JP2006183683A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃費の向上を図ることが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】 動力源と遊星歯車列との間に動力の伝達を断接可能な係合要素を有する差動歯車変速機と、運転点に応じて要求駆動力を達成する制御手段と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、動力源の動作点効率を検出し、動作点効率が低いと検出された時は、前記係合要素の相対回転を許容する半クラッチ制御により前記動力源の動作点を効率の高い動作点に変更した。
【選択図】 図7

Description

本発明は、複数の走行モードを有し、最適なモードに応じた締結要素を締結して走行するハイブリッド車両の制御装置の技術分野に属する。
4個以上の要素を有する2自由度の例えば遊星歯車機構により構成する差動装置に、駆動系統への出力を割り当てた要素以外の要素にブレーキを設けたパワートレーンシステムを適用したハイブリッド車両が特許文献1に開示されている。このハイブリッド車両では、例えば、2つのモータのみで無段変速比を得るEVモードと、ローブレーキを締結した固定変速比にて2つのモータで駆動するEV-LBモードと、エンジン及び2つのモータを駆動しつつ無段変速比を得るEIVTモードと、エンジン及び2つのモータを駆動しつつ固定変速比を得るLBモードとを備えている。これら各種モードは、走行状態に応じてモードマップから適宜選択される。
特開2003-32808号公報。
上述の従来技術において、要求駆動力に応じた出力を得る際、エンジンの動作点(エンジン回転数及びエンジントルク)は最適燃費線をたどるように設定されているため、エンジンに要求されるトルクが決定されると、エンジンの回転数もほぼ決定される。このとき、モータジェネレータの動作点は必ずしも効率の高い動作点とはならず、十分に燃費の向上を図ることができていない。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、燃費の向上を図ることが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明では、エンジンと少なくとも1つのモータによる複数の動力源と、駆動輪へ動力を出力する出力部材とがそれぞれ回転要素に連結される遊星歯車列と、前記動力源と前記遊星歯車列との間に動力の伝達を断接可能な係合要素と、を有する差動歯車変速機と、運転点に応じて前記複数の動力源の出力トルク状態及び前記係合要素の締結状態を制御し、要求駆動力を達成する制御手段と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記動力源の動作点効率を検出し、動作点効率が低いと検出された時は、前記係合要素の相対回転を許容する半クラッチ制御により前記動力源の動作点を効率の高い動作点に変更することを特徴とする。
よって、動力源の動作点効率を効率の高い動作点に変更することが可能となり、要求駆動力を達成しつつ燃費の向上を図ることができる。
以下、本発明のハイブリッド車のエンジン始動制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、ハイブリッド車の駆動系の構成を説明する。
図1は実施例1のエンジン始動制御装置が適用されたハイブリッド車の駆動系を示す全体システム図である。実施例1のハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、出力軸OUT(出力部材)と、これらの入出力要素E,MG1,MG2,OUTが連結される差動装置(第1遊星歯車PG1、第2遊星歯車PG2、第3遊星歯車PG3)を有する駆動力合成変速機とを備えており、駆動輪18を駆動する後輪駆動タイプのハイブリッド車両である。
そして、選択された走行モードに応じ後述する油圧制御装置5からの制御油圧により締結・解放が制御される摩擦締結要素としては、ハイクラッチHCと、エンジンクラッチECと、シリーズクラッチSCと、モータジェネレータクラッチMGCと、ローブレーキLBと、ハイローブレーキHLBと、を備えている。
前記エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度などが制御される。
前記第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2は、永久磁石を埋設したロータと、ステータコイルが巻き付けられたステータと、を有する同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流をそれぞれのステータコイルに印加することにより独立に制御される。
前記差動装置としての第1遊星歯車PG1と第2遊星歯車PG2と第3遊星歯車PG3は、何れも2自由度3要素のシングルピニオン型遊星歯車である。前記第1遊星歯車PG1は、第1サンギヤS1と、第1ピニオンP1を支持する第1ピニオンキャリアPC1と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、によって構成されている。前記第2遊星歯車PG2は、第2サンギヤS2と、第2ピニオンP2を支持する第2ピニオンキャリアPC2と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、によって構成されている。前記第3遊星歯車PG3は、第3サンギヤS3と、第3ピニオンP3を支持する第3ピニオンキャリアPC3と、第3ピニオンP3に噛み合う第3リングギヤR3と、によって構成されている。
前記第1サンギヤS1と前記第2サンギヤS2とは第1回転メンバM1により直結され、前記第1リングギヤR1と第3サンギヤS3とは第2回転メンバM2により直結され、前記第2ピニオンキャリアPC2と前記第3リングギヤR3とは第3回転メンバM3により直結される。したがって、3組の遊星歯車PG1,PG2,PG3は、第1回転メンバM1と第2回転メンバM2と第3回転メンバM3と第1ピニオンキャリアPC1と第2リングギヤR2と第3ピニオンキャリアPC3との6つの回転要素を有する。
前記差動装置の6つの回転要素に対する動力源E,MG1,MG2と出力軸OUTと各係合要素LB,HC,HLB,EC,SC,MGCの連結関係について説明する。
前記第1回転メンバM1(S1,S2)には、第2モータジェネレータMG2が連結されている。
前記第2回転メンバM2(R1,R3)には、入出力要素の何れにも連結されていない。
前記第3回転メンバM3(PC2,R3)には、エンジンクラッチECを介してエンジンEが連結されている。
前記第1ピニオンキャリアPC1には、ハイクラッチHCを介して第2モータジェネレータMG2が連結されている。また、ローブレーキLBを介して変速機ケースTCに連結されている。
前記第2リングギヤR2には、モータジェネレータクラッチMGCを介して第1モータジェネレータMG1が連結されている。また、ハイローブレーキHLBを介して変速機ケースTCに連結されている。
前記第3ピニオンキャリアPC3には、出力軸OUTが連結されている。なお、出力軸OUTには、両モータジェネレータMG1,MG2のうち、一方のモータジェネレータが故障した場合、エンジン始動時に出力軸OUTを固定する出力軸固定制御ユニット16(出力部材固定制御ユニット)が設けられている。また、出力軸OUTからは、図外のプロペラシャフトやディファレンシャルやドライブシャフトを介して左右の駆動輪に駆動力が伝達される。
さらに、前記エンジンEと第1モータジェネレータMG1とは、シリーズクラッチSCを介して連結されている。
上記連結関係により、図2に示す共線図上において、第1モータジェネレータMG1(R2)、エンジンE(PC2,R3)、出力軸OUT(PC3)、第2モータジェネレータMG2(S1,S2)の順に配列され、遊星歯車列の動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデル(第1遊星歯車PG1のレバー(1)、第2遊星歯車PG2のレバー(2)、第3遊星歯車PG3のレバー(3))を導入することができる。ここで、「共線図」とは、差動歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸にリングギヤ、キャリア、サンギヤ等の各回転要素をとり、各回転要素の間隔をサンギヤとリングギヤの歯数比に基づく共線図レバー比(α、β、δ)になるように配置したものである。
前記ハイクラッチHCは、油圧により締結される多板摩擦クラッチであり、図6の共線図上において、第2モータジェネレータMG2の回転速度軸と一致する位置に配置され、図2及び図3の共線図に示すように、締結によりハイ側変速比を分担する「2速固定モード」と「ハイ側無段変速モード」と「ハイギヤ固定モード」を実現する。
前記エンジンクラッチECは、油圧により締結される多板摩擦クラッチであり、図6の共線図上において、エンジンEとの回転速度軸と一致する位置に配置され、締結によりエンジンEの回転とトルクを、エンジン入力回転要素である第3回転メンバM3(PC2,R3)に入力する。
前記シリーズクラッチSCは、油圧により締結される多板摩擦クラッチであり、図6の共線図上において、エンジンEと第1モータジェネレータMG1とを連結する位置に配置され、締結によりエンジンEと第1モータジェネレータMG1とを連結する。
前記モータジェネレータクラッチMGCは、油圧により締結される多板摩擦クラッチであり、図6の共線図上において、第1モータジェネレータMG1と第2リングギヤR2を連結する位置に配置され、第1モータジェネレータMG1と第2リングギヤR2との締結解除を行う。
前記ローブレーキLBは、油圧により締結される多板摩擦ブレーキであり、図6の共線図上において、第2モータジェネレータMG2の回転速度軸より外側位置に配置され、図2及び図3の共線図に示すように、締結によりロー側変速比を分担する「ローギヤ固定モード」と「ロー側無段変速モード」を実現する。
前記ハイローブレーキHLBは、油圧により締結される多板摩擦ブレーキであり、図6の共線図上において、第1モータジェネレータMG1の回転速度軸と一致する位置に配置され、図2及び図3の共線図に示すように、ローブレーキLBと共に締結することにより変速比をアンダードライブ側の「ローギヤ固定モード」とし、ハイクラッチHCと共に締結することにより変速比をオーバードライブ側の「ハイギヤ固定モード」とする。
次に、ハイブリッド車の制御系を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、油圧制御装置5と、統合コントローラ6と、アクセル開度センサ7と、車速センサ8と、エンジン回転数センサ9と、第1モータジェネレータ回転数センサ10と、第2モータジェネレータ回転数センサ11と、第3リングギヤ回転数センサ12と、第2リングギヤ回転数センサ13と、従動輪である前輪及び駆動輪である後輪の車輪速を検出する車輪速センサ17を有して構成されている。
前記エンジンコントローラ1は、アクセル開度センサ7からのアクセル開度APとエンジン回転数センサ9からのエンジン回転数Neを入力する統合コントローラ6からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。
前記モータコントローラ2は、レゾルバによる両モータジェネレータ回転数センサ10、11からのモータジェネレータ回転数N1,N2を入力する統合コントローラ6からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、第1モータジェネレータMG1のモータ動作点(N1,T1)と、第2モータジェネレータMG2のモータ動作点(N2,T2)と、をそれぞれ独立に制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2からは、バッテリ4の充電状態をあらわすバッテリS.O.Cの情報が統合コントローラ6に対して出力される。
前記インバータ3は、前記第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2との各ステータコイルに接続され、モータコントローラ2からの指令により独立した3相交流を作り出す。このインバータ3には、力行時に放電し回生時に充電するバッテリ4が接続されている。
前記油圧制御装置5は、統合コントローラ6からの油圧指令に基づいて、ローブレーキLBと、ハイクラッチHCと、ハイローブレーキHLBと、エンジンクラッチECと、シリーズクラッチSCと、モータジェネレータクラッチMGCの締結油圧制御及び解放油圧制御を行う。この締結油圧制御及び解放油圧制御には、滑り締結制御や滑り解放制御による半クラッチ制御も含む。
前記統合コントローラ6は、アクセル開度センサ7からのアクセル開度APと、車速センサ8からの車速VSPと、エンジン回転数センサ9からのエンジン回転数Neと、第1モータジェネレータ回転数センサ10からの第1モータジェネレータ回転数N1と、第2モータジェネレータ回転数センサ11からの第2モータジェネレータ回転数N2と、第3リングギヤ回転数センサ12からの駆動力合成変速機入力回転数Ni等の情報を入力し、所定の演算処理を行う。そして、エンジンコントローラ1、モータコントローラ2、油圧制御装置5に対し演算処理結果にしたがって制御指令を出力する。また、車輪速センサ17からの車輪速信号に基づいて駆動輪のスリップ状態を検出し、後述する半クラッチ制御を実行する。
なお、統合コントローラ6とエンジンコントローラ1、および、統合コントローラ6とモータコントローラ2とは、情報交換のためにそれぞれ双方向通信線14、15により接続されている。
次に、ハイブリッド車の走行モードについて説明する。
走行モードとしては、ローギヤ固定モード(以下、「Lowモード」という。)と、ロー側無段変速モード(以下、「Low-iVTモード」という。)と、2速固定モード(以下、「2ndモード」という。)と、ハイ側無段変速モード(以下、「High-iVTモード」という。)と、ハイギヤ固定モード(以下、「Highモード」という。)と、の5つの走行モードを有する。
前記5つの走行モードについては、エンジンEを用いないで両モータージェネレータMG1,MG2のみで走行する電気自動車モード(以下、「EVモード」という。)と、エンジンEと両モータージェネレータMG1,MG2を用いて走行するハイブリッド車モード(以下、「HEVモード」という。)とに分けられる。
よって、図2(EVモード関連の5つの走行モード)及び図3(HEVモード関連の5つの走行モード)に示すように、「EVモード」と「HEVモード」とを合わせると「10の走行モード」が実現されることになる。
ここで、図2(a)は「EV-Lowモード」の共線図、図2(b)は「EV-Low-iVTモード」の共線図、図2(c)は「EV-2ndモード」の共線図、図2(d)は「EV-High-iVTモード」の共線図、図2(e)は「EV-Highモード」の共線図である。また、図3(a)は「HEV-Lowモード」の共線図、図3(b)は「HEV-Low-iVTモード」の共線図、図3(c)は「HEV-2ndモード」の共線図、図3(d)は「HEV-High-iVTモード」の共線図、図3(e)は「HEV-Highモード」の共線図である。
前記「Lowモード」は、図2(a)及び図3(a)の共線図に示すように、ローブレーキLBを締結し、ハイクラッチHCを解放し、ハイローブレーキHLBを締結し、シリーズクラッチSCを解放し、モータジェネレータクラッチMGCを締結することで得られるローギヤ固定モードである。
前記「Low-iVTモード」は、図2(b)及び図3(b)の共線図に示すように、ローブレーキLBを締結し、ハイクラッチHCを解放し、ハイローブレーキHLBを解放し、シリーズクラッチSCを解放し、モータジェネレータクラッチMGCを締結することで得られるロー側無段変速モードである。
前記「2ndモード」は、図2(c)及び図3(c)の共線図に示すように、ローブレーキLBを締結し、ハイクラッチHCを締結し、ハイローブレーキHLBを解放し、シリーズクラッチSCを解放し、モータジェネレータクラッチMGCを締結することで得られる2速固定モードである。
前記「High-iVTモード」は、図2(d)及び図3(d)の共線図に示すように、ローブレーキLBを解放し、ハイクラッチHCを締結し、ハイローブレーキHLBを解放し、シリーズクラッチSCを解放し、モータジェネレータクラッチMGCを締結することで得られるハイ側無段変速モードである。
前記「Highモード」は、図2(e)及び図3(e)の共線図に示すように、ローブレーキLBを解放し、ハイクラッチHCを締結し、ハイローブレーキHLBを締結し、シリーズクラッチSCを解放し、モータジェネレータクラッチMGCを締結することで得られるハイギヤ固定モードである。
そして、前記「10の走行モード」のエンジン始動制御は、統合コントローラ6により行われる。すなわち、統合コントローラ6には、要求駆動力Fdrv(アクセル開度APにより求められる。)と車速VSPとバッテリS.O.Cによる三次元空間に、例えば、図4に示すような前記「10の走行モード」を割り振った走行モードマップが予め設定されていて、車両走行時等においては、要求駆動力Fdrvと車速VSPとバッテリS.O.Cの各検出値により走行モードマップが検索され、要求駆動力Fdrvと車速VSPにより決まる車両動作点やバッテリ充電量に応じた最適な走行モードが選択される。なお、図4は三次元走行モードマップをバッテリS.O.Cが充分な容量域のある値で切り取ることにより、要求駆動力Fdrvと車速VSPとの二次元によりあらわした走行モードマップの一例である。
さらに、シリーズクラッチSCとモータジェネレータクラッチMGCを採用したことに伴い、上記「10の走行モード」に加え、図5に示すように、発進時等で選択されるシリーズローギヤ固定モード(以下、「S-Lowモード」という。)が追加される。この「S-Lowモード」は、ローブレーキLBとハイローブレーキHLBを締結し、エンジンクラッチECとハイクラッチHCとモータジェネレータクラッチMGCを解放し、シリーズクラッチSCを締結することで得られる。
つまり、上記「10の走行モード」はパラレル型ハイブリッド車としての走行モードであるが、シリーズローギヤ固定モードである「S-Lowモード」については、図6に示すように、エンジンEと第1モータジェネレータMG1とを共線図から切り離し、エンジンEにより第1モータジェネレータMG1を駆動して発電し、該第1モータジェネレータMG1による発電電力を受け入れて充電するバッテリ4と、該バッテリ4の充電電力を用いて第2モータジェネレータMG2を駆動するというシリーズ型ハイブリッド車としての走行モードということができる。
前記走行モードマップの選択により、「EVモード」と「HEVモード」との間においてモード遷移を行う場合には、図5に示すように、エンジンEの始動・停止と、エンジンクラッチECを締結・解放する制御が実行される。また、「EVモード」の5つのモード間でのモード遷移や「HEVモード」の5つのモード間でのモード遷移を行う場合には、図5に示すON/OFF作動表にしたがって行われる。
これらのモード遷移制御のうち、例えば、エンジンEの始動・停止とクラッチやブレーキの締結・解放が同時に必要な場合や、複数のクラッチやブレーキの締結・解放が必要な場合や、エンジンEの始動・停止またはクラッチやブレーキの締結・解放に先行してモータジェネレータ回転数制御が必要な場合等においては、予め決められた手順にしたがったシーケンス制御により行われる。
〔動作点変更時の半クラッチ制御処理〕
次に、実施例1の動作点変更時の半クラッチ制御処理について、図7のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ101では、High-iVTモードかどうかを判断し、High-iVTモードのときはステップ102へ進み、それ以外のときは本ステップを繰り返す。
ステップ102では、図9に示すモータジェネレータの動作点効率マップから、現在の第1モータジェネレータMG1の動作点効率が低いかどうかを判断し、効率が低いときはステップ103へ進み、それ以外のときは本ステップを繰り返す。
ステップ103では、モータジェネレータクラッチMGCを半クラッチ制御し、第1モータジェネレータMG1の動作点を効率の高い動作点に変更する。
上記動作点変更時の半クラッチ制御処理の作用について説明する。
図8は、High-iVTモードにおける共線図、図9は第1モータジェネレータMG1の動作点(回転数,トルク)の等効率線との関係を表す動作点効率マップである。High-iVTモード走行時には、エンジンクラッチECと、ハイクラッチHCと、モータジェネレータクラッチMGCの締結により変速比を無段階に変更しながら要求駆動力を達成する。このとき、第1モータジェネレータMG1では、正回転・負トルクすなわち発電状態で駆動され、第2モータジェネレータMG2では、正回転・正トルクすなわち放電状態で駆動されている。
基本的に、実施例1のE-iVTシステムでは、エンジンEの動作点は、最適燃費線(以下、α線と記載する)をたどるように設定される。High-iVTモードでは、出力軸OUTの回転数とエンジン回転数が決定されている場合、一義的に第1モータジェネレータと第2モータジェネレータMG2の動作点が決定されてしまう。このとき、第2モータジェネレータMG2は比較的高回転であるため、有る程度効率を高めに維持できるが、第1モータジェネレータMG1は低回転領域で負トルクを発生するように駆動されている局面が多く、必ずしも効率の高い動作点で駆動されてはいない。
そこで、実施例1では、モータジェネレータクラッチMGCを半クラッチ制御することで、第1モータジェネレータMG1の回転数を上昇するように動作点変更を行い、第1モータジェネレータMG1の駆動効率を向上することとした。
ある運転点においてHigh-iVTモードにより駆動されると、図8の共線図に示す状態となり、第1モータジェネレータMG1の回転数が低い。このとき、図9の第1モータジェネレータMG1の動作点効率マップに示すように、第1モータジェネレータMG1の動作点はP1に示す位置となる。この位置は、効率が低い領域に存在するため、モータジェネレータクラッチMGCの半クラッチ制御により動力伝達を有る程度確保しつつ、第1モータジェネレータMG1の回転数を上昇させる。すると、第2リングギヤR2の回転数は半クラッチ制御前の同じ回転数で回転するものの、第1モータジェネレータMG1の回転数のみを上昇させることが可能となる。
これにより、第1モータジェネレータMG1が剛体レバーに与えることの可能なトルクは半クラッチ制御により若干低下するものの、第1モータジェネレータMG1の動作点を、効率の高い領域である動作点P2に変更できる。よって、第1モータジェネレータMG1の効率を向上することで燃費の向上を図ることができる。
次に、実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同様であるため、異なる点についてのみ説明する。
〔動作点変更時の半クラッチ制御処理〕
実施例2の動作点変更時の半クラッチ制御処理について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ201では、High-iVTモードかどうかを判断し、High-iVTモードのときはステップ202へ進み、それ以外のときは本ステップを繰り返す。
ステップ202では、図11に示すエンジンEの動作点効率マップから、現在のエンジンEの動作点効率が最適燃費線(以下、α線と記載する)から離れているかどうかを判断し、α線から離れているときは燃費効率が低いと判断してステップ203へ進み、それ以外のときは本ステップを繰り返す。
ステップ203では、エンジンクラッチECを半クラッチ制御し、エンジンEの動作点を効率の高い動作点に変更する。
上記動作点変更時の半クラッチ制御処理の作用について説明する。
図11は、High-iVTモードにおける共線図、図12はエンジンEの動作点(回転数,トルク)の等仕事線及びα線との関係を表す動作点効率マップである。High-iVTモード走行時には、エンジンクラッチECと、ハイクラッチHCと、モータジェネレータクラッチMGCの締結により変速比を無段階に変更しながら要求駆動力を達成する。このとき、第1モータジェネレータMG1では、正回転・負トルクすなわち発電状態で駆動され、第2モータジェネレータMG2では、正回転・正トルクすなわち放電状態で駆動されている。
基本的に、実施例1のE-iVTシステムでは、エンジンEの動作点は、ある仕事を行う際に燃料消費量が最も少なくなるα線をたどるように設定される。しかしながら、車速が低く、低い要求駆動力で走行している場合には、エンジン回転数を上昇させることができない。よって、必ずしもエンジン回転数をα線上に維持することができず、効率の高い動作点で駆動されてはいない。
そこで、実施例2では、エンジンクラッチECを半クラッチ制御することで、エンジンEの回転数を上昇させα線上に動作点変更を行い、エンジンEの駆動効率を向上することとした。
ある運転点においてHigh-iVTモードにより駆動されると、図11の共線図に示す状態となり、低車速で要求駆動力も低いときは、エンジン回転数も低い。このとき、図12のエンジンの動作点効率マップに示すように、エンジンEの動作点はP3に示す位置となる。この位置は、α線から離れた効率が低い領域に存在するため、エンジンクラッチECの半クラッチ制御により動力伝達を有る程度確保しつつ、エンジンEの回転数を上昇させる。すると、第2ピニオンキャリヤPC2及び第3リングギヤR3の回転数は半クラッチ制御前の同じ回転数で回転するものの、エンジンEの回転数のみを上昇させることが可能となる。
これにより、エンジンEが剛体レバーに与えることの可能なトルクは半クラッチ制御により若干低下するものの、エンジンEの動作点を、効率の高い領域であるα線上の動作点P4に変更できる。よって、エンジンEの効率を向上することで燃費の向上を図ることができる。尚、剛体レバーに与えることの可能なトルクが若干低下したとしても、基本的に要求駆動力の小さな領域であるため、問題とはならない。
以上、実施例1,2に基づいて説明したが、本願発明は実施例1,2に限られず、他の構成に適用しても良い。例えば、実施例1では、モータジェネレータクラッチMGCの半クラッチ制御を行い、実施例2では、エンジンクラッチECの半クラッチ制御を行ったが、これら両方の半クラッチ制御を併用しても良い。また、High-iVTモードにおいて半クラッチ制御を行ったが、他の走行モードであっても半クラッチ制御により動力源としてのモータジェネレータやエンジンの効率を向上するように動作点を変更しても良い。
また、実施例1,2では、FR型のE-iVTシステムに適用した例を示したが、FF型のE-iVTシステムに適用しても良い。要するに、動力源と差動装置との間のクラッチを有するものであれば、適宜そのクラッチを半クラッチ制御することで、動力伝達を確保しつつ回転数を変更することができる。これにより、最適な駆動効率を達成することが可能となり、燃費を向上することができる。
実施例1のエンジン始動制御装置は、3つのシングルピニオン型遊星歯車により構成された差動装置を有する駆動力合成変速機を搭載したハイブリッド車への適用例を示したが、例えば、特開2003−32808号公報等に記載されているようにラビニョウ型遊星歯車により構成された差動装置を有する駆動力合成変速機を搭載したハイブリッド車にも適用することができる。さらに、動力源としてエンジンと少なくとも2つのモータを有し、これらのエンジン及びモータと駆動出力部材とが接続される差動装置を有する駆動力合成変速機を備えた他のハイブリッド車にも適用することができる。
実施例1のエンジン始動制御装置が適用されたハイブリッド車を示す全体システム図である。 実施例1のエンジン始動制御装置を搭載したハイブリッド車において電気自動車モードでの5つの走行モードをあらわす共線図である。 実施例1のエンジン始動制御装置を搭載したハイブリッド車においてハイブリッド車モードでの5つの走行モードをあらわす共線図である。 実施例1のエンジン始動制御装置を搭載したハイブリッド車において走行モードの選択に用いられる走行モードマップの一例を示す図である。 実施例1のエンジン始動制御装置を搭載したハイブリッド車において「10の走行モード」でのエンジン・エンジンクラッチ・モータジェネレータ・ローブレーキ・ハイクラッチ・ハイローブレーキ・シリーズクラッチ・モータジェネレータクラッチの作動表である。 実施例1のエンジン始動制御装置を搭載したハイブリッド車において各係合要素との関係を示す共線図である。 実施例1の統合コントローラにて実行される半クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のHigh-iVTモードの状態を表す共線図である。 実施例1のモータジェネレータの動作点効率マップである。 実施例2の統合コントローラにて実行される半クラッチ制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2のHigh-iVTモードの状態を表す共線図である。 実施例2のエンジンの動作点効率マップである。
符号の説明
E エンジン
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ
OUT 駆動出力軸
PG1 第1遊星歯車
PG2 第2遊星歯車
PG3 第3遊星歯車
HC ハイクラッチ
EC エンジンクラッチ
SC シリーズクラッチ
MGC モータジェネレータクラッチ
LB ローブレーキ
HLB ハイローブレーキ
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 油圧制御装置
6 統合コントローラ
7 アクセル開度センサ
8 車速センサ
9 エンジン回転数センサ
10 第1モータジェネレータ回転数センサ
11 第2モータジェネレータ回転数センサ
12 第3リングギヤ回転数センサ
13 第2リングギヤ回転数センサ

Claims (3)

  1. エンジンと少なくとも1つのモータによる複数の動力源と、駆動輪へ動力を出力する出力部材とがそれぞれ回転要素に連結される遊星歯車列と、前記動力源と前記遊星歯車列との間に動力の伝達を断接可能な係合要素と、を有する差動歯車変速機と、
    運転点に応じて前記複数の動力源の出力トルク状態及び前記係合要素の締結状態を制御し、要求駆動力を達成する制御手段と、
    を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記動力源の動作点効率を検出し、動作点効率が低いと検出された時は、前記係合要素の相対回転を許容する半クラッチ制御により前記動力源の動作点を効率の高い動作点に変更することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記係合要素は、前記モータと前記遊星歯車列との間に配置されたクラッチであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項1または2いずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記係合要素は、前記エンジンと前記遊星歯車列との間に配置されたクラッチであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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