JP2006153279A - 直動型軸受および直動型軸受の潤滑膜形成方法 - Google Patents

直動型軸受および直動型軸受の潤滑膜形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006153279A
JP2006153279A JP2006028902A JP2006028902A JP2006153279A JP 2006153279 A JP2006153279 A JP 2006153279A JP 2006028902 A JP2006028902 A JP 2006028902A JP 2006028902 A JP2006028902 A JP 2006028902A JP 2006153279 A JP2006153279 A JP 2006153279A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid film
fluorine
containing polymer
linear motion
rail
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006028902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4333678B2 (ja
Inventor
Yasushi Toyoda
豊田  泰
Kazunori Hayashida
一徳 林田
Hiroaki Takebayashi
博明 竹林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2006028902A priority Critical patent/JP4333678B2/ja
Publication of JP2006153279A publication Critical patent/JP2006153279A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4333678B2 publication Critical patent/JP4333678B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Bearings For Parts Moving Linearly (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

【課題】直動型軸受において、発塵の抑制および潤滑性の向上を図り、長寿命を達成できる。
【解決手段】軸状のレール1と、それにスライド可能に取り付けられる移動体2と、レール1と移動体2との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体4とを備える直動型軸受であって、直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、固体膜が形成され、前記固体膜は、例えば下記化学式の結合を備えるとともに、流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である。
H O H
| || |
−N−C−N−
【選択図】図1

Description

本発明は、直動型軸受および直動型軸受の潤滑膜形成方法に係り、特に通常のグリースやオイルの使用ができない真空環境、清浄環境および腐食環境等で用いるのに好適な直動型軸受に関する。
前述の環境として、例えば半導体製造装置内部に配設される搬送系などが挙げられるが、このような環境では、直動型軸受の潤滑剤としてグリースを用いていると、グリースの油分が蒸発することにより、潤滑機能の劣化や使用環境の汚染といった不具合が発生する。
このような場合、従来では、主として、軸状のレールや筒状の移動体の軌道面あるいは転動体の表面などの少なくともいずれかに、金、銀、鉛、銅などの軟質金属、カーボンや二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を膜状にコーティングすることが行われている。
ところで、前述の固体潤滑剤からなるコーティング膜では、このコーティング膜が転動体の転動、摺動動作に伴い僅かずつ剥がれるなど、発塵状況がグリース使用時に比べると低レベルになるものの、特に清浄環境では不適合となるレベルである。特に、高荷重条件においては発塵量が増大する。
また、本願出願人は、バインダーにふっ素系樹脂を混合した固体潤滑剤を直動型軸受の構成要素にコーティングすることを行っており、この場合には、先の従来例よりも発塵を桁違いに減らせるようになる。
しかしながら、このコーティング膜でも、比較的大きなラジアル荷重がかかる状況において、剥離や欠落の他、摩耗による発塵が著しく増加し、発塵寿命が短くなる。しかも、前述のようなコーティング膜の剥離、欠落が発生すると、直動型軸受の転動、摺動部位での潤滑作用が低下して、金属どうしの接触となるなど凝着しやすくなる他、各構成要素の摩耗が促進されるなど、寿命という点において問題がある。また、腐食性ガスがある環境では、前述のようにコーティング膜の剥離、欠落箇所の各構成要素が腐食されることになる。
したがって、本発明の目的は、直動型軸受において、発塵の抑制および潤滑性の向上を図り、長寿命を達成できるようにすることである。
本発明の第1の直動型軸受は、軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、固体膜が形成され、前記固体膜は、少なくとも下記化学式71および72および73および74のいずれかの結合を備えるとともに、流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である。
Figure 2006153279
Figure 2006153279
Figure 2006153279
Figure 2006153279
本発明の第2の直動型軸受は、軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、固体膜が形成され、前記固体膜は、下記化学式61で示される化合物と末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体とを所定の割合で混合したものを、少なくとも下記化学式81および82および83および84のいずれかの硬化反応で架橋することで、少なくとも上記化学式71および72および73および74のいずれかの結合を備えるとともに、前記末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である。
Figure 2006153279
Figure 2006153279
Figure 2006153279
Figure 2006153279
Figure 2006153279
本発明の第3の直動型軸受は、軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、固体膜が形成され、前記固体膜は、少なくとも上記化学式71および72および73および74のいずれかの結合を備えるとともに下記化学式91で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である。
Figure 2006153279
本発明の第4の直動型軸受は、軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、固体膜が形成され、前記固体膜は、上記化学式61で示される化合物と末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体とを所定の割合で混合したものを、少なくとも上記化学式81および82および83および84のいずれかの硬化反応で架橋することで、少なくとも上記化学式71および72および73および74のいずれかの結合を備えるとともに上記化学式91で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、前記末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である。
本発明の第5の直動型軸受は、軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、固体膜が形成され、前記固体膜は、上記化学式91で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、前記固体膜は固体膜内部で流動可能で固体膜から滲み出る官能基なし含ふっ素重合体が分散した固体膜である。
前記末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が官能基なし含ふっ素重合体である。
前記固体膜は、3次元の網状構造を有している。
本発明の直動型軸受の潤滑膜形成方法は、官能基としてイソシアネート基を有する含ふっ素重合体を溶媒中に希釈してなる溶液に、官能基を有しない含ふっ素重合体を加えた溶液を用いて、直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、液状膜を付着させる工程と、前記付着した液状膜を硬化させることにより、官能基を有しない含ふっ素重合体を流動性を有したまま分散させた網状構造の末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理させ、固体膜を形成する工程とを含むものである。
このような本発明では、分子間が密に詰まって結合した固体膜であるから、直動型軸受の各構成要素間での転動、摺接時において、剥離や摩耗が発生しにくくなるとともに、転動、摺動抵抗が軽減されることになる。
特に、固体膜が含ふっ素重合体を流動可能な状態で分散添加している場合では、この流動可能な含ふっ素重合体が固体膜から滲み出て潤滑作用に寄与する。
前述の含ふっ素重合体としては、官能基なしのパーフルオロポリエーテルなどの含ふっ素重合体とする。
本発明の直動型軸受では、従来のコーティング膜に比べて剥離、欠落、摩耗が抑制できるとともに、転動、摺動抵抗を軽減できる固体膜を用いているから、発塵寿命と潤滑性を向上できるようになり、動作安定性および寿命の向上に貢献できる。
したがって、例えば半導体製造過程のように高精度な加工が要求されるところに本発明の直動型軸受を用いると、清浄雰囲気を阻害しにくくなるので、半導体製造品の歩留まり向上に貢献できる。
以下、本発明の詳細を図1ないし図11に示す実施例に基づいて説明する。図1ないし図8は本発明の一実施例にかかる直動型玉軸受を示しており、図1は、縦断面図、図2は、図1の横断面図、図3は、レールの横断面図、図4は、図1の直動型軸受に被覆形成した含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜の構造を模式的に表した構造図、図5は、含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜の硬化前の状態での性状分析結果を示すグラフ、図6は、含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜の硬化後の状態での性状分析結果を示すグラフ、図7は、同直動型軸受の発塵量測定に用いる試験装置の概略図、図8は、同直動型軸受のトルク寿命に関する試験結果を示すグラフである。
図中、Aは直動型玉軸受、1は円筒形の軸からなるレール、2は円筒部材からなる移動体、3はプレス製の保持器、4はボール、5は保持筒である。
レール1は、JIS規格SUS440C製でなり、その外周面の円周六箇所に軸方向に沿う直線状の溝6が全長に及んで設けられている。
移動体2は、同じくJIS規格SUS440C製でなり、その内周面の軸方向中間領域の円周六箇所にはレール1の近接する溝6に径方向で対向するようにそれぞれ負荷循環ボール列および無負荷循環ボール列用の軌道溝91,92が設けられている。
保持器3は、JIS規格SUS304製でなり、移動体2の内周面の一部に沿うように湾曲加工された円筒形状をなす。その両端部分は、保持筒5により支持されている。中央領域に各々六条の横長の環状溝31,32が対称的に設けられている。環状溝31の直線部分は底が貫通されて底無しとされて負荷循環ボール列41用とされている。環状溝32は底有りとされて無負荷循環ボール列42用とされている。
前述のレール1側と移動体2側の対向する二つの直線状の溝6,91がそれぞれ対となって合計六本の負荷用ボール転送路12を構成している。このボール転送路12に存在するボール4群は、保持器3の環状溝31の底無し直線部に位置する。また、移動体2の溝92と保持器3の環状溝32の底有り部とが対となって合計六本の無負荷用ボール循環路13を構成している。これら、六本のボール転送路12それぞれとそれに近い側に隣り合う六本のボール循環路13それぞれとが一本ずつ連通連結されていて、それでボール循環回路を構成している。このため、レール1と移動体2との相対的な軸方向スライド動作に伴って、このボール転送路12とボール循環路13との間でボール4群が転動循環されるようになっている。
ところで、レール1の溝6と移動体2の溝91の横断面は、サーキュレータアーク状に形成されるが、その他、ゴチックアーチ状でもよい。この場合、溝の横断面は、それぞれV字形状に形成されていて、対向する一対の溝6,91でボール4が四点接触支持されるようになる。この溝6,91それぞれの二つの斜面はそれぞれ緩やかな曲面に形成される。なお、レール1の溝6それぞれにボール4をあてがった状態でのボール4群の外接円径と、移動体2の溝91それぞれにボール4をあてがった状態でのボール4群の内接円径との差を調整して所定の予圧を付加することにより、一対の溝6,91でボール4を四点接触支持させるようにされる。
前述のレール1、移動体2およびボール4は、耐食性材料により形成されている。この耐食性材料としては、例えば上述のJIS規格SUS440Cなどのマルテンサイト系ステンレス鋼の他、例えばJIS規格SUS630などの析出硬化型ステンレス鋼に適当な硬化熱処理を施した金属材などが挙げられる。また、軽荷重用途では、例えばJIS規格SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼でもよい。
なお、レール1、移動体2およびボール4に関する耐食性材料としては金属材の他にもセラミックス材とすることができる。このセラミックス材としては、焼結助剤として、イットリア(Y2O3)およびアルミナ(Al2O3)、その他、適宜、窒化アルミ(AlN)、酸化チタン(TiO2)、スピネル(MgAl2O4)を用いた窒化けい素(Si3N4)を主体とするものの他、アルミナ(Al2O3)や炭化けい素(SiC)、ジルコニア(ZrO2)、窒化アルミ(AlN)などを用いることができる。また、保持器3は、例えばJIS規格SUS304の他、黄銅、チタン材などが好適に用いられるが、合成樹脂材料とすることもできる。この合成樹脂材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略称する)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのふっ素系樹脂やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ナイロン46などのエンジニアリングプラスチックスなどの使用も可能である。これらの樹脂にはガラス繊維などの強化繊維が添加されていてもよい。
これらの直動型玉軸受Aの各構成要素の転動、摺動部位には、含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16が形成されている。但し、図には、固体膜16をボール4だけに形成したように例示しているが、レール1の溝6、移動体2の溝91、保持器3の環状溝32の表面や外表面にも形成される。
含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16は、−CXF2X−O−という一般式(Xは1〜4の整数)で示される単位を主要構造単位とし、いずれも平均分子量が数百万以上で硬化反応により分子間が結合された3次元の網状構造を有している。3次元の網状構造とは、化学構造上の表現であって、膜の断面が網状になっているのではなく、分子間が網状のように連続してつながって密に詰まった均質な構造になっていることを意味している。このような重合体としては、下記化学式1に示すような末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体を用いて、化学構造を変化させたものとすることができる。前述の末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体としては、パーフルオロポリエーテル(PFPE)の誘導体、具体的に例えばモンテカチーニ社の商品名フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOCなど)が好適に用いられる。
Figure 2006153279
次に、前述の含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16の形成方法の一例を説明する。
(a) 含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16を得るための溶液を用意し、この溶液中にレール1、移動体2、保持器3およびボール4をそれぞれ個別に、用意した潤滑油中に浸漬するか、あるいはそれらを組み立てた完成状態の直動型玉軸受Aを潤滑油中に浸漬して数回回転させることにより、レール1、移動体2、保持器3およびボール4の転動、摺動部位に液状膜を付着させる(付着処理)。ここで用意する溶液は、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕を希釈溶媒(ふっ素系溶剤
SV90D)で含ふっ素重合体の濃度を1mass%にまで希釈したものとする。
(b) 液状膜を付着した直動型玉軸受Aの全体を、40〜50℃で約1分間加熱し、液状膜に含む溶媒を除去する(乾燥処理)。この時点では、液状膜のままであり、流動性を有している。
(c) この後、例えば100〜200℃で20時間、加熱する(硬化処理)。これにより、液状膜の化学構造が変化することにより硬化反応して含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16が得られる。ちなみに、この硬化処理では、液状膜に存在している官能基付き含ふっ素重合体の個々について、下記化学式2〜5に示すような4種の硬化反応でもって末端のイソシアネート(NCO)が消失し、各官能基付き含ふっ素重合体が互いに結合することにより3次元の網状構造となる。結合は、化学式2,3に示すような硬化反応でもって、図4(a)に模式的に示すように直線的に架橋するとともに、化学式4,5に示すような硬化反応でもって、図4(b)に模式的に示すように3次元方向で架橋する。
Figure 2006153279
Figure 2006153279
Figure 2006153279
Figure 2006153279
このようにすれば、直動型玉軸受Aの構成要素において互いに接触する部位にふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16を好適な膜厚で形成することができる。なお、(a)、(b)は必要に応じて数回繰り返すようにしてもよく、最終的には、用途に応じて、含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16の膜厚を例えば0.1〜3μmの範囲で適宜に設定することができる。
ここで、(a)で用意した溶液を濃縮乾燥しただけの状態(流動性がある状態)と、(a)で用意した溶液をステンレス鋼板などの試料に付着して硬化した状態とについて、その性状を分析したので説明する。
前者は、FT−IR法(フーリエ変換−赤外分光、液膜法)で分析している。その結果は、図5のグラフに示すように、ふっ素系のピーク以外にNH(3300cm-1)、N=C=O(2279cm-1)、NHC=O(1712cm-1,1546cm-1)、ベンゼン(1600cm-1)などのピークが見られ、ベンゼン環、NHC=O結合、イソシアネートが官能基として存在していることが確認できる。ここでは、薄膜と厚膜との場合についてそれぞれ調べているが、膜厚に関係なく分析が行えた。後者は、FT−IR法(フーリエ変換−赤外分光、高感度反射法)で分析している。その結果は、図6のグラフに示すように、ベンゼン環やNHC=O結合のピークが見られるが、イソシアネートのピークが見られない。つまり、これらの結果に基づき、上記化学式2〜5に示す硬化反応による官能基の化学構造変化が確認される。
以上説明した含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16は、それ自体3次元の網状構造をもって、被覆対象上に緻密に被覆されるとともに自己潤滑性を有するため、直動型軸受の各構成要素間の転動、摺動動作に伴う摩耗、剥離といった発塵を抑制できるようになり、直動型軸受の各構成要素どうしの直接的な接触を回避できるようになる。
ところで、本発明の他の実施例として、上記実施例で説明した含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16について、分子間がウレタン結合した3次元の網状構造中に、フルオロポリエーテルなどの含ふっ素重合体を流動可能に分散添加した構造とする。この場合、具体的に、上記での形成方法の(a)の付着処理において、用意する溶液を、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔例えば商品名フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOCなど)〕と、含ふっ素化合物として官能基なし含ふっ素重合体〔例えば商品名フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60など)〕とを所定の割合で混合したものとすればよい。このため、(c)の硬化処理において、官能基なし含ふっ素重合体が、官能基付き含ふっ素重合体と結合しないので、これが、含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16の内部において流動可能となり、含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16から滲み出るなどして潤滑作用を発揮することになる。
そして、上述した含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16についての大気環境での発塵寿命、真空環境でのトルク寿命を調べているので、説明する。ここでは、実施例、参考例1〜3、比較例の計5つを挙げている。
実施例、参考例1〜3では、含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜をレール、移動体、保持器、ボールの全表面に形成しており、膜厚は、1μmに設定している。
参考例1の含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜は、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕のみを用いて得ている。
参考例2の含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜は、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕に対して、末端が水酸基(−OH)の官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DOL)〕を添加して得ている。
実施例の含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜は、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕に対して、官能基なし含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60)〕を添加して得ている。
参考例3の含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜は、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕に対して、末端が水酸基の官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DOL)〕と、官能基なし含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60)〕とを添加して得ている。
比較例は、レール、移動体、保持器、ボールの全表面にコーティング膜を形成したものとする。このコーティング膜は、熱硬化性合成樹脂(ポリイミド)からなるバインダー中にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を分散混合したものであり、膜厚は1μmとしている。このコーティング膜は、比較的硬質で緻密な熱硬化性合成樹脂が海状となり、不均質なポリテトラフルオロエチレンが島状に点在する構造となっており、両者の結合が弱い状態になっている。
試験は、図7に示す装置を用いている。図中、60は試験用直動型玉軸受、61はレール、62はケース、63はパーティクルモニタ、64は負荷用重り、M1およびM2は負荷用重り駆動用のモータである。
試験条件は、下記のとおり。
・往復速度 :20〜30mm/s
・荷重 :ラジアル荷重(25N,50N,100N)
・ストローク:100mm
・雰囲気 :大気、クリーンベンチ内(クラス10)
真空(2.6×10-4Pa以下)
・環境温度 :室温
・計測条件 :粒子径0.1μm以上の発塵粒子数
試験に用いた直動型玉軸受は、光洋精工(株)製型番SESDM10ST5である。
(i) 発塵寿命試験では、雰囲気を大気、環境温度を室温、ラジアル荷重を100Nとしている。発塵寿命試験では、総発塵量が1000個/0.1cf以上となる状況を、連続10回測定した時点までの時間を計測し運動距離に換算している。なお、測定は10分間隔とする。参考例1のフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度を1mass%とし、参考例2は、ベースとなるフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度を1mass%、添加するフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DOL)の濃度を0.25mass%、実施例は、ベースとなるフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度を1mass%、添加するフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60)の濃度を0.25mass%、参考例3は、ベースとなるフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度を1mass%、添加するフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DOL)およびフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60)の濃度を合わせて0.25mass%とする。
結果としては、比較例で10km、参考例1で15km、参考例2で30km、実施例で60km、参考例3で58kmとなり、寿命が長い順に実施例、参考例3、参考例2、参考例1、比較例となる。つまり、参考例1のようにフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)のみを用いて得た含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜でも比較例に比べて優れるが、参考例2,3のようにベースとなるフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)に対して側鎖に官能基を持つフォンブリンZ誘導体や、実施例の官能基を持たないフォンブリンZ誘導体を添加して得た含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜の方が参考例1よりもさらに優れるのである。
つまり、実施例及び参考例1,参考例2,参考例3の含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16では、3次元の網状構造で密に詰まった均質膜になっているから、直動型玉軸受Aの各構成要素間での転動、摺動時において、剥離や摩耗が発生しにくくなるのである。
ちなみに、実施例,参考例3において、ラジアル荷重を50Nにした場合だと発塵寿命は各々100km、95km、また、25Nにした場合だと発塵寿命は各々300km、295kmにと大幅に向上する。参考例2や1についても実施例,参考例3の場合と同様の比率で向上する。一方、比較例において、ラジアル荷重を50Nにした場合だと発塵寿命は20kmにと向上するものの、実施例に比べると、かなり低いレベルとなる。
以上の結果より、含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16としては、フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)のみを用いて形成するよりも、何らかの潤滑油を添加するのが好ましいことが分かった。添加する潤滑油については、上記結果より、官能基を持たないフォンブリンZ誘導体が最も好ましいことも分かった。
そこで、添加量について検討する。ベースとなるフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度を1mass%として、添加するフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60)の濃度を0.25mass%、0.5mass%として、発塵寿命(ラジアル荷重100N)を調べた。結果的には、0.25mass%で60km、0.5mass%で40kmとなり、0.25mass%が適当であると考えられる。但し、添加量については、上限、下限に余裕を持たせて、ベースとなるフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度1mass%に対して、添加するフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60)の濃度0.1〜0.75mass%の範囲とすることができる。また、ベースとなるフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度は、1〜10mass%の範囲とすることができる。この場合、ベースとなるフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度を例えば上限の5mass%とする場合には、添加するフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60)の濃度も0.5〜2.5mass%の範囲として、両方の比率を常に一定に設定するのがよい。但し、ベースの濃度は濃くするにつれて発塵寿命が低下する傾向となる。
(ii) トルク寿命試験では、雰囲気を真空、環境温度を室温とし、ラジアル荷重を25N、50Nとしている。ここでは、実施例と比較例とを調べている。図8のグラフに示すように、実施例では、50kmで打ち切っているが、ラジアル荷重25Nでトルク0.01〜0.02N・m、ラジアル荷重50Nで0.02〜0.03N・mと軽減できたが、比較例では、ラジアル荷重25Nでトルク0.02〜0.03N・m、ラジアル荷重50Nでトルク0.04〜0.05N・mとなる。このように、実施例のものは比較例に比べてトルクを約1/2と、かなり軽減できるようになる。
このように、トルク寿命は、比較例に比べて格段に優れた結果となった。これはつまり、ベースとなる成分に対して添加する成分が結合しないから、この添加した成分が流動性を有することになり、それによって潤滑作用を発揮するために、トルク軽減に効果をもたらすものと考えられる。
なお、本発明は上記実施例のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
(1) 上記実施例で説明した直動型玉軸受の他の種類、例えば図9および図10に示すように、角状レール1に跨がった鞍型移動体2を備えた、いわゆる直動ガイドなどの直動型軸受にも本発明を適用できる。また、図11に示すように、転動体を備えないタイプについても、本発明を適用できる。これらについても、固体膜16の形成位置は、少なくとも転動部位や摺動部位とすればよい。
(2) 上記実施例において(c)の硬化処理については、加熱に代えて、紫外線、赤外線、γ線、電子線などの電磁波(光)のエネルギーを利用することができる。
(3) 上記実施例において(b)の乾燥処理は、省略してもよい。
(4) 上記実施例では、含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16をレール1、移動体2、保持器3およびボール4のすべてに形成しているが、レール1、移動体2、保持器3だけあるいはボール4だけに形成することができる。
(5) 上記実施例では、含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜16を被覆対象の外表面にも形成しているが、レール1の溝6、移動体2の溝91、保持器3の環状溝32だけに形成することができる。この場合には、不要箇所をマスキングしておいて、直動型軸受として組み立てる前に各単体を上記(a)で用意する溶液中に浸漬して、適宜硬化させるようにすればよい。但し、外表面にも固体膜16を形成していれば、耐食性環境での使用においても腐食防止効果が強くなり、別途、腐食防止処理を施さなくて済む。
本発明の一実施例にかかる直動型玉軸受の縦断面図 図1の横断面図 レールの横断面図 図1の直動型軸受に被覆形成した含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜の構造を模式的に表した構造図 含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜の硬化前の状態での性状分析結果を示すグラフ 含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜の硬化後の状態での性状分析結果を示すグラフ 同直動型軸受の発塵量測定に用いる試験装置の概略図 同直動型軸受のトルク寿命に関する試験結果を示すグラフ 本発明の他の実施例にかかる直動ガイドの斜視図 図9の横断面図 本発明のさらに他の実施例の直動ガイドの横断面図
符号の説明
A 直動型玉軸受
1 レール
2 移動体
3 保持器
4 ボール
6 軸の溝
91 移動体の溝
31 保持器の環状溝
12 ボール転送路
13 ボール循環路
16 含ふっ素ポリウレタン高分子化合物の固体膜

Claims (18)

  1. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、
    直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    少なくとも下記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに、流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
    Figure 2006153279
    Figure 2006153279
    Figure 2006153279
    Figure 2006153279
  2. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、
    直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    下記化学式21で示される化合物と末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体とを所定の割合で混合したものを、少なくとも下記化学式41および42および43および44のいずれかの硬化反応で架橋することで、少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに、前記末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
    Figure 2006153279
    Figure 2006153279
    Figure 2006153279
    Figure 2006153279
    Figure 2006153279
  3. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、
    直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに下記化学式51で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
    Figure 2006153279
  4. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、
    直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    上記化学式21で示される化合物と末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体とを所定の割合で混合したものを、少なくとも上記化学式41および42および43および44のいずれかの硬化反応で架橋することで、少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに上記化学式51で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、前記末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  5. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、
    直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    上記化学式51で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、前記固体膜は固体膜内部で流動可能で固体膜から滲み出る官能基なし含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  6. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、
    前記レールおよび移動体が金属で形成され、少なくともレールおよび移動体の軌道面に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに、流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  7. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、
    前記レールおよび移動体が金属で形成され、少なくともレールおよび移動体の軌道面に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    上記化学式21で示される化合物と末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体とを所定の割合で混合したものを、少なくとも上記化学式41および42および43および44のいずれかの硬化反応で架橋することで、少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに、前記末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  8. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、
    前記レールおよび移動体が金属で形成され、少なくともレールおよび移動体の軌道面に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに上記化学式51で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  9. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、
    前記レールおよび移動体が金属で形成され、少なくともレールおよび移動体の軌道面に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    上記化学式21で示される化合物と末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体とを所定の割合で混合したものを、少なくとも上記化学式41および42および43および44のいずれかの硬化反応で架橋することで、少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに上記化学式51で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、前記末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  10. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体と、レールと移動体との間に配置されてそれらの相対的なスライド動作に伴い転動循環される複数の転動体とを備える直動型軸受であって、
    前記レールおよび移動体が金属で形成され、少なくともレールおよび移動体の軌道面に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    上記化学式51で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、前記固体膜は固体膜内部で流動可能で固体膜から滲み出る官能基なし含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  11. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体とを備える直動型軸受であって、
    直動型軸受の構成要素の少なくとも摺動部位に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに、流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  12. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体とを備える直動型軸受であって、
    直動型軸受の構成要素の少なくとも摺動部位に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    上記化学式21で示される化合物と末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体とを所定の割合で混合したものを、少なくとも上記化学式41および42および43および44のいずれかの硬化反応で架橋することで、少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに、前記末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  13. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体とを備える直動型軸受であって、
    直動型軸受の構成要素の少なくとも摺動部位に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに上記化学式51で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  14. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体とを備える直動型軸受であって、
    直動型軸受の構成要素の少なくとも摺動部位に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    上記化学式21で示される化合物と末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体とを所定の割合で混合したものを、少なくとも上記化学式41および42および43および44のいずれかの硬化反応で架橋することで、少なくとも上記化学式31および32および33および34のいずれかの結合を備えるとともに上記化学式51で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、前記末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  15. 軸状のレールと、それにスライド可能に取り付けられる移動体とを備える直動型軸受であって、
    直動型軸受の構成要素の少なくとも摺動部位に、
    固体膜が形成され、前記固体膜は、
    上記化学式51で示される単位を主要構成単位とした固体膜であって、前記固体膜は固体膜内部で流動可能で固体膜から滲み出る官能基なし含ふっ素重合体が分散した固体膜である、ことを特徴とする直動型軸受。
  16. 前記末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が官能基なし含ふっ素重合体である、請求項1,2,3,4,6,7,8,9,11,12,13ないし14のいずれかに記載の直動型軸受。
  17. 前記固体膜は、3次元の網状構造を有している、請求項1ないし16のいずれかに記載の直動型軸受。
  18. 官能基としてイソシアネート基を有する含ふっ素重合体を溶媒中に希釈してなる溶液に、官能基を有しない含ふっ素重合体を加えた溶液を用いて、直動型軸受の構成要素の少なくとも転動、摺動部位に、液状膜を付着させる工程と、
    前記付着した液状膜を硬化させることにより、官能基を有しない含ふっ素重合体を流動性を有したまま分散させた網状構造の末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理させ、固体膜を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする直動型軸受の潤滑膜形成方法。
JP2006028902A 1995-09-11 2006-02-06 直動型軸受および直動型軸受の潤滑膜形成方法 Expired - Fee Related JP4333678B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006028902A JP4333678B2 (ja) 1995-09-11 2006-02-06 直動型軸受および直動型軸受の潤滑膜形成方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23261095 1995-09-11
JP2006028902A JP4333678B2 (ja) 1995-09-11 2006-02-06 直動型軸受および直動型軸受の潤滑膜形成方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23750396A Division JP3795146B2 (ja) 1995-09-11 1996-09-09 直動型軸受および直動型軸受の潤滑膜形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006153279A true JP2006153279A (ja) 2006-06-15
JP4333678B2 JP4333678B2 (ja) 2009-09-16

Family

ID=36631805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006028902A Expired - Fee Related JP4333678B2 (ja) 1995-09-11 2006-02-06 直動型軸受および直動型軸受の潤滑膜形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4333678B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP4333678B2 (ja) 2009-09-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100383523B1 (ko) 구름베어링및구름베어링의윤활막형성방법
JP3795146B2 (ja) 直動型軸受および直動型軸受の潤滑膜形成方法
JP3698830B2 (ja) 送りねじおよび送りねじの潤滑膜形成方法
US6808310B2 (en) Rolling bearing
KR100473042B1 (ko) 롤링슬라이드부품
JP4476606B2 (ja) 転動装置
CN111853066A (zh) 滚动轴承、机械元件及固体膜形成方法
JP4333678B2 (ja) 直動型軸受および直動型軸受の潤滑膜形成方法
JP3785198B2 (ja) 転がり軸受
JPH06280881A (ja) 転がり軸受
JP3838273B2 (ja) 転がり軸受および転がり軸受の潤滑薄膜形成方法
JP3903151B2 (ja) ボールねじおよびボールねじの潤滑薄膜形成方法
JPH08240223A (ja) 直動型軸受および直動型軸受の潤滑薄膜形成方法
JP2001173667A (ja) 転動装置
JP3857449B2 (ja) 低発塵転がり摺動部品
JP3614508B2 (ja) 直動型軸受
JP3160742B2 (ja) ボールねじ
JP2003301920A (ja) 転動装置
JP3707716B2 (ja) 情報機器
JP4730392B2 (ja) 転がり軸受の製造方法
JP2000205280A (ja) 転がり摺動部品
JP2002357221A (ja) 直動案内軸受装置
JP2006145046A (ja) 転がり摺動部品

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090303

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090507

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090602

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090615

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees