JP2006188402A - 焼結ガラス物品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たな外観を有する軽量な焼結ガラス物品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の焼結ガラス物品1は、発泡剤に起因する独立気泡を有する発泡ガラス部1aと、発泡ガラス部1aとの線膨張係数差が5×10-7/℃以内の透明ガラス部1bとが融着され、意匠面に、発泡ガラス部1a及び透明ガラス部1bが露出して凹凸が形成されており、透明ガラス部1bの露出表面が火造りの曲面である。また、製造方法は、粒径が0.5mm以下のガラス粉体と、線膨張係数差が5×10-7/℃以内で50mm以下の複数のガラス片と発泡剤と、酸化剤とを準備し、ガラス粉体と発泡剤と酸化剤とを混合させた混合粉体と、混合粉体が5〜30質量%でガラス片が70〜95質量%となるように耐火物枠内に集積し、ガラスの粘度が106から105ポイズを示す温度域で焼成するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の内装材、断熱材及び装飾壁材などの建築用資材として用いられる軽量な装飾用板状材他として有用な焼結ガラス物品と、その製造方法に関する。
従来、内装用の装飾建築壁材として断熱性、吸音性、軽量性などの特性を持った建築用資材には、テラゾーやガラス焼成材等の各種の無機系材料又は人工大理石等の有機系材料が主に使用されている。例えば、特許文献1、2には、ガラス小体を融着させ、界面泡を残存させて焼成体の光透過率を調整した建材用ガラス物品及びその製造方法の開示がある。また、特許文献3には結晶化ガラスに発泡剤を添加し、流動性を調製した独立気泡を内蔵するガラス物品が開示されている。さらに、特許文献4〜14には、泡ガラス層の一面に緻密ガラス層を形成した建材用ガラス物品が開示されている。
特開2001−180953号公報 特開2004−168563号公報 特開2003−183051号公報 実開昭58−72132号公報 特開昭60−033219号公報 特開平1−058541号公報 特開平2−038342号公報 特開平3−218934号公報 特開平3−247535号公報 特開平5−116987号公報 特開平6−107475号公報 特開平6−107477号公報 特開平6−116061号公報 特開2004−60396号公報
しかしながら、近年の建築物の多様化に伴い、化粧材にも多様化が求められ、特に照明、外光などの光を利用した建築物が求められている。上記特許文献1、2には、各種のリサイクルガラス等を用いたガラス物品により提案されているが、全体にガラス小体の界面気泡を均等に分散させたものであり、特許文献1については軽量化、断熱性に乏しく、表面形状も単純な平面である。また、特許文献3のようなガラスを用いた独立気泡が多数存在する発泡断熱材料は、各ガラスと発泡剤を混合させる場合には可能な限り両者を細かく粉砕し、圧縮成型を必要とし、特に、外観については考慮せず、単純な表面形状になり、さらに光を応用したガラス物品にはなりにくいものである。
また、特許文献4〜14に開示された泡ガラス層の一面に緻密ガラス層を形成した建材用ガラス物品は、軽量化と表面光沢性を求めたガラス物品であり、一面は透明ガラス面になるが、かなりの厚さの泡ガラス層があるので、厚さ方向には透光性はなく、裏面からの光を利用することができないという問題があった。また、泡ガラス層と緻密ガラス層の膨張差が大きすぎること、融着性が弱いことから、緻密ガラス層の破損の問題もあった。さらに、泡ガラス層自体は気泡を多く含有するので軽量化には貢献しているが、構造的には脆弱であり、一旦緻密ガラス層に破損が生じると、建材ガラス物品全体の破損に直結するという問題もあった。
本発明の課題は、内部及び表面に融着した発泡ガラス部と透明ガラス部とを有し、表面に適度な凹凸が形成され、照明光や自然光が部分的に透過及び反射する化学耐久性、耐熱性に優れた焼結ガラス物品、及び圧縮工程を必要とせず、独立気泡を自在に分散させることで、部分的に照明光や自然光の透過及び反射の調製が容易に可能な焼結ガラス物品の製造方法を提供することである。
本発明に係る焼結ガラス物品は、発泡剤に起因するガス成分を含む独立気泡を有する発泡ガラス部と、該発泡ガラス部を構成するガラスとの線膨張係数差が5×10-7/℃以内のガラスにより構成される透明ガラス部とが融着されてなり、意匠面に、発泡ガラス部及び透明ガラス部が露出して凹凸が形成されており、該透明ガラス部の露出表面が火造りの曲面であることを特徴とする。
本発明の焼結ガラス物品は、焼結されたガラス粒等の間に気泡を閉じこめただけのものではなく、材料を焼成する際に、軽量化のために発泡剤を用いて独立気泡を形成させたものである。また、発泡ガラス部だけのガラス物品では、固くて脆いスポンジ、即ち軽石のようなものであり、建材としての実用的な強度は全くない。そこで、本発明の焼結ガラス物品は、内部及び意匠面に、融着部位に不要な応力が発生しない発泡ガラス部の構成ガラスとの線膨張係数差が5×10-7/℃以内のガラスで、且つ意匠性を考慮した透明ガラス部を融着したものである。また、内部応力の発生を抑制する上で、発泡ガラス部と透明ガラス部が実質的に同一組成のガラスにより構成されていることが好ましい。さらに、意匠面には、発泡ガラス部と透明ガラス部とが露出しており、焼成する際の発泡剤により隆起して形成させる発泡ガラス部と、軟化変形して発泡ガラス部及び互いに融着する透明ガラス部とにより凹凸が形成されている。意匠面は、焼成する際に、他の固体物と接触しない自由表面にすることで、露出した透明ガラス部の表面は火造りの曲面になっている。露出した発泡ガラス部は、焼成条件により独立気泡が開いて、あるいはその開いた気泡が溶融されて粗面になってコンクリートや砂岩の表面に近い質感のものや、発泡ガラスの表面が溶けて独立気泡の上に釉薬のように透明ガラス層が形成されて意匠面全体に光沢を有するものがある。
また、本発明の焼結ガラス物品は、内部に、透明ガラス部が互いに融着された骨格構造有するとは、内部に骨格構造として機能する透明ガラス部が互いに融着された構造体が形成されており、その周りに発泡ガラス部が保持されて、焼結ガラス物品全体としての強度が一定レベル以上に維持されているものである。透明ガラス部の分散状態を工夫することにより、3次元網目構造に近づくほど理想的な骨格構造になる。
さらに、本発明の焼結ガラス物品は、意匠面の面積の50%以上を透明ガラス部が分散状態で覆っていると、奥行き感のあるガラス光沢部が多くなり、同時にコンクリートや砂岩の表面に近い印象で反射光が散乱される所謂ソリッドな質感を有する発泡ガラス部の露出面積が相対的に少なくなっている。透明ガラス部の露出面積が50%未満であると、逆にソリッドな質感を有する物となり、そのような外観を目的として使用される建材等となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、意匠面に形成されている凹凸の高低差が1〜10mmの範囲であるとは、以下のことを意味している。即ち、焼成の際に発泡で隆起した発泡ガラス部と、軟化変形して発泡ガラス部及び互いに融着した透明ガラス部とにより形成された凹凸の高低差が1mm未満であると、粗面のセラミック表面に釉薬を掛けたタイルや瓦等の外観と似たものになってしまう。他方、凹凸の高低差が10mmを超えると、同じ焼結ガラス物品を並べた時に、壁面としての連続性が得られ難くなる。また、凸部が高くなり過ぎた発泡ガラス部であると、他のものと擦れた際に欠損する可能性が高くなる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、意匠面に露出している透明ガラス部の表面粗さのRa値は1μm未満であり、発泡ガラス部のRa値が2μm以上であると、意匠面内に反射光による光沢の差異がはっきりと認識できる模様が形成される。露出している透明ガラス部の表面粗さのRa値が1μm以上であると、艶消し状態となり発泡ガラス部の露出面との反射光による光沢の差異がはっきりしない。発泡ガラス部のRa値が2μm未満であると、全体が光沢を帯びてくる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、意匠面に露出している発泡ガラス部の表面に、発泡ガラスの溶融による透明ガラス層が形成されていると、意匠面全体が透明感を有するガラス物品となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、意匠面に、厚み20mmにおいて可視光を0.2%以上透過する光透過部が形成されていると、焼結ガラス物品を使用して壁面等を形成した場合に、反対側の光を利用した意匠面の演出が可能となる。厚み20mmにおける可視光が0.2%未満であると、観察側空間の明るさが暗室状態などに限定されるので、透光性の建材等としての実用性が低くなってしまう。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡ガラス部の体積が全体の10%〜50%であると、発泡ガラス部による軽量化とともに、内部に骨格構造として機能する透明ガラス部の融着構造が形成され易くなる。一方、発泡ガラス部の体積が、全体の10%未満であると、焼結ガラス物品が重くなり、壁面等を形成する場合に、躯体側にかなりの強度を要求することになる。また、焼結ガラス物品が重いと、運搬、施工などでの取り扱い時に負担が大きくなる。他方、発泡ガラス部の体積が、全体の50%を超えると、内部の透明ガラス部の融着構造が形成され難くなり、実用強度を維持することが困難になる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、密度が2.0g/cm3以下であり、平均の熱伝導率が1.0kcal/m・h・℃以下であるとは以下のことを意味している。即ち、焼結ガラス物品の密度が2.0g/cm3を超えると、発泡ガラス部の割合が小さくなって重くなる。平均の熱伝導率が1.0kcal/m・h・℃を超えると、断熱性が実用的な範囲から外れて他の断熱材の併用が必要となり、反対側からの透過光を利用した意匠面の演出が不可能となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、線膨張係数が30〜380℃において60×10-7/℃以下であるとは、以下のことを意味している。即ち、線膨張係数が60×10-7/℃超えると、一般の窓ガラスと同様に、寒暖差の大きい環境下や、温度差の大きいエリアの境界に使用された場合、変形や応力の発生が起こり、変形や膨張収縮による疲労等の問題が生じる。
また、本発明の焼結ガラス物品が、発泡ガラス部及び透明ガラス部が10質量%以下のアルカリ金属酸化物を含有するガラスにより構成されるものであるとは、以下のことを意味している。即ち、10質量%を超えるアルカリ金属酸化物を含有するガラスにより構成される焼結ガラス物品では、酸性の環境下ではアルカリ金属の溶出が比較的多くなり、化学耐久性や耐候性の点で問題が生じる可能性が高くなる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡ガラス部及び透明ガラス部を構成するガラスが、Al23−SiO2系であり、質量%でSiO2 50〜65%、Al23 3〜15%、B23 0〜5%、MgO 0〜3%、CaO 0〜3%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%を含有する組成を有するものである。
本発明で、ガラスがAl23−SiO2系であると、熱衝撃に強く、耐薬品性に優れることを意味する。即ち、熱処理工程における冷却時の熱衝撃や、激しい気温の変化における熱衝撃による破損が無く、耐候性に優れているものである。また、SiO2はガラスを構成する成分であり、質量%でSiO2が50%未満であると耐候性が悪くなり、65%を超えるとガラスの溶融が困難に成る。Al23はガラスの耐熱性、耐失透性に影響を与える成分であり、3%未満であると失透性が強くなり、化学耐久性が低下し、15%を超えると溶融性が悪くなる。B23はガラスの溶融性を高める成分であり、5%を超えると化学耐久性を低下させる。MgOはガラスの溶融性を改善する成分であり、3%を超えると失透傾向が強くなる。CaOも同様にガラスの溶融性を改善する成分であり、3%を超えるとCaO−SiO2系の結晶が析出し易くなる。SrO及びBaOはガラスの化学耐久性、失透性を改善する成分であり、10%を超えるとガラスの密度が大きく成り過ぎる。Na2O及びK2Oはガラスの溶融性を改善する成分であり、5%を超えると熱膨張係数が高くなり過ぎる。このような組成を有することにより、本発明の焼結ガラス物品は熱衝撃性及び耐候性に優れた物となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡ガラス部及び透明ガラス部を構成するガラスが、Al23−B23−SiO2系であり、質量%でSiO2 50〜65%、Al23 10〜20%、B23 7〜12%、MgO 0〜5%、CaO 0〜7%、SrO 0〜7%、BaO 0〜4%、Na2O 0〜3%を含有する組成を有するものである。
本発明で、ガラスが、Al23−B23−SiO2系であるとは、熱衝撃に強く、耐薬品性に優れることを意味している。即ち、熱処理工程における冷却時の熱衝撃や、激しい気温の変化における熱衝撃による破損が無く、耐候性に優れているものである。また、SiO2はガラスを構成する成分であり、質量%でSiO2が50%未満であると耐候性が悪くなり、65%を超えるとガラスの溶融が困難に成る。Al23はガラスの耐熱性、耐失透性に影響を与える成分であり、10%未満であると失透性が強くなり、化学耐久性が低下し、20%を超えると溶融性が悪くなる。B23はガラスの溶融性を高める成分であり、7%未満であると溶融性が悪く、12%を超えると化学耐久性を低下させる。MgOはガラスの溶融性を改善する成分であり、5%を超えると失透傾向が強くなる。CaOも同様にガラスの溶融性を改善する成分であり、7%を超えるとCaO−SiO2系の結晶が析出し易くなる。SrO及びBaOはガラスの化学耐久性、失透性を改善する成分であり、それぞれ7%及び4%を超えるとガラスの密度が大きく成り過ぎる。Na2Oはガラスの溶融性を改善する成分であり、3%を超えると熱膨張係数が高く成り過ぎる。このような組成を有することにより、本発明の焼結ガラス物品は熱衝撃性及び耐候性に優れた物となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡ガラス部及び透明ガラス部を構成するガラスが、B23−SiO2系であり、質量%でSiO2 65〜80%、Al23 2〜8%、B23 10〜15%、CaO 0〜3%、Na2O 0〜7%、K2O 0〜3%、Li2O 0〜3%を含有する組成を有するものである。
本発明で、ガラスがB23−SiO2系であるとは、熱衝撃に強く、耐薬品性に優れることを意味している。即ち、熱処理工程における冷却時の熱衝撃や、激しい気温の変化における熱衝撃による破損が無く、耐候性に優れているものである。また、SiO2はガラスを構成する成分であり、質量%でSiO2が65%未満であると耐候性が悪くなり、80%を超えるとガラスの溶融が困難に成る。Al23はガラスの耐熱性、耐失透性に影響を与える成分であり、2%未満であると失透性が強くなり、化学耐久性が低下し、8%を超えると溶融性が悪くなる。B23はガラスの溶融性を高める成分であり、10%未満であると溶融性が悪く、15%超えると化学耐久性を低下させる。CaOはガラスの溶融性を改善する成分であり、3%超えるとCaO−SiO2系の結晶が析出し易くなる。Na2O及びK2Oはガラスの溶融性を改善する成分であり、それぞれ7%及び3%を超えると熱膨張係数が高くなり過ぎる。このような組成を有することにより、本発明の焼結ガラス物品は熱衝撃性及び耐候性に優れたものとなる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡剤は、窒化アルミ又は炭化ケイ素で、その添加量がガラス粉体の0.1〜3質量%であり、かつ、酸化剤は、ボウ硝で、その添加量がガラス粉体の0.1〜3質量%である。
本発明で、発泡剤が窒化アルミまたは炭化ケイ素であると、分解ガスの発生のタイミングがよく、ガラスの軟化以降に発生するため、ガラス中に気泡を保持できるためである。これら以外のカーボンや炭酸カルシウムの場合には、分解ガスの発生温度が低く、発生が早すぎ、また発生速度も高すぎるために、泡径が大きくなり微細な発泡の制御が困難になる。発泡剤の添加量がガラス粉体の質量の0.1%未満であると、十分に発泡せず、所望の軽量化が達成できず、焼成表面の凹凸も得難い。一方、発泡剤の添加量が3%を超えると泡径が大きくなり、焼成表面の凹凸が大きくなり過ぎ好ましくない。酸化剤がボウ硝であると、酸化力が強いので添加量が少なくてすみ、低コストである。酸化剤としては硝曹でもよい。酸化剤の添加量がガラス粉体の質量の0.1%未満であると、十分に酸化されず、ガラス中に還元雰囲気による窒化物、炭化物の残存に起因する所望しない着色が生じて焼結ガラス物品の本来の色が発せず、黒色気味となる。一方、酸化剤の添加量が3%を超えると泡径が大きく成り過ぎ、過剰な発泡剤と同様の現象を発する。このような発泡剤と酸化剤とを組み合わせることにより、本発明の焼結ガラス物品は、所望の密度及び色調を有するものとなる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡剤に起因するガス成分は、N2、CO2またはSO3の何れかである。
独立気泡に含まれるガス成分は、N2、CO2またはSO3の何れかであると発泡が適正となり、本発明の焼結ガラス物品は、内部の微細な発泡、発泡による適正な表面凹凸となる。
本発明に係る焼結ガラス物品の製造方法は、粒径が0.5mm以下のガラス粉体と、該ガラス粉体の0.1〜3質量%の発泡剤と、該ガラス粉体の0.1〜3質量%の酸化剤と、該ガラス粉体を構成するガラスとの線膨張係数差が5×10-7/℃以内のガラスにより構成されて最大長が50mm以下である複数のガラス片を準備する材料準備工程と、ガラス粉体と発泡剤と酸化剤とを混合させた混合粉体とする粉体調製工程と、混合粉体が5〜30質量%で複数のガラス片が70〜95質量%となるように耐火物枠内に混合粉体と複数のガラス片とを集積して集積体とする集積工程と、該耐火物枠内の集積体をガラスの粘度が106から105ポイズを示す温度域で焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする。
焼結ガラス物品の製造方法に、粒径が0.5mmを超えるガラス粉体を使用すると、ガラス粉体の比表面積が小さくなるために、発泡剤との反応性が低下し、発泡が弱くなる。本発明の製造方法では、粒径が0.5mm以下のガラス粉体を使用することにより、焼結ガラス物品が微細な独立気泡を生じて軽量で断熱性を有するものになる。また、最大長が50mmを超えるガラス片を使用すると、表面のガラス片模様が単純になると共に、ガラス粉体との混合性が悪くなって分離が起こり、焼成される焼結ガラス物品の形状がいびつになる。本発明の製造方法では、最大長が50mm以下である複数のガラス片を使用することにより、焼結ガラス物品の表面形状及び厚みの安定化を図ることができる。このガラス片の大きさは5mm〜50mmの間に80%以上が収まる分布のものであることが、混合性、焼成体の外観の上で好ましい。なお、発泡剤、酸化剤、線膨張係数差に関しては、先に述べたとおりである。
また、耐火物枠内に集積される材料に対して、ガラス粉体、発泡剤及び酸化剤の混合粉体が5質量%未満である(即ち、複数のガラス片が95質量%を超える)と、透明度が高くはなるが、焼結ガラス物品に十分な体積の発泡ガラス部が形成されず、その密度が大きくなり、断熱性にも乏しく、重い物になる。他方、混合粉体が30質量%を超える(即ち、複数のガラス片が70%未満になる)と、発泡ガラス部により内部の透明ガラス部が引き離されるので、骨格構造として機能する透明ガラス部の融着構造体がうまく形成されず、建材として実用強度を確保することが困難になる。
また、耐火物枠内に集積された集積体を焼成する温度域がガラスの粘度が106ポイズより高い場合、即ち、焼成温度が低すぎると、ガラス片の軟化流動が不十分でガラス片同士の融着度合いが低下し、凹凸が鋭角になるとともに、剥離の可能性も高くなる。また、ガラス粉体、発泡剤及び酸化剤の混合粉体の反応も不十分でガラス片との融着度合いが低下し、強度が不足する場合がある。他方、焼成する温度域が105ポイズ未満のである、即ち、焼成温度が高すぎると、ガラス片の軟化流動が著しく、表面凹凸が低下しすぎ、単調で単純な表面状態になり、ガラス粉体、発泡剤及び酸化剤の混合粉体の反応が激しく発泡しすぎた状態となり、表面に大きな発泡が浮遊した状態になる。また、透光性が過剰になる傾向がなる。
また、本発明の製造方法で集積工程が、混合粉体とガラス片とを予め混合した混合物を耐火物枠内に充填するものであるとは、ガラス粉体と発泡剤と酸化剤とを混合させた混合粉体とガラス片とを混合してこれらが十分に分散した状態の混合物とし、この混合物を耐火物枠内に充填して集積させ集積体とすることを意味している。その後、この混合粉体とガラス片とが十分に分散した集積体を焼成して焼結させることになる。
また、本発明の製造方法で集積工程が、先ず混合粉体を耐火物枠内に充填した後、複数のガラス片を分散状態に充填するものであるとは、先ず混合粉体を耐火物枠内に充填した後、得られる焼結ガラス物品が、従来のように焼結ガラス物品の発泡ガラス部と透明ガラス部が完全に2層に分離することなく、かつ、内部に骨格構造として機能する透明ガラス部の融着構造が形成されるように、複数のガラス片を分散状態に充填するものである。この集積工程は、混合粉体を耐火物枠内に充填した後、混合粉体とガラス片とを予め混合した混合物を充填することで、複数のガラス片を分散状態に充填するものでもよい。
さらに、本発明の製造方法で集積工程が、耐火物枠の上部面積の50%以上を覆う複数のガラス片を分散状態に配置するものであるとは、得られる焼結ガラス物品の発泡ガラス部と透明ガラス部が完全に2層に分離することはない程度で、かつ、耐火物枠の上部面積の50%以上を覆う量のガラス片を分散状態に充填して分散配置するものである。この集積工程は、混合粉体とガラス片との混合比を調製した混合物を充填することで、耐火物枠の上部面積の50%以上を覆う複数のガラス片を分散状態に充填するものでもよい。
また、本発明の製造方法で集積工程が、ガラス片を重ねた状態に集積するものであるとは、混合粉体を耐火物枠内に充填した上に、ガラス片が局所的に重なるように充填して配置させたり、耐火物枠内にガラス片が重なるように配置させた後に、混合粉体または混合粉体とガラス片との混合物を充填すること等により、焼成前に耐火物枠内にガラス片を重ねた部位を形成しておくことを意味している。
また、本発明の製造方法で集積工程が、先ず耐火物枠内に複数のガラス片を敷いた後、混合粉体とガラス片との混合物を充填するものであるとは、得られる焼結ガラス物品が、従来のように焼結ガラス物品の発泡ガラス部と透明ガラス部が完全に2層に分離することなく、かつ、内部に骨格構造として機能する透明ガラス部の融着構造が形成されるように、複数のガラス片を敷いた上に、混合粉体または混合粉体とガラス片との混合物を充填するものであり、耐火物枠と接する底部にガラス片を相対的に多く配置させるものである。
また、本発明の製造方法で焼成工程が、集積体の上方からバーナー加熱するものであるとは、ガス炎を使用する連続焼成炉のトンネルキルン、シャトルキルン、ローラーハースキルン等で集積体を収納した耐火物枠の上方からバーナーの炎で加熱することを意味している。
また、本発明の製造方法は、ガラス粉体とガラス片に、実質的に同一組成のガラスを使用するとは、全く同一組成のガラスを使用する場合と、組成の主要部分が同じで、着色剤などの微量成分の差は許容して、線膨張係数等の特性上の差はほとんど無視しうる程度の差である場合とを意味している。
また、本発明の製造方法は、ガラス粉体とガラス片に、10質量%以下のアルカリ金属酸化物を含有するガラスを使用するとは、Al23−SiO2系、Al23−B23−SiO2系、B23−SiO2系等のSiO2の含有率が比較的高く、アルカリ金属酸化物が10質量%以下であるので溶解工程では多少の困難性を伴うものであるが、SiO2等ガラスマトリックスからNa2O等のアルカリ金属酸化物が溶出し難い材質のガラスを使用することを意味するものである。
また、本発明の製造方法は、発泡剤が、窒化アルミまたは炭化ケイ素であり、酸化剤はボウ硝であると、発泡剤の窒化アルミまたは炭化ケイ素がガラスの軟化以降に分解温度に達して発生したガスが残存する結果、独立気泡が形成され、所望の密度の焼結ガラス物品を製造可能となる。また、酸化剤のボウ硝は、分解時にO2を発生して、発泡剤の燃焼を促進し還元物質を残さずガラス焼成体中の着色を防止して、所望の発色状態の焼結ガラス物品を製造可能となる。なお、先記したように、発泡剤の添加量がガラス粉体の0.1〜3質量%であり、かつ、酸化剤の添加量がガラス粉体の0.1〜3質量%であることが好ましい。
本発明に係る焼結ガラス物品は、発泡剤に起因するガス成分を含む独立気泡を有する発泡ガラス部と、該発泡ガラス部を構成するガラスとの線膨張係数差が5×10-7/℃以内のガラスにより構成される透明ガラス部とが融着されてなり、意匠面に、発泡ガラス部及び透明ガラス部が露出して凹凸が形成されており、該透明ガラス部の露出表面が火造りの曲面であるので、今までにない外観を有して、適度に軽量化されるとともに建材としての強度を確保したガラス建材等を提供することができる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、内部に、透明ガラス部が互いに融着された骨格構造を有するので、透明ガラス部同士及び、透明ガラス部と発泡ガラス部とが構造的に結びついており、建材としての実用強度を確保することが容易に可能となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、意匠面の面積の50%以上を透明ガラス部が分散状態で覆っているので、外観がソリッドな質感を有する発泡ガラス部の露出面積が相対的に少なく、ガラス光沢部による透明性の高い質感と凹凸とがあいまって従来にない独特の外観を有する建材等として使用可能となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、意匠面に形成されている凹凸は、高低差が1〜10mmの範囲であり、従来にない独特の外観を有し、かつ並べた時に壁面としての連続性が得られ、さらに他のものと擦れた際に欠損する可能性が低くなるので、利用価値が高く、取り扱いが容易な建材等として使用可能となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、意匠面に露出している透明ガラス部の表面粗さのRa値は1μm未満であり、発泡ガラス部のRa値は2μm以上であるので、意匠面内に、ガラス光沢部による透明性の高い質感の部位と光沢のないソリッドな質感の部位とが分散されて反射光による光沢の差異がはっきりと認識できる模様が形成され、さらに連続的な凹凸とがあいまった独特の外観を有する建材等として使用可能である。
また、本発明の焼結ガラス物品は、意匠面に露出している発泡ガラス部の表面に発泡ガラスの溶融による透明ガラス層が形成されていると、意匠面全体が透明感を有するガラス物品となるので、全体に光沢を帯びた外観及び汚れ難い平面の構築を目的として使用される建材等となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、意匠面に、厚み20mmにおいて可視光を0.2%以上透過する光透過部が形成されているので、反対側の自然光や光源等を利用して軟らかいほのかな透過光を用いた意匠面の演出が可能な建材等として使用可能である。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡ガラス部の体積が、全体の10%〜50%であるので、実用強度と軽量化とを両立した建材等として使用可能となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、密度が2.0g/cm3以下であり、平均の熱伝導率が1.0kcal/m・h・℃以下であるので、断熱材を使用することなく壁面の形成が可能となり、断熱性が要求される環境下であっても反対側からの透過光を利用した意匠面の演出が可能となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、線膨張係数が30〜380℃において60×10-7/℃以下であると、寒暖差の大きい環境下や、温度差の大きいエリアの境界に使用された場合でも、変形や応力の発生が少ないので、信頼性の高い建材等として使用可能となる。また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡ガラス部と透明ガラス部が実質的に同一組成のガラスにより構成されると、変形や応力がほとんど発生せず、さらに好ましいものになる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡ガラス部及び透明ガラス部が10質量%以下のアルカリ金属酸化物を含有するガラスにより構成されるので、化学耐久性や耐候性に優れた建材等として使用可能となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡ガラス部及び透明ガラス部を構成するガラスが、Al23−SiO2系であり、質量%でSiO2 50〜65%、Al23 3〜15%、B23 0〜5%、MgO 0〜3%、CaO 0〜3%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%を含有する組成を有するので、熱衝撃性と耐候性に優れた建材等として使用可能となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡ガラス部及び透明ガラス部を構成するガラスが、Al23−B23−SiO2系であり、質量%でSiO2 50〜65%、Al23 10〜20%、B23 7〜12%、MgO 0〜5%、CaO 0〜7%、SrO 0〜7%、BaO 0〜4%、Na2O 0〜3%を含有する組成を有するので、熱衝撃性と耐候性に優れた建材等として使用可能となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡ガラス部及び透明ガラス部を構成するガラスが、B23−SiO2系であり、質量%でSiO2 65〜80%、Al23 2〜8%、B23 10〜15%、CaO 0〜3%、Na2O 0〜7%、K2O 0〜3%、Li2O 0〜3%を含有する組成を有するので、熱衝撃性と耐候性に優れた建材等として使用可能となる。
また、本発明の焼結ガラス物品は、発泡剤は、窒化アルミまたは炭化ケイ素で、その添加量がガラス粉体の0.1〜3質量%であり、かつ、酸化剤は、ボウ硝で、その添加量がガラス粉体の0.1〜3質量%であるので、このような発泡剤と酸化剤とを組み合わせることにより所望の密度及び色調を有する安価な建材等として使用可能となる。
以上のように、本発明の焼結ガラス物品は、化学耐久性、耐熱性、軽量性、断熱性等を兼ね備え、表面には火造りの透明ガラスの分散し、且つ、発泡部による凹凸形状を分散している異種の模様が混在した外観を呈するので、全く新たなガラス建材として新たな用途を開拓するものである。
本発明に係る焼結ガラス物品の製造方法は、粒径が0.5mm以下のガラス粉体と、該ガラス粉体の0.1〜3質量%の発泡剤と、該ガラス粉体の0.1〜3質量%の酸化剤と、該ガラス粉体を構成するガラスとの線膨張係数差が5×10-7/℃以内のガラスにより構成されて最大長が50mm以下である複数のガラス片を準備する材料準備工程と、ガラス粉体と発泡剤と酸化剤とを混合させた混合粉体とする粉体調製工程と、混合粉体が5〜30質量%で複数のガラス片が70〜95質量%となるように耐火物枠内に混合粉体と複数のガラス片とを集積して集積体とする集積工程と、該耐火物枠内の集積体をガラスの粘度が106から105ポイズを示す温度域で焼成する焼成工程とを含むので、意匠面に、発泡ガラス部及び透明ガラス部が露出して凹凸が形成されており、透明ガラス部の露出表面が火造りの曲面であり、今までにない外観を有して、適度に軽量化されるとともに建材としての強度を確保した焼結ガラス物品を製造することができる。
また、本発明の製造方法は、集積工程が、混合粉体とガラス片とを予め混合した混合物を耐火物枠内に充填するものであるので、混合粉体とガラス片とが十分に分散した状態で焼成され、適切な軽量化とともに、建材として実用強度を確保する骨格構造として機能する透明ガラス部が互いに融着された内部構造体が形成され、意匠面に分散状態の発泡ガラス部と透明ガラス部とが露出して所望の凹凸が形成された焼結ガラス物品を製造することができる。
また、本発明の製造方法は、集積工程が、先ず混合粉体を耐火物枠内に充填した後、複数のガラス片を分散状態に充填するので、混合粉体とガラス片との混合物を充填する場合に比べて、耐火物枠の下部に発泡ガラスが多く、上部に透明ガラス部を多く分布させた焼結ガラス物品を製造することができる。
また、本発明の製造方法は、集積工程が、耐火物枠の上部面積の50%以上を覆う複数のガラス片を分散状態に配置するので、意匠面がガラス光沢部による透明性の高い質感の焼結ガラス物品を製造可能となる。
また、本発明の製造方法は、集積工程が、ガラス片を重ねた状態に集積するので、意匠面に奥行き感のあるガラス光沢部が多くなり、可視光を0.2%以上透過する光透過部も多く形成されるので、反対側からの透過光を利用した意匠面の演出が可能な焼結ガラス物品が製造可能となる。
また、本発明の製造方法は、集積工程が、先ず耐火物枠内に複数のガラス片を敷いた後、混合粉体とガラス片との混合物を充填すると、底部に光透過率の高い部分が層状に形成され、全体として反対側からの光の透過率が高くなるので、これを利用した焼結ガラス物品の製造が可能となる。
また、本発明の製造方法で焼成工程が、集積体の上方からバーナー加熱するものであるので、意匠面に、露出している発泡ガラス部の表面をバーナー炎で加熱して発泡ガラスを溶融して透明ガラス層を形成することができ、意匠面全体に透明感を有する焼結ガラス物品が得られる。
また、本発明の製造方法は、ガラス粉体とガラス片に、実質的に同一組成のガラスを使用するので、使用の際の温度変化に対して変形や内部応力がほとんど発生しない焼結ガラス物品の製造が可能となる。また、単一組成のガラスを双方の材料とした場合には、組成管理などの管理業務の省力化も可能となる。
また、本発明の製造方法は、ガラス粉体とガラス片に、10質量%以下のアルカリ金属酸化物を含有するガラスを使用するので、Na2O等のアルカリ金属酸化物が溶出し難く、化学耐久性や耐候性に優れた建材として高い信頼性を有する焼結ガラス物品の製造が可能となる。
また、本発明の製造方法は、発泡剤は、窒化アルミまたは炭化ケイ素であり、酸化剤はボウ硝であるので、微細な独立気泡を含有させることができ、かつ所望しない着色の無い安価な焼結ガラス物品の製造が可能となる。
以上のように、本発明の製造方法によれば、意匠面に発泡ガラス部が10〜30%及びガラス片による光沢部が90〜70%の面積比を有し、光の透過と反射を調整し、外観的にも適度な凹凸を呈する焼結ガラス物品を効率よく製造することができる。
本発明の焼結ガラス物品は、例えば、図1(A)の斜視図及び(B)の側面図に示すように、微細な独立気泡を分散状態で内包している発泡ガラス部1aと、ガラス片が軟化変形して固化した透明ガラス部1bとが分散してなり、透過光を分散させている。又、意匠面については発泡ガラス部1aと軟化変形したガラス片による透明ガラス部1bの露出部が光沢部として分散してなり、反射光を分散させており、且つ、発泡ガラスに起因する凹凸形状が分散した模様が混在した外観を呈するものである。発泡ガラス部1aは、発泡剤として窒素アルミ(AlN)または炭化珪素(SiC)を添加し、更に発泡剤による還元状態から生じるガラス生地の黒化を防止するために酸化剤としてボウ硝を添加することで形成されたものである。焼結ガラス物品のガラス生地としては、アルカリ金属酸化物を質量10%以下の含有率に抑制しているので、化学耐久性、耐熱性、軽量性、断熱性を兼ね備えているものである。
本発明の焼結ガラス物品の製造方法は、例えば、アルカリ金属酸化物が質量10%以下を含有するガラスにより構成されるガラス粉体に発泡剤と酸化剤を混合して混練し、さらに最大長が50mm以下であるガラス片とを混練し、耐火物枠内に集積してガラスの粘度が106〜105ポイズを示す温度域で焼成することにより、意匠面に発泡ガラス部1aと光沢を有する透明ガラス部1bとが面積比でそれぞれ10〜30%と90〜70%となるように発泡・焼結させることによりに、透過光と反射光を調整し、外観的にも適度な凹凸を呈するように焼結ガラス物品を製造するものである。
本発明においては、アルカリ金属酸化物が質量10%以下を含有するガラスを、最大粒径が0.5mm以下に粉砕された粉体と、発泡剤としての平均粒径が2μm以下である窒化アルミ(AlN)粉末または炭化珪素(SiC)粉末を質量%で0.1〜3%、更に酸化剤としてボウ硝を同量の0.1〜3%を添加し、混合機を用いて十分混合したガラス混合粉体を前もって準備する。更に、ガラス粉体と同組成を有したガラスの管状品、板状品を粗砕機にて最大長が50mm以下になるように粉砕したガラス片を準備することにより、それぞれを質量比で5〜30%及び95〜70%の秤量にて軽く混合した後に、水で希釈したPVA溶液を適量添加し、混合物にする。その時に、着色を目的とし、青色の場合は酸化コバルト、淡赤色の場合は酸化ユーロピウムを適度に添加してもよい。これらの混合物を、前もってアルミナシートを敷設またはアルミナ粉末を塗布したムライト・コージェライト製耐火物枠に均等に充填して集積し、ガラスの粘度が106〜105ポイズとなる温度域にて焼成する。
その結果、発泡ガラス部と透明ガラス部とが分散することにより内部には光が透過する部分と透過しない部分が存在し、表面には発泡ガラス部と透明ガラス部が融着した形状が適度な凹凸を有した外観が得られる。このため本発明の焼結ガラス物品は、従来の廃ガラス等を利用した単純な軽量ガラス物品を用いた内装材とは異なり、微細な独立発泡部とガラス光沢部が不均質に分散させることができる、好適な焼結ガラス物品を得ることができる。
以下、本発明の焼結ガラス物品を製造する方法をより具体的に説明する。
まず、アルカリ金属酸化物の含有量が10質量%以下であるガラスを、管状又は板状のままにて軽く粗粉砕した後に、ボールミルもしくはチューブミルを用いて粉砕した後、目開きが0.5mmの篩を用いて分級し、最大粒径0.5mm以下のガラス粉体を得る。尚、粉体最大粒径を上記のように限定した理由は、0.5mmを超えるとガラス粉体の比表面積が小さい為に発泡剤との反応性が悪くなり発泡がし難くなるためであり、更に細かくすることは発泡性が良好となるので好ましいが、粉砕工程に経費がかかり過ぎると好ましくない。
準備したガラス粉体に、市販されている窒化アルミ粉末(平均粒径=2μm)又は同様に市販されている炭化珪素粉末(平均粒径=0.8μm)を0.1〜3質量%、好ましくは0.3〜1.5質量%を添加し、更に、酸化剤であるボウ硝を同量添加した後に混合機で約10分間混合し混合粉体を作製する。酸化剤であるボウ硝は発泡剤による還元からのガラスの黒化を防止する為であり、0.1%未満ではほとんど効果がなく、3%を超えると同様に発泡が強くなりすぎるために、発泡剤と同量の添加が好ましい。
次に、同様のガラスにて粗砕機にて最大長が50mm以下のガラス片を作製する。準備した混合粉体とガラス片とを適当な混合機を用いて混練する。その際に、PVA溶液を添加すると粉体とガラス片の分離が抑制することができ好ましい。
次に、アルミナシートまたはアルミナ微粉末を離型剤として敷き詰めたムライト・コージェライト製の耐火物枠を準備し、前もって用意した混合粉体とガラス片との混合物を均等に集積する。
使用するガラスの組成としては、アルカリ金属酸化物の含有量が10%以下のAl23−SiO2系、Ai23−B23−SiO2系、及びB23−SiO2系のものを使用することが好ましい。
特に質量%でSiO2 50〜65%、Al23 3〜15%、B23 0〜5%、MgO 0〜5%、CaO 0〜3%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%を含有するアルミノ珪酸ガラスや、SiO2 50〜65%、Al23 10〜20%、B23 7〜12%、MgO 0〜5%、CaO 0〜7、SrO 0〜7%、BaO 0〜4%、Na2O 0〜3%を含有するアルミノホウ珪酸ガラスや、SiO2 65〜80%、Al23 2〜8%、B23 10〜15%、CaO 0〜3%、Na2O 0〜7%、K2O 0〜3%、Li2O 0〜3%、を含有するホウ珪酸ガラスの使用が好ましい。
フレーク状のガラス片を作製する場合、板状もしくは管状が好ましいが、粒状又は棒状でも使用可能である。尚、着色を目的とする場合は、ガラス粉体、発泡剤、酸化剤と同時に、目的の無機顔料を任意に添加し、前もって混合する。
その後、耐火物枠に集積した小体をガラスの粘度が106〜105ポイズを示す温度で焼成する。集積体を加熱すると、まず水分等が揮発し、そしてガラスの粘度が109ポイズ付近になると軟化し始める。この温度域においてガラスの粘度が急激に低下せずに徐々に軟化していくと、混合粉体の密集した部分では発泡剤の分解が始まり均等な独立気泡が生成し、発泡ガラス部が形成される。
一方、ガラス片は混合粉体の部分よりやや遅れて軟化しはじめるために、発泡ガラス部の多い部分はガラス片を押し上げた形となり表面の透明ガラス部が自然な凹凸を形成する。また、発泡ガラス部が少ない部分は、ガラス片が多くなってガラス片が重なった透明ガラス部が形成され、それらが互いに溶着して透光性を持つ部位が形成されるようになる。
本発明の製造方法において、焼成温度を106〜105ポイズとなるように温度域を限定した理由は、この温度域で焼成することにより過剰な発泡を制御して、焼成体の凹凸を適正な寸法範囲にするためである。焼成温度が高くなり過ぎると、泡径が大きくなり過ぎ独立気泡に成り難く、且つ、表面の凹凸が形成し難くなる。同時に焼成体の平均密度を1.3〜2.0g/cm3に保持するためである。密度をこの範囲に制御することにより、焼成体の断熱性(熱伝導率)と内装材としての機械的強度を維持する。それゆえこの温度域より焼成温度が低いと発泡性が十分に行われず密度が大きくなり、断熱性が満足しない。一方、この温度域より高い温度で焼成すると、発泡性が強くなり過ぎ所望の形状が得にくくなり、機械的強度が急激に低下する。尚、ガラスの粘度が106〜105ポイズとなる温度は、平行板式粘度計用いて測定できる。
実際の焼結ガラス物品の断面写真を図2に示す。発泡ガラス部1aは独立気泡がほぼ均等に分布しており、透明ガラス部1bはガラス片が溶着されて、流れた形跡として観察される。また、内部全体のところどころに、発泡ガラス部1aにより分散されたガラス片が軟化変形して溶着した透明ガラス部1bの波紋状のパターンが観察され、透明ガラス部1bが互いに融着された骨格構造が形成されていることがわかる。すなわち、透明ガラス部1b同士が互いに融着された骨格に発泡ガラス部1aが構造的に結びついており、建材としての実用強度が確保されている。
(実施例1) まず、質量%SiO2 60%、Al23 15%、CaO 6%、ZnO 1%、BaO 2%、SrO 6%、B23 10%、Sb23 0.3%の組成を有するように調合したガラス原料を1500〜1700℃で12〜30時間溶融し、この溶融ガラスを0.3〜3mm厚みの板状に成型する。この一部をアルミナボールミルによって12時間粉砕し、目開きが0.5mmの篩いにて分級したガラス粉体を得た。更に残った板状のガラスをロールクラッシャーにて最大長が50mm以下になるように粉砕し、ガラス片を得た。このガラス片の大きさは5mm〜50mmの間に80%以上が収まる分布のものである。
次に、最大粒径を0.5mmに分級したガラス粉体に、市販の平均粒径(D50)が2μmの窒化アルミ(AlN)粉末を0.5質量%と、同量のボウ硝を添加し、混合機を用いて十分混合した。
この様にして得られた混合粉体とガラス片を10:90の質量比に秤量し混練する。この時に、軽く混練した後に、PVA溶液を滴下しておくと粉体とガラス片の分離を抑制できる。
この混合粉体とガラス片との混合物2を、前もって準備したムライト・コージェライト製の耐火物容器3にセラミックスファイバーシート3a、3bをそれぞれ底部と側壁に敷き詰め、できる限り均等に投入し、図3(A)に示すように集積する。この時の投入量は壁材としての適正な厚み15〜25mmに成るように秤量して耐火物枠に投入する。例えば、450×450mmの耐火物枠では4〜7kgになる。今回は5kgとした。
又、使用したガラスについて、平行板式粘度計により106及び105ポイズの粘度における温度を測定したところ、106ポイズでは1050℃、105ポイズでは1150℃、であった。この事から、室温から6時間を要し、105.5ポイズの温度である1100℃で60分保持する条件にて、輻射熱を利用した電気炉で焼成を行った。
その結果、得られた焼結ガラス物品1は、図3(B)に示すように、発泡ガラス部1aの多い部分は光を通し難く、ガラス片が多く分布した透明ガラス部1bは光を適度に透した。表面から観察すると、光を透す部分は厚さ方向に透明ガラス部が多く重なってあまり膨らまず凹となり、厚み20mmにおいて可視光を0.4%透過する光透過部となっており、光を透しにくい部分は発泡ガラス部が多く発泡のために凸となり、高低差が1〜7mmの範囲の好ましい凹凸が得られた。また、意匠面に、露出している透明ガラス部の割合は70%であり、透明ガラス部の表面粗さのRa値は0.5μmで、発泡ガラス部のRa値は5μmであった。また、内部にガラス片が溶着して軟化変形した透明ガラス部1bの波紋状のパターンが観察され、透明ガラス部1bが互いに融着された骨格構造が形成されていた。
また、得られた焼結ガラス物品は、約20mmの厚みを持ち型枠の大きさにほぼ広がっていた。この焼結ガラス物品の一部を切り出し断面の観察をすると、発泡ガラス部については均質な独立発泡が分散していた。透明ガラス部は泡もほとんど無く発泡ガラス部とも融着していた。それらの平均的な単位体積あたりの質量(密度)を天秤にて測定すると1.84g/cm3を示した。この密度と透明ガラス部の密度から算出された焼結ガラス物品の発泡ガラス部と透明ガラス部との体積比は約3対7の割合(発泡ガラス部が約30%)であった。また、断熱性を確認する為に、熱伝導率を真空理工製熱定数測定装置(TC−3000型)を用いてレーザーフラッシュ法にて測定した。平均の熱伝導率は0.75kcal/m・h・℃であった。また、機械的強度を確認する為に、ASTM C880−78に準じ、3点曲げ強度を測定した。5.2MPaと良好なものであった。また、ディラトメータにて測定した焼結ガラス物品の線膨張係数は37×10-7/℃(30−380℃)であった。これらの結果は表1に示した。
また、図3(A)に示す集積体を収納した耐火物枠3を、ガス炎を使用したローラーハースキルンに投入して焼成したところ、図3(B)に示す発泡ガラス部1aの表面に、発泡ガラスが溶けた表面粗さのRa値が1.7μmの図示しない透明ガラス層が形成され、透明ガラス層1bの表面粗さの差が少なくなり、内部が散乱光で白く見える発泡ガラス部1aの表面と透明ガラス層1bの表面との外観上の連続性に優れた焼結ガラス物品になった。
(実施例2) 質量百分率でSiO2 79%、Al23 3%、CaO 1%、BaO 1%、B23 14%、Na2O 4%、Cl 0.1%の組成を有するガラスを実施例1と同様に溶融した。成形についても同様に板状にした。
次に市販の平均粒径(D50)が0.8μmの発泡剤(SiC)を0.8%及びボウ硝を0.8%添加し、同様の混合粉体を得た。更に同様の方法で最大長が50mm以下のガラス片を作製し、混合粉体とガラス片を20:80の質量比で混練した。この時も均一性の為にPVA溶液を添加した。同様に耐火性型枠を用いて集積した。ガラスについて平行板式粘度計により106及び105ポイズの粘度における温度を測定したところ、106ポイズでは970℃、105ポイズでは1080℃、であった。その結果、105.5ポイズの温度である1030℃で60分保持する実施例1と同様に電気炉焼成し、焼結ガラス物品を得た。
得られた焼結ガラス物品は、意匠面の高低差が1〜7mmの範囲の好ましい凹凸が得られた。また、露出している透明ガラス部の割合は60%であり、透明ガラス部の表面粗さのRa値は0.5μmで、発泡ガラス部のRa値は5μmであった。また、同様にこの焼結ガラス物品の一部を切断し、断面を確認すると均質な独立発泡とガラス片部が分散していた。この密度を測定すると1.62g/cm3を示した。密度から算出された焼結ガラス物品の発泡ガラス部と透明ガラス部との体積比は約4対6の割合(発泡ガラス部が約40%)であった。焼結ガラス物品の平均の熱伝導率、3点曲げ強度、線膨張係数も実施例1と同様に測定し、結果を表1に示した。
(実施例3) 質量百分率でSiO2 73%、Al23 7%、CaO 1%、BaO 1%、B23 11%、Na2O 6%、K2O 2%、Sb23 0.1%の組成を有するガラスの20〜40mm径のガラス管を入手した。この一部をアルミナ製ボールミルにて粉砕し最大粒径が0.5μmの粉体を得た。また、残りのガラス管を、ロールクラッシャーを用いて最大長が50mm以下のガラス片を得た。実施例1と同様に発泡剤(AlN)とボウ硝を添加し、混合粉体を作製し、ガラス管が粗砕されたガラス片と混練した。ガラスについて平行板式粘度計により106及び105ポイズの粘度における温度を測定したところ、106ポイズでは850℃、105ポイズでは950℃であった。その結果、105.5ポイズの温度である900℃で60分保持して、同様に電気炉焼成し焼結ガラス物品を得た。
得られた焼結ガラス物品は、意匠面の高低差が1〜7mmの範囲の好ましい凹凸が得られた。また、露出している透明ガラス部の表面粗さのRa値は0.5μmであり、発泡ガラス部のRa値は5μmであった。また、同様にこの焼結ガラス物品の一部を切断して断面を確認すると、図2に示すように、焼結ガラス物品の内部には発泡ガラス部1aに比べて透明ガラス部1bが多く、透明ガラス部1bが互いに溶着して形成された骨格構造の隙間に均質な独立発泡が分散している状態が観察された。尚、密度は1.96であった。密度から算出された焼結ガラス物品の発泡ガラス部と透明ガラス部との体積比は約2対8の割合(発泡ガラス部が約20%)であった。焼結ガラス物品の平均の熱伝導率、3点曲げ強度、線膨張係数も実施例1と同様に測定し、結果を表1に示した。
(比較例1) まず、同様のアルカリ金属酸化物が10%以下のガラスを用意し、実施例と同様に最大粒径が0.5mm以下に粉砕した後、発泡剤と混合しプレス機を用いて同様の耐火物枠にて450×450×10mmサイズの成形体を得た。次に同様に105.5ポイズの粘度における温度にて電気炉で焼成を行った。
この焼結体は異常に発砲し型枠からはみ出した。製品化する為には、表面をスライスする必要があった。また、一部を切り出し断面観察すると、大きな泡と小さい泡が不均質に発生し、泡自体がつながっており吸水性があることが確認できた。これは独立発砲ではないことを意味する。密度を測定すると、0.78g/cm3であった。焼結ガラス物品の平均の熱伝導率、3点曲げ強度、線膨張係数も実施例1と同様に測定し、結果を表1に示した。
(比較例2) まず、同様のアルカリ金属酸化物が10%以下のガラスを用意し、実施例と同様に最大長が50mm以下に粉砕した後、同様の450×450mmサイズ耐火物枠に8kg分を集積した。次に同様に105.5ポイズの粘度における温度にてローラーハースキルンにて焼成を行った。この焼結体は約20mmの厚みを持った、内部に平均10mmサイズの泡を含んだ透明な製品となった。当然ながら表面は平滑で単純な物であった。断面観察すると、大きな泡と小さい泡が不均質に発生しているが、泡自体がつながっておらず吸水性がないことは確認できた。密度を測定すると、2.32g/cm3であった。焼結ガラス物品の平均の熱伝導率、3点曲げ強度、線膨張係数も実施例1と同様に測定し、結果を表1に示した。
表1に示すように、実施例の焼結ガラス物品は、熱伝導率が0.55〜0.80kcal/m・h・℃を示し、比較例1及び比較例2の焼結体はそれぞれ0.45kcal/m・h・℃と1.10kcal/m・h・℃になった。
また、実施例の3点曲げ強度は3.6〜5.2MPaであり、比較例1は1.3MPa、比較例2は23MPaであった。この結果から、実施例は軽量化により密度が小さいながらも機械的強度は、内装建材用途として問題が無い範囲であった。
この様に得られた実施例の焼結ガラス物品は、独立気泡を有する発泡ガラス部と透明ガラス部とが分散して適度な透過光を有し、且つ、表面には透明ガラス部が光沢を呈する適度な凹凸を有した内装材として意匠性を持ったものである。更に、建材として軽量で断熱性を有する。またこれらは、それぞれのガラス製品から発生する製品の切り屑を用いることも可能であり、リサイクル商品としても優れている。また、着色も容易であり建材としての用途が広まる。
なお、上記の実施例は、混合粉体とガラス片とを混合して混合物とした後、耐火物枠に集積して集積体とし、焼成した焼結ガラス物品の例を示したが、本発明はこれに限られず、次に示す焼結ガラス物品及びその製造方法なども作製可能である。
例えば、意匠面に、高低差が1〜10mmの範囲を外れる凹凸形成されている焼結ガラス物品。意匠面の面積の50%未満を透明ガラス部が分散状態で覆っている焼結ガラス物品。意匠面に、露出している透明ガラス部のRa値は1μm以上である焼結ガラス物品。線膨張係数が30〜380℃において60×10-7/℃を超える焼結ガラス物品。集積工程が、先ず混合粉体を耐火物枠内に充填した後、複数のガラス片を分散状態に充填する製造方法及びこれにより作製される焼結ガラス物品。集積工程が、耐火物枠の上部面積の50%以上を覆う複数のガラス片を分散状態に配置する製造方法及びこれにより作製される焼結ガラス物品。集積工程が、ガラス片を重ねた状態に集積する製造方法及びこれにより作製される焼結ガラス物品。集積工程が、先ず耐火物枠内に複数のガラス片を敷いた後、混合粉体とガラス片との混合物を充填する製造方法及びこれにより作製される焼結ガラス物品。ガラス粉体とガラス片に、ガラス粉体を構成するガラスとの線膨張係数差が5×10-7/℃以内の異種ガラスを使用する製造方法及びこれにより作製される焼結ガラス物品。ガラス粉体とガラス片に、10質量%を超えるアルカリ金属酸化物を含有するガラスを使用する製造方法及びこれにより作製される焼結ガラス物品なども本発明では可能である。
本発明は、透明ガラスにより構成される焼結ガラス物品を対象としているが、上記の技術は発泡樹脂等を利用したものにも適用可能である。
本発明のガラス物品の説明図であって、(A)は斜視図、(B)は側面図。 本発明のガラス物品を示す断面写真。 本発明の製造方法の説明図であって、(A)は焼成前の説明図、(B)は焼成後の説明図。
符号の説明
1 焼結ガラス物品
1a 発泡ガラス部
1b 透明ガラス部
1c 底面
1d 高透過率透光部
2 混合物
3 耐火物枠
3a、3b セラミックスファイバーシート

Claims (27)

  1. 発泡剤に起因するガス成分を含む独立気泡を有する発泡ガラス部と、該発泡ガラス部を構成するガラスとの線膨張係数差が5×10-7/℃以内のガラスにより構成される透明ガラス部とが融着されてなり、意匠面に、発泡ガラス部及び透明ガラス部が露出して凹凸が形成されており、該透明ガラス部の露出表面が火造りの曲面であることを特徴とする焼結ガラス物品。
  2. 内部に、透明ガラス部が互いに融着された骨格構造を有することを特徴とする請求項1に記載の焼結ガラス物品。
  3. 意匠面の面積の50%以上を透明ガラス部が分散状態で覆っていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼結ガラス物品。
  4. 意匠面に形成されている凹凸は、高低差が1〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  5. 意匠面に露出している透明ガラス部の表面粗さのRa値は1μm未満であり、発泡ガラス部のRa値は2μm以上であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  6. 意匠面に露出している発泡ガラス部の表面に、発泡ガラスの溶融による透明ガラス層が形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  7. 意匠面に、厚み20mmにおいて可視光を0.2%以上透過する光透過部が形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  8. 発泡ガラス部の体積は、全体の10%〜50%であることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  9. 密度が2.0g/cm3以下であり、平均の熱伝導率が1.0kcal/m・h・℃以下であることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  10. 線膨張係数が30〜380℃において60×10-7/℃以下であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  11. 発泡ガラス部と透明ガラス部が実質的に同一組成のガラスにより構成されていることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  12. 発泡ガラス部及び透明ガラス部が10質量%以下のアルカリ金属酸化物を含有するガラスにより構成されていることを特徴とする請求項1から11の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  13. 発泡ガラス部及び透明ガラス部を構成するガラスが、Al23−SiO2系であり、質量%でSiO2 50〜65%、Al23 3〜15%、B23 0〜5%、MgO 0〜3%、CaO 0〜3%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%を含有する組成を有する請求項1から12の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  14. 発泡ガラス部及び透明ガラス部を構成するガラスが、Al23−B23−SiO2系であり、質量%でSiO2 50〜65%、Al23 10〜20%、B23 7〜12%、MgO 0〜5%、CaO 0〜7%、SrO 0〜7%、BaO 0〜4%、Na2O 0〜3%を含有する組成を有する請求項1から13の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  15. 発泡ガラス部及び透明ガラス部を構成するガラスが、B23−SiO2系であり、質量%でSiO2 65〜80%、Al23 2〜8%、B23 10〜15%、CaO 0〜3%、Na2O 0〜7%、K2O 0〜3%、Li2O 0〜3%を含有する組成を有する請求項1から14の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  16. 発泡剤は、窒化アルミまたは炭化ケイ素で、その添加量がガラス粉体の0.1〜3質量%であり、かつ、酸化剤は、ボウ硝で、その添加量がガラス粉体の0.1〜3質量%であることを特徴とする請求項1から15の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  17. 発泡剤に起因するガス成分は、N2、CO2またはSO3の何れかであることを特徴とする請求項1から16の何れかに記載の焼結ガラス物品。
  18. 粒径が0.5mm以下のガラス粉体と、該ガラス粉体の0.1〜3質量%の発泡剤と、該ガラス粉体の0.1〜3質量%の酸化剤と、該ガラス粉体を構成するガラスとの線膨張係数差が5×10-7/℃以内のガラスにより構成されて最大長が50mm以下である複数のガラス片を準備する材料準備工程と、ガラス粉体と発泡剤と酸化剤とを混合させた混合粉体とする粉体調製工程と、混合粉体が5〜30質量%で複数のガラス片が70〜95質量%となるように耐火物枠内に混合粉体と複数のガラス片とを集積して集積体とする集積工程と、該耐火物枠内の集積体をガラスの粘度が106から105ポイズを示す温度域で焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする焼結ガラス物品の製造方法。
  19. 集積工程が、混合粉体とガラス片とを予め混合した混合物を耐火物枠内に充填するものであることを特徴とする請求項18に記載の焼結ガラス物品の製造方法。
  20. 集積工程が、先ず混合粉体を耐火物枠内に敷いた後、複数のガラス片を分散状態に充填するものであることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の焼結ガラス物品の製造方法。
  21. 集積工程が、耐火物枠の上部面積の50%以上を覆う複数のガラス片を分散状態に配置するものであることを特徴とする請求項18から20の何れかに記載の焼結ガラス物品の製造方法。
  22. 集積工程が、ガラス片を重ねた状態に集積するものであることを特徴とする請求項18から21の何れかに記載の焼結ガラス物品の製造方法。
  23. 集積工程が、先ず耐火物枠内に複数のガラス片を敷いた後、混合粉体とガラス片との混合物を充填するものであることを特徴とする請求項18、19、21、22の何れかに記載の焼結ガラス物品の製造方法。
  24. 焼成工程が、集積体の上方からバーナー加熱するものであることを特徴とする請求項18から23の何れかに記載の焼結ガラス物品の製造方法。
  25. ガラス粉体とガラス片に、実質的に同一組成のガラスを使用することを特徴とする請求項18から24の何れかに記載の焼結ガラス物品の製造方法。
  26. ガラス粉体とガラス片に、10質量%以下のアルカリ金属酸化物を含有するガラスを使用することを特徴とする請求項18から25の何れかに記載の焼結ガラス物品の製造方法。
  27. 発泡剤は、窒化アルミまたは炭化ケイ素であり、酸化剤はボウ硝であることを特徴とする請求項18から26の何れかに記載の焼結ガラス物品の製造方法。
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