上述した従来のマルチセッションの光ディスクでは、直前に記録されたセッションのリードイン領域に、次のセッションのデータ記録位置(セッションの配置位置)が記録される。これはセッションの大きさを記録データの大きさで決めるためであり、記録容量を有効に使用する点においては有利な方法である。しかしながら、この方法では、最初のセッションのリードイン領域から順々にリードイン情報を読み出していかなければ最終セッションに辿り付けないので、複数のセッションがある場合は光ディスクの記録再生開始までの時間が長くなり、使い勝手が悪いという問題があった。また、セッションの数が多いほど、上記動作に要する時間が長くなるので、システム的に迅速な動作を期待できない方法であった。そこで、これらの課題を解決する方法が望まれている。また、上述したマルチセッションの光ディスクでは、セッション毎にリードイン領域とリードアウト領域を確保するため、ユーザが光ディスクの残りの記録可能容量を正確に判定することができないという問題もあった。なお、従来のマルチセッションの考え方は論理的な配置により一枚のディスクを複数のセッションに分割するものであり、一枚のディスクに異なるフォーマットを混在させるという考え方は存在しない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の目的は、記録容量を増大させてより精細な動画の記録・再生を可能にする大容量光ディスクを提供することはもちろん、従来のマルチセッションの光ディスクのように比較的小容量の光ディスクアプリケーションを新規の大容量光ディスクに取り込みながらも、あたかもジュークボックスで所望のボリュームを選択して使用しているかのように、速やかに所望の記録領域における情報の記録・再生動作が可能になるフォーマットを有する光ディスク及びその駆動装置を提案することである。
さらに、本発明の第2の目的は、従来のマルチセッションでは実現できないHD DVDの中にCDやDVDを混在させるというような異なる論理フォーマット仕様を同一ディスクに搭載させることを可能にすることである。すなわち、大容量媒体ではあるが、データの属性は小容量媒体のものと同じにするため、リードイン領域・データ領域・リードアウト領域の各領域を、例えばCD−Rのマルチセッションフォーマットのように各セッションの記録位置が不定ではなく、物理的な特定位置に割り付けることによって複数の分割された記録領域における速やかな記録・再生動作を確保できるフォーマットを提供することである。
本発明の第1の態様に従えば、光ディスクであって、同心円状に物理的に分割された複数の記録領域を備え、各記録領域内の所定位置にリードイン領域、リードアウト領域及びユーザデータ記録領域が設けられていることを特徴とする光ディスクが提供される。
本発明の第1の態様に従う光ディスクは複数の記録領域から構成される光ディスクである。ただし、本発明の第1の態様に従う光ディスクは、大容量媒体であるのはもちろん、例えば、従来のCD−Rのマルチセッションフォーマットの光ディスクのように各記録領域(セッション)の記録位置が不定ではなく、複数の記録領域を同心円状に物理的に分割し、各記録領域内のリードイン領域、ユーザデータ記録領域及びリードアウト領域を予め物理的な特定位置に割り付けた光ディスクである。本発明の第1の態様に従う光ディスクでは、各記録領域のリードイン領域及びリードアウト領域の位置が特定されているので、任意の記録領域におけるリードイン領域の情報を短時間で読み出すことができる。また、光ディスクが記録可能な光ディスクである場合には、リードイン領域にリードイン情報を書く際に必要なアクセス時間を一定にすることができるという利点もある。すなわち、本発明の第1の態様に従う光ディスクでは、所望の記録領域において速やかに情報の記録・再生動作を行うことができる。
本発明の第2の態様に従えば、光ディスクであって、同心円状に物理的に分割された複数の記録領域と、上記複数の記録領域の内周側または外周側に設けられた上記光ディスク全体の管理情報が記録されるシステムリードイン領域とを備え、各記録領域内の所定位置にリードイン領域、リードアウト領域及びユーザデータ記録領域が設けられていることを特徴とする光ディスクが提供される。
本発明の第2の態様に従う光ディスクでは、複数に配分した記録領域の管理情報は、光ディスク全体の管理情報領域であるシステムリードイン領域に記録される。このシステムリードイン領域は光ディスクの最内周付近の領域または最外周付近の領域に予め物理的に固定して設けられる。すなわち、システムリードイン領域は複数の記録領域よりさらに内周側または外周側に予め物理的に固定して設けられる。また、システムリードイン領域には、例えば、分割した各記録領域のリードイン領域の物理アドレス、ユーザデータ記録領域の物理アドレス及びリードアウト領域の物理アドレスが1組として記録され管理される。なお、これらの各領域の物理アドレスは必要に応じてマスタリング時のフォーマットを変更して形成しても良い。例えば、リードイン領域とリードアウト領域はユーザデータ記録領域と性格を異にするので、セキュリティのためのフォーマット情報を施しても良い。この場合、単体の光ディスクと同様にリファレンスデータを設けることが可能である。また、各領域の物理アドレスを予めピットで形成しても良い。
本発明の第2の態様に従う光ディスクでは、分割された各記録領域内のリードイン領域、ユーザデータ記録領域及びリードアウト領域が予め物理的な特定位置に割り付けられており、また、分割された記録領域毎のリードイン領域、ユーザデータ記録領域及びリードアウト領域の物理アドレスがシステムリードイン領域にセットで記録されているので、システムリードイン領域の情報を読み取ることにより、光ヘッドを直接所望のフォーマット領域に移動させることができる。それゆえ、速やかに所望の記録領域において情報の記録・再生動作を行うことができる。
本発明の第1または第2の態様に従う光ディスクでは、上記ユーザデータ記録領域が、上記リードイン領域と上記リードアウト領域との間に設けられていることが好ましい。
本発明の第1または第2の態様に従う光ディスクでは、上記複数の記録領域が、それぞれ同じ容量を有することが好ましい。
また、本発明の第1または第2の態様に従う光ディスクでは、上記複数の記録領域が、それぞれ当該光ディスクより小容量の記録媒体と同等の容量を有することが好ましい。
本発明の第1または第2の態様に従う光ディスクでは、上記複数の記録領域が、当該光ディスクより小容量で且つ互いに異なる容量の複数の記録媒体とそれぞれ同等の容量を有する記録領域を含むことが好ましい。
本発明の光ディスクにおける複数の記録領域の構成の具体例を図1及び図2に示す。本発明の光ディスクの一例として、図1に示すように、最内周の領域にシステムリードイン領域3を設け、システムリードイン領域3の外側の領域に複数の記録領域11,12,13を同心円状に物理的に分割して設けた場合を示す。そして、各記録領域内のリードイン領域、リードアウト領域及びユーザデータ記録領域は各記録領域内の所定位置に予め固定して設けられている。例えば、図1及び2に示すように、記録領域11のリードイン領域11a及びリードアウト領域11cをそれぞれ記録領域11内の最内周側領域及び最外周側領域に設け、リードイン領域11aとリードアウト領域11cとの間にユーザデータ記録領域11bを設けることが好ましい。
また、本発明の光ディスクでは、分割された複数の記録領域が当該光ディスクより小容量記録媒体と同等の容量単位で分割されていることが好ましく、その容量は小容量記録媒体のフォーマット容量に等しいことが好ましい。その具体例を図3に示す。図3は記憶容量15GBのHD DVDに、容量700MBのCD系光ディスク及び/又は容量4.7GBのDVD系光ディスクを複数枚実装する場合の構成例である。
図3(a)は、15GBの容量を4.7GBの容量で分割した構成であり、この場合、1枚のHD DVDに3枚のDVD系光ディスクを実装することが可能となる。図3(b)は、15GBの容量を700MBの容量で分割した構成であり、この場合、1枚のHD DVDに18枚のCD系光ディスクを実装することが可能となる。図3(c)は、15GBの容量を2つの4.7GB容量の領域と、6つの700MB容量の領域とで構成した場合の一例であり、この場合には1枚のHD DVDに2枚のDVD系光ディスクと6枚のCD系光ディスクを実装することが可能となる。図3(d)は、15GBの容量を1つの4.7GB容量の領域と、12つの700MB容量の領域とで構成した場合の一例であり、この場合には1枚のHD DVDに1枚のDVD系光ディスクと12枚のCD系光ディスクを実装することが可能となる。図3(e)は、図3(c)の容量4.7GBの領域と容量700MBの領域の配置パターンを変えた構成例である。
なお、図3に示した各容量の領域に記録されるデータは、各容量の領域に対応する小容量記録媒体のディスクの論理フォーマットで記録される。例えば、図3中の容量700MBの領域には、CD系光ディスクのディスクフォーマットで情報が記録され、容量4.7GBの領域にはDVD系光ディスクのディスクフォーマットで情報が記録される。すなわち、本発明の光ディスクのフォーマットは、物理的に領域区分され、その領域を論理的に構成したフォーマットとなる。なお、図3の例では、CD系光ディスク及び/又はDVD系光ディスクに対応する容量の領域で構成した光ディスクについて説明したが、本発明はこれに限定されず、CD系光ディスクやDVD系光ディスクに対応する領域以外に、例えば、MDやビデオテープ等の他の容量及びフォーマットに対応する容量の領域を設けることもできる。
また、本発明の第1または第2の態様に従う光ディスクでは、上記ユーザデータ記録領域に記録する情報または記録された情報に関するインデックス情報が、当該ユーザデータ記録領域を含む記録領域内のリードイン領域に記録されることが好ましい。
本発明の第3の態様に従えば、第2の態様に従う光ディスクの駆動装置であって、上記システムリードイン領域に記録された上記複数の記録領域に関する情報を読み取る手段を備えることを特徴とする光ディスク駆動装置が提供される。
本発明の第4の態様に従えば、同心円状に物理的に分割された複数の記録領域と、該複数の記録領域の内周側または外周側に設けられた管理情報領域とを有する光ディスクの駆動装置であって、光ヘッドと、上記管理情報記録領域に記録された情報に基いて、上記光ヘッドを所望の記録領域に直接移動させる制御装置とを備えた光ディスク駆動装置が提供される。
本発明の第4の態様に従う光ディスク駆動装置では、さらに、上記管理情報記録領域に記録された情報を読み取る手段を備えることが好ましい。
本発明の第5の態様に従えば、同心円状に物理的に分割された複数の記録領域と、該複数の記録領域の内周側及び/又は外周側に設けられた管理情報領域とを有する光ディスクの駆動装置であって、光ヘッドと、上記管理情報記録領域に記録された情報を読み取る手段と、上記読み取る手段で得られた情報に基いて、上記光ヘッドを所望の記録領域に直接移動させる手段と、上記所望の記録領域にリードイン情報を記録する手段とを備えた光ディスク駆動装置が提供される。
本発明の光ディスクによれば、複数の記録領域が同心円状に物理的に配分され、各記録領域内のリードイン領域、ユーザデータ記録領域及びリードアウト領域が予め特定の位置に割り付けられているので、所望の記録領域において速やかに情報の記録・再生動作を行うことができる。
本発明の光ディスクによれば、複数の記録領域が同心円状に物理的に配分され、各記録領域内のリードイン領域、ユーザデータ記録領域及びリードアウト領域が予め特定の位置に割り付けられ、且つ、複数の記録領域の内周側及び/又は外周側に設けられたシステムリードイン領域に光ディスク全体を管理する情報(各記録領域の物理アドレス等)が記録されているので、システムリードイン領域の情報を読み取ることにより、光ヘッドを直接所望の記録領域に移動させることが可能になり、所望の記録領域において速やかに情報の記録・再生動作を行うことができる。
また、本発明に光ディスクによれば、分割された複数のユーザデータ記録領域を、本発明の光ディスクよりフォーマット的に小容量の記録媒体の容量単位で配分することができる。それゆえ、本発明の光ディスクは、物理的には一枚の光ディスクありながら複数枚の光ディスクが同心円状に分割して実装されたような光ディスクとしてイメージすることができ、また、駆動装置側から見ると、複数の小容量光ディスクを束ねた構造の光ディスクとしてイメージすることができる。このような光ディスクでは、光ディスク全体の管理情報(システムリードイン領域の情報)を再生することにより、当該光ディスク内に幾つの小容量光ディスクに対応する領域が存在するか、またその配置はどうなっているかという情報が得られる。具体的には、束ねた小容量光ディスクに対応する領域の記録開始位置の情報、各少容量光ディスクに対応する領域の管理情報すなわちリードイン領域の位置情報等を得ることができる。これは、あたかもジュークボックスに格納されたディスクの配置番号を知り、そのディスクに格納された情報の管理情報を探るようなものである。
すなわち、本発明の光ディスクは大容量光ディスクに小容量光ディスクを複数組み合わせたものと論理的に等価となるので、本発明の光ディスクにおける情報の記録再生は、あたかも大容量光ディスク及びその駆動装置を用いて小容量光ディスクのデータを記録再生するかのようにして実現することができる。それゆえ、本発明の光ディスク及びその駆動装置によれば、世代間の仕様(レーザ波長やレンズNA)の違いに関係無く、大容量ディスクで小容量ディスクのイミュレーションを行うことができ、複数の光ディスク相当の情報の記録再生を行うことが可能になる。
さらに、本発明の光ディスクによれば、複数の記録領域の物理的な位置を固定して、各記録領域を小容量光ディスクの記録再生と同様の動作が可能な領域として配分することができる。それゆえ、アクセス速度が向上し、単体の小容量光ディスクにおける記録再生動作と遜色のない使い勝手を実現することができる。また、本発明によれば、従来のように光ディスクの多岐にわたる世代の仕様に対応可能にするために駆動装置を複雑にしないでも、各種アプリケーションに適応したソフトの実現が可能になる。
[光ディスクの構成]
この例の光ディスクは複数の小容量光ディスクを束ねた構造のイメージを備えた光ディスクであり、その概略平面図を図1に示した。この例の光ディスク1では、図1に示すように、内周側からシステムリードイン領域3及び3つの記録領域11,12,13(以下、イミュレーションディスク領域11,12,13ともいう)をこの順で同心円状に物理的に分割して設けた。また、光ディスク1は、図1に示すように、スピンドル回転駆動用の孔2を備えている。なお、この例の光ディスクは、記録総容量15GBのHD DVDである。
イミュレーションディスク領域11は、図1に示すように、リードイン領域11a、ユーザデータ領域11b及びリードアウト領域11cから構成され、イミュレーションディスク領域11内の内周側からリードイン領域11a、ユーザデータ領域11b及びリードアウト領域11cの順で隣接して配置した。イミュレーションディスク領域12及び13においても、図1に示すように、イミュレーションディスク領域11と同様の構成とした。この例では、図1に示すように、リードイン領域、ユーザデータ領域及びリードアウト領域を1組としたイミュレーションディスク領域を1枚の光ディスクに3組設けた。
システムリードイン領域3は、各イミュレーションディスク領域の配置に関する物理アドレス等の領域情報の他、光ディスク1全体の管理情報に関する情報が記録されている。例えば、各イミュレーションディスク領域のフォーマットの種別情報、ディスクの構成情報(配置情報、容量情報、セキュリティ情報等)等が記録されている。なお、この例では、システムリードイン領域3を複数のイミュレーションディスク領域11,12,13より内周側の領域(光ディスク1の最内周付近の領域)に予め物理的に固定して設けたが、本発明はこれに限定されず、複数のイミュレーションディスク領域11,12,13より外周側の領域(光ディスク1の最外周付近の領域)に設けても良いし、複数のイミュレーションディスク領域11,12,13より内周側及び外周側の領域に設けても良い。
この例の光ディスクでは、複数のイミュレーションディスク領域が同心円状に物理的に分割され、各イミュレーションディスク領域の物理的な配置情報がシステムリードイン領域に記録されている。それゆえ、駆動装置で光ディスクを駆動した際に、システムリードイン領域の情報を読み取るだけで所望のイミュレーションディスク領域に直接光ヘッドを移動させることができ、所望のイミュレーションディスク領域のリードイン領域に速やかにアクセスすることができる。従来のマルチセッション方式では、上述のように直前に記録されたセッションのリードイン領域にのみ次のセッションの配置情報が記録されているため、最終のセッションに辿り着くには全てのセッションのリードイン情報を読み出す必要があり、セッションの数が多くなるとシステム的に迅速な動作を期待できなくなるという問題があった。しかしながら、本発明の光ディスクのように各イミュレーションディスク領域の物理的な配置を予め固定することにより上記問題を解消することができる。
図1に示した光ディスク1の複数のイミュレーションディスク領域の構成の論理的な配置を示したのが図2である。図2は、光ディスクの最内周部にシステムリードイン領域3を設け、その外側に各イミュレーションディスク領域11〜13を順次配置した構成を示している。なお、この例では、光ディスクを3組のイミュレーションディスク領域に分割した場合を示したが、本発明はこれに限定されず、3組より多く分割しても良いし、少なく分割しても良い。また、残余領域があっても良い。
また、この例の光ディスク(容量15GBのHD DVD)において配置されたイミュレーションディスク領域の内容構成(容量構成)の具体例を図3に示した。ここでは、HD DVDとしてライトワンス型記録媒体を想定して記録容量を15GBに設定しているが、記録容量が23GBと大きくなるリライタブル型に対しても本実施例と同様に実装することが可能である。なお、リライタブル型を想定した場合もまた、残余領域は別途複数の記録領域に配分しても良いし、そのまま未使用領域としても良い。
この例の光ディスクでは、図3(a)に示すように、1枚の光ディスクを容量4.7GBの領域で3つの領域に配分した。容量4.7GBはDVD系光ディスクの容量に対応する。すなわち、この例の光ディスクでは、DVD系光ディスクを3枚分実装可能であり、1枚の光ディスクで3枚のDVD系光ディスクの記録再生が可能になる。なお、この例の光ディスクでは、図3(a)に示すような構成でイミュレーションディスク領域を配分したが、本発明はこれに限定されず、以下に説明する図3(b)〜(e)に示すような構成でイミュレーションディスク領域を配分しても良い。
図3(b)の構成は、1枚のHD DVDを容量700MBの領域で18つの領域に配分した場合の構成である。容量700MBはCD系光ディスクの容量に対応する。すなわち、図3(b)の構成は、1枚のHD DVDに容量700MBのCD系光ディスクを18枚実装した場合に相当する構成である。この場合も、配分した各CD系光ディスクの領域に対してリードイン領域及びリードアウト領域をそれぞれ組として設けることにより、各分割領域を単独のフォーマット領域としてアクセスすることができる。
また、本発明の光ディスクでは、1枚の光ディスク内にDVD系光ディスクに対応する領域とCD系光ディスクに対応する領域とを混在して設けても良い。本発明の光ディスクのように物理的にディスクイメージの開始点と終了点が明確に規定されていれば、異なるフォーマットで記録されるディスクフォーマットのデータ領域であっても1枚の光ディスク内に混在させることができる。実際、従来のマルチドライブとして開発された駆動装置はCD系やDVD系のディスクフォーマットをサポートしており、光ディスク内で異なるフォーマットのデータが混在していてもそれらの記録・再生動作に支障はない。
この例の1枚の光ディスク内にDVD系光ディスクに対応する領域とCD系光ディスクに対応する領域とを混在させた場合の構成を図3(c)〜(e)に示した。図3(c)は、この例の1枚の光ディスク(容量15GBのHD DVD)内に、DVD系光ディスクの容量に対応する容量4.7GBの領域を2つ、CD系光ディスクの容量に対応する容量700MBの領域を6つ設けた場合の一構成例である。図3(d)は、この例の1枚の光ディスク内に、DVD系光ディスクの容量に対応する容量4.7GBの領域を1つ、CD系光ディスクの容量に対応する容量700MBの領域を12つ設けた場合の一構成例である。また、図3(e)は、図3(c)の各容量の領域の配置構成を変えた例である。DVD系光ディスクの容量に対応する領域及びCD系光ディスクの容量に対応する領域の配置の組合せは適宜変更可能である。なお、これらのイミュレーションディスク領域の配置情報はシステムリードイン領域に記録される。
なお、図3の例では、CD系光ディスク及び/又はDVD系光ディスクに対応する容量の領域で構成した光ディスクについて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、MDやビデオテープ等の他の記録媒体の容量及びフォーマットに対応する領域を含む構成にしても良い。
以上のように、本発明の光ディスクでは、1枚の大容量ディスクをそれより小容量の光ディスクフォーマットで分割して格納することにより複数の光ディスクのデータを1枚の光ディスクの中に包含させることができる。この際、光ディスク全体を管理するシステムリードイン領域に各イミュレーションディスク領域の配置情報とフォーマット種類を登録する必要があり、駆動装置はシステムリードイン領域に登録された情報に基いて分割された各イミュレーションディスク領域に対応したデータフォーマットで情報の記録・再生を行うことができる。
[光ディスク駆動装置]
次に、この例の光ディスク駆動装置について説明する。この例の光ディスク駆動装置の概略構成図を図4に示した。光ディスク駆動装置20は、図4に示すように、主に、光ヘッド21、レーザ駆動回路22、サーボ制御回路23、記録再生信号処理回路24、スピンドルモータ25、回転制御回路26及びコントローラ27を備える。
スピンドルモータ25は、ターンテーブル上に載置された光ディスク1を所定回転数で回転させることができる。スピンドルモータ25の回転数は回転制御回路26により制御される。サーボ制御回路23は、光ヘッド21により検出されるフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいて、光ヘッド21の光ディスク1上の位置や光ヘッド21に搭載されているレンズの光軸方向の位置等を制御して、光ヘッド21からのレーザ光を光ディスク1上の所望の位置に位置付ける回路である。コントローラ27は、光ヘッド21により読み出された情報を記録再生信号処理回路24を介して取得し、その情報に基づいて光ディスク駆動装置20全体の動作を制御する装置である。
[記録再生方法]
次に、この例の光ディスクを上述した光ディスク駆動装置で記録再生する際の手順を説明する。なお、下記の記録・再生動作は図4に示した光ディスク駆動装置20のコントローラ27により制御される。
まず、記録方法の手順を図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図5には、イミュレーションディスク領域を単に領域と記載した。光ディスク駆動装置に光ディスクが挿入されると、初めに光ディスク駆動装置は、所定の位置(この例では光ディスクの最内周領域)に設けられたシステムリードイン領域に光ヘッドを位置づける(ステップS51)。
次いで、システムリードイン領域に記録された情報、例えば、挿入された光ディスクのイミュレーションディスク領域の数、各イミュレーションディスク領域の配置及びディスクの属性等の情報を再生する(ステップS52)。システムリードイン領域には、上述のように、駆動装置に挿入された光ディスクの属性(例えば、記録再生型か、再生専用型か)の情報、挿入された光ディスクに含まれるイミュレーションディスク領域数の情報、各イミュレーションディスク領域の容量の情報、各イミュレーションディスク領域のフォーマット情報(CD型かあるいはDVD型かという情報)、各イミュレーションディスク領域の物理位置の情報等が記録されている。
なお、システムリードイン領域のイミュレーションディスク領域の物理位置を再生して所望のイミュレーションディスク領域へ光ヘッドをアクセス動作させるためには、物理アドレスを予め光ディスクの全面に網羅しておく必要がある。例えばCD−RやDVD−Rのような案内溝とその溝を緩やかに偏向してアドレス情報を埋め込む方法や、アドレスピットを設置する方法が既に提案されている。これらの物理アドレスはディスク領域を物理的に分割する手段として用いるため、光ディスク全面に渡り共通したフォーマットでアドレス情報を網羅しなければならない。
上述のようにステップS52で、挿入された光ディスクにはどのようなイミュレーションディスク領域があるのか、また、それらのイミュレーションディスク領域の容量はどの位であるのかということが判断できる状態になる。それゆえ、ユーザは、この段階でどのイミュレーションディスク領域にアクセスしたら良いのかといったことを判断するために必要な情報が得られる。
次に、ステップS52で、システムリードイン領域の情報を得た後、各イミュレーションディスク領域における記録動作に移る。まず、記録動作の要求の有無を判定する(ステップS53)。記録動作の要求が無ければ、図5に示すように、ステップS53の判定を繰り返す。
ステップS53で記録動作の要求がある場合、挿入された光ディスクに異なる容量のイミュレーションディスク領域があるかどうか判定する(ステップS54)。挿入された光ディスクに異なる容量のイミュレーションディスク領域がある場合(例えば、図3(c)に示すような構成の光ディスク)、各イミュレーションディスク領域のフォーマットが異なるので、記録する情報のフォーマットに応じて記録すべきイミュレーションディスク領域を選択しなければならない。図3(c)の例では、DVD系光ディスクの情報を記録する場合にはDVD系光ディスクに対応するイミュレーションディスク領域に記録し、CD系光ディスクの情報を記録する場合にはCD系光ディスクに対応するイミュレーションディスク領域に記録しなければならない。それゆえ、ステップS54で挿入された光ディスクに異なる容量のイミュレーションディスク領域があると判定された場合には、ユーザからの入力により情報を記録するイミュレーションディスク領域を選択する(ステップS55)。次いで、選択したイミュレーションディスク領域のリードイン領域に光ヘッドを移動させる(ステップS56)。
一方、ステップS54で挿入された光ディスクに異なる容量のイミュレーションディスク領域なしと判定された場合には、情報が記録されていない所定のイミュレーションディスク領域のリードイン領域に光ヘッドを移動させる(ステップS56)。この際、基本的には、光ヘッドを前回記録されたイミュレーションディスク領域の次のイミュレーションディスク領域のリードイン領域に移動させる。より具体的には、内周側のイミュレーションディスク領域から記録する光ディスクでは、光ヘッドを前回記録されたイミュレーションディスク領域の外周側に隣接するイミュレーションディスク領域のリードイン領域に移動させ、外周側のイミュレーションディスク領域から記録する光ディスクでは、光ヘッドを前回記録されたイミュレーションディスク領域の内周側に隣接するイミュレーションディスク領域のリードイン領域に移動させる。
次いで、要求されたイミュレーションディスク領域のリードイン領域に移動した光ヘッドで、記録する情報を管理するために必要なリードイン情報をリードイン領域に記録する(ステップS57)。次いで、要求されたイミュレーションディスク領域のユーザデータ領域に情報を記録する(ステップS58)。情報の記録動作が終了したら、光ディスクへのアクセスを終了し(ステップS59)、光ディスクを光ディスク駆動装置から排出して一連の記録動作を終了する。
次に、再生方法の手順を図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6には、イミュレーションディスク領域を単に領域と記載した。光ディスク駆動装置に光ディスクが挿入されると、初めに光ディスク駆動装置は、所定の位置(この例では光ディスクの最内周領域)に設けられたシステムリードイン領域に光ヘッドを位置づける(ステップS61)。
次いで、システムリードイン領域に記録された情報、例えば、挿入された光ディスクのイミュレーションディスク領域の数、各イミュレーションディスク領域の配置及びディスクの属性等の情報を再生する(ステップS62)。このステップS62で、挿入された光ディスクにはどのようなイミュレーションディスク領域があるのか、また、それらのイミュレーションディスク領域の容量はどの位であるのかといったことを判断できる状態になる。すなわち、この段階でユーザがどのイミュレーションディスク領域にアクセスしたら良いのかといったことを判断するために必要な情報が得られる。例えば、光ディスク駆動装置に挿入された光ディスクがROM媒体である再生専用媒体であった場合、挿入された光ディスクに記録された各イミュレーションディスク領域の名称と各イミュレーションディスク領域に記録されたコンテンツ情報を入手することができる。それゆえ、ユーザはアクセスしたい情報が記録されたイミュレーションディスク領域に即座にアクセスし、目的とする情報を得ることが可能になる。
次いで、ステップS62で、システムリードイン領域の情報を得た後、再生動作の要求の有無を判定する(ステップS63)。再生動作の要求が無ければ、図6に示すように、ステップS63の判定を繰り返す。
ステップS63で再生動作の要求がある場合、ユーザからの入力により再生するイミュレーションディスク領域を選択する(ステップS64)。次いで、選択したイミュレーションディスク領域のリードイン領域に光ヘッドを移動させ(ステップS65)、リードイン領域に記録されたイミュレーションディスク領域のコンテンツ情報を再生する(ステップS66)。次いで、選択したイミュレーションディスク領域のユーザデータ情報を再生する(ステップS67)。情報の再生動作が終了したら、光ディスクへのアクセスを終了し(ステップS68)、光ディスクを光ディスク駆動装置から排出して一連の再生動作を終了する。
物理的に分割された複数のイミュレーションディスク領域を有する本発明の光ディスクでは、上述のようにして、情報の記録・再生動作を行う。なお、この例の光ディスク駆動装置の構成としては高密度記録対応の物理仕様を有することが前提ではあるが、本発明のような物理的に分割された複数のイミュレーションディスク領域構成の光ディスクに対応できる機能を有するソフトウエアが必要である。