JP2006158209A - バチルス・サチルス由来のエポキシドハイドロラーゼを発現する微生物およびそれを用いたエポキシドハイドロラーゼの製造方法 - Google Patents

バチルス・サチルス由来のエポキシドハイドロラーゼを発現する微生物およびそれを用いたエポキシドハイドロラーゼの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 微生物において工業化可能なレベルのエポキシドハイドロラーゼ(EH)を発現させる方法、およびEHを安定化させる方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養する工程を含む、エポキシドハイドロラーゼの活性が高められた微生物の製造方法を提供する。1つの実施態様では、このエポキシドハイドロラーゼは、バチルス・サチルス由来である。本発明はまた、固定化エポキシドハイドロラーゼの製造方法を提供し、該方法は、エポキシド加水分解活性を有する微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養する工程、および得られた培養物を固定化および/または乾燥させる工程を含む。この方法により得られる固定化エポキシドハイドロラーゼは、保存性に優れかつ操作性が高い。
【選択図】 なし

Description

本発明は、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)由来のエポキシドハイドロラーゼに関する。より詳細には、バチルス・サチルス由来のエポキシドハイドロラーゼを発現する形質転換微生物および該微生物を用いたバチルス・サチルス由来のエポキシドハイドロラーゼの製造方法に関する。
加水分解酵素の一種であるエポキシドハイドロラーゼ(EH:EC 3.3.2.3)は、エポキシド(酸素を含む三員環)を加水分解して、1,2−ジオールを生成する。エポキシドは、その構造にひずみがあるため反応性が高い。例えば、生体内では、エポキシドがアルキル化剤として作用し得るため、DNAやタンパク質などの生体高分子がアルキル化されて、変異原性、発がん性、細胞毒性などを示す。EHは、このような生体内で過度に酸化されて生じた有害なエポキシド化合物を、より反応性が低くかつ水溶性であるジオールへと変換することによって、エポキシド化合物の代謝あるいは体外への排泄を促進する。このように、EHは、生体防御にかかわる機能を有している。
EHは、微生物中にも存在することが知られており、その性質が検討されている(特許文献1、非特許文献1〜8)。これらの報告では、EHはモノマー酵素が多く、中性〜弱アルカリ性領域に至適pHを有するものが多い。一般的に、EHは、酵素反応の至適温度が低く、酵素自体の安定性はあまり高くないようである。さらに、EHの遺伝子がクローニングされている(特許文献1、非特許文献3、9〜11)。
ところで、EHをラセミ体のエポキシドに作用させて一方の鏡像体を立体選択的に加水分解させることができれば、光学活性な1,2−ジオールおよびエポキシドを得ることができる。これらの化合物はともにキラルビルディングブロックとして有用な化合物となり得る。そのため、例えば、糸状菌の一種であるアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)によるスチレンオキシドの加水分解や、放線菌の一種であるロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)による脂肪族および芳香族エポキシドの加水分解により、光学活性なジオールあるいはエポキシドを得ることが試みられている(特許文献2)。アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来EHに関しては、X線結晶構造解析によって蛋白質の高次構造が解明されており、触媒部位の同定や部位特異的突然変異による立体選択性の向上も検討されている(特許文献2および非特許文献12)。さらに、抗真菌薬合成を目指した応用検討も試みられている(非特許文献13および14)。これらの反応に用いられるEHは、それぞれアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)および大腸菌(Escherichia coli)を宿主とした遺伝子組換えによって大量生産されており、試薬として市販されている。しかし、その価格は非常に高価であり、工業的な使用には適切とはいえない。
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本発明は、微生物において工業化可能なレベルのEHを発現させる方法、およびEHを安定化させる方法を提供することを目的とする。
本発明は、微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養する工程を含む、エポキシドハイドロラーゼの活性が高められた微生物の製造方法を提供する。
1つの実施態様では、上記エポキシドハイドロラーゼは、バチルス・サチルス由来である。
他の実施態様では、上記微生物はバチルス属細菌である。
さらなる実施態様では、上記微生物は組換え微生物であって、該微生物において、上記エポキシドハイドロラーゼをコードする構造遺伝子の上流に、アミラーゼプロモーターまたはエポキシドハイドロラーゼプロモーターが挿入されている。
本発明はまた、微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養する工程を含む、微生物のエポキシドハイドロラーゼ活性を増強する方法を提供する。
本発明はさらに、微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養する工程、および得られた培養物からエポキシドハイドロラーゼを回収する工程を含む、エポキシドハイドロラーゼの製造方法を提供する。
本発明はまた、エポキシド加水分解活性を有する微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養する工程、および得られた培養物を固定化および/または乾燥させる工程を含む、固定化エポキシドハイドロラーゼの製造方法を提供する。
本発明はさらに、上記の固定化エポキシドハイドロラーゼの製造方法によって製造される、エポキシドハイドロラーゼ剤を提供する。
本発明の方法によれば、EHの高発現株を育種することができる。また、本発明によれば、高活性かつ高立体選択的なEH活性を有する微生物が提供され、さらに、このような高いEH活性を有する微生物を固定化することによって、保存性に優れかつ操作性が高い生体触媒として、反復使用が可能になる。
本発明のEHの活性が高められた微生物の製造方法によれば、微生物は、4〜20w/v%の濃度のデンプン含有培地で培養することによって、より高いエポキシド加水分解活性を示すようになる。このような微生物は、当業者が通常用いる培地で培養した場合よりも、エポキシド加水分解活性が少なくとも1.5倍以上、例えば2倍〜数百倍まで増強され得る。これは、4〜20w/v%の濃度のデンプン含有培地で培養した場合、微生物におけるEHの発現量が増加するためと思われる。例えば、以下で説明するような適切なプロモーター(例えば、アミラーゼプロモーター)が組み込まれている組換え微生物(形質転換体)では、このような操作が行われていない微生物と比べて数十倍〜数百倍もの活性を提示し得る。
培地中のデンプンの濃度は、8〜12w/v%であってもよい。ここで、デンプン含有培地とは、当業者が微生物の培養に通常用いる培地よりも、デンプンを豊富に含有する培養培地をいう。培地に含有されるデンプンは、どのような由来のものであってもよい。培地中でのデンプンの糊化を防止する目的で、予め液化したデンプンを用いてもよい。デンプンの液化は、当業者に公知の方法(例えば、α−アミラーゼで処理する方法、酸加水分解)によって行われ得る。なお、培養温度は、通常約30〜37℃であり得る。
上記微生物の種および属は特に限定されない。微生物は、細菌であってもよく、酵母であってもよい。一般的に、多くのバチルス属細菌が高いエポキシド加水分解活性を有するため、本発明の1つの実施態様では、この微生物はバチルス(Bacillus)属細菌であり得る。
上記微生物は、野生株であってもよく、あるいは組換え微生物であってもよい。組換え微生物である場合、宿主の種および属は特に限定されず、当業者によって適宜選択され得る。例えば、バチルス(Bacillus)属細菌、大腸菌(E. coli)などが挙げられる。組換え微生物には、必要に応じて、適切なEHやプロモーターなどが組み込まれ得る。
本発明において、微生物で発現されるEHは、微生物が本来有するEHであってもよく、あるいは組換えによって挿入されたEHであってもよい。EHの由来は特に限定されず、例えば、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)由来である。エポキシド加水分解活性を発揮し得るならば、EHは改変体または誘導体であってもよい。ここで、「改変体」とは、天然のEHと、少なくとも70、または少なくとも80、あるいは少なくとも90パーセントのアミノ酸配列相同性を有し、かつEH活性を有するタンパク質をいう。例えば、天然のEHにおいて、1以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換を有するタンパク質が挙げられる。「誘導体」とは、天然のEHと他のペプチドとの融合タンパク質をいう。融合される他のペプチドは、EHの基本的な折りたたみおよびコンホメーション構造を妨害しない。
本発明においては、EHをより大量に発現させる目的で、天然または組み込まれたEHをコードする構造遺伝子の上流に、EHの発現に適切なプロモーターが組み込まれていてもよい。このようなプロモーターとしては、例えば、アミラーゼプロモーターあるいは任意の長さに調節されていてもよいEHプロモーターなどが挙げられる。さらに、プロモーター以外に、エンハンサー、ターミネーターなどの他の発現調節因子が組み込まれていてもよい。これらの発現調節因子が挿入された場合、これらの因子の作用をさらに増強するために、微生物の培養培地には発現調節因子に応じて適切な成分が添加され得る。
本発明のEHの製造方法によれば、上記のEHを有する微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養した後、得られた培養物からEHを回収することができる。この方法によれば、微生物中で発現しているEHの量が多いため、より効率的にEHを製造することができる。EHの回収は、例えば、次のように行われ得る。培養液中の菌体を、ビードビーター処理または超音波処理などによって破砕し、次いで遠心分離などによって不溶物を除去して、EHの粗酵素液が得られ得る。この粗酵素液から、さらにカラムクロマトグラフィーなどの当業者が通常用いる手段によって、EHを精製または単離することができる。
上記の本発明の方法によって微生物において高発現されたEHは、菌体中に固定されてもよい(EH固定菌体)。EHを菌体中に固定するための手段としては、例えば、固定化剤を用いて固定化する手段、乾燥させる手段、固定化した後乾燥させる手段が挙げられる。各手段によって得られるEH固定菌体を、以下、それぞれ固定化菌体、乾燥菌体、固定化乾燥菌体という。
固定化菌体は、例えば、アクリルアミド、カラギーナン、アルギン酸カルシウムなどの固定化剤を用いる包括法によって調製され得る。固定化菌体は、ポリエチレンイミンとグルタルアルデヒドとの組み合わせまたはヘキサメチレンジアミンとグルタルアルデヒドとの組み合わせを用いてさらに架橋処理することによって、さらに安定化することもできる。
乾燥菌体は、菌体を含む培養液を、凍結乾燥、風乾、アセトン乾燥などによって乾燥させることによって調製され得る。乾燥菌体を調製する場合、安定性を向上させる目的で、培養液に20w/v%となるようにグリセロールを添加して乾燥させてもよい。
固定化乾燥菌体は、当業者が通常用いる手段を用いて、固定化菌体を乾燥させることによって調製され得る。
このようにして調製されたEH固定菌体は、エポキシドの加水分解反応における触媒、すなわちエポキシドハイドロラーゼ剤として使用され得る。従来のEH剤は、酵素を粗精製または精製して製造された酵素剤であったが、本発明のEH剤は、EHを精製することなく非常に簡便に調製され得る。しかも、精製酵素と比較してEHの活性が長期間保持され得、さらに取り扱いも容易である。特に、固定化乾燥菌体は、室温での保存も可能であり、かつ反復使用が可能である。例えば、エポキシド加水分解反応に少なくとも10回繰り返して使用しても、固定化乾燥菌体の活性の低下は認められない。
上記のエポキシド加水分解活性が増強された微生物、該微生物に由来するEH、またはEH剤をエポキシドのラセミ体に作用させることにより、例えば、以下に示すような反応が進行する。
Figure 2006158209
上記の微生物、EH、またはEH剤によって、エポキシドのラセミ体の一方の鏡像体のみが加水分解を受ける。そのため、加水分解によって光学活性なジオールが生じ、そして加水分解されなかった(酵素の作用を受けなかった)もう一方の鏡像体であるエポキシドが残存する。
この反応工程は、具体的には、適切な緩衝液または培地に微生物またはEHを添加し、さらにエポキシドのラセミ体を添加して、攪拌または振盪することによって行われる。この工程における反応液中の基質(エポキシド)濃度および菌体量またはEH量は、適宜決定され得る。使用する微生物、EH、またはEH剤は、単独で用いてもよく、あるいは数種の微生物または異なる起源のEHを混合して用いてもよい。また、通常、反応液の至適pHは約6.5〜8.0であり、そして反応温度は約30〜37℃である。反応時間は特に制限されず、通常は少なくとも5分であり、30分〜96時間であってもよく、3〜72時間であってもよく、あるいは6〜48時間であってもよい。
次いで、上記の酵素反応液から目的の光学活性な化合物が回収され得る。ここで、目的の光学活性な化合物とは、光学活性なエポキシドまたは光学活性なジオールである。上記の酵素を作用させる工程においては、上記の微生物またはEHによってエポキシドのラセミ体の一方の鏡像体のみが立体選択的に(立体保持で)加水分解される。そのため、酵素反応液中には加水分解によって生じた光学活性なジオールと加水分解されなかった光学活性なエポキシドとが存在し得るので、目的に応じて、エポキシドまたはジオールを当業者が通常用いる適切な手段によって回収する。具体的には、酵素反応液に適切な有機溶媒を加えてエポキシドおよびジオールを有機層に抽出し、抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどに供することによって、これらを分離してそれぞれ回収できる。
あるいは、目的の光学活性な化合物として、光学活性なジオールのみを得ることができる。この場合、ラセミ体に上記の微生物、EH、またはEH剤を作用させた後、得られた酵素反応液を酸処理する。この酸処理工程では、酵素の作用を受けなかった残留エポキシドを酸性条件下で立体反転を伴って加水分解させる。この酸処理で生成したジオールは、立体反転により、先の酵素作用により生じたジオールと同一の絶対配置を有する。したがって、以下の反応式に示すように、酵素反応液を酸処理することによって、エポキシドのラセミ体から、光学活性なジオールが得られる。
Figure 2006158209
ここで、酸処理に用いられる酸は、無機酸であり得、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸などが挙げられる。反応液中の酸の濃度は、特に限定されないが、通常約0.1Mであり得る。次いで、生成した光学活性なジオールは、例えば、上記酸処理反応液にアルカリ性溶液を添加して中和した後、上述のように適切な有機溶媒で抽出することによって回収することができる。
(調製例1)2−ベンジルオキシメチル−2−メチルオキシラン(エポキシド1)の調製
Figure 2006158209
氷浴で冷却した1Lの四つ口フラスコに水素化ナトリウム(12.21g,305mmol、ヘキサン洗浄)および無水DMF(50ml)を入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら、無水DMF(90ml)に溶解したベンジルアルコール(30.0g,277mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応混合物を1.5時間攪拌(氷冷〜室温)した後に、再度氷冷し、DMF(50ml)に溶解した3−クロロ−2−メチルプロペン(30.14g,333mmol)を滴下した。室温にて16時間攪拌後、氷冷しながら水をゆっくりと添加した。ヘキサンを加えて攪拌後、有機層を回収して、有機層を水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮して、45.3gの(2−メチルアリロキシメチル)−ベンゼンを得た(無色透明液体、収率100.8%)。
次いで、300Lの四つ口フラスコに、得られた(2−メチルアリロキシメチル)−ベンゼン(40.0g,247mmol)を入れ、アセトニトリル(20ml)およびメタノール(100ml)に溶解させた。さらに、炭酸水素カリウム(7.41g,74 mmol)を過酸化水素水(30%水溶液、56g,494mmol)に溶解して滴下した。途中、二層に分離したため、アセトニトリルを加えた。室温で攪拌しながらTLCで反応の進行を追跡した。なお、TLCの分析条件は、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10:1、および、Rf値:(2−メチルアリロキシメチル)−ベンゼン=0.6;エポキシド=0.3であった。途中で反応が停止したため、さらに過酸化水素水(70g,621mmol)を3回に分けて添加した。5日間攪拌を続け、原料がほぼ消失したことをTLCにて確認し、減圧濃縮にて有機溶媒を留去した。ヘキサンを加えて有機層を回収し、チオ硫酸ナトリウム水溶液、水、次いで飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮して、39.76gの2−ベンジルオキシメチル−2−メチルオキシラン(エポキシド1)を得た(無色透明液体、収率90.3%)。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.40(3H,s,2−Me),2.63(1H,d,J4.8,1−H),2.75(1H,d,J4.8,1−H),3.44(1H,d,J10.8,3−H),3.57(1H,d,J10.8,3−H),4.54(1H,d,J12.0,OCHPh),4.59(1H,d,J12.0,OCHPh),7.34(5H,s,Ph)。
なお、得られたエポキシド1のHPLC分析条件は、以下のとおりである:
カラム:CHIRALPAK AD.(250mm×4.6mmI.D.、ダイセル製)
カラム温度:18℃
溶離液:ヘキサン/ジグライム=98/2
流量:0.5ml/分
検出:UV260nm
保持時間:R体=21.7分、S体=25.5分。
(調製例2)2−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール(ジオール1b)の調製
50mlの三つ口フラスコにTHF(5ml)とエポキシド1(1.0g,5.6mmol)とを入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら水(1ml)を少しずつ添加した。続いて濃硫酸(7.5μl,Hとして5mol%)を加えて6日間室温で攪拌した。TLCにて反応の進行を追跡した。なお、TLCの分析条件は、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2:1、および、Rf値:エポキシド=0.7;ジオール=0.1であった。炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、酢酸エチルを加えて有機層を回収した。その後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後に減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:1)で精製を行って、559mgの3−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール(ジオール1b)を得た(無色透明液体、収率50.9%)。
なお、エポキシド1および得られたジオール1bのHPLC分析条件は、以下のとおりである:
カラム:CHIRALPAK AD.(250mm×4.6mmI.D.、ダイセル製)
カラム温度:18℃
溶離液:ヘキサン/2−プロパノール=90/10
流量:0.75ml/分
検出:UV260nm
保持時間:エポキシド1=6.0分、R−ジオール1b=13.6分、S−ジオール1b=14.8分。
(調製例3)2−(4−メトキシフェノキシメチル)−2−メチルオキシラン(エポキシド2)の調製
Figure 2006158209
1Lの四つ口フラスコにp−メトキシフェノール(36.6g,295mmol)を入れ、DMFに溶解させた。さらに炭酸カリウム44.8g,324mmolを加えて攪拌を続けたところ、無色透明から赤紫色に変色した。続いてDMF(30ml)に溶解した3−クロロ−2−メチルプロペン(32.04g,354mmol)を滴下し、室温で1日間攪拌した。ヘキサンを加えて有機層を回収し、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、水、および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧濃縮して、34.3gの1−メトキシ−4−(2−メチルアリロキシ)ベンゼンを得た(無色透明針状結晶、融点約37℃、収率65.3%)。
次いで、0.5Lの四つ口フラスコに、得られた1−メトキシ−4−(2−メチルアリロキシ)ベンゼン(31.0g,174mmol)を入れ、アセトニトリル(100ml)およびメタノール(60ml)を加えて溶解させた。次いで、炭酸水素カリウム(5.22g,52mmol)を水(10ml)に溶解し、過酸化水素水(30%水溶液、59.2g,522mmol)と混合し、これを上記の溶液に滴下した。途中、TLCで反応の進行をモニターした。なお、TLCの分析条件は、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10:1、および、Rf値:1−メトキシ−4−(2−メチルアリロキシ)ベンゼン=0.25;エポキシド=0.5であった。反応を促進させるために過酸化水素(100g,881mmol)および炭酸水素カリウム(1.73g,17.3mmol)を分割添加しながら攪拌を続けた。8日後に減圧濃縮にて有機溶媒を留去し、ヘキサンを加えて有機層を回収し、洗浄および乾燥した後、減圧濃縮して、24.8gの2−(4−メトキシフェノキシメチル)−2−メチルオキシラン(エポキシド2)を得た(淡黄色固体、収率73.3%)。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.47(3H,s,2−Me),2.71(1H,d,J5.6,1−H),2.85(1H,d,J5.2,1−H),3.76(3H,s,OMe),3.90(1H,d,J10.8,3−H),3.97(1H,d,J10.8,3−H),7.34(5H,s,Ph)。
(調製例4)3−(4−メトキシフェノキシ)−2−メチルプロパン−1,2−ジオール(ジオール2b)の調製
エポキシド1の代わりに上記調製例3で得られたエポキシド2用いたこと以外は、上記調製例2と同様に操作を行って、765mgの3−(4−メトキシフェノキシ)−2−メチルプロパン−1,2−ジオール(ジオール2b)を得た(白色結晶、収率70.0%)。
なお、エポキシド2および得られたジオール2bのHPLC分析条件は、以下のとおりである:
カラム:Chiralcel OD
カラム温度:40℃
溶離液:ヘキサン/イソプロパノール=99/1〜91/9
流量:1ml/分
検出:UV260nm
保持時間:エポキシド2=4.6および5.3分、ジオール2b=22.0および23.7分。
(調製例5)2−メチル−2−フェネチルオキシラン(エポキシド3)の調製
Figure 2006158209
氷浴で冷却した300Lの三つ口フラスコに水素化ナトリウム(2.4g,60mmol)、無水THF(25ml)、および無水DMSO(10ml)を入れ、マグネチックスターラーで攪拌した。次いでDMSO(90ml)に溶解したトリメチススルホキソニウムヨージド(13.2g,60mmol)をゆっくりと滴下した(水素ガスが発生した)。滴下終了後、約50分攪拌した後に、DMSO(20ml)に溶解した4−フェニル−2−ブタノン(7.41g,50mmol)を滴下した。約5時間攪拌後(氷冷→室温)、ゆっくりと水を添加した。石油エーテルを加えて有機層を回収し、水および飽和食塩水で洗浄後、炭酸ナトリウムで乾燥させた。減圧濃縮し、6.9gの2−メチル−2−フェネチルオキシラン(エポキシド3)を得た(無色透明液体、収率85.1%)。
(調製例6)2−メチル−4−フェニルブタン−1,2−ジオール(ジオール3b)の調製
100mlのナスフラスコにTHF(6ml)およびエポキシド3(1.0g,6.2mmol)を入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら水を少しずつ添加した。水を2ml添加したところで白濁が見られたため、濃硫酸(8.3μl,Hで5mol%)を加えて4時間室温で攪拌した。炭酸ナトリウム水溶液で中和した後、減圧濃縮し、酢酸エチルを加えて有機層を回収した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、炭酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して、1.01gの2−メチル−4−フェニルブタン−1,2−ジオール(ジオール3b)を得た(無色透明液体、収率90.9%)。
TLCの分析条件
展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5:1
Rf値:エポキシド3=0.8、ジオール3b=0.09
HPLCの分析条件
カラム:Chiralcel OD
カラム温度:40℃
溶離液:ヘキサン/イソプロパノール=95/5〜83/17(30分)
流量:1.0ml/分
検出:UV260nm
保持時間:エポキシド3=4.8および5.5分、ジオール3b=22.4および26.0分。
(実験例1)B. subtilis 168株を用いたエポキシド加水分解反応の検討
Bacillus subtilisは、高いエポキシド加水分解活性を有する株が多い。そこで、ゲノム解読株であり、B. subtilisのモデル株であるB. subtilis 168株を用いて、3種類のエポキシド1〜3の加水分解能を以下のように評価した。
LB培地(ペプトン:10g/L、酵母エキス:5g/L、NaCl:5g/L、pH7.0)にて終夜培養したB. subtilis 168株(B. subtilis JCM10629;独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室から購入)を約15倍濃縮し、pH6〜9の種々の緩衝液(pH6:酢酸緩衝液、pH7:リン酸カリウム緩衝液、pH8および9:トリス塩酸緩衝液)に再懸濁した。菌液100μlを2ml容のエッペンドルフチューブに入れた。次いで、2μlのエポキシド1〜3を添加して30℃で激しく攪拌した(基質濃度1.7%)。48時間経過後、酢酸エチル250μlを添加して反応を停止させ、さらに30分攪拌した。酢酸エチル層を回収し、HPLC分析を行った。結果を表1に示す。
表中のE値(エナンチオ比)は、Shiらの方法(Chen,C−S.ら、J.Am.Chem.Soc.,1982年,104巻,7294頁)に従って、基質(エポキシド)および生成物(ジオール)のEe(エナンチオマー過剰率)から、または変換率および生成物のEeから、以下の計算式に従って算出した。
Figure 2006158209
Figure 2006158209
エポキシド1〜3はいずれにおいても、B. subtilis 168株により、立体選択的に加水分解された。エポキシド1および2を基質とした場合には、反応開始から6時間後には、残存するエポキシドの光学純度はほぼ100%に達した。特に、エポキシド1は、これまでで最も高いE値(211)を与えたことから、B. subtilis168株は、反応性、立体選択性ともにすぐれたEH活性を有していることが明らかになった。エポキシド1および2を用いて、異なるpHの緩衝液中で反応させた結果、pH8の場合に加水分解が高かった。なお、並行して行ったコントロール実験では、pH6では非酵素的な加水分解が認められた。
次いで、LB培地にて終夜培養したB. subtilis 168株を50mMトリス塩酸緩衝液(pH8)に再懸濁した。菌液(10ml)をポリプロピレンチューブ(15ml容)に入れ、エポキシド1および2を各0.2g添加し(基質終濃度2%)、30℃で振盪した。途中、0.2mlずつサンプリングを行い、反応の経過をHPLCによってモニターした(図1)。エポキシドの光学純度が99%を越えた時点もしくは、変換率が50%に到達した時点(エポキシド1:9時間、エポキシド2:6時間)で、酢酸エチルを加えて残存エポキシドおよび生成ジオールを抽出した(3ml×5回)。シリカゲルクロマトグラフィーによって、ジオールとエポキシドとを分離し(ヘキサン:酢酸エチル=5:1→3:1→1:1)、それぞれの質量を測定して、収量を算出した(表2)。
Figure 2006158209
表2から、B. subtilis 168株を利用して、光学活性なジオールおよびエポキシドを定量的に生成し得ることがわかった。
(実験例2)B. subtilis 168株由来EH遺伝子のクローニング
B. subtilis 168株は、ゲノム解読が終了し、その情報が一般公開されている(クンスト,エフ.(Kunst,F.)ら、「ネイチャー(Nature)」、1997年、390巻、249頁)。B. subtilis 168株のゲノムデータベースにアクセスし、エポキシドハイドロラーゼをキーワードにして検索を行った(http://bacillus.genome.jp/bsorf-bin/BSORF_data_view.pl?ACCESSION=BG12888)。EHに似た遺伝子(EH様タンパク質、yfhM、858bp)が見出されたので、このEH様遺伝子およびその前後領域の塩基配列情報を取得した。取得した配列は、EHのDNA配列(配列番号1)、EHのアミノ酸配列(配列番号2)、EH様遺伝子の前後を含む長い遺伝子配列(EH−Long:配列番号3)、およびEH様遺伝子の前後を含む短い遺伝子配列(EH−Short:配列番号4)であった。これらのDNA配列をもとにプライマーを設計した。プライマー設計の際には、以下の2点を改良した:本来のEH遺伝子の開始コドンはGTGであるが、より一般的な開始コドンであるATGへと変更したこと;およびN−末端から3残基目のアミノ酸(グリシン)をコードするコドンのGGAに相当するtRNAが大腸菌内では少ないため、多く存在するコドンであるGGTに変更したこと。
B. subtilis 168株からゲノムDNA調製キット(GenとるくんTM酵母用;タカラバイオ株式会社)を用いて調製したゲノムDNAを鋳型として、EHN1(配列番号5)またはEHN2(配列番号6)とEHC2(配列番号7)とをプライマーとして用いて、PCRによって2種類のEH構造遺伝子を増幅させた。これらのEH遺伝子をEcoRIおよびSalIで処理し、同時に、pBluescript SK(Stratagene社)も同じ制限酵素で処理した。EH遺伝子とベクターとをライゲートした後に、大腸菌JM109株のコンピテントセルを形質転換した。形質転換体は、青白セレクションによって選択した。なお、青白セレクション用寒天プレートには、LB培地に0.1mMのIPTG(イソプロピル-チオ-β-D-ガラクトピラノシド)と40μg/mlのX−gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド)とを添加したものを用いた。青白セレクションによって得られた白いコロニーをピックアップし、アンピシリン(50μg/ml)を含むLB培地で液体培養後、1.5mlの培養液から核酸抽出装置(Automatic Nucreic Acid Extracter MFX-2000;東洋紡績株式会社)を用いてプラスミドを抽出した。プラスミドの大きさをアガロースゲル電気泳動で確認し、サイズの増加が確認できたコロニーを1つずつ選んでシーケンス解析を行った。アガロースゲル電気泳動により、理論どおりの大きさの断片(860bp付近)を確認した。次いで、これらの遺伝子をEcoRIおよびSalI部位でpBluescript II SK(-)(コピー数:約200)に連結し、大腸菌JM109株のコンピテントセルを形質転換した。目的プラスミドの存在を確認するために、プラスミドを抽出して電気泳動で大きさを確認した。プライマーEHN1を用いた場合の9株中8株、およびEHN2では10株中1株においてプラスミドサイズの拡大が確認された。プラスミドサイズの増加は、目的の遺伝子が挿入されたことを示唆している。これらのうち各1株(以下、それぞれEHN1発現株およびEHN2発現株という)を選んでDNA塩基配列を解析し、正しくクローニングされていることを確認した。また、宿主であるE. coli JM109株にはEH活性が認められなかったが、EHN1またはEHN2発現株にはEH活性が認められた。両者の活性は同程度であった。この結果より、ゲノム情報からクローニングしたEH様遺伝子が、EH活性を有するタンパク質をコードすることを確認した。
(実験例3)野生株および組換え株におけるEH活性
(3−A)tacプロモーターを有する形質転換体の作成
上記pBluescript II SK(-)を用いたタンパク質発現系は、大腸菌の中で弱い部類に分類されるlacプロモーターを利用しているが、より強力なtacプロモーターを有する形質転換体を作成した。tacプロモーターを有する一般的な発現ベクターであるpKK223−3(コピー数:50)を用いて、上記でクローニングしたEH遺伝子をEcoRI部位でpKK223−3に連結し、大腸菌JM109株のコンピテントセルを形質転換した。EH遺伝子の方向は、EH遺伝子の内部にある制限酵素部位を用いて切断し、得られたDNA断片のサイズを調べることによって確認し、順方向に挿入された株を選択した。
(3−B)EHプロモーターを有する形質転換体(大腸菌)の作成
B. subtilis 168株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、上下流領域を含むEH遺伝子のクローニングを行った。PCRに用いたプライマーは、EHNlongBam(配列番号8)またはEHNshortBam(配列番号9)とCBam(配列番号10)との組み合わせであった。クローニングにより、プロモーター領域(Peh:0.2〜1.2kb)およびターミネーター領域(Teh:0.2kb)を含む2種のEH遺伝子を得た。これらの遺伝子の構造を図2に示す。クローニングした遺伝子をBamHI部位でpBluescript SK(-)に連結し、大腸菌JM109株のコンピテントセルを形質転換した。形質転換して得られたクローンからプラスミドを抽出し、電気泳動によってサイズを確認したところ、2.5kbの遺伝子(EH−Long)および1.3kbの遺伝子(EH−Short)がそれぞれ1個(EH−LongおよびEH−Short)および2個(EH−Long×2およびEH−Short×2)挿入した株が得られた(図3)。なお、遺伝子の挿入方向は未確認である。
(3−C)EHプロモーターを有する形質転換体(枯草菌)の作成
EHは枯草菌が生産する酵素であることから、枯草菌自体のタンパク質発現系を利用することにより、転写・翻訳に関するシステムのミスマッチが解消され、高い発現量が達成できると推測できる。そこで、枯草菌タンパク質発現系を構築した。
まず、B. subtilis 168株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、上下流領域を含むEH遺伝子のクローニングを行った。PCRに用いたプライマーは、EHNlongBam(配列番号8)またはEHNshortBam(配列番号9)とEco-EH-terR(配列番号11)との組み合わせであった。得られた遺伝子をそれぞれBamHIおよびEcoRIで処理した後、同制限酵素で予め処理したpUB110(ATCCより入手)にライゲートして(16℃、2〜16時間)図4に示すプラスミドを構築し、コンピテントセル法によってB. subtilis MT-2(中性プロテアーゼ欠損宿主:立命館大学理工学部化学生物工学科久保幹教授より分譲)を形質転換し、EH−Long株およびEH−Short株を得た。
(3−D)EH活性の測定
上記(A)〜(C)で得られた大腸菌および枯草菌の形質転換体を用いて、以下のようにEH活性を測定した。B. subtilis 168株の野生株または形質転換体をLB培地(ペプトン:10g/L、酵母エキス:5g/L、NaCl:5g/L、pH7.0)で培養した後、遠心分離によって回収し、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に再懸濁し、100μlを2ml容のエッペンドルフチューブに入れた。このチューブに2μlのエポキシド1を添加して30℃で激しく30分間攪拌した。次いで、酢酸エチル250μlを添加して反応を停止させ、さらに30分間攪拌した。酢酸エチル層を回収し、HPLC分析を行った。予め作成した検量線から生成物および残存基質の量を算出し、培養液1ml当たり1時間に加水分解される基質量をEH活性とした。結果を表3に示す。
Figure 2006158209
枯草菌宿主内でEHプロモーターを機能させた場合には、大腸菌内よりも高い活性を示した。また、活性値はEH−LongとEH−Shortとは大きく異なっていた。大腸菌を宿主とした場合には、EH−Longの活性がEH−Shortに比べて高かったのに対して、枯草菌宿主の場合は発現量が逆転していた。発現宿主およびプロモーターの違いによる立体選択性の変化は認められなかった(データは示さず)。
(実験例4)種々のプロモーターを有する形質転換体の作成
(4−A)アミラーゼプロモーターを有する形質転換体(枯草菌)の作成
枯草菌は菌体外に大量のタンパク質を分泌生産することが知られており、食経験によって安全性も周知であるため、タンパク質大量発現システムとして開発が進められてきた。しかし、成功例は菌体外に分泌される酵素についてのみであり、菌体内酵素の発現システムとしては、枯草菌はほとんど利用されていない。唯一、アミラーゼ高生産菌として知られるBacillus amyloliquefaciens NBRC 15535由来のアミラーゼプロモーターの下流に、マルトースホスホリラーゼの構造遺伝子を連結し、pUB110を用いて枯草菌内で発現させることにより、250倍以上の発現量が達成されたとの報告がある(イノウエ,ワイ.(Inoue,Y.)ら、「バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー(Biosci.Biotechnol.Biochem.)」、2002年、66巻、2594頁)。そこで、B. amyloliquefaciensのアミラーゼ遺伝子(アクセッションNo.J01542)のプロモーター配列およびターミネーター配列をDDBJから取得した(http://srs.ddbj.nig.ac.jp/cgi-bin/wgetz?-id+2XtAQ1OFfGs+-e+[DDBJRELEASE:'BACAAM'])。
まず、B. amyloliquefaciens NBRC15535株(独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NBRC)から購入)のゲノムDNAを鋳型として、Xba-PamyF(配列番号12)およびBam-PamyR(配列番号13)をプライマーとして用いて、アミラーゼ遺伝子の上流域(プロモーターを含む249bp)をPCRによって増幅させ、アミラーゼプロモーター部位(Pamy)を取得した。その際、5’−末端にXbaI部位、3’−末端にBamHI部位を連結させた。また、B. subtilis 168株のゲノムDNAを鋳型として、EH-5Bam(配列番号14)とEHC3(配列番号15:ターミネーターなし)またはEco-EH-terR(配列番号8:ターミネーターあり)とをプライマーとして用いて、PCRを行い、EH遺伝子(ターミネーターなしおよびあり)を増幅させた。この際、5’−末端にBamHI部位、3’−末端にEcoRI部位を連結させた。これらのPamyとEH遺伝子とをそれぞれBamHIで処理してBamHI部位で連結した。この複合遺伝子をXbaI部位およびEcoRI部位でpUB110にライゲートし(16℃、終夜)、それぞれEH発現プラスミドpUB−Pamy−EHおよびpUB−Pamy−EH−Tehを構築した。これらを用いてコンピテントセル法によってB. subtilis MT-2を形質転換して、それぞれB. subtilis MT-2/pUB−Pamy−EH(以下、Pamy−12株という:図5参照)およびB. subtilis MT-2/pUB−Pamy−EH−Teh(以下、Amy−5株という)を作成した。
また、B. amylolichefaciens NBRC15535株のゲノムDNAを鋳型として、Eco-Tamy3F(配列番号16)およびAcc-Tamy223R(配列番号17)をプライマーとして用いて、アミラーゼ遺伝子のターミネーター領域(293bp)をPCRによって増幅させ、アミラーゼターミネーター部位(Tamy)を取得した。pUB−Pamy−EHの下流に、EcoRIおよびAccI部位でTamyを挿入してpUB−Pamy−EH−Tamyを構築した(図6)。構築したpUB−Pamy−EH−TamyをB. subtilis MT-2に組込み、B. subtilis MT-2/pUB−Pamy−EH−Tamy(以下、Tamy−2株という)を得た。
(実施例1)デンプン含有培地で培養した微生物のEH活性
B. subtilis 168株野生株または上記実験例3で得られたアミラーゼプロモーターを含む形質転換体を、デンプン含有培地(ポリペプトンS:50g/L、アミラーゼ処理したデンプン:120g/L、(NH4)2HPO4:10g/L、CaCl2・2H2O:2g/L、MgSO4・7H2O:2g/L、コーンスティープリカー:10g/L、pH7.0)で4日間培養した。培養後、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で2〜20倍に希釈し、100μlを2ml容のエッペンドルフチューブに入れた。このチューブに2μlのエポキシド1を添加して30℃で激しく30分間攪拌した。次いで、酢酸エチル250μlを添加して反応を停止させ、さらに30分間攪拌した。酢酸エチル層を回収し、HPLC分析を行った。予め作成した検量線から生成物および残存基質の量を算出し、培養液1ml当たり1時間に加水分解される基質量をEH活性とした。結果を表4に示す。
Figure 2006158209
アミラーゼプロモーターを有する株では、いずれもEH活性が非常に高かったが、ターミネーターの有無によってEH活性に違いが認められた。EHターミネーターの挿入によって、Amy−5株ではEH活性がPamy−12株の約1.5倍になり、アミラーゼターミネーターが挿入されているTamy−2株では、さらにEH活性が高かった。また、デンプン含有培地で培養した微生物では、アミラーゼプロモーターを有する株だけでなく、野生株であるB. subtilis 168株やEHプロモーターを有する株でも、LB培地で培養した場合と比べて10倍以上のEH活性の上昇が認められた。このことから、デンプン含有培地がアミラーゼプロモーターだけでなく、EHプロモーターにも同様に作用し、EH活性を上昇させたと推測される。
そこで、他の野生株についても、デンプン含有培地で培養した後、EH活性を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2006158209
デンプン含有培地で培養することにより、バクテリアおよび酵母のいずれの菌種についてもEH活性が上昇していた。特に、バクテリアではBacillus subtilis IAM 1186株が7.2倍、酵母ではCandida colliculosa JCM 2199株が9.3倍もの活性を示した。
(実施例2)乾燥菌体の調製
Amy−5株をデンプン含有培地で4日間培養後、遠心分離によって集菌した。回収した菌体を、−20℃にて凍結乾燥後3日間保存、20v/v%グリセロール添加後に−20℃にて凍結乾燥して3日間保存、あるいは室温にて風乾燥した。次いで、各乾燥菌体に乾燥前の培養液の20倍容量の50mMトリス塩酸緩衝液(pH8)を加えて再懸濁し、100μlを2ml容のエッペンドルフチューブに入れた。2μlのエポキシド1を添加して30℃で激しく攪拌した。30分経過後、酢酸エチル250μlを添加して反応を停止させ、さらに30分攪拌した。酢酸エチル層を回収し、HPLC分析を行った。結果を表6に示す。
Figure 2006158209
菌体を凍結させると活性が半減したが、20%のグリセロール共存下で凍結した場合はほとんど失活しなかった。グリセロールの添加は、菌体での保管においても、EH活性の維持に効果的と思われる。一方、風乾燥菌体では、活性が約1/2に低下した。
(実施例3)固定化菌体の調製−1
菌体の固定化法として一般的な手法である包括法を採用し、代表的な包括剤である、カラギーナンおよびアルギン酸カルシウムを用いて、デンプン含有培地で培養したAmy−5株の固定化を行った。
κ−カラギーナン(4%)を100℃にて溶解させ、カラギーナン水溶液(約3ml)と菌液(培養液の2倍濃度相当、1ml)とをすばやく混合した。室温で放置することにより固化させ、すりつぶして反応に供した。
最終濃度の2倍濃度のアルギン酸ナトリウム水溶液(1ml)と菌液(培養液の2倍濃度相当、1ml)とを混合し、0.45mmのシリンジを用いて塩化カルシウム水溶液(0.13M)中に滴下した。1時間以上攪拌し、ゲル化した菌体ビーズを回収して反応に供した。
固定化菌体の活性評価には、カラギーナン固定化菌体は、培養液相当濃度の触媒として使用した。アルギン酸カルシウム固定化菌体は、1%アルギン酸ナトリウム(1ml)と菌液(1ml)とから約0.7gの固定化菌体が得られたことから、約1.4倍に濃縮されたものとして反応に使用した。各固定化菌体の20倍容量の50mMトリス塩酸緩衝液(pH8)を加えて再懸濁し、100μlを2ml容のエッペンドルフチューブに入れた。2μlのエポキシド1を添加して30℃で激しく攪拌した。30分経過後、酢酸エチル250μlを添加して反応を停止させ、さらに30分攪拌した。酢酸エチル層を回収し、HPLC分析を行った。
カラギーナン固定化菌体ではEH活性は半減していたが、アルギン酸カルシウムで固定化した場合には、固定化による悪影響は無く、ほぼ完全な活性を保持していた。また、各固定化菌体を触媒として用いた際に、立体選択性の変化は認められなかった。基質濃度を高めるためにヘプタン中で反応を試みたが、活性向上は認められなかった。
(実施例4)固定化菌体の調製−2
アルギン酸を構成する2種の糖(マンヌロン酸およびグルロン酸)の成分比によって、水溶液の濃度やゲル化のしやすさが異なる(グルロン酸が多いとゲル化しやすい)ことが知られている。そこで、組成の異なるアルギン酸ナトリウムを用いてPamy−5株を固定化し、最適なアルギン酸の選択を選択した。さらに、アルギン酸ナトリウム濃度を最適化した。
まず、マンヌロン酸(M)およびグルロン酸(G)の成分比が異なる3種類のアルギン酸ナトリウム、すなわち、キミカアルギンI−7、キミカアルギンIL−6G(これらはいずれも株式会社キミカ製)、およびMANUCOL MV(ISP:International Specialty Products製)を用いて固定化した。EH活性を上記実施例3に記載と同様の操作によって測定した。その結果、マンヌロン酸含量の多いMANUCOL MVで高活性を示した(表7)。また、MANUCOL MVの濃度は、0.9〜1.0%が最適であった(表8)。
Figure 2006158209
Figure 2006158209
(実施例5)固定化菌体の架橋処理
架橋剤として、ポリエチレンイミンとグルタルアルデヒドとの組み合わせ、および1,6−ヘキサメチレンジアミンとグルタルアルデヒドとの組み合わせを用いて、固定化菌体の架橋処理を行った。
上記実施例3において調製した1%アルギン酸カルシウム固定化菌体(Amy−5株)を2%ポリエチレンイミン水溶液(分子量60,000〜80,000、塩酸で中和)に5分間浸漬した。菌体を回収し、0.5%グルタルアルデヒド水溶液に浸漬し、マグネチックスターラーにてゆっくりと30分間攪拌した。ろ過によって固定化菌体を回収し、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8)にて3回洗浄し、余分な水分をろ紙に吸収させた。使用するまで4℃で保存した。
同様に、上記実施例3において調製した1%アルギン酸カルシウム固定化菌体(Amy−5株)を1%1,6−ヘキサメチレンジアミン水溶液(塩酸で中和)に10分間浸漬した。菌体を回収し、1%グルタルアルデヒド水溶液に浸漬して、マグネチックスターラーにてゆっくりと30分間攪拌した。ろ過によって回収した固定化菌体を50mMトリス塩酸緩衝液(pH8)にて3回洗浄し、余分な水分をろ紙に吸収させた。使用するまで4℃で保存した。
架橋処理直後、10日後、および31日後に、各固定化菌体の20倍容量の50mMトリス塩酸緩衝液(pH8)を加えて再懸濁し、100μlを2ml容のエッペンドルフチューブに入れた。2μlのエポキシド1を添加して30℃で激しく攪拌した。30分経過後、酢酸エチル250μlを添加して反応を停止させ、さらに30分攪拌した。酢酸エチル層を回収し、HPLC分析を行った。結果を表9に示す。
Figure 2006158209
架橋処理の直後に活性を測定したところ、架橋菌体では活性の低下が認められた。塩基としてポレチレンイミンを用いた場合には71%にまで低下し、架橋密度の高いヘキサメチレンジアミンを使用した架橋処理では活性が半減した。1カ月間4℃で保管した後に再度活性を測定すると、架橋しない菌体では保存前の46%にまで低下したが、架橋処理した菌体では活性の保持率が高かった(89および96%)。この結果から、高濃度のグルタルアルデヒドで架橋した菌体では、架橋直後に失活するが、安定性が向上し長期保存可能であることが明らかとなった。
(実施例6)固定化菌体の乾燥処理
上記実施例3および実施例5にて調製したAmy−5株のアルギン酸カルシウム固定化菌体および架橋菌体を、濃縮機を用いて1時間乾燥させた。これらの乾燥菌体について、上記実施例2と同様の操作によってEH活性を測定した。結果を表10に示す。
Figure 2006158209
固定化菌体の場合は乾燥処理による活性の喪失はわずかであり、9割以上の活性を維持していた。さらに、乾燥固定化菌体を室温で放置し、1カ月ごとに残存活性を測定したところ、少しずつ活性が低下する傾向が見られた。アルギン酸カルシウム固定化菌体(架橋処理なし)は、湿潤菌体では1カ月後に活性が半分以下にまで低下したが、乾燥処理することにより2カ月後も80%の活性を保持することができた。このことから、室温での半年〜1年程度の保存が可能であると推測される。以上の実験から、アルギン酸カルシウム固定化、架橋処理、および乾燥処理を組み合わせることがAmy−5株の長期保存に有効であることがわかった。
(実施例7)固定化菌体の反復使用
乾燥させた固定化菌体を量りとり、100μlの50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8)で1時間膨潤させた。余分な水分をピペットで吸引除去した後、再度同じ緩衝液(100μl)を加え、エポキシド1を2〜5μl加えて、30℃で反応させた。1時間後、水層のみを吸引除去してHPLC分析に供した。残った固定化菌体に、再度緩衝液および基質を加え、2回目以降の反応を10回まで行った。結果を図8に示す。
図8に示すように、少なくとも10回の繰り返し使用による大幅な活性損失は認められなかった。また、架橋の有無や、架橋剤の種類による顕著な違いも認められなかった。10回使用した後も、反応時間を延長することによって変換率が50%に到達することを確認した(データは示さず)。
(実施例8)固定化菌体の基質特異性
上記実施例5で調製したAmy−5のアルギン酸カルシウム固定化菌体を用いて、エポキシド1〜4に対するEH活性を検討した。なお、エポキシド4は、以下のように調製した。
2−メチル−2−フェノキシメチルオキシラン(エポキシド4)の調製
Figure 2006158209
氷浴で冷却した1Lの三つ口フラスコに水素化ナトリウム(7.53g,188mmol、ヘキサン洗浄)、および無水THF(30ml)を入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら無水DMSO(200ml)に溶解したトリメチルスルホキソニウムヨージド(39.6g,180mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で約30分攪拌した後に、DMSO(100ml)に溶解した1−フェノキシ−2−プロパノン(24.57g,164mmol)を滴下した。室温にて約5時間攪拌後、氷冷しながら塩化アンモニウム水溶液をゆっくりと添加した。有機成分をヘキサンで抽出し、水および飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧濃縮し、10.63gの2−メチル−2−フェノキシメチルオキシラン(エポキシド4)を得た(無色透明液体、収率39.5%)。結果を表11に示す。
Figure 2006158209
野性株および遊離菌体と比べて、立体選択性に変化は認められなかった。
本発明によれば、高活性かつ高立体選択的なEHを高発現する微生物が提供される。また、この微生物を固定化することにより、保存性に優れかつ操作性の高い生体触媒として、反復使用が可能になる。したがって、本発明の微生物を有機合成試薬として使用して、ラセミ体のエポキシドから光学活性な化合物を工業的に製造できる。こうして得られる光学活性な化合物は、キラルビルディングブロックとして有用な化合物となり得る。さらに、エポキシド環の一つの炭素原子に二つの置換基を有する2,2−二置換のエポキシドを立体選択的に加水分解すると、化学的合成が非常に困難である光学活性3級アルコールを作ることができ、これは様々な化合物へと誘導することができる。したがって、本発明の微生物は、医薬品や農薬の製造に非常に有用である。
B. subtilis 168株によるエポキシドの加水分解反応におけるエポキシドおよびジオールのEeの経時変化を示すグラフである。 EH遺伝子のEHプロモーターおよびEHターミネーターを含む遺伝子構造の模式図である。 EH−Long遺伝子およびEH−Short遺伝子をpBluescript SK(-)に挿入して構築したプラスミドの構造を示す模式図である。 EH−Long遺伝子およびEH−Short遺伝子をpUB110に挿入して構築したプラスミドの構造を示す模式図である。 アミラーゼプロモーターを有するEH発現ベクター(pUB−Pamy−EH)の構築を示す模式図である。 アミラーゼターミネーターを有するEH発現ベクター(pUB−Pamy−EH−Tamy)の構築を示す模式図である。 Amy−5株の固定化菌体の繰り返し使用回数とジオール収率との関係を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養する工程を含む、エポキシドハイドロラーゼの活性が高められた微生物の製造方法。
  2. 前記エポキシドハイドロラーゼが、バチルス・サチルス由来である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記微生物がバチルス属細菌である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記微生物が組換え微生物であって、該微生物において、前記エポキシドハイドロラーゼをコードする構造遺伝子の上流に、アミラーゼプロモーターまたはエポキシドハイドロラーゼプロモーターが挿入されている、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養する工程を含む、微生物のエポキシドハイドロラーゼ活性を増強する方法。
  6. 微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養する工程、および得られた培養物からエポキシドハイドロラーゼを回収する工程を含む、エポキシドハイドロラーゼの製造方法。
  7. エポキシド加水分解活性を有する微生物を4%から20%の濃度のデンプンを含む培地中で培養する工程、および得られた培養物を固定化および/または乾燥させる工程を含む、固定化エポキシドハイドロラーゼの製造方法。
  8. 請求項7に記載の方法によって製造される、エポキシドハイドロラーゼ剤。
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