JP2006187045A - 永久磁石型同期モータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低速制御と高速回転制御とを滑らかに移行させる永久磁石型同期モータの制御装置を提供すること。
【解決手段】低速制御時の電圧演算式と、高速制御時の電圧演算式との式を重ね合わせる。
図は、回転数指令に基づくインバータ周波数がωsになったときに、ゲインKid、Kpq、Kiqの変化を示したものである。ゲインKid、Kpq、Kiqは、インバータ周波数がωcになったときに0になるようにする。一方、V/f制御のKωは、0から所定のゲインにする。これにより、δ軸の電流指令iδ*は、上記ゲインが所定の値に落ち着いた後、所定の周波数ωvで0になる。なお、モータ回転数を下げて行く場合は、各種ゲインを上記の逆となるように移行させる。
【選択図】 図4
【解決手段】低速制御時の電圧演算式と、高速制御時の電圧演算式との式を重ね合わせる。
図は、回転数指令に基づくインバータ周波数がωsになったときに、ゲインKid、Kpq、Kiqの変化を示したものである。ゲインKid、Kpq、Kiqは、インバータ周波数がωcになったときに0になるようにする。一方、V/f制御のKωは、0から所定のゲインにする。これにより、δ軸の電流指令iδ*は、上記ゲインが所定の値に落ち着いた後、所定の周波数ωvで0になる。なお、モータ回転数を下げて行く場合は、各種ゲインを上記の逆となるように移行させる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、永久磁石型同期モータの制御装置に関するものである。
従来、永久磁石型同期モータの回転子位置を検出しない、いわゆるセンサレス制御では、モータの回転周波数命令に電圧を比例させるV/f制御が一般的手法の一つとなっている。しかしながら、始動・低回転時には、モータ回路の抵抗がモータのインダクタンスに及ぼす影響が大きいために、V/f制御の定格・高回転時の制御をそのまま適用できないという性質がある。そこで、電機子電流の大きさ、および周波数を夫々電流指令値および周波数指令に一致させる第1の制御手段と、端子電圧の大きさ,周波数を夫々周波数指令のほぼ比例値,周波数指令値に一致させるようにする第2の制御手段とを切換えることで、高速・低速の運転切換えを実施する技術がある(たとえば、特許文献1)。
しかしながら、上記技術では、低速運転時の運転制御切換え手段に関し、制御切換え時のショックを緩和する為に端子電圧の位相や端子電圧変化率の制御が必要であり、制御・調整が複雑になるという問題点がある。また、上記技術では、低速制御から高速制御に移行する際、一時的にモータ電流が急増し、過電流による停止状態に至る場合さえ起こり得た。また、モータの高効率駆動性能はモータ自体にも求められるが、常に制御装置にも求められるものである。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、起動から高速域の通常制御に滑らかに移行できる高効率な永久磁石型同期モータの制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る永久磁石型同期モータの制御装置は、モータの周波数に比例した電圧指令を回転直角座標系の2軸で設定する手段と、当該2軸の電圧指令を3相へ座標変換する手段と、当該3相の電圧指令をインバータによる電力変換を経てモータに印加する手段と、当該モータの回転子位置を検出せずに、当該モータ端子電流をフィードバックする手段とを有する永久磁石型同期モータの制御装置において、第一のゲインを含む定格用の前記電圧指令と、第二のゲインを含む起動用の前記電圧指令とを重ね合わせ、インバータ周波数に応じて、前記第一のゲインと、第二のゲインとを増減させて、電圧指令を決定するようにしたものである。
起動用の電圧指令演算では、たとえば、δ軸とγ軸とで同比率の電圧をモータに印加するべく演算式が考えられ、それぞれに軸に比例ゲインや積分ゲインが用いられる。これを第一のゲインとする。また、定格用の電圧指令演算では、たとえば、δ軸の電圧を0にして、γ軸の電圧と電流だけでモータを駆動させるように演算式が考えられ、比例ゲイン等が用いられる。これを第二のゲインとする。
実際の制御装置の電圧指令演算式としては、上記二つの演算式を重ね合わせた式を用いる。そして、モータ回転数指令に基づいて、起動制御から、定格制御に切り替えるのに適当なインバータ周波数になったときに、上記第一のゲインを徐々に増減、維持すると共に、第二のゲインも徐々に増減・維持し、起動用電圧指令から、滑らかに定格用電圧指令に移行できるようにした。このようにすると、電流波形や回転子位置、速度に乱れを生じさせずに、滑らかに低速から高速回転にモータを駆動させることができる。
また、請求項2に係る発明は、前記永久磁石型同期モータの制御装置において、前記定格用の前記電圧指令は、前記フィードバック電流から力率角を決定する力率角決定手段と、3相で得られる前記モータ端子電流を回転直交座標に変換する際に用いる回転角に上記力率角を加減する力率角加減手段と、によって修正された前記フィードバック電流を用いて、電圧指令を決定するようにしたものである。
請求項1に係る永久磁石型同期モータの制御装置は、電圧指令演算式に係るものであり、当該電圧指令演算式は、モータ端子からフィードバックして、回転直角座標に変換された電流を元に演算されるものである。このフィードバック電流が、モータの力率角が加味されて最小電流による制御が可能になるものになっていれば、請求項1に係る発明は、起動運転から、定格運転まで、しかも定格運転では、最小電流による高効率な制御が可能となる。
本発明にかかる永久磁石型同期モータの制御装置は、起動から通常制御に滑らかに移行できる。この為、広負荷範囲で起動が可能になるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる永久磁石型同期モータの制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明に係る制御システムの例を示すブロック線図である。IPMモータを駆動する場合、回転子位置(界磁方向)が分れば、その回転子位置の界磁方向をd軸、それと位相が90度進んだ方向をq軸とする回転直角座標を基準に制御を行えるが、回転子位置の検出若しくは推定を行わずに駆動しようとする場合、インバータの軸(δ、γ軸)を基準に駆動することが必要である。
この場合の一つの方法としてV/f制御がある。V/f制御では、モータ端子電圧(vδ、vγ)を回転数に概ね比例させて制御するものである。同図において、ωmは回転数指令、nはモータの極対数、ω1はインバータ出力周波数(一次周波数)、vδ*、vγ*は、それぞれδ軸、γ軸電圧指令、vu *、vv *、vw *はそれぞれu相、v相、w相の電圧指令、vu、vv、vwはそれぞれu相、v相、w相の出力電圧、iu、iv、iwは、それぞれu相、v相、w相の出力電流、iδ、iγはそれぞれδ軸、γ軸のモータ端子電流、およびθは、出力電圧位相である。
装置1は、速度指令演算手段2、電圧指令演算手段3、2相/3相変換手段4、インバータ5、3相/2相変換手段6、および力率角演算手段8で構成される。ここでは、簡略化のためにインバータ5にPWM回路も含むこととした。モータ7は、最終的にインバータ5から印加される電圧で駆動される。
次式(1)に電圧制御式を示す。γ軸は位相がδ軸から90度進んだ軸である。また、この電圧制御式では安定化のために、電源周波数の制御も行っている。
ここで、iδ*は、δ軸電流指令、Λdは誘起電圧係数、nは極対数、Kpdは、δ軸電流制御ゲイン、Kvqは、電圧調整ゲイン、およびKωは、周波数制御ゲインである。便宜上、Kpd、Kvq、Kωを第一のゲインと称する。
図2は、このV/f制御行ったときの各軸のベクトルを示すベクトル図である。上記制御式(1)では、iδ=0になるように制御しているのでvδ*も0になり力率が1となる力率1制御でもある。なお、この状態のベクトルは、定格回転時のもので、モータ回路抵抗Rは微少項であるとして省略したときのものである。
ところがV/f制御では、抵抗を無視した関係に基づき制御を行っているため、抵抗が無視できない低回転では、安定性が失われ駆動することが難しい。そこで、起動のような低回転時は、式(1)の制御に替え、次式(2−1)(2−2)の電圧指令制御を行うことにした。この制御では、回転子の位置や負荷の大きさにかかわらず、一定の電流を流し、モータの回転子についてはオープン制御で電流の周波数についてくるものとした。
ここで、Kpd、Kidは、それぞれδ軸の比例、積分制御ゲイン、Kpq、Kiqは、γ軸比例、積分制御ゲイン、iγ*は、γ軸電流指令である。上記式の中で、式(1−1)(1−2)に現れなかったKid、Kpq、Kiqを便宜上、第二のゲインと称する。なお、この制御では、回転数指令と等しい電源周波数にしている。
図3に、所定比率の電流を流した場合のd−q軸とδ−γ軸との関係を示すベクトル図を示す。上の式(2)のKpdやKpq使って、起動時にδ軸とγ軸の電流を1:1の比率で流した場合、無負荷時は、電流と回転子の磁力の向きは同じになるので、δ軸は回転子のd軸からは45[deg]進んだ状態になる。そして、負荷が掛かり遅れて行くと、δ軸とd軸の差は減って行き、回転子の磁力の向きが電流の向きより90度遅れた状態でモータが最大トルクを発生するので、45[deg]遅れた状態になる。このため、δ軸とd軸の差は±45[deg]以内に収まることになる。起動時の電流の絶対値(iδ*2+iγ*2)1/2は、起動時の最大負荷トルクが出力可能なように決める。
上記のように、起動制御とV/f制御の制御式は異なるため、切換えが必要となる。しかし、式(1)と式(2)を急に切換えると、電流波形や回転子位置・速度に乱れを生じるので好ましくない。そこで、この発明では、両方の式を重ね合わせ、制御ゲインを回転数によって変えることで2つの制御が滑らかに切換るようする。
上式(3−1)(3−2)は、式(1−1)(1−2)と式(2−1)(2−2)とを、重合わせた式を示している。この中でTcは、演算の便宜上設けた時定数である。図4は、起動制御用ゲインの切り替えを示す説明図である。図5は、V/f制御用ゲインの切り替えを示す説明図である。図6は、電流指令の切り替わりを示す説明図である。これらは、回転数指令に基づくインバータ周波数がωsになったときに、電圧演算式を(2)から(1)に移行させるときのゲインKpd、Kid、Kpq、Kiq、Kω、Kvqの変化を示したものである。
上記第二のゲインKid、Kpq、Kiqは、インバータ周波数がωcになったときに0になるように減じ、逆に第一のゲインKω、Kvqは、所定のゲインになるように値を増やす。これにより、δ軸の電流指令iδ*は、上記ゲインが所定の値に落ち着いた後であって、所定の周波数ωvになるまでに0になる。その後は、上記式(3−1)(3−2)は、(1−1)(1−2)と等しくなり、力率1制御でモータを制御する。なお、モータ回転数を下げて行く場合は、各種ゲインを上記の逆となるように移行させる。
ゲインを上記のように加減する制御すると、電流波形や回転子位置、速度に乱れを生じさせずに、滑らかに低速から高速回転にモータを駆動させることができる。このため、モータに接続される機械的負荷にショックを与えることもない。また、突発的な電流の増減もないから、制御回路、とくにインバータに負担をかけることもなくなる。なお、上記各種ゲインの変化は、必ずしも図3または4に示すように直線的に変化させる必要はなく、曲線となるようにしてもよい。
このように、本発明では、ゲインの増減によって、電圧指令を起動用と定格用(高速用)とを滑らかに切り替えることができる部分に特徴がある。したがって、起動用と定格用の電圧演算式は、具体的な上記式(1−1)や式(2−2)に限られない。また、電圧指令の演算そのものではなく、たとえば、モータ電流をフィードバックする際の3相/2相変換に特徴がある制御システムであっても、適用可能である。以下に、3相/2相変換に特徴がある制御システムの例を説明する。
図7は、本発明の実施例に係る制御方式を示すブロック線図である。基本的な構成は、図1と同じであり、同符号を付してある。θは出力電圧位相、およびφは力率角である。このシステム例は、力率角演算手段、および3相/2相変換手段6に特徴がある。上記式(1−1)(1−2)に示した電圧指令演算手段3では、インバータ5の出力電圧から演算されるu、v、w3相の各電流iu、iv、iwを3相/2相変換した後のδ軸電流iδ、インバータ出力周波数ω1、比例定数K、d軸の誘起電圧係数Λd、および比例ゲインKpdを用いてδ軸電圧指令vδ*およびγ軸電圧指令vγ*を求めた。
以下に、電圧指令演算手段3を上記式(1−1)(1−2)のようにしたときの制御について詳細に説明する。まず、理解を助けるため、力率角φ(i)が0の場合について説明する。φは力率角であるから、モータ7への印加電圧とその電流の位相差を0とする場合、cosφで表される力率は1となる。
上記式(1−1)(1−2)による電圧指令演算では、たとえば、モータ端子電圧よりγ軸電圧指令vγ*が小さければ、界磁を弱めるためにδ軸のインバータ出力電流iδは負になる。逆に、vγ*が大きければ、それに合わせて強め界磁となり、iδは正となる。具体的に式(1−1)の演算では、δ軸電圧指令はδ軸電流iδが0になるように負の比例制御を行っている。これで、iδの正負のふらつきがあれば、ゲインKδによって早急にiδのふらつきをなくすように電圧指令vδ*が決定される。
γ軸電圧指令vγ*は、誘起電圧に相当するΛdω1の電圧を補うような電圧値とすることに加え、δ軸電流iδを0にする演算をするために、ここではiδを積分する積分制御を行う。つまり、式(1−2)の演算では、δ軸電流iδが正負のどちらか一方の値で累積すれば、その分大きな値で元に戻るような電圧値が決定される。なお、ここでは積分制御を用いたが、制御応答性によっては、比例制御、比例+積分制御等としてもよい。
このようにすることで、iδは0になり、iδが0になればvδも0になる。結局、モータ7に流す電流とモータ印加電圧はγ軸成分のみとなり、位相は一致するので力率1となる。これだけでも、電圧と電流の積は最小となり、省電力な制御が可能である。
ところで、永久磁石型同期モータのトルクτは、一般に次式(4)で表される。
ここで、Λdは誘起電圧係数、id、iqは、それぞれd軸、q軸の電機子電流である。また、Ld、Lqはそれぞれd軸とq軸のインダクタンス、nは極対数である。なお、d軸はモータ回転子の界磁方向に設けられる軸で、q軸はd軸から位相が90度進んだ方向の軸である。
式(4)の第一項は、磁石による界磁方向と直角の方向に流れるq軸電流によって発生するトルク(マグネットトルク)を表している。また、同式の第二項は、リラクタンスがd軸方向とq軸方向で異なるときに発生するトルク(リラクタンストルク)を表している。Ld=Lqとなる表面磁石型モータ(SPM)では、上記第二項は無視できる。また、内部磁石型モータ(IPM)であってもLdとLqとの差がわずかであれば第二項は無視して考えることが多い。
IPMモータでは、リラクタンストルクも利用できるので、マグネットトルクとリラクタンストルクの双方をバランスよく利用することで、上記力率1制御の場合に必要となる電流をさらに減らした高効率制御が可能である。モータ電流(δ軸とγ軸を合成した絶対値)Iが誘起電圧に対して進み角θで流れているとd軸電流idおよびq軸電流iqは式(5−1)(5−2)のように表すことができる。
モータ電流Iに対してモータトルクτが最大となる条件は、式(5−1)(5−2)を式(4)に代入して得られるτ(式(6−1))のθについての微分が0になることである。これを式(6−2)とすると、以下のようになる。
上記式(6−2)のI・sinθ、I・cosθを式(5−1)(5−2)のid、iqで表すと次式(7)となる。
式(7)は、A=Λd/2(Ld−Lq)として、(id+A)2−iq2=A2という関係を表した式であり、idを縦軸、iqを横軸とすると図8に示すようなグラフとなる。
したがって、同図が最小電流となるときのid、iqの組み合わせを表しているが、idとiqの関係は、平方根を含んだ形になっているので、制御で利用するにはテーブル化する等の手法が必要となる。
そこで、発明者は、モータ電流Iとモータ印加電圧Vの位相差で制御できないか鋭意精査した。以下にその過程を示す。まず、φは、モータ印加電圧Vの位相とモータ電流Iの位相の差(力率)であるから、次式(8)で表される。
上述したように、最小電流のときのidとiqの関係は、(id+A)2−iq 2=A2
であり、これは双曲線なので、双曲線関数(sinh、cosh)により、次式(9−1)(9−2)のように表せる。
であり、これは双曲線なので、双曲線関数(sinh、cosh)により、次式(9−1)(9−2)のように表せる。
そして、αが十分小さく、0とみなせる場合は、それぞれid=Aα2、iq=Aαと
近似できる。また、モータに印加する電圧をd軸とq軸でとらえたvd、vqは、モータ回路の等価式から、次式(10−1)(10−2)のようにみなせる(通常動作回転数においては抵抗は無視できる。)。
近似できる。また、モータに印加する電圧をd軸とq軸でとらえたvd、vqは、モータ回路の等価式から、次式(10−1)(10−2)のようにみなせる(通常動作回転数においては抵抗は無視できる。)。
これらの式を用いると、式(8)の位相差φは、次式(11)のように近似できる。
ここで、電流Iは次式(12)で表せるので、結局、位相差φは、次式(13)のようになる。つまり、位相差φは、電流とほぼ比例関係になることがわかった。制御によりiδ=0になっており、Iはiγに比例しているので、位相差φはiγにも比例する。なお、上記のように近似せずにd軸電流とq軸電流をつかってプロットして得られる位相差φと電流Iの関係を示したのが図3である。このようにしても位相差φと電流Iは、ほぼ比例しており、比例関係を使用することの妥当性がわかる。
このように、発明者は、トルクを出すために必要となる最小電流の制御は、φ=0ではなく、力率角(位相差)を積極的に制御してやることによりシンプルな構成で実現できることを見い出した。そこで、本発明では、モータ端子の電流を3相/2相変換する際に用いられる回転軸をθではなく、図7に示すようにθ−φとする力率角加減手段を有するようにした。φは、電流Iの関数であるから、同図に示すように、まず、フィードバックされるγ軸電流を用いてIを求める。(iδは0に制御されている。)Iが求まれば、それに定数を乗じてφを求める。これによってφを3相/2相変換の回転軸θから差し引くようにする。もっとも、φの値が負の値であれば実質的にθ+φとなる。
そして、θ−φを回転軸として3相/2相変換された電流は、ゲインKω7が乗じられて周波数たる速度指令nω*に負帰還され、同期モータが安定して動作するように指令nω*が修正される。これは、負荷が重くなり、回転子の位置が遅れると電流が増え、逆に負荷が軽くなり、回転子の位置が進んだ場合は電流が減り、速度指令が修正されることで安定化することを意味する。(1−1)(1−2)式によりvδ=0、iδ=0となるように制御しているので、電流の3相/2相変換と電圧の2相/3相変換に使用する位相が異なれば、その差であるφが力率角となるように制御される。
上記電流Iと位相差φの関係は、比例関係であるので、適切な比例定数を選択して演算によりφを導くようにしてもよいし、電流値の大きい範囲での正確性を求めるのであれば、Iとφの関係をテーブル化してもよい。テーブル化してもほぼ比例しているためテーブルデータを細かくとる必要がない。このようにしても、iδとiγとの組み合わせである2次元テーブルを参照するのとは異なり、Iは実際のフィードバックで得られるので、φは一義的に決定でき、常に適切な位相差φを求めることができる。
以上説明したように、3相/2相変換の際の回転軸角度を変化させるような構成を用いても、低速域から、定格(高速域)へ電圧指令をゲインの増減により滑らかに切り替えが可能になる制御を適用可能であると共に、IPMモータのリラクタンストルクも考慮した最小電流で永久磁石型同期モータのトルクを制御することができる。また、複雑な演算を必要とせず、3相/2相変換の際の回転軸角度を変化させるだけで、最小電流によるトルク制御が可能になるので、構成がシンプルとなり、メンテナンス性も向上する。
さらに、本発明では、図10に示すように、力率1制御の場合に対し、V/f制御が適正となるトルク範囲が拡張され、低速回転から高速回転まで単純なV/f制御を基調としつつ、電流を最小にして動作させることが可能となるから、結局起動から定格まで、ほぼ全回転数域で、永久磁石型同期モータを滑らかで、かつ高効率に制御可能となる。
このような制御が可能になると、工業製品の小型化、省電力化に寄与することができる。たとえば、エアコンの圧縮機用のモータは、小型化の要請と共にエアコンが大量に電力を消費する機器であることから、ことの他省電力化の要請が強い。永久磁石型同期モータが採用されてきているのも、その現れの一つであるが、本発明により、最小電流が制御がコンパクトな構成で可能となれば、上記要請に沿うものとなる。
以上のように、本発明にかかる永久磁石型同期モータの制御装置は、永久磁石型同期モータの低速回転から高速回転までの全範囲についての駆動制御に有用であり、コンパクトな構成で、かつ、効率が良いので、特に、小型で高効率な制御が求められる同期モータに適している。
1 装置
2 速度指令演算手段
3 電圧指令演算手段
4 相変換手段
5 インバータ
6 相変換手段
7 モータ
8 力率角演算手段
I モータ電流
id d軸電流
iq q軸電流
V モータ印加電圧
vγ γ軸電圧指令
vδ δ軸電圧指令
Λd 誘起電圧係数
τ モータトルク
φ 力率角
2 速度指令演算手段
3 電圧指令演算手段
4 相変換手段
5 インバータ
6 相変換手段
7 モータ
8 力率角演算手段
I モータ電流
id d軸電流
iq q軸電流
V モータ印加電圧
vγ γ軸電圧指令
vδ δ軸電圧指令
Λd 誘起電圧係数
τ モータトルク
φ 力率角
Claims (2)
- モータの周波数に比例した電圧指令を回転直角座標系の2軸で設定する手段と、
当該2軸の電圧指令を3相へ座標変換する手段と、当該3相の電圧指令をインバータによる電力変換を経てモータに印加する手段と、
当該モータの回転子位置を検出せずに、当該モータ端子電流をフィードバックする手段とを有する永久磁石型同期モータの制御装置において、
第一のゲインを含む定格用の前記電圧指令と、第二のゲインを含む起動用の前記電圧指令とを重ね合わせ、インバータ周波数に応じて、前記第一のゲインと、第二のゲインとを増減させて、電圧指令を決定することを特徴とする永久磁石型同期モータの制御装置。 - 前記定格用の前記電圧指令は、前記フィードバック電流から力率角を決定する力率角決定手段と、
3相で得られる前記モータ端子電流を回転直交座標に変換する際に用いる回転角に上記力率角を加減する力率角加減手段と、
によって修正された前記フィードバック電流を用いて、電圧指令を決定することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石型同期モータの制御装置。
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JP2009124801A (ja) * | 2007-11-12 | 2009-06-04 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | ブラシレスdcモータの駆動方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20080304 |