JP2006154436A - 液晶表示装置及び円偏光フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 垂直配向モード・ノーマリーブラックモードの液晶表示装置であって、液晶セルの両側に、面内方向の位相差について、それぞれが125nm≦Re≦155nmを満たし、かつ厚み方向の位相差について、合計が│Rth(1)+Rth(2)│≧Rlc−130を満たす一対の二軸性の円偏光フィルムが配置された液晶表示装置である。
【選択図】 図1
Description
このような表示モードとしてノーマリーブラック(NB)モードを採用したVAモードのLCDによれば、TNモードでは達成し得ない非常に高いコントラストを容易に実現することができる。
図8(a)は、VAモードの液晶セルの白表示状態における液晶分子の配向状態を模式的に示す断面図であり、(b)は、(a)に示す液晶セルを上面から見たときの液晶分子の配向状態を模式的に示す平面図である。この液晶セルに対し、その両側に図8(c)に示すようなクロスニコルの状態で2枚の直線偏光板を配置した場合には(NBモード)、図8(b)中の横方向又は縦方向に配向している液晶分子3(丸で囲んだ部分)は、白表示に常に寄与することができない。すなわち、液晶セルを上面から見たときに、直線偏光板の吸収軸と平行又は直交する方向に光軸を持つ液晶分子3は、どのような配向状態にあっても直線偏光の偏光状態を変えることができず、このような液晶分子が存在する部分は、常に黒表示となってしまう。
しかしながら、特許文献1で開示されているようなVAモード・NBモードを採用したLCDの場合、視野角の向上に関し、改善の余地があった。通常のVAモード・NBモードのLCDでは、液晶セルは電圧無印加時にも斜め方向から入射する光に対して複屈折性を示し、直線偏光フィルムもまた、斜め方向から入射する光に対して偏光軸の直交性(クロスニコルの状態)が保持されなくなるからであり、総じて黒表示状態における斜め方向の光学特性が補償されないからである。
また、図10に示すLCDモデルは、図9に示すネガティブCプレート52a及び一軸性のλ/4板51aを1枚の二軸性のλ/4板(円偏光フィルム、遅相軸45°、Nz=2.0、Re=140nm,Rth=210nm)12aに置き換えたこと以外は、図9に示すLCDモデルと同様の構成であり、これら2種類の構成では、Re及びRthの向き及び合計の値は同じになるように設計されている。なお、二軸性のλ/4板12aの面内の両矢印は遅相軸を示している。また、図10に示すLCDモデルでも、直線偏光板11aは、その偏光軸が他方の直線偏光板(図示せず)の偏光軸に対し、90°の角度をなすように配置されており、二軸性のλ/4板12aは、その遅相軸が直線偏光板11aの偏光軸に対し、45°の角度をなすように配置されている。
VAモード液晶セルに達する直前の光の偏光状態について、図12(c)と図13(b)とを対比することにより、図9に示すLCDモデルと図10に示すLCDモデルとで、仰角80°の位置から観察したときの偏光状態(×印の位置)が互いに大きく異なっていることが分かる。これにより、偏光板の構成が異なる場合、面内方向及び厚み方向の位相差について、加成性(加法性)は一般的に成立しないことが分かる。
また、本発明のLCDでは、液晶セルと直線偏光フィルムとの間にそれぞれ第1及び第2の円偏光フィルムが配置される。これにより、直線偏光フィルムにより取り出された直線偏光を一方の円偏光フィルムにより円偏光又は楕円偏光に変換して液晶セルに入射させることができ、液晶セルを透過した円偏光又は楕円偏光を他方の円偏光フィルムにより再び直線偏光に変換して表示に用いることができるので、白表示の輝度向上を図ることができる。
なお、上記Re(1)及びRe(2)の好ましい下限としては、130nmであり、好ましい上限としては、145nmである。
本発明において、上記Re及びRthはそれぞれ、人間の視感度のピークに近い波長550nmの光を用いて測定された値が適用されるが、波長380〜780nmの可視光を用いて測定されたRe及びRthについても、本発明の関係式が成り立つことが好ましい。
また、上記第1及び第2の円偏光フィルムは、主屈折率についてnx>ny>nzを満たす二軸性の光学フィルムであることが好ましい。
なお、光学フィルムの光学特性を表すパラメータとしてNz値がしばしば用いられる。Nz値は、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)=−Rth/Re+1/2で表されるので、上述したような第1及び第2の円偏光フィルムは、Nz値が互いに等しくなる。
上記第1の円偏光フィルムは、主屈折率についてnx>ny>nzを満たす二軸性の光学フィルムであることが好ましい。上記第2の円偏光フィルムは、主屈折率についてnx>ny=nzを満たす一軸性の光学フィルムであることが好ましいが、主屈折率についてnx>ny>nzを満たす二軸性の光学フィルムであってもよい。上記複屈折フィルムは、主屈折率についてnx=ny>nzを満たす一軸性の光学フィルムである。
なお、本発明において、液晶セルに充填される液晶分子としては、負の誘電率異方性を有するものが好ましい。また、液晶の駆動方式としては、対向配置された一対の基板間で、電圧無印加時において垂直配向させた液晶分子を電圧印加時において放射上に傾斜配向させる方式が好ましい。これにより、応答速度、視野角特性及びコントラストといったLCDの表示特性の更なる向上を図ることができる。
なお、上記Reの好ましい下限は、130nmであり、好ましい上限は、145nmである。上記Rthの好ましい下限は、−119nm(Re=140nmのとき、Nz=1.35)であり、より好ましい下限は、−126nm(Re=140nmのとき、Nz=1.40)である。また、上記Rthの好ましい上限は、−182nm(Re=140nmのとき、Nz=1.80)であり、より好ましい上限は、−161nm(Re=140nmのとき、Nz=1.65)である。これらの範囲を満たすことにより、フィルムの品質を確保しつつ、本発明の作用効果をより充分に得ることが可能となる。
また、nx、ny、nz、Re及びRthについては、上述したものと同様である。
図1は、実施例1の液晶表示装置(LCD)モデルを模式的に示す斜視図である。
実施例1のLCDモデルでは、図1に示すように、垂直配向(VA)モード液晶セル10の裏側(下側)には、2軸性λ/4板(第1の円偏光フィルム)12a及び直線偏光板11aがVA液晶セル10側から順に積層配置されており、VAモード液晶セル10の表側(上側)には、2軸性λ/4板(第2の円偏光フィルム)12b及び直線偏光板11bがVA液晶セル10側から順に積層配置されている。
図2は、比較例1のLCDモデルを模式的に示す斜視図である。
比較例1のLCDモデルは、図2に示すように、図1に示す二軸性λ/4板12aが一軸性λ/4板51a及び光学補償フィルム52aに置き換えられ、かつ二軸性λ/4板12bが一軸性λ/4板51b及び光学補償フィルム52bに置き換えられていること以外は、図1に示す実施例1のLCDモデルと同様に構成されている。
なお、一軸性λ/4板51a及び51bは、それらの遅相軸が互いに直交し、かつそれぞれが隣接する直線偏光板11a及び11bの吸収軸と約45°をなすように配置されている。本比較例のLCDモデルでは、一軸性λ/4板51a及び51bとして、波長550nmにおける面内方向の位相差Reが140nm、厚み方向の位相差Rthが−70nm、Nz係数が1.0のものを用い、かつ光学補償フィルム52a及び52bとして、波長550nmにおける面内方向の位相差Reが0nm、厚み方向の位相差Rthが−110nmのものを用いている。
実施例1及び比較例1のLCDモデルについて、視野角特性のシミュレーション測定を行った。これらの測定結果をそれぞれ図3及び4に示す。
図3及び4に示すように、実施例1及び比較例1のLCDモデルの視野角特性は、互いに略同等であった。すなわち、シミュレーション上では、視野角特性をほとんど劣化させることなく、光学フィルムの積層枚数を減少させることができることが分かった。
実施例1及び比較例1のLCDモデルについて、それぞれに対応するLCDを実際に作製し、作製したLCDについて視野角特性の測定を行った。これらの測定結果を図5及び6に示す。
図5及び6に示すように、実施例1及び比較例1のLCDの視野角特性は、互いに略同等であった。また、正面方向のコントラスト比については、実施例1のLCDで520:1、比較例1のLCDで530:1であり、両者にはほとんど差がないことが確認された。すなわち、視野角特性等をほとんど劣化させることなく、光学フィルムの積層枚数を減少させることができることが実際に確認された。
図7(a)は、実施例2のLCDモジュールの構成を模式的に示す断面図である。
実施例2のLCDモジュールの基本構成は、図7(a)に示すように、実施例1のLCDモデルと同様である。
本実施例では、様々なNz係数の2軸性λ/4板(波長550nmにおける面内方向の位相差Reは140nmに統一)12a及び12bをそれぞれ直線偏光板11a及び11bに貼り付け、VAモード液晶セル10の両側に配置することでLCDを作製し、それぞれのLCDの視野角特性を実測した。視野角特性の測定方法としては、各LCDについて、図7(b)に示すように、仰角60°の全方位におけるコントラストを測定し、コントラストが最大になる方位(最適方位)におけるコントラストとNz係数との関係を調べた。その結果を図7(c)に示す。
図7(c)より、Nz係数が1.35以上(−119nm≦Rth)のときに、コントラストが25より大きくなり、Nz係数が1.40以上(−126nm≦Rth)のときに、コントラストが35より大きくなり、Nz係数が1.5〜1.6(−154nm≦Rth≦−140nm)の範囲のときに、LCDモジュールの視野角特性が最も良くなることが分かった。なお、Nz係数が1.70を超えるフィルムについては、製造が困難であったため、評価を行っていない。
2:カラーフィルタ基板 (ガラス基板)
3:液晶分子
5:液晶層
10:垂直配向(VA)モード液晶セル
10a:VAモード液晶セルの半分
11a、11b:直線偏光フィルム
12a、12b:二軸性の円偏光フィルム
51a、51b:一軸性の円偏光フィルム
52a、52b:ネガティブCプレート
60:配向制御用突起構造物
61:TFTアレイ基板側ITO電極
62:カラーフィルタ基板側ITO電極
Claims (12)
- 垂直配向型の液晶セルと、その両側にクロスニコルの関係で対向配置された一対の直線偏光フィルムと、液晶セルと一方の直線偏光フィルムとの間に配置された第1の円偏光フィルムと、液晶セルと他方の直線偏光フィルムとの間に配置された第2の円偏光フィルムとを有してなる液晶表示装置であって、
該第1及び第2の円偏光フィルムは、面内方向の位相差Re(1)及びRe(2)が、125nm≦Re(1)≦155nm、及び、125nm≦Re(2)≦155nmを満たし、かつ厚み方向の位相差Rth(1)及びRth(2)が、液晶セルの厚み方向の位相差Rlcに対し、│Rth(1)+Rth(2)│≧Rlc−130を満たすことを特徴とする液晶表示装置。 - 前記第1及び第2の円偏光フィルムは、厚み方向の位相差Rth(1)及びRth(2)が液晶セルの厚み方向の位相差Rlcに対し、│Rth(1)+Rth(2)│≧Rlc−118を満たすことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
- 前記第1及び第2の円偏光フィルムは、厚み方向の位相差Rth(1)及びRth(2)が液晶セルの厚み方向の位相差Rlcに対し、│Rth(1)+Rth(2)│≦Rlcを満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置。
- 前記第1及び第2の円偏光フィルムは、厚み方向の位相差Rth(1)及びRth(2)が液晶セルの厚み方向の位相差Rlcに対し、│Rth(1)+Rth(2)│≦Rlc−48を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記第1及び第2の円偏光フィルムは、面内方向の位相差Re(1)及びRe(2)について、Re(1)=Re(2)を満たし、かつ厚み方向の位相差Rth(1)及びRth(2)について、Rth(1)=Rth(2)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 垂直配向型の液晶セルと、その両側にクロスニコルの関係で対向配置された一対の直線偏光フィルムと、液晶セルと一方の直線偏光フィルムとの間に配置された第1の円偏光フィルムと、液晶セルと他方の直線偏光フィルムとの間に液晶セル側から順に配置された複屈折フィルム及び第2の円偏光フィルムとを有してなる液晶表示装置であって、
該液晶表示装置は、複屈折フィルムの面内方向の主屈折率nx,ny及び面外方向の主屈折率nzが、nx=ny>nzを満たし、かつ第1及び第2の円偏光フィルムにおける面内方向の位相差Re(1)及びRe(2)が、125nm≦Re(1)≦155nm、及び、125nm≦Re(2)≦155nmを満たし、厚み方向の位相差Rth(1)及びRth(2)が、液晶セル及び複屈折フィルムの厚み方向の位相差Rlc及びRth’に対し、│Rth(1)+Rth(2)+Rth’│≧Rlc−110を満たすことを特徴とする液晶表示装置。 - 前記第1及び第2の円偏光フィルムは、厚み方向の位相差Rthが液晶セル及び複屈折フィルムの厚み方向の位相差Rlc及びRth’に対し、│Rth(1)+Rth(2)+Rth’│≧Rlc−98を満たすことを特徴とする請求項6記載の液晶表示装置。
- 前記第1及び第2の円偏光フィルムは、厚み方向の位相差Rthが液晶セル及び複屈折フィルムの厚み方向の位相差Rlc及びRth’に対し、│Rth(1)+Rth(2)+Rth’│≦Rlc+20を満たすことを特徴とする請求項6又は7記載の液晶表示装置。
- 前記第1及び第2の円偏光フィルムは、厚み方向の位相差Rthが液晶セル及び複屈折フィルムの厚み方向の位相差Rlc及びRth’に対し、│Rth(1)+Rth(2)+Rth’│≦Rlc−28を満たすことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記第1及び第2の円偏光フィルムは、その遅相軸と、近接する側の直線偏光フィルムの吸収軸とがなす角度θについて、40°≦θ≦50°を満たすことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セルは、厚み方向の位相差Rlcについて、300nm≦Rlc≦420nmを満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 面内方向の主屈折率nx,ny及び面外方向の主屈折率nzがnx>ny>nzを満たす円偏光フィルムであって、
該円偏光フィルムは、面内方向の位相差Reについて、125nm≦Re≦155nmを満たし、かつ厚み方向の位相差Rthについて、−210nm≦Rth≦−85nmを満たすことを特徴とする円偏光フィルム。
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