JP2006162415A - 緊急地震速報によるダム防災方法および装置 - Google Patents

緊急地震速報によるダム防災方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 緊急地震速報の活用は、ダムおよびダム周辺地域の地震防災性を向上させるために大変有効であると考えられ、今後、地震時損傷予測の精度向上、大地震時の対処・行動に関する判断支援のための工夫、電力エネルギー施設への適用性等について検討が必要である。
【解決手段】 即時的評価の基本的な手順は、大きく、(1)即時的評価を行うための事前評価の段階と(2)地震発生時における即時的評価の段階の、2つの段階によって構成される。前者(1)は、世界の既設ダムの地震経験事例の分析、様々な条件を設定した三次元動的解析の実施、想定地震動に対する地震時損傷チャートの整備によって構成する。後者(2)は、緊急地震速報に基づく評価対象ダムサイトの地震動の推定、三次元動的解析結果を集約した地震時損傷チャートに基づく即時的評価、保守現場への情報伝達によって構成する。
【選択図】 図1

Description

全国地震観測網からの観測データに基づく、ダムの地震防災技術に関する。
既設ダムの地震時損傷形態について集約してみると、コンクリートダムに関してはクラックが発生する現象が発生し、また、フィルダムに関しては沈下や残留変形が発生する現象が、主要な損傷形態となる。そして、過去に発生した地震被害の解析は、ダムの耐震性能を正確に評価するために、非常に強い地震動を受けた際のダムの損傷過程・損傷様式を明確にし、クラックや残留変形等の損傷量を定量的に評価することが必要である。また、地震損傷を受けることが想定される場合には、地震損傷が発生してもダムの貯水機能が安全に保持され、2次災害の危険性が無いことを照査することが大切であることを示唆するものである。
これまで、ダムの耐震的配慮は、基本的に設計段階において考慮されているが、明治、大正、昭和と、それぞれの時代によって指針・基準類の規定が少しずつ変遷してきている。したがって、様々な時代に建設された既設ダムに関しては、地震防災工学の技術の進展発展に合せて、最新の技術によって地震時安全性の確認を行って行くことが地震防災性の向上を図る上で必要であると考えられる。既設ダムの地震時安全性を照査し、地震時損傷が想定される場合には2次災害の未然防止を図ることにより、人命や財産を守るという考え方が、地震防災の観点から必要であると考えられる。
全国地震観測網からの観測データに基づくダム防災方法および装置については、代表的にダムの地震時損傷の即時的評価法が提案され、実証試験も行われている。
特願2001−308218号公報 土木学会リアルタイム災害情報検知とその利用に関するシンポジウム(2004年6月)、pp125〜130
発明が解決しようとする課題について、以下にまとめる。
1.ダムの地震防災
水力エネルギーは、純国産の無公害自然エネルギーであり、地球環境保全の観点からも、我が国のベース電源として貴重な存在である。水力発電所を構成する大型構造物のひとつにダムがあるが、ダムは、社会性が高い施設であり、地震時の安全性の確認と確保は、大変重要な技術事項である。ダムは、優れた耐震性を有する構造物であるが、これまでの世界の地震経験事例を見ると、大地震の際に損傷を受けた事例が幾つか報告されており、周辺に住民が生活する地域で損傷を受けた場合の被害は甚大である。したがって、念には念を入れた、地震防災への備えが大切である。
地震が発生した際に、現状では、揺れて初めて地震の発生を知り、揺れが収まってからどの程度の震度であったかを確認し、所定の揺れ以上であることが判明した場合には臨時点検を実施して安全性の確認を実施しているのが一般的である。地震防災技術の進歩発展に伴い、地震動の到達前に地震の発生を知り、臨時点検の必要性や優先的に点検すべき部位についても、地震動の到達前に把握することが可能になると考えられる。
近年、高感度地震観測網(Hi-net)、強震観測網(K-NET、KiK-net) 等の地震観測網が高密度に整備され、地震情報が速やかに収集・分析・活用されるようになりつつある。地震の初期微動(P波)を感知してから3〜4 秒程度の時間で震源情報を特定する技術が開発され、震源から少し離れた地域に対しては、地震動の到達前に「何秒後に震度幾つの地震動が到達する」という緊急地震速報が配信されることが可能になりつつある。
また、既設ダムでは、ダムの安全管理や耐震設計技術の高精度化に活用するために、主要な既設ダムでは地震観測が実施されており、既設ダムで得られた地震観測データの有効活用も行われている。
ダムの地震時安全性に対する社会的要求度は、自然条件や社会条件等の国情に応じて変化すると考えられるが、4 つのプレートが複雑にぶつかり合う環太平洋地震帯に位置し、国土が狭い上に可住地面積が少なく、河川流域の土地利用が高密度に進んだ我が国では、ダムの耐震性能、防災性能に関する社会的要求度は高い。緊急地震速報の活用は、ダムおよびダム周辺地域の地震防災性を向上させるために大変有効であると考えられ、今後、地震時損傷予測の精度向上、大地震時の対処・行動に関する判断支援のための工夫、電力エネルギー施設への適用性等について検討が必要である。
2.三次元動的解析技術
一方、コンピュータ機器の高性能化に伴い、現在では、ダム−基礎岩盤−貯水池連成系の三次元動的解析技術が実用化されており、非常に強い地震動に対するダムの耐震性能の照査が可能になりつつある。
このような背景を踏まえ、緊急地震速報と既設ダムにおける地震観測情報と三次元動的解析技術を有機的に連携させることにより、既設ダムの地震時安全性を即時的に評価判定する方法が望まれる。また、高性能のスーパーコンピュータを利用することにより、緊急地震速報を受信してからリアルタイムでダムの三次元動的解析を実施することが可能となる。
しかし、現状で普通のコンピュータを利用する場合は、ダムの三次元動的解析には長時間を必要とするので、緊急地震速報を受信してから三次元動的解析を実施する方法では、リアルタイムの対応に即応することが現実的には難しいので、事前解析を実施しておく。
そこで、普段の事前準備として、入力地震動、基礎岩盤、貯水池等に関する解析条件をさまざまに設定した三次元動的解析を、あらかじめ実施し、世界の地震損傷事例や三次元動的解析の結果を集約しシステム化することにより、大地震発生時のダムの損傷を即時的に予測し、緊急時のリアルタイム対応が可能となる。
3.ダム損傷解析に関して
ダムは、地震動に対して高い耐震性を有していると考えられるので、地震時に軽微な損傷を受けることはあっても、構造的に重大な損傷を受けることは極めて稀であると考えられる。しかし、これまでの世界の既設ダムでは、重大な地震被害を受けた事例が報告されている。そのため、万が一のこともないように、平素からダムの地震時安全性を照査し、大地震が発生した際には、円滑かつ迅速な安全確認ができるようにしておくことが大切である。ダムでは、震度4以上の場合等に臨時点検を実施するように定められているので、震度4以上が想定される場合は、緊急地震速報を臨時点検情報として活用することが有効である。
(1)アーチ式コンクリートダムを用いたこれまでの検討では、引張破壊による損傷を予測する解析がある。
(2)1959 年12 月のマルパッセダム(フランス)の事例では、ダム決壊は基礎岩盤の崩壊が原因とされている。損傷解析においても周辺岩盤の崩落を考慮するためには、もっと広範囲なモデルによる検討が必要である。
(3)連続体モデルで計算されたコンクリートの発生応力分布は、必ずしもダム損傷形態そのものではない点など、計算結果の表現には留意する必要がある。
(4)フィルダムに対する適用について
(4−1)コンクリートダムについては、地盤が良く地震被害は極めて少ない。過去の地震被害を踏まえると、フィルダム(特にアースダム)が重要なターゲットになるものと考えられる。地盤が悪い地点であれば、地震被害の危険性は増大すると考えられる。ため池については液状化等かなりの地震被害が報告されている。また、近年の都市化の進展に伴い、ダム直下にまで都市化した地域も増加している。
(5)ダム施設の地震損傷予測の適用性について
(5−1) 日本の近代ダムは極めて強固でありダム本体の地震時損傷は考えにくいが、昭和8 年以前に建設された老朽ダムも多数あり、また、周辺施設への影響についての検討等への適用の拡大を検討する必要がある。
(5−2)台湾集々地震(1999年9月21日)によるダムの大きな被害のように、地表に出ていない断層の活動も考えられ緊急地震速報の活用による安全対策は有効であり、重要である。
(5−3)付帯施設の地震時安定性に関しては、ダム直近だけでなく、その外側の周辺岩盤の問題や貯水池周辺の斜面崩壊による被害の可能性もあり、リスク評価の対象領域を拡大することが必要となる。
4.普及促進に向けての標準化などの課題
(1)ダムは、形状や周辺の地形や地質が個々に異なるので、それぞれの地点に応じた解析が必要となる。ダムの安全性がサイトの地質等に大きく依存するので、それぞれの地点の特性に配慮した解析が必要である。
(2)システム全体のコスト削減・普及という観点から標準化が必要である。ダムの形式、形状、地盤の動的特性(主要動S波速度)等に着目したパターン化について検討することが考えられる。
(3)設計時の想定を大きく上廻る地震が発生した際のダムの安全性の確認、ダム地点の地震防災性の向上等に役立てるソフト的対策が重要である。そして、構造物を強い地震動に対して設計しようとしても、技術的にもコスト的にも限界があり、このようなハード的対策の限界を補うためにも、ソフト的対策が必要となる。
また、気象庁から配信される緊急地震速報を活用して、地震動の到達直前もしくは直後に、既設ダムの地震時損傷を即時的に予測評価するための手法についての検討が必要である。ダムに関しては、震度4以上の地震が発生した場合には臨時点検を実施するように定められているので、日常的には、こうした臨時点検の効率化、防災訓練や防災教育に役立てることが至近の目的となる。
5.情報伝達に関して
(1) 我が国には、高さ15m以上の大ダムが全国に約2800 箇所ある。高さ15m 以下のアースフィルダムは25万〜30万個所あり、緊急地震速報の有効活用が可能である。しかし、データ利用料などコストが高額であると普及が難しい。受信者負担という観点から何らかの使用料が課金されるのは妥当であろうが、有意性が理解されるような説明が必要である。
(2) 緊急地震速報の伝達手段は、気象庁等から配信される情報をリアルタイム地震情報利用協議会(以後、REIC)から専用線、衛星回線等を介して伝送することが前提となる。
(3) ダムでは、昭和30 年代より地震観測が継続的に実施されて来ており、兵庫県南部地震以降は、地震観測が実施されるダムも増加していることから、ダム地点の地震観測データとの相互利用の可能性がある。
(4)外部への情報提供は、その影響が大きいため高い確度での情報であることが要求される。このため、確率論的手法ではなく震源およびサイトを特定して、地震応答解析により個別に損傷予測を行う手法は有効である。
(5)ダム本体に限るのではなく、関連施設を含めて全体システムの防災を図るために、緊急地震速報を援用した管理体制を樹立することが必要となる。
(6)情報配信に際しては、地震動推定精度や損傷予測解析の精度の向上等により、一層信頼性のある情報とする必要がある。
本発明では、新たな方法の提示により、以上に説明した課題に応えるものである。
以下、本発明の請求項ごとに解決するための手段を説明する。
すなわち、本発明は、請求項1に記載のように、ダムの防災方法であって、緊急地震速報の伝達手段を具備することを特徴とする緊急地震速報によるダム防災方法および装置を構成する。
また、本発明は、請求項2に記載のように、ダムの防災方法であって、地震損傷解析手段を具備することを特徴とする緊急地震速報によるダム防災方法および装置を構成する。
また、本発明は、請求項3に記載のように、ダムの防災方法であって、地震時損傷評価チャートを具備することを特徴とする緊急地震速報によるダム防災方法および装置を構成する。
また、本発明は、請求項4に記載のように、ダムの防災方法であって、三次元動的解析によるダムサイト地震動早見テーブルを具備することを特徴とする緊急地震速報によるダム防災方法および装置を構成する。
以下、本発明に係る緊急地震速報によるダム防災方法および装置による効果を、課題の項目および請求項ごとに説明する。
2.三次元動的解析技術
世界の地震損傷事例や三次元動的解析の結果を集約しシステム化することにより、大地震発生時のダムの損傷を即時的に予測し、緊急時のリアルタイム対応を可能にした。
3.ダム損傷解析に関して
既設ダムの地震時損傷形態を即時的に予測するために、地震時の損傷予測に必要な地盤−構造物系の地震損傷解析という評価プロセスをシステムに組み込むことによって、ダムの正確な地震防災を可能とした。
5.情報伝達に関して
地震による揺れが到達する前に、コントロールセンター担当者が適切な制御処置を実施可能とし、周辺地域の市民、電気事業者、河川管理者等への即時的な地震防災情報の発信することによって、関係者に通報し人的及び物的被害を未然に防止することができる。
(1)本発明システムの特徴
ダム防災対応システムの特徴は、ひとつには、地震防災情報を可視化するために地圏情報(GIS、衛星画像等)の複合的利用技術をシステムに組み込んでいることである。これらの機能は、ダム地点のみならず、多種多様の施設、構造物へ適用、山間部、都市部を問わず広く全国へ適用できる。
(2)人的な適用
緊急地震速報は教育などの人的効果に高く、周辺住民などへの安全情報や越流情報の伝達を前提としての教育を行なうことで、より有効な活用が可能となる。
(3)現場への普及システムの適用性に関して
成果普及の形態については、利用側の人的資源や物的資源の状況に応じて、地震情報だけを配信するケース(携帯電話、パソコン、警報、放送等)、ハード・ソフトを含めたシステムとして提供するケース、損傷予測等の解析評価のコンサルティングをするケースなど、個別および複数の組合せがある。
そして、本発明に係る緊急地震速報によるダム防災方法および装置によって得られる効果を請求項ごとに説明する。
まず、請求項1の発明においては、緊急地震速報の伝達手段を具備することによって、関係者に通報し人的及び物的被害を未然に防止することが可能になる。
また、請求項2〜4の発明においては、地震損傷解析手段、地震時損傷評価チャートおよび、ダムサイト地震動早見テーブルを具備することによって、ダムの正確な地震防災が可能になり、大地震発生時のダムの損傷を即時的に予測し、緊急時のリアルタイム対応が可能になる。
以下の実施例1〜4によって、本発明に係る緊急地震速報によるダム防災方法および装置を説明する。
まず、本発明に係る緊急地震速報によるダム防災方法および装置の基本的考え方を説明する。
図1は本発明に係る緊急地震速報によるダム防災方法および装置の、即時的評価についての基本的な手順を示す図である。図1に示すように、即時的評価の基本的な手順は、大きく、(a)即時的評価を行うための事前評価の段階と、(b)地震発生時における即時的評価の段階の、2つの段階によって構成される。前者(a)は、世界の既設ダムの地震経験事例分析(ステップS1)、様々な条件を設定した三次元動的解析の実施(ステップS2)、想定地震動に対する地震時損傷チャートの整備(ステップS3)によって構成する。後者(b)は、緊急地震速報に基づく評価対象ダムサイトの地震動の推定(ステップS5)、三次元動的解析結果を集約した地震時損傷チャートに基づく即時的評価(ステップS6)および、保守現場への情報伝達(ステップS7)によって構成する。
以下、本発明の実施例1を要素技術ごとに説明する。
(1) 緊急地震速報の活用
図2は本発明に係る緊急地震速報によるダム防災方法および装置の、即時的評価についての基本的な手順を示す図である。図2に示すように、地震時安全性の即時的評価方法12は、地震動の到達前に配信される緊急地震速報11を、既設ダムの地震時安全性の即時的評価に活用することを大きな前提としている。忘れた頃にやって来る大地震の発生時は、心理的に時間的余裕が少ない環境下に置かれることになるので、即時的かつ自動的にダムの地震時損傷の有無を予測し、損傷が予測される場合にはその状況を提示することが、緊急時の対応に必要となる。
緊急地震速報の基本情報は、震源位置とマグニチュードなので、この基本情報から経験式を用いてダムサイトで想定される地震動の卓越周波数や最大加速度を推定する。地震観測を実施している既設ダム地点に関しては、ダムで観測された地震観測データがある場合には(ステップS22)、これらのデータを活用して、対象ダム地点の地震動の増幅特性や周波数特性をより実証的に推定することが可能である。
(2)地震時損傷評価判定チャート
即時的評価に用いる地震時損傷判定チャート14は、ダムサイトで想定される地震動、基礎岩盤、貯水池等に関する条件を、様々に想定して実施した三次元動的解析の結果(ステップS23)に基づいて作成する。地震時損傷評価判定チャートは、基本的には、マグニチュードと震央距離、あるいは地震動の最大加速度と卓越周波数との関係チャートとして作成する。
以上の地震時安全性の即時的評価方法12によって、保守現場への情報伝達13および、ダムの安全管理・効率化・合理化が実現する(ステップS21)。
次に、三次元動的解析の実施に関しては、図3の概念に示したように、地震動の最大振幅および卓越周波数などの地震動を想定する(ステップS25)。また、基礎岩盤、貯水池の水位などの動的物性値について幾つかの条件を設定し(ステップS26)、自由地盤15の地震時損傷パターンの分類・設定を行う。
(3)三次元動的解析による地震時損傷の事前評価
評価対象とするダムの地震時損傷の事前評価は、ダム−基礎岩盤−貯水池連成系の三次元動的解析結果に基づいて行う。緊急地震速報を受信してから、主要動(S波)がダムサイトに到達するまでの余裕時間は数秒から数十秒程度と予想される。このような短い時間内に、リアルタイムで三次元動的解析を行うことは、現状では難しい。また、ダムの保守現場に地震工学に明るい技術者がいるとは限らないので、緊急地震速報の受信とほぼ同時に、かつ自動的に予測評価結果が提示されるような方法が必要である。従って、本発明では、緊急対応のための判断支援システムとしての活用に主眼を置き、三次元動的解析による地震時損傷解析の結果を集約し、地震時損傷評価判定チャート16を整備し、これに基づいて、即時的にダムの地震時損傷の予測評価結果を提示する(ステップS27)。
次に、三次元動的解析による地震時損傷の予測の一例を説明する。まず、世界の既設ダムの地震経験事例では、地震動レベルが非常に大きい事例、例えば、震度7を超えるような揺れを経験した事例は、非常に数が少ない。コンクリート重力式ダム、アーチダム、ロックフィルダムに関しては、地震動によって重大な損傷を受けた事例は報告されていないが、極めて強い地震動が作用した場合に、果して重大な地震時損傷が発生するのか否か、発生する場合にはどのような損傷形態が想定されるのか等については、過去の地震損傷事例だけでは、未だ十分には解明されてい領域が残存している。そこで、非常に強い地震動が作用した場合のダムの損傷を推定するために、様々な条件設定の元で三次元動的解析を行い、既設ダムの地震時損傷についての検討を行った。ダムの損傷は、ダム形状や構造的特性、基礎岩盤の特性、貯水条件、地震動特性等によって大きな影響を受けるので、これらの影響を三次元動的解析によって把握・考察した。
事例研究の一つとして作成した、既設ダム−基礎岩盤−貯水池連成系の三次元解析モデルの例は、以下のとおりである。
貯水池の水深は、75m、90m、104m の3通りを設定した。
基礎岩盤の境界条件は、側方境界は粘性境界、下方境界は固定境界とした。
動的解析に用いた物性値は、事例研究の対象とした既設ダムの実地震時挙動の再現解析から同定した
結果として、表1の数値を使用した。
Figure 2006162415
入力地震動は、兵庫県南部地震の際に一庫(ひとくら)ダムで観測された波(図4参照)を利用し、基礎岩盤の下方基盤より入力した。最大加速度振幅は、表2に示したように、マグニチュードと震央距離の組合せを設定し、100gal〜1000gal の範囲の数値を設定した。
Figure 2006162415
以上説明したシステムは、大地震時の即時的評価は、緊急地震速報の受信から保守現場への情報伝達までのプロセスを1 秒程度で実施することが可能である。
図5は本発明に係る解析によるダムの損傷形態予測のフローを示す図である。図5に示すように、まず、ダムサイト地震記録の分析(スペクトル、距離減衰特性等)を行う(ステップS31)。次に、地震を想定し、岩盤特性を考慮した地震動を作成し(ステップS32)、入力地震動を作成(引戻し計算)する(ステップS33)。
次に、三次元ダムー貯水池ー基礎岩盤連成モデルを作成し(ステップS35)、常時応力の解析を行う(ステップS36)。そして、先にステップS33で解析した入力地震動と、ステップS36の常時応力の解析結果を入力として、地震応答解析を実行する(ステップS37)。次に、地震応答解析結果から損傷形態を推定し(ステップS38)、損傷形態早見テーブルを作成することができる。
以下に、図5の処理の詳細を説明する。
まず、ダムの損傷形態の解析条件は以下のとおりである。
*事例モデル:図5に示す三次元ダムー貯水池ー基礎岩盤連成系モデル(ステップS35)
*物性は実地震挙動の逆解析により同定した値を利用する。
*地震動:東海地震想定波、図4に示す一庫(ひとくら)ダム地震観測波(ステップS31)。
そして、損傷の判定は、コンクリートの引張強度3.5Mpa、をクラック発生の限界応力と想定して、クラックの発生状況およびダムの損傷形態を推定する(ステップS38)。
1)ダム損傷解析に関して
(1)アーチ式コンクリートダムを用いたこれまでの検討では、引張破壊による損傷を予測する解析を行った。損傷予測は引張破壊か圧縮破壊かが重要であるが、当該解析では引張破壊による損傷を予測する。
そして、実際にはジョイント、ひび割れによる応力拡散があるので、安全側の解析といえる。
(2)三次元FEM 解析での貯水池領域のメッシュ範囲が重要となるが、通常、水深の3 倍以上程度の範囲を解析対象としておけば、境界条件による解析結果への影響は小さいと考えられているので、今回は解析の適用範囲とした。なお、今回の解析では、貯水池底面および上流端からの波動エネルギーの逸散が考慮されている。
(3)連続体モデルで計算されたコンクリートの発生応力分布は、必ずしもダム損傷形態そのものではない点を誤解されないよう、計算結果の表現には留意する必要がある。
2)検討外力に関して
(1)入力地震動は、兵庫県南部地震の際に一庫(ひとくら)ダムで観測された地震動のスケーリングを変えて使用し、ダムの地震損傷は、震源位置とマグニチュードから、最大加速度とダムサイトでの卓越振動数を推定して評価した。
(2)プロトタイプの将来的な実用化段階では、損傷予測において実際の地震のタイプ等を考慮して適切な観測波形を用いた解析を行う等の配慮が必要になる。
(3)ダムで地震動を観測してから、直ちに動的解析を実施することは、理論的には可能であるが、現在使用しているサーバでは、三次元動的解析に十数時間を要するので、現状では三次元動的解析自体のリアルタイム対応は難しい。ただし、スーパーコンピュータを利用すれば、地震動観測直後に三次元動的解析を短時間に処理することは、将来的には可能である。
(4)断層モデルの情報があれば、位置の情報から地震波を想定することは可能である。津波の場合には約10万通りの計算をあらかじめ計算しておくことで気象庁は対応しているのが現状であるが、対象地4点での地震動の想定は、かなり実現できる技術的段階にある。地震のタイプ、地盤条件等に左右される地震動の周波数特性とダムの形式、構造等に応じて定まるダムの動的応答特性との関係等により、ダムの応答が大きく異なることを考慮して適切な想定地震動が設定できる。
(5)たとえば、南海地震と東南海地震が連動するような厳しいし想定で、損傷をモデル化した解析も考えられる。
図6は、緊急地震速報に基づくダムサイトの地震動予測の基本フローを示す図である。図6に示すように、評価対象地点の岩盤特性を考慮して(ステップS41)最適な距離減衰式を選択することが必要になる(ステップS42)。評価対象地点に地震観測データがある場合には、その情報も踏まえて、ダムサイトの地震動予測精度を向上させる(ステップS43)。
そして、以上の処理結果により、ダムサイト地震動早見テーブルを作成し(ステップS44)、さらには、地震観測に基づいて早見テーブルを修正し、ダムサイトの地震動予測精度を向上させる(ステップS45)。
そして、気象庁などからREICが受信した緊急地震速報(マグニチュード、震源位置など)に基づいて、ダムサイトの地震動レベルを予測する際には、距離減衰式を用いる。現在、様々な距離減衰式が提案されているので、適用する距離減衰式は、アーチダム、重力式ダム、ロックフィルダム、アースフィルダム等、ダム地点の岩盤条件に応じて選択する。
本発明に係る緊急地震速報によるダム防災方法および装置における2次災害予測の条件については、現段階で現実に予測されている地震動についての解析ではなく、ダムの損傷によって2次災害が懸念されるような地震動を仮想的に設定した上で行う。
2次災害の予測手法としては、米国海洋大気局 水文学研究所(Hyerologic Research Laboratory Office of Hydrology、National Weather Service (NWS)、NOAA)が開発したダム破壊による洪水予測モデルDAMBRKが公表されている。
ダム破壊による洪水予測モデル(DAMBRK)は、シンプルなパラメータを用い、下流域の時間および空間の洪水曲線を予測することができる。流出による貯水池の貯水量の計算では、上流域よりの流入も考慮している。DAMBRKモデルは、基本的に下流域を通過する洪水の時間および水位の動態追跡技術から構成されている。動態水位追跡技術は、加重した4点非線形1次元不規則な流体(Aaint - Venant Equations)の差分計算に基づくものであり、次の解析機能がある。
(1)超臨界流動
(2)亜臨界流動
(3)上記2種流動の混合
(4)上記3種流動の計算で、様々な影響要因を考慮することができる。下流域の障害物(例えば、道路橋、盛土、他のダム、土石流、圧力流、山滑りに起因する貯水池の波、体積損失、無効貯水量、氾濫原など。
予測解析の実施に際しては、モデル化に必要なパラメータの不確定性、ならびにパラメータの設定に十分留意することが必要である。パラメータの入力には一定の柔軟性がある。すなわち、パラメータが入手できない時には、最小限の条件設定で済ませることが可能であり、詳細のパラメータがある時には、非常に細かい設定が可能である。
この解析法の適用事例としては、Tetonダムの破壊、Buffalo Creek(coal-waste)ダムの崩壊に関する事例が公表されている。計算された下流域の流量は実際の計測値と規模的に、また時間的に一致している。洪水波が下流域に流れる時には、急に減衰するが、観測された下流域のピーク流量はよく再現されている。
図7に貯水池の水深−貯水量と水深−面積の関係曲線を示す。図7に示したように、横軸を貯水量および貯水面積、縦軸を貯水池面積とすると、有効容量曲線、総容量曲線および、面積曲線は図7のようになる。そして図7に示したように、貯水池の水深−貯水量と水深−面積の関係曲線は、2次災害予測の基本条件となる。
また、ダムの損傷形態に関しては、図8に模式的に示したように、ダム51の損傷個所52を台形として模擬し、ダムの開口寸法を入力パラメータとする必要がある。我が国では、ダム決壊後の2次災害の予測は、これまで実施されたことがないが、ダム地点の地震防災性確認の観点からは、念には念を入れた地震時安全性の確認が必要となる。
図9は、図7および図8に例示した条件設定で解析してみた際の結果の一例である。図9(a)の洪水過程曲線は、ダム下流域における水深と流量の洪水過程を示したものであり、図9(b)の最大水深分布図は最大水深の分布を示したものである。
次に、緊急地震速報及びダム防災関連情報の伝達に着目した場合の標準化の記述イメージを図10に示す。図10に示すように、プロトタイプシステムは、地震損傷解析、地震情報活用および、即時的情報提供を実現する(ステップS61)。そして、ダムそのものについては、都市域に隣接するダムおよびアースフィルダムを重要な対象とする(ステップS62)。
また、ダム施設機能の保持では、設備(発電、治水、利水施設等)の自動制御の活用を図る(ステップS63)。さらに、安全安心情報として、臨時点検の効率化および、説明責任がある(ステップS64)。そして、本発明による緊急地震速報によるダム防災方法および装置を装備したダムが、地震情報発信拠点として、ダム周辺住民向けおよび、地方自治体向けに防災情報を発信する(ステップS65)。さらに、プロトタイプシステムの活用は、地震防災教育がある(ステップS66)。地震防災教育には、(1)地盤ー構造物系の地震被害予測、(2)地震防災情報の複合的利用、(3)保守管理従事者の啓蒙・管理および、(4)周辺住民、自治体との防災協力がある。
また、構造物、施設に着目した場合の記述イメージを図11に示す。図11に示すように、緊急地震速報は、震源地のマグニチュードM、震央距離および、到達時刻をダムに送信する(ステップS71)。地震震度が4以上ではない場合は、情報発信無し(対象外)とする(ステップS73)。そして、地震震度が4以上の場合は、(1)地震直前情報の伝達(ステップS74)、(2)臨時点検情報の発信(ステップS75)および、(3)地震損傷の可能性(ステップS76)へ進む。
次に、地震損傷の可能性が無ければ、安心・安全情報を発信する(ステップS77)。そして、ダムに地震損傷の可能性がある場合は、(1)耐震補強へのフィードバック(ステップS78)および、(2)2次災害の可能性を検討・実行する(ステップS79)。また、2次災害の可能性が無ければ、安心・安全情報を発信する(ステップS80)。
さらに、2次災害の可能性を有する場合は、地域防災へのフィードバック(ステップS81)および、警戒情報を発信する(ステップS82)。
以上の緊急地震速報によるダム防災方法および装置によって、リアルタイム減災(大地震時の)および、地震防災性向上(普段の)が可能になる(ステップS83)。
ダム施設や様々な構造物等の物的被害低減のための地震防災に緊急地震速報を有効に活用するためには、「何秒後に震度いくつの揺れが来る」という情報だけでは不十分であり、「震度いくつの揺れが来るから、どうなるのか、だからどのように対処し、対応すべきか」という、対処・対応の判断を支援する情報が非常に重要である。こうした、対処・対応の判断支援情報の集約と緊急地震速報利活用システムへの導入が重要なポイントである。
図12は、既設ダムの即時地震被害予測と2次災害警報システムを示す図である。図12に示すように、システムは、リアルタイム地震情報活用システム93、即時地震被害評価判定システム95および、2次災害警報システム96から構成する。リアルタイム地震情報活用システム93は、地震観測網91および気象庁等94からの地震情報を、リアルタイム地震情報利用協議会92(以後、REIC)を経由して、提供されるリアルタイム地震情報を受信し、即時地震被害判定システム95に地震情報を伝達する。
また、即時地震被害判定システム95は、ダム地震損傷予測と2次災害予測の機能により構成する。ダム地震損傷予測の機能は、ダム−基礎−貯水池に関する諸条件を考慮して、別途実施した三次元動的解析結果を集約して作成する。ダム地震時損傷早見テーブルに基づいて、ダムの地震損傷形態の予測を行う(ステップS94)。2次災害予測の機能は、予測されたダムの損傷形態、貯水状況、河川状況、建物分布を考慮して作成した2次災害早見テーブルに基づいて、2次災害の危険性を予測する。
そして、2次災害警報システム96は、2次災害の危険性がある場合、複数の警報端末97a、97bなどを経由して関係者に、速やかに警報を発信する。また、水力発電所の2次災害警報98として活用する。
以下、図12の即時地震被害予測と2次災害警報システムを要素技術ごとに、詳細に説明する。
1)情報伝達に関して
(1)緊急地震速報の伝達手段は、気象庁から配信される情報をREICから専用線、衛星回線等を介して伝送する。
(2)緊急地震速報の内容は、震源情報のみとなっているが、断層情報等を順次追加する。
(3)ダムでは、昭和30年代より地震観測が継続的に実施されて来ており、兵庫県南部地震以降は、地震観測が実施されるダムも増加していることから、将来的には、ダム地点の地震観測データとの相互利用の可能性も考えられる。
2)データ伝送時間
(1)REICから緊急地震速報が発信され、東京および佐久間ダム(静岡県磐田郡)に設置したクライアント機にて受信、演算、表示が終了するまでの時間は、平均約0.3 秒(最大1.0秒)である。この値は実運用上支障のないものである。
(2)2次災害警報の配信は模擬的に東京で実施するとともに、衛星パケット通信を利用して、警報端末を佐久間ダムのサイトで実証試験を実施した。
(3)強い揺れが広域にわたるような大規模地震時に多数ダムへの同時配信を可能とする。
(4)以降は、地震観測が実施されるダムも増加していることから、将来的には、ダム地点の地震観測データとの相互利用も考慮する。
(5)地震防災情報の発信拠点としての可能性が得られる。
ダムの地震時安全性に関する地元地方行政や地元住民の関心は高く、ダム地点をリアルタイム地震防災情報の発信拠点として活用できる。ダム地点では、ダム放流時にサイレンや放送や電光掲示板等を利用して放流警報を伝達することが、従来より行われており、ダム周辺地域の地震防災への貢献が可能となる。
(6)2次災害軽減・発災後の情報活用
2次災害の復旧を含め、発災後にどのような行動をとるかが重要であり、緊急地震速報の活用が可能となる。
3)表示内容
図12に示したプロトタイプを実際の佐久間ダムに設置し、実証実験を行った。表示内容は損傷パターンおよび2次災害区域が正常に出力されることを確認した。佐久間発電所内の監視パネルの気象条件表示と並列に緊急地震速報の表示することや、所内を離れている運転員に対しメール配信を行うことにより、現実的な地震情報伝達となる。
4)ダム施設の自動制御への適用可能性
図12に示したプロトタイプシステムには、自動制御に必要となる判断支援情報を得るための一手法として、即時地震損傷予測と2 次災害予測というプロセスを組み込んだが、ダム施設に関しては、水力発電機(発電の緊急停止)、洪水吐施設(ゲートの開閉)、取水施設(ゲートの開閉)、通行制限(ダム天端進入制限)等に関する自動制御の可能性が想定される。しかし、例えば取水施設のゲート開閉速度は急降下装置があるものでも毎分5〜8m 程度であり、洪水吐きゲートは放流方法が法律や操作規定で定められている等の制約があるが、緊急地震速報の適用の可能性がある。
また、地震時損傷の可能性が無ければ、「安全・安心情報」として行政機関への報告やダム周辺地域への対応に活用することが可能となる。震度6弱以上が想定され、なお且つ、地震時損傷の危険性が想定される場合には、臨時点検を優先的・重点的に実施すべき部位を端末画面に表示することにより、臨時点検への初動対応に円滑・効率的に移行することが可能になり、保守管理を担う現場にとっては、実務的に大変役立つ地震防災情報を提供することができる。なお、震度6弱以上が想定され、ダムの地震時損傷が予測される場合には、人的被害の未然防止を主眼に、ダム下流域の地震防災に万全を期すために、緊急地震速報とともに、地震時損傷に関する予測情報を関係者に配信することになる。
本発明に係る緊急地震速報によるダム防災方法および装置は、重要な社会基盤施設に関する地震時安全性の定量的評価の精緻化への活用も可能であり、地震による社会基盤施設の直接被害、更には、2次被害の防止、地域の地震防災性の向上等に役立てることができる。
以上説明したように、地盤−構造物系の三次元動的解析技術と緊急地震速報、更には防災情報伝達技術を有機的に連携させることにより、新しい付加価値を持った防災情報の発信と防災技術の提供が可能になる。ダムに限らず、送電施設、変電施設、火力・原子力発電施設、更には、多種多様の社会基盤施設や都市防災への適用が可能である。
本発明に係る緊急地震速報によるダム防災方法および装置の、即時的評価についての基本的な手順を示す図である。 本発明に係る緊急地震速報によるダム防災方法および装置の、即時的評価についての基本的な手順を示す図である。 地震時損傷評価判定チャートを示す図である。 兵庫県南部地震の際に一庫ダムで観測された波を示す図である。 本発明に係る解析によるダムの損傷形態予測のフローを示す図である。 緊急地震速報に基づくダムサイトの地震動予測の基本フローを示す図である。 貯水池の水深−貯水量と水深−面積の関係曲線を示す図である。 ダム損傷形態の模式図を示す図である。 図7および図8に例示した条件設定で解析してみた際の結果の一例を示す図である。 緊急地震速報及びダム防災関連情報の伝達に着目した場合の標準化の記述イメージを示す図である。 構造物、施設に着目した場合の記述イメージを示す図である。 既設ダムの即時地震被害予測と2次災害警報システムを示す図である。
符号の説明
11 緊急地震速報
12 地震時安全性の即時的評価方法
13 保守現場への情報伝達
14 地震時損傷判定チャート
15 自由地盤
16 地震時損傷評価判定チャート
51 ダム
52 損傷個所
91 地震観測網
92 リアルタイム地震情報利用協議会(REIC)
93 リアルタイム地震情報活用システム
94 気象庁等
95 即時地震被害判定システム
96 2次災害警報システム
97a 警報端末
97b 警報端末
98 2次災害警報

Claims (4)

  1. ダムの防災方法であって、緊急地震速報の伝達手段を具備することを特徴とする緊急地震速報によるダム防災方法および装置。
  2. ダムの防災方法であって、地震損傷解析手段を具備することを特徴とする緊急地震速報によるダム防災方法および装置。
  3. ダムの防災方法であって、地震時損傷評価チャートを具備することを特徴とする緊急地震速報によるダム防災方法および装置。
  4. ダムの防災方法であって、三次元動的解析によるダムサイト地震動早見テーブルを具備することを特徴とする緊急地震速報によるダム防災方法および装置。
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