JP2006160049A - エアバッグ用小型インフレータ - Google Patents

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正人 廣岡
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Abstract

【課題】 ガスの排出完了時間がより短縮されたエアバッグ用小型インフレータの提供。
【解決手段】 インフレータ10は、ガス充填室12(ガス充填量1モル以下)、破壊手段収容室22、ディフューザ部30を有し、それらは第1破裂板41、第2破裂42で分離されている。点火器25の作動による衝撃波及び熱で第1破裂板41、第2破裂板42が破壊され、ガスは加温状態のまま、より迅速にエアバッグに排出される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車に搭載するエアバッグシステムに用いるエアバッグ用小型インフレータに関する。
車両乗員を衝撃から保護するエアバッグシステムは、その設置場所によって作動形態が異なる。例えば、運転席又は助手席の前面衝突からの乗員保護用エアバッグシステムでは、エアバッグ展開までに要する時間が40〜80msecであるのに対して、側面衝突保護用のエアバッグシステムでは、乗員と車両構造物との間隔がより短いため、より迅速に(例えば、10msec程度で)エアバッグを展開させる必要がある。
つまり、エアバッグシステムに使用されるガス発生器としては、迅速にガスの発生を終了させる必要があり、出力の最大値到達時間までを短くできることが望ましい。特にこのような条件を満足させるには、加圧ガスをエアバッグ膨張源にしたガス発生器が好ましいが、通常、加圧ガスを貯蔵するボンベ部分の容積と比べて、ガス排出口の断面積はかなり小さいため、ガスの排出完了まで時間が掛かってしまう。
一方、加圧ガスを排出する場合、高圧の状態から大気圧の環境(エアバッグ内)に排出されると、断熱膨張により温度低下をもたらし、エアバッグの展開圧力が低下する。特許文献1のガス発生器は、容器12の一端部に形成されたオープニング18と、オープニング18を閉塞するバーストディスク24に対して反対位置に存在するイグナイタ46が配置されている。イグナイタ46からはショックウェーブが発生し、容器12の加圧ガスがバーストディスク24の所定の破裂圧に上昇する前に、ショックウェーブによってバーストディスク24が破れる。この場合、ショックウェーブは音速より速い圧力波であり、一般に取り扱いが難しい爆薬を用いて発生させている。
USP6,273,462 B1
特許文献1では、イグナイタ46とバーストディスク24が両端に位置しているため、強いショックウェーブを発生させることで、バーストディスク24を確実に破壊する必要がある。このため、このようなショックウェーブを確実に発生させることができる火薬の種類及び量の選択が重要となる。
本発明は、作動時において、ショックウェーブを発生させるのではなく、熱エネルギーを発生させ、それを利用することで作動を確実にすると共に、全体が小型化されたエアバッグ用小型インフレータ、及びそれを用いたエアバッグシステムを提供することを課題とする。
本発明は、課題の解決手段として、
ガス排出口を有するハウジング内が破裂板を含む分離手段で2室に分離されており、
一方は加圧ガスが充填されたガス充填室で、ガス充填室に充填される加圧ガスのモル数が1モル以下であり、
他方は破裂板の破壊手段が収容された破壊手段収容室で、破壊手段が熱エネルギーを発生させ、実質的にガスを発生させないものである、エアバッグ用小型インフレータを提供する。
ハウジングは、全体が1つのハウジングからなるものでもよいし、ガス充填室と破壊手段収容室が別々のハウジングからなり、2つのハウジングが溶接等で一体化され、全体として1つのハウジングになったものでもよい。また、ガス排出口は、ハウジングに直接設けられた孔でもよいし、ハウジングと一体化された、所望形状のディフューザ部に設けられた孔でもよい。
ハウジング内を分離する分離手段は、破裂板のみからなるものでもよいし、ハウジング内壁面から内側に延ばされた円形隔壁と、円形隔壁に固定された破裂板を組み合わせたものでもよい。破裂板は、破壊されやすくするためと、破片が飛び散らないようにするため、十字状等のノッチを付けることができる。
加圧ガスは、乗員の安全性を考慮すると、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の不活性ガス、窒素ガス等が好ましいが、空気等の他のガスを含んでいてもよい。
破壊手段は、熱エネルギーを発生させるものであり、例えば、電気式点火器(点火部に発熱部と、それに接触する点火薬を含んでいる。)のほか、点火器として点火部に少量の補助的に使用される火薬を有するものを用いることもできるが、好ましくは電気式点火器のみである。
発熱体としては、通電により発熱する抵抗線(ニクロム線のブリッジワイヤ、薄層抵抗体、半導体等)を挙げることができる。火薬としては、3000J/g以上の熱量を発生させるものが好ましく、公知のZPP(ジルコニウムと過塩素酸カリウムとの混合物)等を挙げることができる。
火薬(ZPP)は、発熱体の発熱を伴った燃焼により、高温ガス(衝撃波と熱エネルギー)を発生させる。火薬がZPPの場合の使用量は60〜300mgが好ましく、120〜300mgがより好ましく、190〜300mgが更に好ましい。この範囲内であると、発生するガスは、充填された加圧ガス量の2%(容量%)以下であるため、エアバッグの膨張には関与せず、エアバッグの膨張媒体としての観点からは、実質的にガスを発生させていないものである。
インフレータは、ガス排出口から排出されるガス流量を制御するチョーク部分(最も断面積の小さい部分)を有している。チョーク部分の面積が一定であれば、インフレータ内のガス充填量(ガスのモル数)に関係なく、単位時間当たりのガス排出量は変わらないが、インフレータ内のガス充填量(ガスのモル数)が多い場合は、排出完了までに時間が掛かりすぎる。このため、側面衝突用のインフレータとして適用する場合等に求められる、インフレータの作動から最大出力に達するまでの時間を短縮するとの要請に応えられていない。
更に、インフレータの作動時に点火器から熱エネルギーが発生した場合でも、充填ガス量が多いと、発生した熱エネルギーが充填ガスで希釈されてしまうため、ガス温度を十分に高めることができない。
しかし、本発明のインフレータでは、充填ガス量を1モル以下と少ないため、電気式点火器のみからの熱エネルギーで、充填ガスの温度を十分に高め(充填ガスの希釈による温度低下を抑制し)、ガス排出時の温度低下を抑制することができたもので、その結果、ガスの排出完了までの時間を早め、インフレータの作動から最大出力に達するまでの時間を短縮することができたものである。また、加圧ガスは、高圧から常圧に開放されることで温度を低下させるが、インフレータ内で加温することで、前記温度の低下を抑制することができる。
本発明のインフレータは、充填ガスのモル数を少なくし、ガス排出完了までの時間を短くしたガス発生器ということで、例えば、側面衝突からの保護用エアバッグシステムに使用されるガス発生器に適している。なお、ガスの排出温度は、次の方法により求めることができる。
1)インフレータを60リットル密閉タンク(化学変化及び物理変化しない容器)内に設置し、20℃の温度平衡状態で作動させ、タンク内部の圧力を測定する。
2)測定した圧力から、理想気体の状態方程式にしたがって、T(混合後のガス温度)を求める。
3)下記の式(I)から、T(排出ガス温度)を算出する。
Figure 2006160049
A項:燃焼前のタンク内の空気の熱量
B項:インフレータからのタンク内に排出された排出ガスの熱量
C項:インフレータ作動後(タンク内の空気と混合後)のタンク内混合気体の熱量
v1:空気の平均比熱(定容モル比熱)
:空気のモル数
:空気(インフレータ作動前)の温度(293.14°K)
v2:インフレータからの排出ガスの平均比熱(定容モル比熱)
:インフレータからの排出ガスのモル数
本発明は、課題の他の解決手段として、ガス排出口がガス充填室に設けられ、更にガス充填室とガス排出口との間が破裂板で分離されており、作動時においては、ガス充填室内の加圧ガスがガス排出口から排出され、エアバッグを膨張させる、請求項1記載のエアバッグ用小型インフレータを提供する。
ガス排出口がガス充填室に設けられているタイプであり、破壊手段の作動により、ガス充填室と破壊手段収容室の間を分離する第1破裂板が破壊され、続いて、熱エネルギーによる内圧の上昇を受けて、ガス充填室とガス排出口を分離する第2破裂板が破壊されることで、加圧ガスはガス排出口から排出され、エアバッグを膨張させる。
このように、破壊手段から発生した熱エネルギーにより、ガス充填室内の圧力が高められるため、ガス排出速度が高められると共に、ガス温度が上昇された状態で排出されるため、エアバッグ内に導入されたとき、エアバッグの膨張圧が低下することを防ぎ、膨張圧力不足を生じる事態が防止される。
本発明は、課題の他の解決手段として、ガス排出口が破壊手段収容室に設けられており、作動時においては、ガス充填室内の加圧ガスが破壊手段収容室を通ってガス排出口から排出され、エアバッグを膨張させる、請求項1記載のエアバッグ用小型インフレータを提供する。
ガス排出口が破壊手段収容室に設けられているタイプであり、破壊手段の作動により、ガス充填室と破壊手段収容室の間を分離する破裂板が破壊され、ガス排出口に至るガス排出経路が開放されることによる圧力差と、熱エネルギーによるガス充填室の内圧の上昇を受けて、ガス充填室内の加圧ガスは、破壊手段収容室内を通って(未だ熱を持った破壊手段と接触して)ガス排出口から排出され、エアバッグを膨張させる。
このように、破壊手段から発生した熱エネルギーにより、ガス充填室内の圧力が高められる(あるいは加圧ガスの温度が高められる)ため、ガス排出速度が高められると共に、エアバッグ内に導入されたとき、エアバッグの膨張圧を高めることができ、膨張圧力不足を生じる事態が防止される。この機能を発現するため、加圧ガスがガス排出口に至る間に破壊手段が設けられていることが好ましい。
本発明は、課題の他の解決手段として、破壊手段が、ガス充填室と破壊手段収容室とを分離する破裂板に正対している、請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ用小型インフレータを提供する。
破壊手段は、それ自体が正対している必要はなく、少なくとも破壊手段の高温ガス(熱エネルギー及び衝撃波)を発生する部分が正対していればよい。また、必要に応じて、高温ガスを破裂板に導くための誘導手段を設けることもできる。
本発明は、他の課題の解決手段として、エアバッグと、必要に応じて用いられるエアバッグを収容するモジュールケースと、エアバッグに膨張ガスを導入して膨張させるための請求項1〜4のいずれかに記載の1又は2以上のエアバッグ用小型インフレータを有するエアバッグシステムを提供する。
本発明のインフレータは、1つ当たりの出力は小さいが、2以上を併用することで、エアバッグシステムに応じた所望の出力を確保することができる。
また、2以上のインフレータを同時に作動させた場合は、各々の最大出力までの到達時間は短いため、エアバッグシステム全体としても、エアバッグの展開完了までの迅速性は失われない。
更に、2以上のインフレータを併用し、個々の作動のタイミングを調整することで、衝突時の状況に応じて乗員の保護が最適になるように作動状態を調整できる。
本発明のエアバッグ用小型インフレータは、ガス充填量が1モル以下と少なく、熱エネルギーによる加圧ガスの温度上昇効果を利用してガスを排出し、エアバッグを膨張させる方式であるため、ガスの排出完了時間がより短縮されるほか、加温ガスを排出することにより、少量のガスにも拘わらず、エアバッグの所定の膨張圧力が維持される。
(1)図1のインフレータ
図1は、エアバッグ用小型インフレータの軸方向の断面図である。エアバッグ用小型インフレータ10は、ガス充填室12、破壊手段収容室22、ガス排出口35を有するディフューザ部30とを有している。
ガス充填室12と破壊手段収容室22の間は、第1破裂板41で閉塞され、ガス充填室12とディフューザ部30の間は、第2破裂板42で閉塞されている。
ガス充填室12は、ガス充填室ハウジング11、破壊手段収容室ハウジング(以下「収容室ハウジング」という)21、第1破裂板41及び第2破裂板42で囲まれて形成されている。ガス充填室12の内部には、加圧ガスが高圧充填されており(約42MPa)、充填された加圧ガスのモル数は1モル以下である。
加圧ガスは、ガス充填室ハウジング11の周壁に設けられた孔から充填されるもので、この充填孔はピン13で閉塞され、充填ピン13は溶接されてガス充填室ハウジング11と一体化されている。
破壊手段収容室22は、収容室ハウジング21及び第1破裂板41で囲まれて形成されており、内部は常圧である。第1破裂板41と反対側の開口には、破壊手段となる点火器25がはめ込まれており、点火器25は、収容室ハウジング21の開口縁23をかしめることで固定されている。
点火器25は、第1破裂板41と正対している先端部に点火部26を有しており、点火部26は、発熱体(ニクロム線のブリッジワイヤ)と火薬(ZPP約260mg)を備えている。点火部26は、点火部26の中心と第1破裂板41の中心が一致するようにして正対している。
第1破裂板41は、その周縁部が、収容室ハウジング21のガス充填室12側の開口周縁に溶接により固定されている。第1破裂板41は、ステンレス板等からなるもので、ガス充填室12内の圧力により椀状に変形しているが、インフレータの作動前には、ガス充填室12内の圧力に十分耐えうる強度を有しているものである。第1破裂板41に、例えば十字状のノッチを付けておけば、インフレータ作動時において確実に破壊できると共に、第1破裂板41が花弁状に開裂されるため、破片が飛び散ることが防止される。
ディフューザ部30は、ディフューザ部ハウジング31、ガス充填室ハウジング11の一部及び第2破裂板42で囲まれて形成されている。ディフューザ部ハウジング31は、一端側が閉塞された筒状のもので、周面には所要数のガス排出口35を有しており、開口部側のフランジ部32においてガス充填室ハウジング11の端面に溶接固定されている。
第2破裂板42は、その周縁部が、ガス充填室ハウジング11のディフューザ部30側の内側端面に溶接固定されている。第2破裂板42は、ステンレス板等からなるもので、ガス充填室12内の圧力により椀状に変形しているが、インフレータの作動前には、ガス充填室12内の圧力に十分耐えうる強度を有しているものである。第2破裂板42に、例えば十字状のノッチを付けておけば、インフレータ作動時において確実に破壊できると共に、第2破裂板42が花弁状に開裂されるため、破片が飛び散ることが防止される。
なお、点火器25には、電源(自動車のバッテリー)と接続するためのリードワイヤ45が取り付けられているが、リードワイヤ45の引き出し方向とエアバッグの取り付け方向(ガス排出口35を覆うようにディフューザ部30に被せて取り付ける)は反対方向となるため、エアバッグの取り付け作業時にリードワイヤ45が邪魔になることがない。
エアバッグ用小型インフレータ10は、周知のエアバッグシステム、例えば、エアバッグと、エアバッグを収容するモジュールケースと、エアバッグに膨張ガスを導入して膨張させるためのインフレータを有するもののインフレータとして適用できる。その場合、1つのエアバッグシステムには、必要に応じて、複数のエアバッグ用小型インフレータ10を使用することができる。
次に、エアバッグ用小型インフレータ10を側面衝突用等のエアバッグシステムに適用した場合の動作を説明する。
車両の衝突時、点火器25が作動して、点火部26から高温ガス(熱エネルギー乃至衝撃波)が発生して、正対する第1破裂板41が破壊される。このとき、点火部25の作動により若干のガスは発生するが、エアバッグの膨張には実質的に関与しない程度の量である。
第1破裂板41が破壊されたことにより、熱エネルギーがガス充填室12内に流入して、内部温度が上昇され、その結果、内部圧力も上昇される。この圧力の上昇を受けて、第2破裂板42が破壊され、ガス排出口35へのガス排出経路が開放される。図示するとおり、点火器25と第2破裂板42は離れているので、第2破裂板42は衝撃波を直接受けては破壊され難く、熱による内圧の上昇により破壊されることになる。
ガス充填室12内は高温状態であるため、ガス排出経路の開放により、加圧ガスはガス排出口35から排出され、ディフューザ部30に取り付けられたエアバッグを膨張させる。
このように、加圧ガスは温められているので(ガス充填室12内の圧力が高められているので)、加圧ガスの排出速度は速く、しかもガス充填量が1モル以下と少ないため、ガスの排出完了時間(エアバッグの最大膨張までの時間)をより短縮することができる。また、加圧ガスは、高圧から常圧に移行する過程で温度低下が生じるが、インフレータ10では、加圧ガスは暖められた状態で排出され、温度低下が抑制されることから、ガス充填室12内に充填されたガス量(1モル)は小さいものの、十分なエアバッグの膨張圧力が確保される。
なお、エアバッグの容量に応じて更に膨張圧力を上げる必要がある場合には、2個又は3個以上のインフレータ10を1つのエアバッグに接続して使用することができる。このとき、複数のインフレータ10を1つのエアバッグに接続するためのアダプターを用いることもできる。また、側面衝突用のエアバッグシステムであれば、乗員の胸保護用エアバッグ、腰保護用エアバッグ、膝保護用のエアバッグの3つを用いる場合があり、その場合には、それぞれに1又は2以上のインフレータ10を接続する。
(2)図2のインフレータ
図2は、エアバッグ用小型インフレータ100の軸方向の断面図である。図2のインフレータ100と図1のインフレータ10は、第1破裂板41と第2破裂板42の径に大小関係があるほかは、全く同一のものである。
第2破裂板42の径Bは、第1破裂板41の径Aよりも大きくなっている(B>A)。このため、より大きな荷重を受けることになるから、第2破裂板42の方が破壊されやすくなっている。即ち、第2破裂板42の破裂圧の方が第1破裂板41の破裂圧よりも小さくなっている。このように径を異ならせる方法のほかにも、破裂板の厚み、材質等により、破裂圧に差を持たせることができる。
(3)図3のインフレータ
図3は、エアバッグ用小型インフレータ200の軸方向の断面図である。図3のインフレータ200と図1のインフレータ10は構造に異なる部分があるが、同一番号は同じものであり、同じ作用をするものであることを意味する。
図1のインフレータ10及び図2のインフレータ100では、点火器25と第2破裂板42が同一軸線上に存在していたが、図3のインフレータ200では、同一軸線上に存在していない点で相違している。
ガス充填室12と破壊手段収容室22の間には、熱エネルギーの導入間隙15が設けられている。ガス充填室12と導入間隙15は分離されていないので、導入間隙15内にも加圧ガスが充填されているから、全体としてガス充填室を形成しているものである。
点火器25の作動により第1破裂板41が破壊され、熱エネルギーは導入間隙15を通ってガス充填室12内に流入して、内部温度(内部圧力)を上昇させ、第2破裂板42を破壊させる。
(4)図4のインフレータ
図4は、エアバッグ用小型インフレータ300の軸方向の断面図である。図4のインフレータ300と図1のインフレータ10は構造に異なる部分があるが、同一番号は同じものであり、同じ作用をするものである。
ガス充填室12と破壊手段収容室22の間は、第1破裂板41で閉塞されている。ガス充填室12は、ガス充填室ハウジング11、収容室ハウジング21及び第1破裂板41で囲まれて形成されている。ガス充填室12の内部には、加圧ガスが高圧充填されており(約42MPa)、充填された加圧ガスのモル数は1モル以下である。
破壊手段収容室22は、収容室ハウジング21及び第1破裂板41で囲まれて形成されており、内部は常圧である。第1破裂板41と反対側の開口には、点火器25がはめ込まれており、点火器25は、収容室ハウジング21の開口縁23をかしめることで固定されている。
点火器25は、第1破裂板41と正対している先端部に点火部26を有しており、点火部26は、発熱体(ニクロム線のブリッジワイヤ)と火薬(ZPP約260mg)を備えている。点火部26は、点火部26の中心と第1破裂板41の中心が一致するようにして正対している。
第1破裂板41は、その周縁部が、収容室ハウジング21のガス充填室12側の開口周縁に溶接により固定されている。第1破裂板41は、ステンレス板等からなるもので、ガス充填室12内の圧力により椀状に変形しているが、インフレータの作動前には、ガス充填室12内の圧力に十分耐えうる強度を有しているものである。第1破裂板41に、例えば十字状のノッチを付けておけば、インフレータ作動時において確実に破壊できると共に、第1破裂板41が花弁状に開裂されるため、破片が飛び散ることが防止される。
複数のガス排出口35は、収容室ハウジング21の周壁部に設けられており、破壊手段収容室22内部と連通されている。
次に、エアバッグ用小型インフレータ300を側面衝突用等のエアバッグシステムに適用した場合の動作を説明する。
車両の衝突時、点火器25が作動して、点火部26から高温ガス(熱エネルギー乃至衝撃波)が発生して、正対する第1破裂板41が破壊される。このとき、点火部25の作動により若干のガスは発生するが、エアバッグの膨張には実質的に関与しない程度の量である。
第1破裂板41が破壊されたことにより、ガス排出口35に至るガス排出経路が開放される。このため、ガス充填室12内のガスは、破壊手段収容室22内を通って、ガス排出口35から排出され、エアバッグを膨張させる。
このとき、点火器25の作動により発生した熱エネルギーは、ガス充填室12内にも流入して加圧ガスを温め、内圧が上昇するため、加圧ガスの排出速度は速く、しかもガス充填量が1モル以下と少ないため、ガスの排出完了時間(エアバッグの最大膨張までの時間)をより短縮することができる。また、加圧ガスは、排出途中で破壊手段収容室22内を通るため、即ち、未だ高温状態の点火部26と接触して加温された状態で排出されるため、充填ガス量は1モルと小さいものの、十分なエアバッグの膨張圧力が確保される。
(5)図5のエアバッグシステム
図5は、側面衝突用のエアバッグシステムの断面構造を示す図(図面中央)と、側面衝突用のエアバッグシステムの作動状態を示す図(図面右上)である。このエアバッグシステムは、モジュールケースを用いていないが、必要により、エアバッグとガス発生器をモジュールケース内に収容することができる。
エアバッグシステムは、エアバッグ50と、2つのインフレータ10a、10b(図1にしめすインフレータ)が組み合わされたものである。エアバッグ50は2つの開口部を有しており、一方の開口部の開口端51側からインフレータ10aが挿入され、他方の開口部の開口端52側からインフレータ10bが挿入されている。インフレータ10a、10bとエアバッグ50は、開口端51及び52において、締め付け手段(例えば、ゴムバンド)により、エアバッグ50からのガス漏れが生じないように堅く締め付けられている。
インフレータ10a、10bの点火器25は、いずれもリードワイヤを介して、自動車のバッテリーに接続されている。
図5のエアバッグシステムは、2つのインフレータ10a、10bを備えているので、車両衝突時の衝撃に応じて、2つのインフレータ10a、10bを同時に作動させる場合(衝撃が大きい場合)、時間差をおいて作動させる場合(衝撃が中程度の場合)、及びいずれか一方のインフレータのみを作動させる場合(衝撃が小さい場合)の3つの作動形態に対応できる。
インフレータ10a、10bは、ガスの排出完了時間が短く、かつ温度の高いガスを排出することができるので、エアバッグ50は短時間で最大膨張する。そして、2つのインフレータ10a、10bを同時に作動させたときには、1つの場合と同じ時間で、最大膨張時におけるエアバッグ50の圧力をより高めることができる。このため、エアバッグシステムにおけるインフレータの数を増加させることで、エアバッグ容量の増加にも容易に対応できる。
本発明のエアバッグ用小型インフレータは、側面衝突用、カーテン用、運転席用、助手席用等の公知のエアバッグシステムに適用できるが、エアバッグの最大膨張までの時間をより短縮できるとの点からは、側面衝突用及びカーテン用のエアバッグシステムに好適である。
実施例1
図6において、直線Xは、インフレータ10の作動時における出力(縦軸)と充填ガスのモル数(横軸)を示したものであり、X=X+Xとなっている。Xは、点火器25(熱量930J)の熱による温度上昇からくる熱量寄与分を意味し、Xは、充填ガスのモル数(横軸)増加によるガス量寄与分を意味する。曲線Yは、X/(X+X)から求められる、全体の圧力上昇に対する熱量寄与分の割合を意味する。
図6の直線Xは、充填モル数(グラフ横軸のモル数;図1におけるガス充填室12に充填された加圧ガスのモル数)におけるガス発生器の出力(P)を示すものであり、理想気体の状態方程式に従って求められる。
P={〔(M+M)×R×T〕/V}−101.3
:空気のモル数
:インフレータからの排出ガスのモル数
R:気体定数
:作動後のタンク内部温度
V:タンク内の容積
101.3(kPa):大気圧
また、作動後のタンク内部温度は、上記した数式(I)中のTである。なお、噴き出しガス温度(T:数式(I)のT)は、点火器からの熱量Q(J)を用いて、T=Q/(Cv2×M)となる。つまり、曲線Yは、次の手順で求めることができる。
(1)点火器からの熱量を元に、点火器作動による充填室12内部の加圧ガスの温度を求める(数式(I)のT)。
(2)数式(I)を元に、作動後のタンク内温度(加圧ガスとタンクに既存の空気を混合した後の温度T)を求める。
(3)理想気体の状態方程式に当てはめて、出力P(X)を求める。
(4)前記(3)での計算を、各々の充填モル数で繰り返して、図6の直線Xを得る。
(5)直線Xをモル数0のところまで外挿して、モル数0のときの圧力(点火器の熱でタンク内の空気が暖められたときのタンク内圧力)Xを求める。
(6)X/(X+X)により、点火器の発熱の寄与分(曲線Y)を求める。
図7は、点火器の作動による熱量が930J、700J、500Jの場合で、充填ガスのモル数を増加させた場合の圧力変化を示すものであり、それぞれの曲線が図6の曲線Yと同様に全体の圧力上昇に対する熱量寄与分の割合を意味する。
図6、図7から明らかなとおり、充填ガスのモル数が1モル付近を境にして、全体の圧力上昇に対する熱量寄与分が変化している。
実施例2
図1に示すエアバッグ用小型インフレータを用い、周知のタンク試験(例えば、特開2001−97176号公報の段落番号98等に開示されている試験方法)を行った。インフレータ及び試験の詳細は下記のとおりである。タンカーブを図8に示す。
(インフレータ)
充填ガス組成:Ar/He(体積比)=96:4
充填ガスモル数:0.1モル
充填ガス圧力:42MPa
点火器の火薬組成と充填量:ZPP260mg
点火器からの発熱量:1500J
破裂板の破裂圧:約100MPa
ガス排出口:径1.8mmのもの8個
(試験条件)
試験用タンク容量:28.3L
試験温度:23℃
エアバッグ用小型インフレータの軸方向断面図。 エアバッグ用小型インフレータの軸方向断面図。 エアバッグ用小型インフレータの軸方向断面図。 エアバッグ用小型インフレータの軸方向断面図。 エアバッグシステムの断面図。 エアバッグ用小型インフレータの動作状態の説明図。 エアバッグ用小型インフレータの動作状態の説明図。 図4のインフレータを用いたタンク試験により得られた圧力変化を示すグラフ。
符号の説明
10、100、200、300 エアバッグ用小型インフレータ
12 ガス充填室
22 破壊手段収容室
25 点火器
35 ガス排出口
41 第1破裂板
42 第2破裂板

Claims (5)

  1. ガス排出口を有するハウジング内が破裂板を含む分離手段で2室に分離されており、
    一方は加圧ガスが充填されたガス充填室で、ガス充填室に充填される加圧ガスのモル数が1モル以下であり、
    他方は破裂板の破壊手段が収容された破壊手段収容室で、破壊手段が熱エネルギーを発生させ、実質的にガスを発生させないものである、エアバッグ用小型インフレータ。
  2. ガス排出口がガス充填室に設けられ、更にガス充填室とガス排出口との間が破裂板で分離されており、作動時においては、ガス充填室内の加圧ガスがガス排出口から排出され、エアバッグを膨張させる、請求項1記載のエアバッグ用小型インフレータ。
  3. ガス排出口が破壊手段収容室に設けられており、作動時においては、ガス充填室内の加圧ガスが破壊手段収容室を通ってガス排出口から排出され、エアバッグを膨張させる、請求項1記載のエアバッグ用小型インフレータ。
  4. 破壊手段が、ガス充填室と破壊手段収容室とを分離する破裂板に正対している、請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ用小型インフレータ。
  5. エアバッグと、必要に応じて用いられるエアバッグを収容するモジュールケースと、エアバッグに膨張ガスを導入して膨張させるための請求項1〜4のいずれかに記載の1又は2以上のエアバッグ用小型インフレータを有するエアバッグシステム。

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