JP2006189272A - 核磁気共鳴測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
核磁気共鳴測定装置で使用される電子品の一種であるプローブヘッド内の照射コイル、受信コイル、前記増幅器を極低温に冷却して超電導化し、照射コイルまたは受信コイルのQ値とS/N比を高めるステージを備えた核磁気共鳴測定装置を提供する。
【解決手段】
冷凍機2、38を最適配置することにより、より小型の冷凍機でプローブコイル50、前記増幅器51、調整回路54を冷却する。冷凍機38の第2冷却ステージ40を床から間接的に固定支持し、無振動で受信コイル、前記増幅器を約5Kにまで冷却する。冷凍機の冷凍量を小さくできるので、冷凍機の消費電力を少なくし、冷却運転コストを削減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、核磁気共鳴測定装置(NMR測定装置)に係り、特に、核磁気共鳴測定装置で使用されるプローブヘッド内の照射コイル、受信コイル、増幅器を冷却し、照射コイル、受信コイルのQ値とS/N比とを高めるための冷却手ステージに関する。
核磁気共鳴測定装置には、無線周波数信号電磁波を試料に連続的に照射するCW型と、パルス状の電磁波を試料に照射するパルスフーリエ型とが存在する。最近では、単に核磁気共鳴測定装置といえば、後者のパルスフーリエ型を指すことが多くなっている。本明細書でも、核磁気共鳴測定装置は、パルスフーリエ型核磁気共鳴測定装置を意味する。
核磁気共鳴測定装置は、基本的には、静磁場を発生する超電導磁石、内部に収納した試料に高周波パルス磁場を照射する照射コイル、試料から放射される自由誘導減衰信号(FID信号)を受信する受信コイル、上記コイルを内部に備えたプローブヘッド、照射コイルに高周波電流を供給する高周波電源、自由誘導減衰信号を増幅する増幅器、信号を検波する検波器、検波器によって検出した信号を解析する解析装置等からなる(例えば、非特許文献1参照)。
なお、照射コイルまたは受信コイルは、様々な核種や測定方法に対応するため複数のコイルを備えるプローブヘッドに収納される。照射コイルと受信コイルは、それらの機能を併せ持っているコイルもある。これらコイルを総称してここでは、プローブヘッドコイルという。
プローブヘッドの一種に低温プローブヘッドがある。非特許文献1によれば、低温プローブヘッドとは、プローブヘッドコイルを超電導化し、極低温のヘリウムガスによってプローブヘッド内部を冷却する方式のプローブヘッドをいい、超電導体としては、一般的には酸化物超電導体が用いられる。
低温プローブヘッドには、2つの利点がある。1つの利点は、回路の電気抵抗が低くなるので、コイルのQ値を高くできることである。コイルのQ値は、数式
Q=1/R・√(L/C) ……(1)
で表現できる。ここで、Lは回路のインダクタンス、Cはキャパシタンス、Rは抵抗である。
数式1によれば、電気抵抗Rが小さくなると、Q値が高くなることがわかる。更に、もう1つの利点は、低温にしたので、回路全体の熱雑音を減少させ、S/N比を高くできることである。ノイズ電圧Vnは、数式
Vn=√(4kTΔf・R)……(2)
で表現できる。ここで、kはボルツマン定数、Tは温度、Δfは周波数幅、Rは電気抵抗である。数式2によれば、温度Tが低くなると、ノイズ電圧Vnは小さくなることがわかる。
一般的な金属では、温度Tが低くなると、電気抵抗Rも小さくなる。したがって、プローブヘッド内部を冷却し、プローブヘッドコイルを超電導化すれば、ノイズ電圧Vnは、Rの1/2乗以上で小さくできる。
プローブヘッド内部を冷却し、低温プローブヘッドを実現するための冷却技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、簡単な方法でかつ大きな技術的困難とコストアップを伴わずに、受信コイルの温度を30K以下に冷却できる。
特開平10−332801号公報(第7、8頁 図1〜図4)
荒田洋治著『NMRの書』2000/09/25 丸善刊 第III部第9章9.3プローブ 330頁
しかし、上記特許文献1には以下のような問題点がある。
まず、圧縮機により例えばヘリウムガスの冷媒を循環させ低温プローブヘッドを冷却する方式では、必要冷凍量を確保するために、前記必要冷凍量を発生する寒冷発生源の例えばヘリウム冷凍機と、この寒冷を輸送するための冷媒循環用圧縮機および冷媒の冷熱回収用の熱交換器、前記熱交換器をとおり前記冷凍機で冷却された冷媒を被冷却体近傍まで輸送するトランスファチューブの断熱配管が必要となる。
ここで、プローブヘッドが振動するとノイズの原因となるので、プローブヘッド内の照射コイル、受信コイル、増幅器に冷凍機の運転振動を伝えないためには、機械振動が大きな比較的大型の冷凍機は、プローブヘッドから離して設置する。
一般に、トランスファチューブの主な配管部品としては、フレキシブルなベローズを使用し、長い距離を確保し、振動を吸収している。
前記冷凍機と熱交換器は第一真空容器内に真空断熱されて収納される。被冷却体を真空断熱して収納する第二真空容器と前記一真空容器とは、冷媒を循環させるために前記断熱配管で接続される。
前記必要冷凍量は、第一真空容器、断熱配管、第二真空容器の常温部からそれぞれの極低温部に輻射や伝導により侵入する熱量、冷熱回収用の熱交換器の非効率分の損失として常温部から極低温部に冷媒循環により持ち込まれる熱量および被冷却体の発熱量の合計値である。
また、冷媒による輸送冷凍量Q1(W=J/s)は、冷媒の流量m1(g/s)、冷媒の定圧比熱Cp(J/g・K)および冷媒の温度上昇量ΔT(K)の積である
Q1=m1・Cp・ΔT
=m1・Cp・(Thi-Tso)
で示される。
ここで、ΔTは、冷凍機の冷却ステージ温度Ts(K)で冷却された循環冷媒の出口温度Tso(K)と、断熱配管をとおり被冷却体を冷却し温度が上昇し、第一真空容器内に戻ってきた冷媒の温度Thi(K)の温度差で示される。
いっぽう、冷熱回収用の熱交換器の非効率分の損失として常温部から極低温部に冷媒循環により持ち込まれる熱量である熱交換器熱損失Qloss(W=J/s)は、熱交換器の低温側流路の低温端入口温度Tci(K)、高温側流路の低温端出口温度Tce(K)、冷媒の圧力は熱交換器の低温側流路、高温側流路内部でほぼ同一で冷媒の定圧比熱Cp(J/g・K)とすれば、
Qloss=m1・Cp・(Tce−Tci)となる。
本冷却システムの構成では、前記必要冷凍量を前記第一真空容器内の冷凍機の発生冷凍量で賄い、その全冷凍量を循環冷媒で輸送する場合、ほぼ被冷却体の冷却温度となる冷媒温度Thi(K)における必要冷凍量Q1を増加させるためには、
(1)媒の流量m1を増加させる
(2)冷凍機の冷却ステージ温度Ts(K)で冷却される循環冷媒の出口温度Tso(K)を下げてΔTを増加させる必要がある。
しかし、上記(1)を実施する上では、冷媒の流量m1を増加させることによって熱交換器熱損失Qlossが比例的に増加し、熱損失の増加分だけ被冷却体を冷却する冷凍量が減少し、冷媒の流量m1を増加させることによって逆に被冷却体の温度が上昇してしまう問題がある。
この対策として真空容器1内に設置する冷凍機を増設して冷媒の流量m1を増加させる場合においても熱損失の増加分だけ冷凍機増設分の冷凍量が減少し、そのまま被冷却体の冷凍に使用できない問題がある。
また、上記(2)を実施する上では、循環冷媒の出口温度Tso(K)を下げるためには冷凍機の冷却ステージ温度Ts(K)をさらに下げた温度TsL(K)とする必要がある。
しかし、冷凍機の特性上冷却ステージ温度が下がると、その温度での冷凍能力が低下する。したがって、冷却ステージ温度Ts(K)をさらに下げるためには冷媒の流量m1を減少させる必要があり、これによって逆に被冷却体の温度が上昇してしまう問題がある。
この対策として真空容器1内に設置する冷凍機を増設して冷媒の流量m1を減少させずに冷却ステージ温度をTsLとする場合においても、温度TsLでの冷凍量は温度がTsの場合よりも減少するので、冷凍機増設分の冷凍量が減少する問題がある。
より具体的には、例えば、冷凍機の第2冷却ステージの温度4.2Kにおける冷凍量が1.5W、温度3.0Kにおける冷凍量が0 W、両温度間域での冷凍量が温度の上昇量にほぼ比例する(冷凍量の増加勾配は、1.5/(4.2−3)=1.25で1.25W/K)のギフォード・マクマホン式冷凍機で冷媒を冷却し、この冷媒を別の冷媒循環用圧縮機により冷熱回収用の熱交換器を通じて循環させ、断熱配管を通じて低温の冷媒を輸送し、被冷却体を極低温の約5Kに冷却する冷却システムを考える。ここで、第2冷却ステージで冷却される冷媒の温度は、第2冷却ステージで例えばステージに熱的に良好に接続された螺旋管式の熱交換器で熱交換するために冷媒の温度よりさらに約0.2K高い4.5Kとなる。
ここで、第一真空容器、断熱配管、第二真空容器の常温部からそれぞれの極低温部に輻射や伝導により侵入するそれぞれの侵入熱量を0.1W、0.3W、0.2W、冷熱回収用の熱交換器の非効率分の損失として常温部から極低温部に冷媒循環により持ち込まれる熱量を冷媒の流量m1(g/s)の場合で0.8Wとすると、温度5Kの被冷却体の許容発熱量は(1.5−0.1−0.3−0.2−0.8=0.2)で0.2Wとなる。
ここで、更に温度5Kの被冷却体の許容発熱量を0.8W増加させ1.0Wとする場合、第一真空容器に冷凍機を1台増設する冷却システムを採用する。この場合、第一真空容器、断熱配管、第二真空容器の常温部からそれぞれの極低温部に輻射や伝導により侵入するそれぞれの侵入熱量は冷凍機を増設してもほとんど変化しない。
しかし、前記(1)の方法で冷媒の流量m1を増加させると、増加流量で同一の熱交換性能を持つ熱交換器を新たに製作する必要があり、熱交換器の製作費分冷却コストが上昇する問題がある。
しかも、冷媒の流量を従来の1.5W冷凍時の流量m1より冷凍量を0.8W増加させるためその増加分(1.5+0.8)/1.5の53%増加させることによって、熱交換器熱損失は0.8×1.53=1.22で1.2Wとなり、この熱損失増加分は1.22―0.8=0.42で0.42Wとなる。
したがって、増設する冷凍機に必要な冷凍量は0.8+0.42=1.22Wとなる。したがって、再度、冷媒の流量を従来の1.5W冷凍時の流量m1より冷凍量を1.22 W増加させるためその増加分(1.5+1.22)/1.5=1.81の81%増加させることが必要で、熱交換器熱損失は0.8×1.81=1.45で1.45Wとなり、この熱損失増加分は1.45―0.8=0.65で0.65Wとなる。
したがって、増設する冷凍機に必要な冷凍量は0.8+0.65=1.48Wとなる。よって、冷凍量増加量0.8Wよりも53%も大きな冷凍量の冷凍機を増設しなければならない問題が生じる。この場合、被冷却体の冷凍量1.0Wを確保するため4.2Kの冷凍量が2.98Wの冷凍機が必要となる。
また、前記(2)の方法で冷媒の流量m1を増加させることなく、冷凍機の冷却ステージ温度Ts(K)で冷却される循環冷媒の出口温度Tso(K)を下げてΔTを増加させる場合、冷媒の定圧比熱Cp(J/g・K)を約6J/g・K、冷媒の流量m1(g/s)を0.3g/sとすると、0.8W増加させるためは冷却ステージ温度Ts(K)を更に0.8/(0.3×6)=0.44で0.44K低下させ4.2−0.44=3.76で3.76Kにする必要がある。
1.5Wの冷凍機の冷却ステージ温度が3.76Kに低下した場合の冷凍量は、1.25×(3.75−3)=0.937で約0.94Wとなる。
しかし、必要冷凍量は1.5+0.8=2.3の2.3Wであるため、冷却ステージ温度が3.76Kにおいて冷凍量が2.3−0.94=1.34の1.34Wである冷凍機の増設が必要となる。したがって、1.34/0.94=1.426の約43%冷凍量が大きな冷凍機を増設しなければならない問題が生じる。
本発明の目的は、熱交換器を新たに製作する必要がなく、冷凍機も少ない冷凍量の冷凍機で済むので構造簡単な核磁気共鳴測定装置を提供することにある。
上記目的は、NMR受信コイルと照射コイルを備えたNMRプローブヘッドを有する核磁気共鳴測定装置において、前記プローブヘッドの真空空間内に前記NMR受信コイルが受信したNMR信号を増幅する少なくとも1つの前記増幅器と、前記冷却体を冷却する冷凍機と、前記冷凍機で冷却される冷媒と、前記冷媒を循環させる循環手段と、前記冷媒の熱交換用の常温と極低温の温度域を連通する熱交換器と、前記冷凍機の極低温度域と前記冷却体の極低温域を連通する断熱移送管路とを備え、前記冷凍機を複数台設け、前記冷凍機の冷凍量を前記断熱移送管路出入り部に配分するように分配配置することにより達成される。
また、上記目的は、前記プローブヘッドの真空空間内側に配置する前記冷凍機が、パルス管式冷凍機であることにより達成される。
また、上記目的は、前記プローブヘッドの真空空間内側に配置する前記冷凍機の極低温発生ステージが支持体により前記プローブヘッドを内蔵する真空容器壁で固定支持され、前記冷凍機の常温部が伸縮気密保持手段により前記真空容器壁で支持されたことにより達成される。
また、上記目的は、NMR受信コイルと照射コイルを備えたNMRプローブヘッドを有する核磁気共鳴測定装置において、前記プローブヘッドの真空空間内に前記NMR受信コイルが受信したNMR信号を増幅する少なくとも1つの前記増幅器と、前記冷却体を冷却する冷凍機と、前記冷凍機の極低温度域と前記冷却体の極低温域を連通する断熱移送管路とを備えず前記冷凍機で冷却される冷媒と、前記冷媒を循環させる循環手段と、前記冷媒の熱交換用の常温と極低温の温度域を連通する熱交換器を設けたことにより達成される。
また、上記目的は、NMR受信コイルと照射コイルを備えたNMRプローブヘッドを有する核磁気共鳴測定装置において、前記プローブヘッドの真空空間内に前記NMR受信コイルが受信したNMR信号を増幅する少なくとも1つの前記増幅器と、前記冷却体を冷却する冷凍機と、前記冷凍機の極低温度域と前記冷却体の極低温域を連通する断熱移送管路とを備えず前記冷凍機で冷却される冷媒と、前記冷媒を前記真空容器内で循環させる循環手段を設けたことにより達成される。
本発明によれば、熱交換器を新たに製作する必要がなく、冷凍機も少ない冷凍量の冷凍機で済むので構造簡単な核磁気共鳴測定装置を提供できる。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
図1は、核磁気共鳴測定装置の全体構成を示すブロック図である。
図1において、冷媒は圧縮機6、第1向流式熱交換器13、第3移送管路33、極低温第二冷凍機36の第1ステージ熱交換器37、増幅器用熱交換器21、第4移送管路34、極低温第一冷凍機2の第1ステージ熱交換器12、第2向流式熱交換器7、極低温第一冷凍機2の第2ステージ熱交換器8、第1移送管路31、極低温第二冷凍機38の第2ステージ熱交換器40、コイル冷却用熱交換器11、第2移送管路32、第2向流式熱交換器7、第1向流式熱交換器13、圧力調整弁24、圧縮機6の順で循環する。
極低温第一冷凍機2は、極低温第一冷凍機用圧縮機5により駆動され、第1冷却ステージ4は第1ステージ熱交換器12と熱的に接続され、温度4.2Kの第2冷却ステージは第2ステージ熱交換器8と熱的に接続されている。
極低温第二冷凍機38は、極低温第二冷凍機用圧縮機41により駆動され、第1冷却ステージ36は第1ステージ熱交換器37と熱的に接続され、温度4.2Kの第2冷却ステージは第2ステージ熱交換器39と熱的に接続されている。
極低温第一冷凍機2および極低温第二冷凍機38の第1ステージ熱交換器12、37は冷媒を45K、第2ステージ熱交換器8、39は冷媒を4.5Kまで冷却することができる。
第1向流式熱交換器13、第1ステージ熱交換器12、第2向流式熱交換器7、第2ステージ熱交換器8は真空容器1内の輻射シールド41内部に設置されている。
輻射シールド41は極低温第一冷凍機2の第1冷却ステージ4と熱的に接続されている。
真空容器1内は真空であり、輻射シールド41の外側は多層断熱層であるスーパーインシュレータが巻回されており、輻射シールド41内にある装置類への輻射熱を軽減している。圧力調整弁24は冷媒が圧縮機6の吸入口側の室温環境に設置されており、開度は0%から100%まで任意に調整できる。
図2は、移送管路収納管30およびその内部の構造を示す斜視図である。
図2において、第1移送管路31、第2移送管路32、第3移送管路33、第4移送管路34は単一の移送管路収納管30内に設置されている。第3移送管路34は二重管であり、その外側管と内側管の間隙を冷媒が流れる構造である。第3移送管路33の内部には第1移送管路31、第2管路32および第4移送管路34が設置されており、それぞれの移送管路の外部には移送管路への輻射侵入熱を低減できるよう、多層断熱層であるスーパーインシュレータ35が巻回されている。また、移送管路収納管30内部は真空引きされており、気体の対流および熱伝導により移送管路への侵入熱を低減している。
図1に示すように、プローブ10内部には極低温第二冷凍機38および輻射シールド42が設置されている。プローブ10内部は真空であり、輻射シールド42の外側は多層断熱層であるスーパーインシュレータが巻回されており、輻射シールド42内にある装置類への輻射熱を軽減している。輻射シールド42は前記増幅器用熱交換器21と熱的に接続されている。
プローブ10内部は真空であり、輻射シールド42の外側は多層断熱層であるスーパーインシュレータが巻回されており、輻射シールド42内にある装置類への輻射熱を軽減している。
極低温第二冷凍機38の極低温部の第2ステージ40は、熱伝導率が小さな例えばFRP製の断熱支持体43でプローブ10の容器から強固に固定支持され、極低温第二冷凍機38の常温部はベロー44で柔軟に、かつ、真空気密的にプローブ10の容器に接続されている。輻射シールド42は前記増幅器用熱交換器21と熱的に接続されている。
また、図3に示すように、前記増幅器51と前記増幅器用熱交換器21の間はプローブコイル冷却用伝熱部52を介して熱的に接続されている。図3においては、NMRプローブコイル50とコイル冷却用熱交換器11の間は熱的に接続されている。さらに好ましくは、前記増幅器用熱交換器21は調整回路54と熱的に接続するとよい。
図3においては、NMRプローブコイル50は照射用と受信用を兼用としたタイプを図示している。
NMRプローブコイル50は照射用と受信用を分けて複数配置してもかまわない。
NMRプローブコイル50と調整回路54、調整回路54と前記増幅器51、調整回路54と高周波パルス入力端子55、前記増幅器51とFID信号出力端子56はそれぞれ電気的に接続されている。高周波パルス磁場をサンプルに照射する場合、プローブの外部の高周波電源により発生された高周波パルス電流はFID信号出力端子56を介して調整回路54を介してNMRプローブコイル50に入り、磁場としてサンプル管53内のサンプルに照射される。この際、高周波パルス電流が前記増幅器51に入力されると前記増幅器51を破壊するおそれがあるので、調整回路54は高周波パルス電流が前記増幅器51に入らないような回路を構成している。サンプルの発するFID信号はNMRプローブコイル50により受信され、調整回路54に電気信号として入り、前記増幅器51により増幅され、FID信号出力端子56を介してプローブ外部の増幅器、検波器、解析装置等に送られる。
調整回路54は高周波パルス電流が流れることにより受動的にスイッチングを行う回路でも、外部からのトリガー信号によりスイッチングを行う回路でもかまわない。
前者の場合、回路の一例としてクロスダイオードを用いた前記「NMRの書」の327ページに記載の回路が挙げられる。また、後者の場合、PINダイオードスイッチや機械的高速度スイッチ等を採用する方法が挙げられる。
調整回路54にはNMRプローブ内の回路の共鳴周波数やインピーダンス整合を行うための任意のキャパシタやインダクタ等を含むことが望ましい。さらに、一つのNMRプローブコイル50で多重共鳴、すなわち、一つのコイルで複数の核の共鳴周波数の高周波パルス磁場を発生できるよう、キャパシタやインダクタを含む回路を調整回路54内に備えてもよい。調整回路54および前記増幅器51は熱雑音を防ぐため低温に冷却されているが、特に熱雑音を考慮しない場合は常温環境に置いてもよい。
図3においては照射用と受信用を一つのNMRプローブコイル50で動作させていたが、照射用コイルと受信用コイルを別に設置してもかまわない。
また、本実施例では、移送管路収納管内に冷媒温度が約58〜80K程度の二重管状の第3移送管路33を設け、その内部には冷媒温度が約4.5〜4.8Kの第1移送管路31、冷媒温度が約5.1〜5.4Kの第2管路32および冷媒温度が82〜83Kの第4移送管路34が設置されている。このような構成の場合、第3移送管路33が輻射シールドの機能を果たすため、内部の第1移送管路31、第2移送管路への輻射侵入熱量をかなり低減することができる。
また、本実施例では第3移送管路33を二重管構造としたが、第4移送管路34を2重管構造とし、その内部に第3移送管路33を設けてもほぼ同様の効果を得られる。
しかしながら、例えば、それぞれの移送管路に別々にスーパーインシュレータ等を用いた極低温断熱を施した場合、輻射による侵入熱量が大きいため、5Kレベルの冷媒をコイル冷却用熱交換器11に供給することは難しく、スーパーインシュレータの枚数および厚みを大きくすることが必要となり、移送管路をコンパクトにすることができない。
また、移送管路収納管を2本とし第1移送管路31と第2移送管路32、第3移送管路33と第4移送管路34をそれぞれの移送管路収納管に収納した場合も同様の理由により5Kレベルの冷媒を供給することは難しい。
一方、極低温第一冷凍機2の第1ステージ4の冷却性能は温度40Kにおいて約25W、第2ステージ3は温度4.2Kにおいて約1.5Wである。このように、第1ステージ4の冷却性能は第2ステージ3と比較して高い。したがって、原理的には輻射熱等を極低温第一冷凍機2により冷却使用とする場合、第3移送管路33を輻射シールドとして利用し、第1ステージ4の冷却性能を効果的に使用することが望ましい。
本実施例を動作させた場合の各部温度の測定結果を図1内に示す。ここで、第一真空容器、断熱配管、第二真空容器の常温部からそれぞれの極低温部に輻射や伝導により侵入するそれぞれの侵入熱量は、0.1W、0.3W、0.2Wである。また、冷熱回収用に使用する第2向流式熱交換器7の非効率分の損失として常温部から極低温部に冷媒循環により持ち込まれる熱量を冷媒の流量m1が0.3g/sの場合で0.8Wとする。
したがって、極低温第一冷凍機2を使用することによって、プローブ10内のコイル冷却用熱交換器11における、温度5Kレベルの許容冷凍量は(1.5−0.1−0.3−0.2−0.8=0.2)で0.2Wである。すなわち、被冷却体であるNMRプローブコイル50等の発熱量や、輻射等による熱侵入量を0.2Wの値まで許容できる。
本実施例では、更に極低温第二冷凍機38を設け温度5Kレベルの被冷却体の許容冷凍量を0.8W増加させ1.0Wとする。極低温第一冷凍機2で冷却された後の温度約4.5Kの冷媒は、第一真空容器および移送管路収納管30、プローブ10の常温部からそれぞれの極低温部に輻射や伝導により侵入するそれぞれの侵入熱量0.1W、0.3W、0.2Wの合計熱侵入量0.6Wにより温度が上昇する。
すなわち、冷媒の定圧比熱Cp(J/g・K)を約6J/g・K、冷媒の流量m1(g/s)を0.3g/sとすると、温度上昇量は0.6/(6×0.3)=0.33で0.33Kとなり、極低温第二冷凍機38で再冷却される前の冷媒の温度は4.5+0.3=4.8で約4.8Kとなる。
侵入熱量および向流型熱交換器の熱損失分は増加していないので、極低温第二冷凍機38の4.2Kの冷凍量を0.9Wとする。冷凍量は増加分の0.8Wを極低温第二冷凍機38の第2ステージで冷凍する場合の第2ステージの温度は4.1Kとなる。これは、パルス管冷凍機の極低温第二冷凍機38の第2ステージの冷凍量と第2ステージ温度の関係において、冷凍量の温度勾配は、ギフォード・マクマホン式冷凍機と同様に1.25W/Kとなるためである。
前記で示した温度4.8Kの冷媒は増設する極低温第二冷凍機38の第2冷却ステージで再冷却され、熱負荷が第2冷却ステージに0.8W作用するため、第2冷却ステージの温度は4.2Kで、熱交換器39で冷却される冷媒温度は4.4Kとなる。
ここで、極低温第二冷凍機38の第2ステージ温度は、熱交換器39で熱交換するために冷媒の温度よりも約0.3K低い。この冷媒が4.5Kに上昇するまでには、流量が0.3g/sで、冷媒の定圧比熱が約6J/g・Kの場合、冷媒は約0.2Wの熱量を冷凍できるので、本実施例の冷却システムでは、冷媒温度4.5Kにおいて、合計1.0Wの熱負荷を冷凍できる。したがって、極低温冷凍機に必要な冷凍量は冷凍量増加量0.8Wよりも約13%も大きな冷凍量0.9Wの冷凍機を増設で済むことができる。
これは、従来技術により、冷媒流量を増加させて冷凍機を増設して実施される場合、冷凍量増加量0.8Wよりも53%も大きな冷凍量の冷凍機を増設しなければならない場合に比べ、約40%少ない冷凍機で所定の冷凍量を得ることができる効果がある。
また、従来技術により冷媒の流量を変えずに、冷凍機の冷却温度を更に低下させて冷凍量を増加させる場合、冷凍量増加量0.8Wよりも約43%大きな冷凍量の冷凍機を増設しなければならない場合に比べ、本実施例では約30%少ない冷凍機で所定の冷凍量を得ることができる効果がある。
ここで、パルス管冷凍機の運転中は、高圧ガスと低圧ガスとが膨張管に周期的に給排気されるので、膨張管が圧力により伸び縮みし、その変位分振動する。増設するパルス管冷凍機の第2ステージは、熱伝導率が小さいFRP製の断熱支持体43でプローブ10の真空容器に固定し、冷凍機の常温部をベロー管44でプローブ10の真空容器で支持して、冷凍機の振動を極低温側に伝達しない構造をとる。
本実施例の構造により、冷凍機の振動がプローブ側に伝播することを防止し、振動によるノイズ発生を防止できる。図1から分かるようにコイル冷却用熱交換器11を約5Kレベルに冷却することが可能である。これにより、NMRプローブコイル50を極低温に冷却することができ、Q値とS/N比を向上することが可能である。
また、5Kレベルという温度は常圧中での液体ヘリウムの温度である4.2Kに近く、照射コイルまたは受信コイルとしてはY−123系、Bi−2223系またはBi−2212系酸化物系超電導体等はもちろん、MgB、NbAl、NbSn、NbTi等の金属系超電導体の安定使用も可能な温度である。酸化物系超電導体では超電導膜に対して垂直方向に磁場を引加した場合は平行方向と比較して2桁程度輸送電流が減少するという問題があり、照射コイルおよび受信コイルの形状には制限がある。
一方、金属系超電導体ではそのような異方性が小さいため、複雑な形状のコイルを簡単に作成できるというメリットがある。しかし、金属系超電導体は一般的に超電導転移温度が低く、また、超電導転移温度以下であっても、温度が高いと臨界電流が低下するという特性がある。
したがって、複雑な形状のコイルを簡単に作成するためには金属系超電導体を用い、温度をできる限り下げるとよい。
本実施例で実現できた5Kレベルという温度は一般的な金属系超電導体をコイルとして用いるには十分低い温度であり、本実施例を採用することにより複雑な形状のコイルも実現可能となる。
図4に本発明の第2の実施例を示す。
本実施例が従来技術と異なる点は、振動が少ない冷凍機と向流型熱交換器をプローブ10内に配置した点である。圧縮機60は冷媒を第1向流式熱交換器61、管路62、前記増幅器用熱交換器21、管路63、極低温冷凍機70の第1ステージ熱交換器64、管路65、第2向流式熱交換器66、第2ステージ熱交換器67、コイル冷却用熱交換器11、管路68、第2移送管路69、第2向流式熱交換器66、第1向流式熱交換器61、圧力調整弁69の順で循環する。
極低温冷凍機70は、極低温第一冷凍機用圧縮機73により駆動され、第1ステージ熱交換器64および第2ステージ熱交換器67は、それぞれ冷凍機70の第1冷却ステージ71、第2冷却ステージ72に熱的に一体化されている。極低温冷凍機70の極低温部の第2ステージ72は、熱伝導率が小さな例えばFRP製の断熱支持体74でプローブ10の容器から強固に固定支持され、極低温冷凍機70の常温部はベロー75で柔軟に、かつ、真空気密的にプローブ10の容器に接続されている。
本実施例では、第一真空容器、断熱配管が不要となるので、熱損失はプローブ10の常温部からの極低温部に輻射や伝導により侵入するそれぞれの侵入熱量を0.2Wと、冷熱回収用の第2向流式熱交換器66の熱損失として常温部から極低温部に冷媒循環により持ち込まれる熱量である。
後者は、輸送する冷凍量に比例する冷媒の流量の値に比例して増加する。本実施例での被冷却体の必要冷凍量は1.0Wであるので、合計1.2Wである。
従来技術における冷凍量1.5W時における冷熱回収用の熱交換器の損失は0.8Wであるので、流量は1.2/1.5=0.8で20%減となる。
したがって、本実施例における冷熱回収用の熱交換器の損失は、0.8×0.8=0.64で約0.6Wとなる。したがって、冷凍機70の温度4.2Kで必要な冷凍量は1.2+0.64=1.84で1.8Wとなる。したがって、従来技術によれば極低温冷凍機の必要冷凍量は2.98Wであるが、本実施例における極低温冷凍機の必要冷凍量は1.86Wであり、1.86/2.98=0.62で、従来技術の場合に比べ冷凍量が62%の小型の極低温冷凍機で冷却システムを構成できる効果がある。
図5に本発明の第3の実施例を示す。
本実施例が従来技術と異なる点は、向流型熱交換器を使用せず、振動が少ない冷凍機と冷媒を極低温域で循環する冷媒循環ポンプをプローブ10内に配置した点である。
冷媒循環ポンプ76は冷媒を管路62、前記増幅器用熱交換器21、管路63、極低温冷凍機80の第1ステージ熱交換器77、管路62の順で循環する。冷媒循環ポンプ76は室温部にある電機モータや空気駆動式モータの回転機78およびシャフト79で回転駆動される。シャフト79は、プローブ10内の真空空間と真空気密の構造である。
冷媒循環ポンプ81は冷媒を管路65、コイル冷却用熱交換器11、管路65、極低温冷凍機80の第2ステージ熱交換器82、管路65の順で循環する。冷媒循環ポンプ81は室温部にある電機モータや空気駆動式モータの回転機83およびシャフト84で回転駆動される。シャフト84は、プローブ10内の真空空間と真空気密の構造である。
冷媒循環ポンプ76は冷媒を管路62、前記増幅器用熱交換器21、管路63、極低温冷凍機80の第1ステージ熱交換器77、管路62の順で循環する。
管路62、管路66内の冷媒の温度低下による冷媒の補給、および温度上昇時の冷媒の回収は、管路85、管路86を通じ冷媒貯槽87から補給し、冷媒貯槽87に回収される。
極低温冷凍機80は、極低温第一冷凍機用圧縮機88により駆動され、第1ステージ熱交換器77および第2ステージ熱交換器82は、それぞれ冷凍機80の第1冷却ステージ89、第2冷却ステージ90に熱的に一体化されている。
冷媒循環ポンプ76で加圧され管路63中を流動する冷媒は、極低温冷凍機80の第1ステージ熱交換器77で温度78Kに冷却される。この冷媒で前記増幅器用熱交換器21を冷却したのち、冷媒の温度が82Kに上昇し、第1ステージ熱交換器77で温度78Kに冷却される。
冷媒循環ポンプ81で加圧され管路63中を流動する冷媒は、極低温冷凍機80の第2ステージ熱交換器82で温度4.8Kに冷却される。この冷媒で前記増幅器用熱交換器11を冷却したのち、冷媒の温度が5.1Kに上昇し、再び第1ステージ熱交換器90で温度4.8Kに冷却される。管路63、管路62の順で循環する。冷媒循環ポンプ76は室温部にある電機モータや空気駆動式モータの回転機78およびシャフト79で回転駆動される。シャフト79は、プローブ10内の真空空間と真空気密の構造である。極低温冷凍機80の極低温部の第2ステージ90は、熱伝導率が小さな例えばFRP製の断熱支持体91でプローブ10の容器から強固に固定支持され、極低温冷凍機90の常温部はベロー92で柔軟に、かつ、真空気密的にプローブ10の容器に接続されている。
冷媒循環ポンプ81への常温部からの侵入熱量は0.1W程度である。
したがって、本実施例では、第一真空容器、断熱配管および向流型熱交換器が不要となるので、熱損失はプローブ10の常温部からの極低温部に輻射や伝導により侵入する侵入熱量の0.2Wと、冷媒循環ポンプ81への常温部からの侵入熱量は0.1Wで、合計0.3Wである。
したがって、冷凍機70の温度4.2Kで必要な冷凍量は1.2+0.3=1.5で1.5Wとなる。したがって、従来技術によれば極低温冷凍機の必要冷凍量は2.98Wであるが、本実施例における極低温冷凍機の必要冷凍量は1.86Wであり、1.5/2.98=0.50で、従来技術の場合に比べ冷凍量が50%の小型の極低温冷凍機で冷却システムを構成できる効果がある。
図6に本発明の第4の実施例を示す。
本実施例が図5と異なる点は、冷媒循環ポンプ81のシャフト84を、冷媒により間接的に冷却する熱交換器93を設けた点にある。熱交換器93は、管路63内の温度82Kの冷媒で冷却する。この構造により、シャフト84を通じて常温から侵入する熱損失を低減することができ、冷媒循環ポンプ81への常温部からの侵入熱量は0.05W程度となる。
したがって、本実施例では、第一真空容器、断熱配管および向流型熱交換器が不要となるので、熱損失はプローブ10の常温部からの極低温部に輻射や伝導により侵入する侵入熱量の0.2Wと、冷媒循環ポンプ81への常温部からの侵入熱量は0.05Wで、計0.25Wである。したがって、冷凍機70の温度4.2Kで必要な冷凍量は1.2+0.25=1.45で1.45Wとなる。したがって、従来技術によれば極低温冷凍機の必要冷凍量は2.98Wであるが、本実施例における極低温冷凍機の必要冷凍量は1.86Wであり、1.45/2.98=0.49で、従来技術の場合に比べ冷凍量が49%の小型の極低温冷凍機で冷却システムを構成できる効果がある。
以上のごとく本発明によれば、少なくとも1つの電子品であるNMR受信コイルおよび照射コイルを備えたNMRプローブヘッドを有する核磁気共鳴(NMR)測定用の測定装置において、前記プローブヘッド内に前記NMR受信コイルによって受信されるNMR信号を増幅する少なくとも1つの増幅器を備え、前記NMR受信コイルおよび照射コイルを冷却する冷凍機を複数個備え、少なくとも1つの冷凍機をトランスファチューブとプローブヘッド内の間に別配置し、冷却のためにトランスファチューブからプローブヘッドに輸送される冷媒を、別配置した冷凍機の極低温の第2冷却ステージで再度冷却する。
本冷却システムにより、第一真空容器、断熱配管、第二真空容器の常温部からそれぞれの極低温部に輻射や伝導により侵入するそれぞれの侵入熱量で温度上昇した冷媒は、別配置した冷凍機の極低温の第2冷却ステージで再度冷却され、再度冷媒の温度は低下して、前記プローブヘッド内にあり発熱する電子品の前記NMR受信コイル、照射コイルおよび前記増幅器を設定温度内に冷却することができる。
ここで、前記の別配置した冷凍機としてパルス管式冷凍機を適用し、防振機構でパルス管式冷凍機を第二真空容器から支持すれば、振動の伝搬を防止できるので前記プローブヘッド内の振動を小さくできる。
パルス管式冷凍機は、作動ガス(ヘリウムガス)の断熱膨張用の膨張管と出入りする作動ガスの熱を交換する蓄冷器で構成されるので機械振動が少ない利点がある。
一般に極低温の温度4Kを発生させ、冷凍量が大きい冷凍機としてはギフォード・マクマホン式冷凍機がある。ギフォード・マクマホン式冷凍機は、極温度4Kと約50Kの温度を発生させる第一および第二冷却ステージを有し、2ステージでカスケード的に極低温度を生成する。作動ガスの断熱膨張用のシリンダーと機械的に往復動するピストン式の蓄冷器は、直列に連結されたそれぞれの温度発生用の蓄冷器を有する。
また、一般に極低温の温度4Kを発生させ、冷凍量が小さいが運転振動が小さい冷凍機としてはパルス管式冷凍機がある。極低温の温度4Kを発生させる冷凍機は、極温度4Kと約50Kの温度を発生させる冷凍ステージを有し、2ステージでカスケード的に極低温度を生成する。作動ガスの断熱膨張用の膨張管と蓄冷器は、それぞれの温度発生用に別々の2組を有する。
2個の冷凍ステージは、温度約4Kの極低温の第2冷凍ステージと、温度約50Kの低温の第1冷凍ステージであり、それぞれの2個の蓄冷器は、それぞれ4K用の第2蓄冷器と50K用の第1蓄冷器である。
より具体的には、温度4.2Kにおける冷凍量が1.5W、温度3.0Kにおける冷凍量が0 W、両温度間域での冷凍量が温度の上昇量にほぼ比例する(冷凍量の増加勾配は、1.5/(4.2−3)=1.25で1.25W/K)のギフォード・マクマホン式冷凍機で冷媒を冷却し、この冷媒を別の冷媒循環用圧縮機により冷熱回収用の熱交換器を通じて循環させ、断熱配管を通じて低温の冷媒を輸送し、被冷却体を極低温の約5Kに冷却する冷却システムを考える。
ここで、第一真空容器、断熱配管、第二真空容器の常温部からそれぞれの極低温部に輻射や伝導により侵入するそれぞれの侵入熱量を0.1W、0.3W、0.2W、冷熱回収用の熱交換器の非効率分の損失として常温部から極低温部に冷媒循環により持ち込まれる熱量を冷媒の流量m1(g/s)の場合で0.8Wとすると、温度5Kの被冷却体の許容発熱量は(1.5−0.1−0.3−0.2−0.8=0.2)で0.2Wとなる。
ここで、更に温度5Kの被冷却体の許容発熱量を0.8W増加させ1.0Wとする場合、第二真空容器に冷凍機を1台増設する冷却システムを採用する。この場合、第一真空容器、断熱配管、第二真空容器の常温部からそれぞれの極低温部に輻射や伝導により侵入するそれぞれの侵入熱量は冷凍機を増設してもほとんど変化しない。
ここで、冷媒の流量m1を増加させないので、熱交換器を新たに製作する必要がなく熱交換器の製作費の上昇を防止できる。
しかも、冷媒の流量を従来の1.5W冷凍時の流量m1より増加させないので熱交換器熱損失は0.8Wで増加しない。
第一真空容器内の冷凍機で冷却された後の温度約4.5Kの冷媒は、第一真空容器および断熱配管、第二真空容器の常温部からそれぞれの極低温部に輻射や伝導により侵入するそれぞれの侵入熱量0.1W、0.3W、0.2Wの合計熱侵入量0.6Wにより温度が上昇する。
すなわち、冷媒の定圧比熱Cp(J/g・K)を約6J/g・K、冷媒の流量m1(g/s)を0.3g/sとすると、温度上昇量は0.6/(6×0.3)=0.33で0.33Kとなり、増設する冷凍機で再冷却される前の冷媒の温度は4.5+0.3=4.8で約4.8Kとなる。
侵入熱量および熱損失分は増加していないので、増設する冷凍機に必要な冷凍量は増加分の0.8Wである。したがって、冷却温度4.2Kで0.8Wの冷凍容量を有する例えばパルス管式冷凍機(冷凍量の増加勾配は、ギフォード・マクマホン式冷凍機と同様で1.5/(4.2−3)=1.25で1.25W/K)で増設する冷凍機を構成する。
温度4.8Kの冷媒は増設する冷凍機の第2冷却ステージで再冷却され、冷凍量0.6Wに冷却され時点で冷媒温度は4.5Kとなる。
さらに0.2W分冷却されると冷媒の温度はさらに0.2/(6×0.3)=0.1で0.1K低下し、4.4Kとなる。このとき冷凍機の第2冷却ステージ温度は熱交換するために冷媒の温度よりさらに約0.3K低い4.1Kとなる必要がある。
したがって、パルス管冷凍機の冷却温度4.1Kでの必要冷凍量0.8Wを得るために必要な冷却温度4.2Kでのパルス管冷凍機の必要冷凍量は、冷凍量の増加勾配1.25W/Kにより、温度差0.1K分の冷凍量増分1.25×0.1=0.1の0.1Wが加わり、0.9Wとなる。
したがって、増設する冷凍機に必要な冷凍量は冷凍量増加量0.8Wよりも0.9/0.8=1.13より約13%も大きな冷凍量の冷凍機を増設で済む。
パルス管冷凍機の運転中は、高圧ガスと低圧ガスとが膨張管に周期的に給排気されるので、膨張管が圧力により伸び縮みし、その変位分振動する。
増設するパルス管冷凍機の第2ステージは第2真空断熱容器の内壁から、熱伝導率が小さいFRP製の断熱支持体で固定し、冷凍機の常温部をベロー管等で第2真空断熱容器壁で支持して、冷凍機の振動を極低温側に伝達しない構造をとる。
この構造により、冷凍機の振動がプローブ側に伝播することを防止し、振動によるノイズ発生を防止できる。
以上の冷凍機を最適に位置した冷却システムにより、プローブヘッド内の照射コイル、受信コイルおよび前記増幅器を、良好に極低温に冷却できる低温プローブヘッドを実現できる。
したがって、従来の技術に比べ、冷媒の流量m1を増加させないので、熱交換器を新たに製作する必要がなく熱交換器の製作費の上昇を防止でき、また、増設する冷凍機も少ない冷凍量の冷凍機で済むので装置価格を低減できる。
図1は、第1の実施例を示す図である。 図2は、移送管路および移送管路収納管の実施形態を示す図である。 図3は、プローブの実施形態を示す図である。 図4は、第2の実施例を示す図である。 図5は、第3の実施例を示す図である。 図6は、第4の実施例を示す図である。
符号の説明
1…真空容器、2…極低温第一冷凍機、3…第2冷却ステージ、4…第1冷却ステージ、5…極低温第一冷凍機用圧縮機、6、60…圧縮機、7、66…第2向流式熱交換器、8…第2ステージ熱交換器、10…プローブ、11…コイル冷却用熱交換器、12…第1ステージ熱交換器、13、61…第1向流式熱交換器、21…前記増幅器用熱交換器、24、69…圧力調整弁、30…移送管路収納管、31…第1移送管路、32…第2移送管路、33…第3移送管路、34…第4移送管路、35…スーパーインシュレータ、42…輻射シールド、38…極低温第二冷凍機、40…第2冷却ステージ、36…第1冷却ステージ、39…第2ステージ熱交換器、41…極低温第二冷凍機用圧縮機、43…断熱支持体、44…ベロー、50…プローブコイル、51…前記増幅器、52…プローブコイル冷却用伝熱部、53…サンプル管、54…調整回路、55…高周波パルス入力端子、56…FID信号出力端子、76、81…冷媒循環ポンプ、93…熱交換器。

Claims (5)

  1. NMR受信コイルと照射コイルを備えたNMRプローブヘッドを有する核磁気共鳴測定装置において、
    前記プローブヘッドの真空空間内に前記NMR受信コイルが受信したNMR信号を増幅する少なくとも1つの前記増幅器と、前記冷却体を冷却する冷凍機と、前記冷凍機で冷却される冷媒と、前記冷媒を循環させる循環手段と、前記冷媒の熱交換用の常温と極低温の温度域を連通する熱交換器と、前記冷凍機の極低温度域と前記冷却体の極低温域を連通する断熱移送管路とを備え、
    前記冷凍機を複数台設け、前記冷凍機の冷凍量を前記断熱移送管路出入り部に配分するように分配配置することを特徴とする核磁気共鳴測定装置。
  2. 請求項1に記載の核磁気共鳴測定装置において、
    前記プローブヘッドの真空空間内側に配置する前記冷凍機が、パルス管式冷凍機であることを特徴とする核磁気共鳴測定装置。
  3. 請求項1に記載の核磁気共鳴測定装置において、
    前記プローブヘッドの真空空間内側に配置する前記冷凍機の極低温発生ステージが支持体により前記プローブヘッドを内蔵する真空容器壁で固定支持され、前記冷凍機の常温部が伸縮気密保持手段により前記真空容器壁で支持されたことを特徴とする核磁気共鳴測定装置。
  4. NMR受信コイルと照射コイルを備えたNMRプローブヘッドを有する核磁気共鳴測定装置において、
    前記プローブヘッドの真空空間内に前記NMR受信コイルが受信したNMR信号を増幅する少なくとも1つの前記増幅器と、前記冷却体を冷却する冷凍機と、前記冷凍機の極低温度域と前記冷却体の極低温域を連通する断熱移送管路とを備えず前記冷凍機で冷却される冷媒と、前記冷媒を循環させる循環手段と、前記冷媒の熱交換用の常温と極低温の温度域を連通する熱交換器を設けたことを特徴とする核磁気共鳴測定装置。
  5. NMR受信コイルと照射コイルを備えたNMRプローブヘッドを有する核磁気共鳴測定装置において、
    前記プローブヘッドの真空空間内に前記NMR受信コイルが受信したNMR信号を増幅する少なくとも1つの前記増幅器と、前記冷却体を冷却する冷凍機と、前記冷凍機の極低温度域と前記冷却体の極低温域を連通する断熱移送管路とを備えず前記冷凍機で冷却される冷媒と、前記冷媒を前記真空容器内で循環させる循環手段を設けたことを特徴とする核磁気共鳴測定装置。

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JP2012202995A (ja) * 2011-03-25 2012-10-22 Bruker Biospin Ag 一体型能動冷却装置を備えた小型極低温nmrセンサ

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