JP2006151163A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性を悪化させることなく、ビード部を低発熱化して、ビード部の耐久性を大幅に改善した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、前記一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1,2,3を補強するカーカス4と、前記ビード部1内に夫々埋設したビードコア6のタイヤ半径方向外側に配置したスティフナー7とを備える空気入りタイヤにおいて、前記スティフナー7の少なくとも一部に、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥してなる変性天然ゴムをゴム成分として含むゴム組成物を適用する。
【選択図】図1
【解決手段】一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、前記一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1,2,3を補強するカーカス4と、前記ビード部1内に夫々埋設したビードコア6のタイヤ半径方向外側に配置したスティフナー7とを備える空気入りタイヤにおいて、前記スティフナー7の少なくとも一部に、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥してなる変性天然ゴムをゴム成分として含むゴム組成物を適用する。
【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りタイヤ及び該タイヤのスティフナー用ゴム組成物に関し、特にビード部が低発熱化されており、耐久性が大幅に改善された空気入りタイヤに関するものである。
タイヤの耐久性を確保するには、ビード部の耐久性を確保することが非常に重要であり、特に、カーカスプライ端からの亀裂伸展によるセパレーションは、タイヤにとって致命的であることから、該プライ端からの亀裂伸展を抑制するために、ビード部の構造及び材料の両面から種々の対策が検討されてきた。例えば、材料面からビード部の耐久性を向上させる方法として、亀裂伸展性及び弾性率配分を最適化し、ビード部の歪を抑制して耐久性を向上させる手法や、低発熱性のゴム組成物をビード部に適用し、走行時のビード部の温度上昇を抑制して、ビード部の耐久性を向上させる手法が知られている。このうち、低発熱性のゴム組成物をビード部に適用する手法に関しては、ビード部の中でも、スティフナーのボリュームが特に大きいことから、従来、各種配合手法によりスティフナーの発熱性を低減する対策が種々検討されてきた。
例えば、代表的なスティフナーの発熱低減対策として、(1)スティフナー用ゴム組成物に充填剤として用いるカーボンブラックのグレードを下げる方法、(2)スティフナー用ゴム組成物に充填剤として用いるカーボンブラックの配合量を減らす方法、(3)スティフナー用ゴム組成物に配合するオイルの配合量を減らす方法等が知られている。
しかしながら、上記(1)〜(3)の手法には、以下のような背反要素があり、実際のタイヤに適用することが難しかった。例えば、上記(1)の方法を適用すると、スティフナーの耐クリープ性が悪化するため、本来の目的であるビード部の耐久性向上を実現できないという問題がある。
また、上記(2)の方法を適用すると、ゴム組成物の耐亀裂成長性が悪化するため、ビード部の耐久性を向上させることができないという問題がある。特に、スティフナーを硬スティフナーと軟スティフナーとから構成し、カーボンブラックの配合量を減らしたゴム組成物を硬スティフナーに適用した場合、硬スティフナーの弾性率が低下するため、カーカスプライ端の歪が増大してしまう。なお、カーボンブラックを減量しても、架橋剤の配合量を増量することで、弾性率の低下を抑制できるが、この場合、カーカスのプライコードの接着性が悪化するため、実用的ではない。
更に、上記(3)の方法を適用すると、スティフナーに用いるゴム組成物に物性上の問題はないものの、該ゴム組成物の未加硫粘度が上昇するため、ゴム組成物の生産性が悪化するという問題がある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、生産性を悪化させることなく、ビード部を低発熱化して、ビード部の耐久性を大幅に改善した空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ビード部にスティフナーを備えるタイヤにおいて、該スティフナーの少なくとも一部に、特定の変性天然ゴムを含有するゴム組成物を適用することで、走行時のビード部の発熱を大幅に抑制することができ、その結果として、タイヤの耐久性が大幅に向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在して、これら各部を補強するカーカスと、前記ビード部内に夫々埋設したビードコアのタイヤ半径方向外側に配置したスティフナーとを備える空気入りタイヤにおいて、
前記スティフナーの少なくとも一部に、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥してなる変性天然ゴムをゴム成分として含むゴム組成物を適用したことを特徴とする。ここで、前記ゴム組成物は、ゴム成分の10質量%以上が前記変性天然ゴムであることが好ましい。
前記スティフナーの少なくとも一部に、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥してなる変性天然ゴムをゴム成分として含むゴム組成物を適用したことを特徴とする。ここで、前記ゴム組成物は、ゴム成分の10質量%以上が前記変性天然ゴムであることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤの好適例においては、前記スティフナーが、前記ビードコアのタイヤ半径方向外側に隣接する硬スティフナーと、該硬スティフナーのタイヤ半径方向外側に隣接する軟スティフナーとからなり、前記変性天然ゴム含有ゴム組成物を前記硬スティフナー及び/又は前記軟スティフナーに適用する。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記極性基含有単量体の極性基が、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基及びスズ含有基からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記変性天然ゴムにおける前記極性基含有単量体のグラフト量が、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.01〜5.0質量%である。
また、本発明は、上記空気入りタイヤのスティフナー用ゴム組成物を提供するものであり、本発明のスティフナー用ゴム組成物は、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥してなる変性天然ゴムを含むゴム成分に対して、カーボンブラックを配合してなることを特徴とする。
本発明によれば、特定の変性天然ゴムを含有するゴム組成物をスティフナーの少なくとも一部に適用することにより、ビード部が大幅に低発熱化され耐久性が大幅に向上した空気入りタイヤを提供することができる。
以下に、図を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施態様を示す断面図である。図1に示すタイヤは、一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、前記一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1,2,3を補強するラジアルカーカス4と、該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト5と、前記ビード部1内に夫々埋設したリング状のビードコア6のタイヤ半径方向外側に配置したスティフナー7とを備える。
図示例のタイヤにおいて、ラジアルカーカス4は、ビードコア6間にトロイダルに延びる本体部4aと、各ビードコア6の周りで、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部4bとを有する。なお、ラジアルカーカス4の構造及びプライ数は、これに限られるものではない。そして、スティフナー7は、ラジアルカーカス4の本体部4aとその折り返し部4bとの間に配置されている。
また、図示例のタイヤにおいて、ベルト5は、二枚のベルト層から構成されているが、本発明のタイヤにおいては、ベルト5を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。なお、通常、上記ベルト層は、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層からなり、二枚のベルト層が、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト5を構成する。
更に、図示例のタイヤにおいて、スティフナー7は、ビードコア6のタイヤ半径方向外側に隣接する剛性の比較的高い硬スティフナー7aと、該硬スティフナー7aのタイヤ半径方向外側に隣接する剛性の比較的低い軟スティフナー7bとからなるが、本発明のタイヤにおいては、スティフナー7の構造はこれに限られるものではない。
本発明の空気入りタイヤにおいては、上記スティフナー7の少なくとも一部に、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥してなる変性天然ゴムをゴム成分として含むゴム組成物を用いることを要し、該変性天然ゴム含有ゴム組成物をスティフナー7の全部に適用することが好ましい。また、図示例のタイヤのように、スティフナー7が硬スティフナー7aと軟スティフナー7bとからなる場合、硬スティフナー7a及び軟スティフナー7bの少なくともいずれかに変性天然ゴム含有ゴム組成物を適用すればよく、硬スティフナー7a及び軟スティフナー7bの両方に適用することが好ましい。
上記変性天然ゴムに用いられる極性基含有単量体の極性基は、カーボンブラックやシリカ等の種々の充填剤に対する親和性に優れるため、上記変性天然ゴムは、未変性の天然ゴムに比べて種々の充填剤に対する親和性が高い。そのため、上記変性天然ゴムをゴム成分として用いたゴム組成物は、ゴム成分に対する充填剤の分散性が高く、低発熱性が大幅に向上(即ち、tanδが大幅に低下)しており、該ゴム組成物をスティフナー7の少なくとも一部に用いることで、タイヤ走行時のビード部の温度上昇を効果的に抑制することができる。その結果、走行時の発熱によるビード部の劣化が抑制され、カーカスプライ端からの亀裂の伸展が抑制され、タイヤの耐久性を大幅に改善することができる。なお、この場合、ゴム組成物の混練における作業性が悪化したり、他のタイヤ性能が悪化することもない。
上記変性天然ゴムの製造に用いる天然ゴムラテックスとしては、特に限定されず、例えば、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、界面活性剤や酵素で処理した脱タンパク質ラテックス、及びこれらを組み合せたもの等を用いることができる。
上記天然ゴムラテックスに添加される極性基含有単量体は、分子内に少なくとも一つの極性基を有し、天然ゴム分子とグラフト重合できる限り特に制限されるものでない。ここで、該極性基含有単量体は、天然ゴム分子とグラフト重合するために、分子内に炭素−炭素二重結合を有することが好ましく、極性基含有ビニル系単量体であることが好ましい。上記極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基及びスズ含有基等を好適に挙げることができる。これら極性基を含有する単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アミノ基を含有する単量体としては、1分子中に第1級、第2級及び第3級アミノ基から選ばれる少なくとも1つのアミノ基を含有する重合性単量体が挙げられる。該アミノ基を有する重合性単量体の中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基含有単量体が特に好ましい。これらアミノ基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
ここで、第1級アミノ基含有単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、4-ビニルアニリン、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、第2級アミノ基含有単量体としては、(1)アニリノスチレン、β-フェニル-p-アニリノスチレン、β-シアノ-p-アニリノスチレン、β-シアノ-β-メチル-p-アニリノスチレン、β-クロロ-p-アニリノスチレン、β-カルボキシ-p-アニリノスチレン、β-メトキシカルボニル-p-アニリノスチレン、β-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニル-p-アニリノスチレン、β-ホルミル-p-アニリノスチレン、β-ホルミル-β-メチル-p-アニリノスチレン、α-カルボキシ-β-カルボキシ-β-フェニル-p-アニリノスチレン等のアニリノスチレン類、(2)1-アニリノフェニル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-3-メチル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-3-クロロ-1,3-ブタジエン、3-アニリノフェニル-2-メチル-1,3-ブタジエン、1-アニリノフェニル-2-クロロ-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-3-メチル-1,3-ブタジエン、2-アニリノフェニル-3-クロロ-1,3-ブタジエン等のアニリノフェニルブタジエン類、(3)N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)メタクリルアミド等のN-モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
更に、第3級アミノ基含有単量体としては、N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル等が挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
また、上記N,N-ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物等が挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が特に好ましい。
上記ニトリル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらニトリル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記ヒドロキシル基を含有する単量体としては、1分子中に少なくとも1つの第1級、第2級及び第3級ヒドロキシル基を有する重合性単量体が挙げられる。かかる単量体としては、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル系単量体、ヒドロキシル基含有ビニルケトン系単量体等が挙げられる。ここで、ヒドロキシル基含有単量体の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位数は、例えば、2〜23である)のモノ(メタ)アクリレート類;N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有不飽和アミド類;o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、m-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ビニルベンジルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物類等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物が好ましく、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体が特に好ましい。ここで、ヒドロキシル基含有不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエステル、アミド、無水物等の誘導体が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のエステルが特に好ましい。これらヒドロキシル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記カルボキシル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸類;フタル酸、コハク酸、アジピン酸等の非重合性多価カルボン酸と、(メタ)アリルアルコール、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物とのモノエステルのような遊離カルボキシル基含有エステル類及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸類が特に好ましい。これらカルボキシル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記エポキシ基を含有する単量体としては、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-オキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらエポキシ基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記含窒素複素環基を含有する単量体において、該含窒素複素環としては、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン等が挙げられる。なお、該含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。ここで、含窒素複素環基としてピリジル基を含有する単量体としては、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、5-メチル-2-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン等のピリジル基含有ビニル化合物等が挙げられ、これらの中でも、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン等が特に好ましい。これら含窒素複素環基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記アルコキシシリル基を含有する単量体としては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルベンジロキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、6-トリメトキシシリル-1,2-ヘキセン、p-トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。これらアルコキシシリル基含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
上記スズ含有基を有する単量体としては、アリルトリ-n-ブチルスズ、アリルトリメチルスズ、アリルトリフェニルスズ、アリルトリ-n-オクチルスズ、(メタ)アクリルオキシ-n-ブチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリメチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリフェニルスズ、(メタ)アクリルオキシ-n-オクチルスズ、ビニルトリ-n-ブチルスズ、ビニルトリメチルスズ、ビニルトリフェニルスズ、ビニルトリ-n-オクチルスズ等のスズ含有単量体を挙げることができる。これらスズ含有単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
本発明においては、上記極性基含有単量体の天然ゴム分子へのグラフト重合を、乳化重合で行う。ここで、該乳化重合においては、一般的に、天然ゴムラテックスに水及び必要に応じて乳化剤を加えた溶液中に、上記極性基含有単量体を加え、更に重合開始剤を加えて、所定の温度で撹拌して極性基含有単量体を重合させることが好ましい。なお、上記極性基含有単量体の天然ゴムラテックスへの添加においては、予め天然ゴムラテックス中に乳化剤を加えてもよいし、極性基含有単量体を乳化剤で乳化した後に天然ゴムラテックス中に加えてもよい。なお、天然ゴムラテックス及び/又は極性基含有単量体の乳化に使用できる乳化剤としては、特に限定されず、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系の界面活性剤が挙げられる。
上記重合開始剤としては、特に制限はなく、種々の乳化重合用の重合開始剤を用いることができ、その添加方法についても特に制限はない。一般に用いられる重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ヒドロクロライド、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。なお、重合温度を低下させるためには、レドックス系の重合開始剤を用いることが好ましい。かかるレドックス系重合開始剤において、過酸化物と組み合せる還元剤としては、例えば、テトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸等が挙げられる。レドックス系重合開始剤における過酸化物と還元剤との好ましい組み合せとしては、tert-ブチルハイドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミンとの組み合せ等が挙げられる。
上記変性天然ゴムにカーボンブラックやシリカ等の充填剤を配合して、ゴム組成物の加工性を低下させることなく低ロス性(低発熱性)を向上させるには、各天然ゴム分子に上記極性基含有単量体が少量且つ均一に導入されることが重要であるため、上記重合開始剤の添加量は、上記極性基含有単量体に対し1〜100mol%の範囲が好ましく、10〜100mol%の範囲が更に好ましい。
上述した各成分を反応容器に仕込み、30〜80℃で10分〜7時間反応させることで、天然ゴム分子に上記極性基含有単量体がグラフト共重合した変性天然ゴムラテックスが得られる。また、該変性天然ゴムラテックスを凝固させ、洗浄後、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー等の乾燥機を用いて乾燥することで変性天然ゴムが得られる。ここで、変性天然ゴムラテックスを凝固するのに用いる凝固剤としては、特に限定されるものではないが、ギ酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩が挙げられる。
上記変性天然ゴムにおいて、上記極性基含有単量体のグラフト量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.01〜5.0質量%の範囲が好ましく、0.01〜1.0質量%の範囲が更に好ましい。極性基含有単量体のグラフト量が0.01質量%未満では、ゴム組成物の低ロス性を十分に改良できないことがある。また、極性基含有単量体のグラフト量が5.0質量%を超えると、粘弾性、S−S特性(引張試験機における応力−歪曲線)等の天然ゴム本来の物理特性を大きく変えてしまい、天然ゴム本来の優れた物理特性が損なわれると共に、ゴム組成物の加工性が大幅に悪化するおそれがある。
本発明の空気入りタイヤのスティフナー7に用いるゴム組成物は、ゴム成分として上記変性天然ゴムを含むことを特徴とし、ゴム成分の10質量%以上が該変性天然ゴムであることが好ましい。ゴム成分の10質量%以上が上述の変性天然ゴムであれば、ゴム成分と充填剤との親和性が大幅に向上し、ゴム組成物の低発熱性を大幅に向上させることができる。なお、上記ゴム組成物は、ゴム成分として、他のゴムを含んでもよく、例えば、未変性の天然ゴム(NR)や、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)等の各種合成ゴムを含むことができる。
本発明の空気入りタイヤのスティフナー7に用いるゴム組成物は、更に充填剤を含有することが好ましい。該充填剤としては、カーボンブラックやシリカ等が挙げられ、これらの中でもカーボンブラックが好ましい。また、該カーボンブラックとしては、GPF,FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのもの等が挙げられる。ここで、充填剤の配合量は、特に限定されるものではないが、上記ゴム組成物を硬スティフナー7aに用いる場合は、上記ゴム成分100質量部に対して20〜120質量部の範囲が好ましく、40〜90質量部の範囲が更に好ましい。充填剤の配合量が20質量部未満では、硬スティフナー7aの剛性を充分に確保することができない場合があり、120質量部を超えると、硬スティフナー7aの発熱が大きくなったり、ゴム組成物の加工性が悪化する場合がある。
一方、上記ゴム組成物を軟スティフナー7bに用いる場合は、上記充填剤の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して20〜80質量部の範囲が好ましく、30〜60質量部の範囲が更に好ましい。充填剤の配合量が20質量部未満では、軟スティフナー7bの剛性を充分に確保することができない場合があり、80質量部を超えると、軟スティフナー7bの発熱が大きくなったり、ゴム組成物の加工性が悪化する場合がある。
本発明の空気入りタイヤのスティフナー7に用いるゴム組成物には、上記ゴム成分、充填剤の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。上記ゴム組成物は、少なくとも変性天然ゴムを含むゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明の空気入りタイヤは、スティフナー7の少なくとも一部に上述の変性天然ゴム含有ゴム組成物を適用し、常法により製造することができる。なお、本発明は、総ての空気入りタイヤに適用できるものであるが、本発明に従う空気入りタイヤは、ビード部が大幅に低発熱化されているため、ビード部の発熱耐久性が問題となる重荷重用タイヤとして特に好適である。なお、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<変性天然ゴムの製造例>
(天然ゴムラテックスの変性反応工程)
フィールドラテックスをラテックスセパレーター[斎藤遠心工業製]を用いて回転数7500rpmで遠心分離して、乾燥ゴム濃度60%の濃縮ラテックスを得た。この濃縮ラテックス1000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤[エマルゲン1108,花王株式会社製]をN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gに加えて乳化したものを990mLの水と共に添加し、これらを窒素置換しながら常温で30分間撹拌した。次に、重合開始剤としてtert-ブチルハイドロパーオキサイド 1.2gとテトラエチレンペンタミン 1.2gとを加え、40℃で30分間反応させることにより、変性天然ゴムラテックスを得た。
(天然ゴムラテックスの変性反応工程)
フィールドラテックスをラテックスセパレーター[斎藤遠心工業製]を用いて回転数7500rpmで遠心分離して、乾燥ゴム濃度60%の濃縮ラテックスを得た。この濃縮ラテックス1000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤[エマルゲン1108,花王株式会社製]をN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート 3.0gに加えて乳化したものを990mLの水と共に添加し、これらを窒素置換しながら常温で30分間撹拌した。次に、重合開始剤としてtert-ブチルハイドロパーオキサイド 1.2gとテトラエチレンペンタミン 1.2gとを加え、40℃で30分間反応させることにより、変性天然ゴムラテックスを得た。
(凝固及び乾燥工程)
上記変性天然ゴムラテックスにギ酸を加えpHを4.7に調整し、変性天然ゴムラテックスを凝固させた。このようにして得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して変性天然ゴムAを得た。このようにして得られた変性天然ゴムAの質量から、単量体として加えたN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートの転化率が100%であることが確認された。また、該変性天然ゴムAを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することによりホモポリマーの分離を試みたが、抽出物を分析したところホモポリマーは検出されず、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。従って、得られた変性天然ゴムAにおける単量体のグラフト量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.5質量%である。
上記変性天然ゴムラテックスにギ酸を加えpHを4.7に調整し、変性天然ゴムラテックスを凝固させた。このようにして得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して変性天然ゴムAを得た。このようにして得られた変性天然ゴムAの質量から、単量体として加えたN,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートの転化率が100%であることが確認された。また、該変性天然ゴムAを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することによりホモポリマーの分離を試みたが、抽出物を分析したところホモポリマーは検出されず、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。従って、得られた変性天然ゴムAにおける単量体のグラフト量は、天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.5質量%である。
次に、表1に示す配合処方のゴム組成物をそれぞれ調製し、該ゴム組成物を硬スティフナー及び軟スティフナーに用い、通常の加硫条件で加硫して、図1に示す構造を有するサイズ11R22.5のタイヤを試作した。また、該タイヤに対し、下記に示す方法でビード部の発熱性と、プライ端の亀裂成長性とを評価した。結果を表1に示す。
(1)ビード部の発熱性
上記供試タイヤに対してドラムテストを実施し、ドラム走行中のビード部の表面温度を非接触式の温度計で測定した。なお、ドラム荷重は正規荷重とし、走行速度は60km/hとし、測定位置は、ビード部のリムフランジ上の10mm付近とした。比較例1(従来例に相当)のタイヤのビード部の表面温度を基準とし、比較例1のタイヤとの温度差を表1に示す。
上記供試タイヤに対してドラムテストを実施し、ドラム走行中のビード部の表面温度を非接触式の温度計で測定した。なお、ドラム荷重は正規荷重とし、走行速度は60km/hとし、測定位置は、ビード部のリムフランジ上の10mm付近とした。比較例1(従来例に相当)のタイヤのビード部の表面温度を基準とし、比較例1のタイヤとの温度差を表1に示す。
(2)プライ端の亀裂成長性
上記と同じ条件下で供試タイヤに対してドラムテストを実施し、100,000km走行後のタイヤを解剖し、カーカスプライ端からの亀裂長さを実測し、比較例1のタイヤの亀裂長さを100として、指数表示した。指数値が小さい程、亀裂が短く、耐亀裂成長性が良好であることを示す。
上記と同じ条件下で供試タイヤに対してドラムテストを実施し、100,000km走行後のタイヤを解剖し、カーカスプライ端からの亀裂長さを実測し、比較例1のタイヤの亀裂長さを100として、指数表示した。指数値が小さい程、亀裂が短く、耐亀裂成長性が良好であることを示す。
*1 上記製造例で製造した変性天然ゴムA.
*2 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン.
*3 N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド.
*2 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン.
*3 N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド.
表1から、硬スティフナーに変性天然ゴム含有ゴム組成物を適用した実施例1のタイヤ及び軟スティフナーに変性天然ゴム含有ゴム組成物を適用した実施例2のタイヤのいずれも、比較例1のタイヤに比べて、ビード部の発熱が抑制されており、耐亀裂成長性が向上していることが分る。また、硬スティフナー及び軟スティフナーの双方に変性天然ゴム含有ゴム組成物を適用した実施例3のタイヤは、実施例1及び実施例2のタイヤよりも更に発熱が抑制されており、且つ耐亀裂成長性が向上していた。
一方、グレードの低いカーボンブラックを配合したゴム組成物をスティフナーに用いた比較例2のタイヤや、カーボンブラックの配合量を減量したゴム組成物をスティフナーに用いた比較例3のタイヤは、比較例1のタイヤに比べて、ビード部の発熱が大きく、また、亀裂も長かった。なお、カーボンブラックのグレードを下げたり、カーボンブラックの配合量を減量したにも関わらず、ビード部の発熱が大きくなった理由としては、硬スティフナーが低弾性化して、走行中のビード部の歪が大きくなったことが考えられる。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ラジアルカーカス
4a カーカス本体部
4b カーカス折り返し部
5 ベルト
6 ビードコア
7 スティフナー
7a 硬スティフナー
7b 軟スティフナー
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ラジアルカーカス
4a カーカス本体部
4b カーカス折り返し部
5 ベルト
6 ビードコア
7 スティフナー
7a 硬スティフナー
7b 軟スティフナー
Claims (6)
- 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在して、これら各部を補強するカーカスと、前記ビード部内に夫々埋設したビードコアのタイヤ半径方向外側に配置したスティフナーとを備える空気入りタイヤにおいて、
前記スティフナーの少なくとも一部に、天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥してなる変性天然ゴムをゴム成分として含むゴム組成物を適用したことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記スティフナーが、前記ビードコアのタイヤ半径方向外側に隣接する硬スティフナーと、該硬スティフナーのタイヤ半径方向外側に隣接する軟スティフナーとからなり、前記変性天然ゴム含有ゴム組成物を前記硬スティフナー及び/又は前記軟スティフナーに適用したことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム組成物は、ゴム成分の10質量%以上が前記変性天然ゴムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記極性基含有単量体の極性基が、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、アルコキシシリル基及びスズ含有基からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記変性天然ゴムにおける前記極性基含有単量体のグラフト量が、前記天然ゴムラテックス中のゴム成分に対して0.01〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 天然ゴムラテックスに極性基含有単量体を添加し、該極性基含有単量体を天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子にグラフト重合させ、更に凝固及び乾燥してなる変性天然ゴムを含むゴム成分に対して、カーボンブラックを配合してなることを特徴とするタイヤのスティフナー用ゴム組成物。
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WO2007066689A1 (ja) * | 2005-12-07 | 2007-06-14 | Bridgestone Corporation | ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ |
JP2008100675A (ja) * | 2006-10-10 | 2008-05-01 | Goodyear Tire & Rubber Co:The | サイドウォールインサートを有するタイヤ |
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