JP2006189885A - 液晶表示装置用カラーフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】
透明性、密着性、各種耐性、バリア性、低比誘電率等の諸特性に加え、平坦性に優れた層を有するIPS方式の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】
ガラス転移点が100℃以下となるような成分を含む組成分を溶媒に溶解することによって混合し塗工液とする工程と、該塗工液を透明基板上に塗工する工程と、該透明基板上にある塗工液を加熱硬化することにより平坦性に優れた層を形成する工程を備えたことを特徴とする、少なくとも遮光部として形成されたブラックマトリクス層と画素として形成されたカラーフィルタ層を備えることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法とすること。
【選択図】なし

Description

本発明は横電界駆動(In−Plane Switching:IPS)方式の液晶表示装置に好適な平坦性に優れたオーバーコート層を有するカラーフィルタに関する。
液晶表示装置用カラーフィルタはガラス等の透明基板上に、画素として、染料又は顔料を含有する天然タンパク、アクリル樹脂等からなる着色層(以下、カラーフィルタ層という)を有しており、このカラーフィルタ層の平坦化の向上、耐熱性、耐湿性、耐薬品性等の向上、カラーフィルタ層からの溶出物の防止(バリア性)等の目的からオーバーコート層を設けてある。
オーバーコート層に求められる特性としては、耐熱性、耐薬品性、平坦性、バリア性の他に透明性、カラーフィルタ層との密着性、封止材との接着性等が挙げられ、従来、熱硬化型アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリグリシジルメタクリレート系樹脂、シリカ系の無機コート材等が使用されてきた。しかしながら、熱硬化型アクリル系、ウレタン系樹脂は耐熱性、密着性が低く、ポリグリシジルメタクリレート系、シリカ系の無機コート材樹脂は密着性が低いといった問題があり、上記の特性すべてを満足するバランスのよい材料は無かった。
また、近年、液晶表示装置の最大の欠点である、見る角度によって表示画像が変化してしまうという視野角特性の改善が試みられているが、各種の視野角特性の改善方式の中で、IPS方式のTFT液晶表示装置が注目されいる。このIPS方式の場合、カラーフィルタ上に設けていたインジウムチンオキシド(ITO)等からなる透明電極の形成が必ずしも必要でないため、液晶とカラーフィルタが直接触れることになる。そこで、従来の透明性、密着性、各種耐性、バリア性等の特性に加えて、オーバーコート層に要求される特性として表示機能の安定化のため、低比誘電率という電気特性も要求されるようになった。
本発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、透明性、密着性、各種耐性、バリア性、低比誘電率等の諸特性に加え、液晶表示画面において表示の応答速度が落ち、残像が残ってしまうという表示劣化を軽減、回避させるために平坦性に優れたオーバーコート層を有する液晶表示装置用カラーフィルタ及び平坦性に優れたオーバーコート層を形成することができるオーバーコート用樹脂組成物を提供することにある。
本発明は上記課題を達成するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、ガラス転移点が100℃以下となるような成分を含む組成分を溶媒に溶解することによって混合し塗工液とする工程と、該塗工液を透明基板上に塗工する工程と、該透明基板上にある塗工液を加熱硬化することにより平坦性に優れた層を形成する工程を備えたことを特徴とする、少なくとも遮光部として形成されたブラックマトリクス層と画素として形成されたカラーフィルタ層を備えることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。である。
請求項2に記載の発明は、前記ガラス転移点が100℃以下となるような成分の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析より求められるポリスチレン換算の重量平均分子量が2000〜7000であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記ガラス転移点が50〜90℃であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記加熱硬化する際の加熱温度が150℃〜250℃であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法である。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置である。
請求項6に記載の発明は、前記液晶表示装置が横電界駆動方式であることを特徴とする請求項5記載の液晶表示装置である。
本発明により、透明性、密着性、各種耐性、バリア性、低比誘電率等の諸特性に加え、液晶表示画面において表示の応答速度が落ち、残像が残ってしまうという表示劣化を軽減、回避させるために平坦性に優れたオーバーコート層を有するIPS方式の液晶表示装置用カラーフィルタ及び平坦性に優れたオーバーコート層を形成することができるオーバーコート用樹脂組成物を提供することができた。
本発明における酸基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニル安息香酸又は(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに無水フタル酸等の酸無水物を付加させたものが挙げられるが、耐熱性、密着性、透明性、平坦性の点からアクリル酸が特に好ましい。
本発明におけるB成分である分子内にエポキシ基を少なくとも1以上有する化合物としては、脂環型エポキシ樹脂、ポリアルコール型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA又はF型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、メチレンシクロヘキサンオキシド、シクロヘプテンエポキシド、1、2−エポキシシクロヘキサン等が挙げられるが、耐熱性、密着性、電気特性(比誘電率)の点から特にテトラヒドロキシフェニルエタン型が好ましい。
本発明におけるA成分とB成分の混合比としては、A成分の共重合体100重量部に対し、B成分の分子内にエポキシ基を少なくとも1以上有する化合物30〜200重量部を混合することが望ましい。A成分が少なすぎると硬化が不十分となるため、密着性、バリア性、耐薬品性が不十分となる傾向があり、逆に多すぎると比誘電率が高くなる傾向がある。
A成分である酸基を有するモノマーと化学式(1)に表されるモノマーの共重合体における配合比は、酸基を有するモノマーの配合量が共重合体の10〜70重量%であることが望ましい。酸基を有するモノマーの配合比が大きすぎると耐熱性が低下する傾向があり、また小さすぎると密着性が低下する傾向がある。
Figure 2006189885
本発明における酸基を有するモノマーと化学式(1)で表されるモノマーの共重合体は、ガラス転移点が100℃以下となるように2つのモノマーを配合する。ガラス転移点を低くすることにより、加熱硬化時における温度上昇の熱でリフロー性が生じ、平坦性が向上する。しかし、ガラス転移点は低すぎてはタック性が生じるため、ガラス転移点は50〜90℃が好ましい。
本発明における酸基を有するモノマーと化学式(1)で表されるモノマーの共重合体の重量平均分子量は、重量平均分子量が大きいとカラーフィルタ層上でのフロー性が悪く、平坦性が低下する。逆に小さすぎては、耐薬品性が不十分となる傾向があるため、ポリスチレン換算で重量平均分子量が2000〜7000が好ましい。尚、重量平均分子量とは、東ソー(株)製のHLC−8120を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析を行って、ポリスチレン換算により求られたものをいう。
更に、塗工液には上述したA、B成分の他に、必要に応じて接着性をより向上させるシランカップリング剤の添加が可能で、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエオキシシラン、β−(3, 4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
オーバーコート層を形成する塗工液は、上記の諸成分を均一に混合することにより得られる。これらの成分を混合するには、適当な溶媒に溶解することによって混合することが望ましい。塗工液を均一に溶解する溶剤としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、プロピオングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、エチルベンゼン、酢酸イソペンチル、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等が挙げられるが、溶解性、コーティング性の点からシクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテルが望ましい。
塗工液の組成分を混合する順序は特に限定しない。また、塗工液の溶液濃度についても特に限定しないが、使用目的や基板に塗布する方法に応じて適宜選択される。一般的には溶液濃度は10〜40重量%程度で使用する。以上の様にして得られた塗工液をブラックマトリックス層とカラーフィルタ層からなる透明基板上に、ロールコータ、スピンコータ等により任意の厚さに塗布し、150℃〜250℃の温度で、0.5〜2時間程度硬化させるとオーバーコート層が形成される。
以下、実施例をもってより詳細に本発明を示す。
(実施例1)
冷却管、攪拌機、温度計を備えた容量1リットルの3径丸底フラスコにアクリル酸50g、ブチルメタクリレート50g、シクロヘキサノン250gを仕込み、十分に窒素置換をした後、更にアゾビスイソブチロニトリル1.5gを加え、溶液の温度を80℃に昇温し5時間攪拌を続け、共重合体を得た。この共重合体の重量平均分子量はポリスチレン換算で5000であった。また、この共重合体のガラス転移点は80℃であった。ここで得られた共重合体溶液100gに、分子内に少なくともエポキシ基を1以上有する化合物であるエピコート1031(商品名、油化シェルエポキシ(株))のシクロヘキサノン溶液12%を100g加えて、よく攪拌し塗工液を得た。
尚、ブラックマトリックス層及びカラーフィルタ層の形成は、以下の方法により行った。透明基板として、コーニング(株)、低膨張ガラス(品番7059、厚さ1.1mm)を用いた。ブラックマトリックス層の材料として、黒色顔料を分散した紫外線硬化型感光制樹脂(富士ハントエレクトロニクステクノロジー(株)製、製品名(CK−2000))をスピンコータにより、塗布・乾燥させ、フォトマスクを介して紫外線を照射し、現像処理を行いブラックマトリックス層を形成した。次に、赤色顔料を分散した紫外線硬化型感光性樹脂(富士ハントエレクトロニクステクノロジー(株)製、製品名(CK−2000))を用い、ブラックマトリックス層形成と同様な操作を行い、赤色画素としてのカラーフィルタ層を形成した。続いて赤色画素と同様な操作を行い、緑色及び青色画素としてのカラーフィルタ層を各々形成した。
上記に示した方法により作製した透明基板上のカラーフィルタ層上に、塗工液をスピンコータ1000rpmで塗布した後、200℃、1時間で硬化させ、オーバーコート層を得た。得られたカラーフィルタは平坦性に優れ、カラーフィルタ層の平坦性を表わす段差減少率(オーバーコート層を形成前の段差を100%とし、それに対するオーバーコート層の形成後の段差の割合)は20%になった。また、外観上も異常はなかった。接触型の膜厚測定によると、オーバーコート層の膜厚は1μmであった。
以上の様にして作製したカラーフィルタのオーバーコート層について次の試験を行った。まず、400〜700nmの領域における透過率を測定したところ、全領域で95%以上であった。次に、このカラーフィルタを5%NaOHと5%HSOの水溶液とN−メチル−2−ピロリジノンのそれぞれの耐薬品性を調べた。カラーフィルタをそれぞれの溶液に常温で30分浸漬し、その後の膜厚、透過率を測定し、剥離やクラック等の発生の有無を調べたが、オーバーコート層形成の硬化後との変化は見られなかった。更に、オーバーコート層とカラーフィルタ層の密着性を調べた。テープ剥離による基盤目試験(JIS K−5400)を、オーバーコート層形成の硬化後と120℃、2atm、5時間のプレッシャークッカーテスト後について行った結果、いずれにおいてもオーバーコート層の剥離は認められなかったので密着性は良好ある。尚、比誘電率は3.7であり、実際にIPS方式の液晶表示装置に使用してみると表示ムラ等なく良好であり、封止剤との接着性も良好であった。
(実施例2)
実施例1と同様にしてアクリル酸50g、アクリル酸エチル30g、メチルアクリレート20g、シクロヘキサノン250g、アゾビスイソブチロニトリル1.2gを仕込み、共重合体を得た。この共重合体の重量平均分子量はポリスチレン換算で7000であった。また、この共重合体のガラス転移点は90℃であった。以降も同様の操作を行い塗工液を得た後、オーバーコート層を形成した。このカラーフィルタについて同様の試験を行い、表1に示す結果を得た。
Figure 2006189885
(比較例1)
実施例1と同様にフェニルマレイミド50g、グリシジルメタクリレート50g、シクロヘキサノン250g、アゾイソブチロニトリル1.2gを仕込みポリスチレン換算で重量平均分子量40000の共重合体を得た。得られた共重合体溶液100gに、トリメリット酸のジグライム溶液12%を25g加えて塗工液を得た後、オーバーコート層を形成した。このカラーフィルタについて同様の試験を行い、表1に示す結果を得た。
(比較例2)
実施例1と同様にグリシジルメタクリレート85g、フェニルマレイミド15g、シクロヘキサノン250g、アゾイソブチロニトリル1gを仕込み、ポリスチレン換算で重量平均分子量60000の共重合体を得た。以降も同様の操作を行い塗工液を得た後、オーバーコート層を形成した。このカラーフィルタについて同様の試験を行い、表1に示す結果を得た。

Claims (6)

  1. ガラス転移点が100℃以下となるような成分を含む組成分を溶媒に溶解することによって混合し塗工液とする工程と、
    該塗工液を透明基板上に塗工する工程と、
    該透明基板上にある塗工液を加熱硬化することにより平坦性に優れた層を形成する工程
    を備えたことを特徴とする、
    少なくとも遮光部として形成されたブラックマトリクス層と画素として形成されたカラーフィルタ層を備えることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  2. 前記ガラス転移点が100℃以下となるような成分の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析より求められるポリスチレン換算の重量平均分子量が2000〜7000であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  3. 前記ガラス転移点が50〜90℃であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  4. 前記加熱硬化する際の加熱温度が150℃〜250℃であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のカラーフィルタを有することを特徴とする液晶表示装置。
  6. 前記液晶表示装置が横電界駆動方式であることを特徴とする請求項5記載の液晶表示装置。
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