06, 143.50, 143.75, 143.83, 143.99, 144.36, 144.65, 145.22, 145.35, 146.11, 146.33, 146.88, 146.91, 146.97, 147.12, 147.21, 147.43, 147.71, 147.77, 149.05, 149.33, 149.54, 149.61, 151.33. APCI-MS m/z 1191 (50), 1188 (M-, 90), 721 (100).
実施例17
1H-NMR から実施例16と同一物質と同定された。
(実施例18)
ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドの合成;極性溶媒(ジメチルスルホキシド)およびヒドロペルオキシドの前駆体(分子状酸素)を用いる反応
フラーレンC60(250.0mg)をクロロベンゼン(100mL)に溶解後、ジメチルスルホキシド(25mL)を加えた。この溶液に、5分間酸素を吹き込んだ後、酸素雰囲気下でピペリジン(177.4mg)を加え、12時間後にHPLC(高速液体クロマトグラフィー)でフラーレンC60が無くなったことを確認してから、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)で洗浄し、ジメチルスルホキシド及び過剰のアミンを除去した。水層をクロロベンゼン(20mL)で3回逆抽出し、あわせた溶液をさらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去して粗生成物を得た(405.7mg)。15 gのシリカゲルで3重量%酢酸エチル-トルエンを溶離液として最初のフラクションをとり、二硫化炭素-メタノールから再結晶し、目的化合物を得た(344.5 mg、収率92%)。1H―NMR分析により、生成物は、実施例1の生成物と同一の化合物であると同定された。半定量イオン試験紙であるMacherey-Nagel社のQuantofix peroxide25(検出限界は0.5 mg/L)を用いて、最初の分液で得られた水層(120 mL)中を分析したところ、2 mg/Lの過酸化水素が検出された。算出された検出量は、全量で13μmolであった。
(実施例19)
ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドの合成:極性溶媒(ジメチルスルホキシド)および有機ヒドロペルオキシドを用いる反応フラーレンC60 (100.0mg) をクロロベンゼン(40mL)に溶解後、ジメチルスルホキシド(10 mL)を加え、3回凍結脱気して窒素置換した後、クメンヒドロペルオキシド(63.41mg)を加え、ピペリジン(70.95mg)を窒素気流下で加えた。窒素気流下で6時間反応後、HPLCでフラーレンC60が無くなったことを確認し、ジメチルスルフィド(0.1mL)を加えた。飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)で洗浄した後、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去して粗生成物を得た(182.4mg)。7gのシリカゲルで3重量%酢酸エチル-トルエンを溶離液として最初のフラクションをとり、二硫化炭素-メタノールから再結晶し、目的化
合物を得た(103.8 mg、収率70%)。1H―NMR分析により、生成物は実施例1の生成物と同一
の化合物であると同定された。
(実施例20)
ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドの合成:極性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド)およびヒドロペルオキシドの前駆体(分子状酸素)を用いる反応フラーレンC60(100.0 mg)をクロロベンゼン(40mL)に溶解後、N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)
を加えた。この溶液に、5分間酸素を吹き込んだ後、酸素雰囲気下でピペリジン(70.96mg)を加えた。96時間後にHPLCでフラーレンC60が無くなったことを確認してから、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)で洗浄した。水層をクロロベンゼン(20mL)で3回逆抽出し、
あわせた溶液をさらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥させた後、溶媒を留去して、粗生成物(158.4mg)を得た。HPLC分析および1H―NMR分析により、実施例1の生成物と同一の化合物が主成分であると同定した。
(実施例21〜31)
フラーレンC60の量、2級アミンの種類と量、クロロベンゼンの量、極性溶媒の種類と
量、反応時間を表1に記載の通りとした他は、実施例18と同様にして、各種ピペリジン4重付加フラーレンC60エポキシドを合成した。
実施例21〜30の生成物の分析結果は、各々、以下の通りであった。
実施例21
薄層クロマトグラフィー(以下、「TLC」とする。)における試料の移動度(以下、「Rf値」とする。)、IR、1H―NMR、13C―NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであり、
実施例2のピロリジン4重付加フラーレンC60エポキシドと同一物質であると同定された

Rf (10wt% ethyl acetate/toluene) 0.25. IR (powder, cm-1) ν3443 (m), 2957 (s),

2924 (s), 2852 (s), 1739 (w), 1458 (m), 1212 (w), 1134 (m), 860 (m), 755 (s), 541 (w). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.90-1.96 (overlapped t, J = 3.6 Hz, 16H), 3.20 (m, 8H), 3.33 (m, 8H). 13C―NMR (100 MHz, CDCl3)δ23.85 (CH2), 23.95 (CH2), 50.12 (CH2), 50.02 (CH2), 69.69, 71.42, 72.91, 77.89, 140.37, 140.93, 142.85, 143.23, 143.33, 143. 67, 143.99, 144.85, 144.95, 145.06, 145.16, 146.07, 146.16, 146.67, 146.77, 146.83, 147.07, 147.19, 147.32, 147.35, 147.51, 147.61, 148.84, 149.06, 149.59, 149.78, 152.59.MS (APCI) calcd for [M+H]+ 1017, found 1017.
実施例22
1H−NMRから実施例9の化合物と同一物質と同定された。
実施例23
1H−NMRから、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.2023 (1995)記載のモルホリン4重付加フラーレンC60エポキシドと同一物質であると同定された。
実施例24
1H−NMRから実施例7の化合物と同一物質であると同定した。
実施例25
1H−NMR及び13CNMRの分析結果は以下の通りであった。1H-NMR (270 MHz, DMSO-d6/toluene-d8 1/1) δ1.39 (m, 8H), 1.57 (m, 8H), 1.91 (m, 8H), 2.62 (t, J = 12 Hz, 2H), 2.78 (m, 6H), 3.44 (m, 8H), 3.69 (d, J = 8 Hz, 4H), 3.88 (dd, J = 13, 12 Hz, 4H), 4.63 (t, J = 5 Hz, 2H), 4.67 (t, J = 5 Hz). 13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6/toluene-d8 1/1) δ30. 35, 30.48, 30.53, 38.94, 39.25, 50.99, 51.44, 51.47, 51.88, 66.85, 66.97, 71.54, 72.73, 76.42, 77.02, 140.75, 141.66, 142.96, 143.12, 143.60, 143.78, 144.10, 145.25, 145.53, 145.58, 145.68, 146.50, 146.51, 146.98, 147.03, 147.13, 147.27, 147.52, 147.54, 147.79, 147.85, 148.35, 149.10, 149.37, 150.38, 150.83, 152.60.
実施例26
1H−NMR及び13CNMRの分析結果は以下の通りであった。1H-NMR (270 MHz, DMSO-d6/toluene-d8 1/1) δ1.38 (m, 8H), 1.56 (m, 16H), 1.92 (m, 8H), 2.64 (t, J = 12 Hz, 2H), 2.79 (m, 6H), 3.65 (m, 8H), 3.85 (m, 4H), 4.54 (t, J = 5Hz, 2H), 4.56 (t, J = 5Hz, 2H). 13C−NMR (100 MHz, DMSO-d6/toluene-d8 1/1) δ32.71 , 32.97 , 33.79 , 33.84 , 33.93 , 33.96 , 41.24 (CH, 4C), 51.31 , 51.72 , 51.85 , 52.26 , 59.43 , 71.72 , 72.88 , 76.58 , 77.17 , 140.92 , 141.80 , 143.13 , 143.31 , 143.78 , 143.97 , 144.27 , 145.41 , 145.72 , 145.84 , 146.69 , 147.17 , 147.21 , 147.31 , 147.45 , 147.70 , 147.72 , 147.98 , 148.03 , 148.53 , 149.53 , 149.29 , 149.55 , 150.51 , 151.00 , 152.74.
実施例27
IR、1H-NMR、13C-NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであった。IR (powder, cm-1) ν2923, 2852, 1793, 1723, 1713, 1692, 1659, 1644, 1632, 1613, 1451, 1409, 1391, 1358, 1335, 1306, 1285, 1239, 1223, 1181, 1113, 1075, 986, 967. 1H―NMR (500 MHz, CDCl3) δ1.68-1.86 (m, 10H), 3.34-3.44 (m, 2H), 3.45-3.50 (m, 1H), 3.59-3.64 (m, 1H). 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ27.09, 27.12, 29.47, 29.70, 52.07, 52.54, 71.12, 72.49, 76.04, 77.21, 139.68, 141.33, 142.62, 142.83, 143.55, 143.63, 143.72, 143.94, 144.99, 145.06, 145.43, 145.44, 146.33, 146.38, 146.83, 146.95, 146.96, 147.16, 147.18, 147.40, 147.65, 147.73, 148.56, 148.94, 149.24, 150.87, 150.96, 152.30.
実施例28
IR、1H−NMR、13C−NMR及びAPCI-MSの分析結果は以下の通りであった。IR (powder, cm-1) ν3390 (m), 2937 (s), 2795 (s), 2692 (w), 1651 (w), 1455 (s), 1375 (m), 128 7 (s),1158 (w), 1111 (m), 1004 (s), 858 (w), 793 (w), 752 (s), 661 (w), 551 (w),526 (w). 1H−NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.38 (s, 6H), 2.42 (s, 6H), 2.1-2.5 (br m, 16H), 2.5-3.5 (br m, 16H). 13C−NMR (100 MHz, CDCl3) δ46.07 (CH3), 46.09 (CH3),50.42 (CH2), 50.78 (CH2), 55.65 (CH2), 55.76 (CH2), 71.53, 71.83, 75.44, 76.31, 140.07, 141.48, 142.71, 142.90, 143.30, 143.41, 143.68, 143.87, 144.09, 144.45, 144.93, 145.10, 145.96, 146.12, 146.65, 146.71, 146.76, 146.79, 146.81, 146.91, 147.22, 147.50, 147.58, 148.88, 149.11, 149.14, 149.17, 151.21. MS (APCI) calcd for [M+H]+ 1133, found 1133.
実施例29
TLCのRf値、IR、1H-NMR、13C-NMR及び,APCI-MSの分析結果は以下の通りであった。Rf (5wt% ethyl acetate/toluene) 0.42. IR (powder, cm-1)ν2955 (s), 2928 (s), 2867 (m), 2797 (w), 1725 (m), 1457 (s), 1419 (w), 1376 (w), 1266 (w), 1243 (w), 1215 (m), 1183 (w), 1132 (w), 1104 (w), 1064 (w), 1026 (m), 932 (w), 861 (m), 757 (s), 666 (w), 538 (m). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3 ) δ0.8-1.0 (m, 20H), 1.3-1.5 (m, 8H), 1.6-1.7 (m, 8H), 2.80 (s, 6H), 2.87 (s, 6H). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.37, 14.45, 20.64, 20.77, 30.83, 31.00, 38.70, 39.34, 53.93, 54.43, 72.68, 72.86, 76.31, 76.48, 140.02, 141.36, 142.57, 142.61 , 142.81 , 143.36 , 143.66 , 143.74 , 144.80 , 144.95 , 145.25 , 145.32 , 146.15 , 146.26 , 146.76 , 146.86 , 146.87 , 147.07 , 147.42 , 147.59 , 147.67 , 147.99 , 148.92 , 149.20 , 150.06 , 150.41 ,151.90. MS (APCI) calcd for [M+H]+ 1081, found 1081.
実施例30
LCのRf値、IR、1H-NMR、13C-NMR及び,APCI-MSの分析結果は以下の通りであった。
Rf (10 wt% ethyl acetate/toluene) 0.15. IR (powder, cm-1) ν3006 (w), 2975 (m), 2929 (w), 2856 (w), 2821 (w), 1698 (s), 1476 (w), 1453 (m), 1421 (s), 1365 (m), 1300 (w), 1286 (m), 1252 (s), 1171 (s), 1132 (s), 1001 (s), 862 (m), 755 (s), 699 (w), 665 (w), 581 (w), 547 (w), 536 (w), 505 (w). 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.49 (overlapped s, 18H), 1.50 (overlapped s, 18H), 3.1-3.2 (m, 8H), 3.2-3.3 (m, 8H), 3.5-3.7 (m, 16H). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3). δ28.54 (CH3), 28.57 (CH3), 50.41 (CH2), 50.89 (CH2), 52.90 (CH2), 53.08 (CH2), 71.71, 71.83, 75.56, 76.37, 137.70, 140.05, 141.65, 142.89, 143.12, 143.43, 143.52, 143.85, 143.94, 144.04, 144.38, 144.86, 145.18, 146.00, 146.24, 146.75, 146.87, 146.92, 147.04, 147.36, 147.64, 148.95, 149.07, 149.33, 151.12, 154.42, 154.56, 154.62. MS (APCI) calcd for [M+H]+ 1478, found 1478.
(実施例31)
ピペラジン環化付加フラーレンC60の合成;
フラーレンC60(100mg)をクロロベンゼン(40mL)に溶解後、ジメチルスルホキシド(10mL)を加えた。この溶液に5分間酸素を吹き込んだ後、酸素雰囲気下でピペラジン(12.0mg)を加えた。36時間後に、高速液体クロマトグラフィーでフラーレンC60がなくなったことを確認し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、ジメチルスルホキシドおよび過剰のアミンを除去した。水層はクロロベンゼンで逆抽出し、あわせた溶液をさらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去することで粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーでの精製後、フラーレン・ピペラジンの1:1付加体を単離収率20%、1:2付加体を単離収率9%得た。単離した1:1付加体および1:2付加体の分子量を質量分析法で確認するとともに、1H−NMRおよび13C−NMRを測定し、各々、Angew.Ch em.Int.Ed.Engl.1993,32,1174(1:1付加体)及びLiebigs Ann.1995,115(1:2付加体)記載のデータからその構造を確認した。
(比較例1)
光照射法による{4−(tert−ブチルジメチルシロキシメチル)ピペリジン}4重付加フラーレンC60エポキシドの合成
フラーレンC60100mgと4−(tert−ブチルジメチルシロキシメチル)ピペリジン1.019gをクロロベンゼン100mLに溶解し、60W白熱灯を照射しながら、空気下で20時間撹拌した。溶媒及び未反応のN−メチルピペラジンを減圧留去し、得られた褐色固体をヘキサンにより洗浄し、目的物49mgを得た。収率53%。
(比較例2)
光照射法による{4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン}4重付加フラーレンC60エポキシドの合成検討
2級アミンを4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン888.8mgとした以外は、比較例1と同様に行ったが、高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」とする。)及び1H―NMRの結果から{4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン
}4重付加フラーレンC60エポキシドは合成されなかったことが確認された。
(比較例3)
光照射法による4−ベンジルピペラジン4重付加フラーレンC60エポキシドの合成
2級アミンを4−ベンジルピペラジン769mLとした以外は、比較例1と同様に行ったところ、4−ベンジルピペラジン4重付加フラーレンC60エポキシド39.8mgが得られた。収率は20%であった。
(比較例4)
光照射法反応におけるヒドロペルオキシドの定量
フラーレンC60 (100 mg)とピペリジン(378 mg)のクロロベンゼン (50 mL)溶液に、5cmの距離から60 W白熱灯を照射しながら攪拌し、8時間後に、水10mLで水溶性化合物を抽出し、Macherey-Nagel社のQuantofix peroxide25により過酸化水素を定量したが、検出限界(0.5 mg/L)以下であった。
(比較例5)
長時間反応におけるヒドロペルオキシドの定量
フラーレンC60(100mg)とピペリジン(378 mg)のベンゼン(50 mL)溶液に空気を5分間流通後、そのまま空気下で1週間攪拌してから、水10mLで水溶性化合物を抽出し、Macherey-Nagel社のQuantofix peroxide25により過酸化水素を定量したが、検出限界(0.5 mg/L)
以下であった。
Figure 2006199674
Figure 2006199674
Figure 2006199674
本発明の製造方法は、従来の光照射下で行うアミノ化フラーレンの製造方法に比べ、特殊な反応装置が必要無く、反応制御が容易で、高収率で効率よく目的物を得ることができるなどの利点があり、特に、アミノ化フラーレンの大量生産に有用である。また、本発明の製造方法で得られるアミノ化フラーレンは、太陽電池などの電子材料および遺伝子導入試薬などの用途に好適である。

Claims (7)

  1. フラーレンと2級アミンとをヒドロペルオキシド存在下で反応させることを特徴とするアミノ化フラーレンの製造方法。
  2. 光照射せずに反応させることを特徴とする請求項1に記載のアミノ化フラーレンの製造方法。
  3. 分子状酸素又は有機ヒドロペルオキシドの存在下で反応させることを特徴とする請求項1又は2に記載のアミノ化フラーレンの製造方法。
  4. 極性溶媒を用いることを特徴とする請求項1乃至3に記載のアミノ化フラーレンの製造方法。
  5. アミノ化フラーレンが、フラーレン骨格上に4個のアミノ基とエポキシドが結合しているテトラアミノフラーレンエポキシド構造であることを特徴とする請求項1乃至4に記載のアミノ化フラーレンの製造方法。
  6. テトラアミノフラーレンエポキシド構造が、フラーレン骨格上の1つのシクロペンタジエン環に隣接する5個の炭素原子のうちの4個にアミノ基が結合し、残り1個にエポキシドの酸素原子が結合していることを特徴とする、請求項1乃至5に記載のアミノ化フラーレンの製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法により製造されるアミノ化フラーレン。
JP2005141822A 2004-05-17 2005-05-13 アミノ化フラーレンの製造方法 Pending JP2006199674A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005141822A JP2006199674A (ja) 2004-05-17 2005-05-13 アミノ化フラーレンの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004146170 2004-05-17
JP2004374383 2004-12-24
JP2005141822A JP2006199674A (ja) 2004-05-17 2005-05-13 アミノ化フラーレンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006199674A true JP2006199674A (ja) 2006-08-03

Family

ID=36957990

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005141822A Pending JP2006199674A (ja) 2004-05-17 2005-05-13 アミノ化フラーレンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006199674A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008062888A1 (fr) * 2006-11-20 2008-05-29 Jsr Corporation Composition de formation de film de couche inferieure de reserve et procede de formation de motif
WO2008081845A1 (ja) 2006-12-27 2008-07-10 Frontier Carbon Corporation フラーレン誘導体を原料とするフラーレン膜およびフラーレン重合体ならびにそれらの製造方法
JP2010083864A (ja) * 2008-05-20 2010-04-15 Mitsubishi Chemicals Corp アミノ化フラーレン及びアミノ化フラーレンの製造方法
WO2012014653A1 (ja) 2010-07-27 2012-02-02 コニカミノルタホールディングス株式会社 ガスバリア性フィルム、ガスバリア性フィルムの製造方法及び電子デバイス
WO2012026362A1 (ja) 2010-08-25 2012-03-01 コニカミノルタホールディングス株式会社 ガスバリア性フィルムの製造方法及び有機光電変換素子
WO2012090644A1 (ja) 2010-12-27 2012-07-05 コニカミノルタホールディングス株式会社 ガスバリア性フィルム及び電子デバイス
WO2012090665A1 (ja) 2010-12-27 2012-07-05 コニカミノルタホールディングス株式会社 ガスバリアフィルムの製造方法、ガスバリアフィルムおよび電子デバイス
WO2013021971A1 (ja) 2011-08-09 2013-02-14 コニカミノルタホールディングス株式会社 有機光電変換素子、およびそれを用いた有機太陽電池
WO2013077255A1 (ja) 2011-11-24 2013-05-30 コニカミノルタ株式会社 ガスバリアーフィルム及び電子機器
WO2013172359A1 (ja) 2012-05-14 2013-11-21 コニカミノルタ株式会社 ガスバリア性フィルム、ガスバリア性フィルムの製造方法及び電子デバイス
JP7489701B2 (ja) 2020-07-15 2024-05-24 国立研究開発法人物質・材料研究機構 フラーレンナノキューブ、その製造方法およびそれを用いた水晶振動子ガスセンサ

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002088075A (ja) * 2000-09-07 2002-03-27 Eiichi Nakamura アミノ化フラーレン誘導体

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002088075A (ja) * 2000-09-07 2002-03-27 Eiichi Nakamura アミノ化フラーレン誘導体

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8663905B2 (en) 2006-11-20 2014-03-04 Jsr Corporation Pattern-forming method
WO2008062888A1 (fr) * 2006-11-20 2008-05-29 Jsr Corporation Composition de formation de film de couche inferieure de reserve et procede de formation de motif
JP5035252B2 (ja) * 2006-11-20 2012-09-26 Jsr株式会社 レジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法
WO2008081845A1 (ja) 2006-12-27 2008-07-10 Frontier Carbon Corporation フラーレン誘導体を原料とするフラーレン膜およびフラーレン重合体ならびにそれらの製造方法
JP2008202029A (ja) * 2006-12-27 2008-09-04 Frontier Carbon Corp フラーレン誘導体を原料とするフラーレン膜およびフラーレン重合体ならびにそれらの製造方法
EP2098549A1 (en) * 2006-12-27 2009-09-09 Frontier Carbon Corporation Fullerene film using fullerene derivative as raw material, fullerene polymer and their production methods
EP2098549A4 (en) * 2006-12-27 2014-04-02 Frontier Carbon Corp FULLERENE FILM USING FULLERENE DERIVATIVE AS A STARTING MATERIAL, FULLERENE POLYMER, AND PROCESSES FOR PRODUCING THE SAME
JP2010083864A (ja) * 2008-05-20 2010-04-15 Mitsubishi Chemicals Corp アミノ化フラーレン及びアミノ化フラーレンの製造方法
WO2012014653A1 (ja) 2010-07-27 2012-02-02 コニカミノルタホールディングス株式会社 ガスバリア性フィルム、ガスバリア性フィルムの製造方法及び電子デバイス
WO2012026362A1 (ja) 2010-08-25 2012-03-01 コニカミノルタホールディングス株式会社 ガスバリア性フィルムの製造方法及び有機光電変換素子
WO2012090665A1 (ja) 2010-12-27 2012-07-05 コニカミノルタホールディングス株式会社 ガスバリアフィルムの製造方法、ガスバリアフィルムおよび電子デバイス
WO2012090644A1 (ja) 2010-12-27 2012-07-05 コニカミノルタホールディングス株式会社 ガスバリア性フィルム及び電子デバイス
WO2013021971A1 (ja) 2011-08-09 2013-02-14 コニカミノルタホールディングス株式会社 有機光電変換素子、およびそれを用いた有機太陽電池
WO2013077255A1 (ja) 2011-11-24 2013-05-30 コニカミノルタ株式会社 ガスバリアーフィルム及び電子機器
WO2013172359A1 (ja) 2012-05-14 2013-11-21 コニカミノルタ株式会社 ガスバリア性フィルム、ガスバリア性フィルムの製造方法及び電子デバイス
JP7489701B2 (ja) 2020-07-15 2024-05-24 国立研究開発法人物質・材料研究機構 フラーレンナノキューブ、その製造方法およびそれを用いた水晶振動子ガスセンサ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006199674A (ja) アミノ化フラーレンの製造方法
Kotake et al. Bimodal inclusion of nitroxide radicals by. beta.-cyclodextrin in water as detected by electron spin resonance
CN106045991B (zh) 叶绿素作为光敏剂在可见光催化环化反应合成四氢喹啉衍生物中的应用
Periasamy et al. Synthesis of Amines by Reduction of Imines with the MCl2/NaBH4 (M= Co, Ni) System
Zheng Chemical transformations supported by the [Re 6 (μ 3-Se) 8] 2+ cluster core
Xue et al. Construction of rotacatenanes using rotaxane and catenane frameworks
Behera et al. Supramolecular complex catalyzed green synthesis of 9-(2-Ethylhexyl) carbazole: Structural, optical and DFT investigations
CN113061077B (zh) α,α-二氘代醇类化合物、氘代药物及其制备方法
CN108610275A (zh) 一种3-(2-氰基乙烯基)吲哚衍生物的合成方法
CN108191856B (zh) 一种咪唑并吡啶衍生物c3位的硒化新方法
CN110922409A (zh) 制备btk抑制剂泽布替尼的方法
Fioravanti et al. Reagent-controlled diastereoselective aminations with a new chiral nosyloxycarbamate
CN112939891B (zh) 一种制备联苯苯并噻唑化合物的方法
CN112979580A (zh) 可见光下制备烷基苯并噻唑衍生物的方法
CN107129440B (zh) 一种天然产物(+)-负霉素的全合成方法
Rouge et al. Efficient synthesis of amino-protected calix [4] arenes selectively functionalized with iron chelator ICL670 designed as platform for iron recognition
CN111732556B (zh) 一种氘代的洛沙平药物及其制备方法
CN112126941B (zh) 一种多取代10-羟基菲衍生物及其制备方法
KR102242238B1 (ko) 치환된 또는 비치환된 4-브로모-2-플루오로퀴놀린 화합물, 이의 제조 방법 및 이를 포함하는 2,4 치환된 퀴놀린 화합물
CN108285414B (zh) 卤代物及其制备方法、制备卤代物的组合物、卤代物与待卤代物反应制备相应的产物的方法
JP2011057619A (ja) 光学活性アミン化合物の製造方法、並びに、ジアステレオマー塩及びその製造方法
Wang et al. Synthesis of Bisboronic Acids and Their Selective Recognition of Sialyl Lewis X Antigen
Jaskolski et al. Synthesis and crystal and molecular structure of 1, 2-Di (N-piperidyl) ethane-bis-N-oxide tetrahydrate
Stark Preparation of Perylene Bisimide Acceptors with Ethylcarboxyl and Pyrenylcyclohexyl Imide Groups
Chen et al. Iodide-umpolung catalytic system for non-traditional amide coupling from nitroalkanes and amines

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20071128

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20090824

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090824

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20101026

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20101227

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110125