JP2006153784A - 検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来方法によると、マスクデータを利用して、面積占有率を求めているが、例えば細かい要素が多数あっても、一つの大きな要素があっても面積は同じとなることはあるため、計測視野におけるパターンの単純さやパターンの形状、細かさの影響を反映して計測位置を決定することは出来ない。プロセスシミュレーション結果による計測位置決定方法であっても、面積占有率を基準としてプロセスの処理過程を表現しているため、パターンの特徴を反映して計測位置を決定することは出来ない。
【解決手段】 本発明では、マスクデータを利用して計測領域におけるパターンの形状を取得し、その形状に基づきパターンの形状や細かさの特徴を評価することで、パターンに依存した計測可能性を判定できる。マスクデータを利用するのみで計測可能性を判定するので、計測を実施する前に計測位置を自動で決定できる。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明では、マスクデータを利用して計測領域におけるパターンの形状を取得し、その形状に基づきパターンの形状や細かさの特徴を評価することで、パターンに依存した計測可能性を判定できる。マスクデータを利用するのみで計測可能性を判定するので、計測を実施する前に計測位置を自動で決定できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は特に半導体のような薄膜製品の、膜厚を検査する装置の計測位置の決定方法に関する。特に形状設計データ、もしくは半導体のような露光技術によって形成される形状の転写元の形状データ(ホトリソグラフィーのマスクデータ)を利用して、形状パターンよりパターンの粗密、複雑さ、形状の複雑さ、面積占有率さを評価して、膜厚の計測精度を補償した計測位置を選定するか、計測装置の能力で計測可能かを判定して、計測位置を決定する方法に関する。
半導体製品、特にLSIチップは、マイコンの多品種化やSoC(System on Chip)技術により、一つのチップ内のさまざまな配線のパターンが存在し、また微細化に伴いプロセス技術も変遷し、さまざまな形状や材料の構成となっている。
このようなLSIチップは、Si基盤より、メタルスパッタ/CVD(Chemical Vapor Deposition),酸化膜形成CVD/SOG(Spin on Glass)、ホトリソグラフィー、メタル/酸化膜エッチング、酸化膜CMP(Chemical Mechanical Polishing)、メタルCMPといった複数のプロセスを繰り返すことで、製作される。LSIチップ内のパターンの多様化により、チップ内で膜厚の分布、すなわち膜厚の最大と最小との差といった量が大きくなる。例えばメモリのように密集した領域では、配線などが余り無い領域に比べて膜厚が厚くなってしまうといったように、CMPや酸化膜CVDのLSIチップ内で膜厚の差は大きくなってしまう。このようなチップ内の膜厚の分布は、エッチングでのエッチング量不足や、メタルCMPでの研磨量不足といった不良発生の原因となる。
特に、配線パターン上に酸化膜CVDを行った後のLSIチップ表面の平坦化を行う酸化膜CMPや、STI(Shallow Trench Isolation;素子分離)構造形成途中の、窒化膜をストッパ膜とした酸化膜と窒化膜のパターンの平坦化を行うCMPでは、LSIチップ内の平坦性を確保することが重要である。
このように、LSIチップ内の複数の位置でのデバイス上の膜厚を管理する必要から、チップ内の配線上の膜厚や、STI形成途中のCMP後の膜厚を計測する技術が開発された。
例えば、特開2000−310512号公報で、デバイスパターン上の膜に白色光を当て、干渉光の分光波形に対して周波数・移送解析し、波形の持つ周波数及び位相成分と膜厚の関係から膜厚の算出を行う方法が考案された。
このようにLSIチップ内を計測する場合、チップ内で複数点を計測するため、LSI1チップを計測する時間がかかり、また、検査できない箇所の計測を防ぐために、人手により計測位置を確認して検査する必要があるため、スループットが低下する上、作業工数もかかるという問題がある。そこで、検査の効率化を図り、事前の有効な計測位置を決定することが重要となる。特開2003−3384923号公報では、検査対象の回路パターンの設計情報、即ちホトリソグラフィー用マスクデータに基づいて、プロセスシミュレーションにより検査対象である金属膜の存在箇所を予測して、計測位置を決定するとしている。
また特開2004−144587号公報では、マスクデータを利用して、CMP後の膜厚分布をシミュレーションにより求め、その膜厚分布とパターンの面積占有率(該当する領域面積に対するパターンの面積)から計測可能な領域を抽出するとしている。
これらの特許では、計測位置を事前に決定するために、マスクデータを利用したプロセスのシミュレーション結果を利用している。プロセスシミュレーションに関しては、特開平11−186205号公報、特開2000−306871号公報、特開2003−382495号公報、特開2002−342399号公報、および特開2003−224098号公報では、マスクデータよりパターンの面積占有率により、LSIチップ表面段差の高い部分と低い部分をモデル化し、研磨過程をシミュレーションして、研磨後の膜厚を求めている。
一方、たとえばSTIの窒化膜と酸化膜のパターンや、酸化膜中のアルミ配線パターン構造の、厚さ、幅、高さといったパターン構造の各種寸法を計測する、散乱光を利用した光学的スキャトロメトリと呼ばれる、技術が開発されている。
本計測方法では、原理的にはLSIチップ内のデバイスに関する各寸法を計測可能であるが、たとえば特開2004−158478号公報に示されるように、特定のテストパターンに対してのみ計測が可能である。
特開2004−144587号公報では、マスクデータの利用を面積占有率算出用としているが、例えば細かい要素が多数あっても、一つの大きな要素があっても面積は同じとなることはあるため、計測視野におけるパターンの形状や細かさの影響を反映して計測位置を決定することは出来ない。
特開平11−186205号公報、特開2000−306871号公報、特開2003−382495号公報、特開2002−342399号公報、および特開2003−224098号公報のシミュレーション方法でも、面積占有率を基準として研磨過程を表現するため、シミュレーション結果に基づいて計測位置を決定しても、パターンの形状や細かさを反映して計測位置を決定することは出来ない。
特開2004−158478号公報の半導体デバイスの製造方法及びその製造システムでは、あらかじめ計測可能なテストパターンをチップ内部に作成しておき、その位置を計測するとしており、それ以外の位置を計測するための方法を示しておらず、LSIチップ内における複数の位置について計測を行うことは出来ない。
本発明は、以上のような従来技術の問題点に着目したものである。
まず、マスクデータを利用して計測視野におけるパターンの形状を取得する。その形状に基づきパターンの形状や細かさの特徴を評価することで、パターンに依存した計測可能性を判定可能とする。マスクデータを利用するのみで計測可能性を判定するので、計測を実施する事前に計測位置を自動で決定できる。またパターン自体の評価が可能であれば、マイコンの多品種化やSoC化に伴うチップ内のパターンの多様化したとしても、チップ内での構造の評価や、チップ内多点での計測可能性の判定が出来、さらに微細化に伴うパターンの違い、形状や細かさを評価出来る。
本発明は、多様なパターンを有するLSIチップ全域を検査する場合に、複数の計測位置の決定を事前に、自動的に行い、計測のスループットを向上し、レシピ作成工数を低減できるようにする検査方法である。
上記方法を実現するためには、まず、マスクデータより所定の領域に入るパターンの形状を取得し、座標毎に形状の有無を判定して画像信号を作成し、空間周波数を求め、空間周波数強度分布より、パターンの細かさもしくは形状の複雑さ、形状の量(面積占有率)を求める。これによりパターンの形状や細かさの計測への影響を反映して計測位置を決定できる。
判定方法として、まず、空間周波数強度分布における高周波領域の強度の総量を判定することで、パターンが細かさ、もしくは形状が複雑さに応じて、計測可能性を判定できる。
また、x方向、y方向といった2方向で空間周波数強度を集計し、比較することで、方向に依存した計測可能性を判定できる。
また、x方向、y方向別の空間周波数強度分布の自己相関関数をとり、最大の強度となる空間周波数強度分布の周期と第2位となる周期の比率を求め、下限値で判定することで、パターンの単純さに依存した計測可能性を判定できる。
さらに、パターンの細かさを評価する方法として、マスクデータ内部に存在する、形状要素をグループ化した設計単位であるセルの並びの数を取得し、セルの大きさとセルの数を集計して、セルの密集度を評価する。セルが密集であるほどパターンは細かい。これにより、画像処理技術を用いることなく、パターンの細かさを評価して計測可能性を判定できる。
以上より、マスクデータを利用することで、検査実施以前に、自動的な計測位置を選定でき、パターンの形状や細かさに基づく人手による計測位置の判定が不要になり、検査のスループットを向上できる。
本発明によると、マスクデータを利用して計測領域におけるパターンの形状を取得し、その形状に基づきパターンの形状や細かさの特徴を評価することで、パターンに依存した計測可能性を判定できる。マスクデータを利用するのみで計測可能性を判定するので、計測を実施する前に計測位置を自動で決定できる。よって、マニュアルの計測工数を低減でき、また検査レシピ調整作業が不要となるため装置スループットが向上する。
図1、図2に発明による、検査方法を示す。
この実施の形態を説明するため、本発明によるシステムの構成の例を図3に示す。
膜厚計測レシピ作成システム301で、膜厚計測レシピを作成し、製造ラインもしくは製造ショップ内にある膜厚検査装置321にレシピを提供する。膜厚計測装置321にシステム301を直接搭載してレシピを生成するか、ネットワークで接続してレシピを送信するか、もしくは外部のパソコンなどにシステム301を設置し、データ媒体を利用してレシピをコピーすることで、膜厚計測装置321で計測を実施する。
膜厚計測レシピ作成システム301には計測位置座標仮決定機能3011を備え、マスクデータ311を利用して、仮設定された各計測位置の計測可能性を計測可能性判定機能3012で判定して、計測位置座標を決定する。
マスクデータ311を利用して、計測可能性を判定するために、指標値を算出する。画像信号で評価するために、検査領域内形状取得機能3013と画像信号(ビットマップ)作成機能3014で検査の視野領域に属するマスク形状を取得して画像信号を作成し、空間周波数算出機能3015で空間周波数を作成する。得られた空間周波数を元に、パターン評価指標算出機能3016で計測可能性判定用の指標値を算出する。
マスクデータ311のデータファイル形式である階層型データ構造を探索して指標値を算出する場合には、マスクデータ階層構造取得・探索機能によりデータを探索しながら、セル領域サイズ取得機能3017、セル配列取得機能3018により、形状グループであるセルのサイズと、形状グループの配列であるセル配列を取得する。セルサイズと配列数に基づき密集度LSIチップ内分布作成機能3020により、LSIチップ内のセル配列領域での密集度の分布を求め、計測位置密集度算出機能3023により、仮設定した各計測位置の密集度を算出し、指標値とする。
検査とプロセスでの着工の手順における、システムの利用の例を図4に示す。本処理は検査を実施する前に実行される。
製品を製造する時には、まず製品の投入量とラインの処理能力に基づいて、製造計画が立案401される。なお、計画立案の段階では、既に製品の設計は完了している。通常、製品の製造が決定した段階で、製造や検査の基準が設定され、着工を通して、各種のレシピを作成・修正するが、本検査方法では、製品の着工前に、設計データの一つであるマスクデータを手配402し、マスクデータ403を入手する。そして膜厚計測レシピ作成システム404で計測位置を決定する。製品の着工作業時には、予め設定された膜厚計測レシピを、プロセス前/後の製品ウェハ411,414に対して、予め設定された膜厚計測レシピを検査装置に設定412, 413する。これにより、検査をしながらのレシピ作成・修正が不要となり、検査自動化・効率化が図れる。
本システムを利用した検査方法について説明する。まず、図1に示した、マスクデータより画像信号を作成して計測可能性を判定する、検査方法の処理内容を説明する。
まずステップ101では、検査対象となるLSIチップ内の計測位置を複数設定する。座標の決定方法の例を図5に示す。LSIチップのサイズをx, y方向でそれぞれLx, Lyとし、x方向にN点、y方向にM点で等間隔に計測位置を設定する場合には座標を(i×Lx/(N+1)、j×Ly/(M+1))、1≦i≦N、1≦j≦Mとすれば良い。
次にステップ102では、マスクデータを探索し、既計測位置の計測視野領域内に存在するすべての形状を取得する。計測領域とは、例えば図6に示すように、計測座標系原点O601に対して計測位置(x,y)602が設定され、幅Δx603、Δy604が設定されている場合、計測領域を(x±Δx, y±Δy)と決定できる。このような領域の内部に、マスクの形状が存在する場合には、例えば図7のような、領域701と形状702, 703, 704, 705の関係となる。形状702は形状全体が領域に入る場合であり、領域701に対する形状702の頂点の内外判定を行えば、形状701を取得できる。形状703, 704, 705はその形状の一部が、領域701に含まれる場合であり、形状703, 704, 705は領域701の境界と形状703, 704, 705の稜線との交差を判定すれば形状を取得できる。なお形状704, 705は、領域701における頂点の内外判定によっても形状を取得できる。
次にステップ103では、計測領域を等間隔に細分化し、細分化された各位置において形状の内部・外部に応じた数値を設定して、画像信号を作成する。図8に計測領域801を細分して、形状802に関する画像信号を作成する例を示す。形状802が領域801に入っている部分(A)803では、細分された小さい区画の中心が形状802の内部にある805のような区画と、外部にある804のような区画に応じて、区画に値を設定している。例えば805のような区画には”1”、804のような区画には”0”を設定する。これにより、領域801の画像信号、もしくはビットマップを作成できる。なお、形状802に対する、細分された区画の頂点の内外判定を行っても、画像信号を作成できる。
なお、作成する画像信号は、検査装置での検査の視野に相当するものではなければならない。例えば形状を斜めから観察するなど、2次元で定義された形状そのものを観察するとは限らない。また設計データが3次元形状として作成されている場合には、その形状を2次元の面上で表現することになる。
このような場合の画像信号作成として、射影による処理の例を図9に示す。平面図形を単純に視野とする場合の座標系を、原点O901より、w=1面を、+w方向902に眺めている状況とする。斜めから形状を眺めることは、傾いた対象を眺めることと同じである。よって、w=1面をw=pX+s面904に変換903する。この面上のX=s/(1-p)の情報を原点Oより眺めたとき905の像はw=1面上でX=1の情報となる。このように変換した面上の点と視点とを結ぶ直線とw=1面との交点に、変換した面上の点の情報を設定すれば射影された画像信号を得ることが出来る。
画像信号を作成した後に、ステップ104で、画像信号を2次元フーリエ変換し、空間周波数強度分布を作成する。2次元フーリエ変換は式(1)で定義される。システムを実装する際にはFFTを利用できる。強度Mは、式(2)のように、フーリエ変換後の複素数信号の、ノルムの2乗で定義できる。これにより周波数に対する強度の分布が得られる。
得られる空間周波数強度分布の性質について説明する。
図10(a)に、検査領域1001における狭いピッチのx方向パターン1003の例と、その空間周波数強度分布1005のグラフを、(b)に検査領域1002における広いピッチのx方向パターン1004の例と、その空間周波数強度分布1006のグラフを示す。なお空間周波数強度分布は、y=0上で、横軸をx方向の周波数、縦軸を強度としている。
狭いピッチのパターンでは、空間周波数強度分布1005は、高い周波数の位置で強度が大きく、広いピッチのパターンでは、空間周波数強度分布1006は、低い周波数の位置で強度が大きい。これにより周波数の位置での強度を評価することでパターンの細かさを評価できる。また周波数(fx,fy)=(0,0)、即ち空間周波数強度分布の原点における強度は、画像内の信号の平均に関連する量であり、これにより検査領域における形状要素の量を評価できる。
図11(a)に、検査領域1101における複雑なパターン1103の例と、その空間周波数強度分布1105の例と、(b)に検査領域1102における単純なパターン1104の例と、その空間周波数強度分布1106の例を示す。空間周波数強度分布のグラフは横軸をx方向の周波数、縦軸をy方向の周波数とし、濃淡で強度を表している。色が濃いほど、強度が大きい。
複雑なパターンでは、空間周波数強度分布は、低い周波数から高い周波数の範囲に広く分布するが、単純なパターンでは、強度分布は単純となり、さらにx方向の細かいパターンがあるため、x方向には高い周波数にも広く分布がある。
すなわち、複雑なパターンでは、x方向、y方向ともに高周波の範囲でも強度分布があり、単純なパターンでは高周波の範囲の強度は無いか、もしくは小さい。また検査領域におけるx方向、y方向のパターンの細かさ(ピッチの小ささ)の評価も出来る。
よって、ステップ105で、ステップ104で求めた空間周波数強度分布より、パターンの細かさ、形状の複雑さ、領域に占める形状の量を算出して、閾値を設けて比較することで計測可能性を判定する。
空間周波数強度分布より計測可能性を判定するには、まず、所定の周波数における強度を直接参照して、閾値と比較し、例えば、強度が閾値以上ならば、検査不可能と判定する方法がある。
空間周波数強度分布において、複雑なパターンほど検査不可能と判定したい場合には、高周波領域における強度を評価すれば良い。そこで、パターンの複雑さを表す指標を、全体の周波数領域における強度の総量に対する、所定の高周波領域における強度の総量の割合として算出し、その指標値を閾値判定すれば、パターンや形状の複雑さに依存する計測可能性を判定できる。この計算内容を図12に示す。横軸は周波数1201、縦軸に空間周波数強度1202を表す。全体の周波数領域における強度の総量は、低周波領域における強度の総量1203と高周波領域における強度の総量1204の和である。なお、画像信号には画像信号作成時のノイズなどが入る可能性があるため、ある上限を設けて、それ以上の強度の総量1205を無視する。本指標の算出式は式(3)となる。
空間周波数強度分布はx方向、y方向の2次元の周波数に関する強度分布なので、たとえば図13に示すような領域で強度の総量を算出する。図中、全体の周波数領域における強度の総量は斜線部1035と網掛け部1306の和となり、高周波領域はfxで下限1301と上限1302の間かfyで下限1303と上限1304の間の範囲である。式(4)は2次元の空間周波数での指標算出の例となる。
ここで、Mは空間周波数強度、fx, fyはx方向、y方向の周波数である。
計測可能性がパターンの方向に依存する場合には、x方向、y方向でのパターンの複雑さの指標値を算出し、x方向指標値とy方向指標値の比率をとることで、比率が大きすぎるか、小さすぎる場合に、細かいパターンがx方向か、y方向に偏って存在していることを判定できる。
このような例として、図14に検査領域1402に、x方向に細かいピッチで並ぶパターン1402を挙げる。y方向には3個程度の形状の並びであるが、x方向には12個並んでいる。
図15にx方向、y方向の空間周波数の強度分布と、それぞれの方向でのパターンの複雑さを表す指標の計算内容を示す。なお、特定の方向の空間周波数の強度分布は、例えば、それに直交する方向で総和か平均を取れば得られる。
パターンの複雑さを表す指標の高周波領域の総量は、図15(a)に示す分布1501の方が、(b)に示す分布1502よりも大きい。x方向での複雑さを表す指標をEx1503、y方向の指標をEy1504とすると、Ex>>Eyとなる。パターンの複雑さの方向依存性は、この2つの方向の複雑さの比率をとり、閾値(上限)Exy UCLと比較することで、例えば式(5)が成立する場合には検査不可能とする、などとして計測可能性を判定できる。
このように計測可能性を判定し、計測可能となる位置を、仮設定した計測位置より選別することで、計測位置を決定できる。
計測可能性が、パターンの単純さに依存する場合、すなわち視野領域において等しいピッチで形状要素が並んでいるような状況に依存する場合には、x方向、y方向別に空間周波数強度分布の自己相関関数を求め、自己相関関数の最大値と第2位との比率を判定することで、x方向、y方向について、比率が十分に小さい場合には、等しいピッチで形状要素が並んでいることを判定できる。
このような例として、図16にピッチが等しいパターンとピッチが不規則なパターンとそれらの空間周波数強度分布を示す。
この例の空間周波数強度は、パターンはx方向の並びなので、式(6)に示すように、周波数fy=0以外の領域ではいたるところで0(ゼロ)となる。
この場合には、fy=0上の、周波数fx上の1次元の空間周波数強度分布を評価する。この空間周波数強度分布の強度の大きい周波数の繰返しを求め、繰返しが一定である場合にパターンは単純であるとして検査可能性を判定できる。
この空間周波数強度の繰返しの求め方を説明する。データ系列の繰返しを求める方法としては自己相関関数を求める方法がある。図17に、図16で示した空間周波数強度分布の自己相関関数ρhを示す。自己相関関数ρhは式(7)で決まる。
繰り返し数sは、空間周波数強度分布の強度が繰り返して大きくなる間隔を意味する。すなわち周波数の目盛り幅が1であるならば、特定の繰り返し数sは周波数sであり、自己相関関数ρhにより周波数sの倍数で強度が大となることがわかる。図17(a)では繰返し数が6の倍数となるとき自己相関関数ρh1703が大きくなり、特に、第2位1705に対して最大値1704が大きくなる。一方、図17(b)では自己相関関数ρh1706の大きさに規則性はなく、最大値1707と第2位1708に大きな差は無い。そこで最大となる自己相関関数値ρhMAXと第2位となる自己相関関数ρh2ndの比率をとることで、最大値となる周波数のパターン以外のパターンが存在していることを判定できる。すなわち式(8)が成立する場合には、最大値となる周波数のパターンが視野内部に存在していることとなる。
なお、単純なパターンとしては図14に示したような形状要素がxy配列であるものも該当する。このような場合、空間周波数強度分布はx方向、y方向について存在することになる。そこで各方向について直交する方向で総和か平均を取れば、x方向、y方向の空間周波数強度分布が得られる。このx方向、y方向の空間周波数強度分布の自己相関関数を求め、それぞれで最大となる自己相関関数値と第2位の自己相関関数の比率をとることで、いずれの方向でも式(8)が成立する場合には、x方向、y方向それぞれで最大値となる周波数のパターンがxy配列として視野内部に存在しているとわかる。
単純なパターンでなければ計測できないといった場合には、このように計測可能性を判定し、計測可能となる位置を、仮設定した計測位置より選別することで、計測位置を決定できる。
以上が、図1による、マスクデータより画像信号を作成して計測可能性を判定して、検査を実施する検査方法である。
次に、図2に示した、マスクデータに存在する、形状グループであるセルの配列の密集度合より計測可能性を判定する、検査方法を説明する。
まずステップ201で、検査対象となるLSIチップ内の計測位置を複数設定する。
次にステップ202では、マスクデータのデータ構造を利用して、セルの密集度のLSIチップ内における分布を求める。マスクデータのデータ構造を説明するため、まず、セルについて示す。一つのセルの内部に複数の形状と別のセルへの参照を持つ。別のセルへの参照とは、セル内部にそのセルを配置することである。
図18にセルの例を示す。セルA1801がここで定義されるセルであり、この内部に形状1802と、点線で枠が示されている他のセルB1805、セルC1807、セルD1803への参照が定義される。セルD1803は一つのセルが配置されている例である。形状1804はセルD1803に定義されており、セルA1801に直接定義されるものではない。セルB1805とセルC1807はx方向に4つの配列として配置されている例である。形状1806、形状1808は、それぞれセルB1805、セルC1807に定義される。
ステップ202では、セル定義が階層構造となっているマスクデータを対象として、セルを下層に探索していき、セル内にあるセル配列のサイズと配列の数を取得して密集度を算出する。
セル定義の階層構造の例を図19に示す。セル1901を最上層のセル、もしくはトップセルと呼び、このセル1901を参照するセルは存在しない。セル1901はセル1911、セル1912、セル1913、セル1914を参照している。またセル1912はセル1921の配列を参照している。このようにセルの参照関係は階層構造となっており、トップセルから、参照しているセルを追っていくことで、階層構造を探索できる。
セル配列の一般的な定義を図20に示す。セル2001は内部にセル2002の配列を参照している。セル配列はx方向の個数n2004を列数、y方向の個数m2005を行数として、基準とする位置からセルの大きさでオフセットしながら、列数×行数分を並べたものである。よってセル配列の個数はn×m個となり、そのセル配列の領域サイズ2006は“一つのセルのサイズ×n×m”となる。
セル配列の密集度を、図21により示す。もしセル配列の領域サイズが同じであるならば、セルの数が多い配列2101の方が、セルの数が少ない配列2102よりも密となる。またセルの数が同じであるならば、セルのサイズが小さい配列2103の方が、セルのサイズが大きい配列2104よりも密となる。そこで、式(9)によりセルの密集度を算出できる。
以上により、図22に示すように、LSIチップ全域2201に対して、密集度が求められた各セル配列の領域2202の分布を作成できる。
次のステップ203で、仮決定した各計測位置に対して、その検査位置を領域内に含むセル配列の密集度を集計する。集計方法を図23で示す。計測位置2301を領域内に含むセル配列は2302, 2303, 2304であり、それぞれ密集度は20, 10, 5である。よって計測位置2301の密集度は20+10+5=35と集計できる。同様に計測位置2311を領域内に含むセル配列は2312, 2313であり、それぞれの密集度10, 5より、計測位置2311の密集度は15と集計できる。
最後に、ステップ204で、ステップ203で算出した各計測位置での密集度の集計値と閾値を比較し、計測可能性を判定する。再度図23で内容を示す。計測位置2301の密集度は35であり、計測位置2311の密集度は15である。例えばここで、計測可能性の上限値、すなわち、それよりも密集度が大きな値は計測できないとする値を、閾値として20と設定した場合、計測位置2301は計測不可能、計測位置2311は計測可能と判定できる。
このように各計測位置の計測可能性を判定し、計測可能となる位置を、仮設定した計測位置より選別することで、計測位置を決定できる。
以上が、図2による、マスクデータ内のセル配列の密集度より計測可能性を判定して、検査を実施する検査方法である。
本発明に記載した検査方法は、検査対象がLSIチップではなくとも、また検査対象が薄膜の膜厚でなくても、検査対象の計測領域にパターンが存在し、計測可能性がそのパターンの並びの細かさ、形状の複雑さ、形状要素の量に依存している場合に、形状の設計データを利用して、計測位置を決定して、検査を実施する検査方法に適用できる。
101…計測位置仮決定、102…各計測位置の計測領域内形状取得、103…画像信号作成、104…空間周波数算出、105…検査可能性判定、201…計測位置仮決定、202…形状グループ配列の密集度を算出、203…計測位置における密集度を集計、204…検査可能性判定、301…膜厚計測レシピ作成システム、3011…計測位置座標仮決定機能、3012…計測可能性判定機能、3013…検査領域内形状取得機能、3014…画像信号(ビットマップ)作成機能、3015…空間周波数算出機能、3016…パターン評価指標値算出機能、3017…セル領域サイズ取得機能、3018…セル配列取得機能、3019…マスクデータ階層構造取得・探索機能、3020…密集度LSIチップ内分布作成機能、3021…計測位置密集度算出機能、311…マスクデータ、312…膜厚検査装置、401…製品製造計画、402…マスクデータ手配、403…マスクデータ、404…膜厚計測レシピ作成システム、411…プロセス前ウェハ、412…プロセス前計測レシピ設定、413…プロセス後計測レシピ設定、414…プロセス後ウェハ、501…LSIチップ領域、502…x方向領域サイズ、503…y方向領域サイズ、504…計測位置、601…計測座標系原点、602…計測位置座標、603…x方向幅、604…y方向幅、701…計測領域、702…マスク形状、703…マスク形状、704…マスク形状、704…マスク形状、801…計測領域、802…マスク形状、803…計測領域とマスク形状の重複部分、804…マスク形状に含まれない計測領域を細分化した区画の中心、805…マスク形状に含まれる計測領域を細分化した区画の中心、901…視点(座標系原点)、902…視野投影面(w=1面)、903…傾け量、904…傾けられた対象、905…X=1でw=1面に原点から観察される像の傾けられた対象を得るための補助線、1001…計測領域、1002…計測領域、1003…狭ピッチパターン、1004…広ピッチパターン、1005…狭ピッチパターンの空間周波数強度分布(x方向)、1006…広ピッチパターンの空間周波数強度分布(x方向)、1101…計測領域、1102…計測領域、1103…複雑なパターン、1104…単純なパターン、1105…複雑なパターンの空間周波数強度分布、1106…単純なパターンの空間周波数強度分布、1201…周波数、1202…強度、1203…低周波領域における強度の総和、1204…高周波領域における強度の総和、1205…ノイズ領域における強度の総和、1301…x方向高周波領域下限、1302…x方向高周波領域上限、1303…y方向高周波領域下限、1304…y方向高周波領域上限、1305…低周波領域、1306…高周波領域、1401…視野領域、1402…x方向、y方向でピッチの異なるパターン、1501…x方向空間周波数強度分布、1502…y方向空間周波数強度分布、1503…x方向でのパターンの複雑さを表す指標、1504…y方向でのパターンの複雑さを表す指標、1601…視野領域、1602…視野領域、1603…等しいピッチのパターン、1604…ピッチが不規則なパターン、1605…等しいピッチのパターンの空間周波数強度分布、1606…ピッチが不規則なパターンの空間周波数強度分布、1701…等しいピッチのパターンの空間周波数強度分布、1702…ピッチが不規則なパターンの空間周波数強度分布、1703…空間周波数強度分布の自己相関関数、1704…自己相関関数の最大値、1705…自己相関関数の第2位、1706…空間周波数強度分布の自己相関関数、1707…自己相関関数の最大値、1708…自己相関関数の第2位、1801…形状グループ領域、1802…マスク形状、1803…形状グループで参照する形状グループ領域、1804…参照している形状グループ内のマスク形状、1805…形状グループで参照する形状グループ領域、1806…参照している形状グループ内のマスク形状、1807…形状グループで参照する形状グループ領域、1808…参照している形状グループ内のマスク形状、1901…トップとなる形状グループ、1911…トップセルの参照する形状グループ、1912…トップセルの参照する形状グループ、1913…トップセルの参照する形状グループ、1914…トップセルの参照する形状グループ、1921…形状グループ配列、1922…形状グループ、1931…形状グループ配列、1932…形状グループ配列、2001…形状グループ、2002…形状グループで参照する形状グループ、2003…形状グループ内のマスク形状、2004…x方向の形状グループ配列の個数(列数)、2005…y方向の形状グループ配列の個数(行数)、2001…数の多い形状グループ配列、2102…数の少ない形状グループ、2103…サイズの小さい形状グループ、2104…サイズの大きい形状グループ、2201…LSIチップ領域、2202…形状グループ配列の領域、2301…計測位置、2302…形状グループ配列の領域、2303…形状グループ配列の領域、2304…形状グループ配列の領域、2311…計測位置、2312…形状グループ配列の領域、2313…形状グループ配列の領域。
Claims (7)
- 複数の組成より構成される光透過性薄膜の膜厚の検査方法であって、
複数の計測位置を仮設定し、
各計測位置に対して、複数の組成の構成を決定する形状設計データより、計測に影響を及ぼす領域内部に入る複数の形状を取得し、
各種形状の内部か外部かに応じて、所定の数値を設定し、射影平面上に画像信号を作成し、
画像信号を周波数変換して空間周波数を求め、
周波数強度分布より、高周波領域の強度の大きさと、画像信号の平均の強度を元に、形状要素の並びの細かさや形状の複雑さ、また形状要素の量を評価して、複数の計測位置での膜厚の計測可能性を判定して、
検査が有効となる複数の計測位置を決定して、検査を実施する、検査方法。 - 半導体装置を構成する透明薄膜の膜厚の検査方法であって、
膜厚検査対象の候補となる、複数の計測位置を仮設定し、
ホトリソグラフィーで利用するマスクのパターンを決めるマスクデータより、検査装置の視野と検査に影響を及ぼす関連する領域の内部に入る複数の形状を取得し、
各種形状の内部、外部に応じて、所定の数値を割り当てて、領域の画像信号を作成し、
画像信号を周波数変換して空間周波数を求め、
周波数強度分布より、高周波領域の強度の大きさと、画像信号の平均の強度を元に、マスクパターンの細かさや、形状の複雑さ、また形状要素の量を評価して、複数の計測位置での膜厚の計測可能性を判定して、
検査が有効となる複数の計測位置を決定して、検査を実施する、検査方法。 - 請求項2記載の検査方法であって、
マスクパターンの細かさや形状の複雑さを表す指標を、全体の周波数領域における強度の総量に対する、所定の高周波領域における強度の総量の割合として算出し、その指標値がある上限値を超えることで、膜厚の計測可能性が低いと判定する、
ことを特徴とする、検査方法。 - 請求項2記載の検査方法であって、
パターンの細かさや形状の複雑さを表す指標を、x方向、y方向といった直交する2方向で求め、x方向の指標値に対するy方向の指標値の割合を方向指標値として、方向指標値が下限値に満たないか、もしくは上限値を超えるかにより、1方向のパターンに依存した膜厚の計測可能性を低いと判定する
ことを特徴とする、検査方法。 - 請求項2記載の検査方法であって、
空間周波数強度分布のx方向、y方向といった直行する2方向について、代表となる1次元の空間周波数強度分布を求め、
1次元の空間周波数強度分布の強さの繰返しを求め、
特定の繰返しに限り空間周波数強度が大きいことにより計測可能性を判定する
ことを特徴とする、検査方法。 - 請求項5記載の検査方法であって、
空間周波数強度分布のx方向、y方向といった直行する2方向について、代表となる1次元の空間周波数強度分布を求め、
1次元の空間周波数強度分布の自己相関関数を求め、
自己相関関数の変数の整数倍についての自己相関関数値の平均をとり、それら平均が最大値となるときの自己相関関数の変数を代表パターン繰り返し数とし、最大値に対する平均の第2位の比率をパターン混在指標値として、パターン混在指標値が下限値を下回ることにより、x方向、y方向、もしくはxy配列の単純なパターンが、代表パターン繰り返し数分存在しているとして、計測可能性を判定する
ことを特徴とする、検査方法。 - 半導体装置を構成する透明薄膜の膜厚の検査方法であって、
膜厚検査対象の候補となる、複数の計測位置を仮設定し、
ホトリソグラフィーで利用するマスクのパターンを決めるマスクデータは、一纏まりの形状要素を含む形状グループの配列として形状情報を格納する構成となっており、
マスクデータより、形状グループの配列の数と1形状グループのサイズで形状グループ配列の密集度を決定し、
指定した計測位置を含む複数の形状グループ配列の密集度を集計することで、計測位置における複数の形状グループに収まっている形状要素の数もしくは細かさを推定して、
集計値の基準に対する大小を判定することで、計測可能性を判定して、
検査が有効となる複数の計測位置を決定して、検査を実施する検査方法。
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2004
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