JP2006192869A - 粘着性フィルム - Google Patents

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浩一 朝倉
Akihiro Kuroda
章裕 黒田
Tsukasa Ishihara
司 石原
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Abstract

【課 題】微細な対流パターン形成現象を利用して得られる微細凹凸構造を有することで、防汚性能に優れながら、密着性に優れ、かつ外観が透明〜半透明で、意匠性に優れた新規な密着性フィルムを提供すること。
【解決手段】機械的に凹凸構造を形成することなく、揮発性溶媒の揮発による微細な対流パターン形成現象を応用して粘着塗膜表面に微細凹凸構造を形成させて美麗装飾用の密着性のフィルムを得る。
【選択図】 図1

Description

本願の発明は、美麗装飾用の密着性フィルムに関する。
また、微細な対流パターン形成現象を利用して得られる微細凹凸構造を有することで、防汚性能に優れながら、密着性に優れ、外観が透明〜半透明で、意匠性に優れた新規な密着性フィルムに関する。
電柱、街路灯、塀、歩道橋、壁、橋脚、ガードレール、トンネル、門扉、車両、機械装置等の陸上構造物や、屋内にあっては排風装置、換気扇は、落書き、ほこり、煤煙、排気ガス、貼り紙等によって汚染されやすく、美観を著しく損ねられ、しかもこれらの汚れは容易に除去できず、汚れを除去するために莫大な労力と費用が必要となる。そこで、従来よりこれら構造物にシリコンオイル、ワックス等を添加した塗料を塗布し、汚染防止膜を形成して汚染を防止する等している。また、店舗等における広告や商品表示等に使用するシートとして何度も貼り剥がしの反復可能なものが使用されている。
このような貼り剥がし反復可能なシートとしては、可着材を印刷により網目状等に塗布し、擬似吸盤状を形成する等した粘着層を有するものがあるが、粘着層は、粘着強度が低く、使用を重ねるうちに、ゴミ等の付着によって粘着力が低下したり、粘着層が粘着対象物に転移する等の問題がある。
例えば、片面に受像層をもち、吸盤層にアクリル系樹脂を発泡させて形成した発泡形成層の表面を切断及び/又は切削により除去して吸盤層を形成した吸着積層体を用いて高い粘着強度を長期に保持する技術(特許文献1)が開示されているが、アクリル系樹脂に均一な気泡を形成させること、発泡形成層表面を平滑に切断すること等吸盤層表面の形成に安定性が乏しく、煩雑さがある。また、プリント基板を作成する際に凹凸を形成させるためにシリコンと濡れ性の悪い樹脂溶液に高分子量のシリコンを分散させる技術(特許文献2)が開示されている。
また、防汚を目的として陸上構造物にヒドロキシアルキル基又はアルコキシ基を有するシリコン樹脂を含有し、離型性シートとベースシートとの層間にはポリブチルアクリレート、ポリ-2-エチルヘキシルアクリレートのような公知粘着剤を用いた汚染防止粘着シート(特許文献3)、防汚層に反応硬化型シリコン樹脂を含有した防汚塗料を塗布した無毒防汚性粘着シート(特許文献4)が知られるが、これら公知の粘着剤はいずれも長期に防汚機能を発現・維持するために強固な接着を意図したものであり、粘着、剥離の反復使用性を目指したものではなかった。
さらに、粘着剤の塗工時にスプリングコイル又はらせん突状付の一対の回転円筒体を用いて細溝パターンを形成する粘着ラベルシート(特許文献5)、一方の面が凹部によって囲まれた独立した平坦部を多数有する形状からなる離型シートの当該面上に、前記形状に対応する面を有する樹脂層、及び被転写シートを順次積層し、離型シートの形状を転写した吸盤貼着シート(特許文献6)、微細な網目状の吸盤層を印刷等の方法により設置し、接着剤を使用しないで接着させる吸盤付シート(特許文献7)が知られているが、これらはいずれも機械的に凹凸構造を形成させた例である。
一方、相分離を用いた粘着シートでは、粘着剤と、この粘着剤の良溶媒及び貧溶媒からなる混合溶媒とを含有する塗布液を用いてシート基板上に粘着剤の点状物を形成させる方法(特許文献8)が開示されているが、粘着剤が塗布されている部分と非塗布部分が明確に分離し、塗布部分が凸、非塗布部分が凹となっている。また、金属膜表面に凹凸膜を相分離により簡単に製造する方法としてアルコキシシランのような金属化合物を溶解する溶媒と相溶しない溶媒及び両溶媒と相溶する溶媒の三者を用いて金属化合物のゲル化物を金属表面に形成させる凹凸膜の製造方法(特許文献9)が開示されているが、三種の溶媒の調整が難しく煩雑な製造方法であることは明らかである。
一方、塗布液の組成ではなく水蒸気ミスト中で塗布液中の溶媒の気化熱により気中水蒸気を樹脂層表面に結露させて凹凸光散乱表面を作成する方法(特許文献10)も開示されているが、塗布液組成以外の要因で凹凸表面を形成するものであり、結露の条件設定など操作中に変化しやすく煩雑な製造方法である。
特開2001−171054号公報 特開平07−104108号公報 特開平06−184519号公報 特開平06−033024号公報 特開2002−221905号公報 特開平11−277655号公報 特開平06−238845号公報 特開2004−277534号公報 特開2004−290872号公報 特開2004−325469号公報
上述するように、上記公知技術では粘着層に凹凸を設けるように意図したものであっても、その手法は、中空ビーズを用いる方法、印刷、ローラーなどを用いて機械的に模様を形成させるなどの方法であり、実現性のある簡便な方法であり、粘着面に構造を形成することで密着性の向上を図ることについては記載されていない。
これに対して、本発明者らは、粘着、剥離の反復可能な汚染防止フィルムについて鋭意検討を行った結果、従来の比較的平滑な粘着剤塗膜を、いわゆる対流現象を利用して微細凹凸を形成できることに着目し、密着性が高く、再剥離性にも問題がなく、しかもフィラーを用いなくても粘着力が十分に得られる、透明ないし半透明の外観を持つフィルムが得られることを見出した。
本願に記載された発明は、以下の第1の発明〜第11の発明よりなる。
本願の第1の発明は、機械的に凹凸構造を形成することなく、揮発性溶媒の揮発による微細な対流パターン形成現象を応用して粘着塗膜表面に微細凹凸構造を形成させてなる密着性フィルムにある。
本願の第2の発明は、揮発性溶媒が非極性溶媒であることを特徴とする上記の密着性フィルムにある。
本願の第3の発明は、非極性溶媒が、n-ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、又はイソパラフィンから選ばれることを特徴とする上記の密着性フィルムにある。
本願の第4の発明は、微細凹凸構造が、フィルムの片面に形成されてなることを特徴とする上記の密着性フィルムにある。
本願の第5の発明は、微細凹凸部の間隔が、平均で10〜5000μmの範囲にあることを特徴とする上記の密着性フィルムにある。
本願の第6の発明は、微細凹凸構造が、ビニル系ポリマーと揮発性溶媒との混合物から形成されたものであることを特徴とする上記の密着性フィルムにある。
本願の第7の発明は、微細凹凸構造を形成するビニル系ポリマーのガラス転移温度が300K以下であることを特徴とする上記の密着性フィルムにある。
本願の第8の発明は、微細構造を形成するビニル系ポリマーが、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸-3,5,5-トリメチルヘキシル、又はメタクリル酸-3-オキサブチルのいずれか1種以上から選択されるモノマーを重合してなることを特徴とする上記の密着性フィルムにある。
本願の第9の発明は、密着性フィルムの微細凹凸構造を有していない片面が、防汚処理を施されていることを特徴とする上記の密着性フィルムにある。
本願の第10の発明は、密着性フィルムの外観が、透明〜半透明であることを特徴とする上記の密着性フィルムにある。
本願の第11の発明は、密着性フィルムが再剥離性に優れることを特徴とする上記の密着性フィルムにある。
以上説明するように、本願の第1の発明〜第11の発明(以下、特にことわりのない限り「本発明」という。)では、機械的に凹凸構造を形成することなく、揮発性溶媒の揮発による微細な対流パターン形成現象を応用して粘着塗膜表面に微細凹凸構造を自発的に形成させるため、印刷や網目形成のためのローラーなどの設備が不要で、塗工液を塗布し、乾燥するだけで微細凹凸が形成でき、さらにこの密着性フィルムは密着性能に優れ、簡単に剥離でき、しかもこの粘着・剥離が反復可能で、且つ透明〜半透明の外観を呈するので、意匠性の優れたフィルムが容易に得られる。また、本発明の密着性フィルムは、何度も貼ったり剥がしたりすることが可能であることから、家庭用の防汚フィルム、鏡の曇り止め、広告の固定、窓用フィルム、各種シール等に使用することができる。
以下、上記本発明を詳細に説明する。
本発明は、対流現象を利用して得られる微細凹凸構造を有する密着性フィルムに関する。本発明で言う「微細な対流パターン形成現象」とは、ポリマーと揮発性溶媒からなる組成物を材料表面に塗工した際、その表面から揮発性溶媒が揮発していく過程で、塗膜内に数μmから数mmの大きさを持つほぼ六角形の対流パターンが等間隔で形成される現象を意味し、揮発性溶媒がさらに揮発して粘度が高まり過ぎるとこの対流が停止し、その時点における対流パターンが固定化されるため、微細凹凸構造がポリマー上に固定されて残ることを言う。
本発明ではこの微細凹凸構造を形成するに当たり、機械的には凹凸を形成しない。機械的に凹凸を形成させる例としては、印刷や型、版などを用いて模様をフィルム上に形成させるもの、また、機械的に泡を形成させて泡ごと樹脂を固めるもの、中空樹脂ビーズを配合し、塗膜が固まってから機械的に表面をスライスするものなどが挙げられる。また、本発明でいう微細凹凸構造とは、全体が一層となっている塗膜の表面が微細凹凸構造を持つことを示し、例えば塗膜自体が島状に分割されて分布することで凹凸を形成しているようなものは含まない。
また、本発明で言う「微細凹凸構造」とは、凹凸部の間隔が平均で10〜5000μmの範囲にある周期的な凹凸構造である。周期は塗工厚み、組成、温度、揮発性溶媒の種類などのファクターを組み合わせて決めることができるが、本発明の密着性フィルムを再剥離性フィルムとして使用する場合には10〜5000μmの範囲が好ましい。5000μmを超えると、長期間使用後の再剥離性に問題が生じる場合があり、10μm未満は本方法では均一にコントロールすることが難しい問題がある。
本発明では、この微細凹凸構造を有する面が密着面になる。本発明の密着性フィルムは、微細凹凸構造を有する面がフィルムの片面もしくは両面に形成されていても構わないが、片面に形成されていることが好ましい。
本発明の密着性フィルムの微細凹凸を有する密着面は、ビニル系ポリマーと非極性揮発性溶媒との混合物から形成されることが好ましい。
ここで言うビニル系ポリマーとしては、アリル基、アクリル基、メタクリル基又はビニル基のような二重結合を1つ又はそれ以上有するモノマーが重合してなるポリマーであって、透明な重合体を与えるものが挙げられる。
ポリマーを構成するモノマーの例としては、例えばスチレン、パラクロロスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニル酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルナフタレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキシル又はメタクリル酸-3,5,5-トリメチルヘキシル又はメタクリル酸-3-オキサブチル等が挙げられるが、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸-3,5,5-トリメチルヘキシル又はメタクリル酸-3-オキサブチルの中の1種以上を含むビニル系ポリマーがより好ましい。
本発明では、これらのモノマーの1種以上からなるポリマーを用いることが好ましい。この内、フィルムが金属板等でなく、柔軟性のある樹脂フィルム等を用いた場合では、密着面に用いるビニル系ポリマーのガラス転移温度は、300K以下、より好ましくは250K以下であることが好ましい。この場合、ビニル系ポリマーのガラス転移温度が300K以上であるとフィルムの温度による伸縮や可撓性に追従できずに粘着面が剥離する現象がおこりやすくなる。
上記した本発明で用いるモノマーからポリマーを得るには、光重合や熱重合によって重合可能であるが、重合開始剤としては、モノマーに混合して用いる有機過酸化物、過硫酸塩類、及びアゾ系化合物、その他にもパーオキシカーボネート類又はパーオキシエステル類等が挙げられる。
具体的には、熱重合開始剤として過酸化ベンゾイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、光重合開始剤としてベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル又はダロキュアシリーズ(メルク社)等が好適に用いられる。重合反応におけるこれらの重合開始剤の濃度としては、モノマーの濃度に対して、0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
本発明では、上記のポリマーを形成し、それを揮発性溶媒に溶解させたものを一定の厚さに塗工するのであるが、この際、ポリマーは高粘度であり溶解しにくいため、アトライターなどの混合機を用いて均一に混合してから使用することが好ましい。
本発明で用いる揮発性溶媒は、常圧下で揮発性のある有機化合物を用いることが好ましく、ビニル系ポリマーと相溶性に優れた非極性の揮発性溶媒が好ましい。非極性溶媒の例としては、n-ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、イソパラフィン、フルオロカーボン、次世代フロン又はn-ブタン等が挙げられるが、特に入手が容易で安価なn-ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、又はイソパラフィンが好ましい。
本発明で用いる固体基板は、軟質、硬質いずれの基材でもよく、例えば透明樹脂フィルム、不透明樹脂フィルム、樹脂板、金属板、金属箔、紙、布、ガラス、不織布、織布、又は金属蒸着フィルム等が挙げられるが、微細凹凸を有する粘着面が透明である特性を生かせる透明樹脂フィルムが特に好ましい。この場合、密着性フィルムの外観は透明〜半透明となり、意匠性に優れた製品が得られる。また、それぞれのフィルムの材質は従来使用されているものであれば、特に限定されない。フィルムと密着性樹脂との密着性を改善する目的で、既にプライマーで処理したり、コロナ放電処理やプラズマ処理等によってフィルム表面の密着性を向上させてあっても構わない。
本発明の密着性フィルムにおいては、密着面を形成する際に、上記の各成分以外にフィラー、油剤、防腐剤、防カビ剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、又は着色剤等の成分を適宜使用することができる。
フィラーとしては、例えばシランカップリング剤処理されたシリカや撥水化処理された酸化チタンなどが挙げられ、油剤としては、例えばデカメチルシクロペンタシロキサン又はシリコンオイルなどが挙げられ、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、安息香酸系、ケイ皮酸系の吸収剤などが挙げられる。これらはポリマーを作成する際に添加しても良いし、またあらかじめ揮発性溶媒に添加して用いても良い。
本発明の密着性フィルムは、密着面と反対の片面が防汚加工されていることが好ましい。防汚加工の例としては、例えばフッ素化合物による処理又は有機シリコン化合物による処理や酸化チタン光触媒による処理などが挙げられる。
本発明の密着性フィルムの製造方法としては、例えば前記モノマー又はビニル系ポリマーとモノマーの混合物と重合開始剤と、場合により溶媒とを混合し、紫外線、電子線、又は熱などにより重合を行ったものを作成し、これに前記揮発性溶媒を混合して塗工液を得、ついでアプリケーター等を利用してフィルム表面に一定の厚みに塗工した後に、乾燥及び/又は減圧により揮発性溶媒を除去して塗膜を完成させる方法が挙げられる。尚、揮発性溶媒の大気放出を避けるため、揮発性溶媒の回収装置が併設されていることが好ましい。
密着性フィルムの製造方法をさらに詳細にビニル系ポリマーとしてポリメタクリル酸オクチルを、揮発性溶媒としてn-ヘキサンを用いて、微細凹凸構造形成の仕組みを説明する。
まず、未反応モノマー(メタクリル酸オクチル)と重合開始剤を混合し、攪拌しながらポリメタクリル酸オクチル(A)を作る。このときの反応温度は60℃程度が好ましい。この際系の雰囲気を嫌気状態に保つため、窒素、アルゴン、又はヘリウムで置換し、モノマーの蒸散を防ぐため還流冷却器を用いることが好ましい。すると、高粘度の透明な無着色ガム状液状物が得られる(第一工程)。次いで、この無着色ガム状液状物にn-ヘキサンを加え、溶解させ、無色透明の液を得る(第二工程)。この際、無着色ガム状液状物の粘度が高いので、アトライターなどを用いてよく攪拌することが好ましい。この溶解液を固体基板の上にアプリケーターなどを用いて塗工する(第三工程)。この際、塗工厚みが変化すると、凹凸の周期が変化するのでなるべく均一に塗工することが好ましい。次に、この塗工された基板を送風乾燥、送風加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥などの方法を用いて乾燥し、基板上の揮発性溶媒を除去する(第四工程)。この際、乾燥空気を用いると水蒸気の影響による塗膜の曇りが抑制できる。この第四工程において、揮発性溶媒の揮発が開始すると対流が発生し、対流の沈み込み帯は高表面張力のため凸部になり、対流の沸き上がり帯は低表面張力のため凹部となり、これはさらなる揮発性溶媒の揮発により粘度が上がって対流が消えるまで続く。そして、対流が止まった時点における微細凹凸が表面に固定化された塗膜が完成する。
本発明では、乾燥後の塗膜の厚さとしては、10〜2000μmの範囲が好ましい。10μm未満では、粘着性に問題が生じる場合があり、2000μmを超えると長期的に塗膜の変形が発生したり、塗膜が剥離したりする場合がある。
本発明のガム状液状物と揮発性溶媒の混合比率としては、質量比で1:99〜40:60の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは、10:90〜30:70の範囲が挙げられる。この範囲であると、凹凸構造が形成しやすく、密着性を向上することが可能である。
本発明の乾燥条件としては、揮発性溶媒の引火、爆発などに注意しながら設定することが好ましい。
但し、強い乾燥条件を用いると瞬時に溶媒が揮発して対流パターンが形成できない問題があり、一般的には常圧下の場合では、20〜50℃の温度範囲で実施することが好ましい。
本発明の微細凹凸構造の確認方法としては、実体顕微鏡、光学顕微鏡、ファイバースコープ、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等による観察で確認することが好ましい。
本発明の密着性フィルムは、透明性に優れ、かつ微細凹凸の効果により再剥離性に優れるため、再剥離が可能なフィルム用途に特に好ましく用いることができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例で用いた各種特性に対する評価方法を以下に示す。
<密着性の評価方法>
作製したフィルムを2.5mm角に切り取り、メラミン樹脂板に貼り付けた。そしてフィルムに対して垂直方向に引っ張り荷重をかけ、その荷重の大きさから密着性を評価した。従って、荷重が大きい程、密着性に優れていることを示す。
[実施例1]
和光純薬工業社製メタクリル酸2-エチルヘキシル10質量部に開始剤として和光純薬工業社製2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.2質量部を加え、雰囲気をアルゴンに置換した後、60℃にて攪拌しながら重合させた。この重合物15質量部にn-ヘキサン85質量部を加え、1時間攪拌混合して外観が均一で透明な溶液を得た。この溶液を乾燥後膜厚で約100μmの厚さにアプリケーターを用いて塗工し、30℃で微風下に乾燥させた。この時の塗膜の凹凸周期をマイクロスコープを用いて測定したところ約290μmであった。写真の例を図1に示す。この塗膜は凹凸を形成しているが外観上は透明な塗膜であった。
[比較例1]
実施例1の溶液を用い、実施例と同じ条件で塗工した後、塗膜面の1cm上方にガラス板を置き、n-ヘキサンの揮発速度を抑制した形で塗膜を完成させた。マイクロスコープで観察したところ、塗膜は平滑であり、凹凸を形成していなかった。
[実施例2]
実施例1の重合物7.5質量部とシクロヘキサン92.5質量部を混合した以外は全て実施例1と同様にして塗膜を得た。塗膜における凹凸模様の周期は約270μmであった。この塗膜は凹凸を形成しているが外観上は透明な塗膜であった。
[比較例2]
実施例2の溶液を用い、比較例1と同様にして塗膜を作成し、塗膜面を観察した結果、平滑な塗膜面を示した。
表1に密着性の評価結果を示す。
表1の結果から、微細凹凸周期構造の有無により、密着力が大きく変化していること、微細凹凸周期構造があると密着性が向上することが判る。
実施例1の凹凸周期をマイクロスコープを用いて観察した時の写真

Claims (11)

  1. 機械的に凹凸構造を形成することなく、揮発性溶媒の揮発による微細な対流パターン形成現象によりビニル系ポリマーの粘着塗膜表面に微細凹凸構造を形成させてなる密着性フィルム。
  2. 揮発性溶媒が、非極性溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の密着性フィルム。
  3. 非極性溶媒が、n-ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン又はイソパラフィンから選ばれることを特徴とする請求項2記載の密着性フィルム。
  4. 微細凹凸構造が、フィルムの片面に形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の密着性フィルム。
  5. 微細凹凸部の間隔が、平均で10〜5000μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の密着性フィルム。
  6. 微細凹凸構造が、ビニル系ポリマーと揮発性溶媒との混合物から形成されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の密着性フィルム。
  7. 微細凹凸構造を形成するビニル系ポリマーのガラス転移温度が300K以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の密着性フィルム。
  8. 微細構造を形成するビニル系ポリマーが、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸-3,5,5-トリメチルヘキシル及びメタクリル酸-3-オキサブチルのいずれか1種以上から選択されるモノマーを重合してなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の密着性フィルム。
  9. 密着性フィルムの微細凹凸構造を有していない片面が、防汚処理を施されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の密着性フィルム。
  10. 密着性フィルムの外観が、透明〜半透明であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の密着性フィルム。
  11. 密着性フィルムが、再剥離性に優れることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の密着性フィルム。
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