以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
<露光装置>
図1は、露光装置を含むデバイス製造システムを備えたデバイス製造工場の一実施形態を示す概略構成図である。図1において、デバイス製造工場FAは、露光装置EX−SYSを含むデバイス製造システムSYSを収容する建屋Bを備えている。デバイス製造システムSYSは、露光装置EX−SYS、及びコータ・デベロッパ装置や搬送系などを含む複数の周辺装置Sを含んで構成されている。
露光装置EX−SYSは、周辺装置Sとの接続部を形成するインターフェース部(不図示)、液体LQを介して基板P上に露光光ELを照射して基板Pを露光する露光装置本体EX、露光装置本体EXを収容するチャンバ装置CH、露光装置本体EXが収容されたチャンバ装置CH内部を空調する空調系5、露光装置EX−SYS全体の動作を統括制御する制御装置CONT、後述する液浸系100、及び露光装置EX−SYSを構成する各装置・機器に対して電力(動力)を供給する露光装置用電源3などを備えている。
また、複数の周辺装置Sのそれぞれも、周辺装置Sを構成する各装置・機器に対して電力(動力)を供給する周辺装置用電源6を備えている。
デバイス製造工場FAには、動力として、電力会社1より電力が供給される。電力会社1からの電力は、デバイス製造工場FAが備えている工場電源2に供給される。工場電源2は、露光装置EX−SYSや各周辺装置Sなど、デバイス製造システムSYSを構成する各装置が備えている電源のそれぞれに供給する。すなわち、露光装置EX−SYSが備えている露光装置用電源3には、露光装置外部の外部動力源である工場電源2から電力が供給される。露光装置EX−SYSは、露光装置用電源3から供給される電力によって動作する。同様に、周辺装置Sが備えている周辺装置用電源6に対して、工場電源2から電力が供給され、周辺装置Sは、周辺装置用電源6から供給される電力によって動作する。
露光装置用電源3は、工場電源2から電力を供給されることで、露光装置EX−SYSに対して電力を供給することができる。また、工場電源2は、電力会社1から電力を供給されることで、露光装置用電源3や周辺装置用電源6に対して電力を供給することができる。したがって、例えば電力会社1から工場電源2への電力の供給が停止したときや、工場電源2から露光装置用電源3への電力の供給が停止したときには、露光装置用電源3から露光装置EX−SYSへの電力の供給が停止する。
また、デバイス製造工場FAには、工場電源2、あるいは露光装置用電源3とは別の無停電電源4が設けられている。無停電電源4は、電力会社1から工場電源2への電力の供給が停止したときや、工場電源2から露光装置用電源3への電力の供給が停止したとき、あるいは露光装置用電源3から露光装置EX−SYSへの電力の供給が停止したときに、露光装置EX−SYSに対して電力(動力)を供給することができる。電力会社1から工場電源2への電力の供給が停止したときや、工場電源2から露光装置用電源3への電力の供給が停止したとき、あるいは露光装置用電源3から露光装置EX−SYSへの電力の供給が停止したときにおいては、露光装置EX−SYSの少なくとも一部は、無停電電源4より供給される電力で動作する。
次に、図2を参照しながら露光装置本体EXについて説明する。図2は、露光装置本体EXを示す概略構成図である。図2において、露光装置本体EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、基板Pを保持した基板ホルダPHを移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板P上に投影する投影光学系PLとを備えている。
本実施形態の露光装置本体EXを含む露光装置EX−SYSは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、投影光学系PLの像面側における露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たすための液浸系100を備えている。液浸系100は、投影光学系PLの像面側近傍に設けられ、液体LQを供給する供給口12及び液体LQを回収する回収口22を有するノズル部材70と、ノズル部材70に設けられた供給口12を介して投影光学系PLの像面側に液体LQを供給する液体供給系10と、ノズル部材70に設けられた回収口22を介して投影光学系PLの像面側の液体LQを回収する液体回収系20とを備えている。ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において、投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1を囲むように環状に形成されている。
露光装置EX−SYSは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給系10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部に、投影領域ARよりも大きく且つ基板Pよりも小さい液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する局所液浸方式を採用している。具体的には、露光装置EX−SYSは、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1の下面LSAと、投影光学系PLの像面側に配置された基板P上面との間の光路空間を液体LQで満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMを通過した露光光ELを基板Pに照射することによってマスクMのパターンを基板Pに投影露光する。制御装置CONTは、液体供給系10を使って基板P上に液体LQを所定量供給するとともに、液体回収系20を使って基板P上の液体LQを所定量回収することで、基板P上に液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する。
本実施形態では、露光装置EX−SYSとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ等の基材上に感光材(レジスト)を塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
ここで、本実施形態においては、露光装置EX−SYSのうち、露光装置本体EXのことを適宜、「本体系」と称する。すなわち、本体系EXとは、露光装置EX−SYSのうち、上述のインターフェース部、露光装置本体EXを収容するチャンバ装置CH、空調系5、制御装置CONT、液浸系100(液体供給系10、液体回収系20)、及び露光装置用電源3以外の構成要素を含むものとする。
照明光学系ILは、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域を設定する視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態においては、液浸領域LRを形成する液体LQとして純水が用いられている。純水は、ArFエキシマレーザ光のみならず、例えば、水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能である。マスクステージMSTは、マスクMを真空吸着(又は静電吸着)により保持する。マスクステージMSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含むマスクステージ駆動装置MSTDの駆動により、マスクMを保持した状態で、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微少回転可能である。マスクステージMST上には移動鏡91が設けられている。また、移動鏡91に対向する位置にはレーザ干渉計92が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計92によりリアルタイムで計測される。レーザ干渉計92の計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計92の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動し、マスクステージMSTに保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、複数の光学素子で構成されており、それら光学素子は鏡筒PKで保持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、本実施形態においては、投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1は、鏡筒PKより露出している。
基板ステージPSTは、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、投影光学系PLの像面側において、ベース部材BP上で移動可能である。基板ホルダPHは、例えば真空吸着等により基板Pを保持する。基板ステージPST上には凹部96が設けられており、基板Pを保持するための基板ホルダPHは凹部96に配置されている。そして、基板ステージPSTのうち凹部96以外の上面97は、基板ホルダPHに保持された基板Pの上面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面(平坦部)となっている。なお、投影光学系PLの像面側の光路空間K1を液体LQで満たし続けることができるならば、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面と基板ステージPSTの上面97との間に段差があっても構わない。
基板ステージPSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDの駆動により、基板Pを基板ホルダPHを介して保持した状態で、ベース部材BP上でXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に基板ステージPSTは、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能である。したがって、基板ステージPSTに支持された基板Pの上面は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ステージPSTの側面には移動鏡93が設けられている。また、移動鏡93に対向する位置にはレーザ干渉計94が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計94によりリアルタイムで計測される。また、露光装置EXは、例えば特開平8−37149号公報に開示されているような、基板ステージPSTに支持されている基板Pの上面の面位置情報を検出する斜入射方式のフォーカス・レベリング検出系30を備えている。フォーカス・レベリング検出系30は、基板Pの上面に対して検出光Laを投射する投射部31と、基板Pの上面で反射した検出光Laの反射光を受光する受光部32とを備えており、基板Pの上面の面位置情報(Z軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報)を露光前又は露光中に検出する。なお図では、フォーカス・レベリング検出系30は液体LQを介して基板Pの上面に検出光Laを照射しているが、液浸領域LRの外側で、液体LQを介さずに基板Pの上面に検出光Laを照射するようにしてもよい。また、フォーカス・レベリング検出系としては、静電容量型センサを使った方式のものを採用してもよい。レーザ干渉計94の計測結果は制御装置CONTに出力される。フォーカス・レベリング検出系30の検出結果も制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系30の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動装置PSTDを駆動し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角(θX、θY)を制御して基板Pの上面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込むとともに、レーザ干渉計94の計測結果に基づいて、基板PのX軸方向、Y軸方向、及びθZ方向における位置制御を行う。
以上、露光装置本体(本体系)EXについて説明した。図3に示すように、本体系EXを構成する各種機器に対しては、露光装置用電源3から電力(動力)が供給され、本体系EXを構成する各種機器は、露光装置用電源3から供給される電力によって動作する。一方、本体系EXには、工場電源2及び無停電電源4は接続されておらず、本体系EXを構成する各種機器に対しては、工場電源2及び無停電電源4から電力(動力)が直接的に供給されないようになっている。
次に、液浸系100の液体供給系10及び液体回収系20について説明する。液体供給系10は、液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管(供給流路)13とを備えている。供給管13の他端部はノズル部材70に接続されている。ノズル部材70の内部には、供給管13の他端部と供給口12とを接続する内部流路(供給流路)が形成されている。
本実施形態においては、液体供給系10は純水を供給するものであって、液体供給部11は、純水製造装置16、純水製造装置16に接続された加圧ポンプ14、及び供給する液体(純水)LQの温度を調整する温調装置17等を備えている。液体供給系10は、加圧ポンプ14により発生した気体の力によって液体LQを供給する。加圧ポンプ14は露光装置用電源3から供給される電力によって動作する。純水製造装置16と温調装置17とは供給管13’を介して接続されている。更に、液体供給部11は、供給管13’の流路(供給流路)を開閉するための開閉機構15を備えている。
なお、液体供給系10の加圧ポンプ14、純水製造装置16、開閉機構15、温調装置17等は、その全てを露光装置EX−SYSが備えている必要はなく、一部を露光装置EX−SYSが設置されるデバイス製造工場FAの設備を代用してもよい。あるいは、加圧ポンプ14、純水製造装置16、開閉機構15、温調装置17等を、露光装置EX−SYSの周辺装置Sとして設けてもよい。
開閉機構15は、温調装置17と純水製造装置16との間の供給管13’に設けられており、供給管13’の供給流路を開閉する。本実施形態における開閉機構15は、露光装置EX−SYSの動力源である露光装置用電源3から電力が供給されているときには、供給管13’の流路を開き、例えば停電等により露光装置用電源3が停止した場合に、供給管13’の供給流路を機械的に閉じる所謂ノーマルクローズ方式となっている。
図4は、開閉機構15の一例を示す図であって、図4(A)は供給管13’供給流路が開いている状態を示す図、図4(B)は供給管13’の供給流路が閉じている状態を示す図である。図4(A)において、開閉機構15は、シリンダ部151と、シリンダ部151の内側に配置されたピストン部152と、ピストン部152を図中、上方に付勢するばね部材153と、シリンダ部151のうち、ピストン部152の上面側の空間154にガスを供給するためのガス供給管155とを備えている。ガス供給管155の一端部は空間154に接続され、他端部はガス供給装置156に接続されている。本実施形態においては、ガス供給装置156として、デバイス製造工場FAが備えている設備が使用されている。
ガス供給管155の途中には電磁バルブ157が設けられており、露光装置用電源3から供給される電力によって動作する。電磁バルブ157に対して露光装置用電源3から電力が供給されている状態においては、電磁バルブ157はガス供給管155の流路を開ける。これにより、ピストン部152の上面側の空間154にガス供給管155を介してガスが供給され、その空間154の圧力が高められる。したがって、ピストン部152は、ばね部材153の付勢力に打ち勝って下方に移動する。ここで、ピストン部152の上部には切欠部158が形成されており、空間154の圧力によってピストン部152が下方に配置されている状態においては、切欠部158が供給管13’の供給流路上に配置されるようになっている。ピストン部152の切欠部158が供給管13’の供給流路上に配置される状態においては、供給管13’の供給流路は開状態になる。一方、露光装置用電源3からの電力の供給が停止し(停電し)、電磁バルブ157に対して露光装置用電源3から電力が供給されない状態においては、図4(B)に示すように、電磁バルブ157はガス供給管155の流路を閉じる。これにより、ピストン部152の上面側の空間154にガス供給管155を介してガスが供給されなくなり、その空間154の圧力が低下する。すると、ピストン部152は、ばね部材の153付勢力により上方に移動する。ここで、ピストン部152の下部はシリンダ部151とほぼ同じ径を有しており、ばね部材153の付勢力によってピストン部152が上方に配置されている状態においては、ピストン部152の下部が供給管13’の供給流路上に配置されるようになっている。ピストン部152の下部が供給管13’の供給流路上に配置される状態においては、供給管13’の供給流路は閉状態になる。
このように、開閉機構15は、電力によって動作し、露光装置用電源3からの電力の供給が停止した時に(露光装置用電源3の異常時に)、液体LQが流れる供給管13’の供給流路を機械的に閉じる。一方、開閉機構15は、露光装置用電源3からの電力に限らず、電力が供給されれば、供給管13’の供給流路を開けることができる。
なお、図4を参照して説明した開閉機構15は一例であって、電力が供給されているときに供給管13’の供給流路を開け、電力の供給が停止したときに供給管13’の供給流路を閉じる構成であれば、任意の構成を採用することができる。
図5は液体供給部11の構成を示す図である。なお図5には加圧ポンプは示されていない。液体供給部11は、純水製造装置16と、上述の開閉機構15と、純水製造装置16で製造された液体LQの温度を調整する温調装置17とを備えている。純水製造装置16は、例えば浮遊物や不純物を含む水を精製して所定の純度の純水を製造する純水製造器161と、純水製造器161で製造された純水から更に不純物を除いて高純度な純水(超純水)を製造する超純水製造器162とを備えている。純水製造器161(あるいは超純水製造器162)は、イオン交換膜やパーティクルフィルタ等の液体改質部材、及び紫外光照射装置(UVランプ)等の液体改質装置を備えており、これら液体改質部材及び液体改質装置により、液体の比抵抗値、異物(微粒子、気泡)の量、全有機体炭素、及び生菌の量等を所望値に調整する。
また、液体回収系20で回収された液体LQは、液体供給系10の液体供給部11に戻されるようになっている。具体的には、液体回収系20で回収された液体LQは、戻し管18を介して、液体供給部11の純水製造装置16(純水製造器161)に供給される。純水製造装置16は、戻し管18を介して戻された液体LQを上記液体改質部材及び液体改質装置等を使って精製した後、供給管13’を介して温調装置17に供給する。
温調装置17は、純水製造装置16で製造され、供給管13に供給される液体(純水)LQの温度調整を行うものであって、その一端部を供給管13’を介して純水製造装置16(超純水製造器162)に接続し、他端部を供給管13に接続しており、純水製造装置16で製造された液体LQの温度調整を行った後、その温度調整された液体LQを供給管13に送出する。温調装置17は、純水製造装置16の超純水製造器162から供給された液体LQの温度を粗く調整するラフ温調器171と、ラフ温調器171の流路下流側(供給管13側)に設けられ、供給管13側に流す液体LQの単位時間当たりの量を制御するマスフローコントローラと呼ばれる流量制御器172と、流量制御器172を通過した液体LQ中の溶存気体濃度(溶存酸素濃度、溶存窒素濃度)を低下させるための脱気装置173と、脱気装置173で脱気された液体LQ中の異物(微粒子、気泡)を取り除くフィルタ174と、フィルタ174を通過した液体LQの温度の微調整を行うファイン温調器175とを備えている。
ラフ温調器171は、超純水製造器162から送出された液体LQの温度を目標温度(例えば23℃)に対して例えば±0.1℃程度の粗い精度で温度調整するものである。流量制御器172は、ラフ温調器171で温度調整された液体LQの脱気装置173側に対する単位時間当たりの流量を制御する。
脱気装置173は、流量制御器172から送出された液体LQを脱気して、液体LQ中の溶存気体濃度を低下させる。脱気装置173としては、供給された液体LQを減圧することによって脱気する減圧装置など公知の脱気装置を用いることができる。また、中空糸膜フィルタ等のフィルタを用いて液体LQを気液分離し、分離された気体成分を真空系を使って除く脱気フィルタを含む装置や、液体LQを遠心力を使って気液分離し、分離された気体成分を真空系を使って除く脱気ポンプを含む装置などを用いることもできる。脱気装置173は、上記脱気フィルタを含む液体改質部材や上記脱気ポンプを含む液体改質装置によって、溶存気体濃度を所望値に調整する。
フィルタ174は、脱気装置173から送出された液体LQ中の異物を取り除くものである。流量制御器172や脱気装置173を通過するときに、液体LQ中に僅かに異物(particle)が混入する可能性が考えられるが、流量制御器172や脱気装置173の下流側(供給管13側)にフィルタ174を設けたことにより、そのフィルタ174によって異物を取り除くことができる。フィルタ174としては、中空糸膜フィルタやパーティクルフィルタなど公知のフィルタを用いることができる。上記パーティクルフィルタ等の液体改質部材を含むフィルタ174は、液体中の異物(微粒子、気泡)の量を許容値以下に調整する。
ファイン温調器175は、高精度に液体LQの温度調整を行う。例えばファイン温調器175は、フィルタ174から送出された液体LQの温度(温度安定性、温度均一性)を目標温度に対して±0.01℃〜±0.001℃程度の高い精度で微調整する。本実施形態においては、温調装置17を構成する複数の機器のうち、ファイン温調器175が液体LQの供給対象である基板Pに最も近い位置に配置されているので、高精度に温度調整された液体LQを基板P上に供給することができる。
上述したように、純水製造器161、超純水製造器162、脱気装置173、及びフィルタ174等は、液体改質部材及び液体改質装置をそれぞれ備えており、液体LQのコンディション、性質、及び成分のうち少なくとも1つを調整するための調整装置を構成している。そして、純水製造装置16及び温調装置17を構成する調整装置の一部、例えば上述のUVランプや温調器、脱気装置などは、露光装置用電源3から供給される電力によって動作する。
なお、例えば純水製造装置16は、電気再生式純水装置を含んで構成されていてもよい。電気再生式純水装置も、露光装置用電源3から供給される電力によって動作する。
図2に戻って、液体回収系20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、真空系25と、真空系25にその一端部を接続する回収管23とを備えている。回収管23の他端部はノズル部材70に接続されている。ノズル部材70の内部には、回収管23の他端部と回収口22とを接続する内部流路(回収流路)が形成されている。
真空系25は真空ポンプを含んで構成されている。真空系25が駆動することにより、液体LQはノズル部材70の回収口22を介して回収される。回収管23の途中には、ノズル部材70の回収口22から吸い込まれた液体LQと気体とを分離する気液分離器24が設けられている。気液分離器24は、回収口22より回収した液体LQと気体とを分離する。真空系25は、気液分離器24で分離された気体を吸引するようになっている。一方、気液分離器24で分離された液体LQは回収管26を介して液体回収部21に回収される。液体回収部21は、回収された液体LQを収容するタンク等を備えている。
上述のように、本実施形態においては、液体回収部21に回収された液体LQの少なくとも一部は戻し管18を介して純水製造装置16に戻され、再利用されるが、液体回収部21は、回収した液体LQを純水製造装置16に戻す前にクリーン化する処理装置を備えている。すなわち本実施形態の露光装置EX−SYSは、液体供給系10と、液体回収系20との間で液体LQを循環する循環系を備えた構成となっている。なお、液体回収系20で回収した液体LQを液体供給系10に全く戻さずに、デバイス製造工場FAの供給源より供給された液体(水)LQを純水製造装置16で精製した後、投影光学系PLの像面側に供給するようにしてもよい。
なお、液体回収系20の真空系25、気液分離器24、液体回収部21のタンク、処理装置等は、その全てを露光装置EX−SYSが備えている必要はなく、一部を露光装置EX−SYSが設置されるデバイス製造工場FAの設備を代用してもよい。あるいは、真空系25、気液分離器24、液体回収部21のタンク、処理装置等を、露光装置EX−SYSの周辺装置Sとして設けてもよい。
なお、液体供給系10と液体回収系20は、露光装置EX−SYS内に配置してもよいが、液体供給系10の一部と液体回収系20の一部の少なくともいずれか一方を、例えば露光装置EX−SYSが設置される工場の床上や床下の配置するようにしてもよい。
そして、液体回収系20の真空系25や気液分離器24、処理装置などは露光装置用電源3から供給される電力によって動作する。
液体LQを供給する供給口12及び液体LQを回収する回収口22はノズル部材70の下面70Aに形成されている。ノズル部材70の下面70Aは、基板Pの上面、及び基板ステージPSTの上面97と対向する位置に設けられている。ノズル部材70は、第1光学素子LS1の側面を囲むように設けられた環状部材であって、供給口12は、ノズル部材70の下面70Aにおいて、投影光学系PLの第1光学素子LS1(投影光学系PLの光軸AX)を囲むように複数設けられている。また、回収口22は、ノズル部材70の下面70Aにおいて、第1光学素子LS1に対して供給口12よりも外側に設けられており、第1光学素子LS1及び供給口12を囲むように設けられている。
そして、制御装置CONTは、液体供給系10を使って基板P上に液体LQを所定量供給するとともに、液体回収系20を使って基板P上の液体LQを所定量回収することで、基板P上に液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する。液体LQの液浸領域LRを形成する際、制御装置CONTは、液体供給部11及び液体回収部21のそれぞれを駆動する。制御装置CONTの制御のもとで液体供給部11から液体LQが送出されると、その液体供給部11から送出された液体LQは、供給管13を流れた後、ノズル部材70の供給流路を介して、供給口12より投影光学系PLの像面側に供給される。また、制御装置CONTのもとで真空系25が駆動されると、投影光学系PLの像面側の液体LQは回収口22を介してノズル部材70の回収流路に流入し、回収管23を流れた後、液体回収部21に回収される。
以上、液体供給系10及び液体回収系20について説明した。図3に示すように、液体供給系10及び液体回収系20を構成する各種機器に対しては、露光装置用電源3から電力(動力)が供給され、液体供給系10及び液体回収系20を構成する各種機器は、露光装置用電源3から供給される電力によって動作する。また、液体供給系10には、工場電源2及び無停電電源4が接続されており、液体供給系10を構成する各種機器に対しては、工場電源2及び無停電電源4からも直接電力(動力)が供給可能となっている。そして、液体供給系10を構成する各種機器は、工場電源2あるいは無停電電源4から供給された電力によって動作可能となっている。同様に、液体回収系20には、工場電源2及び無停電電源4が接続されており、液体回収系20を構成する各種機器に対しては、工場電源2及び無停電電源4からも直接電力(動力)が供給可能となっている。そして、液体回収系20を構成する各種機器は、工場電源2あるいは無停電電源4から供給された電力によって動作可能となっている。
また、図3に示すように、露光装置EX−SYSは、露光装置用電源3の異常時において、露光装置EX−SYSの状態を検出する異常時状態検出系40を備えている。ここで、「露光装置用電源3の異常」とは、露光装置用電源3から露光装置EX−SYSを構成する各種機器への電力の供給が停止した状態が含まれる。この場合、何らかの原因(露光装置用電源3の故障など)で、露光装置用電源3から露光装置EX−SYSを構成する各種機器への電力の供給が停止した状態も含まれる。また、上述のように、電力会社1から工場電源2への電力の供給が停止したり、工場電源2から露光装置用電源3への電力の供給が停止した場合においても、露光装置用電源3から露光装置EX−SYSを構成する各種機器への電力の供給が停止される。したがって、「露光装置用電源3の異常」とは、例えば電力会社1から工場電源2への電力の供給が停止したり、工場電源2から露光装置用電源3への電力の供給が停止した状態も含まれる。
露光装置用電源3に異常が生じた場合、図3を参照して説明したように、本体系EXには電力が供給されないため、その本体系EXが備えているレーザ干渉計やフォーカス・レベリング検出系、あるいは各種センサは動作しない。したがって、正常時に本体系EXが使用するレーザ干渉計やフォーカス・レベリング検出系、あるいは各種センサを使って、露光装置用電源3に異常が発生した後の露光装置EX−SYSの状態を検出することは困難である。
そこで、本実施形態の露光装置EX−SYSは、露光装置用電源3に異常が発生した後においても、露光装置EX−SYSの状態を検出するための検出系(検出装置)を、本体系EXとは別に備えている。図3に示すように、異常時状態検出系40は、工場電源2及び無停電電源4と接続しており、異常時状態検出系40を構成する各種機器に対して、工場電源2及び無停電電源4から直接電力(動力)が供給可能となっている。すなわち、異常時状態検出系40を構成する各種機器は、工場電源2あるいは無停電電源4から供給された電力によって動作可能となっている。
図3に示すように、異常時状態検出系40は、ステージ位置検出装置41、回収管圧力計44、及び制御部45を含んで構成されている。ここで、ステージ位置検出装置41は、投影光学系PLと、投影光学系PLの像面側で移動可能な基板ステージPST(基板P)との位置関係を検出するものである。回収管圧力計44は、液体回収系20が液体回収動作を実行可能な状態か否かを検出するものである。制御部45は、露光装置用電源3の異常時に、工場電源2あるいは無停電電源4から供給される電力によって動作するものである。
図6は、ステージ位置検出装置41の一例を示す図である。図6において、ステージ位置検出装置41は、投影光学系PLに対する基板ステージPSTの位置を光学的に検出するものであって、所定位置に固定され、検出光Lbを射出する複数の投射部42と、複数の投射部42のそれぞれに対応するように設けられた受光部43とを備えている。投射部42は、例えば投影光学系PLを支持するコラムと呼ばれる支持部材などに固定されている。一方、受光部43は、投射部42から射出された検出光Lbに対して所定の位置関係で設けられている。
本実施形態において、投射部42はY軸方向に3つ並んで設けられている。受光部43は、3つの投射部42のそれぞれに対向するように、Y軸方向に3つ並んで設けられている。そして、投射部42と受光部43との間に基板ステージPSTが配置されるようになっている。
ここで、基板ステージPSTは、投影光学系PLに対して所定の位置関係となることで投影光学系PLとの間で液体LQを保持することができ、液浸領域LRを形成することができる。そして、図6(A)に示す状態においては、基板ステージPSTが投影光学系PLと対向する位置にあり、投影光学系PLとの間で液体LQを保持することができる(なお図6には投影光学系及び液体は示されていない)。そして、図6(A)に示す状態においては、3つの投射部42から投射された検出光Lbのそれぞれは、基板ステージPSTの側面に照射されるため、受光部43に達しない。すなわち、3つの受光部43が検出光Lbを受光しない状態においては、基板ステージPSTは投影光学系PLとの間で液体LQを保持可能な位置にある。一方、図6(B)に示すように、投影光学系PLに対して基板ステージPSTのY軸方向に関する位置がずれ、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持不能な位置にある場合には、3つの投射部42から射出された検出光Lbのうち、少なくとも1つの検出光Lbは基板ステージPSTの側面を照射せず、受光部43に達する。すなわち、3つの受光部43のうち、少なくとも1つの受光部43が検出光Lbを受光した状態においては、基板ステージPSTは投影光学系PLとの間で液体LQを保持不能な位置にある。このように、ステージ位置検出装置41は、受光部43の検出結果に基づいて、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持可能な位置にあるか否かを求めることができる。
なおここでは、簡単のため、基板ステージPSTのY軸方向に関しての位置検出のみについて説明したが、ステージ位置検出装置41は、基板ステージPSTのX軸方向に関する位置も検出するために、X軸方向に複数(3つ)並んだ投射部42と、それら投射部42に対応する複数(3つ)の受光部43とを備えている。ステージ位置検出装置41は、Y軸方向に複数並んだ受光部43のそれぞれの検出結果と、X軸方向に複数並んだ受光部43のそれぞれの検出結果とに基づいて、露光装置用電源3に異常が発生した後においても、投影光学系PLに対する基板ステージPSTのXY方向に関する位置を検出することができる。
また、投影光学系PLの下面LSAと基板ステージPSTの上面97あるいは基板Pの上面との間に液体LQを保持するためには、投影光学系PLの下面LSAと基板ステージPSTの上面97あるいは基板Pの上面とのZ軸方向に関する位置関係(距離)も所望状態にする必要がある。そのため、ステージ位置検出装置41は、投影光学系PLに対する基板ステージPSTのZ軸方向に関する位置も検出可能であることが望ましい。
なお、ステージ位置検出装置41は上述したような光学式のものに限られず、各種の検出方式を適用できることは言うまでもない。
また、異常時状態検出系40は、液体回収系20が液体回収動作を実行可能な状態か否かを検出する回収管圧力計44を備えている。図2に示すように、回収管圧力計44は、回収管23の途中に設けられており、回収管23の圧力を検出し、その検出結果に基づいて、真空系25が駆動しているか否かを検出する。真空系25が駆動している場合、液体回収系20は液体回収動作を実行可能である。そして、真空系25が駆動している場合、回収管23は負圧になる(圧力が低下する)ため、回収管圧力計44の検出結果に基づいて、真空系25が駆動しているか否か、すなわち液体回収系20が液体回収動作を実行可能かどうかを把握することができる。このように、回収管圧力計44は、液体回収系20が液体回収動作を実行可能な状態か否かを検出することができる。
<動作の第1実施形態>
次に、上述した構成を有する露光装置EX−SYSの動作の第1実施形態について、図7を参照しながら説明する。以下の説明においては、露光装置用電源3の異常として、電力会社1から工場電源2への電力の供給が停止し、それに伴って露光装置用電源3から露光装置EX−SYSへの電力の供給が停止した場合を例にして説明する。また、露光装置用電源3から露光装置EX−SYSへの電力の供給が停止した状態を適宜、「停電」と称する。
図7(A)は、露光装置EX−SYSが正常に動作している状態を示す模式図である。図7(A)に示すように、正常動作時においては、工場電源2から露光装置用電源3に電力が供給されており、露光装置用電源3は、本体系EX、液体供給系10、及び液体回収系20のそれぞれに電力を供給している。
図7(B)は、露光装置用電源3に異常が生じた状態を示す模式図である。電力会社1から工場電源2への電力の供給が停止し、停電状態になった場合、露光装置用電源3から本体系EX、液体供給系10、及び液体回収系20のそれぞれに対する電力の供給が停止する。図4を参照して説明したように、液体供給系10のうち、開閉機構15の電磁バルブ157に対する電力の供給が停止すると、開閉機構15は液体供給系10の供給流路を閉じる。これにより、液体LQが流出するなどの不都合の発生を抑制することができる。
ここで、開閉機構15が液体供給系10の供給流路を閉じた後、液体供給系10の供給流路のうち、開閉機構15の上流側(純水製造装置16側)の供給流路には液体LQが留まった状態となる。あるいは、液体供給系10の供給流路のうち、開閉機構15の下流側の供給管13’の内部や供給管13の内部、あるいはノズル部材70の内部流路に液体LQが留まった状態となる。あるいは、回収管23の内部にも液体LQが留まった状態となる。
図7(C)は、電力会社1から工場電源2への電力の供給が再開され、停電状態が復帰した後の状態を示す図である。ここで、本実施形態においては、電力会社1から工場電源2への電力の供給が再開された後においても、露光装置用電源3は露光装置EX−SYSへの電力の供給を行わないように(復帰しないように)設定されている。すなわち、工場電源2が復帰した後においても、露光装置用電源3による動力の供給は停止されている。停電時においては、例えば作業者が本体系EXの点検などのために本体系EXにアクセスする可能性があるが、作業者が本体系EXにアクセス中に、停電状態が復帰し、露光装置用電源3が本体系EXに電力を供給し、本体系EXの各種駆動部が駆動すると、作業者に影響を与える可能性がある。そこで、停電状態が復帰した後においても、露光装置用電源3は自動的に動作しないように設定されている。すなわち、電力会社1から工場電源2への電力供給が再開され、停電状態が復帰した後においても、露光装置用電源3は電力の供給を停止している。
本実施形態においては、液体LQとして純水が用いられており、液体LQが留まった状態を長時間放置しておくと、供給管13、13’の供給流路やノズル部材70の内部流路、あるいは回収管23の回収流路にバクテリアが発生する可能性があり、これら流路が汚染する可能性がある。すなわち、液体供給系10の動作を長時間停止し(流路に液体LQを長時間流さないようにし)、流路に液体LQが留まった状態を放置しておくと、流路が汚染される可能性が高くなる。特に、供給管13、13’の供給流路や、ノズル部材70のうち供給口12に接続する内部流路(供給流路)が汚染されると、供給口12を介して投影光学系PLの像面側に液体LQを供給するとき、その供給流路を通過することによって液体LQが汚染され、汚染された液体LQが投影光学系PLの像面側に供給される虞がある。
ところが、本実施形態においては、図3を参照して説明したように、開閉機構15を含む液体供給系10には、工場電源2から直接電力が供給できるようになっている。したがって、電力会社1から工場電源2への電力供給が再開され、工場電源2が異常な状態(停電状態)から正常な状態(稼動状態)に復帰した後においては、図7(C)に示すように、工場電源2は、開閉機構15を含む液体供給系10に対して電力を供給する。工場電源2から開閉機構15に電力が供給されることにより、図4を参照して説明したように、電磁バルブ157がガス供給管155の流路を開けて、空間154にガスを供給するので、ピストン部152を下方に移動して、液体供給系10の供給管13’の供給流路を開けることができる。このように、工場電源2は、開閉機構15に電力を供給し、液体供給系10の供給流路を開状態にする。
また、液体供給系10の加圧ポンプ14として、デバイス製造工場FAの設備を使用する場合には、工場電源2が復帰することで、電力によって動作する加圧ポンプ14の動作も復帰する。
また上述のように、ピストン部152を下方に下げるためのガス供給装置156としてデバイス製造工場FAの設備を使用しているため、工場電源2が復帰することで、電力によって動作するガス供給装置の動作も復帰する。
また、上述のように、液体供給系10の純水製造装置16は、供給する液体LQのコンディション、性質、及び成分のうち少なくとも一つを調整する複数の調整装置を含んでいるが、それら複数の調整装置のうち電力で駆動する調整装置(例えばUVランプなど)に対しても、工場電源2から電力が供給されるので、純水製造装置16の調整装置の動作を再開(復帰)することができる。同様に、温調装置17の動作も再開することができる。
また、液体供給系10の純水製造装置16として、デバイス製造工場FAの設備を使用する場合には、工場電源2が復帰することで、純水製造装置16の動作も復帰する。同様に、液体供給系10の温調装置17として、デバイス製造工場FAの設備を使用する場合には、工場電源2が復帰することで、温調装置17の動作も復帰する。
また、本実施形態においては、液体回収系20に対しても工場電源2から電力が供給されるので、工場電源2が復帰した後、液体供給系10による液体供給動作と、液体回収系20による液体回収動作とを並行して行うことができる。
また、液体回収系20の真空系25として、デバイス製造工場FAの設備を使用する場合には、工場電源2が復帰することで、真空系25の動作も復帰される。
以上説明したように、露光装置用電源3が電力の供給を停止している時に、開閉機構15を含む液体供給系10に対して工場電源2から電力が供給されるので、液体供給系10を動作させることができ、液体供給系10の供給流路に液体LQを流すことができる。したがって、供給流路やノズル部材70の内部流路などに液体が留まった状態を解除することができ、流路が汚染することを防止することができる。
本実施形態においては、工場電源2が停電した後、復帰するまでの時間においては、開閉機構15は供給流路を閉じているため、液体供給系10の供給流路には液体LQが流れないが、その時間は僅かであるため、バクテリアなどの発生を抑制することができる。一方、工場電源2と液体供給系10とを接続せず、工場電源2が復帰した後において、例えば作業者が露光装置用電源3の動作を復帰させる構成も考えられる。ところが、夜間や週末、あるいは長期休暇中など、デバイス製造工場FAに作業者がいないときに、停電(電力会社1から工場電源2への電力供給の停止)が発生した場合、たとえ工場電源2が復帰したとしても、作業者による露光装置用電源3の復帰動作を直ちに行うことはできない。その場合、流路にバクテリアを発生させてしまう可能性が高くなる。本実施形態においては、露光装置用電源3が異常時に、液体供給系10や液体回収系20に対して工場電源2から電力が供給されるので、流路に液体LQを流すことができ、バクテリアの発生を防止することができる。
なお、本第1実施形態のように、停電などによって露光装置用電源3に異常が生じた場合に、工場電源2で液体供給系10を動作させる場合には、上述の無停電電源4を省略して、装置の簡略化、低コスト化を図ることもできる。
<動作の第2実施形態>
次に、露光装置EX−SYSの動作の第2実施形態について図8を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、露光装置用電源3の異常時に、開閉機構15を含む液体供給系10に対して無停電電源4から電力が供給される点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図8(A)は、図7(A)同様、露光装置EX−SYSが正常に動作している状態を示す模式図である。
図8(B)は、電力会社1から工場電源2への電力供給が停止した状態、すなわち停電時を示す模式図である。停電時においては、露光装置用電源3から本体系EX、液体供給系10、及び液体回収系20のそれぞれに対する電力の供給が停止する。
停電が発生した場合、液体供給系10に対して無停電電源4から電力が供給される。停電が発生したとき、無停電電源4は、液体供給系10に対する電力の供給を、例えば内蔵バッテリに切り替えて無瞬断給電する。その後、無停電電源4は、長時間の停電に備えて、内蔵発電機を起動し、液体供給系10に対する電力供給をバッテリから発電機に切り替える。なお、無停電電源4としては上述した形態に限られず、公知の無停電電源を採用することができる。
図8(C)は、無停電電源4が液体供給系10及び液体回収系20に電力を供給している状態を示す図である。無停電電源4は、開閉機構15を含む液体供給系10に対して電力を供給することにより、液体供給系10を動作し、液体供給系10の供給流路に液体LQを流す。無停電電源4は、開閉機構15に電力を供給し、供給流路を開状態にするとともに、純水製造装置16のうち電力によって動作する調整装置に電力を供給する。これにより、所望状態の(清浄な)液体LQを生成して流すことができる。
また、無停電電源4は、液体回収系20に対しても電力を供給するので、液体供給系10の液体供給動作と液体回収系20の液体回収動作とが並行して行われる。
以上説明したように、露光装置用電源3の異常時に、液体供給系10に対して無停電電源4から電力を供給することもできる。この場合、上述の第1実施形態に比べて、供給流路に液体LQが流れない時間を短くすることができ(あるいは無くすことができ)、バクテリアの発生をより確実に防止できる。
なお、無停電電源4として、デバイス製造工場FAの設備を代用してもよいし、露光装置EX−SYSが無停電電源を備えた構成であってもよい。例えば、加圧ポンプ14や純水製造装置16、あるいは真空系25など、液浸系100の一部として、デバイス製造工場FAの設備を使用する場合には、無停電電源4もデバイス製造工場FAが備えた構成が好ましい。一方、露光装置EX−SYSが、加圧ポンプ14や純水製造装置16、あるいは真空系25を含む液浸系100の全部を備えた構成の場合には、無停電電源4も、露光装置EX−SYSが備えた構成であってよい。
また、上述の第1、第2実施形態においては、工場電源2及び無停電電源4のどちらか一方を用いる場合について説明したが、工場電源2と無停電電源4とを組み合わせて使ってもよい。例えば、停電時(露光装置用電源3の異常時)においては、無停電電源4は、液体回収系20、及び液体供給系10のうち純水製造装置のみに電力を供給する。そして、停電復帰後(工場電源2が復帰後)、液体供給系10の開閉機構15に対して工場電源2から電力を供給するようにしてもよい。
あるいは、停電などの露光装置用電源3の異常が生じた直後は、無停電電源4により液体供給系10及び液体回収系20に電力を供給し、工場電源2が復帰した後は、工場電源2を用いて液体供給系10及び液体回収系20に電力を供給して、露光装置用電源3が電力を供給できるようになるのを待つようにしてもよい。
<動作の第3実施形態>
上述の第1及び第2実施形態においては、露光装置用電源3に異常が生じた場合の基本的な動作を説明したが、液体供給系10の開閉機構15で供給流路を開状態にする場合には、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持するために、投影光学系PLと対向して物体(基板ステージPSTなど)が配置されていることが望ましい。図9に示す第3実施形態は、この点を考慮した露光装置EX−SYSの動作の一例である。本実施形態の特徴的な部分は、露光装置用電源3に異常が生じた後の露光装置EX−SYSの状態に応じて、液体供給系10に対する無停電電源4からの電力の供給が制御される点にある。
図9(A)は、露光装置EX−SYSが正常に動作している状態を示す模式図である。図9(A)に示すように、正常動作時においては、露光装置用電源3は、本体系EX、液体供給系10、及び液体回収系20のそれぞれに電力を供給している。
図9(B)は、停電直後を示す模式図である。停電直後においては、露光装置用電源3から本体系EX、液体供給系10、及び液体回収系20のそれぞれに対する電力の供給が停止している。また、停電直後においては、開閉機構15は、液体供給系10の供給流路を閉じている。
図9(C)に示すように、停電が発生すると、無停電電源4は、図3などを参照して説明した異常時状態検出系40のステージ位置検出装置41及び回収管圧力計44のそれぞれに電力を供給する。ここで、異常時状態検出系40は、ステージ位置検出装置41及び回収管圧力計44のそれぞれの検出結果を処理する制御部45を備えている。無停電電源4は制御部45にも電力を供給する。
また、無停電電源4と液体供給系10との間には、制御部45で制御されるスイッチ装置46が配置されている。スイッチ装置46がON状態では、無停電電源4から液体供給系10へ電力供給が行われ、スイッチ装置46がOFF状態では、無停電電源4から液体供給系10への電力供給が遮断される。
露光装置用電源3に異常が発生した後、液体供給系10に無停電電源4から電力が供給される前に、異常時状態検出系40によって、露光装置EX−SYSの状態が検出される。異常時状態検出系40には、無停電電源4から電力が供給されているため、異常時状態検出系40は、無停電電源4から供給される電力によって動作可能である。このとき、スイッチ装置46はOFF状態となっており、無停電電源4から液体供給系10への電力供給は遮断されている。
上述のように、投影光学系PLの像面側で移動可能に設けられた基板ステージPST(基板P)は、投影光学系PLに対して所定の位置関係にあるときに投影光学系PLとの間で液体LQを保持することができ、投影光学系PLに対して所定の位置関係にないときには投影光学系PLとの間に液体LQを保持することができない。したがって、基板ステージPSTが投影光学系PLに対して所定の位置関係にないときに、液体供給系10に電力を供給して液体供給系10を動作させてしまうと、投影光学系PLと基板ステージPSTとの間に液体LQを保持することができず、液体LQが流出する等の不都合が生じる。
したがって、露光装置用電源3に異常が生じた後の投影光学系PLと基板ステージPSTとの位置関係に応じて、液体供給系10に対する電力の供給を制御することで、液体LQの流出を防止することができる。すなわち、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持可能な位置にあるときには、制御部45によりスイッチ装置46がON状態にされ、液体供給系10に対して無停電電源4から電力が供給される。これにより、開閉機構15が開状態となり、液体供給系10の動作が再開される。一方、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持不能な位置にあるときには、制御部45によって、スイッチ装置46がON状態にならないので、液体供給系10に対して電力は供給されない。
また、露光装置用電源3に異常が生じた場合には、液体回収系20は無停電電源4から供給される電力によって動作するが、液体回収系20の真空系25が何らかの原因(故障など)で動作していない場合、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収することができないため、液浸領域LRを良好に形成できず、液体LQが所望領域以外の領域に流出するなどの不都合が生じる。
したがって、露光装置用電源3に異常が生じた後の液体回収系20の状態に応じて、液体供給系10に対する電力の供給を制御することで、液体LQの流出を防止することができる。すなわち、液体回収系20が液体回収動作を実行可能なときには、制御部45はスイッチ装置46をON状態にして液体供給系10に対して無停電電源4から電力を供給する。一方、無停電電源4から液体回収系20に電力を供給しているにもかかわらず、液体回収系20が液体回収動作を実行不能なときには、制御部45はスイッチ装置46のOFF状態を維持し、液体供給系10に対して電力が供給されないようにする。
異常時状態検出系40のうちステージ位置検出装置41は、投影光学系PLと基板ステージPSTとの位置関係を検出する。ステージ位置検出装置41の検出結果は制御部45に出力される。そして、ステージ位置検出装置41の検出結果に基づいて、液体供給系10に対する電力の供給が制御される。具体的には、露光装置用電源3に異常が発生した後、図6を参照して説明したように、ステージ位置検出装置41が投影光学系PLと基板ステージPSTとの位置関係を検出する。ステージ位置検出装置41の検出結果は制御部45に出力される。制御部45は、ステージ位置検出装置41(受光部43)の検出結果に基づいて、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持可能な位置にあるか否かを判断する。そして、この制御部45の判断結果に基づいて、液体供給系10に対する無停電電源4からの電力供給が制御される。
また、異常時状態検出系40のうち回収管圧力計44は、液体回収系20が液体回収動作を実行可能な状態か否かを検出する。回収管圧力計44の検出結果は制御部45に出力される。そして、回収管圧力計44の検出結果に基づいて、液体供給系10に対する電力の供給が制御される。具体的には、露光装置用電源3に異常が発生した後、回収管圧力計44が回収管23の圧力を検出する。回収管圧力計44の検出結果は制御部45に出力される。制御部45は、回収管圧力計44の検出結果に基づいて、真空系25が動作しているか否か、すなわち液体回収系20が液体回収動作を実行可能な状態か否かを判断する。そして、この制御部45の判断結果に基づいて、液体供給系10に対する無停電電源4からの電力供給が制御される。
そして、ステージ位置検出装置41の検出結果に基づいて、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持可能な位置にあると判断されるとともに、回収管圧力計44の検出結果に基づいて、液体回収系20が液体回収動作を実行可能な状態であると判断された場合、制御部45は、液体供給系10からの液体供給が可能と判断し、スイッチ装置46をON状態にする。これにより、液体供給系10に対して無停電電源4から電力が供給され、開閉機構15が開状態となり、液体供給系10の供給流路に液体LQが流れる。このとき、基板ステージPSTは投影光学系PLとの間で液体LQを保持可能な位置にあるため、投影光学系PLの像面側に供給された液体LQが漏出する不都合が防止されている。また、液体回収系20は液体LQを回収可能であるため、液体LQの流出が防止されている。図9(D)には、露光装置用電源3の異常時において、無停電電源4より液体供給系10及び液体回収系20のそれぞれに対して電力が供給され、液体供給系10による液体供給動作と液体回収系20による液体回収動作とが並行して行われている状態が示されている。
一方、ステージ位置検出装置41の検出結果に基づいて、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持不能な位置にあると判断された場合、もしくは、回収管圧力計44の検出結果に基づいて、液体回収系20が液体回収動作を実行不能な状態であると判断された場合、液体供給系10に対して無停電電源4から電力は供給されない。これにより、液体LQの流出を防止することができる。
以上説明したように、露光装置用電源3に異常が発生した後の露光装置EX−SYSの状態に応じて、液体供給系10や液体回収系20の流路に液体LQを流すことができ、バクテリアの発生などの不都合の発生を防止できる。
また、露光装置EX−SYSの状態を検出するための異常時状態検出系40に無停電電源4から電力を供給するようにしたので、露光装置用電源3の異常時においても、露光装置EX−SYSの状態を検出することができ、その検出結果に基づいて、液体供給系10に対する電力の供給を行うか否かを制御することができる。
なお、本第3実施形態において、無停電電源4を省略して、工場電源2が復帰した後に、工場電源2から異常時状態検出系40と液体回収系20に工場電源2から電力を供給し、さらに異常時状態検出系40の制御部45が液体供給系10に電力を供給してもよいと判断した場合に、工場電源2から液体供給系10に電力を供するようにしてもよい。この場合、工場電源2が復帰するまで露光装置EX−SYSの状態が検出できないので、無停電電源4を使う場合に比べて液体供給系10への電力供給の開始が遅れるが、液体供給系10の長時間(長期間)の停止を避けることができる。
また、本実施形態においても、工場電源2と無停電電源4とを組み合わせて使ってもよい。例えば、停電時(露光装置用電源3の異常時)においては、無停電電源4は、異常時状態検出系40及び液体回収系20に電力を供給する。液体回収系20は、露光装置EX−SYSの状態(基板ステージPSTの位置など)にかかわらず、無停電電源4によって常時動作していてもよい。また、異常時状態検出系40も、無停電電源4によって常時動作することにより、露光装置EX−SYSの状態を良好に把握することができる。そして、異常時状態検出系40で液体供給系10へ電力供給を行ってもよいと判断された場合に、液体供給系10に工場電源2から電力が供給されるようにする。これにより、異常時状態検出系40が露光装置EX−SYSの状態を検出し、基板ステージPSTの位置や液体回収系20の動作が確認された後、液体供給系10が動作するので、液体LQの流出をより確実に防止することができる。
なお本実施形態においては、液体供給系10に対して工場電源2または無停電電源4から電力を供給するか否かを制御部45が判断するように説明したが、ステージ位置検出装置41や回収管圧力計44の検出結果に基づいて、作業者が液体供給系10に対して電力を供給するか否かを判断するようにしてもよいし、露光装置EX−SYS以外の周辺装置Sや外部装置が判断してもよい。あるいは、ステージ位置検出装置41が、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持可能な位置にある状態であることを検出し、且つ回収管圧力計44が、液体回収系20が液体LQの液体回収動作を実行可能な状態であることを検出したとき、無停電電源4(又は工場電源2)より液体供給系10に対して自動的に電力が供給されるようにしてもよい。
また、本実施形態において、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持不能な位置にある状態であるとき、例えば基板ステージPST以外の所定部材が投影光学系PLとの間で液体LQを保持可能な位置に配置されるように、その所定部材を動かすための駆動系を設け、その駆動系に対して無停電電源4(又は工場電源2)より電力を供給し、所定部材を投影光学系PLの間で液体LQを保持可能な位置に配置するようにしてもよい。そして、所定部材を投影光学系PLの間で液体LQを保持可能な位置に配置した後、液体供給系10に対して無停電電源4(又は工場電源2)より電力を供給することができる。
<動作の第4実施形態>
次に、図10を参照しながら露光装置EX−SYSの動作の第4実施形態について説明する。
上述の第3実施形態においては、液体回収系20が液体回収動作を実行可能なとき、且つ投影光学系PLと基板ステージPSTとの位置関係が所望状態になったときに、すなわち露光装置EX−SYSの状態が所望状態になったときに、液体供給系10に対して無停電電源4(又は工場電源2)から電力が供給される。この場合、液体回収系20が故障したり液体供給系20に電力が供給されないなど何らかの原因で液体回収系20が液体回収動作を実行不能であったり、投影光学系PLと基板ステージPSTとの位置関係が所望状態にない場合には、液体LQの流出を防止する観点から、無停電電源4(又は工場電源2)から液体供給系10に対して電力を供給することができない。そこで本実施形態では、露光装置EX−SYSの状態の状態にかかわらず、液体供給系10による液体供給動作を実行することができるように、供給管13の途中から分岐する分岐管19を設け、露光装置EX−SYSの異常時においては、液体供給系10の供給流路に流入した液体LQが分岐管19に流れるようにその分岐部に切替装置50が設けられている。
図10において、露光装置EX−SYSは、投影光学系PLの像面側に液体LQを供給する供給流路を有する液体供給系10と、供給流路の途中から分岐する分岐流路(分岐管19)とを備えている。露光装置EX−SYSは、露光装置EX−SYSの異常時に、供給管13の供給流路に流入した液体LQが分岐管19の分岐流路に流れるように切り替える切替装置50を備えている。
切替装置50は三方弁を有しており、液体供給系10に電力が供給されているときに、流路の切り替え動作を行うことができる。また、切替装置50の流路の切り替えは、制御装置CONTとは別に設けられた制御部51によって制御される。すなわち、露光装置EX−SYSが正常な状態において、制御部51は、露光装置用電源3から電力が供給され、切替装置50の流路の切り替えを制御する。また停電などの露光装置用電源3の異常が発生した場合には、制御部51は無停電電源4から直接的に電力が供給され、切替装置50の流路の切り替えを制御する。
図10(A)は、露光装置EX−SYSが正常に動作している状態を示す模式図である。図10(A)に示すように、正常動作時においては、露光装置用電源3は、本体系EX、液体供給系10、液体回収系20、及び制御部51のそれぞれに電力を供給している。そして、切替装置50は、液体供給系10からの液体LQが投影光学系PLの像面側に供給されるように、流路を設定している。
露光装置用電源3に異常が生じ、液体供給系10への電力供給が停止された場合、開閉機構15によって液体供給系10の供給流路が閉じられる。また、停電などの露光装置用電源3の異常の発生とほぼ同時に、無停電電源4が開閉機構15を含む液体供給系10と制御部51とに電力の供給を開始する。無停電電源4からの電力が供給された制御部51は、切替装置50を制御して、切替装置50に流入する液体LQが分岐管19に流れるように流路の切り替えを行う。また、無停電電源4から液体供給系10への電力供給が開始されるため、開閉機構15が開状態となる。これにより、純水製造装置16からの液体LQは、開閉機構15、温調装置17、及び切替装置50が配置されている分岐部を介して分岐管19に流れ始める。図10(B)は、露光装置用電源3に異常が発生した後に、分岐管19に液体LQが流れている状態を示している。
このように、露光装置用電源3に異常が生じた場合に、無停電電源4から制御部51と液体供給系10とに電力が供給され、液体LQが分岐管19に流れるように切替装置50の流路の切り替えが行われるので、少なくとも切替装置50が配置されている分岐部までの供給流路には液体LQを流し続けることができ、バクテリアなどの発生を防止することができる。なお、図10(B)において、分岐管19に流入した液体LQは露光装置EX−SYSの外部に排出される。
なお、第4実施形態において、無停電電源4の代わりに、工場電源2が復帰した後に、工場電源2から液体供給系10と制御部51とに電力を供給するようにしてもよい。この場合、工場電源2が復帰するまで液体供給系10への電力供給の開始が遅れるが、液体供給系10の長時間(長期間)の停止を避けることができる。また、無停電電源4と工場電源2とを併用し、露光装置用電源3に異常が発生した直後は、無停電電源4から液体供給系10と制御部51への電力供給を行い、工場電源2が復帰した後は、工場電源2から液体供給系10と制御部51への電力供給を行うようにしてもよい。
また、本実施形態においては、切替装置50の切替動作を制御部51で制御しているが、切替装置50の切替動作を制御装置CONTで制御するようにして、液体供給系10への電力供給が可能であり、且つ制御装置CONTによって切替装置50が制御可能な状態のときのみ、液体LQが供給管13へ流れるような流路の設定を可能とし、液体供給系10への電力供給が停止されている場合、及び液体供給系10への電力供給が行われていても、制御装置CONTで切替装置50を制御できない場合には、液体LQが分岐管19へ流れるように機械的に流路設定が行われる切替装置50を用いてもよい。この場合も、露光装置用電源3に異常が発生した場合に、少なくとも切替装置50が配置されている分岐部までの供給流路に液体LQを流し続けることができ、バクテリアなどの発生を防止することができる。
<動作の第5実施形態>
次に、図11を参照しながら露光装置EX−SYSの動作の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態で示した異常時状態検出系40と第4実施形態の切替装置50とを併用するものであり、異常時状態検出系40の制御部45と切替装置50を制御する制御部51とが接続されている。
図11(A)は、図10(A)と同様で、露光装置EX−SYSが正常に動作している状態を示す模式図である。
停電などにより露光装置用電源3に異常が生じ、液体供給系10への電力供給が停止された場合、開閉機構15によって液体供給系10の供給流路が閉じられる。また、露光装置用電源3の異常の発生とほぼ同時に、無停電電源4が開閉機構15を含む液体供給系10と制御部51とに電力の供給を開始する。無停電電源4からの電力が供給された制御部51は、切替装置50を制御して、切替装置50に流入する液体LQが分岐管19に流れるように流路の切り替えを行う。また、無停電電源4から液体供給系10に電力の供給が開始されるため、開閉機構15が開状態となる。これにより、純水製造装置16からの液体LQが開閉機構15、温調装置17、切替装置50を介して分岐管19へ流れ始める。
さらに、本実施形態においては、露光装置用電源3の異常の発生とほぼ同時に、無停電電源4が、異常時状態検出系40のステージ位置検出装置41と、回収管圧力系44、制御部45への電力供給を開始し、分岐管19に液体LQを流している間、無停電電源4から電力を供給された異常時状態検出系40が露光装置EX−SYSの状態を検出する。上述の第3実施形態と同様にして、異常時状態検出系40の制御部45は、ステージ位置検出装置41の検出結果に基づいて、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持可能な位置にあるか否かを判断するとともに、回収管圧力計44の計測結果に基づいて、液体回収系20が投影光学系PLの像面側に供給された液体LQの回収動作が実行可能か否かを判断する。図11(B)は、純水製造装置16からの液体LQを分岐管19へ流しながら、異常時状態検出系40で、基板ステージPSTが投影光学系PLとの間で液体LQを保持可能な位置にあるか否か、及び液体回収系20が液体回収動作を実行可能であるか否かを判断している状態を示している。なお、図11(B)においても、分岐管19に流入した液体LQは露光装置EX−SYSの外部に排出される。
投影光学系PLと基板ステージPSTとの間に液体LQを保持可能であり、且つ液体回収系20が液体回収動作を実行可能であると判断した場合、制御部45は、流路切替指令信号を制御部51へ出力する。制御部45から流路切替指令を受けた制御部51は、切替装置50を制御して、液体LQが供給管13を介して投影光学系PLの像面側に液体LQが供給されるように流路の切り替えを行う。図11(C)は、切替装置50による流路の切り替えが行われ、液体LQが供給管13を介して投影光学系PLの像面側に液体LQが供給され、供給された液体LQが液体回収系20で回収されている状態を示す。
一方、投影光学系PLと基板ステージPSTとの間に液体LQを保持不能であると判断した場合、あるいは液体回収系20が液体回収動作を実行不能であると判断した場合、制御部45から制御部51へ流路切替指令信号が出力されないため、切替装置50による流路の切り替えが行われず、分岐管19に液体LQが流れ続ける。
このように、本実施形態においては、露光装置用電源3に異常が生じた場合に、無停電電源4から制御部51と液体供給系10とに電力が供給され、液体LQが分岐管19に流れるように切替装置50の流路の切り替えが行われるので、少なくとも切替装置50が配置されている分岐部までの供給流路には液体LQを流し続けることができ、バクテリアなどの発生を防止することができる。さらに、本実施形態においては、切替装置50は、露光装置用電源3に異常が発生した後の露光装置EX−SYSの状態に応じて切替装置50の流路の切り替え動作が行われる。すなわち、投影光学系PLと基板ステージPSTとの間に液体LQを保持可能であり、且つ液体回収系20による液体回収動作が実行可能である場合には、切替装置50は、投影光学系PLの像面側に液体LQが供給されるように流路の切り替えを行う。これにより、供給管13、回収管23を含む流路でのバクテリアの発生などを防止することができる。
なお、第5実施形態においても、無停電電源4を省略して、工場電源2が復帰した後に、工場電源2から液体供給系10と異常時状態検出系40と制御部51とに電力を供給するようにしてもよい。この場合、工場電源2が復帰するまで液体供給系10への電力供給の開始が遅れるが、液体供給系10の長時間(長期間)の停止を避けることができる。また、無停電電源4と工場電源2とを併用し、露光装置用電源3に異常が発生した直後は、無停電電源4から液体供給系10と異常時状態検出装40と制御部51への電力供給を行い、工場電源2が復帰した後は、工場電源2から液体供給系10と異常時状態検出装40と制御部51への電力供給を行うようにしてもよい。
なお、第5実施形態において、分岐管19と回収管23とを接続可能にしておき、液体回収系20は液体回収動作を実行可能であるものの、投影光学系PLと基板ステージPSTとの位置関係が異常で、投影光学系PLと基板ステージPSTとの間で液体LQを保持不能である場合には、分岐管19に流入した液体LQを液体回収系20の回収管23に流すようにしてもよい。こうすることにより、供給管13の一部を流れ、分岐管19に流入した液体LQは、回収管23や液体回収系23の内部流路にも流れるので、供給管13のみならず、回収管23などにバクテリアが発生することも防止できる。
なお第4及び第5本実施形態においては、露光装置用電源3の異常発生(停電)時において液体LQを流しているが、露光装置用電源3が正常に動作している状態であっても、液体回収系20が液体LQを回収不能であったり、基板ステージPSTと投影光学系PLとの位置関係が異常であったり、基板ステージPST上などから液体LQが漏れているときに、切替装置50を使って、分岐管19に液体LQを流すようにしてもよい。この場合、制御装置CONTから制御部51へ流路切替指令信号を出力するようにすればよい。
また、第1〜第5実施形態において、露光装置用電源3が正常に動作している状態にも拘わらず、液体回収系20が液体LQを回収できない等の異常が生じた場合には、開閉機構15を閉状態にしてもよい。この場合、液体供給系10に電力が供給されていても、制御装置OCNTで開閉機構15を閉状態に制御できるようにしておくことが望ましい。
<その他の実施形態>
なお、上述の第1〜第5実施形態においては、電力会社1から工場電源2への電力の供給が停止し、それに伴って露光装置用電源3から露光装置EX−SYSへの電力の供給が停止する場合を例にして説明したが、電力会社1から工場電源2へ電力が供給されているにもかかわらず、例えば露光装置用電源3が何らかの原因(故障など)によって、露光装置EX−SYSへの電力の供給が停止される場合も考えられる。そのような場合にも、工場電源2あるいは無停電電源4から液体供給系10や液体回収系20、あるいは異常時状態検出系40に電力を供給することができる。
なお、上述の第1〜第5実施形態においては、動力として電力を例にして説明したが、例えば液体供給系10の加圧ポンプなど、動力としては気体の力もある。加圧ポンプとしてデバイス製造工場FAの設備を使用している場合、その加圧ポンプが異常(動作不能)となったときには、バックアップ用の加圧ポンプを用意しておき、加圧ポンプの異常時に、液体供給系に対してバックアップポンプより気体を送る。こうすることにより、加圧ポンプの力によって液体LQを供給し続けることができる。同様に、液体回収系20の真空系としてデバイス製造工場FAの設備を使用している場合には、バックアップ用の真空系を用意しておき、デバイス製造工場FAの真空系の異常時に、液体回収系20に対してバックアップ真空系を接続し、液体回収を継続するようにしてもよい。
また、上述の第3及び第5実施形態においては、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持できるか否かの判断を、ステージ位置検出装置41が基板ステージPSTの位置情報に基づいて行っているが、特開平11−135400号公報に開示されている計測ステージなど、投影光学系Pの像面側に、投影光学系PLと対向して配置可能な他の物体の位置情報に基づいて判断してもよい。
また、上述の第4及び第5実施形態おいて、切替装置50は、ノズル部材70に極力近づけて配置するのが望ましいが、上述の実施形態に限られず、液体供給系10とは別に配置してもよい。この場合、露光装置用電源3の異常が発生しているときに、切替装置50にも無停電電源4あるいは工場電源2から直接的に電力を供給する必要がある。
また、上述の第1〜第5実施形態において、開閉機構15は純水製造装置16と温調装置17との間に配置されているが、これに限られず、例えば純水製造装置16の上流側に配置してもよい。また液体供給系10とは別に独立に配置してもよい。ただし、開閉機構15を液体供給系10とは独立して配置した場合には、露光装置用電源3の異常が発生しているときに、開閉機構10にも無停電電源4あるいは工場用電源2から直接的に電力を供給する必要がある。
また、上述の第1〜第5実施形態において、露光装置用電源3に異常が発生したときに流す液体LQの量は、基板Pの露光中などに比べて少なくてもよい。
また、上述の第1〜第5実施形態において、露光装置用電源3に異常が発生した場合、液体回収系20の真空系も直ちに停止する可能性があるが、回収した液体LQを収容するタンクなどの空間の残圧(負圧)を利用して、少なくとも回収流路中の液体をタンクに収容できるようにしておくことが望ましい。これにより、液体回収系20の復帰が遅れても、回収流路中の液体が逆流したり、回収流路の液体中でバクテリアなどの生菌が増殖するのを防止することができる。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子LS1が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
また、上述の実施形態の投影光学系は、先端の光学素子の像面側の光路空間を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、先端の光学素子のマスク側の光路空間も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、特開平11−135400号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材や各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(US S/N 08/416,558)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
本実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図12に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
2…工場電源(外部動力源、第2動力源)、3…露光装置用電源(第1動力源)、4…無停電電源(第2動力源)、10…液体供給系、13、13’…供給管(供給流路)、15…開閉機構、16…純水製造装置(調整装置)、17…温調装置(調整装置)、19…分岐管(分岐流路)、20…液体回収系、40…異常時状態検出系(検出装置)、41…ステージ位置検出装置(第1検出装置)、44…回収管圧力計(第2検出装置)、50…切替装置、70…ノズル部材、100…液浸系、EL…露光光、EX…露光装置本体(本体系)、EX−SYS…露光装置、LQ…液体、PL…投影光学系、P…基板(物体)、PST…基板ステージ(物体)