JP2006169628A - 有機金属化学蒸着法用溶液原料及び該原料を用いた複合酸化物系誘電体薄膜の製造方法 - Google Patents

有機金属化学蒸着法用溶液原料及び該原料を用いた複合酸化物系誘電体薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有する有機金属化学蒸着法用溶液原料及び該原料を用いて作製された複合酸化物系誘電体薄膜を提供する。
【解決手段】1種又は2種以上の有機金属化合物を有機溶媒に溶解した有機金属化学蒸着法用溶液原料の改良であり、その特徴ある構成は、有機溶媒がC59−Rで表される5員環化合物であるか、あるいは有機溶媒がC59−Rからなる第1溶媒と、C59−Rにアルコール、アルカン、エステル、芳香族、アルキルエーテル及びケトンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の第2溶媒とを混合した混合溶媒であるところにある。但し、Rは水素又は炭素数1〜2のアルキル基である。
【選択図】図1

Description

本発明は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やFRAM(ferroelectric random access memory)等のメモリー、誘電体フィルター等に用いられる複合酸化物系誘電体薄膜を有機金属化学蒸着法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、以下、MOCVD法という。)により形成するためのMOCVD法用溶液原料及び該原料を用いた複合酸化物系誘電体薄膜の製造方法に関するものである。
この種の複合酸化物系誘電体薄膜としては、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)等が挙げられる。
この誘電体薄膜の原料となる有機金属化合物には、ジピバロイルメタン((CH3)3CCOCH2COC(CH3)3、以下、dpmという。)等のβ-ジケトン化合物を配位子とする有機金属錯体や[Zr(O-t-Bu)4]等の金属アルコキシドが一般に使用されている。Ti、Zr、Ta等の金属原料には金属アルコキシドとβ-ジケトナト錯体の両方が使用され、SrやBaの金属原料としては主にβ-ジケトナト錯体が使用される。
複合酸化物系誘電体薄膜の形成方法については、金属アルコキシド原料をスピンコートにより基板上に成膜するゾルゲル法がこれまで盛んに研究されてきた。ゾルゲル法は、金属成分を気化させないため、膜の組成制御は容易である。しかし、DRAMのキャパシタ用電極は段差があり、集積度が高くなるほど段差が大きく、かつ複雑になるので、スピンコートにより基板上に成膜させるゾルゲル法では基板となる電極上に均一に誘電体薄膜を形成することが難しい。そのため、ここ数年は、デバイスの高集積度を見越して、段差被覆性(=ステップカバレッジ性、段差のある複雑形状の表面への付き回り性)に優れたMOCVD法により誘電体薄膜を形成する研究が活性化してきた。MOCVD法は、各種金属の原料となる有機金属化合物を減圧下で加熱して気化させ、その蒸気を成膜室に輸送して基板上で熱分解させることにより、生成した金属酸化物を基板上に付着させる方法である。MOCVD法は、他の膜製造方法に比べて段差被覆性に優れているため一般的に行われている。
このMOCVD法による誘電体薄膜の形成において、当初は、原料の有機金属化合物をそのまま加熱して気化させ、発生した蒸気を成膜室に送って成膜させていた。しかし、有機金属化合物原料、特にMOCVD法に推奨されているdpm錯体のような化合物は長期保存安定性や気化特性が良好でなく、低温での加熱によってCVD反応部へ原料を安定に輸送することは不可能であった。また、原料の気化効率を上げるために高い温度で加熱すると、原料が成膜室に達する前に熱分解しながら輸送されてしまい、膜の結晶性不良や組成ズレを生じていた。従って、有機金属化合物原料を成膜室に安定して輸送することが困難であり、高価な原料が一回の成膜ごとに使い捨てになり、また膜の組成制御の困難で、良好な誘電特性を有する誘電体膜の形成ができないという問題もあった。また、この方法では気化速度を抑えて合成(反応)時間を長くした場合には、原料の安定性が経時的に劣化して徐々に気化性が低下してくるために、形成された膜の厚さ方向の組成が不均質になってリーク電流が増大することが避けられなかった。
上記問題点を解決する方策として、テトラヒドロフラン(以下、THFという。)又はTHFを含む溶媒中に有機金属化合物が溶解されてなる酸化物系誘電体薄膜用CVD原料が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1では、溶液気化CVD法と呼ばれる方法に従って、有機金属化合物をTHFに溶解してCVD原料である原料溶液を調製し、この原料溶液を液体状態のまま成膜室の前に配置した気化室に供給し、この気化室で気化した蒸気を成膜室に送って成膜を行っている。溶液状態であると特にdpm錯体が安定であるため、原料を繰返して使用することが可能になり、また気化のための加熱温度も下がるため、成膜室に達する前での熱分解を避けることができ、膜の組成制御性が向上すると説明されている。また、金属化合物をシクロヘキサン化合物に溶解させてなる金属化合物溶液が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に示される金属化合物溶液では、溶液気化CVD法に適する安定性と濃度を有するCVD用原料を提供できると説明されている。
特開平6−158328号公報(請求項1及び2) 特開2001−234343号公報(請求項1、段落[0006]及び段落[0044])
しかし、上記特許文献1に示されるCVD原料を使用してMOCVD法により誘電体薄膜を形成しても、なお組成制御がかなり困難であり、目的とする組成を有する薄膜を容易に得ることができない。具体的には、Ti(i-Pr-O)4やBa(dpm)2といった原料は、THF中では室温でTHFと反応して不揮発性の反応生成物を形成する傾向があり、溶液中に存在する原料の一部しか気化せず、気化することができる原料量が大幅に減少することが認められる。またSr(dpm)2では、THF中では室温で安定であるが、THF中ではこの極性溶媒が錯体に溶媒和するため、Sr(dpm)2n(LはTHF、nは整数)の形態で存在し、これが気化することになる。しかし、気化時に固体原料のSr(dpm)2と液体のLnの蒸発温度が大きく異なるため、熱によりLnが途中で解離して、Sr原料の成膜室への送り込みがなされないという現象が起こりやすい。また、有機鉛化合物原料については、有機金属化合物であるβ−ジケトン化合物が、他の有機金属化合物と異なりTHF等の極性溶媒中で、白濁、沈殿を生成するので、薄膜製造時のトラブルの原因になるという問題を有していた。更に、THFは重合性があり、気化のために加熱すると開環重合を起こして、錯体が不安定になりやすい問題もあった。
また、上記特許文献2に示される金属化合物溶液では、溶媒としてシクロヘキサンを用いることで、高い成膜速度や成膜安定性を得ることはできるが、このシクロヘキサンは融点が高いため、有機金属化合物をシクロヘキサンに溶解した溶液原料を貯蔵容器等で貯蔵したり輸送したりする場合、このシクロヘキサンの融点よりも気温が低い寒冷地のような場所では貯蔵容器中の溶液原料が凍結してしまい、パーティクル等が発生し、成膜安定性が低下してしまう問題があった。
本発明の目的は、優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有するMOCVD法用溶液原料及び該原料を用いて作製された複合酸化物系誘電体薄膜を提供することにある。
請求項1に係る発明は、1種又は2種以上の有機金属化合物を有機溶媒に溶解したMOCVD法用溶液原料の改良である。その特徴ある構成は、有機溶媒がC59−Rで表される5員環化合物であるところにある。但し、Rは水素又は炭素数1〜2のアルキル基である。
請求項1に係る発明では、有機溶媒に優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有するC59−Rで表される5員環化合物を使用することで、優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有する溶液原料が得られる。
請求項2に係る発明は、1種又は2種以上の有機金属化合物を有機溶媒に溶解したMOCVD法用溶液原料の改良である。その特徴ある構成は、有機溶媒がC59−Rで表される5員環化合物からなる第1溶媒と、この5員環化合物にアルコール、アルカン、エステル、芳香族、アルキルエーテル及びケトンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の第2溶媒とを混合した混合溶媒であるところにある。但し、Rは水素又は炭素数1〜2のアルキル基である。
請求項2に係る発明では、有機溶媒を優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有するC59−Rで表される5員環化合物を必須成分とし、この5員環化合物に上記列挙した有機金属化合物の溶解度が高い各種溶媒を1種又は2種以上混合した混合溶媒とすることで、より優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有する溶液原料が得られる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の溶液原料を用いてMOCVD法により複合酸化物系誘電体薄膜を作製することを特徴とする複合酸化物系誘電体薄膜の製造方法である。
請求項3に係る発明では、優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有する複合酸化物系誘電体薄膜を作製することができる。
本発明のMOCVD法用溶液原料は、有機溶媒にC59−Rで表される5員環化合物を使用することで、錯体が有機溶媒中で優れた安定性を保持し、十分な溶解性を有することにより、優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有する溶液原料が得られる。
また、本発明のMOCVD法用溶液原料は、有機溶媒がC59−Rで表される5員環化合物からなる第1溶媒と、この5員環化合物にアルコール、アルカン、エステル、芳香族、アルキルエーテル及びケトンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の第2溶媒とを混合した混合溶媒であり、有機溶媒を優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有するC59−Rを必須成分とし、このC59−Rに上記列挙した有機金属化合物の溶解度が高い各種溶媒を1種又は2種以上混合した混合溶媒とすることで、より優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有する溶液原料が得られる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係るMOCVD法用溶液原料により形成することができる複合酸化物系の誘電体薄膜としては、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、チタン酸ストロンチウム(ST)、チタン酸バリウム(BT)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)等の薄膜が例示されるが、これら以外にも適応可能である。本発明のMOCVD法用溶液原料は、1種又は2種以上の有機金属化合物を有機溶媒に溶解してなる溶液原料の改良である。膜原料である有機金属化合物としては、上記薄膜の構成金属であるPb、Ti、Zr、アルカリ土類金属(Ca、Ba、Sr等)から選ばれた金属を含有する有機化合物が使用される。その他、アルカリ金属(Cs)、Mn、Nb、V、Hf、Ta等の各種遷移金属、La等の希土類金属やBi、Siも使用される。BST薄膜の場合、Ti、Ba及びSrの各有機金属化合物を原料として使用する。
有機金属化合物は、気化性があって、加熱により熱分解し、酸化剤(酸素)を導入することで酸化物に容易に変化するものを使用する。かかる有機金属化合物は一般に、金属原子が酸素原子を介して有機基と結合した構造をもつ化合物である。この種の好ましい化合物の例としては、金属アルコキシド、金属β-ジケトナト錯体、アルコキシドとβ-ジケトナトの双方を含む錯体、金属アルコキシドとβ-ジケトナト錯体の混合物等が挙げられる。β-ジケトナト錯体の例には、アセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、dpm、ペンタフルオロプロパノイルピバロイルメタン等のβ-ジケトン類を配位子とする金属錯体がある。この中で好ましいのはdpmとの錯体である。金属アルコキシドとしては、アルコキシ基の炭素数が1〜6のものが好ましく、特に分岐アルコキシ基を有するもの(イソプロポキシド、tert-ブトキシド等)が好ましい。特に好ましい有機金属化合物は、金属のジピバロイルメタナト錯体、金属イソプロポキシド、金属tert-ブトキシド、イソプロポキシドとジピバロイルメタナトの双方を含む錯体、tert-ブトキシドとジピバロイルメタナトの双方を含む錯体である。アルカリ土類金属、アルカリ金属、Pbについては、β-ジケトナト錯体(例えば、ジピバロイルメタナト錯体)の使用が好ましく、Ti、Zr、V、Nb等の遷移金属については、一般にβ-ジケトナト錯体と金属アルコキシドのどちらも使用可能であり、アルコキシドとβ-ジケトナトの双方を含む錯体を用いることもできる。
BST薄膜の成膜原料としては、Ba及びSrのジピバロイルメタナト錯体と、イソプロポキシド、tert-ブトキシド、ジピバロイルメタナト錯体、イソプロポキシドとジピバロイルメタナトの双方を含む錯体及びtert-ブトキシドとジピバロイルメタナトの双方を含む錯体から選ばれたTi化合物を使用することが好ましい。またPZT薄膜の成膜原料としては、Pbのジピバロイルメタナト錯体と、β-ジケトン、アルコキシドのZr化合物と、イソプロポキシド、tert-ブトキシド、ジピバロイルメタナト錯体、イソプロポキシドとジピバロイルメタナトの双方を含む錯体及びtert-ブトキシドとジピバロイルメタナトの双方を含む錯体からなる群より選ばれたTi化合物を使用することが好ましい。
本発明の第1の特徴ある構成は、有機溶媒がC59−Rで表される5員環化合物であるところにある。但し、Rは水素又は炭素数1〜2のアルキル基である。有機溶媒に優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有するC59−Rで表される5員環化合物を使用することで、錯体が有機溶媒中で優れた安定性を保持し、十分な溶解性を有することにより、優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有する溶液原料が得られる。C59−Rで表される5員環化合物としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタンが挙げられる。またこれらの5員環化合物は、前述した特許文献2に示されるようなシクロヘキサンとは異なり融点が低いため、有機金属化合物をC59−Rで表される5員環化合物に溶解した溶液原料を貯蔵容器等で貯蔵したり輸送したりする場合、寒冷地のような場所であっても凍結することがないため、成膜安定性が低下してしまうことがない。
本発明の第2の特徴ある構成は、有機溶媒がC59−Rで表される5員環化合物からなる第1溶媒と、この5員環化合物にアルコール、アルカン、エステル、芳香族、アルキルエーテル及びケトンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の第2溶媒とを混合した混合溶媒であるところにある。優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有するC59−Rで表される5員環化合物を必須成分とし、この5員環化合物に上記列挙した有機金属化合物の溶解度が高い各種溶媒を1種又は2種以上混合した混合溶媒とすることで、錯体が有機溶媒中で優れた安定性を保持し、十分な溶解性を有することにより、優れた膜の組成制御性及び段差被覆性を有する溶液原料が得られる。第1溶媒と第2溶媒の混合比は重量比で第1溶媒/第2溶媒=99〜1の範囲であることが好ましく、第1溶媒/第2溶媒=80〜20の範囲であることがより好ましい。本発明のMOCVD法用溶液原料は、その濃度によって特に制限を受けずに安定した溶液原料を提供できる範囲であれば、いかなる濃度を用いてもよく、原料の輸送量、膜製造時の成膜速度等により適宜選択される。
アルコールとしては、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、t-ブタノールが挙げられる。アルカンとしては、n-ヘキサン、2,2,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、i-オクタン、メチルシクロペンタンが挙げられる。エステルとしては、酢酸ブチルが挙げられる。芳香族としては、トルエン、キシレン、ベンゼンが挙げられる。アルキルエーテルとしては、1,3-ジオキソラン、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ポリTHFが挙げられる。ケトンとしては、アセトンが挙げられる。
次に、有機Pb化合物、有機Zr化合物及び有機Ti化合物をそれぞれ所定の割合で有機溶媒に溶解した溶液原料を用いて溶液気化CVD法によりPZT薄膜を成膜する例を説明する。溶液気化CVD法とは、各溶液を加熱された気化器に供給し、ここで各溶液原料を瞬時に気化させ、成膜室に送って基材上に成膜する方法である。
図1に示すように、MOCVD装置は、成膜室10と蒸気発生装置11を備える。成膜室10の内部にはヒータ12が設けられ、ヒータ12上には基板13が保持される。この成膜室10の内部は圧力センサー14、コールドトラップ15及びニードルバルブ16を備える配管17により真空引きされる。成膜室10にはニードルバルブ36、ガス流量調節装置34を介して酸素源供給管37が接続される。蒸気発生装置11は原料容器18を備え、この原料容器18は本発明の溶液原料を貯蔵して密閉される。この溶液原料は、PZT薄膜を形成するために所望の割合で混合した有機Pb化合物、有機Zr化合物及び有機Ti化合物を、例えばメチルシクロペンタンに溶解して調製される。原料容器18にはガス流量調節装置19を介して第1キャリアガス供給管21が接続され、また原料容器18には供給管22が接続される。供給管22にはニードルバルブ23及び溶液流量調節装置24が設けられ、供給管22は気化器26に接続される。気化器26にはニードルバルブ31、ガス流量調節装置28を介して第2キャリアガス供給管29が接続される。気化器26は更に配管27により成膜室10に接続される。また気化器26には、ガスドレイン32及びドレイン33がそれぞれ接続される。
この装置では、N2、He、Ar等の不活性ガスからなる第1キャリアガスが第1キャリアガス供給管21から原料容器18内に供給され、原料容器18に供給されたキャリアガス圧により原料容器18に貯蔵されている溶液原料を供給管22を介して気化器26に搬送する。気化器26で気化されて蒸気となった各有機金属化合物は、更に第2キャリアガス供給管28から気化器26へ供給されたN2、He、Ar等の不活性ガスからなる第2キャリアガスにより配管27を経て成膜室10内に供給される。成膜室10内において、各有機金属化合物の蒸気を熱分解させ、酸素源供給管37から成膜室10内に供給された酸素源と反応させることにより、生成した金属酸化物を加熱された基板13上に堆積させて所定の組成比を有するPZT誘電体薄膜を形成する。
本発明の溶液原料は、溶液状態の各原料化合物の気化性が安定しており、成膜された薄膜の金属原子比は溶液中の金属原子比とほぼ一致するので、安定して所定組成の複合酸化物系誘電体薄膜を成膜することができ、膜の品質が安定する。本発明の溶液原料を用いてMOCVD法により形成された誘電体薄膜は、DRAM、FRAM等の用途として有用である。MOCVD法は一般に段差被覆性に優れているが、本発明の溶液原料を使用すると、従来の溶液原料を用いて形成した薄膜に比べて成膜再現性が向上し、表面モフォロジーも安定化する。また、本発明の溶液原料は前述したように各原料化合物の蒸気を安定して成膜室に供給することができるため膜の組成制御性に優れており、所望の組成により優れた誘電特性を有する誘電体薄膜を安定して基板上に形成することができる。本発明の溶液原料を用いて形成された誘電体薄膜は、誘電体フィルターとして圧電共振子や赤外線センサー等に利用することもできる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、有機Pb化合物としてPb(dpm)2を、有機Zr化合物としてZr(dmhd)4を、有機Ti化合物としてTi(O-i-Pr)2(dpm)2をそれぞれ用意した。ここでdmhdは2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオン残基を、O-iPrはイソプロポキシドをそれぞれ示す。上記有機金属化合物を形成する予定のPb1.15(Zr0.45Ti0.55)O3の組成割合となるように混合して、次の表1〜表7に示す有機溶媒に溶解して0.3mol/lの溶液原料No.1〜No.45−4をそれぞれ調製した。また、酸素源としてO2を用意した。次いで、基板としてPt(200nm)/Ti(20nm)/SiO2(500nm)/Si基板を用意し、この基板を図1に示すMOCVD装置の成膜室に設置した。また、調製した溶液原料を原料容器18内に貯蔵した。次に、基板13の温度を600℃に、気化室26内の温度を250℃に、成膜室10内の圧力を約1.33kPa(10Torr)にそれぞれ設定した。また成膜室10内に供給する酸素源を1200ccmの供給量となるように調節した。次に、第1キャリアガスとしてHeガスを原料容器18内に供給して溶液原料の供給量が0.5ccmとなるように気化室26に供給した。更に第2キャリアガスとしてHeガスを気化室26に供給して気化室26内で気化された溶液原料を成膜室10内に供給して基板13表面にPb1.15(Zr0.45Ti0.55)O3を形成した。成膜時間が10〜30分となったときに基板13を成膜室10より取出し、所定の厚さのPZT誘電体薄膜が形成された前記基板を得た。
<比較例1>
有機溶媒としてTHF100重量%からなる単一溶媒を用いた以外は実施例1と同様にしてPZT誘電体薄膜を形成した。
<比較試験1>
実施例1及び比較例1でそれぞれ得られたPZT誘電体薄膜が高い残留分極値を有しているか否か確認するために、これらの薄膜について次に示す残留分極値の測定及び段差被覆性試験を行った。その結果を表1〜表7にそれぞれ示す。
(1)残留分極値の測定
成膜を終えた基板上に200nmのPtによる上部電極を形成し、PZT誘電体薄膜を強誘電体テスター(ラジアントテクノロジー社製;RT6000S)を用いて残留分極値を測定した。
(2)段差被覆性試験
成膜を終えた基板上のPZT誘電体薄膜を断面SEM(走査型電子顕微鏡)像から段差被覆性を測定した。段差被覆性とは図2に示される溝等の段差のある基板13に薄膜20を成膜したときのa/bの数値で表現される。a/bが1.0であれば、基板の平坦部分と同様に溝の奥まで均一に成膜されているため、段差被覆性は良好であるといえる。逆にa/bが1.0未満の数値であってその数値が低いほど、また1.0を越える数値でその数値が高いほど、それぞれ段差被覆性は悪いとされる。
Figure 2006169628
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表1〜表7より明らかなように、溶媒としてTHFを単一溶媒として用いた比較例1では、残留分極値及び段差被覆性がともに低い数値となっていた。これに対して、実施例1のNo.1〜No.45−4の溶液原料を用いた場合では、比較例1に比べて高い残留分極値及び良好な段差被覆性が得られ、極めて優れた結果となった。
<実施例2>
先ず、有機Ba化合物としてBa(dpm)2を、有機Sr化合物としてSr(dpm)2を、有機Ti化合物としてTi(O-i-Pr)2(dpm)2をそれぞれ用意した。上記有機金属化合物を形成する予定の(Ba0.7St0.3)TiO3の組成割合となるように混合して、次の表8〜表14に示す有機溶媒に溶解して0.3mol/lの溶液原料No.46〜No.90−4をそれぞれ調製した。また、酸素源としてO2を用意した。次いで、基板としてPt(200nm)/Ti(20nm)/SiO2(500nm)/Si基板を用意し、この基板を図1に示すMOCVD装置の成膜室に設置した。また、調製した溶液原料を原料容器18内に貯蔵した。次に、基板13の温度を700℃に、気化室26内の温度を250℃に、成膜室10内の圧力を約1.33kPa(10Torr)にそれぞれ設定した。また成膜室10内に供給する酸素源を1000ccmの供給量となるように調節した。次に、第1キャリアガスとしてHeガスを原料容器18内に供給して溶液原料の供給量が0.5ccmとなるように気化室26に供給した。更に第2キャリアガスとしてHeガスを気化室26に供給して気化室26内で気化された溶液原料を成膜室10内に供給して基板13表面に(Ba0.7St0.3)TiO3を形成した。成膜時間が10〜30分となったときに基板13を成膜室10より取出し、所定の厚さのBST誘電体薄膜が形成された前記基板を得た。
<比較例2>
有機溶媒としてTHF100重量%からなる単一溶媒を用いた以外は実施例2と同様にしてBST誘電体薄膜を形成した。
<比較試験2>
実施例2及び比較例2でそれぞれ得られたBST誘電体薄膜が高い比誘電率を有しているか否か確認するために、これらの薄膜について比誘電率の測定を行った。また上記比較試験1と同様にして段差被覆性試験を行った。その結果を表8〜表14にそれぞれ示す。
(1)比誘電率の測定
成膜を終えた基板上に200nmのPtによる上部電極を形成し、BST誘電体薄膜をLCRメーター(HP社製、4284A)を用いて比誘電率の測定を行った。
Figure 2006169628
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表8〜表14より明らかなように、溶媒としてTHFを単一溶媒として用いた比較例2では、比誘電率及び段差被覆性がともに低い数値となっていた。これに対して、実施例2のNo.46〜No.90−4の溶液原料を用いた場合では、比較例2に比べて高い比誘電率及び良好な段差被覆性が得られ、極めて優れた結果となった。
<実施例3>
先ず、有機Pb化合物としてPb(dpm)2を、有機Zr化合物としてZr(dmhd)4を、有機Ti化合物としてTi(O-i-Pr)2(dpm)2をそれぞれ用意した。上記有機金属化合物を形成する予定のPb1.15(Zr0.45Ti0.55)O3の組成割合となるように混合して、次の表15に示す有機溶媒に溶解して0.3mol/lの溶液原料No.91〜No.107をそれぞれ調製した。また、酸素源としてO2を用意した。次いで、基板としてPt(200nm)/Ti(20nm)/SiO2(500nm)/Si基板を用意し、この基板を図1に示すMOCVD装置の成膜室に設置した。また、調製した溶液原料を原料容器18内に貯蔵した。次に、基板13の温度を600℃に、気化室26内の温度を250℃に、成膜室10内の圧力を約1.33kPa(10Torr)にそれぞれ設定した。また成膜室10内に供給する酸素源を1200ccmの供給量となるように調節した。次に、第1キャリアガスとしてHeガスを原料容器18内に供給して溶液原料の供給量が0.5ccmとなるように気化室26に供給した。更に第2キャリアガスとしてHeガスを気化室26に供給して気化室26内で気化された溶液原料を成膜室10内に供給して基板13表面にPb1.15(Zr0.45Ti0.55)O3を形成した。成膜時間が10〜30分となったときに基板13を成膜室10より取出し、所定の厚さのPZT誘電体薄膜が形成された前記基板を得た。
<比較試験3>
実施例3でそれぞれ得られたPZT誘電体薄膜が高い残留分極値を有しているか否か確認するために、これらの薄膜について上記比較試験1と同様にして残留分極値の測定及び段差被覆性試験を行った。その結果を表15にそれぞれ示す。
Figure 2006169628
表15より明らかなように、実施例3のNo.91〜No.107の溶液原料を用いた場合では、前述の比較例1に比べて高い残留分極値及び良好な段差被覆性が得られ、極めて優れた結果となった。
本発明の製造方法に用いる溶液気化CVD法を用いたMOCVD装置の概略図。 MOCVD法により成膜したときの段差被覆率の求め方を説明するための基板断面図。

Claims (3)

  1. 1種又は2種以上の有機金属化合物を有機溶媒に溶解した有機金属化学蒸着法用溶液原料において、
    前記有機溶媒がC59−Rで表される5員環化合物であることを特徴とする有機金属化学蒸着法用溶液原料。但し、Rは水素又は炭素数1〜2のアルキル基である。
  2. 1種又は2種以上の有機金属化合物を有機溶媒に溶解した有機金属化学蒸着法用溶液原料において、
    前記有機溶媒がC59−Rで表される5員環化合物からなる第1溶媒と、前記5員環化合物にアルコール、アルカン、エステル、芳香族、アルキルエーテル及びケトンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の第2溶媒とを混合した混合溶媒であることを特徴とする有機金属化学蒸着法用溶液原料。但し、Rは水素又は炭素数1〜2のアルキル基である。
  3. 請求項1又は2記載の溶液原料を用いて有機金属化学蒸着法により複合酸化物系誘電体薄膜を作製することを特徴とする複合酸化物系誘電体薄膜の製造方法。
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