JP2006152711A - 排水管構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 排水の流れを螺旋状にすることにより管の内周面に沿わせて流すことができると共に、例えば、近年超高層集合住宅に必要不可欠な設備となってきているディスポーザ排水の固液分離を避けて管路閉塞を防ぐ排水管構造、また、排水の流れを利用して発電を行うことを可能とする排水管構造を提供すること。
【解決手段】 排水管4,10の内周面に沿って流れる排水Dに衝突する翼11aと、排水管10内の中心部に形成された貫通穴15とを備え、排水Dが翼11aに衝突することにより回動するように構成されたタービン11を、縦方向に配置された排水管4,10内に設置してある。
【選択図】 図2

Description

本発明は、建築物の縦方向の排水管に用いられる排水管構造に関する。
従来より、高層マンションや高層ビルなどの建築物では、雨水や生活排水などの排水をまとめて縦方向に流す集合管(以下、排水立て管という)を用いる。この排水立て管内を流れる排水は理想的にはその内周面に沿うように流れ、排水立て管の中心部には通気部を形成することが望ましい。そこで、排水をスパイラル状に流すために、例えば横方向の排水管の配置を工夫することにより排水立て管内へ排水を流入させる部分において、その流れが所定方向の旋回流となるように合流させることなどが行われている。
高層集合住宅のディスポーザ排水に適する排水立て管システムの検討〔空衛学会学術講演論文集(2000)〕 特開2003−254220号公報
ところが、排水立て管内の排水の流れをどの部分においても安定してスパイラル状にすることは難しく、重力に従って真っ直ぐ下方に流れたり排水立て管の内周面から離れて管中心部を流れることもある。
とりわけ、固液混合液であるディスポーザ排水は、管長が長くなると固体は管中心部を落下してしまい、液体は管壁を伝い流れることで、固体と液体が分離することが知られている。この固液分離が発生すると、分離した固体は排水立て管の中心部に堆積して管路を閉塞するなどして、排水障害が発生することがあった。
非特許文献1では特にディスポーザ排水を流す排水立て管において発生する排水障害の詳細が説明されている。非特許文献1には、とりわけディスポーザ排水の細かく粉砕された生ゴミが大きな表面積を露呈しながら排水より速く排水立て管内を落下することにより管路の閉塞が生じて、高層住宅に設置された排水立て管の中層部には大きな負圧が発生することが示されている。
また、非特許文献1には、ディスポーザ排水に含まれる生ゴミの量が多くなると、排水立て管の下層部において粉砕生ゴミの大きな堰が形成されるので、大きな正圧が発生することが示されている。つまり、高いところから落ちる生ゴミの運動エネルギーは排水立て管の破損をもたらしかねない大きな圧力となって現れており、この運動エネルギーは無駄に捨てられていたり、排水立て管にとって害をもたらす危険なものとなっていた。
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的は、排水の流れを螺旋状にすることにより管の内周面に沿わせて流すことができると共に、例えば、近年超高層集合住宅に必要不可欠な設備となってきているディスポーザ排水の固液分離を避けて管路閉塞を防ぐ排水管構造、また、排水の流れを利用して発電を行うことを可能とする排水管構造を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の排水管構造は、排水管の内周面に沿って流れる排水に衝突する翼と、排水管内の中心部に形成された貫通穴とを備え、排水が翼に衝突することにより回動するように構成されたタービンを、縦方向に配置された排水管内に設置してあることを特徴としている。
前記排水管がディスポーザ排水管であってもよい(請求項2)。
前記タービンの回転力を用いて発電する発電機構を備えてもよい(請求項3)。
前記タービンを所定の間隔をおいて複数配置してあってもよい(請求項4)。
請求項1に記載の排水管構造は、排水管の内周面に沿って流れる排水がタービンの翼に衝突することにより、タービンが回転すると共に排水の流れに回転方向の力を加えて、その流れを螺旋状にすることができる。つまり、重力によって真っ直ぐ下方向に流れはじめた排水の流れを螺旋状にすることにより、遠心力によって排水管の内周面に確実に沿う流れとすることができる。また、前記タービンの形状は排水管内の中心部に貫通孔を形成するものであるから、排水管内にタービンを介在させることにより通気孔が塞がれることはない。
前記排水管がディスポーザ排水管である場合(請求項2)には、ディスポーザ排水に含まれる固体と液体が分離する前に、タービンの回転によってこれらを攪拌することができ、スラリー状のディスポーザ排水を排水管の内周面に沿うように流すことができる。つまり、ディスポーザ排水中の固体だけが排水管の中心部を通って先に落下することによる管路閉鎖の発生を抑えることができる。
前記タービンの回転力を用いて発電する発電機構を備えた場合(請求項3)には、排水の流れる力を用いて発電することができるので、従来は無駄に捨てられていたエネルギーを回収して、これを共用部分の電力などで利用することができる。また、化石燃料の消費を低減することにより、地球温暖化の防止に寄与することができる。逆に、外部から発電機構に電力を供給すると、この発電機構を電動機として用いてタービンを回転させることも可能であるから、排水に対して外部から強制的に回転力を供給したり、タービンに付着するかもしれないゴミなどの除去を行なうことも可能となる。
前記タービンを所定の間隔をおいて複数配置してある場合(請求項4)には、排水の流れが螺旋状から直線状にかわる部分や、ディスポーザ排水の固液分離が始まる部分において、排水を攪拌しながら螺旋状に回転させることができるから、排水の流れを適正に整えることができる。なお、例えばディスポーザ排水用の排水管構造ではタービンを配置する間隔は例えば30m間隔であって、この間隔がタービンの回転により分離しかけた固液が再び混合されるのにちょうどよい間隔である。
図1は本発明の排水管構造1を用いた排水設備の全体構成を示す図である。図1において、2は高層マンションなどの高い建築物、3はこの建築物2の各階に張り巡らされて各居住区から排出されるディスポーザ排水をまとめて流通するための横方向の排水管、4は各階の横方向の排水管3に連通連結させて建築物2全体でまとめられたディスポーザ排水を縦方向に流通させる排水管、5は排水管4に沿って流されたディスポーザ排水を一旦貯留すると共に浄化処理する処理装置、6は浄化された排水を下水処理場まで流すための公共の下水道などの下水管である。
図1に示す排水設備を用いることにより建築物2に含まれる各居住区から排出されるディスポーザ排水をまとめて浄化処理し、この浄化された排水を下水道6に流すことができる。したがって、住民は生ゴミをディスポーザによって粉砕して処分するだけで、生ゴミを水と混ぜ合わせてスラリー状のディスポーザ排水にして廃棄することができる。
また、前記縦方向の排水管4は、所定の間隔毎に本発明の排水管構造1を備えている。この所定の間隔とはディスポーザ排水に含まれる固体(粉砕された生ゴミ)と液体(主に水分)の分離が始まる距離よりも短い間隔であり、例えば30m以下の所定間隔である。これによって、排水管4内を流れるディスポーザ排水の生ゴミと水分が分離することなく、スパイラル状に流れるので、このディスポーザ排水がスラリーの状態で排水管4の内周面に接しながら下方に流れることができる。
図2は前記排水管構造1の構成の概略を示す図である。
図2に示すように、本発明の排水管構造1は排水管本体10と、この排水管本体10の上下端部に形成されたフランジ10a,10bと、排水管本体10内部に入った状態で排水管本体10の中心Cを回転の中心として回動自在に構成されたタービン11と、このタービンの軸受け12と、タービン11の回転力を電力に変換するためのコイル13とを有する。すなわち、本発明の排水管構造1はタービン11,軸受け12,コイル13からなる発電ユニット(発電機構)14を備えている。
また、Dはディスポーザ排水であり、Daはディスポーザ排水Dに含まれる生ゴミ、Dbはこの生ゴミDaと共に流される水などの水分であり、Aは排水管4,10内を流れる気体(空気)の流れを示している。
本発明の排水管構造1において用いるタービン11が一般的なタービンと異なる点は、その軸心部、つまり、排水管10の中心部に貫通穴15を形成してある点である。そして、前記タービン11はその翼11aがほゞ排水管4,10の内周面に沿って流れるディスポーザ排水Dに当たることにより、このディスポーザ排水Dに含まれる生ゴミDaの落ちる速度を遅くすると共に、タービン11が回転することにより生ゴミDaと水分Dbとを攪拌し、かつ、ディスポーザ排水Dに回転方向の流れを作って下方に流すものである。
したがって、本発明の排水管構造1はディスポーザ排水Dの落ちる運動エネルギーを用いてディスポーザ排水Dが排水管4,10の内周面に沿って流れるようにするものであるから、ディスポーザ排水Dが流れるのは排水管10に沿う部分のみであり、この排水管4,10の中心部には積極的に気道となる貫通穴15を確保することにより、排水管4,10の閉塞を防止しているのである。
また、本実施例の排水管構造1はタービン11の回転力を用いて電力を得ることができる前記発電ユニット14を備えている。したがって、前記ディスポーザ排水Dの運動エネルギーを用いてディスポーザ排水Dの攪拌を行い、かつ、ディスポーザ排水Dに回転方向の流れを形成するだけでなく、余った運動エネルギーを電力に変換して、これを有効利用することが可能である。この発電ユニット14によって得られた電力は例えば共用部分に用いる電力として用いることができる。さらには、発電ユニット14を逆に電動機として用いてもよく、この場合には、排水管4,10の外部からディスポーザ排水Dを攪拌し、これに回転方向の力を加えるための動力を供給することができる。
図3は図2に示す排水管構造1のさらに具体的な構成を示す図である。なお、図3は本発明の排水管構造1の理解を深めるために説明する単なる一例であるから、本発明は図3に示す詳細な構成に限定されるものではないことはいうまでもない。
図3に示す実施例においては、排水管10は例えば前記発電ユニット14の上部に位置する略円筒状の第1排水管10Aと、発電ユニット14の下部に位置する略円筒状の第2排水管10Bと、両排水管10A,10Bを連結する連結部材10Cとからなる。また、第1排水管10Aの上端に形成されたフランジ10aは上流側の排水管4に形成されたフランジ4aと密着し、第2排水管10Bの下端に形成されたフランジ10bは下流側の排水管4に形成されたフランジ4bと密着する。また、前記フランジ10a,10bが形成された部分の排水管10の内径は上下に配置される排水管4の内径に合わせて、接続部におけるディスポーザ排水Dの流れを良くしている。
本実施例のように構成することにより排水管10を排水管4から着脱自在とすることができる。これによって、発電ユニット14のメンテナンスを容易に行なうことができる。また、排水管10を大きく2つの部材(第1排水管10Aと第2排水管10B)に分けているので、これらの排水管10に発電ユニット14を組み付け易くすると共に各部材10A〜10Cの成形を容易としている。
タービン11は前記翼11aと、この翼11bを内周面に形成してなる略円筒状の回転体11bと、この回転体11bの外周部に形成された枢支用のフランジ部11cとを有し、この枢支用のフランジ部11cの外周部には複数の磁性体(以下、永久磁石という)Mを埋設してある。前記回転体11bは若干末広がりに形成してあり、その上端部が前記第1排水管10Aの下流端部に形成されたスカート部の外側に僅かな隙間を介して隣接するように配置される。これによって、上方から流れ込むディスポーザ排水Dが回転体11bと第1排水管10Aの間に入り込まないようにしている。
また、前記翼11aの形状は前記貫通穴15を確保すると共にほゞ直下方向に流れるディスポーザ排水Dに当たることによって、とりわけ生ゴミDa(図2参照)の単独落下を防止すると共にタービン11を回転方向Rに回転させることができるように上下方向に対して強く斜めに傾斜して設けてある。タービン11の回転によって回転方向の力が加えられたディスポーザ排水Dは翼11aの下端から排出されて第2排水管10Bの内周面に形成された末窄まり部10dに当接し、生ゴミDaと水分Dbとがさらに攪拌されると共に回転方向の速度をさらに増して下方に流れるように構成してある。
本実施例の軸受け12は例えば前記フランジ部11cの上端部を支持するベアリング12aとフランジ部11cの下端部を支持するベアリング12bとからなる。これによってタービン11の回転にかかる抵抗を極力小さくしている。なお、本実施例に示す軸受け12はタービン11をその外周部において回動自在に支持するように構成された特殊形状のものであるから、ディスポーザ排水Dが軸受け12の部分に接触することはないが、タービン11がその中心Cに回転軸を有するものである場合には、この回転軸を支持する軸受けを前記中心Cの位置に形成してあってもよい。また、この場合にもタービン11の軸を円筒状にすることにより、その内部に前記貫通穴15を確保することが好ましい。
本実施例のコイル13は前記連結部材10Cによって支持された状態で前記永久磁石Mに相対するように複数配置されている。なお、永久磁石Mとコイル13との間にはタービン11が回転するための間隙および第2排水管10Bの上端部に形成された水密用の隔壁10eがあるが、この隔壁10eの部材を磁性体と異ならせることにより、タービン11に設けた永久磁石Mの回転によってコイル13には十分強力な回転磁界を起こすことができる。
したがって、タービン11の回転によってコイル13は十分な起電力を得ることができる。また、各コイル13は各相ごとに連結されてコネクタ13aを接続可能とする接続部13bから電力を取出すことができるように構成してある。なお、10fはコイル13や接続部13bなどの電気回路を保護するための保護壁である。
本実施例のように構成された発電ユニット14は排水管10に容易に組付けることができるだけでなく、ディスポーザ排水Dが流れる運動エネルギーを用いて極めて効率的に発電することができる。また、逆に排水管10の外部から前記コイル13に交流電力を供給して回転磁界を発生させることにより、タービン11を任意の方向に回転させることができる。つまり、発電ユニット14を電動機として用いてディスポーザ排水Dを強制的に攪拌したり、タービン11に付着する生ゴミDaなどを振り払うことも可能である。
なお、ディスポーザ排水Daに含まれる固体はいずれもディスポーザによって小さく粉砕したものであるから、タービン11に対する絡まりによる付着はほとんど問題になることはない。しかしながら、前記タービン11は生ゴミDaなどの付着ができるだけ生じないように、ふっ素系樹脂などの撥水性のある合成樹脂で形成したり、コーティングすることが望ましいことはいうまでもない。
上述の例では、排水がディスポーザ排水Dである例を示しているが、本発明は排水がディスポーザ排水である場合に限定されるものではない。
本発明の排水管構造を用いた排水施設の一例を示す図である。 排水管構造の構成を簡単に示す図である。 排水管構造のより具体的な構成を示す図である。
符号の説明
1 排水管構造
4,10 排水管
11 タービン
11a 翼
13 コイル
14 発電ユニット(発電機構)
15 通気穴
D ディスポーザ排水(排水)

Claims (4)

  1. 排水管の内周面に沿って流れる排水に衝突する翼と、排水管内の中心部に形成された貫通穴とを備え、排水が翼に衝突することにより回動するように構成されたタービンを、縦方向に配置された排水管内に設置してあることを特徴とする排水管構造。
  2. 前記排水管がディスポーザ排水管である請求項1に記載の排水管構造。
  3. 前記タービンの回転力を用いて発電する発電機構を備えてなる請求項1または2に記載の排水管構造。
  4. 前記タービンを所定の間隔をおいて複数配置してある請求項1〜3の何れかに記載の排水管構造。
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