JP2006159281A - 衝撃吸収特性に優れた構造用部材のプレス成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ハット型の閉断面構造を有する構造用部材をプレス成形する際に、工数増によるコストアップを招くことなく、衝撃吸収特性を向上できる構造用部材をプレス成形する方法を提供する。
【解決手段】 パンチとダイとブランクホルダーを備えたプレス成形金型装置を用いてフランジ付きの構造用部材をプレス成形する際に、その工程を、パンチを押し込んで鋼板のブランク材を絞り成形する成形初期・中期の第一工程と、成形初期・中期工程後に連続して、成形末期に当る下死点直近において鋼板の縦壁部に張力を付加する成形末期の第二工程に分け、第二工程でのブランクホルダー力及びパンチ成形荷重を第一工程でのブランクホルダー力及びパンチ成形荷重よりも高く設定してプレス成形する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車用構造部材に用いられる構造用部材のプレス加工方法であって、特にプレス成形によるハット型断面部材の縦壁部における板厚減少を極力抑え、かつプレス加工時の加工硬化に伴う鋼板強度増を最大限に発揮することで、自動車衝突時の衝撃吸収性能を向上できるプレス成形方法に関する。
衝突安全性に優れた車体構造として、自動車衝突時の衝撃エネルギーを客室以外の構造部材の変形で吸収させ、客室部の変形を最小限に抑えて生存空間を確保する車体構造が、一般的に広く採用されるようになっている。この場合には、フロントフレーム等の構造部材に衝撃エネルギーをいかに有効に吸収させるかが重要となる。
一般に、自動車用構造部材は少なくとも2つ以上の部品をスポット溶接等によって接合して、いわゆるハット型の閉断面が構成され、長手方向(軸方向)に衝撃荷重を受けたときに蛇腹状に座屈変形することで衝撃エネルギーを吸収するように設計されている。
この際、高い衝撃吸収性能を得るためには、蛇腹状の座屈変形を効率的に受けること、並びに座屈時の変形荷重を高くすること、の2つの要件が必要不可欠となる。
構造面では、規則正しく蛇腹状に座屈変形しやすくするために、潰れビードと称される変形の端緒を与える窪みを構造部材に所定の等間隔で設けることが特許文献1で提案されている。
一方、座屈時の変形荷重を高くするために、材料面では、板厚の厚い鋼板を用いたり、高強度の鋼板を用いたりしている。また、特許文献2では、加工面から、プレス加工後に高密度のエネルギー源、例えばレーザー光を鋼板に照射して板厚を貫通して凝固域を形成させることで高強度化することが提案されている。
特開昭55−136660号公報 特開平6−73438号公報
しかしながら、構造面からの対策として特許文献1で提案された手段は、座屈初期に現れる最大荷重ピーク値を下げて、より低い荷重値で構造部材の初期座屈を誘発させ、しかも構造部材が蛇腹状に座屈変形する際の各起点を等間隔で配置することで軸圧潰による座屈変形時のピーク荷重周期が一定間隔になるように規則性を確保することで衝撃吸収特性の安定化を図ることを目的としている。このため、必ずしも衝撃吸収エネルギー量の絶対値が向上するとは限らない。
また、材料面からの対策である構造部材の肉厚を厚くすることは、部材の重量が嵩むため車体重量の増加を招き、自動車の燃費や走行性能を悪化させることにもなるので好ましくない。また高強度鋼板の使用は、一般的に鋼板の高強度化に反比例して伸び率が低下するためにプレス成形性の悪化につながる。このため、構造部材用鋼板としての高強度化には限界がある。しかも、高価な高強度鋼板を多用することは経済性が損なわれる点からも問題がある。
さらに、加工面からの対策であるレーザー光を照射して鋼板全体を高強度化する方法については、多くの工数を必要とし、また熱変形が大きく出現する等の問題がある。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたプレス成形方法であり、ブランク材としての鋼板の重量,板厚や引張強度が同一で、構造部材の閉断面構造も同一の構造用部材を成形する際に、工数増によるコストアップを招くことなく、衝撃吸収特性を向上できる構造用部材をプレス成形する方法を提供することを目的とする。
本発明の衝撃吸収特性に優れた構造用部材のプレス成形方法は、その目的を達成するため、パンチとダイとブランクホルダーを備えたプレス成形金型装置を用いてフランジ付きの構造用部材をプレス成形する際に、その工程を、パンチを押し込んで鋼板のブランク材を絞り成形する成形初期・中期の第一工程と、成形初期・中期工程後に連続して、成形末期に当る下死点直近において鋼板の縦壁部に張力を付加する成形末期の第二工程に分け、第二工程でのブランクホルダー力及びパンチ成形荷重を第一工程でのブランクホルダー力及びパンチ成形荷重よりも高く設定することを特徴とする。
本発明によれば、プレス成形によりフランジ付きの構造用部材を成形する際に、その工程を二段階に分け、第二段階でのブランクホルダー力及びパンチ成形荷重を第一段階でのブランクホルダー力及びパンチ成形荷重よりも高く設定することにより、第一段階でブランク縦壁部の肉厚減少を抑えつつ深絞り成形を容易に行うとともに、第二段階で引張張力を付加して縦壁部に僅かな引張り変形を加えて加工硬化させ、全体として強度を高めて衝撃吸収エネルギー特性を高めることができている。
このため、簡素なプレス成形方法により衝撃吸収特性に優れた構造用部材が低コストで得られ、自動車用構造部材の高性能化に大きく寄与する。
自動車用構造部材に用いられる構造用部材は、一般的には、フランジが付いた断面U型にプレス成形された、いわゆるハット型断面部材が平板状の背面部材と合わされ、スポット溶接されている。そして、上記ハット型断面部材は、図1に示すように、ブランク(成形対象)となる鋼板11を、ダイ12とブランクホルダー13の間に保持した状態でブランクホルダー力BHFを加えてパンチ14を押込み、所定形状にプレス成形されている。
この際、フランジ部のしわの発生やスプリングバック等の影響による形状変化を極力抑制して寸法精度に優れたプレス成形品を得るために、ダイ12とパンチ14間のクリアランス,ブランクホルダー力BHFやパンチ成形荷重Pの調整等を行っている。このため、上記プレス成形条件の違いにより、プレス成形品の特性も変化する。なお、図1中、tはブランクとなる鋼板11の厚さ、σtはブランク縦壁部に作用する引張り応力、Sはプレス成形時の成形ストロークである。
本発明者等が、背面部材との接合を行いやすくするためにフランジ部にしわを発生させず、しかもフランジ部と縦壁部が直交するように比較的高いブランクホルダー力を付与してプレス成形したハット型断面部材を背面部材と組合せた構造用部材について落重試験を行ったところ、成形条件によって衝撃吸収エネルギー量が大幅に変化することがわかった。
例えば、引張強度644MPaの鋼板(板厚1.46mm)を、前記図1に示すようなプレス成形方法で、表1に示す条件のもとでプレス成形したハット型断面部材を背面部材と組合せた構造用部材について衝撃吸収エネルギー量を調べてみると、期待通りの衝撃吸収エネルギー量が得られない。
Figure 2006159281
本発明者等は、上記構造部材が所望の衝撃吸収エネルギー特性を発現しない原因ついて種々検討を重ねたところ、プレス成形したハット型断面部材の縦壁部板厚の減肉に大きな原因があることに辿りついた。上記の条件でプレスしたハット型断面部材にあっては、縦壁部の板厚が最も薄くなったところで1.266mmにまで減肉していることを確認した。
この縦壁部板厚の減肉は、ブランクホルダー力が比較的高かったために、フランジ部から縦壁部への材料供給が十分に行われなかったためと思われる。この不具合を解消するためには、ブランクホルダー力を低くすることが想定されるが、フランジ部でのしわの発生やフランジ部と縦壁部との変形度合い等を考慮すると、形状精度に優れたプレス成形品を得ようとするとき、必ずしもブランクホルダー力を低くすることが有効であるとはいえない。
そこで、本発明者等は、縦壁部板厚の減肉を抑制して所望の衝撃吸収エネルギー特性を発現させるとともに、形状精度をも高めたプレス成形品を得る手段について検討し、本発明に到達したものである。
すなわち、パンチとダイとブランクホルダーを備えたプレス成形金型装置を用いてフランジ付きの構造用部材をプレス成形する際に、ブランクホルダー力を使い分け、比較的低いブランクホルダー力のもとでの材料流入が十分に行われる断面U字加工工程と、その後の高いブランクホルダー力のもとで高いパンチ成形荷重を加えて断面U字加工品の縦壁部を構成する鋼板に引張力を加えて当該部分の鋼板を加工硬化させる強化工程とに分けることで、断面U字加工品、すなわちフランジ付きの構造用部材の衝撃吸収エネルギー特性を高めることができることに到達したものである。
以下に、具体的に図1に示すプレス成形装置を用い、図2に示す形状のハット型断面部材21をプレス成形する態様を説明する。なお、図2中、22はハット型断面部材21とで構造用部材を構成する背面板である。
ブランク(成形対象)となる鋼板11を、ダイ12とブランクホルダー13の間に保持した状態で低圧のブランクホルダー力BHFを加え、パンチ先端面が成形ストロークSの全工程の下死手前の例えば5mm程度まで絞り成形し(断面U字加工工程)、その後引続いて高圧のブランクホルダー力BHFとなるように自動制御で切替えてブランクに対する縦壁部張力σtを付加させた状態で下死点まで絞り込む(矯正・強化工程)。
この結果、断面U字加工工程でハット型断面部材の必要とする断面形状の大略の形を作り込むことができる。そして、次の矯正・強化工程では、縦壁部を構成する鋼板に最終的な引張変形を付与しているので、縦壁部をフランジ部に対して直角に近い形状に矯正されるとともに、当該縦壁部は加工硬化を受けて強度が向上されることになる。このため、ハット型断面部材全体としても強度が高められている。したがって、本発明方法で得られた構造用部材は、衝撃吸収特性を向上することができることになる。
次に、プレス成形時の各段階でのグランクホルダー力とプレス成形荷重の関係を説明する。
図1に示すように、鋼板をプレス成形するとき、実際に加えられたブランクホルダー力BHFとパンチ成形荷重Pとの間には、金型のダイ肩R部を通過するブランク材の曲げ・曲げ戻しの加工力として最低必要なパンチ成形荷重をP´,ブランク材と金型間の摩擦係数をμとすると、次式(1)が成り立つ。
BHF=(P‐P´)÷μ ・・・(1)
なお、最低必要なパンチ成形荷重P´並びにブランク材と金型間の摩擦係数μは、図3に示すように、被加工鋼板と使用金型の組合せに応じた事前試験によってパンチ成形荷重Pとブランクホルダー力BHFの関係を知ることにより、予め求められる。
ところで当該図3は、前記引張強度644MPaの鋼板(板厚1.46mm)をブランク材とし、前記図1に示すようなプレス成形方法を使用してブランクホルダー力BHF及びパンチ成形荷重Pを種々に変更して得たものである。
この図3から、BHF=0のy軸切片より、最低必要なパンチ成形荷重P´=121kNが得られる。さらに前記(1)式に従うと同図上の直線の傾きが摩擦係数μに相当するから、μ=0.227であることがわかる。これらP´及びμの値を用いて、再び前記(1)式により、BHF=(P‐P´)/μを計算すると、任意のパンチ成形荷重Pにおけるブランクホルダー力BHFを設定できる。
また、実際のプレス成形工程を二段階に分けたとき、それぞれの段階でのパンチ成形荷重P1,P2を加えた場合には、図1に示すように、板厚t,板幅bのブランク材にはそれぞれ次式(2),(3)で示される引張応力σt1及びσt2が作用していることになる。
P1=2bt×σt1 ・・・(2)
P2=2bt×σt2 ・・・(3)
そこで、二段階のそれぞれの段階で変更したパンチ成形荷重P1,P2、すなわち、ブランク縦壁部に引張応力σt1及びσt2を加え、その成形荷重に応じたブランクホルダー力BHF1,BHF2でブランクホルダーを押圧した状態でプレス成形したハット型断面部材を組込んだ構造用部材について、落重試験を施し、衝撃吸収エネルギー量を算出した。また、構造部材の肉厚減少状況を調べた。
構造用部材として、前記引張強度644MPaの鋼板(板厚1.46mm)をブランク材とし、前記図1に示すようなプレス成形方法で、次の表2に示す条件の範囲で、具体的に表3に示す各条件のもとでプレス成形した各ハット型断面部材を背面部材と組合せたものを作製した。
落重試験は、図4に示す方法で行った。すなわち、図4は、ハット型断面部材の軸方向に衝撃荷重を作用させて軸圧潰させた場合のハット型断面部材に作用する荷重と変位との関係を調査するための試験方法(この試験方法を本明細書中では単に「落重試験」と記す)を示す概念図である。
ハット型断面部材41の長手方向を鉛直にしてロードセル42を組み込んだ台座43の上に置き、重さ190kgの落錘44を、衝突速度が時速50kmになる高さから落下させ、ハット型断面部材41を軸方向に圧潰させる。このとき、落錘44は、ハット型断面部材41を180mm押し潰した後、ストッパー45に当って停止する。
落錘44が部材41に衝突した以降の移動量(変位量)は、非接触式変位計(図示せず)を用いて連続測定し、荷重−変位曲線を得る。
図5は、上記落重試験で測定した、落錘による衝撃荷重が部材の軸方向に作用する際の変形様式を概念的に示した荷重−変位曲線のグラフである。この場合、部材は長手方向の複数箇所で座屈を起こして蛇腹状に圧潰する。また、この座屈の発生と対応して、荷重−変位曲線上では、複数の荷重ピーク値が周期的に出現する。ここで、任意の変位量毎に荷重値を積算して得られる、すなわち図中の荷重−変位曲線で囲まれた面積が、180mmまで圧潰した際に部材が吸収した衝撃エネルギーである。
上記態様で作製した構造部材について行った落重試験の結果を表3に併せて示す。また各部の肉厚を測定し、最小肉厚部、すなわち最大肉厚減少率と衝撃吸収エネルギー量の関係を図6に示した。
Figure 2006159281
Figure 2006159281
図6に見られるように、設定した条件によっては肉厚減少が抑えられ、衝撃吸収エネルギー特性を向上させた構造用部材が得られることがわかる。
なお、図6中のNo.6の条件では、第一段階でのブランクホルダー力及びパンチ成形荷重が高すぎて、早い段階から縦壁部の肉厚減少が進行したものと思われる。
なお、表3中の破断限界率σt/σBの値は、ブランク材の幅b=300mm,板厚=1.46mm,引張強度σB=644MPaとすれば、例えば条件No.1の成形初期・中期の破断限界率σt/σBは、
σt1/σB=P1/(2btσB)=130kN×1000/(2×300×1.46×644)≒0.23
となる。
また、設定BHF値は、前記図3に従って算出され、例えば条件No.1の成形初期・中期の設定BHF値は、
BHF=(P‐P´)/μ=(130kN‐121kN)÷0.227≒40kN
となる。
次に、表3に示した結果は、重回帰分析を実施して衝撃吸収エネルギー量Eに及ぼすプレス成形条件の影響を定量化して、次の(4)式を求めることが好ましい。すなわち、(4)式から衝撃吸収エネルギー量E(kJ)に及ぼす第一工程の破断限界率σt1/σBの影響を単独で図示することができ、図7のように分かりやすい。
E=‐3.171407×(σt1/σB)+0.7244857×([σt2−σt1]/σB)+13.23 ・・(4)
また、(4)式から、衝撃吸収エネルギー量E(kJ)に及ぼす第二工程と第一工程の破断限界率の差(σt2−σt1)/σBの影響をみる場合には、図8のように整理するとよい。
したがって、板厚1.46mm,板幅300mmのブランク材を用い上記態様で作製した70mm×70mmのサイズの構造用部材において、所望の最低衝撃吸収エネルギー量を12.6kJ以上とすると、図7上からはσt1/σBが0.28以下であり、図8上からは(σt2−σt1)/σBが0.36以上であることが要求されることになる。
前記したように、プレス成形工程を二段階に分けたとき、それぞれの段階でのパンチ成形荷重P1,P2を加えたとき、ブランク縦壁部にはそれぞれ次式(2),(3)で示される引張応力σt1及びσt2が作用していることになる。
P1=2bt×σt1 ・・・(2)
P2=2bt×σt2 ・・・(3)
したがって、σt1/σB≦0.28は次の(5)式に、(σt2−σt1)/σB≧0.36は次の(6)式に置き換えられる。
P1/(2btσB)≦0.28 ・・・(5)
(P2‐P1)/2btσB≧0.36 ・・・(6)
すなわち、板厚1.46mm,板幅300mmで引張強度σBの鋼板をブランク材として用いて70mm×70mmのサイズの構造用部材を二段階に分けてプレス成形するとき、それぞれの段階でのパンチ成形荷重P1,P2を上記(5),(6)式を満たすように調整すれば、縦壁部での肉厚減少が改善されるばかりでなく、加工硬化されて12.6kJを超える衝撃吸収エネルギー特性を有する構造用部材が得られる。
ただし、第二工程においてパンチ成形荷重P2を加えたときのブランク縦壁部張力が鋼板の引張強度を超えると破断してしまうため、ブランク縦壁部張力σt2=P2/2btは引張強度σBよりも小さくする必要がある。すなわち、次の(7)式も満たす必要がある。
P2/(2btσB)<1 ・・・(7)
また、当然ながら、所望のパンチ成形荷重P1とP2を設定するためには、ブランクホルダー力BHFで制御する必要があり、最初に検討したように、(1)式を活用して調整するとよい。
以上を総合すると、板厚1.46mm,板幅300mmで引張強度σBのブランク材を用いて70mm×70mmのサイズの構造用部材を二段階に分けてプレス成形するとき、次の各式を満たすような条件を設定したとき、12.6kJを超える衝撃吸収エネルギー特性を有する構造用部材が得られる。ただし、式中の各記号は既に説明している通りのものである。
BHF=(P‐P´)÷μ ・・・(1)
P1/(2btσB)≦0.28 ・・・(5)
(P2‐P1)/2btσB≧0.36 ・・・(6)
P2/(2btσB)<1 ・・・(7)
以上、特定の強度,板厚を有する鋼板から特定サイズの構造用部材をプレス成形する場合のプレス成形荷重の調整手法を説明してきた。しかしながら、強度,板厚の異なる鋼板からサイズの異なる構造用部材を二段階に分けてプレス成形するに当っても、同様の手法で適切なプレス成形荷重を選定し、第一工程で加えるブランクホルダー力よりも第二工程で加えるブランクホルダー力を高く設定すれば、縦壁部の肉厚減少を防げるばかりでなく、同縦壁部を構成する鋼板を加工硬化させ、衝撃吸収エネルギー特性に優れた構造用部材を得ることができる。
ハット型断面部材のプレス成形に用いるブランクと金型及びブランク縦壁部における引張応力(ブランク縦壁張力)の作用状態を説明する概略図 衝撃吸収エネルギー量の評価試験を行ったハット型断面構造部材の断面図 ブランクホルダー力とパンチ成形荷重の関係を示す図 ハット型断面部材の衝撃吸収エネルギー特性を評価するための落重試験方法を説明する図 落重試験で得られる荷重−変位曲線を概念的に示す図 各条件で成形された部材の最大板厚減少率と衝撃吸収エネルギー量の関係を示した図 各条件で成形された部材のσt1/σBと衝撃吸収エネルギー量の関係を示した図 各条件で成形された部材の(σt2−σt1)/σBと衝撃吸収エネルギー量の関係を示した図

Claims (1)

  1. パンチとダイとブランクホルダーを備えたプレス成形金型装置を用いてフランジ付きの構造用部材をプレス成形する際に、その工程を、パンチを押し込んで鋼板のブランク材を絞り成形する成形初期・中期の第一工程と、成形初期・中期工程後に連続して、成形末期に当る下死点直近において鋼板の縦壁部に張力を付加する成形末期の第二工程に分け、第二工程でのブランクホルダー力及びパンチ成形荷重を第一工程でのブランクホルダー力及びパンチ成形荷重よりも高く設定することを特徴とする衝撃吸収特性に優れた構造用部材のプレス成形方法。
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