JP2006151954A - アスパラギン酸誘導体 - Google Patents

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Akira Hiradate
彰 平舘
Madoka Kawamura
円 川村
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Abstract

【課題】記憶障害、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋硬直に伴う運動障害、脳虚血などの神経変性疾患、また統合失調症、不安及びその関連疾患、大うつ病などの精神医学的障害、及び神経因性疼痛などの慢性疼痛の治療及び予防効果を有する薬物であって、EAAT2に抑制作用を有する薬物を提供することにある。
【解決手段】式(I)
Figure 2006151954

(式中、Wは式−W1−W2−で表される基(式中、W1は酸素原子等を示し、W2はC1〜C6のアルキレン等を示す。)、YはC1〜C6のアルキレン、式b−Y1−NR4−C(=Z)−NR5−aで表される基(式中、Y1は単結合等を示し、R4及びR5は水素原子等を示し、Zは酸素原子等を示す。)等を示し、a及びbはそれぞれCycA及びCycBにおけるYの結合方向を示し、CycA及びCycBは、同一又は異なって、アリール等を示す。)で表されるアスパラギン酸誘導体、その医学上許容される塩又はその水和物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、興奮性アミノ酸輸送体のグルタミン酸取り込み活性の抑制作用を有するアスパラギン酸誘導体に関する。さらに詳しくは、老人性あるいはアルツハイマーによる記憶障害、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋硬直に伴う運動障害、脳虚血、脳不全、脊髄障害、頭部外傷等の神経変性疾患、また統合失調症、不安及びその関連疾患、双極性障害、単極性障害、大うつ病等の精神医学的障害、及び神経因性疼痛等の慢性疼痛の治療及び予防に有効なアスパラギン酸誘導体に関する。
脳内の興奮性伝達物質として知られるグルタミン酸は、シナプス間の神経伝達を介在しているが、細胞外に代謝経路はなく興奮性アミノ酸輸送体(Excitatory Amino Acid Transporter:EAAT)により細胞内へ取り込まれる(非特許文献1参照)。また、EAATにはこれまで5種類のサブタイプがクローニングされているが、脳内大脳皮質等でグルタミン酸調節に関与しているのは主としてEAAT2と考えられている。
これまで、EAAT2と種々の疾患との関連が示唆されている。虚血時等にはEAATの逆行性輸送により大量のグルタミン酸がグリアより遊離され、神経細胞死を惹起することが示唆されている(非特許文献2参照)。実験動物で虚血により惹起されるグルタミン酸遊離は、EAAT2阻害薬で拮抗されることも報告されている(非特許文献3参照)。
また、細胞外グルタミン酸濃度を上昇させ、シナプス伝達効果を高めることにより記憶障害を改善することが考えられる(非特許文献4参照)。
精神医学的障害の一つである統合失調症は、グルタミン酸機能の低下がその一因とされている。その治療薬の作用機序の一つには、EAAT2を介した作用が報告されている(非特許文献5参照)。また、不安症、うつ病等もグルタミン酸との関連が示唆されており、EAATの役割が推測される。
グルタミン酸は、脊髄において痛覚伝達物質として重要な役割を担っている。また、疼痛反応発現にEAATが関与している可能性が示唆されており、EAAT2阻害により疼痛反応が軽減されることも報告されている(非特許文献6参照)。
本発明は、老人性あるいはアルツハイマーによる記憶障害、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋硬直に伴う運動障害、脳虚血、脳不全、脊髄障害、頭部外傷等の神経変性疾患、また統合失調症、不安及びその関連疾患、双極性障害、単極性障害、大うつ病等の精神医学的障害、及び神経因性疼痛等の慢性疼痛の治療及び予防効果を有する薬物であって、EAAT2に抑制作用を有する薬物を提供することを目的とする。
また、EAAT2阻害剤として、特許文献1及び特許文献2には3−ヒドロキシアスパラギン酸誘導体が開示されているが、いずれの特許文献にも本願記載の化合物の開示はない。
EP0844234 WO03/000698 TiPS, 11, 462 (1990) Neuron, 11, 401 (1993) Stroke, 30, 433 (1999) Nature, 319, 774 (1986) Neurosci. Lett., 347, 81 (2003) Neuroscience, 116, 81 (2003)
本発明の目的は、新規なアスパラギン酸誘導体、さらに詳しくは、興奮性アミノ酸輸送体のグルタミン酸取り込み活性を抑制し、老人性あるいはアルツハイマーによる記憶障害、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋硬直に伴う運動障害、脳虚血、脳不全、脊髄障害、頭部外傷等の神経変性疾患、また統合失調症、不安及びその関連疾患、双極性障害、単極性障害、大うつ病等の精神医学的障害、及び神経因性疼痛等の慢性疼痛の治療及び予防に有効なアスパラギン酸誘導体を提供することにある。
本発明者らは上記目的のため鋭意研究を行った結果、ある種のアスパラギン酸誘導体が興奮性アミノ酸輸送体のグルタミン酸取り込み活性を強く抑制する作用を有していることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、式(I)
Figure 2006151954
(式中、Wは式−W1−W2−で表される基(式中、W1は酸素原子、硫黄原子、メチレン、モノフルオロメチレン、ジフロロメチレン又は式−NR1−で表される基(式中、R1は水素原子、C1〜C6のアルキル又は置換されたC1〜C6のアルキルを示す。)を示し、W2は単結合、C1〜C6のアルキレン又は置換されたC1〜C6のアルキレンを示す。)を示し、
Yは単結合、C1〜C6のアルキレン、置換されたC1〜C6のアルキレン、
式b−Y1−CO−NR2−aで表される基、式b−Y1−SO2−NR3−aで表される基、式b−Y1−O−CO−NR3−aで表される基、式b−Y1−NR4−C(=Z)−NR5−aで表される基、式b−Y2−O−Y3−aで表される基、式b−Y4−CR6=CR7−Y5−aで表される基、式b−Y4−C≡C−Y5−aで表される基又は式b−Y1−NR3−CO−aで表される基(式中、Y1は単結合、C1〜C6のアルキレン又は置換されたC1〜C6のアルキレンを示し、Y2及びY3は、同一又は異なって、単結合、C1〜C6のアルキレン又は置換されたC1〜C6のアルキレンを示し、Y4及びY5は、同一又は異なって、単結合、C1〜C6のアルキレン又は置換されたC1〜C6のアルキレンを示し、R2はC1〜C6のアルキル基又は置換されたC1〜C6のアルキル基を示し、R3は水素原子、C1〜C6のアルキル又は置換されたC1〜C6のアルキルを示し、R4及びR5は、同一又は異なって、水素原子、C1〜C6のアルキル又は置換されたC1〜C6のアルキルを示すか、R4及びR5は一緒になって環構造を示し、R6及びR7は、同一又は異なって、水素原子、C1〜C6のアルキル又は置換されたC1〜C6のアルキル基を示し、Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、a及びbはそれぞれCycA及びCycBにおけるYの結合方向を示す。)を示し、
CycA及びCycBは、同一又は異なって、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、飽和複素環又は置換された飽和複素環を示す。)で表されるアスパラギン酸誘導体、その医学上許容される塩又はその水和物である。
好ましくは、Wが式−O−CH2−で表される基を示し、
YがC1〜C6のアルキレン、式b−Y1−SO2−NR3−aで表される基、式b−Y1−O−CO−NR3−aで表される基、式b−Y1−NR4−C(=Z)−NR5−aで表される基、式b−Y2−O−Y3−aで表される基、式b−Y4−CR6=CR7−Y5−aで表される基又は式b−Y1−NR3−CO−aで表される基(式中、Y1〜Y5、R3〜R7、a及びbは前記と同じである。)を示し、
CycA及びCycBが、同一又は異なって、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリールである式(I)で表されるアスパラギン酸誘導体、その医学上許容される塩又はその水和物である。
さらに好ましくは、Yが式b−CH2−CH2−a、式b−SO2−NH−a、式b−CH2−O−CO−NH−a、式b−NH−CO−NH−a、式b−NH−CS−NH−a、式b−NMe−CO−NH−a、式b−CH2−O−a、式b−CH=CH−a、式b−NH−CO−aを示し、
CycAがアリールであり、CycBがアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリールである式(I)で表されるアスパラギン酸誘導体、その医学上許容される塩又はその水和物である。
また、より具体的には式(II)
Figure 2006151954
(式中、CycBはアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリールを示す。)で表されるアスパラギン酸誘導体、その医学上許容される塩又はその水和物である。
本発明の化合物は、グルタミン酸取り込み阻害活性の増強が認められ、優れたEAAT2阻害活性が確認された。従って、本発明の化合物は、老人性あるいはアルツハイマーによる記憶障害、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋硬直に伴う運動障害、脳虚血、脳不全、脊髄障害、頭部外傷等の神経変性疾患、また統合失調症、不安及びその関連疾患、双極性障害、単極性障害、大うつ病等の精神医学的障害、及び神経因性疼痛等の慢性疼痛の治療及び予防に有効である。
本発明において、アリールとは、例えば、フェニル又はナフチルである。
置換されたアリール基とは、例えば、「ハロゲン原子、C1〜C6のアルキル、置換されたC1〜C6のアルキル、C2〜C6のアルケニル、置換されたC2〜C6のアルケニル、C1〜C6のアルコキシ、置換されたC1〜C6のアルコキシ、C1〜C6のアルキルチオ、置換されたC1〜C6のアルキルチオ、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシル、C2〜C10のアルコキシカルボニル、C1〜C10のアミノカルボニル、C1〜C6のアルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、飽和複素環、アリールオキシ及びヘテロアリールオキシ」からなる群から選ばれる一つ以上の基で置換されたフェニル基又はナフチル基である。
ヘテロアリールとは、例えば、ピリジル、ピロリル、フリル、キノリル、シンノリル、ピリミジル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、イミダゾリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾモルホニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、イソキノリル、ナフチリジル、キノキサリル、キナゾリニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリル、カルバゾリジル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル又はベンゾイソオキサゾリルである。
置換されたヘテロアリールとは、例えば、「ハロゲン原子、C1〜C6のアルキル、置換されたC1〜C6のアルキル、C2〜C6のアルケニル、置換されたC2〜C6のアルケニル、C1〜C6のアルコキシ、置換されたC1〜C6のアルコキシ、C1〜C6のアルキルチオ、置換されたC1〜C6のアルキルチオ、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシル、C2〜C10のアルコキシカルボニル、C1〜C10のアミノカルボニル、C1〜C6のアルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、飽和複素環、アリールオキシ及びヘテロアリールオキシ」からなる群から選ばれる一つ以上の基で置換されたヘテロアリールである。
シクロアルキルとは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルである。
置換されたシクロアルキルとは、例えば、「ハロゲン原子、C1〜C6のアルキル、置換されたC1〜C6のアルキル、C2〜C6のアルケニル、置換されたC2〜C6のアルケニル、C1〜C6のアルコキシ、置換されたC1〜C6のアルコキシ、C1〜C6のアルキルチオ、置換されたC1〜C6のアルキルチオ、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシル、オキソ、C2〜C10のアルコキシカルボニル、C1〜C10のアミノカルボニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、飽和複素環及びアリールオキシ」からなる群から選ばれる一つ以上の基で置換されたシクロアルキルである。
飽和複素環とは、例えば、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ又はテトラヒドロフリルである。
置換された飽和複素環とは、例えば、「ハロゲン原子、C1〜C6のアルキル、置換されたC1〜C6のアルキル、C2〜C6のアルケニル、置換されたC2〜C6のアルケニル、C1〜C6のアルコキシ、置換されたC1〜C6のアルコキシ、C1〜C6のアルキルチオ、置換されたC1〜C6のアルキルチオ、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシル、オキソ、C2〜C10のアルコキシカルボニル、C1〜C10のアミノカルボニル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、飽和複素環及びアリールオキシ」からなる群から選ばれる一つ以上の基で置換された飽和複素環である。
C1〜C6のアルキルとは、C1〜C6の直鎖又は分枝状のアルキルである。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル又はヘキシルである。
置換されたC1〜C6のアルキルとは、例えば、「ハロゲン原子、C1〜C6のアルコキシ、置換されたC1〜C6のアルコキシ、C1〜C6のアルキルチオ、置換されたC1〜C6のアルキルチオ、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシル、オキソ、C2〜C10のアルコキシカルボニル、C1〜C10のアミノカルボニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、飽和複素環及びアリールオキシ」からなる群から選ばれる一つ以上の基で置換されたC1〜C6の直鎖状又は分枝状のアルキルである。
C1〜C6のアルキレンとは、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン又はヘキシレンである。
置換されたC1〜C6のアルキレンとは、例えば、「ハロゲン原子、C1〜C6のアルキル、置換されたC1〜C6のアルキル、C2〜C6のアルケニル、置換されたC2〜C6のアルケニル、C1〜C6のアルコキシ、置換されたC1〜C6のアルコキシ、C1〜C6のアルキルチオ、置換されたC1〜C6のアルキルチオ、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシル、オキソ、C2〜C10のアルコキシカルボニル、C1〜C10のアミノカルボニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、飽和複素環及びアリールオキシ」からなる群から選ばれる一つ以上の基で置換されたC1〜C6のアルキレンである。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、好ましくはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である。
C2〜C6のアルケニルとは、C2〜C6の直鎖又は分枝状のアルケニルである。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル又はヘキセニルである。
置換されたC2〜C6のアルケニルとは、例えば、「ハロゲン原子、C1〜C6のアルコキシ、置換されたC1〜C6のアルコキシ、C1〜C6のアルキルチオ、置換されたC1〜C6のアルキルチオ、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシル、オキソ、C2〜C10のアルコキシカルボニル、C1〜C10のアミノカルボニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、飽和複素環及びアリールオキシからなる群から選ばれる一つ以上の基で置換されたC2〜C6の直鎖又は分枝状のアルケニルである。
C1〜C6のアルコキシとは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、シクロプロピルメトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ又はシクロヘキシルオキシである。
置換されたC1〜C6のアルコキシとは、例えば、「ハロゲン原子、C1〜C6のアルコキシ、置換されたC1〜C6のアルコキシ、C1〜C6のアルキルチオ、置換されたC1〜C6のアルキルチオ、アミノ、置換されたアミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシル、オキソ、C2〜C10のアルコキシカルボニル、C1〜C10のアミノカルボニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、飽和複素環及びアリールオキシ」からなる群から選ばれる一つ以上の基で置換されたC1〜C6のアルコキシである。
C1〜C6のアルキルチオとは、C1〜C6の直鎖又は分枝状のアルキルチオである。例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ又はヘキシルチオである。
置換されたC1〜C6のアルキルチオとは、例えば、「ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1〜C6のアルコキシ、C3〜C8のシクロアルキル、C2〜C8のアルコキシカルボニル、置換されたアミノ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及び飽和複素環」からなる群から選ばれる一つ以上の基で置換されたC1〜C6のアルキルチオである。
置換されたアミノとは、例えば、「C1〜C6のアルキル、C2〜C10のアルコキシカルボニル、C1〜C10のアミノカルボニル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル及びC1〜C10アシル」からなる群から選ばれる一つ以上の基で置換されたアミノである。
C2〜C10のアルコキシカルボニルとは、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル又はベンジルオキシカルボニルである。
C1〜C10のアミノカルボニルとは、例えば、カルバモイル、メチルアミノカルボニル、ベンジルアミノカルボニル又はアニリノカルボニルである。
アシルとは、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、シクロヘキサンカルボニル、ベンゾイル、ピコリニル又はニコチニルである。
アリールオキシとは、前記「アリール」と酸素原子が結合した基であり、例えば、フェノキシである。
ヘテロアリールオキシとは、前記「ヘテロアリール」と酸素原子が結合した基であり、例えば、ピリジルオキシである。
C1〜C6アルキルスルホニルとは、例えば、メタンスルホニル又はエタンスルホニルである。
アリールスルホニルとは、例えば、フェニルスルホニル又はトルエンスルホニルである。
本発明において、医薬上許容される塩とは、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマール酸、乳酸、安息香酸、リンゴ酸、ニコチン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸又は硫酸等との塩、又は、トリメチルアミン、メチルアミン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン等との塩である。
本発明は、下記に示した反応スキーム1〜5に示した工程により実施することができる。また各反応スキーム中、CycA、CycB及びYは前記と同意義である。
反応スキーム1
反応スキーム中、PG1はアミノ基の保護基であり、例としてフルオレニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、トリチル基、o−ニトロベンゼンスルフェニル基、PG2及びPG3はカルボン酸の保護基であり、例としてメチル基、エチル基、tert-ブチル基等があげられる。また、L1は臭素原子等のハロゲン原子、メタンスルホン酸エステル等のスルホン酸エステル及びトリクロロアミデートといった脱離基となり得る基を示す。
Figure 2006151954
工程1:式(1)で表される3−ヒドロキシアスパラギン酸誘導体の水酸基を式(2)で表される化合物を用いた置換反応により式(3)で表される化合物を得ることができる。例えば、式(2)で表される化合物のL1が塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子やメタンスルホン酸エステル等のスルホン酸エステルといった脱離基の場合、塩基を用いた置換反応を行うことができる。塩基として水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、n−ブチルリチウム等を用い、溶媒としては、反応に関与しないアセトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン等を用いることができる。この際、添加剤を用いて反応することができ、添加剤としてはヨウ化ナトリウム、テトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド等を用いることができる。反応温度は−78℃〜還流温度で得ることができる。また例えば、式(2)で表される化合物のL1がトリクロロアセトイミデートの場合、酸を用いた置換反応を行うことができる。酸としてはトリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸、ピリジウムp−トルエンスルホン酸、過塩素酸トリチル、三フッ化ホウ素等を用い、溶媒としては、反応に関与しないジエチルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、ヘキサン等を用いることができる。反応温度は−20℃〜還流温度で得ることができる。
工程2:式(3)で表される化合物のPG1、PG2及びPG3を別々にあるいは同時に脱保護し、式(4)で表される化合物を得ることができる。PG1の脱保護の方法としては、例えばPG1が塩基で脱保護されるフルオレニルオキシカルボニル基等の保護基の場合は、ジエチルアミン、ピペリジン、アンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基を用いて脱保護することができる。これらの塩基は、単独で、あるいは溶媒に希釈又は懸濁してして用いることができる。この際、溶媒としては水、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。反応温度は0〜100℃で行うことができる。
また、例えば、PG1がアリルオキシカルボニル基等の金属触媒により脱保護される基の場合は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等を触媒又は試薬として用いることにより脱保護することができる。この際、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の反応に関与しない溶媒中で行うことができる。反応温度は0〜100℃で行うことができる。
さらに例えば、PG1がtert-ブトキシカルボニル基、トリチル基、o−ニトロベンゼンスルフェニル基等の酸で脱保護される基の場合は、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の酸を用い、脱保護することができる。反応溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等があげられる。反応温度は−50〜50℃で行うことができる。
また、PG2及びPG3の脱保護の方法は、例えば、PG2及びPG3がメチル、エチル基等の保護基の場合は、塩基を用いた加水分解による脱保護ができる。水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基を用いて脱保護することができる。反応溶媒は水あるいは水と有機溶媒の混合溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等を用いることができる。反応温度は0〜100℃で行うことができる。
また、例えば、PG2及びPG3がtert-ブチル基等の酸で脱保護される基の場合は、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の酸を用い、脱保護することができる。反応溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジオキサン等があげられる。反応温度は−50〜100℃で行うことができる。
この脱保護については、上記以外にもPROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS, THEODORA W. GREENE and PETER G. M. WU TS著に記載の方法を用いることができる。
反応スキーム2
反応スキーム中、PG1、PG2、PG3及びL1は前記と同意義である。Y’は−Y1−SO2−、−Y1−O−CO−、−Y1−NR4−C(=Z)−を示し、Y1、R4及びZは前記と同意義である。
Figure 2006151954
工程1:式(1)で表される3−ヒドロキシアスパラギン酸誘導体の水酸基を式(5)で表される化合物を用いた置換反応により式(6)で表される化合物を得ることができる。この反応は前述の方法(反応スキーム1−工程1)と同様の方法で行うことができる。
工程2:式(6)で表される化合物のニトロ基をアミノ基に還元し、式(7)で表される化合物を得ることができる。例えば金属触媒を用いた接触水素添加反応で行うことができる。金属触媒としてはパラジウム−カーボン、パラジウム−炭酸カルシウムといったパラジウム触媒以外にも白金触媒、ニッケル触媒等を用いることができる。溶媒としてはエタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等の反応に関与しない溶媒があげられる。反応温度は0〜50℃で行うことができる。この反応は水素ガスを用いて行うこともできるし、ギ酸−ギ酸アンモニウム、水素化ほう素ナトリウム等の試薬を用いることもできる。また、例えば鉄、亜鉛等の金属を用いた還元反応で行うことができる。溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール等を用い、反応温度は0〜100℃で行うことができる。この反応は添加物として塩化アンモニウム、塩酸等を用いることができる。この還元反応については上記以外にも選択的にニトロ基をアミノ基に還元できる方法であれば特に限定されない。たとえば塩化すず、塩化鉄等を用いた還元法等があげられる。
工程3:式(7)で表される化合物から縮合反応によりスルホンアミド体、カーバメート体、ウレア体又はチオウレア体等の式(8)で表される化合物を得ることができる。
ここで、カーバメート体を得る反応は、例えば、クロロ炭酸エステルや二炭酸ジエステル等を用い、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、酢酸エチル等の反応に関与しない溶媒中で行うことができる。この際、塩基を用いて行うことができ、塩基の例としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアミン類、炭酸カリウム等の無機塩基があげられる。これらの反応は、−50〜100℃で行うことができる。
また、ウレア体を得る反応は、イソシアネート等を用い、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、酢酸エチル等の反応に関与しない溶媒中で行うことができる。これらの反応は、−50〜100℃で行うことができる。また、ウレア体を得る反応では式(8)で表される化合物をイソシアネート化した後に相当するアミンを用いてウレア体を得ることができる。イソシアネート化ではクロロギ酸トリクロロメチルや炭酸ビス(トリクロロメチル)等を用い、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、酢酸エチル等の反応に関与しない溶媒中で行うことができる。この際、塩基を用いて行うことができ、塩基の例としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等のアミン類があげられる。これらの反応は、−50〜100℃で行うことができる。
また、チオウレア体を得る反応は、例えば、チオイソシアネート等を用い、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、酢酸エチル等の反応に関与しない溶媒中で行うことができる。これらの反応は、−50〜100℃で行うことができる。
工程4:式(8)で表される化合物のPG1、PG2及びPG3を別々にあるいは同時に脱保護し、式(9)で表される化合物を得ることができる。この反応は前述の方法(反応スキーム1−工程2)と同様の方法で行うことができる。
反応スキーム3
反応スキーム中、R6、R7、PG1、PG2、PG3及びL1は前記と同意義である。L2は臭素原子等の脱離基となり得る基、L3は水素原子又はほう素、マグネシウム、すず等の典型金属原子を示す。
Figure 2006151954
工程1:式(1)で表される3−ヒドロキシアスパラギン酸誘導体の水酸基を式(10)で表される化合物を用いた置換反応により、式(11)で表される化合物を得ることができる。この反応は前述の方法(反応スキーム1−工程1)と同様の方法で行うことができる。
工程2: 式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物から、式(13)で表される化合物を得ることができる。この際、金属触媒としてパラジウム等の遷移金属試薬を用い、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中で行うことができる。塩基を用いて行うことができ、塩基の例としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等のアミン類、炭酸カリウム等の無機塩基があげられる。また、添加剤としてトリフェニルホスフィン等の遷移金属の配位子となり得る試薬を用いることができる。これらの反応は、−50〜100℃で行うことができる。
工程3:式(13)で表される化合物のPG1、PG2及びPG3を別々にあるいは同時に脱保護し、式(14)で表される化合物を得ることができる。この反応は前述の方法(反応スキーム1−工程2)と同様の方法で行うことができる。
反応スキーム4
反応スキーム中、PG1、PG2及びPG3は前記と同意義である。
Figure 2006151954
工程1:式(13)で表される化合物の二重結合を還元し、式(15)で表される化合物を得ることができる。例えば金属触媒を用いた接触水素添加反応で行うことができる。金属触媒としてはクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)といったロジウム触媒以外にもパラジウム−カーボンといったパラジウム触媒、白金触媒、ニッケル触媒等を用いることができる。溶媒としてはエタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等の反応に関与しない溶媒があげられる。反応温度は0〜50℃で行うことができる。この反応は水素ガスを用いて行うこともできるし、ギ酸−ギ酸アンモニウム等の試薬を用いることもできる。
工程2:式(15)で表される化合物のPG1、PG2及びPG3を別々にあるいは同時に脱保護し、式(16)で表される化合物を得ることができる。この反応は前述の方法(反応スキーム1−工程2)と同様の方法で行うことができる。
反応スキーム5
反応スキーム中、R3、PG1、PG2、PG3及びL1は前記と同意義である。PG4はPG2及びPG3とは選択的に脱保護できるカルボン酸の保護基を示し、例としてメチル基、エチル基、tert-ブチル基等があげられる。
Figure 2006151954
工程1:3−ヒドロキシアスパラギン酸誘導体(1)の水酸基を式(17)で表される化合物を用いた置換反応により、式(18)で表される化合物を得ることができる。この反応は前述の方法(反応スキーム1−工程1)と同様の方法で行うことができる。
工程2:式(18)で表される化合物のPG4を脱保護し、式(19)で表される化合物を得ることができる。例えば、保護基がメチル、エチル基等の保護基の場合は、塩基を用いた加水分解による脱保護ができる。水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基を用いて脱保護することができる。反応溶媒は水あるいは水と有機溶媒の混合溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等を用いることができる。反応温度は0〜100℃で行うことができる。
また、例えば、保護基がtert-ブチル基等の酸で脱保護される基の場合は、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の酸を用い、脱保護することができる。反応溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジオキサン等があげられる。反応温度は−50〜100℃で行うことができる。
この脱保護については、上記以外にもPROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS, THEODORA W. GREENE and PETER G. M. WU TS著に記載の方法を用いることができる。
工程3:式(19)で表される化合物と式(20)で表される化合物の縮合反応を行い、式(21)で表される化合物を得ることができる。この縮合反応は、例えば、脱水縮合剤を用いて反応することができる。脱水縮合剤には例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルホスホリルアジド、カルボニルジイミダゾール等があげられ、必要に応じて1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシスクシンイミド等の活性化剤を用いることができる。反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、酢酸エチル等があげられる。この際、塩基を用いて行うことができ、塩基の例としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアミン類、炭酸カリウム等の無機塩基があげられる。反応温度は−50〜50℃で行うことができる。
また、例えば、式(19)で表される化合物とクロル炭酸エステル等から得られる混合酸無水物を用いてアミド化することができる。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、酢酸エチル等の反応に関与しない溶媒があげられる。この際、塩基を用いて行うことができ、塩基の例としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアミン類、炭酸カリウム等の無機塩基があげられる。反応温度は−50〜50℃で行うことができる。
また、別の例として、式(19)で表される化合物と塩化チオニル等から得られるカルボン酸クロリド等のカルボン酸ハライドを用いてアミド化することができる。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、酢酸エチル等の反応に関与しない溶媒があげられる。この際、塩基を用いて行うことができ、塩基の例としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアミン類、炭酸カリウム等の無機塩基があげられる。反応温度は−50〜50℃で行うことができる。
工程4:式(21)で表される化合物のアミノ基の保護基(PG1)及びカルボン酸の保護基(PG2、PG3)を別々にあるいは同時に脱保護し、式(22)で表される化合物を得ることができる。この反応は前述の方法(反応スキーム1−工程2)と同様の方法で行うことができる。
本発明のアスパラギン酸誘導体は、経口投与又は非経口投与される。成人を治療する場合、投与量は1回につき1〜1000mgであり、例えば、これを1日1〜数回投与するか、又は、1日1時間〜24時間の範囲で静脈内に持続投与する。この投与量は、患者の年齢、体重及び症状によって適宜増減することができる。
経口投与する場合は、賦形剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、界面活性剤、可塑剤、着色剤、矯味矯臭剤等を混合して、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤等の製剤として投与され、非経口投与する場合は、注射剤、点滴剤等の製剤として投与される。製剤化する際には、通常の製剤化の方法が使用できる。
次に、参考例、実施例及び試験例にて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
参考例1
(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ヒドロキシアスパラギン酸ジ−tert−ブチルの合成
Figure 2006151954
(1)(2S,3S)−3−ヒドロキシアスパラギン酸(8.49g)の1,4−ジオキサン(60mL)懸濁液に2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(60mL)を室温で加えた後、氷冷下、二炭酸−ジ−tert−ブチル(124.4g)を加え、徐々に昇温し室温で17.5時間撹拌した。1,4−ジオキサンを減圧下留去後、得られた水層を酢酸エチルで洗浄した。水層に1mol/L塩酸(120mL)を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加え、生じた粉末をろ取、ジイソプロピルエーテル洗浄し、無色粉末として(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ヒドロキシアスパラギン酸(8.2g)を得た。
(2)得られた(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ヒドロキシアスパラギン酸(8.05g)に1,1−ジ−tert−ブトキシトリメチルアミン(75mL)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で2時間、60℃で1時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、酢酸エチルで希釈し、0.5mol/L塩酸で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出した後、有機層を合わせ、水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、無色固体として表題化合物(7.44g)を得た。
参考例2
(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−[(3−ニトロベンジル)オキシ]アスパラギン酸ジ−tert−ブチル
Figure 2006151954
(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ヒドロキシアスパラギン酸ジ−tert−ブチル(1.29g)をアセトン(36mL)に溶解し、3−ニトロベンジルブロミド(1.54g)及び炭酸カリウム(987mg)を加え、アルゴン雰囲気下、66時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、不溶物をろ別し、ろ液を減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:クロロホルム:アセトン=30:30:1)で精製し、無色油状物として表題化合物 (1.33g)を得た。
MS(ESI pos.) m/z: 497([M+H]+)、519([M+Na]+)、 (ESI neg.) m/z: 495([M-H]-)
参考例3
(2S,3S)−3−[(3−アミノベンジル)オキシ]−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル
Figure 2006151954
(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−[(3−ニトロベンジル)オキシ]アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(1.32g)をメタノール(66mL)に溶解し、5%パラジウム−炭素(66mg)を加え、反応系内を水素置換し水素雰囲気下、室温で50分撹拌した。反応系内を窒素置換した後、5%パラジウム−炭素をセライトを用いてろ別し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:クロロホルム:アセトン=10:10:1)で精製し、淡黄色固体として表題化合物(1.14g)を得た。
MS(ESI pos.) m/z: 489([M+Na]+)
(2S,3S)−3−{[3−({[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸の合成(化合物1)
(1)(2S,3S)−3−[(3−アミノベンジル)オキシ]−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(300mg)をクロロホルム(3mL)に溶解し、窒素雰囲気下、イソシアン酸2,4−ジクロロフェニル (180mg)を加え、室温で1晩撹拌した。反応液をそのままシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜6:1)で精製し、無色固体として(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−({[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(407mg)を得た。
(2)得られた(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−({[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(384mg)を4mol/L塩化水素−1,4−ジオキサン(7.5mL)に溶解し、室温で1日撹拌した後、反応液を減圧下濃縮した。残渣に水を加え、減圧下濃縮することを3回繰り返した。再度、残渣に水を加え、粉末をろ取、水洗いし、無色粉末として表題化合物(252mg)を得た。
同様にして、下記表1−1〜表1−3に示す化合物2〜化合物23を得た。
(2S,3S)−3−{[3−({[メチル(フェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸の合成(化合物24)
(1)(2S,3S)−3−[(3−アミノベンジル)オキシ]−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(159mg)のクロロホルム(1mL)溶液に、トリエチルアミン(0.1mL)を加え、氷冷下クロロギ酸トリクロロメチル(30μL)を加えた後室温まで昇温し30分撹拌した。反応液を再び氷冷し、N−メチルアニリン(70μL)を加えた後室温まで昇温し30分撹拌した。反応液をクロロホルムで希釈し、0.5mol/L塩酸、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製後、NHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:クロロホルム:アセトン=40:40:1)で精製し、淡黄色アモルファスとして(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−({[メチル(フェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(153mg)を得た。
(2)得られた(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−({[メチル(フェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(145mg)を用いて実施例1−(2)と同様にして褐色粉末として表題化合物(87mg)を得た。
同様にして、下記表1−3に示す化合物25を得た。
(2S,3S)−3−({3−[(フェニルスルホニル)アミノ]ベンジル}オキシ)アスパラギン酸の合成(化合物26)
(1)(2S,3S)−3−[(3−アミノベンジル)オキシ]−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(200mg)をクロロホルム(2mL)に溶解し、氷冷下、ピリジン(40μL)及びベンゼンスルホニルクロリド(60μL)を加え、氷冷下15分、室温で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、0.5mol/L塩酸、水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜4:1)で精製し、無色アモルファスとして(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−({3−[(フェニルスルホニル)アミノ]ベンジル}オキシ)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(214mg)を得た。
(2)得られた(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−({3−[(フェニルスルホニル)アミノ]ベンジル}オキシ)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(175mg)を用いて、実施例1−(2)と同様にして無色粉末として表題化合物(79mg)を得た。
同様にして、下記表1−3に示す化合物27を得た。
(2S,3S)−3−[(3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ベンジル)オキシ]アスパラギン酸の合成(化合物28)
(1)(2S,3S)−3−[(3−アミノベンジル)オキシ]−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(200mg)をクロロホルム(2mL)に溶解し、氷冷下、ピリジン(50μL)及びクロロギ酸ベンジル(80μL)を加え、氷冷下15分、室温で5時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、0.5mol/L塩酸、水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=20:1〜10:1)で精製し、無色アモルファスとして(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−[(3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ベンジル)オキシ]アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(245mg)を得た。
(2)得られた(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−[(3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ベンジル)オキシ]アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(225mg)を用いて、実施例1−(2)と同様にして無色粉末として表題化合物(125mg)を得た。
(2S,3S)−3−{[3−(ベンジルオキシ)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸の合成(化合物29)
(1)(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ヒドロキシアスパラギン酸ジ−tert−ブチル(500mg)、3−ベンジルオキシベンジルブロミド(767mg)及び炭酸カリウム(477mg)を用いて参考例2と同様にして、無色油状物として(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−(ベンジルオキシ)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(570mg)を得た。
(2)(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−(ベンジルオキシ)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(580mg)を用いて実施例1−(2)と同様にして、無色粉末として表題化合物(173mg)を得た。
(2S,3S)−3−({3−[(E)−2−フェニルビニル]ベンジル}オキシ)アスパラギン酸の合成(化合物30)
(1)(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ヒドロキシアスパラギン酸ジ−tert−ブチル(1.1g)、3−ブロモベンジルブロミド(1.5g)及び炭酸カリウム(1.0g)を用いて参考例2と同様にして、無色油状物として(2S,3S)−3−[(3−ブロモベンジル)オキシ]−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(1.14g)を得た。
(2)得られた(2S,3S)−3−[(3−ブロモベンジル)オキシ]−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(981mg)、スチレン(0.26mL)、酢酸パラジウム(II)(21mg)、トリ−o−トリルホスフィン(39mg)及びトリエチルアミン(0.5mL)のアセトニトリル(3.9mL)懸濁液を100℃にて撹拌しながら15分間マイクロウェーブを照射した。反応液にさらに酢酸パラジウム(II)(21mg)及びトリ−o−トリルホスフィン(39mg)を加え、100℃にて撹拌しながら30分間マイクロウェーブを照射した。不溶物をセライトを用いてろ別し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:アセトン=10:1)で精製し、無色油状物として(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−({3−[(E)−2−フェニルビニル]ベンジル}オキシ)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(945mg)を得た。
(3)得られた(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−({3−[(E)−2−フェニルビニル]ベンジル}オキシ)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(450mg) を用いて実施例1−(2)と同様にして褐色粉末として表題化合物(142mg)を得た。
(2S,3S)−3−({3−[(E)−2−フェニルエチル]ベンジル}オキシ)アスパラギン酸の合成(化合物31)
(1)実施例6−(2)で得られた(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−({3−[(E)−2−フェニルビニル]ベンジル}オキシ)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(396mg)をテトラヒドロフラン(2.5mL)及びtert−ブチルアルコール(2.5mL)の混合溶媒に溶解し、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)(20mg)を加え、水素雰囲気下7日間室温で撹拌した。反応液をセライトを通し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、無色油状物として(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−({3−[−2−フェニルエチル]ベンジル}オキシ)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(337mg)を得た。
(2)得られた(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−({3−[−2−フェニルエチル]ベンジル}オキシ)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(337mg)を用いて実施例1−(2)と同様にして褐色粉末として表題化合物(82mg)を得た。
(2S,3S)−3−{3−[(アニリノカルボニル)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸の合成(化合物32)
(1)(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ヒドロキシアスパラギン酸ジ−tert−ブチル(1.1g)、3−(ブロモメチル)安息香酸メチル(1.4g)及び炭酸カリウム(1.0g)を用いて参考例2と同様にして、無色油状物として(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−(メトキシカルボニル)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(1.31g)を得た。
(2)得られた(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−(メトキシカルボニル)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(1.23g)の1,4−ジオキサン溶液(12mL)に水(1.3mL)及び2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(1.3mL)を加え、室温で22時間撹拌した。反応液に0.5mol/L塩酸を加え撹拌した後、飽和塩化ナトリウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=2:1〜1:1)で精製し、無色アモルファスとして(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−(ヒドロキシカルボニル)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(0.589g)を得た。
(3)得られた(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−(ヒドロキシカルボニル)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(100mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液にアニリン(0.06mL)、1−(3,3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(116mg)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(82mg)を加え、室温で14時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をあわせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧下濃縮し、薄褐色油状物として(2S,3S)−3−{3−[(アニリノカルボニル)ベンジル]オキシ}−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチルの粗生成物(160mg)を得た。(2S,3S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−{[3−(ヒドロキシカルボニル)ベンジル]オキシ}アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(150mg)を用いて同様にして得られた(2S,3S)−3−{3−[(アニリノカルボニル)ベンジル]オキシ}−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチルの粗生成物(220mg)と先に得られた粗生成物(160mg)を合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:クロロホルム:酢酸エチル=7:7:1〜4:4:1)で精製し、無色アモルファスとして(2S,3S)−3−{3−[(アニリノカルボニル)ベンジル]オキシ}−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(255mg)を得た。
(4)得られた(2S,3S)−3−{3−[(アニリノカルボニル)ベンジル]オキシ}−N−(tert−ブトキシカルボニル)アスパラギン酸ジ−tert−ブチル(250mg)を用いて実施例1−(2)と同様にして無色粉末として表題化合物(112mg)を得た。
下記に実施例で得た化合物を表1−1〜表1−4に示す。なお、表の構造式中**は(2S,3S)体及び(2R,3R)体の混合物を示す。
Figure 2006151954
Figure 2006151954
Figure 2006151954
Figure 2006151954
試験例
グルタミン酸取り込み阻害試験
グルタミン酸取り込み阻害試験はMol. Pharmacol., 53, 195(1998)に記載された方法に従って行った。試験化合物として化合物1及び化合物2、比較薬剤としてWO03/000698号第34ページ記載のCF3−BzA−TBOAを検体として用いた。
Y79細胞
Y79細胞はこれまでの報告より(J. Neurochem., 70, 993(1998))、EAAT2を発現しており、さらにY79細胞によるグルタミン酸の取り込みはそのほとんどがEAAT2を介していることが知られている。よってY79細胞を本試験に用いた。
Y79細胞は理化学研究所細胞バンク(埼玉県、日本)より購入し、10%仔ウシ血清を含むRPMI1640培地(ギブコ社製)中にて、37℃、5%二酸化炭素のインキュベーターで維持した。Y79細胞は1000回転/分、5分遠心により回収し、グルコースを含むリン酸緩衝液(+)(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、1.5mM KH2PO4、1mM MgCl2、1mM CaCl2、10mM D−Glucose、pH7.4)に3×106個/mLとなるように懸濁してグルタミン酸取り込み阻害試験に使用した。
グルタミン酸取り込み阻害試験
試験にはY79細胞を用いた。細胞液は96ウェルMULTISCREEN PLATE (ミリポア社製)に100μL/ウェルとなるように分注した。被検体は最終濃度の100倍となるようにジメチルスルホキシドに溶解し、グルコースを含むリン酸緩衝液(+)にてさらに25倍に希釈した後、上記プレートに50μL/ウェル加えた。37℃、5%二酸化炭素のインキュベーターで10分間インキュベーションして検体と細胞を反応させた後、8μM [14C]グルタミン酸を50μL/ウェル加えて(最終濃度2μMグルタミン酸)取り込みを開始した。取り込みは37℃、5%二酸化炭素のインキュベーターで20分もしくは50分間行った。ハーベストにより反応液を除去して取り込みを停止させ、氷冷グルコースを含むリン酸緩衝液(+)で2回洗浄した。100μL/ウェル 1M NaOHを加えて細胞を溶解させ、150μL/ウェルのシンチレーターを加えてマイクロベータにて放射活性を測定した。10mMグルタミン酸を作用させたときの放射活性を非特異的な放射活性としてコントロール値から差し引き、その値を100%として示した。化合物の阻害活性は各濃度での測定値をコントロールとの割合で示した。50% 阻害活性の認められた時の濃度を IC50 値として示した。Y79細胞を用いたグルタミン酸取り込み阻害試験結果を下記表2に示した。
Figure 2006151954
本発明の化合物は、比較薬剤より、グルタミン酸取り込み阻害活性の増強が認められ、優れたEAAT2阻害活性が確認された。
本発明の化合物は、老人性あるいはアルツハイマーによる記憶障害、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋硬直に伴う運動障害、脳虚血、脳不全、脊髄障害、頭部外傷等の神経変性疾患、また統合失調症、不安及びその関連疾患、双極性障害、単極性障害、大うつ病等の精神医学的障害、及び神経因性疼痛等の慢性疼痛の治療薬及び予防薬として利用できる。

Claims (4)

  1. 式(I)
    Figure 2006151954
    (式中、Wは式−W1−W2−で表される基(式中、W1は酸素原子、硫黄原子、メチレン、モノフルオロメチレン、ジフロロメチレン又は式−NR1−で表される基(式中、R1は水素原子、C1〜C6のアルキル又は置換されたC1〜C6のアルキルを示す。)を示し、W2は単結合、C1〜C6のアルキレン又は置換されたC1〜C6のアルキレンを示す。)を示し、
    Yは単結合、C1〜C6のアルキレン、置換されたC1〜C6のアルキレン、
    式b−Y1−CO−NR2−aで表される基、式b−Y1−SO2−NR3−aで表される基、式b−Y1−O−CO−NR3−aで表される基、式b−Y1−NR4−C(=Z)−NR5−aで表される基、式b−Y2−O−Y3−aで表される基、式b−Y4−CR6=CR7−Y5−aで表される基、式b−Y4−C≡C−Y5−aで表される基又は式b−Y1−NR3−CO−aで表される基(式中、Y1は単結合、C1〜C6のアルキレン又は置換されたC1〜C6のアルキレンを示し、Y2及びY3は、同一又は異なって、単結合、C1〜C6のアルキレン又は置換されたC1〜C6のアルキレンを示し、Y4及びY5は、同一又は異なって、単結合、C1〜C6のアルキレン又は置換されたC1〜C6のアルキレンを示し、R2はC1〜C6のアルキル基又は置換されたC1〜C6のアルキル基を示し、R3は水素原子、C1〜C6のアルキル又は置換されたC1〜C6のアルキルを示し、R4及びR5は、同一又は異なって、水素原子、C1〜C6のアルキル又は置換されたC1〜C6のアルキルを示すか、R4及びR5は一緒になって環構造を示し、R6及びR7は、同一又は異なって、水素原子、C1〜C6のアルキル又は置換されたC1〜C6のアルキル基を示し、Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、a及びbはそれぞれCycA及びCycBにおけるYの結合方向を示す。)を示し、
    CycA及びCycBは、同一又は異なって、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、飽和複素環又は置換された飽和複素環を示す。)で表されるアスパラギン酸誘導体、その医学上許容される塩又はその水和物。
  2. Wが式−O−CH2−で表される基を示し、
    YがC1〜C6のアルキレン、式b−Y1−SO2−NR3−aで表される基、式b−Y1−O−CO−NR3−aで表される基、式b−Y1−NR4−C(=Z)−NR5−aで表される基、式b−Y2−O−Y3−aで表される基、式b−Y4−CR6=CR7−Y5−aで表される基又は式b−Y1−NR3−CO−aで表される基(式中、Y1〜Y5、R3〜R7、a及びbは前記と同じである。)を示し、
    CycA及びCycBが、同一又は異なって、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリールである請求項1記載のアスパラギン酸誘導体、その医学上許容される塩又はその水和物。
  3. Yが式b−CH2−CH2−a、式b−SO2−NH−a、式b−CH2−O−CO−NH−a、式b−NH−CO−NH−a、式b−NH−CS−NH−a、式b−NMe−CO−NH−a、式b−CH2−O−a、式b−CH=CH−a、式b−NH−CO−aを示し、
    CycAがアリールであり、CycBがアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリールである請求項2記載のアスパラギン酸誘導体、その医学上許容される塩又はその水和物。
  4. 式(II)
    Figure 2006151954

    (式中、CycBはアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリールを示す。)で表されるアスパラギン酸誘導体、その医学上許容される塩又はその水和物。

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