JP2006155031A - 自動販売機 - Google Patents

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寿和 境
Tsuyoki Hirai
剛樹 平井
Kenji Kaneshiro
賢治 金城
Masaharu Kamei
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Abstract

【課題】缶飲料などの商品を冷却若しくは加温して販売する自動販売機に関し、ヒートポンプシステムとヒータで加温を実現する場合に、ヒートポンプシステムの稼働率を高めてさらに消費電力量の削減を図る自動販売機を提供する。
【解決手段】ヒータの加温能力をヒートポンプシステムの加温能力と同等以上とするとともに、ヒートポンプシステムのON温度T3をヒータのON温度T2より高く、かつヒータOFF温度T3以下の範囲に設定するとともに、ヒートポンプシステムのOFF温度T4をヒータのOFF温度T3以上に設定したことによって、初期起動時や一時的に温度が低下した時は、主としてヒータを用いて温度調整を行うとともに、安定時には主としてヒートポンプシステムを用いて加温することができ、結果としてヒートポンプシステムの運転時間を伸ばして定常的に利用することでヒートポンプシステム本来の効率を発揮することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、缶飲料などの商品を加温あるいは冷却して販売する自動販売機において、圧縮機で圧縮された冷媒が凝縮する際に生じる潜熱を用いて加温を行うヒートポンプシステムを搭載する自動販売機に関するものである。
近年、自動販売機に対する消費電力量削減の要求が高まってきており、消費電力量削減手段として、冷却によって生じる廃熱や大気の熱を利用するヒートポンプシステムを用いて缶飲料などの商品を加温するものが提案されている。
また、ヒートポンプシステムは特に低外気温時の起動特性に劣ることから、低外気温時あるいは起動時に補助ヒータを用いて加温能力を補完する自動販売機も提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような補助ヒータの使い方は、冷暖房装置の暖房能力の補完にも見られるものである(例えば、特許文献2参照)。
以下、図面を参照しながら従来の自動販売機を説明する。
図3は従来の自動販売機の冷媒回路図、図4は従来の自動販売機の加温制御のタイムチャートである。
図3に示すように、従来の自動販売機は、ホット/コールド切換室1、コールド専用室2、第二コールド専用室3からなる貯蔵室を備え、ホット/コールド切換室1内に設置された室内熱交換器4、コールド専用室2内に設置された蒸発器5、第二コールド専用室3内に設置された第二蒸発器6、貯蔵室の外に設置された室外熱交換器7、圧縮機8で構成されたヒートポンプシステムを有する。
また、膨張弁A9、膨張弁B10、膨張弁C11はそれぞれ通過する冷媒の圧力を低下するとともに閉塞機能を有したものであり、開閉弁A12、開閉弁B13、開閉弁C14、開閉弁D15はそれぞれ冷媒の流れの有無を制御するものである。
また、ヒートポンプシステムの加温能力を補完するために、ヒートポンプシステムの加温能力のほぼ半分の加温能力を有する電気ヒータからなる補助ヒータ16が室内熱交換器4の風上側に設置されている。
以上のように構成された従来の自動販売機について、以下その動作を説明する。
ホット/コールド切換室1を冷却する場合、開閉弁A12と開閉弁D15を開とし、開閉弁B13と開閉弁C14を閉として、圧縮機8を駆動する。圧縮機8から吐出された冷媒は、室外熱交換器7で凝縮された後、それぞれ膨張弁A9、膨張弁B10、膨張弁C11で減圧されて、室内熱交換器4、蒸発器5、第二蒸発器6へ供給される。そして、室内熱交換器4、蒸発器5、第二蒸発器6で蒸発した冷媒が圧縮機8へ還流する。
このとき、ホット/コールド切換室1、コールド専用室2、第二コールド専用室3の内所定の温度に達した貯蔵室は、当該する膨張弁A9、膨張弁B10、膨張弁C11を閉塞して冷媒の供給を停止する。さらに、すべての貯蔵室が所定の温度に達すると圧縮機8の運転を停止する。
次に、ホット/コールド切換室1を加温する場合、開閉弁A12と開閉弁D15および膨張弁A9を閉とし、開閉弁B13と開閉弁C14を開として、圧縮機8を駆動する。圧縮機8から吐出された冷媒は、室内熱交換器4で一部が凝縮し、再度室外熱交換器7で凝縮された後、それぞれ膨張弁B10、膨張弁C11で減圧されて、蒸発器5、第二蒸発器6へ供給される。そして、蒸発器5、第二蒸発器6で蒸発した冷媒が圧縮機8へ還流する。また、コールド専用室2、第二コールド専用室3の内、所定の温度に達した貯蔵室は、当該する膨張弁B10、膨張弁C11を閉塞して冷媒の供給を停止する。さらに、すべての貯蔵室が所定の温度に達すると圧縮機8の運転を停止する。
ここで、コールド専用室2および第二コールド専用室3を冷却する際に生じる冷媒の凝縮廃熱を用いて、ホット/コールド切換室1を効率よく加温することができるので、電気ヒータなどの別の加熱手段を用いてホット/コールド切換室1を加温する場合に比べて、消費電力量を削減することができる。
次に、加温する場合のホット/コールド切換室1の室温変化に対する、圧縮機8および補助ヒータ16のON/OFF状態の変化について図4を用いて詳細に説明する。
図4は横軸に時間区分t0〜t27をとったタイムチャートであり、上から順にホット/コールド切換室1の室温の変化、補助ヒータ16のON/OFF状態、圧縮機8のON/OFF状態、補助ヒータ16と圧縮機8などからなるヒートポンプシステムの加温能力の総和を示したものである。また、室温の縦軸に記載されているT0は外気温度、T1は補助ヒータ16を入れる基準であるヒータON温度および補助ヒータ16を切る基準であるヒータOFF温度、T2は圧縮機8を稼動する基準であるコンプON温度、T3は圧縮機8を停止する基準であるコンプOFF温度を示す。
ここで、補助ヒータ16は室温がヒータON温度より低くなればONとなり、ヒータOFF温度以上になればOFFとなる。また、圧縮機8も同様に室温がコンプON温度より低くなればONとなり、コンプOFF温度以上になればOFFとなる。
図4において、時間t0は室温が外気温度T0近くまで低下した初期起動状態であり、室温がT1およびT2より低いことから、補助ヒータ16および圧縮機8がONとなる。これは、圧縮機8などからなるヒートポンプシステムの加温能力の不足を補助ヒータ16が補っていることを示している。
そして、時間t1で室温がT1を越えると補助ヒータ16がOFFし、時間t2で室温がT3を越えると、圧縮機8がOFFする。また、時間t8で室温がT2を下回ると圧縮機8がONとなり、時間t12で室温がT2を越えると圧縮機8がOFFする。室温が一次的に低くなった時間t18〜t25の区間においても、室温の変化に対して同様に補助ヒータ16および圧縮機8のON/OFFが制御される。
ここで、補助ヒータ16は室温がT1を下回る時間t21〜23の間で再びONとなる。これは、室温の調整を圧縮機8のON/OFFで実現しており、補助ヒータ16は室温が特に低くなった場合のみ加温能力を補うために働いていることを示している。
このように、補助ヒータ16を備えて、ヒータON/ヒータOFF温度を圧縮機8のコンプON/コンプOFF温度よりも低く設定することで、主に圧縮機8を稼動しながら圧縮機8のコンプON/コンプOFF温度近傍で室温を安定させるとともに、特に室温が低く加温能力が必要な場合のみ補助ヒータ16を稼動することができ、補助ヒータ16の稼働率を極力抑えた効率的な制御が実現できる。
また、補助ヒータ16を室内熱交換器4の風上側に設置することで、室温が特に低い初期起動状態において室内熱交換器4に室温よりも高い空気を供給することができ、圧縮機8が起動して凝縮温度が上昇するまでの時間を短縮することが期待できる。
なお、外気温度に基づいて補助ヒータ16のON/OFFしても同様の効果が期待できる。外気温度が低く加温負荷が相対的に大きい場合のみ補助ヒータ16を常時ONし、外気温度が高く加温負荷が相対的に小さい場合は補助ヒータ16を常時OFFすることで、主に圧縮機8を稼動しながら圧縮機8のコンプON/コンプOFF温度近傍で室温を安定させるとともに、特に加温負荷が大きく加温能力が必要な場合のみ補助ヒータ16を稼動することができ、補助ヒータ16の稼働率を極力抑えた効率的な制御が実現できる。
特開2001−109942号公報 特開昭52−128135号公報
しかしながら、上記従来の構成では、主としてヒートポンプシステムを用いてホット/コールド切換室を加温するために、負荷変動を考慮した余剰な加温能力を有するヒートポンプシステムが必要であると同時に、安定時には圧縮機の発停に伴う加熱能力のロスが発生してヒートポンプシステム本来の効率が十分発揮できないという課題があった。
一般に、自動販売機のホット/コールド切換室の加熱負荷は、安定時の負荷に対して2〜3倍程度増大することから、ヒータのみを用いた場合は最大負荷に合わせた加熱容量のヒータを備えるとともに、10分〜20分毎にON/OFFを繰り返して負荷の変動に対応している。
同様に、主としてヒートポンプシステムを用いてホット/コールド切換室を加温する場合、例えば安定時の負荷に対して2倍程度の負荷変動に耐える加熱能力のヒートポンプシステムを備えて、ON/OFFを繰り返して負荷の変動に対応するとともに、最大負荷時に不足する加熱能力、例えば安定時の負荷の1倍相当分は補助ヒータで補完して、安定時の負荷に対して3倍程度の最大能力を発揮することになる。
ところが、自動販売機のように商品収納室が断熱材で保温されていると、外気温度による負荷の変動は極めて小さく、商品が追加された場合などに稀に最大負荷が発生する程度である。従って、主としてヒートポンプシステムを用いてホット/コールド切換室を加温すると、ほとんど常にON/OFFを繰り返して能力調整することとなり、圧縮機の発停に伴う加熱能力のロスが発生してヒートポンプシステム本来の効率が十分発揮できないという課題があった。
また、ホット/コールド切換室の加温時の室温は55℃程度であり、一般の冷暖房装置に用いられるヒートポンプシステムに比べてかなり高いことから、室内熱交換器の凝縮温度が過度に上昇して圧縮機の耐久性を損なう危険がある。そこで、高能力な室内熱交換器を適用する必要があるが、ヒートポンプシステムの最大能力が大きくなると室内熱交換器が大型化して商品収納室内への設置が困難となるという課題も発生する。
一方、圧縮機の発停頻度を下げるために、圧縮機の能力制御を行う場合、圧縮機の運転条件が適正な使用圧力範囲を越えないように流量調整可能な膨張機構が必要であるとともに、熱源となるコールド専用室あるいは外気の状態に応じて最適な運転状態を探し出す制御機構が必要となり、このような使用条件を満足するヒートポンプシステムを新たに開発しなければならないという課題があった。特に、コールド専用室を熱源としてコールド専用室の冷却とホット/コールド切換室の加温を同時に実現する場合、ホット/コールド切換室の加温中にコールド専用室の冷却が先に完了すると、外気など他の熱源に切換えなければ加温を継続できないことから、ヒートポンプシステムの構成や制御がさらに複雑になるという課題も発生する。
本発明は、従来の課題を解決するもので、自動販売機の負荷変動に着目してヒートポンプシステムをより定常的に利用できる構成を提案し、ヒートポンプシステム本来の効率を発揮して加温時の消費電力量を削減できる自動販売機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の自動販売機は、ヒータの加温能力をヒートポンプシステムの加温能力と同等以上とするとともに、ヒートポンプシステムのON温度をヒータのON温度より高く、かつヒータOFF温度以下の範囲に設定するとともに、ヒートポンプシステムのOFF温度をヒータのOFF温度以上に設定したことを特徴とするものである。
これによって、初期起動時や一時的に温度が低下した時は、主としてヒータを用いてホット/コールド切換室の温度調整を行うとともに、安定時には主としてヒートポンプシステムを用いて加温することができ、結果としてヒートポンプシステムの運転時間を伸ばして定常的に利用することでヒートポンプシステム本来の効率を発揮することができる。
また、本発明の自動販売機は、ヒータの加温能力をヒートポンプシステムの加温能力と同等以上とするとともに、ヒータON温度及び第二コンプON温度以下に第二コンプOFF温度を設定したことを特徴とするものである。
これによって、初期起動時や一時的に温度が低下した時は、主としてヒータを用いてホット/コールド切換室の温度調整を行うとともに、ヒータの通電時間が長くヒータ周囲の温度が上昇するこのような時に、ヒートポンプシステムを一時的に停止して室内熱交換器の凝縮温度が異常に上昇することを防止することができ、結果としてヒートポンプシステムの加温能力に合わせた小型で小能力の室内熱交換器を用いた場合でも圧縮機の耐久性を確保することができる。
本発明の自動販売機は、主としてヒータを用いてホット/コールド切換室の温度調整を行うとともに、ヒータの通電時間が短くなる安定時のみ、主として小能力のヒートポンプシステムを用いて加温することで、圧縮機の耐久性を確保しながらヒートポンプシステム本来の効率を発揮することができ、自動販売機の消費電力量を大幅に削減することができる。
本発明の請求項1に記載の発明は、商品を収納するホット/コールド切換室を有する自動販売機において、圧縮機と凝縮器と膨張機構と蒸発器からなり、大気の熱を利用してホット/コールド切換室を加温するヒートポンプシステムと、ヒートポンプシステムと同時にホット/コールド切換室を加温する加熱源としてヒータとを備え、ヒータの加温能力をヒートポンプシステムの加温能力以上に設計することを特徴とする自動販売機であるので、ホット/コールド切換室の温度が安定した時にヒートポンプシステムが稼動すると、長時間運転することができ、ヒートポンプシステム本来の効率を発揮することで自動販売機の消費電力量を削減することができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、商品収納室の温度あるいは加熱源の吹出し空気の温度を検知する温度センサーと、温度センサーの検出温度と予め設定された基準温度との比較に基づいてヒータおよびヒートポンプシステムを制御する制御装置を備え、ヒータをONする基準となるヒータON温度と、ヒータをOFFする基準となるヒータOFF温度と、ヒートポンプシステムを稼動する基準となるコンプON温度と、ヒートポンプシステムを停止する基準となるコンプOFF温度とを設け、ヒータON温度より高く、かつヒータOFF温度以下の範囲にコンプON温度を設定し、ヒータOFF温度以上にコンプOFF温度を設定した制御を行う自動販売機であるので、ホット/コールド切換室の温度が安定した時に、主としてヒートポンプシステムを用いて加温することができ、効率の高いヒートポンプシステムを定常的に利用することで自動販売機の消費電力量をさらに削減することができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、商品収納室の温度あるいは加熱源の吹出し空気の温度を検知する温度センサーと、温度センサーの検出温度と予め設定された基準温度との比較に基づいてヒータおよびヒートポンプシステムを制御する制御装置を備え、ヒータをONする基準となるヒータON温度と、ヒータをOFFする基準となるヒータOFF温度と、ヒートポンプシステムを稼動する基準となる第二コンプON温度と、ヒートポンプシステムを停止する基準となる第二コンプOFF温度とを設け、ヒータON温度及び第二コンプON温度以下に第二コンプOFF温度を設定した制御を行う自動販売機であるので、初期起動時や一時的に温度が低下した時は、主としてヒータを用いてホット/コールド切換室の温度調整を行うとともに、ヒータの通電時間が長くヒータ周囲の温度が上昇するこのような時に、ヒートポンプシステムを一時的に停止して室内熱交換器の凝縮温度が異常に上昇することを防止することができる。結果として、ヒートポンプシステムの加温能力に合わせた小型で小能力の室内熱交換器を用いた場合でも圧縮機の耐久性を確保することができる。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、ヒータの周囲温度を検知するヒータ温度センサーと、ヒータ温度センサーの検出温度と予め設定された基準温度との比較に基づいてヒータを制御する能力調整用制御装置を備え、ヒータをONする基準となる能力調整用ヒータON温度と、ヒータをOFFする基準となる能力調整用ヒータOFF温度とを設け、ヒータの他の制御と直列に制御を行う自動販売機であるので、初期起動時や一時的に温度が低下した時に、ヒータの通電時間が長くなりヒータ周囲の温度が異常に上昇することを防止することができる。結果として、ヒートポンプシステムが同時に稼動して室内熱交換器の凝縮温度が異常に上昇することが回避できるので、ヒートポンプシステムの運転範囲を広げても圧縮機の耐久性を確保することができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、ヒータの風上にヒートポンプシステムの凝縮器を配置した自動販売機であるので、初期起動時や一時的に温度が低下した時に、ヒータの通電時間が長くなり加温時に凝縮器となる室内熱交換器の凝縮温度が異常に上昇することが回避できるので、ヒートポンプシステムの運転範囲を広げても圧縮機の耐久性を確保することができる。
特に、ヒータの加温能力をヒートポンプシステムの加温能力以上に設計して、ヒータとヒートポンプシステムが同時に稼動すると、凝縮器の凝縮温度の上昇を抑制することが課題となる。ヒータの風上にヒートポンプシステムの凝縮器を配置して、常に室温の空気を凝縮器に供給することで、この課題に対応するとともに、ヒータの風下に加熱源を置かないことでヒータによる室温の温度調整の精度を損なわない利点がある。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、ヒータとヒートポンプシステムの凝縮器の間に断熱材を配置した自動販売機であるので、初期起動時や一時的に温度が低下した時に、ヒータの通電時間が長くなり加温時に凝縮器となる室内熱交換器の凝縮温度が異常に上昇することが回避できるので、ヒートポンプシステムの運転範囲を広げても圧縮機の耐久性を確保することができる。
特に、ヒータの加温能力をヒートポンプシステムの加温能力以上に設計して、ヒータとヒートポンプシステムが同時に稼動すると、凝縮器の凝縮温度の上昇を抑制することが課題となる。ヒータの風路を構成するダクトにヒートポンプシステムの凝縮器を固定して、ヒータを長時間運転すると、ダクトを形成する金属などの構成物からの熱伝導が無視できなくなる。そこで、断熱材を介してヒートポンプシステムの凝縮器を固定することで、熱伝導の影響を抑えることができる。
以下、本発明による自動販売機の実施の形態について図面を参照しながら説明するが、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における自動販売機の冷媒回路図、図2は同実施の形態の自動販売機の加温制御のタイムチャートである。
図1に示すように、本発明の自動販売機は、ホット/コールド切換室1、コールド専用室2、第二コールド専用室3からなる貯蔵室を備え、加温用圧縮機20、ホット/コールド切換室1内に設置された切換室凝縮器21、貯蔵室の外に設置された切換室蒸発器22、加温用膨張弁23からなり、ホット/コールド切換室1の加温を専用に行うヒートポンプシステムを有する。
また、ヒートポンプシステムの加温能力を補完するために、ヒートポンプシステムの加温能力の約2倍の加温能力を有する電気ヒータからなるヒータ24が切換室凝縮器21の風下側に設置されている。そして、加温用圧縮機20およびヒータ24は、ホット/コールド切換室1の室内温度を計測する室内温度センサー(図示せず)と予め設定された基準値との比較に基づいて、温度調整用制御装置(図示せず)によってON/OFFされる。
以上のように構成された実施の形態1の自動販売機について、以下その動作を説明する。
ホット/コールド切換室1を冷却する場合、加温用圧縮機20を停止した後、圧縮機8を駆動する。圧縮機8から吐出された冷媒は、室外熱交換器7で凝縮された後、それぞれ膨張弁A9、膨張弁B10、膨張弁C11で減圧されて、切換室蒸発器22、蒸発器5、第二蒸発器6へ供給される。そして、切換室蒸発器22、蒸発器5、第二蒸発器6で蒸発した冷媒が圧縮機8へ還流する。
このとき、ホット/コールド切換室1、コールド専用室2、第二コールド専用室3の内所定の温度に達した貯蔵室は、当該する膨張弁A9、膨張弁B10、膨張弁C11を閉塞して冷媒の供給を停止する。さらに、すべての貯蔵室が所定の温度に達すると圧縮機8の運転を停止する。
次に、ホット/コールド切換室1を加温する場合、膨張弁A9を閉塞したまま、圧縮機8を稼動して、コールド専用室2、第二コールド専用室3の冷却を継続するとともに、加温用圧縮機20を駆動する。加温用圧縮機20から吐出された冷媒は、切換室凝縮器21で凝縮された後、加温用膨張弁23で減圧されて、切換室蒸発器22へ供給される。そして、切換室蒸発器22で蒸発した冷媒が加温用圧縮機20へ還流する。
次に、加温する場合のホット/コールド切換室1の室温変化に対する、加温用圧縮機20およびヒータ24のON/OFF状態の変化について図2を用いて詳細に説明する。
図2は横軸に時間区分t0〜t27をとったタイムチャートであり、上から順にホット/コールド切換室1の室温の変化、ヒータ24のON/OFF状態、加温用圧縮機20のON/OFF状態、ヒータ24と加温用圧縮機20などからなるヒートポンプシステムの加温能力の総和を示したものである。また、室温の縦軸に記載されているT0は外気温度、T1は加温用圧縮機20を停止する基準である第二コンプOFF温度、T2はヒータ24を入れる基準であるヒータON温度、T3は加温用圧縮機20を稼動する基準であるコンプON温度と第二コンプON温度、およびヒータ24を切る基準であるヒータOFF温度、T4は加温用圧縮機20を停止する基準であるコンプOFF温度を示す。
ここで、ヒータ24は室温がヒータON温度より低くなればONとなり、ヒータOFF温度以上になればOFFとなる。また、加温用圧縮機20は室温がコンプON温度より低くなればONとなり、コンプOFF温度以上になればOFFとなるとともに、室温がコンプON温度より以上なればONとなり、第二コンプOFF温度より低くなればOFFとなる。
図2において、時間t0は室温が外気温度T0近くまで低下した初期起動状態であり、室温がT1およびT2より低いことから、ヒータ24はONとなるが、加温用圧縮機20はOFFとなる。これは、室温の調整を主としてヒータ24が行っており、ヒータ24が長時間ONとなるT1より低い温度では加温用圧縮機20を停止し、加温用圧縮機20が稼動した場合にヒータ24の近傍に設置された切換室凝縮器21の凝縮温度が上がり過ぎないようにすることを示している。
そして、時間t2で室温がT3を越えるとヒータ24がOFFとなるとともに、加温用圧縮機20がONとなる。また、時間t8で室温がT2を下回るとヒータ24がONとなり、時間t12で室温がT3を越えるとヒータ24がOFFとなる。
さらに、室温が一次的に低くなった時間t18で室温がT2を下回るとヒータ24がONとなり、時間t21で室温がT1を下回ると加温用圧縮機20がOFFとなり、時間t27で再び室温がT3を越えるとヒータ24がOFFとなるとともに、加温用圧縮機20がONとなる。これは、室温の調整を主としてヒータ24のON/OFFで実現しており、加温用圧縮機20室温が特に低くなった場合のみ停止して、切換室凝縮器21の凝縮温度が上がり過ないようにする以外は、ほぼ連続運転することを示している。
このように、ヒートポンプシステムよりも大きい加温能力を有するヒータ24を備えて、加温用圧縮機20のコンプOFF温度をヒータOFF温度より高く設定するとともに、コンプON温度をヒータON温度より高くかつヒータOFF温度以下に設定することで、加温用圧縮機20をほぼ連続的に稼動しながらヒータ24のヒータON/ヒータOFF温度近傍で室温を安定させることができ、加温用圧縮機20の断続運転を極力抑えた効率的な制御が実現できる。
また、ヒートポンプシステムよりも大きい加温能力を有するヒータ24を備えて、加温用圧縮機20の第二コンプOFF温度をヒータON温度以下に設定することで、加温用圧縮機20をほぼ連続的に稼動しながら、ヒータ24が長時間連続運転となる初期起動状態や室温が異常に低下した場合にのみ、ヒートポンプシステムを一時的に停止して凝縮温度が異常に上昇することを防止することができる。結果として、ヒートポンプシステムの加温能力に合わせた小型で小能力の室内熱交換器を用いた場合でも圧縮機の耐久性を確保することができる。
なお、本実施の形態1では、コンプON温度および第二コンプON温度をヒータOFF温度と同一としたが、コンプON温度はヒータOFF温度以下でヒータON温度より高い範囲に設定すれば同様の効果が期待できるとともに、第二コンプON温度はヒータOFF温度以下で第二コンプOFF以上の範囲に設定すれば同様の効果が期待できる。特に、ヒートポンプシステムの凝縮温度がヒータ24の影響を受けやすい場合は、第二コンプON温度はヒータOFF温度付近に設定することが望ましい。
また、本実施の形態1では、ヒータ24がONの場合は連続通電としたが、時間当りのON時間比率である通電率を変えて加温能力を制御してもよい。例えば、ヒータ24の能力調整用制御装置を備え、この能力調整用制御装置を用いてヒータ24がONであって、かつヒータ24の周囲温度が能力調整用ヒータON温度より低い場合はONとし、能力調整用ヒータOFF温度以上ではOFFとすれば、ホット/コールド切換室1の室温を調整しながら、通電率を変化させることができる。この結果、ヒータ24が長時間通電せず、ヒータ24の周囲が異常に高温になることを防止できる。
また、本実施の形態1では、ヒータ24を切換室凝縮器21の風下側に設置して、切換室凝縮器21にヒータ24の熱風が直接当らないようにしたが、望ましくは、ヒータ24と切換室凝縮器21の間を断熱材で熱的に絶縁することが望ましい。ヒータ24の熱が切換室凝縮器21に伝わり難くすることで、ヒータ24が連続通電されるような場合にヒートポンプシステムが稼動しても凝縮温度が異常に上昇することが回避できる。
また、本実施の形態1では、ホット/コールド切換室1、コールド専用室2、第二コールド専用室3を冷却するシステムと完全に独立な、ホット/コールド切換室1を加温するヒートポンプシステムを用いたが、従来例と同様に冷却と加温を同時に実現するヒートポンプシステムを用いても同様の効果が期待できる。望ましくは、独立したヒートポンプシステムを用いてホット/コールド切換室1を加温した方が、連続運転が容易になるとともに制御の複雑化を防ぐことができる。
以上のように、本発明にかかる自動販売機のヒートポンプシステムは、ヒートポンプシステムと同等以上の加温能力を有するヒータを備えて、主としてヒータで温度調整しながらヒートポンプシステムをほぼ連続的に稼動することで、断続に伴うロスを抑制して高効率化が図れるので、ホット飲料とコールド飲料を同時に保存するショーケースや少量の給湯を行うカップ自販機など小能力の加温エネルギーの省力化が要求される用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における自動販売機の冷媒回路図 同実施の形態の自動販売機の加温制御のタイムチャート 従来の自動販売機の冷媒回路図 従来の自動販売機の加温制御のタイムチャート
符号の説明
1 ホット/コールド切換室
2 コールド専用室
3 第二コールド専用室
20 加温用圧縮機
21 切換室凝縮器
22 切換室蒸発器
24 ヒータ

Claims (6)

  1. 商品を収納するホット/コールド切換室を有する自動販売機において、圧縮機と凝縮器と膨張機構と蒸発器からなり、大気の熱を利用して前記ホット/コールド切換室を加温するヒートポンプシステムと、前記ヒートポンプシステムと同時に前記ホット/コールド切換室を加温する加熱源としてヒータとを備え、前記ヒータの加温能力を前記ヒートポンプシステムの加温能力以上に設計することを特徴とする自動販売機。
  2. 商品収納室の温度あるいは加熱源の吹出し空気の温度を検知する温度センサーと、前記温度センサーの検出温度と予め設定された基準温度との比較に基づいてヒータおよびヒートポンプシステムを制御する制御装置を備え、前記ヒータをONする基準となるヒータON温度と、前記ヒータをOFFする基準となるヒータOFF温度と、前記ヒートポンプシステムを稼動する基準となるコンプON温度と、前記ヒートポンプシステムを停止する基準となるコンプOFF温度とを設け、前記ヒータON温度より高く、かつ前記ヒータOFF温度以下の範囲に前記コンプON温度を設定し、前記ヒータOFF温度以上に前記コンプOFF温度を設定した制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
  3. 前記商品収納室の温度あるいは加熱源の吹出し空気の温度を検知する前記温度センサーと、前記温度センサーの検出温度と予め設定された基準温度との比較に基づいてヒータおよびヒートポンプシステムを制御する制御装置を備え、前記ヒータをONする基準となるヒータON温度と、前記ヒータをOFFする基準となるヒータOFF温度と、前記ヒートポンプシステムを稼動する基準となる第二コンプON温度と、前記ヒートポンプシステムを停止する基準となる第二コンプOFF温度とを設け、前記ヒータON温度及び前記第二コンプON温度以下に前記第二コンプOFF温度を設定した制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機。
  4. 前記ヒータの周囲温度を検知するヒータ温度センサーと、前記ヒータ温度センサーの検出温度と予め設定された基準温度との比較に基づいて前記ヒータを制御する能力調整用制御装置を備え、前記ヒータをONする基準となる能力調整用ヒータON温度と、前記ヒータをOFFする基準となる能力調整用ヒータOFF温度とを設け、前記ヒータの他の制御と直列に制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自動販売機。
  5. 前記ヒータの風上にヒートポンプシステムの凝縮器を配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の自動販売機。
  6. 前記ヒータとヒートポンプシステムの凝縮器の間に断熱材を配置したことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の自動販売機。
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JP2009265862A (ja) * 2008-04-24 2009-11-12 Fuji Electric Retail Systems Co Ltd 自動販売機の表示装置

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