JP2006153886A - ナノメートルオーダの機械振動子、その製造方法及びそれを用いた測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ナノメートルオーダの飛躍的な力や質量変化の検出分解能を有する安定で感度の高いナノメートルオーダの機械振動子、その製造方法及びそれを用いた測定装置を提供する。
【解決手段】シリコン基板101上に酸化シリコン膜102とシリコン膜を順次形成する。そのシリコン膜を異方性エッチングにより、四面体状のシリコン103Aに加工する。次に、四面体状のシリコン103Aをマスクに用いて基板法線方向にエッチングを行い、柱状の酸化シリコン102Aを作製する。次に、シリコンやクロムをシリコン基板101に対して斜めに蒸着する。その際、四面体状(三角錐)シリコン103Aの一面が蒸着源に対向するようにする。これにより、四面体状シリコン103Aの一面と、柱状の酸化シリコン102Aの一面にシリコンやクロムが蒸着される。次に、柱状の酸化シリコン102Aをフッ酸で除去する。
【選択図】図1
【解決手段】シリコン基板101上に酸化シリコン膜102とシリコン膜を順次形成する。そのシリコン膜を異方性エッチングにより、四面体状のシリコン103Aに加工する。次に、四面体状のシリコン103Aをマスクに用いて基板法線方向にエッチングを行い、柱状の酸化シリコン102Aを作製する。次に、シリコンやクロムをシリコン基板101に対して斜めに蒸着する。その際、四面体状(三角錐)シリコン103Aの一面が蒸着源に対向するようにする。これにより、四面体状シリコン103Aの一面と、柱状の酸化シリコン102Aの一面にシリコンやクロムが蒸着される。次に、柱状の酸化シリコン102Aをフッ酸で除去する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ナノメートルオーダの機械振動子、その製造方法及びそれを用いた測定装置に関するものである。
従来、このような分野の技術としては、以下に示すようなものがあった。
走査型力顕微鏡は、Gerd Binnigらにより、1986年頃発明された(非特許文献1)。その後、1980年代後半、主にT.Albrecht、Calvin Quateらにより、長さ数100ミクロンの短冊形のカンチレバーで、先端に高さ3μm程度の探針を有するものが実現された。カンチレバーはシリコンや窒化シリコンから作製されていた。1980年代後半から、同形態のカンチレバーが市販され、現在に至っている。
微弱な力を測る試みとして、特に薄く、長いカンチレバーがDan Rugarらによって発表されている(非特許文献2)。また、カンチレバーの固有振動数を高め、観察時間の短縮を測る目的で、長さが1μmから10μmオーダの、それまでの100μmオーダのものより短いカンチレバーがPaul Hansmaらにより発表されている(非特許文献3)。ただし、上記2例は、何れも短冊形のカンチレバーで、1980年代に発表されたものの延長線上にある。
一方、ナノメートルオーダの機械振動子としては、Vu.Thien Binh,N.Garciaらが鋭利な金属探針を真空中で加熱することにより、こけし状の振動子が作製可能であることを示している(非特許文献4)。
そして、機械振動子の振幅や固有振動数の変化を測定することにより、振動子の質量の変化や、振動子の置かれた場の変化を検出することが可能である。
G.Binnig,C.Gerber,and C.F.Quate:Phys.Rev.Lett.56(1986)930. T.D.Stowe,K.Yasumura,T.W.Kenny,D.Botkin,K.Wago and D.Rugar:Appl.Phys.Lett.71(1997)288. D.A.Walters,J.P.Cleveland N.H.Thomson,P.K.Hansma,M.A.Wendman,G.Gurley and V.Elings:Rev.Sci.Instrum.67(1996)3583. Vu.Thien Binh,N.Garcia and A.L.Levanuyk:Surf.Sci.Lett.301(1994)L224.
G.Binnig,C.Gerber,and C.F.Quate:Phys.Rev.Lett.56(1986)930. T.D.Stowe,K.Yasumura,T.W.Kenny,D.Botkin,K.Wago and D.Rugar:Appl.Phys.Lett.71(1997)288. D.A.Walters,J.P.Cleveland N.H.Thomson,P.K.Hansma,M.A.Wendman,G.Gurley and V.Elings:Rev.Sci.Instrum.67(1996)3583. Vu.Thien Binh,N.Garcia and A.L.Levanuyk:Surf.Sci.Lett.301(1994)L224.
機械振動子を用いた場合の力検出分解能は、その固有振動数、Q値が高く、バネ定数、温度が低いと向上する。機械振動子がバネマス系としてモデル化できる場合、振動子を小型化することが感度向上に有利に働く。
それは、マスを小さくすることにより、バネ定数を変えることなく固有振動数を高くすることが可能だからである。
本発明では、上記状況に鑑みて、ナノメートルオーダの飛躍的な力や質量変化の検出分解能を有する安定で感度の高いナノメートルオーダの機械振動子、その製造方法及びそれを用いた測定装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕ナノメートルオーダの機械振動子の製造方法において、シリコン基板上に酸化シリコン膜とシリコン膜を順次形成し、前記シリコン膜を異方性エッチングにより、四面体状のシリコンを形成し、前記四面体状のシリコンをマスクに用いて基板法線方向にエッチングを行い、柱状の酸化シリコンを形成し、シリコンや金属を前記シリコン基板に対して斜めに蒸着して蒸着膜を形成し、前記柱状の酸化シリコンをフッ酸で除去し、四面体状の探針を前記蒸着膜からなる平板状のシリコンや金属の弾性部で支持した頸部を形成することを特徴とする。
〔1〕ナノメートルオーダの機械振動子の製造方法において、シリコン基板上に酸化シリコン膜とシリコン膜を順次形成し、前記シリコン膜を異方性エッチングにより、四面体状のシリコンを形成し、前記四面体状のシリコンをマスクに用いて基板法線方向にエッチングを行い、柱状の酸化シリコンを形成し、シリコンや金属を前記シリコン基板に対して斜めに蒸着して蒸着膜を形成し、前記柱状の酸化シリコンをフッ酸で除去し、四面体状の探針を前記蒸着膜からなる平板状のシリコンや金属の弾性部で支持した頸部を形成することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載のナノメートルオーダの機械振動子の製造方法において、前記頸部は2枚の平板状のシリコンや金属の蒸着膜からなることを特徴とする。
〔3〕ナノメートルオーダの機械振動子において、第1層はピエゾ性基板からなり、表面弾性波発生装置を備え、第2層は基部から突出する探針を有する多数アレイ状に並んだカンチレバーが設けられ、前記第1層と第2層が重ねられて、前記ピエゾ性基板に表面弾性波を面内2方向に発生させ、各探針を順次試料の測定可能領域まで近接させる素子を具備することを特徴とする。
〔4〕ナノメートルオーダの機械振動子を用いた測定装置において、振動装置を有する基板に多数アレイ状に並んだナノメートルオーダのカンチレバーを備え、試料台上に載置された試料に前記カンチレバーを対応させ、前記カンチレバーの背面に配置されるレンズ系と、このレンズ系にハーフミラーを介して光を照射する光学系と、前記ハーフミラーの背後に配置される撮像装置と、この撮像装置に接続される表示装置とを備え、前記カンチレバーの作用により試料の像を表示することを特徴とする。
〔5〕ナノメートルオーダの機械振動子において、ピエゾ性基板の外側4辺に表面弾性波発生装置を配置し、中央部に多数アレイ状に並んだカンチレバーを備えることを特徴とする。
〔6〕ナノメートルオーダの機械振動子において、アクチェータを有する基板にナノメートルオーダのカンチレバーを備え、このカンチレバーの長さを可変にする手段を具備することを特徴とする。
〔7〕上記〔6〕記載のナノメートルオーダの機械振動子において、前記アクチェータは表面弾性波発生装置であることを特徴とする。
〔8〕ナノメートルオーダの機械振動子において、ベースから突出し、その軸方向を横切る方向で磁化した磁性粉末を有するプラスチックを主材とするカンチレバーを備えることを特徴とする。
〔9〕ナノメートルオーダの機械振動子において、ベースから突出し、その軸方向に整列したウイスカ結晶を含有する、プラスチックを主材とするカンチレバーを備えることを特徴とする。
〔10〕ナノメートルオーダの機械振動子において、ベースから突出するカンチレバーの付け根のベース部に弾性表面波素子を有することを特徴とする。
〔11〕ナノメートルオーダの機械振動子において、ベースから突出するカンチレバーの付け根のベース部に弾性表面波素子を有するとともに、前記カンチレバーの長さを可変にする手段を具備することを特徴とする。
〔12〕ナノメートルオーダの機械振動子において、半導体基板上の絶縁膜上にオーバーハング状に外方に突出する3角錐形状の探針を有することを特徴とする。
〔13〕上記〔12〕記載のナノメートルオーダの機械振動子において、前記3角錐形状の探針を半導体チップの先端部に1個もしくは多数個形成してなることを特徴とする。
〔14〕上記〔10〕記載のナノメートルオーダの機械振動子において、前記カンチレバーは外方に突出する3角錐形状の探針を有することを特徴とする。
〔15〕上記〔10〕記載のナノメートルオーダの機械振動子において、前記カンチレバーは3角錐形状の探針を半導体チップの先端部に多数形成してなることを特徴とする。
〔16〕ナノメートルオーダの機械振動子において、半導体基板上にオーバーハング状に内方に突出し連結される2個の3角錐形状の探針を有する平行バネ支持部を具備することを特徴とする。
〔17〕ナノメートルオーダの機械振動子において、半導体基板上に突出される三角柱状の探針を有する平行バネ支持部を具備することを特徴とする。
〔18〕ナノメートルオーダの機械振動子において、半導体基板上に形成される四角錐台状のマスを有する平行バネ支持部を具備することを特徴とする。
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
(1)ナノメートルオーダの飛躍的な力や質量変化の検出分解能を有する安定で感度の高いナノメートルオーダの機械振動子、その製造方法及びそれを用いた測定装置を提供することができる。
(2)得られた機械振動子の静・動的特性を評価し、検出可能な力や質量の分解能を求めることができる。
(3)作製した振動子をプローブとする走査型力顕微鏡を実現し、原子を一個及びクラスターで走査し、それに伴う振動子型プローブの固有振動数変化を検出することができる。
(4)ナノ振動子によって得られる飛躍的力検出感度を用いることにより、ナノカーボンチューブやウイスカ結晶などの、ナノメートルオーダの微細なチューブやウイスカ結晶を探針として用い、しかもその微細な探針を破壊することなく、表面の走査や物質の操作を行うことができる。
(5)振動子を振子として用いない場合でも、マスが非常に小さいために、粒子がマスに衝突すると、大きな変位を生じ、それを測定することが可能となる。
(6)多数並んだカンチレバー個々に駆動用素子や変位検出用素子を組み込むことは容易なことではなく、また仮にそのようなものが作製可能であっても、多数のカンチレバーから得られる信号を高速で処理することは困難である。
本発明によれば、多数並んだカンチレバーの振動を、カンチレバー先端が静的状態で接している面やカンチレバーの付け根に伝搬させる表面弾性波によって励起することによって、カンチレバーの試料に向いた面に固定した探針を試料に近接させ、探針が試料に接する位置を、カンチレバー背面と、第1層下面とのなすレーザ干渉キャビティから得られる輝度の平均として測定する。これにより、多数のカンチレバーを、カンチレバー配列の端部や軸後方に作製した表面弾性波発生装置により順次振動させることが可能になり、また多数のカンチレバーが試料に接する位置を各カンチレバー毎に構成されるレーザ干渉キャビティの輝度として測定できる。各レーザ干渉キャビティの輝度は、ビデオモニターの各ピクセルに対応させたり、試料をカンチレバー配列に対して試料面方向に走査することによって各干渉キャビティが数ピクセルの輝度を与えることが可能となる。なお、表面弾性波としては、連続波やバースト波を用いる。バースト波の周期によって、カンチレバーの振動の様々なモードを優先的に選択して振動励起することが可能であり、試料が探針の振動周波数によって異なる挙動を示すことを用いて、試料内の材料特性の分布を可視化することが可能となる。なお、本発明は、試料の測定と、試料の加工の両方に用いることができる。
(7)ナノメートルオーダの機械振動子の固定されているベースに、表面弾性波や、ラム波を発生させることにより、各機械振動子を順次試料に近接させ、測定や加工を行うことが可能となる。
(8)カンチレバー内部に特定の方向や模様に磁化した磁性粉末を含有させることにより、外部の交番磁界によってカンチレバーの高次振動を優先的に励起することが可能となる。
(9)カンチレバー内部に特定の方向や模様でウイスカ結晶を含有させることにより、カンチレバーに、一定材料からなるカンチレバーでは得られないような機械特性や電気特性の異方性を持たせることが可能である。
(10)走査型力顕微鏡で、長さが一定のカンチレバーを用いて試料の観察を行った場合、試料の材料特性の分布を、カンチレバーの振動の高次モードの出方から調べることが可能である。しかし、カンチレバーの長さが一定の場合、離散的な周波数での測定しか可能ではなかった。長さが可変のカンチレバーを実現することにより、カンチレバーの振動周波数の連続的、もしくは幅広い周波数帯域での掃引が可能になり、試料特性のより精密な測定、今まで観察ができなかった試料内の材料特性の小さい分布の可視化が可能となる。
(11)現在、カンチレバーの高次モードの振動の励起には、カンチレバーの付け根に貼り付けたピエゾ素子等の振動素子を用いている。本発明は、容易に高周波振動の励起が可能な表面弾性波素子をカンチレバーの付け根に作製し、表面弾性波をカンチレバー中に伝搬させることにより探針を所定の周波数で振動させるものである。これにより、周波数によって異なる試料の特性を検出することが可能となる。
(12)カンチレバーの長さが可変の場合、その基本振動周波数と高次モードを掃引することが可能となる。そのようなカンチレバーの付け根に表面弾性波発生素子を作製することにより、基本周波数と高次モードを広い周波数帯域で掃引することが可能となる。
(13)半導体基板上の絶縁膜上にオーバーハング状に外方に突出する三角錐形状の探針を形成することにより、単結晶シリコンの結晶性によりナノメートルオーダーの振動子が形状と寸法精度よく作製可能である。この場合、カンチレバーは基板と平行なため、光学的振動励起や検出、表面弾性波などの良好なカップリングが期待できる。
(14)半導体基板上にオーバーハング状に内方に突出し連結される2個の3角錐形状の探針や、突出される三角柱状の探針や、四角錐台状のマスを有する平行バネ支持部を設けることにより、正確な並進変位が実現可能である。
本発明のナノメートルオーダの機械振動子の製造方法は、シリコン基板上に酸化シリコン膜とシリコン膜を順次形成し、前記シリコン膜を異方性エッチングにより、四面体状のシリコンを形成し、前記四面体状のシリコンをマスクに用いて基板法線方向にエッチングを行い、柱状の酸化シリコンを形成し、シリコンや金属を前記シリコン基板に対して斜めに蒸着して蒸着膜を形成し、前記柱状の酸化シリコンをフッ酸で除去し、四面体状の探針を前記蒸着膜からなる平板状のシリコンや金属の弾性部で支持した頸部を形成する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例を示すナノメートルオーダの機械振動子の製造工程断面図、図2はそのナノメートルオーダの機械振動子の拡大斜視図であり、図2(a)は略正面から見た図、図2(b)は略側面から見た図、図3はマイクロカプセルの斜視図であり、図3(a)は略正面から見た図、図3(b)は略側面から見た図である。
(1)まず、図1(a)に示すように、シリコン基板101上に酸化シリコン膜102とシリコン膜を順次形成する。そのシリコン膜を異方性エッチングにより、四面体状のシリコン103Aに加工する。
(2)次に、図1(b)に示すように、四面体状のシリコン103Aをマスクに用いて基板法線方向にエッチングを行い、柱状の酸化シリコン102Aを作製する。
(3)次いで、図1(c)に示すように、シリコンやクロムをシリコン基板101に対して斜めに蒸着する。その際、四面体状(三角錐)シリコン103Aの一面が蒸着源に対向するようにする。これにより、四面体状シリコン103Aの一面と、柱状の酸化シリコン102Aの一面にシリコンやクロムが蒸着される。なお、蒸着面を一面としたが、二面とするようにしてもよい。
(4)次に、図1(d)に示すように、柱状の酸化シリコン102Aをフッ酸で除去する。これにより、図2に示すように、四面体状の探針を一枚の平板状のシリコンやクロムの弾性部で支持した頸部104が得られる。その大きさは異方性エッチングにより得られる四面体シリコン103Aの厚さから規定される。このようにして、100nm台の機械振動子を安定して作製可能である。また、蒸着面を一面としたが、二面とすると、図3に示すような、マイクロカプセルや微小開口105を持つ、光学応用プローブや試料捕捉カプセルとなる。
従来、光近接場の発生用開口部は鋭利な光ファイバを金属でコーティングし、先端部の金属を除去するといった方法が採られていたが、この実施例によれば、異方性エッチングによって、大きさのばらつきが極めて少なく作製されるシリコンと酸化シリコンによる構造体を核とし、その周りにシリコンや金属を蒸着し、次に、酸化シリコンを除去するため、開口部の大きさが正確に制御されたものが一個、もしくは多数個同時に作製可能である。
このような、斜めに蒸着した薄膜弾性部(頸部)で支持された四面体状探針は、探針の頂点や、支持部から遠い側の角を走査型力顕微鏡の探針として用いることができる。
また、図3に示した微小開口105を持つnmオーダのカプセルは、100nmからμmオーダのものが作製可能であり、試料の捕捉や光近接場の発生用開口として用いることができる。
図4は本発明の第2実施例を示すナノメートルオーダの機械振動子の構成図であり、図4(a)はその第1層上面図、図4(b)はその第2層上面図、図4(c)はその全体の前面図、図4(d)はその全体の側面図である。
これらの図において、第1層111〔図4(a)〕は、ピエゾ性基板112と、表面弾性波発生装置(裏面に形成されている)113と、さらにピエゾ性基板112には探針を有する多数アレイ状に並んだカンチレバーに対応する箇所に凹部114とを有している。
図4(b)に示すように、第2層115は、基部116から突出する、探針118を有する多数アレイ状に並んだカンチレバー117が設けられている。
そこで、第1層111と第2層115が重ねられて、図4(c)及び図4(d)に示される、ピエゾ性基板112に表面弾性波を面内2方向に発生させ、各探針を順次試料の測定可能領域まで近接させる素子110を得ることができる。
図5は図4によって作製された探針を有する多数アレイ状に並んだカンチレバーを備える素子による試料の測定システムの構成図である。
この図において、121は試料台、122は試料台121に載置された試料であり、上記した探針118を有する多数アレイ状に並んだカンチレバー117を備える素子110を順次試料122の測定可能領域まで近接させて測定する。その測定システムは、レンズ系123と、レーザ124と、ハーフミラー125と、CCDカメラ126と、このCCDカメラ126に接続される表示装置としてのビデオディスプレー127を具備している。
図6は本発明の第2実施例の変形例を示す多数アレイ状に並んだカンチレバーを備える素子の基板の上面図である。
この図において、この素子130は、ピエゾ性基板131の外側4辺に表面弾性波発生装置(裏面に形成されている)132、133、134、135を配置し、その中央部に多数アレイ状に並んだカンチレバー136を備える。ここでは、2次元的にカンチレバーが5×10個並ぶようにしたものの例である。
図6に示す2次元的に多数のカンチレバーが並んでいるものを用いて、試料の観察を行った場合、各カンチレバーに対応した干渉キャビティが一画素の輝度を与え、全体として、試料の形状や特徴を可視化できることが、図7の説明図から明らかである。
図8は本発明の第3実施例を示すナノメートルオーダの機械振動子の模式図である。
この図において、ナノメートルオーダの機械振動子142が多数アレイ状に並んでおり、基板141としてはピエゾ性材料を用い、表面弾性波を面内2方向に伝搬させ、伝搬波もしくは定在波により各探針143を順次試料の測定可能範囲まで近接させることができる。
多数並んだ機械振動子142個々に駆動用素子や変位検出用素子を組み込むことは容易なことではなく、また仮にそのようなものが作製可能であっても、多数のカンチレバーから得られる信号を高速で処理することは困難である。
上記実施例によれば、多数並んだカンチレバーの振動を、カンチレバー先端が静的状態で接している面に伝搬させる表面弾性波により励起することによって、カンチレバーの試料に向いた面に固定した探針を試料に近接させ、探針が試料に接する位置を、カンチレバー背面と、第1層下面とのなすレーザ干渉キャビティから得られる輝度の平均として測定する。
これにより、多数のカンチレバーを、カンチレバー配列の端部に作製した表面弾性波発生装置により順次振動させることが可能になり、また多数のカンチレバーが試料に接する位置を各カンチレバー毎に構成されるレーザ干渉キャビティの輝度として測定できる。各干渉キャビティの輝度は、ビデオモニターの各ピクセルに対応させたり、試料をカンチレバー配列に対して試料面方向に走査することによって各干渉キャビティが数ピクセルの輝度を与えることが可能となる。なお、表面弾性波としては、連続波やバースト波を用いる。バースト波の周期によって、カンチレバーの振動の様々なモードを優先的に選択して振動励起することが可能であり、試料が探針の振動周波数によって異なる挙動を示すことを用いて、試料内の材料特性の分布を可視化することが可能となる。なお、本発明は、試料の測定と、デジタルデータの読み書きを含む加工の両方に用いることができる。
また、ナノメートルオーダの機械振動子の固定されているベースに、表面弾性波や、ラム波を発生させることにより、各機械振動子を順次試料に近接させ、測定や加工を行うことが可能となる。
図9は本発明の第4実施例を示すナノメートルオーダの機械振動子の構成図である。
この図に示すように、このナノメートルオーダの機械振動子150は、ベース151に、プラスチックからなるカンチレバー152の先端に探針153を付けたもので、カンチレバー152には縞模様状に磁化した磁性体粉末を含有する。つまり、カンチレバー152はその軸方向を横切る方向で磁化した磁性粉末を含有するプラスチックを主材としている。
この実施例によれば、カンチレバー内部に特定の方向や模様に磁化した磁性粉末を含有させることにより、外部の交番磁界によってカンチレバーの高次振動を優先的に励起することが可能となる。
図10は本発明の第5実施例を示すナノメートルオーダの機械振動子の構成図である。
この図に示すように、このナノメートルオーダの機械振動子160は、ベース161に、プラスチックからなるカンチレバー162の先端に探針163を付けたもので、カンチレバー162はウイスカ結晶を特定の方向や模様で含有する。つまり、カンチレバー162はその軸方向に整列したウイスカ結晶を含有するプラスチックを主材としている。
この実施例によれば、カンチレバー内部に特定の方向や模様でウイスカ結晶を含有させることにより、カンチレバーに、一定材料からなるカンチレバーでは得られないような機械特性や電気特性の異方性を持たせることが可能である。
図11は本発明の第6実施例を示すナノメートルオーダの機械振動子の構成図である。
この図に示すように、このナノメートルオーダの機械振動子170は、ベース171に配置されるカンチレバー174の先端に探針(裏側)175を付けたもので、そのカンチレバー174はガイド173によって案内され、ベース171に配置されるアクチュエータとしての表面弾性波発生装置172と176を2個配置することにより、カンチレバー174を変位可能であり、そのカンチレバー174の実効長を変化させることができる。
この実施例によれば、走査型力顕微鏡で、長さが一定のカンチレバーを用いて試料の観察を行った場合、試料の材料特性の分布を、カンチレバーの振動の高次モードの出方から調べることが可能である。しかし、カンチレバーの長さが一定の場合、離散的な周波数での測定しか可能ではなかった。長さが可変のカンチレバーを実現することにより、カンチレバーの振動周波数の連続的、もしくは幅広い周波数帯域での掃引が可能になり、試料特性のより精密な測定、今まで観察ができなかった試料内の材料特性の小さい分布の可視化が可能となる。
図12は本発明の第7実施例を示すナノメートルオーダの機械振動子の構成図である。
この図に示すように、このナノメートルオーダの機械振動子180は、ベース181に配置されるカンチレバー183の一端部に静電吸着が可能な吸着用電極列182を配置し、カンチレバー183のどこをベース181に吸着させるかを選択することにより、そのカンチレバー183を変位可能であり、そのカンチレバー183の実効長を変化させることができる。なお、184は探針、185はガイド、186は表面弾性波発生装置である。
また、カンチレバーの長さが可変の場合、その基本振動周波数と高次モードを掃引することが可能となる。そのようなカンチレバーの付け根に表面弾性波発生素子を作製することにより、基本周波数と高次モードを広い周波数帯域で掃引することが可能となる。
図13〜図16は本発明の第8実施例を示すナノメートルオーダの機械振動子の製造工程図である。
(1)まず、図13(a)に示すような、Si層203(膜厚1〜3μm)/SiO2 層202/Si層201、の三層からなるSOI(silicon on insulator)ウエハを用意する。Si層203の膜厚は1〜3μmで、これがカンチレバーの質量となる三角錐203F(後述の図16参照)の大きさを決める。
(2)次に、図13(b)に示すように、LPCVDによりSi3 N4 膜204(膜厚20nm)を堆積する。
(3)次に、図13(c)に示すように、(100)方向に長方形レジストを塗布し、RIE(反応性イオンエッチング)でSi3 N4 膜204をパターニングし、Si3 N4 膜204Aとする。
(4)次いで、図13(d)に示すように、パターニングされたSi3 N4 膜204Aをマスクとして、KOHまたはRIEで上部Si層203をエッチングする。このときエッチング時間に注意して上部Si層203を100〜200nmほど残す。このとき残されたSi層203Bの膜厚がカンチレバーのバネの厚さを決める。ただし、後で述べる(5)、(8)のそれぞれの熱酸化によりSi層203Bの膜厚が30nm、つまり2回で膜厚60nmほど減ることを考慮する。
(5)次に、図14(a)に示すように、Si局部酸化(LOCOS)によるSi熱酸化を行い、Si酸化膜203Dを形成する。
(6)次に、図14(b)に示すように、(010)方向に長方形レジストを塗布し、RIEでSi3 N4 膜204Aをパターニングし、Si3 N4 膜204Bとする。
(7)次に、図14(c)に示すようにSi3 N4 膜204Bと図14(a)で形成したSi酸化膜203DをマスクとしてKOHにより上部Si層203の異方性エッチングをする。Si3 N4 膜204Bの四隅を横切る{111}面が露出すると下部のSiO2 層(中間酸化膜)202が現れる。更にKOHによる異方性エッチングを進ませ、Si層203BのAの部分を(010)方向にエッチングする。これがカンチレバーのバネの長さを決める。このエッチングの際、{111}面はエッチングが進まないため、カンチレバーの質量となる三角錐203F(後述の図16参照)の位置、大きさに影響を与えない。
(8)次に、図15(a)に示すように、Si局部酸化(LOCOS)によるSi熱酸化を行う。
(9)次に、図15(b)に示すように、H3 PO4 によりSi3 N4 膜204Bを除去し、Si層203Eの上部を露出させる。
(10)次に、図15(c)に示すように、図14(a)と図15(a)で形成した酸化膜をマスクとして、KOHによるSi層203Eの異方性エッチングを行う。これにより、Si3 N4 膜204Bの四隅を起点とする{111}面が形成される。これらは図14(c)で形成された{111}面に対して90°回転した向きになっている。また、下部のSiO2 層202が現れる。さらにKOHによる異方性エッチングを進ませ、Si層203BのCの部分を(010)方向にエッチングする。図14(c)で形成した部分Aと等しい長さになるようにエッチングする。これがカンチレバーのバネの長さを決める。このエッチングの際、{111}面はエッチングが進まないため、カンチレバーの質量となるSi三角錐203F(後述の図16参照)の位置、大きさに影響を与えない。
(11)次に、図16(a)に示すように、図14(a)と図15(a)で形成して、図14(c)と図15(c)でのKOH異方性エッチングのマスクとして機能した酸化膜(LOCOS)を除去する。
(12)最後に、図16(b)に示すように、(100)方向に平行にパターニングしてSiO2 層202をBHFでエッチングをして、Si三角錐203Fを質量としてSi層203Bで支えられたカンチレバー形状をオーバーハング状に形成する。
なお、この行程(12)を図17、図18を用いて詳細に説明する。
(a)まず、図17(a)および、図18(a)に示すように、Si三角錐203FがSi層203Bで支えられた状態が形成される。
(b)次に、図17(b)に示すように、Cr膜205などのBHFに耐えられて、後で選択的に除去できるものをスパッタなどで成膜する。
(c)次いで、図17(c)に示すように、(100)方向に平行にCr膜205をパターニングする。
(d)次に、図17(d)および、図18(b)に示すように、SiO2 層202をRIEで垂直にエッチングする。
(e)次に、図17(e)に示すように、BHFでSiO2 層202を横方向にエッチングしカンチレバー形状をオーバーハング状に形成する。
(f)次いで、図17(f)および、図18(c)に示すように、Cr膜205をHYで除去する。
図19は本発明の第9実施例を示すチップの最先端部に三角錐探針の振動子を有するカンチレバーアレーを示す図である。
この図に示すように、シリコンのKOHによる異方性エッチングを用いて、ミリメートルオーダのピンセット等によるハンドリング可能なチップの最先端部301に、三角錐探針を有する振動子302を1個配置することが可能である。つまり、多数の三角錐探針を有するカンチレバーアレー303を形成することが可能である。これにより最先端部1個を試料と作用させることが可能である。
図20〜図23は本発明の第10実施例を示す平行バネ支持振動子の製造工程図である。
(1)まず、図20(a)に示すような、Si層203(膜厚1〜3μm)/SiO2 層202/Si層201の三層からなるSOI(Silicon on insulator)ウエハを用意する。Si層203の膜厚は1〜3μmで、これが平行バネ支持振動子の質量となる連結三角錘の大きさを決める。
(2)次に、図20(b)に示すように、LPCVDによりSi3 N4 膜204(膜厚20nm)を堆積する。
(3)次に、図20(c)に示すように、(100)方向に長方形レジストを塗布し、RIE(反応性イオンエッチング)でSi3 N4 膜204をパターニングし、Si3 N4 膜パターン204Aを形成する。
(4)次に、図20(d)に示すように、Si3 N4 膜204AをマスクとしてKOHまたはRIEで上部Si層203をエッチングする。このときエッチング時間に注意して上部Si層203を(010)方向にエッチングする。このとき残されたSi層203Bの幅が平行バネ支持振動子の質量となる連結三角錘の幅を決める。このとき残されたSi層203Bの幅が十分に狭くないと、質量となる連結三角錘が分かれてしまい、最終段階で平行バネ支持振動子にはならないので注意を要する。
(5)次に、図21(a)に示すように、Si局部酸化(LOCOS)によるSi熱酸化を行い、Si酸化膜203Dを形成する。
(6)次に、図21(b)に示すように、(010)方向に長方形レジストを塗布し、RIEでSi3 N4 膜204A〔図21(a)〕をパターニングし、Si3 N4 膜204Bを形成する。
(7)次いで、図21(c)に示すように、Si3 N4 膜204Bと図21(a)で形成したSi酸化膜203DをマスクとしてKOHにより上部Si層203の異方性エッチングをする。KOHでのSiのエッチングではSi{111}面はエッチングされないのでSi3 N4 膜204Bの四隅を横切るSi{111}面が露出する。下部のSiO2 層202が現れる。
(8)次に、図21(d)に示すように、Si局部酸化(LOCOS)によるSi熱酸化を行う。
(9)次に、図22(a)に示すように、H3 PO4 によりSi3 N4 膜204Bを除去し、Si層203Eの上部を露出させる。
(10)次に、図22(b)に示すように、図21(a)と図21(d)で形成した酸化膜をマスクとして、KOHによるSi層203Eの異方性エッチングを行う。Si3 N4 膜204Bの四隅を起点とする{111}面が形成される。これらは図21(c)で形成された{111}面に対して90°回転した向きになっている。下部のSiO2 層202が現れる。これで平行バネ支持振動子の質量になる連結三角錘203Fが形成される。
(11)次に、図22(c)に示すように、図21(a)と図21(d)で形成して、図21(c)と図22(b)でのKOH異方性エッチングのマスクとして機能した酸化膜(LOCOS)を除去する。
(12)次に、図22(d)に示すように、連結三角錘203FをマスクとしてRIE(CHF3 ガス)によりSiO2 層202をエッチングする。中間酸化膜202は連結三角錘203Fの上面形状と等しい断面図を持つSiO2 コラム202Aにエッチングされる。
(13)次に、図23(a)に示すように、連結三角錘203FとSiO2 コラム202Aに(010)方向に平行にPoly−Siなど、バネとしての良い機械特性を持ち、BHFのエッチングに耐えられるCr膜205をスパッタや真空蒸着などで斜め蒸着する。連結三角錘203FとSiO2 コラム202Aには膜205の部分205Aのみ堆積して、これが平行バネ支持振動子のバネになる。
(14)次に、図23(b)に示すように、連結三角錘203FとSiO2 コラム202Aに(010)方向に平行に図23(a)に示したのと逆向きに同じ物質を同じ膜厚に斜め蒸着した膜206を形成する。連結三角錘203FとSiO2 コラム202Aには膜206の部分206Aのみ堆積してこれが平行バネ支持振動子のもう一方のバネになる。
(15)最後に、図23(c)に示すように、SiO2 コラム202AをBHFで除去する。これで連結三角錘203Fを質量、図23(a)、図23(b)で蒸着した膜の部分205A,206Aをバネとする平行バネ支持振動子が出来上がる。
図24〜図27は本発明の第11実施例を示す平行バネ支持振動子の製造工程図である。
(1)まず、図24(a)に示すような、Si層203(膜厚1〜3μm)/SiO2 層202/Si層201の三層からなるSOI(Silicon on insulator)ウエハを用意する。Si層203の膜厚は1〜3μmで、これが平行バネ支持振動子の質量となる連結三角錘の大きさを決める。次いで、LPCVDによりSi3 N4 膜204(膜厚20nm)を堆積する。
(2)次に、図24(b)に示すように、(100)方向に長方形レジストを塗布し、RIEでSi3 N4 膜204をパターニングし、Si3 N4 膜204Aを形成する。
(3)次に、図24(c)に示すように、Si3 N4 膜204AをマスクとしてKOHで上部Si層203をエッチングする。KOHでのSiのエッチングではSi{111}面はエッチングされないのでパターニングされたSi3 N4 膜204Aに平行にSi{111}面が露出し、下部のSiO2 層202が現れる。
(4)次に、図24(d)に示すように、Si局部酸化(LOCOS)によるSi熱酸化を行う。図24(d)で露出したSi{111}面の表層のみが酸化されSiO2 膜203Bになる。
(5)次に、図25(a)に示すように、H3 PO4 によりSi3 N4 膜204Aを除去する。Si層203Aの上部を露出させる。
(6)次に、図25(b)に示すように、図24(d)で形成したSi酸化膜をマスクとして、KOHにより上部Si層203Aの異方性エッチングを行う。KOHでのSiのエッチングではSi{111}面はエッチングされないので、図24(c)で形成されたSi{111}面と反対向きのSi{111}面を持つSiワイヤ203Cが形成される。
(7)次に、図25(c)に示すように、Si局部酸化(LOCOS)によるSi熱酸化を行う。図25(b)で露出したSi{111}面の表層のみが酸化されSi酸化膜203Dになる。
(8)次に、図25(d)に示すように、図25(b)で形成されたSiワイヤ203Cに垂直にレジスト205Bを塗布する。この幅が平行バネ支持振動子の質量の長さを決める。
(9)次に、図26(a)に示すように、図25(d)で塗布したレジスト205Bで酸化膜203B、203Dをパターニングする。
(10)次に、図26(b)に示すように、図26(a)で露出したSiワイヤ203Cを、酸化膜203E、203FをマスクとしてKOHでエッチングする。Siワイヤ204Cと垂直な向きのSi{111}面が露出する。
(11)次に、図26(c)に示すように、図24(d)と図25(c)で形成した酸化膜を除去する。
(12)次に、図26(d)に示すように、4つのSi{111}面で囲まれた立体203GをマスクとしてRIE(CHF3 ガス)によりSiO2 層202をエッチングする。中間酸化膜202は204Gの上面形状と等しい断面図を持つSiO2 コラム202Aにエッチングされる。
(13)次に、図27(a)に示すように、Siの立体203GとSiO2 コラム202Aに(110)方向に平行にPoly−Siなど、バネとしての良い機械特性を持ち、BHFのエッチングに耐えられる膜206をスパッタや真空蒸着などで斜め蒸着する。Siの立体203GとSiO2 コラム202Aには206Aの部分のみ堆積して、これが平行バネ支持振動子のバネになる。
(14)次に、図27(b)に示すように、Siの立体203GとSiO2 コラム202Aに(110)方向に平行に図27(a)に示したのと逆向きに同じ物質を同じ膜厚に斜め蒸着する膜207を形成する。Siの立体203GとSiO2 コラム202Aには207Aの部分のみ堆積して、これが平行バネ支持振動子のもう一方のバネになる。
(15)最後に、図27(c)、図27(d)に示すように、SiO2 コラム202AをBHFで除去する。これでSiの立体203Gを質量、図27(a)、図27(b)で蒸着した膜206A、207Aをバネとする平行バネ支持振動子が出来上がる。
(16)なお、図27(c)、図27(d)に示すような、平行バネ支持振動子の質量Siの立体203Gの上部が四角錐台状になるものの作製も可能である。
上記した第10、第11実施例に示すように、斜め蒸着を180°対向する方向から行い、2本の平バネからなる平行バネで探針マスや平面を有するマスを支持することができる。
このように構成することにより、厳密な並進変位を生じることのできる探針や立方体の支持機構を実現することができる。また、多層基板を用い、平行バネが互いに直交する構造を作製することにより、1自由度の並進変位のみならず、多自由度の並進変位機構が実現可能である。これにより、ナノ領域からマイクロ領域における、超精密位置決めや動きの自由度を拘束した物性実験が可能となる。 上記したように、本発明によれば、走査型力顕微鏡において、飛躍的な力や質量変化の検出分解能を向上させることができる。つまり、安定したナノメートルオーダの機械振動子を有するプローブを作製することができる。
更に、得られた機械振動子の静・動的特性を評価し、検出可能な力や質量の分解能を求めることができる。
また、作製した振動子をプローブとする走査型力顕微鏡を実現し、原子を一個及びクラスターで走査し、それに伴う振動子型プローブの固有振動数変化を検出することができ、原子同定の可能性を調べることができる。更に、通常の走査型力顕微鏡としての性能を評価することができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明のナノメートルオーダの機械振動子、その製造方法及びそれを用いた測定装置は、振動子の質量の変化や、振動子の置かれた場の変化を検出するツールとして利用可能である。
101 シリコン基板(シリコン・サブストレート)
102 酸化シリコン膜
102A 柱状の酸化シリコン
103A 四面体状のシリコン
104 頸部
105 マイクロカプセルや微小開口
110,130 素子
111 第1層
112,131,141 ピエゾ性基板
113,132,133,134,135,172,176,186 表面弾性波発生装置
114 凹部
115 第2層
116 基部
117,136 多数アレイ状に並んだカンチレバー
118,143,153,163,175,184 探針
121 試料台
122 試料
123 レンズ系
124 レーザ
125 ハーフミラー
126 CCDカメラ
127 ビデオディスプレー
142,150,160,170,180 ナノメートルオーダの機械振動子
151,161,171,181 ベース
152,162,174,183 カンチレバー
173,185 ガイド
182 吸着用電極列
201,203,203B,203E Si層
202 SiO2 層
202A SiO2 コラム
203C Siワイヤ
203D Si酸化膜
203F 連結三角錐
203G Siの立体
204,204A,204B Si3 N4 膜
205 Cr膜
206,207 膜
205A,206A,207A 膜の部分
205B レジスト
301 チップの最先端部
302 振動子
303 三角錐探針を有するカンチレバーアレー
102 酸化シリコン膜
102A 柱状の酸化シリコン
103A 四面体状のシリコン
104 頸部
105 マイクロカプセルや微小開口
110,130 素子
111 第1層
112,131,141 ピエゾ性基板
113,132,133,134,135,172,176,186 表面弾性波発生装置
114 凹部
115 第2層
116 基部
117,136 多数アレイ状に並んだカンチレバー
118,143,153,163,175,184 探針
121 試料台
122 試料
123 レンズ系
124 レーザ
125 ハーフミラー
126 CCDカメラ
127 ビデオディスプレー
142,150,160,170,180 ナノメートルオーダの機械振動子
151,161,171,181 ベース
152,162,174,183 カンチレバー
173,185 ガイド
182 吸着用電極列
201,203,203B,203E Si層
202 SiO2 層
202A SiO2 コラム
203C Siワイヤ
203D Si酸化膜
203F 連結三角錐
203G Siの立体
204,204A,204B Si3 N4 膜
205 Cr膜
206,207 膜
205A,206A,207A 膜の部分
205B レジスト
301 チップの最先端部
302 振動子
303 三角錐探針を有するカンチレバーアレー
Claims (18)
- (a)シリコン基板上に酸化シリコン膜とシリコン膜を順次形成し、
(b)前記シリコン膜を異方性エッチングにより、四面体状のシリコンを形成し、
(c)前記四面体状のシリコンをマスクに用いて基板法線方向にエッチングを行い、柱状の酸化シリコンを形成し、
(d)シリコンや金属を前記シリコン基板に対して斜めに蒸着して蒸着膜を形成し、
(e)前記柱状の酸化シリコンをフッ酸で除去し、四面体状の探針を前記蒸着膜からなる平板状のシリコンや金属の弾性部で支持した頸部を形成することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子の製造方法。 - 請求項1記載のナノメートルオーダの機械振動子の製造方法において、前記頸部は2枚の平板状のシリコンや金属の蒸着膜からなることを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子の製造方法。
- 第1層はピエゾ性基板からなり、表面弾性波発生装置を備え、第2層は基部から突出する探針を有する多数アレイ状に並んだカンチレバーが設けられ、前記第1層と第2層が重ねられて、前記ピエゾ性基板に表面弾性波を面内2方向に発生させ、各探針を順次試料の測定可能領域まで近接させる素子を具備することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- (a)振動装置を有する基板に多数アレイ状に並んだナノメートルオーダのカンチレバーを備え、
(b)試料台上に載置された試料に前記カンチレバーを対応させ、
(c)前記カンチレバーの背面に配置されるレンズ系と、
(d)該レンズ系にハーフミラーを介して光を照射する光学系と、
(e)前記ハーフミラーの背後に配置される撮像装置と、
(f)該撮像装置に接続される表示装置とを備え、
(g)前記カンチレバーの作用により試料の像を表示することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子を用いた測定装置。 - ピエゾ性基板の外側4辺に表面弾性波発生装置を配置し、中央部に多数アレイ状に並んだカンチレバーを備えることを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- アクチェータを有する基板にナノメートルオーダのカンチレバーを備え、該カンチレバーの長さを可変にする手段を具備することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- 請求項6記載のナノメートルオーダの機械振動子において、前記アクチェータは表面弾性波発生装置であることを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- ベースから突出し、その軸方向を横切る方向で磁化した磁性粉末を有するプラスチックを主材とするカンチレバーを備えることを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- ベースから突出し、その軸方向に整列したウイスカ結晶を含有する、プラスチックを主材とするカンチレバーを備えることを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- ベースから突出するカンチレバーの付け根のベース部に弾性表面波素子を有することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- ベースから突出するカンチレバーの付け根のベース部に弾性表面波素子を有するとともに、前記カンチレバーの長さを可変にする手段を具備することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- 半導体基板上の絶縁膜上にオーバーハング状に外方に突出する3角錐形状の探針を有することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- 請求項12記載のナノメートルオーダの機械振動子において、前記3角錐形状の探針を半導体チップの先端部に1個もしくは多数個形成してなることを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- 請求項10記載のナノメートルオーダの機械振動子において、前記カンチレバーは外方に突出する3角錐形状の探針を有することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- 請求項10記載のナノメートルオーダの機械振動子において、前記カンチレバーは3角錐形状の探針を半導体チップの先端部に多数形成してなることを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- 半導体基板上にオーバーハング状に内方に突出し連結される2個の3角錐形状の探針を有する平行バネ支持部を具備することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- 半導体基板上に突出される三角柱状の探針を有する平行バネ支持部を具備することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
- 半導体基板上に形成される四角錐台状のマスを有する平行バネ支持部を具備することを特徴とするナノメートルオーダの機械振動子。
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JP2009125898A (ja) * | 2007-11-27 | 2009-06-11 | Seiko Instruments Inc | 微小加工装置用プローブおよび微小加工装置 |
WO2011132443A1 (ja) * | 2010-04-21 | 2011-10-27 | 株式会社村田製作所 | 弾性表面波装置及びその製造方法 |
KR101093809B1 (ko) | 2010-04-02 | 2011-12-19 | 서울시립대학교 산학협력단 | 나노 변환기 및 이를 이용한 나노 소자 조립체 |
-
2005
- 2005-12-15 JP JP2005362065A patent/JP2006153886A/ja active Pending
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JP2009125898A (ja) * | 2007-11-27 | 2009-06-11 | Seiko Instruments Inc | 微小加工装置用プローブおよび微小加工装置 |
KR101093809B1 (ko) | 2010-04-02 | 2011-12-19 | 서울시립대학교 산학협력단 | 나노 변환기 및 이를 이용한 나노 소자 조립체 |
WO2011132443A1 (ja) * | 2010-04-21 | 2011-10-27 | 株式会社村田製作所 | 弾性表面波装置及びその製造方法 |
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