JP2006186027A - 波面収差測定方法、波面収差測定装置、投影露光装置、及び投影光学系の製造方法 - Google Patents

波面収差測定方法、波面収差測定装置、投影露光装置、及び投影光学系の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】波面収差測定系に配置されたマスクにおける漏れ光束の影響を排除する。
【解決手段】被検光学系に対し所定の波面形状の測定光束を投光する投光手段と、測定光束の何れかの光路に挿入され、その測定光束を互いに波面のずれた複数の回折光束に分割する回折格子と、被検光学系による複数の回折光束の集光面近傍に挿入され、それら複数の回折光束のうち互いに隣接する1対の回折光束を個別かつ選択的に透過させる1対の開口を有したマスクと、1対の開口を透過した1対の回折光束同士が成す干渉縞の輝度分布を検出する検出手段とを備えた波面収差測定系において、1対の開口の一方のみを閉状態に設定すると共に、そのときに検出手段が検出した輝度分布を補正データとして取り込み(S21,22,・・・)、1対の開口の双方を開状態に設定したときに検出手段が検出した輝度分布である測定データから補正データを減算する(S31,32,・・・)。
【選択図】 図3

Description

本発明は、投影光学系などの被検光学系の波面収差を測定する波面収差測定方法、及び波面収差測定装置に関する。
また、本発明は、投影光学系の波面収差を自己測定することの可能な投影露光装置に関する。
また、本発明は、投影露光装置に搭載される投影光学系の製造方法に関する。
近年、半導体回路素子のパターンの微細化が進み、その製造装置である投影露光装置の露光波長には従来以上に短いものが要求されるようになった。
そこで開発されたのが、露光波長が13nmに抑えられたEUVL(極端紫外線露光技術,Extreme Ultra Violet Lithography)である。
このEUVL用の投影光学系は、高い性能が必要とされるので、その波面収差の許容範囲は0.5nmRMS程度とされる。それに伴い、その波面収差の測定への要求精度も、0.1nmRMS以下と厳しくなる。
但し、使用波長の短い投影光学系の測定には、短波長光を吸収し易い屈折レンズを用いることができないので、反射面や回折面を組み合わせた波面収差測定系が適用される。このような測定系の1つに、特許文献1や特許文献2などに開示された波面収差測定系がある。
この波面収差測定系には、被検光学系に投光された測定光束を複数の回折光束に分割する回折格子と、複数の回折光束のうち特定の1対の回折光束のみを選択的に透過する1対の開口を有したマスクと、それら1対の開口を透過した1対の回折光束同士が成す干渉縞の輝度分布を検出する撮像素子とが備えられる。この干渉縞の輝度分布から、被検光学系の波面収差の情報が得られる。マスクは、この撮像素子に対し不要な回折光束が混入するのを防ぐために備えられる。
特開2003−86501号公報 特開2003−254725号公報
しかしながら、実際には、マスクによって防ぎきれなかった光も存在していると考えられる。例えば、1次回折光束のみが通過すべき開口に、光量の高い0次回折光束の1部が漏れ込んでいる可能性がある(本明細書では、このようにしてマスクを透過した不要な光を「漏れ光束」という。)。このような漏れ光束が発生すると、必要な干渉縞の輝度分布を正確に検出できない。
本発明の目的は、不要な回折光束をカットするためのマスクにおける漏れ光束の影響を受けずに、必要な干渉縞の情報を取得することのできる波面収差測定方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、その波面収差測定方法に好適な波面収差測定装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、投影光学系の波面収差を高精度に自己測定することのできる投影露光装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、高性能な投影光学系を製造することのできる投影光学系の製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の波面収差測定方法は、被検光学系に対し所定の波面形状の測定光束を投光する投光手段と、前記測定光束の何れかの光路に挿入され、その測定光束を互いに波面のずれた複数の回折光束に分割する回折格子と、前記被検光学系による前記複数の回折光束の集光面近傍に挿入され、それら複数の回折光束のうち互いに隣接する1対の回折光束を個別かつ選択的に透過させる1対の開口を有したマスクと、前記1対の開口を透過した前記1対の回折光束同士が成す干渉縞の輝度分布を検出する検出手段とを備えた波面収差測定系による波面収差測定方法であって、前記1対の開口の一方のみを閉状態に設定すると共に、そのときに前記検出手段が検出した輝度分布を補正データとして取り込む補正データ取得手順と、前記1対の開口の双方を開状態に設定すると共に、そのときに前記検出手段が検出した輝度分布を測定データとして取り込む測定データ取得手順と、前記測定データから前記補正データを減算することで、前記マスクを透過した漏れ光束が原因で前記測定データに重畳された誤差を補正する補正手順とを含むことを特徴とする。
請求項2に記載の波面収差測定方法は、請求項1に記載の波面収差測定方法において、前記1対の開口は、±1次回折光束の一方を透過させるべき開口と、0次回折光束を透過させるべき開口とであり、前記閉状態に設定されるのは、前記0次回折光束を透過させるべき開口であることを特徴とする。
請求項3に記載の請求項2に記載の波面収差測定方法において、前記±1次回折光束の一方を透過させるべき前記開口は、前記±1次回折光束の一方を波面不変のまま透過させる透過窓であり、前記0次回折光束を透過させるべき前記開口は、前記0次回折光束を波面不変のまま透過させる透過窓、又は前記0次回折光束の波面を少なくとも1方向に亘り理想球面に変換する微小開口であることを特徴とする。
請求項4に記載の波面収差測定方法は、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の波面収差測定方法において、少なくとも、前記補正データ取得手順の実行タイミングと前記測定データ取得手順の実行タイミングとの間における前記測定光束の光量変動を監視する監視手順と、前記光量変動が原因で前記補正データと前記測定データとの間に生じた差異を補正する手順とをさらに含むことを特徴とする。
請求項5に記載の波面収差測定装置は、被検光学系に対し所定の波面形状の測定光束を投光する投光手段と、前記測定光束の何れかの光路に挿入され、その測定光束を互いに波面のずれた複数の回折光束に分割する回折格子と、前記被検光学系による前記複数の回折光束の集光面近傍に挿入され、それら複数の回折光束のうち互いに隣接する1対の回折光束を個別かつ選択的に透過させる1対の開口を有したマスクと、前記1対の開口を透過した前記1対の回折光束同士が成す干渉縞の輝度分布を検出する検出手段とを備えた波面収差測定装置であって、前記マスクの前記1対の開口の一方のみを閉状態に設定することが可能であることを特徴とする。
請求項6に記載の波面収差測定装置は、請求項5に記載の波面収差測定装置において、前記マスクは、前記1対の開口を並べてなるマスクパターンと、前記1対の開口の一方のみからなるマスクパターンとの2種類のマスクパターンを有し、前記複数の回折光束の光路に挿入されるマスクパターンが前記2種類のマスクパターンの間で切り替えられるように前記マスクを移動させる移動機構が備えられることを特徴とする。
請求項7に記載の波面収差測定装置は、請求項5に記載の波面収差測定装置において、前記マスクは、前記1対の開口を並べてなるマスクパターンを有し、前記1対の開口の一方を開閉するシャッタ機構が備えられることを特徴とする。
請求項8に記載の波面収差測定装置は、請求項5〜請求項7の何れか一項に記載の波面収差測定装置において、前記1対の開口は、±1次回折光束の一方を透過させるべき開口と、0次回折光束を透過させるべき開口とであり、前記閉状態に設定されるのは、前記0次回折光束を透過させるべき開口であることを特徴とする。
請求項9に記載の波面収差測定装置は、請求項8に記載の波面収差測定装置において、前記±1次回折光束の一方を透過させるべき前記開口は、前記±1次回折光束の一方を波面不変のまま透過させる透過窓であり、前記0次回折光束を透過させるべき前記開口は、前記0次回折光束を波面不変のまま透過させる透過窓、又は前記0次回折光束の波面を少なくとも1方向に亘り理想球面に変換する微小開口であることを特徴とする。
請求項10に記載の波面収差測定装置は、請求項5〜請求項9の何れか一項に記載の波面収差測定装置において、前記測定光束の光量変動を監視する監視手段をさらに備えたことを特徴とする。
請求項11に記載の投影露光装置は、レチクルのパターンをウエハに投影するための投影光学系と、前記レチクルの配置面を照明光束で照明する照明光学系と、前記レチクルの配置面の近傍に挿入可能であり、挿入時には前記照明光束を所定の波面形状の光束に変換する変換手段と、前記照明光束の何れかの光路に挿入可能であり、かつ挿入時にはその照明光束を互いに波面のずれた複数の回折光束に分割する回折格子と、前記ウエハの配置面の近傍に挿入可能であり、前記複数の回折光束のうち互いに隣接する1対の回折光束を個別かつ選択的に透過させる1対の開口を有したマスクと、前記1対の開口を透過した前記1対の回折光束同士が成す干渉縞の輝度分布を検出する検出手段とを備えた投影露光装置であって、前記マスクの前記1対の開口の一方のみを閉状態に設定することが可能であることを特徴とする。
請求項12に記載の投影露光装置は、請求項11に記載の投影露光装置において、前記マスクは、前記1対の開口を並べてなるマスクパターンと、前記1対の開口の一方のみからなるマスクパターンとの2種類のマスクパターンを有し、前記複数の回折光束の光路に挿入されるマスクパターンが前記2種類のマスクパターンの間で切り替えられるように前記マスクを移動させる移動機構が備えられることを特徴とする。
請求項13に記載の投影露光装置は、請求項11に記載の投影露光装置において、前記マスクは、前記1対の開口を並べてなるマスクパターンを有し、前記1対の開口の一方を開閉するシャッタ機構が備えられることを特徴とする。
請求項14に記載の投影露光装置は、請求項11〜請求項13の何れか一項に記載の投影露光装置において、前記1対の開口は、±1次回折光束の一方を透過させるべき開口と、0次回折光束を透過させるべき開口とであり、前記閉状態に設定されるのは、前記0次回折光束を透過させるべき開口であることを特徴とする。
請求項15に記載の投影露光装置は、請求項14に記載の投影露光装置において、前記±1次回折光束の一方を透過させるべき前記開口は、前記±1次回折光束の一方を波面不変のまま透過させる透過窓であり、前記0次回折光束を透過させるべき前記開口は、前記0次回折光束を波面不変のまま透過させる透過窓、又は前記0次回折光束の波面を少なくとも1方向に亘り理想球面に変換する微小開口であることを特徴とする。
請求項16に記載の投影露光装置は、請求項11〜請求項15の何れか一項に記載の投影露光装置において、前記測定光束の光量変動を監視する監視手段をさらに備えたことを特徴とする。
請求項17に記載の投影光学系の製造方法は、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の波面収差測定方法により投影光学系の波面収差を測定する手順と、前記測定された波面収差に応じて前記投影光学系を調整する手順とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、不要な回折光束をカットするためのマスクにおける漏れ光束の影響を受けずに、必要な干渉縞の情報を取得することのできる波面収差測定方法が実現する。
また、本発明によれば、その波面収差測定方法に好適な波面収差測定装置が実現する。
また、本発明によれば、投影光学系の波面収差を高精度に自己測定することのできる投影露光装置が実現する。
また、本発明のによれば、高性能な投影光学系を製造することのできる投影光学系の製造方法が実現する。
[第1実施形態]
図1、図2、図3、図4、図5、図6に基づき本発明の第1実施形態を説明する。
本実施形態は、波面収差測定方法の実施形態である。本測定方法は、被検光学系の波面収差の情報を持った光束を、理想球面波と干渉させる手法(PDI測定という。PDIとは、Point Diffraction Interferometryの略である。)を基礎としている。
先ず、本測定方法に用いられる波面収差測定装置を説明する。
図1は、本測定装置の構成図である。
被検光学系PLは、EUVL用の投影光学系である。これに伴い、照明光学系11の光源には、EUV(極端紫外光)を射出する光源、例えば、シンクロトロン放射光源、レーザプラズマ光源、放電プラズマ光源などが用いられる。
測定装置には、この照明光学系11から順に、ピンホールミラー12、被検光学系PL、透過型の回折格子13、マスク15、撮像素子17が配置される。ピンホールミラー12の配置箇所は被検光学系PLの測定対象物点であり、マスク15の配置面は被検光学系PLの像面の近傍である。
このうち、回折格子13及びマスク15は、格子ステージ14及びマスクステージ16によってそれぞれ支持される。格子ステージ14及びマスクステージ16は、駆動回路14c,16cによりそれぞれ駆動される。駆動回路14c,16cは、コンピュータ30に接続された制御部19によって制御される。照明光学系11、撮像素子17などもその制御部19によって制御される。
次に、本測定装置の基本動作を説明する。
照明光学系11はコヒーレントなEUV光束を射出する。この光束は、ピンホールミラー12にて制限されて発散光束となる。この発散光束の波面は、理想球面となっている。この発散光束が、測定光束として被検光学系PLに入射する。
この測定光束は、被検光学系PL内の各光学面を経由し、被検光学系PLの波面収差の情報を重畳させた状態で、被検光学系PLの像面に集光する集光光束となって回折格子13に入射する。
回折格子13は、図1中左下の円枠内に示すとおり、測定光束を0次,1次,・・・の各次数の回折光束に分割する(0次回折光束は、回折せずに回折格子13を透過した光束のことである。)。各回折光束は、像面上の互いに異なる点に集光する。
なお、図1では、回折格子13の刻線方向が、被検光学系PLの像面内の所定のY方向に一致しており、回折格子13による波面分割方向(集光点の並び方向)がX方向となったときの様子を示している。因みに、この回折格子13に代えて、刻線方向がX方向に一致した回折格子を用いれば、波面分割方向がY方向になる。
このような回折光束のうち特定の1対の回折光束のみが、マスク15によって選択的に透過され、他の回折光束はマスク15によってカットされる。マスク15を通過した1対の回折光束は、撮像素子17の撮像面に干渉縞を形成する。撮像素子17は、その干渉縞の輝度分布の画像データを取得し、制御部19に送出する。制御部19は、その画像データをコンピュータ30に送出する。
コンピュータ30は、予めインストールされたプログラムに従って、その画像データを干渉縞の位相分布のデータ(位相データ)θに変換したり、その位相データθから被検光学系PLの波面収差の情報を抽出するなどの各種の演算を行う。この演算には、後述する測定方法において必要となる各演算も含まれる。また、コンピュータ30は、抽出した波面収差の情報を、画像情報や文字情報として不図示のディスプレイに表示することもできる。
なお、本測定装置においては、刻線方向の直交する2つの回折格子13を共通の格子ステージ14で移動可能に支持し、その格子ステージ14の移動により、測定光束に挿入される回折格子を、それら2つの回折格子の間で変更すれば、波面分割方向をX方向とY方向との間で変更することができる(これは、1つの回折格子13の配置方向を90°回転させることでも実現できるが、ここでは2つの回折格子を使用することとする。)
また、本測定装置には、波面収差の測定を高精度化するための公知の位相シフト干渉法が適用される。干渉縞の位相シフト(すなわち、1対の回折光束の位相差のシフト)を行うために、本測定装置は、回折格子13の位置を、波面分割方向へ微小量ずつ変化させることが可能である。
また、波面収差の測定対象物点を変更するために、本測定装置では、ピンホールミラー12と被検光学系PLとの相対位置を変更することも可能である。
以上の各動作は、必要な要素を制御部19が必要なだけ制御することによって実現する。制御部19には、コンピュータ30経由でオペレータから指示が与えられる。
また、本測定装置にはピンホールミラー12が用いられたが、透過型のピンホールが用いられてもよい。また、本測定装置では、透過型の回折格子13が用いられたが、反射型の回折格子が用いられてもよい。何れにせよ、本測定装置には、EUV光を光量ロス少なく導光することのできる光学部材が使用される。
次に、マスク15を説明する。
マスク15には、PDI測定のために、図2(a)に示すように、マスクパターン15−1X,15−1Yが形成される。また、マスク15には、後述する補正データを取得するために、マスクパターン15−0X,15−0Yも形成されている。また、マスクス15には、アライメントマーク15Mも一緒に形成されている。
このうち、マスクパターン15−1X,15−1Yのそれぞれは、ピンホールP及び透過窓Hからなる開口対を有しており、マスクパターン15−0X、15−0Yは、透過窓Hを1つずつ有している。ピンホールPは、入射した回折光束を回折して理想球面波を生成するものであり、透過窓Hは、入射した回折光束を波面不変のまま透過するものである。
マスクパターン15−0X,15−1Xは、波面分割方向がX方向であるときに用いられ、マスクパターン15−0Y,15−1Yは、波面分割方向がY方向であるときに用いられる。
波面分割方向がX方向であるときにマスクパターン15−1Xが測定光束の光路に挿入(セット)されると、図2(b)に示すように、±1次回折光束の一方(以下、+1次回折光束とする。)及び0次回折光束のみを選択的に透過させることができる。
波面分割方向がX方向であるときにマスクパターン15−0Xが測定光束の光路にセットされると、図2(c)に示すように、+1次回折光束のみを選択的に透過させることができる。
同様に、波面分割方向がY方向であるときにマスクパターン15−1Yが測定光束の光路にセットされると、+1次回折光束及び0次回折光束のみを選択的に透過させることができる。
また、波面分割方向がY方向であるときにマスクパターン15−0Yが測定光束の光路にセットされると、+1次回折光束のみを選択的に透過させることができる。
これらのマスクパターン15−0X,15−1X,15−0Y,15−1Yのうち特定の1つを測定光束の光路に選択的にセットするため、本測定装置の制御部19には、予め各マスクパターン15−0X,15−1X,15−0Y,15−1Yそれぞれのアライメントマーク15Mを基準とした位置座標の情報が記憶されている。
特定のマスクパターンをセットするのに先立ち、制御部19は、駆動回路16cに指示を出してマスクステージ16を像面と平行な方向に移動させつつ撮像素子17を駆動して、測定光束とアライメントマーク15Mとが所定の位置関係となる状態を撮像素子17の出力から検知し、その状態におけるマスクステージ16の座標(基準座標)を記憶する。
そして、その基準座標と予め記憶した位置座標の情報とに基づき、制御部19は、特定のマスクパターンをセットするのに必要なマスクステージ16の位置座標を求め、その位置座標を示す信号を駆動回路16cに与える。駆動回路16cは、マスクステージ16をその位置座標に配置するのに必要な距離だけマスクステージ16を移動させる。
このような制御により、本測定装置では、測定光束の光路にセットされるマスクパターンを、マスクパターン15−0X,15−1X,15−0Y,15−1Yの間で自在に変更することができる。
特に、測定光束の光路にセットされるマスクパターンを、マスクパターン15−1Xとマスクパターン15−0Xとの間で変更すると、他の条件を保ったままピンホールPを開閉させたのと同じ効果が得られる。同様に、セットされるマスクパターンを、マスクパターン15−1Yとマスクパターン15−0Yとの間で変更すると、他の条件を保ったままピンホールPを開閉させたのと同じ効果が得られる。
次に、本測定方法の手順を説明する。波面分割方向をX方向とした波面収差測定と、波面分割方向をY方向とした波面収差測定とでは、測定光束の光路にセットされるマスクパターンの種類が異なるだけなので、ここでは、波面分割方向をX方向にした波面収差測定のみ説明する。
図3は、本測定方法の手順を示すフローチャートである。
ステップS11では、マスクパターン15−1XをセットしたPDI測定により画像データを取得する。この画像データを測定データT1とおく。
ステップS21では、回折格子13の位置を変化させずに(つまり0次回折光束と+1次回折光束との位相差を保ったまま)、マスクパターン15−1Xをマスクパターン15−0Xに変更して画像データを取得する。この画像データを補正データTr1とおく。
ステップS12では、回折格子13を移動させて0次回折光束と+1次回折光束との位相差をπ/2だけシフトさせると共に、マスクパターン15−0Xをマスクパターン15−1Xに変更してPDI測定により画像データを取得する。この画像データを測定データT2とおく。
ステップS22では、回折格子13の位置を変化させずに(つまり0次回折光束と+1次回折光束との位相差を保ったまま)、マスクパターン15−1Xをマスクパターン15−0Xに変更して画像データを取得する。この画像データを補正データTr2とおく。
さらに、ステップS12,S22と同様に、ステップS13,S23,S14,S24,S15,S25を実行して、測定データT3,補正データTr3,測定データT4,補正データTr4,測定データT5,補正データTr5を取得する。
ステップS31では、測定データT1から補正データデータTr1を減算することによって測定データT1を補正する。その補正後のデータをデータI1とおく。
同様に、ステップS32,S33,S34,S35でも、測定データTi(i=2,3,4,5)から補正データTri(i=2,3,4,5)を個別に減算することによって測定データTi(i=2,3,4,5)をそれぞれ補正する。それら補正後の測定データを、データI2,I3,I4,I5とおく。
ステップS36では、データI1,I2,I3,I4,I5を所定の式に代入して位相データθを取得する。因みに、これらのデータI1,I2,I3,I4,I5は、0次回折光束と+1次回折光束との位相差をπ/2ずつシフトさせながら順に得られた5つのデータなので、所定の式は、式(1)で表される公知の5バケット法の式である。
θ=tan-1[(I4−I2)/(I1+I5−2I3)] ・・・(1)
この位相データθを、本測定方法では被検光学系PLの波面収差の情報とみなす。
次に、本測定方法の効果を説明する。
図4(a)は、ステップS11による測定データT1(PDI測定による)の取得時におけるマスクパターン15−1Xの近傍の様子を概念的に示したものである。マスク15の入射側に示した山型の点線は、0次回折光束の集光点の広がり(強度分布)を表している。
図4(a)に示すように、測定データT1の取得時には、+1次回折光束に対する開口は透過窓Hであり、0次回折光束に対する開口はピンホールPであった。
このときにマスクパターン15−1Xを透過して干渉縞に寄与したのは、以下の4光束とみなせる。
・Ae0=ae・exp[−ike0]:0次回折光束からなる理想球面波である。「ae」はその振幅であり、「e0」はその波面(位相)であり、「k」は測定光束の波数である。
・A1=a1・exp[−ik(W1+G1)]:被検光学系PLの波面収差の情報を含んだ+1次回折光束である。「a1」はその振幅であり、「W1+G1」はその波面(位相)である。「W1」は被検光学系PLの波面収差成分、「G1」は回折格子13の固有誤差成分である。但し、本測定では、回折格子13の固有誤差を無視し、G1=0とする。
・Ag0=ag・exp[−ikg0]:0次回折光束からなる透過窓Hへの漏れ光束である。「ag」はその振幅であり、「g0」はその波面(位相)である。
・Ad0=ad・exp[−ikd0]:マスクパターン15−1Xから回折することなく浸み出した0次回折光束からなる漏れ光束である。「ad」はその振幅であり、「d0」はその波面(位相)である。
なお、マスクパターン15−1Xでは+1次回折光束からなる漏れ光束も発生しているが、0次回折光束と比較すると+1次回折光束は光量が少ないので、無視した。
したがって、測定データT1は、以上の4光束の干渉強度で表され、次式(2)のとおりになる。
1=(A1+Ad0+Ag0+Ae0)(A1 *+Ad0 *+Ag0 *+Ae0 *
=a1 2+ad 2+ag 2+ae 2+2a1gcos(kW1−kg0
+2a1dcos(kW1−kd0
+2adgcos(kd0−kg0
+2a1ecos(kW1−ke0
+2aegcos(ke0−kg0
+2aedcos(ke0−kd0) ・・・(2)
図4(b)は、ステップS21の補正データTr1の取得時におけるマスクパターン15−0Xの近傍の様子を概念的に示したものである。
図4(b)に示すように、補正データTr1の取得時には、+1次回折光束に対する開口は透過窓Hであり、0次回折光束に対する開口は閉状態であった。
このときにマスクパターン15−0Xを透過して干渉縞に寄与したのは、以下の3光束とみなせる。
・A1=a1・exp[−ikW1]:被検光学系PLの波面収差の情報を含んだ+1次回折光束である。
・Ag0=ag・exp[−ikg0]:0次回折光束からなる透過窓Hへ漏れ光束である。
・Ad0=ad・exp[−ikd0]:マスクパターン15−0Xから回折することなく浸み出した0次回折光束からなる漏れ光束である。
なお、マスクパターン15−0Xでは+1次回折光束からなる漏れ光束も発生しているが、0次回折光束と比較すると+1次回折光束は光量が少ないので、無視した。
したがって、補正データTr1は、以上3光束の干渉強度で表され、次式(3)のとおりになる。
Tr1=(A1+Ad0+Ag0)(A1 *+Ad0 *+Ag0 *
=a1 2+ad 2+ag 2+2a1gcos(kW1−kg0
+2a1dcos(kW1−kd0
+2adgcos(kd0−kg0) ・・・(3)
そして、ステップS31で測定データT1から補正データTr1を減算して得られた補正後のデータI1は、式(2),(3)より、式(4)のとおり表される。
1=ae 2+2a1ecos(kW1−ke0
+2aegcos(ke0−kg0
+2aedcos(ke0−kd0) ・・・(4)
ここで、式(4)の右辺の第3項及び第4項は、漏れ光束の波面g0と理想球面e0との位相差、漏れ光束の波面d0と理想球面e0との位相差にそれぞれ関係するが、その位相差は、0次回折光束の波面同士の位相差なので、位相シフトによって何ら変化しない。
したがって、位相シフトにより取得した5つのデータI1,I2,I3,I4,I5の間では、第3項及び第4項は共通成分となる。
よって、ステップS36においてデータI1,I2,I3,I4,I5を式(1)に代入すると、第3項及び第4項は消去される。
その結果、位相データθは、第3項及び第4項の影響を受けることなく、第2項の位相(W1−e0)のみを表すことになる。
したがって、本測定方法によれば、漏れ光束の影響を何ら受けることなく、理想球面e0を基準とした被検光学系PLの波面収差成分W1を求めることができる。
なお、本測定方法は、波面分割方向をX方向とした波面収差測定方法であるが、マスクパターン15−1Y,15−0Yを使用すれば、波面分割方向をY方向とした波面収差測定をすることもできる。
また、図2のマスク15には、波面分割方向をX方向とした測定で用いられるマスクパターン15−0X,15−1Xと、波面分割方向をY方向とした測定で用いられるマスクパターン15−0Y,15−1Yとの双方が形成されているが、一方の測定しか行わない場合には、一方のマスクパターンを省略してもよいことは言うまでもない。なお、一方のマスクパターンを省略したとしても、マスク15の配置方向を90°回転すれば、双方の測定を行うことが可能である。
因みに、本測定装置においてマスク15を90°回転させる場合には、その方式として円形ターレット方式、スライド型ターレット方式、軸回転方式などの各方式の何れかを採用し、マスク15の回転を容易にすることもできる。
また、本測定方法には、1ステップにつきπ/2だけ位相シフトしながら測定データTi及び補正データTriを5つずつ取得し、かつ位相データθの取得に式(1)を使用する5バケット法が適用されたが、取得されるデータの数、及び使用される式の異なる公知の7バケット法や9バケット法などを同様に適用することもできる。
また、本測定方法では、単一の測定対象点に関する波面収差を測定したが、複数の各測定対象点に関する波面収差をそれぞれ同様に測定してもよい。
また、本測定方法において、位相データθの取得や補正のための演算は、全ての画像データの取得が終了してからまとめて行う方が、測定効率が高まるので望ましい。
また、本測定方法では、位相シフト量を保った状態でマスクパターンを変更して測定データTiと補正データTriとを続けて取得したが、マスクパターン15−1Xをセットした状態で位相シフトを行いつつ測定データT1,T2,T3,T4,T5を続けて取得し、マスクパターン15−0Xをセットし状態で位相シフトを行いつつ補正データTr1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5を続けて取得してもよい。
但し、その場合、補正の精度を確保するため、マスクパターン15−1Xをセットした状態での位相シフトのパターンと、マスクパターン15−0Xをセットした状態での位相シフトのパターンとをなるべく正確に一致させる必要がある。
また、本測定装置においては、回折格子13の挿入位置が、被検光学系PLの像側とされたが、被検光学系PLの物体側であってもよい(図1中※で示す位置)。
また、本測定装置においては、マスクパターン15−1XのピンホールPを開閉するためにマスクパターン15−0Xを用いたが、そのマスクパターン15−0Xの代わりに、図5に示すように、ピンホールPを開閉するシャッタ機構25と、それを駆動する駆動回路25cとを用いてもよい。駆動回路25cは、他の駆動回路と同様に、制御部19によって制御される。シャッタ機構25の挿入箇所は、例えば、マスク15の入射側であり、マスクパターン15−1Xの透過窓Hを開放したままピンホールPのみを開閉する。
同様に、マスクパターン15−1YのピンホールPを開閉するために、シャッタ機構及びそれを駆動する駆動回路を用いてもよい。また、その場合、マスクパターン15−1XのピンホールPを開閉するシャッタ機構と、マスクパターン15−1YのピンホールPを開閉するシャッタ機構とを共通化してもよい。
また、本測定方法では、補正データTriの取得時の装置環境と、測定データTiの取得時の装置環境とはなるべく同じに保たれた方が、上述した補正の精度が高まるので望ましい。さらには、測定データT1,T2,T3,T4,T5,補正データTr1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5の取得時の装置環境もなるべく同じに保たれた方が、上述した位相データθの算出精度が高まるので望ましい。
特に、測定光束の光量は、光源の温度変化の影響を受けやすいので、例えば、次のような工夫を測定装置に施すとよい。
すなわち、図1中に※※で示す位置(ピンホールミラー12へ入射する光束の光路の周辺部)に、フォトダイオードなどからなる光量検出器を設け、測定光束の光量の変動をモニタする。その変動に応じて、撮像素子17の出力(画像データ)を補正する。このような補正によれば、測定データT1,T2,T3,T4,T5,補正データTr1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5の取得時に測定光束の光量が変動したとしても、位相データθを高精度に取得することができる。また、その光量の変動をより高精度に検出するために、図6に示すように、光束Lの周辺の複数箇所(例えば4箇所)のそれぞれに光量検出器PDを設置してもよい。なお、図6は、光束Lを光軸方向から見た断面図であり、実線で示すのは、ピンホールミラー12によって制限され後に測定光束となって被検光学系PLに入射する部分であり、点線で示すのは、ピンホールミラー12によって制限される前の光束である。
[第2実施形態]
図7、図8、図9に基づき本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態は、波面収差測定方法の実施形態である。ここでは、第1実施形態との相違点のみ説明する。本測定方法では、回折格子13の固有誤差の影響を排除することを試みる。
そのために、本測定方法で用いられるマスク15には、図7(a)に示すように、後述する補正用の位相データ取得用のマスクパターン15−2X,15−2Yが加えて形成される。マスクパターン15−2X,15−2Yのそれぞれは、透過窓Hを1対ずつ有している。
マスクパターン15−2Xは、波面分割方向がX方向であるときに用いられ、マスクパターン15−2Yは、波面分割方向がY方向であるときに用いられる。
波面分割方向がX方向であるときにマスクパターン15−2Xが測定光束の光路にセットされると、図7(b)に示すように、+1次回折光束及び0次回折光束のみを選択的に透過させることができる。
同様に、波面分割方向がY方向であるときにマスクパターン15−2Yが測定光束の光路にセットされると、+1次回折光束及び0次回折光束のみを選択的に透過させることができる。
次に、本測定方法の手順を説明する。波面分割方向をX方向とした波面収差測定と、波面分割方向をY方向とした波面収差測定とでは、測定光束の光路にセットされるマスクパターンの種類が異なるだけなので、ここでは、波面分割方向をX方向にした波面収差測定のみ説明する。
図8は、本測定方法の手順を示すフローチャートである。
図8のステップS1では、図3に示した第1実施形態と同様にして位相データθを取得する。すなわち、図8のステップS1には、以下の各ステップが含まれる。
・マスクパターン15−1XをセットしたPDI測定によりπ/2ずつ位相のずれた測定データT1,T2,T3,T4,T5を取得するステップ(図3ステップS11,・・・,S15参照)。
・マスクパターン15−0Xによりπ/2ずつ位相のずれた補正データTr1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5を取得するステップ(図3ステップS21,・・・,S25参照)。
・測定データT1,T2,T3,T4,T5から補正データTr1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5を個別に減算してデータI1,I2,I3,I4,I5を取得するステップ(図3ステップS31,・・・,S35参照)。
・データI1,I2,I3,I4,I5を式(1)に代入して位相データθを取得するステップ(図3ステップS36参照)。
図8のステップS2では、マスクパターン15−1Xに代えてマスクパターン15−2Xを用いて、ステップS1と同様の処理をする。すなわち、図8のステップS2には、以下の各ステップが含まれる。
・マスクパターン15−2Xによりπ/2ずつ位相のずれた測定データT1’,T2’,T3’,T4’,T5’を取得するステップ(図8ステップS11’,・・・,S15’)。
・マスクパターン15−0Xによりπ/2ずつ位相のずれた補正データTr1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5を取得するステップ(図8ステップS21,・・・,S25)。なお、これらの補正データTr1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5は、ステップS1にて取得したものと同じなので、新たに取得せずに同じデータを用いてもよい。
・測定データT1’,T2’,T3’,T4’,T5’から補正データTr1,Tr2,Tr3,Tr4,Tr5を個別に減算してデータI1’,I2’,I3’,I4’,I5’を取得するステップ(図8ステップS31’,・・・,S35’)。
・データI1’,I2’,I3’,I4’,I5’を式(1)と同様の5バケット法の式に代入して位相データθを取得するステップ(図8ステップS36’)。この位相データθを、補正用位相データθ’とおく。
図8のステップS37では、ステップS1で取得した位相データθから、ステップS2で取得した補正用位相データθ’を減算する(式(5))。
<θ>=θ−θ’ ・・・(5)
本測定方法では、減算後の位相データ<θ>を、被検光学系PLの波面収差の情報とみなす。
次に、本測定方法の効果を説明する。
図9(a)は、ステップS1の測定データT1(PDI測定による)の取得時におけるマスクパターン15−1Xの近傍の様子を概念的に示したものである。マスク15の入射側に示した山型の点線は、0次回折光束の集光点の広がり(強度分布)を表している。
図9(a)に示すように、測定データT1の取得時には、+1次回折光束に対する開口は透過窓Hであり、0次回折光束に対する開口はピンホールPであった。
このときにマスクパターン15−1Xを透過して干渉縞に寄与したのは、以下の3光束とみなせる。
・Ae0=ae・exp[−ike0]:0次回折光束からなる理想球面波である。
・A1=a1・exp[−ik(W1+G1)]:被検光学系PLの波面収差の情報を含んだ+1次回折光束である。
・Ag0=ag・exp[−ikg0]:0次回折光束からなる透過窓Hへの漏れ光束である。
なお、マスクパターン15−1Xでは+1次回折光束からなる漏れ光束も発生しているが、0次回折光束と比較すると+1次回折光束は光量が少ないので、無視した。
また、本測定では、スクパターン15−1Xの非開口部から浸み出した0次回折光束からなる漏れ光束を無視した。
したがって、測定データT1は、以上の3光束の干渉強度で表され、次式(6)のとおりになる。
1=(A1+Ag0+Ae0)(A1 *+Ag0 *+Ae0 *
=a1 2+ag 2+ae 2+2a1gcos(kW1+kG1−kg0
+2a1ecos(kW1+kG1−ke0
+2aegcos(kg0−ke0) ・・・(6)
図9(b)は、ステップS1の補正データTr1の取得時におけるマスクパターン15−0Xの近傍の様子を概念的に示したものである。
図9(b)に示すように、補正データTr1の取得時には、+1次回折光束に対する開口は透過窓Hであり、0次回折光束に対する開口は閉状態であった。
このときにマスクパターン15−0Xを透過して干渉縞に寄与したのは、以下の2光束とみなせる。
・A1=a1・exp[−ik(W1+G1)]:被検光学系PLの波面収差の情報を含んだ+1次回折光束である。
・Ag0=ag・exp[−ikg0]:0次回折光束からなる透過窓Hへの漏れ光束である。
なお、マスクパターン15−0Xでは+1次回折光束からなる漏れ光束も発生しているが、0次回折光束と比較すると+1次回折光束は光量が少ないので、無視した。
また、本測定では、スクパターン15−0Xの非開口部から浸み出した0次回折光束からなる漏れ光束を無視した。
したがって、補正データTr1は、以上の2光束の干渉強度で表され、次式(7)のとおになる。
Tr1=(A1+Ag0)(A1 *+Ag0 *
=a1 2+ag 2+2a1gcos(kW1+kG1−kg0) ・・・(7)
そして、ステップS1で測定データT1から補正データTr1を減算して得られた補正後のデータI1は、式(6),(7)より、式(8)のとおり表される。
1=ae 2+2a1ecos(kW1+kG1−ke0
+2agecos(kg0−ke0) ・・・(8)
ここで、式(8)の右辺の第3項は、漏れ光束の波面g0と理想球面e0との位相差に関係するが、その位相差は0次回折光束の波面同士の位相差なので、位相シフトによって何ら変化しない。
したがって、位相シフトにより取得した5つのデータI1,I2,I3,I4,I5の間では、第3項は共通成分となる。
よって、ステップS1で取得された位相データθは、第3項の影響を受けることなく、第2項の位相(W1+G1−e0)のみを表すことになる(式(9))。
θ=W1+G1−e0 ・・・(9)
図9(a’)は、ステップS2の測定データT1’の取得時におけるマスクパターン15−2Xの近傍の様子を概念的に示したものである。マスク15の入射側に示した山型の点線は、0次回折光束の集光点の広がり(強度分布)を表している。
図9(a’)に示すように、測定データT1’の取得時には、+1次回折光束に対する開口は透過窓Hであり、0次回折光束に対する開口も透過窓Hであった。
このときにマスクパターン15−2Xを透過して干渉縞に寄与したのは、以下の3光束とみなせる。
・A0=a0・exp[−ikW0]:被検光学系PLの波面収差の情報を含んだ0次回折光束である。「a0」はその振幅であり、「W0」はその波面(位相)である。「W0」は被検光学系PLの波面収差成分である。
・A1=a1・exp[−ik(W1+G1)]:被検光学系PLの波面収差の情報を含んだ+1次回折光束である。
・Ag0=ag・exp[−ikg0]:0次回折光束からなる透過窓Hへの漏れ光束(+1次回折光束用の透過窓Hへの漏れ光束)である。
なお、マスクパターン15−2Xでは+1次回折光束からなる漏れ光束も発生しているが、0次回折光束と比較すると+1次回折光束は光量が少ないので、無視した。
また、本測定では、スクパターン15−2Xの非開口部から浸み出した0次回折光束からなる漏れ光束を無視した。
したがって、測定データT1’は、以上の3光束の干渉強度で表され、次式(10)のとおりになる。
1’=(A1+A0+Ag0)(A1 *+A0 *+Ag0 *
=a1 2+a0 2+ag 2+2a1gcos(kW1+kG1−kg0
+2a10cos(kW1+kG1−kW0
+2ag0cos(kg0−kW0) ・・・(10)
また、ステップS21で取得した補正データTr1は、ステップS1で取得した補正データTr1と同様、式(7)であらわされる。
そして、ステップS31’で測定データT1’から補正データTr1を減算して得られた補正後のデータI1’は、式(7),(10)より、式(11)のとおり表される。
1’=a0 2+2a10cos(kW1+kG1−kW0
+2ag0cos(kg0−kW0) ・・・(11)
ここで、式(11)の右辺の第3項は、漏れ光束の波面g0と被検光学系PLの波面収差成分W0との位相差に関係するが、その位相差は0次回折光束の波面同士の位相差なので、位相シフトによって何ら変化しない。
したがって、位相シフトにより取得した5つのデータI1’,I2’,I3’,I4’,I5’の間では、第3項は共通成分となる。
よって、ステップS36’で取得された補正用位相データθ’は、第3項の影響を受けることなく、第2項の位相(W1+G1−W0)のみを表すことになる(式(12))。
θ’=W1+G1−W0 ・・・(12)
したがって、ステップS37で求めた補正後の位相データ<θ>は、式(5),式(9),(12)により、式(13)で表される。
<θ>=θ−θ’
=(W1+G1−e0)−(W1+G1−W0
=W0−e0 ・・・(13)
したがって、本測定方法によれば、漏れ光束の波面g0及び回折格子13の固有誤差成分G1の影響を何ら受けることなく、理想球面e0を基準とした被検光学系PLの波面収差成分W0を求めることができる。
なお、本測定方法は、波面分割方向をX方向とした波面収差測定方法であるが、マスクパターン15−1Y,15−0Y,15−2Yを使用すれば、波面分割方向をY方向とした波面収差測定をすることもできる。
また、図7のマスク15には、波面分割方向をX方向とした測定で用いられるマスクパターン15−0X,15−1X,15−2Xと、波面分割方向をY方向とした測定で用いられるマスクパターン15−0Y,15−1Y,15−2Yとの双方が形成されているが、一方の測定しか行わない場合には、一方のマスクパターンを省略してもよいことは言うまでもない。なお、一方のマスクパターンを省略したとしても、マスク15の配置方向を90°回転すれば、双方の測定を行うことが可能である。
[第3実施形態]
図10、図11、図12に基づき本発明の第3実施形態を説明する。
本実施形態は、波面収差測定方法の実施形態である。ここでは、第2実施形態との相違点のみ説明する。本測定方法が基礎とするのは、被検光学系の波面収差の情報を持った光束同士を干渉させる手法(LSI測定という。LSIとは、lateral sharing Interferometryの略である。)である。
LSI測定のために、本測定方法で用いられるマスク15には、図10(a)に示すように、LSI測定用のマスクパターン15−3X,15−3Yが形成される。マスクパターン15−3X,15−3Yのそれぞれは、透過窓Hを1対ずつ有している。1対の透過窓Hの間隔は、マスクパターン15−2X,15−2Yのそれよりも広く設定されている。
波面分割方向がX方向であるときにマスクパターン15−3Xが測定光束の光路にセットされると、図10(b)に示すように、+1次回折光束及び−1次回折光束のみを選択的に透過させることができる。
同様に、波面分割方向がY方向であるときにマスクパターン15−3Yが測定光束の光路にセットされると、+1次回折光束及び−1次回折光束のみを選択的に透過させることができる。
その他のマスクパターン15−0X,15−1X,15−2X,15−0Y,15−1Y,15−2Yは、本測定方法では、測定装置の校正のためだけに用いられる。
次に、本測定方法の手順を説明する。波面分割方向をX方向とした波面収差測定と、波面分割方向をYとした波面収差測定とでは、測定光束の光路にセットされるマスクパターンの種類が異なるだけなので、ここでは、波面分割方向をX方向にした波面収差測定のみ説明する。
図11は、本測定方法の校正手順を示すフローチャートである。
図11のステップS3では、第2実施形態と同様にして位相データ<θ>を取得する(図8参照)。なお、第2実施形態では、5バケット法が採用されたが、ステップS3では、9バケット法を適用してもよい。9バケット法において取得したπ/2ずつ位相のずれた9つのデータを順にI1,I2,・・・,I9とおくと、位相データθを算出するための9バケット法の式は、次式(14)で表される。
θ=tan-1[{2(I2+I6)−2(I4+I8)}/{2(I3+I7)−(I1+I9)−2I5}] ・・・(14)
図11のステップS42では、この位相データ<θ>を式(15)に代入して、LSI測定に適した位相データΦrに変換する。なお、「LSI測定に適した位相データ」とは、±1次回折光束同士の差分波面の位相データ、つまり「シア波面」のデータを指す。
Φr=<θ>0->1−<θ>1->0 ・・・(15)
この式(15)において<θ>0->1は、位相データ<θ>の全体を、撮像素子17の撮像面上の0次回折光束から+1次回折光束へのずれの分だけX方向にシフト(横ずらし)させたものである。また、<θ>1->0は、位相データ<θ>の全体を、撮像面上の0次回折光束から−1次回折光束へのずれの分だけX方向にシフト(横ずらし)させたものである。このシフト量は、LSI測定におけるシア量の半分に相当し、測定装置の設計データ又は実測データから予め求められる。
図11のステップS41では、マスクパターン15−3XをセットしたLSI測定により画像データを取得し、その画像データから位相データΦを取得する。このステップS41においても、5バケット法や9バケット法などの公知の位相シフト干渉法を適用するとよい。
図11のステップS43では、ステップS41で取得した位相データΦから、ステップS42で取得した位相データΦrを式(16)のとおり減算し、校正データΦcを取得する。
Φc=Φ−Φr ・・・(16)
この校正データΦcは、本測定装置に固有の校正データとして記録される。校正データΦcは、上述した被検光学系PLの測定だけでなく、他の任意の被検光学系PLの各測定でも共通して使用可能な校正データである。
図12は、この校正データΦcを利用した任意の被検光学系PLの測定手順を示すフローチャートである。
図12のステップS51では、マスクパターン15−3Xをセットし、その状態でLSI測定により画像データを取得し、その画像データから位相データΦを取得する。このステップS51においても、5バケット法や9バケット法などの公知の位相シフト干渉法を適用するとよい。
図12のステップS52では、ステップS51のLSI測定で取得した位相データΦから、予め記録された校正データΦcを減算することにより、その位相データΦを補正する(式(17))。
<Φ>=Φ−Φc ・・・(17)
本測定方法では、補正後の位相データ<Φ>を、前記任意の被検光学系PLの波面収差の情報とみなす。
次に、本測定方法の効果を説明する。
図11のステップS41では、図10(b)に示すようなマスクパターン15−3Xがセットされたので、そこで取得した位相データΦ(LSI測定による)は、式(18)のとおり表される。
Φ=(W1+G1)−(W-1+G-1) ・・・(18)
この式(18)中の各文字の意味は、以下のとおりである。
1:+1次回折光束の波面に含まれる被検光学系PLの波面収差成分である。
1:+1次回折光束の波面に含まれる回折格子13の固有誤差成分である。
-1:−1次回折光束の波面に含まれる被検光学系PLの波面収差成分である。
-1:−1次回折光束の波面に含まれる回折格子13の固有誤差成分である。
なお、マスクパターン15−3Xにおいては1対の開口Hの間隔が十分に広いので、漏れ光束を無視した。
図11のステップS3で取得した位相データ<θ>は、第2実施形態で述べたとおり、式(13)で表される。
よって、図11のステップS42で取得した位相データΦrは、式(13),式(15)によって、式(19)のとおり表される。
Φr=<θ>0->1−<θ>1->0
=(W0−e00->1−(W0−e01->0
=(W1−e1)−(W-1−e-1) ・・・(19)
この式(19)中の各文字の意味は、以下のとおりである。
1:+1次回折光束からなる理想球面波の波面(理想球面)である。
-1:−1次回折光束からなる理想球面波の波面(理想球面)である。
したがって、図11のステップS43で取得した校正データΦcは、式(18),式(19)によって式(20)のとおり表される。
Φc=Φ−Φr
=(W1+G1)−(W-1+G-1)−{(W1−e1)−(W-1−e-1)}
=(G1−G-1)+(e1−e-1) ・・・(20)
すなわち、校正データΦcは、漏れ光束の影響を何ら受けることなく、回折格子13の固有誤差を正確に表す。
図12のステップS51で任意の被検光学系PLについて取得した位相データΦは、式(18)に示したとおり、任意の被検光学系PLの波面収差の情報だけでなく、回折格子13の固有誤差の情報をも含んでいる。
しかし、図12のステップS52においてその位相データΦから校正データΦcを減算て得られた位相データ<Φ>は、式(17),式(18),式(20)によって、式(21)のとおり表される。
<Φ>=Φ−Φc
=(W1+G1)−(W-1+G-1)−{(G1−G-1)+(e1−e-1)}
=(W1−W-1)−(e1−e-1) ・・・(21)
すなわち、位相データ<Φ>は、回折格子13の固有誤差の影響を受けることなく、理想球面のシア波面(e1−e-1)を基準とした被検光学系PLの波面収差成分のシア波面(W1−W-1)を正確に表す。因みに、理想球面のシア波面(e1−e-1)は、測定装置の設計データ又は実測データから簡単に求めることができるので、この位相データ<Φ>に基づけば、被検光学系PLの波面収差成分のシア波面(W1−W-1)を簡単に取得することができる。
なお、本測定方法は、波面分割方向をX方向とした波面収差測定方法であるが、マスクパターン15−1Y,15−0Y,15−2Y,15−3Yを使用すれば、波面分割方向をY方向とした波面収差測定をすることもできる。
また、波面分割方向をX方向とした波面収差測定と、波面分割方向をY方向とした波面収差測定とでは、双方の測定で校正データΦcを個別に取得し、それらを双方の測定の補正で個別に使用することが望ましいが、一方の測定でのみ校正データΦcを取得し、それを双方の測定の補正に共用してもよい。その場合も、前述した2つの回折格子(波面分割方向をX方向にするための回折格子と波面分割方向をY方向にするための回折格子)が共通の格子ステージ14に支持されている限りは、双方の測定における回折格子の姿勢誤差が共通になるので、少なくとも回折格子の姿勢誤差の影響を排除することはできる。
そして、波面分割方向X方向とした波面収差測定で取得したシア波面(W1−W-1Xと、波面分割方向をY方向とした波面収差測定で取得したシア波面(W1−W-1Yとの双方に基づけば、被検光学系PLの波面収差を復元することができる。
なお、図10のマスク15には、波面分割方向をX方向とした測定(本実施形態では、図11の校正と図12の測定)で用いられるマスクパターン15−0X,15−1X,15−2X,15−3Xと、波面分割方向をY方向とした測定(本実施形態では、図11の校正と図12の測定)で用いられるマスクパターン15−0Y,15−1Y,15−2Y,15−3Yとの双方が形成されているが、一方のマスクパターンを省略したとしても、マスク15の配置方向を90°回転すれば、双方の測定を行うことが可能である。
[その他]
なお、上述した各実施形態では、PDI測定のときに理想球面波を生成するピンホールPを利用したが、そのピンホールPに代えて、ピンホールPの径と同等の幅を持ったスリットを利用してもよい。ピンホールPが理想球面波を生成するのに対し、スリットは、所定方向に亘って理想球面となった光束を生成する。
例えば、第1実施形態のPDI測定においてスリットを利用する場合、図2に代えて図13に示すようなマスク15が用いられる。図13において「S」で示すのが、スリットである。
但し、スリットSを利用した場合に取得される位相データは、被検光学系Pの特定方向の波面収差しか表さない。よって、その場合に被検光学系PLの全体の波面収差を取得するためには、波面分割方向をX方向とした波面収差測定と、波面分割方向をY方向とした波面収差測定との双方が必要になる。
また、上述した各実施形態の測定に必要な手順の一部又は全部は、上述した波面収差測定装置(図1)のコンピュータ30によって自動化されてもよい。その場合、手順の一部又は全部を実施するのに必要なプログラムが、コンピュータ30に予めインストールされる。
[第4実施形態]
図14に基づき本発明の第4実施形態を説明する。
本実施形態は、EUVL用の投影露光装置の実施形態である。
図14は、本投影露光装置の構成図である。
本投影露光装置には、上述した測定装置(図1)と同じ機能が搭載されている。
本投影露光装置には、投影光学系PL、照明光学系21、反射型のレチクルR、レチクルステージ22、レチクルステージ22の駆動回路22c、ピンホールミラー12、透過型の回折格子13、格子ステージ14、格子ステージ14の駆動回路14c、ウエハW、ウエハステージ26、ウエハステージ26の駆動回路26c、撮像素子17、制御部29、マスク15などが配置される。制御部29は、コンピュータ40に接続される。
投影光学系PLは、EUVL用の投影光学系であり、照明光学系21の光源には、EUV(極端紫外光)を射出する光源、例えば、シンクロトロン放射光源、レーザプラズマ光源、放電プラズマ光源などが用いられる。投影光学系PLは、このようなEUV光を十分な反射率で反射する特性を持った複数の反射面からなる反射型投影光学系である。
照明光学系21は、レチクルRのパターンでウエハWを露光する投影露光と、投影光学系PLの波面収差測定とに兼用される。
ピンホールミラー12は、波面収差測定用のピンホールミラーであり、波面収差測定時にのみ、レチクルRに代わり投影光学系PLの物体面に挿入される。
なお、図14では、レチクルRとピンホールミラー12とが共にレチクルステージ22によって支持された様子を示した。レチクルステージ22の移動により、レチクルRとピンホールミラー12とが入れ替わる。
回折格子13は、波面収差測定用の回折格子であり、波面収差測定時にのみ、投影光学系PLの像側に配置される。
マスク15は、上述した何れかの実施形態のマスクであり、波面収差測定時にのみ、ウエハWに代わり投影光学系PLの像面に挿入される。
なお、図14では、ウエハWとマスク15とが共にウエハステージ26によって支持された様子を示した。ウエハステージ26の移動により、ウエハWとマスク15とが入れ替わる。
また、撮像素子17は、マスク15が挿入されたときに、そのマスク15の後側に形成される干渉縞を受光できる位置に配置される。
このような本投影露光装置は、オペレータがコンピュータ40を介して制御部29に対し適切な指示を与えるだけで、上述した何れかの実施形態と同様の測定方法で、投影光学系PLの波面収差を高精度に自己測定することができる。
なお、その測定に必要な手順の一部又は全部は、コンピュータ40によって自動化されてもよい。その場合、手順の一部又は全部を実施するのに必要なプログラムが、コンピュータ40に予めインストールされる。
また、本投影露光装置には、ピンホールミラー12が設けられたレチクルR(つまり、ピンホールミラー12とレチクルRとを一体化したもの)を用いてもよい。このようなレチクルRは、例えば、レチクルRの表面に金属膜を蒸着し、その金属膜をエッチングしてピンホールパターンを形成することにより形成される。
また、本投影露光装置には反射型のレチクルRとピンホールミラー12とが用いられたが、それらに代えて、透過型のレチクルRと透過型のピンホールとが用いられてもよい。また、本投影露光装置では、透過型の回折格子13が用いられたが、反射型の回折格子が用いられてもよい。何れにせよ、本投影露光装置の各光学部材には、EUV光を光量ロス少なく導光することのできる光学部材が使用される。
また、本投影露光装置においてマスク15を90°回転させる場合には、その方式として円形ターレット方式、スライド型ターレット方式、軸回転方式などの各方式の何れかを採用し、マスク15の回転を容易にすることもできる。
[第5実施形態]
図15に基づき本発明の第5実施形態を説明する。
本実施形態は、EUVL用の投影光学系の製造方法の実施形態である。
図8は、投影光学系の製造方法の手順を示すフローチャートである。
投影光学系の光学設計をする(ステップS101)。ここで設計されるのは、例えば、図1に符号PLで示すような構成の投影光学系である。このステップS101において、投影光学系内の各光学部材の各面形状が決定される。
各光学部材が加工される(ステップS102)。
加工された各光学部材の面形状を測定しつつその面精度誤差が小さくなるまで加工が繰り返される(ステップS102,S103,S104)。
その後、全ての光学部材の面精度誤差が許容範囲内に収まると(ステップS104OK)光学部材を完成させ、それら光学部材によって投影光学系を組み立てる(ステップS105)。
組み立て後、投影光学系の波面収差を前述した何れかの実施形態の測定方法で測定し(ステップS106)、その測定結果に応じて各光学部材の間隔調整や偏心調整などを行い(ステップS108)、波面収差が許容範囲内に収まった時点(ステップS107OK)で投影光学系が完成する(以上、製造方法の手順)。
このように、ステップS106において前述した何れかの実施形態の測定方法を適用すれば、投影光学系の波面収差を高精度に測定することができる。したがって、ステップS108における調整方法が従来どおりであったとしても、波面収差を高精度に測定できた分だけ、投影光学系を高性能化することができる。
したがって、この投影光学系を投影露光装置に搭載すると、その投影露光装置は、レチクルRのパターンをウエハWに高精度に転写できる高性能な投影露光装置となる。その投影露光装置によれば、高性能なデバイスを製造することができる。或いは、従来と同等のデバイスを、従来よりも高スループットで製造することができる。
[その他]
なお、以上の各実施形態では、波面収差の測定対象(又は製造対象)がEUVL用の投影光学系PLであったが、他の光学系の波面収差測定(又は製造)にも本発明は適用可能である。但し、EUVL用の投影光学系PLは、それに要求される性能が特に高いので、本発明が特に有効である。
波面収差測定装置の構成図である。 第1実施形態のマスク15を説明する図である。 第1実施形態の測定方法の手順を示すフローチャートである。 (a)は、マスクパターン15−1Xの近傍の様子の概念図、(b)は、マスクパターン15−0Xの近傍の様子の概念図である。 ピンホールPを開閉する他の方法を示す図である。 光量検出器の配置方法の例を示す図である。 第2実施形態のマスク15を説明する図である。 第2実施形態の測定方法の手順を示すフローチャートである。 (a)は、マスクパターン15−1Xの近傍の様子の概念図、(b)は、マスクパターン15−0Xの近傍の様子の概念図、(a’)は、マスクパターン15−2Xの近傍の様子の概念図である。 第3実施形態のマスク15を説明する図である。 第3実施形態の測定方法の校正手順を示すフローチャートである。 第3実施形態の測定方法の任意の被検光学系PLの測定手順を示すフローチャートである。 PDI測定においてスリットを利用する場合のマスク15を示す図である。 第4実施形態の投影露光装置の構成図である。 第5実施形態の投影光学系の製造方法の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
11,21 照明光学系
12 ピンホールミラー
13 回折格子
15 マスク
14 格子ステージ
16 マスクステージ
17 撮像素子
14c,16c,26c,22c 駆動回路
19,29 制御部
30,40 コンピュータ
22 レチクルステージ
26 ウエハステージ
R レチクル
W ウエハ

Claims (17)

  1. 被検光学系に対し所定の波面形状の測定光束を投光する投光手段と、
    前記測定光束の何れかの光路に挿入され、その測定光束を互いに波面のずれた複数の回折光束に分割する回折格子と、
    前記被検光学系による前記複数の回折光束の集光面近傍に挿入され、それら複数の回折光束のうち互いに隣接する1対の回折光束を個別かつ選択的に透過させる1対の開口を有したマスクと、
    前記1対の開口を透過した前記1対の回折光束同士が成す干渉縞の輝度分布を検出する検出手段と
    を備えた波面収差測定系による波面収差測定方法であって、
    前記1対の開口の一方のみを閉状態に設定すると共に、そのときに前記検出手段が検出した輝度分布を補正データとして取り込む補正データ取得手順と、
    前記1対の開口の双方を開状態に設定すると共に、そのときに前記検出手段が検出した輝度分布を測定データとして取り込む測定データ取得手順と、
    前記測定データから前記補正データを減算することで、前記マスクを透過した漏れ光束が原因で前記測定データに重畳された誤差を補正する補正手順と
    を含むことを特徴とする波面収差測定方法。
  2. 請求項1に記載の波面収差測定方法において、
    前記1対の開口は、
    ±1次回折光束の一方を透過させるべき開口と、0次回折光束を透過させるべき開口ととであり、
    前記閉状態に設定されるのは、
    前記0次回折光束を透過させるべき開口である
    ことを特徴とする波面収差測定方法。
  3. 請求項2に記載の波面収差測定方法において、
    前記±1次回折光束の一方を透過させるべき前記開口は、
    前記±1次回折光束の一方を波面不変のまま透過させる透過窓であり、
    前記0次回折光束を透過させるべき前記開口は、
    前記0次回折光束を波面不変のまま透過させる透過窓、又は前記0次回折光束の波面を少なくとも1方向に亘り理想球面に変換する微小開口である
    ことを特徴とする波面収差測定方法。
  4. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の波面収差測定方法において、
    少なくとも、前記補正データ取得手順の実行タイミングと前記測定データ取得手順の実行タイミングとの間における前記測定光束の光量変動を監視する監視手順と、
    前記光量変動が原因で前記補正データと前記測定データとの間に生じた差異を補正する手順と
    をさらに含むことを特徴とする波面収差測定方法。
  5. 被検光学系に対し所定の波面形状の測定光束を投光する投光手段と、
    前記測定光束の何れかの光路に挿入され、その測定光束を互いに波面のずれた複数の回折光束に分割する回折格子と、
    前記被検光学系による前記複数の回折光束の集光面近傍に挿入され、それら複数の回折光束のうち互いに隣接する1対の回折光束を個別かつ選択的に透過させる1対の開口を有したマスクと、
    前記1対の開口を透過した前記1対の回折光束同士が成す干渉縞の輝度分布を検出する検出手段と
    を備えた波面収差測定装置であって、
    前記マスクの前記1対の開口の一方のみを閉状態に設定することが可能である
    ことを特徴とする波面収差測定装置。
  6. 請求項5に記載の波面収差測定装置において、
    前記マスクは、
    前記1対の開口を並べてなるマスクパターンと、前記1対の開口の一方のみからなるマスクパターンとの2種類のマスクパターンを有し、
    前記複数の回折光束の光路に挿入されるマスクパターンが前記2種類のマスクパターンの間で切り替えられるように前記マスクを移動させる移動機構が備えられる
    ことを特徴とする波面収差測定装置。
  7. 請求項5に記載の波面収差測定装置において、
    前記マスクは、
    前記1対の開口を並べてなるマスクパターンを有し、
    前記1対の開口の一方を開閉するシャッタ機構が備えられる
    ことを特徴とする波面収差測定装置。
  8. 請求項5〜請求項7の何れか一項に記載の波面収差測定装置において、
    前記1対の開口は、
    ±1次回折光束の一方を透過させるべき開口と、0次回折光束を透過させるべき開口ととであり、
    前記閉状態に設定されるのは、
    前記0次回折光束を透過させるべき開口である
    ことを特徴とする波面収差測定装置。
  9. 請求項8に記載の波面収差測定装置において、
    前記±1次回折光束の一方を透過させるべき前記開口は、
    前記±1次回折光束の一方を波面不変のまま透過させる透過窓であり、
    前記0次回折光束を透過させるべき前記開口は、
    前記0次回折光束を波面不変のまま透過させる透過窓、又は前記0次回折光束の波面を少なくとも1方向に亘り理想球面に変換する微小開口である
    ことを特徴とする波面収差測定装置。
  10. 請求項5〜請求項9の何れか一項に記載の波面収差測定装置において、
    前記測定光束の光量変動を監視する監視手段をさらに備えた
    ことを特徴とする波面収差測定装置。
  11. レチクルのパターンをウエハに投影するための投影光学系と、
    前記レチクルの配置面を照明光束で照明する照明光学系と、
    前記レチクルの配置面の近傍に挿入可能であり、挿入時には前記照明光束を所定の波面形状の光束に変換する変換手段と、
    前記照明光束の何れかの光路に挿入可能であり、かつ挿入時にはその照明光束を互いに波面のずれた複数の回折光束に分割する回折格子と、
    前記ウエハの配置面の近傍に挿入可能であり、前記複数の回折光束のうち互いに隣接する1対の回折光束を個別かつ選択的に透過させる1対の開口を有したマスクと、
    前記1対の開口を透過した前記1対の回折光束同士が成す干渉縞の輝度分布を検出する検出手段と
    を備えた投影露光装置であって、
    前記マスクの前記1対の開口の一方のみを閉状態に設定することが可能である
    ことを特徴とする投影露光装置。
  12. 請求項11に記載の投影露光装置において、
    前記マスクは、
    前記1対の開口を並べてなるマスクパターンと、前記1対の開口の一方のみからなるマスクパターンとの2種類のマスクパターンを有し、
    前記複数の回折光束の光路に挿入されるマスクパターンが前記2種類のマスクパターンの間で切り替えられるように前記マスクを移動させる移動機構が備えられる
    ことを特徴とする投影露光装置。
  13. 請求項11に記載の投影露光装置において、
    前記マスクは、
    前記1対の開口を並べてなるマスクパターンを有し、
    前記1対の開口の一方を開閉するシャッタ機構が備えられる
    ことを特徴とする投影露光装置。
  14. 請求項11〜請求項13の何れか一項に記載の投影露光装置において、
    前記1対の開口は、
    ±1次回折光束の一方を透過させるべき開口と、0次回折光束を透過させるべき開口ととであり、
    前記閉状態に設定されるのは、
    前記0次回折光束を透過させるべき開口である
    ことを特徴とする投影露光装置。
  15. 請求項14に記載の投影露光装置において、
    前記±1次回折光束の一方を透過させるべき前記開口は、
    前記±1次回折光束の一方を波面不変のまま透過させる透過窓であり、
    前記0次回折光束を透過させるべき前記開口は、
    前記0次回折光束を波面不変のまま透過させる透過窓、又は前記0次回折光束の波面を少なくとも1方向に亘り理想球面に変換する微小開口である
    ことを特徴とする投影露光装置。
  16. 請求項11〜請求項15の何れか一項に記載の投影露光装置において、
    前記測定光束の光量変動を監視する監視手段をさらに備えた
    ことを特徴とする投影露光装置。
  17. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の波面収差測定方法により投影光学系の波面収差を測定する手順と、
    前記測定された波面収差に応じて前記投影光学系を調整する手順と
    を含むことを特徴とする投影光学系の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109791088A (zh) * 2016-12-15 2019-05-21 欧姆龙株式会社 检查装置、检查方法以及程序

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